株譜
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古林紙工 3944

花王・味の素の箱を作る堅い下請けだが、本業の利益率は薄く、資産の多くは売らない株にある

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)2,397 円27 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,900 円33 億円差 −17.3%
10 年後から見ると やや割高 価値 2,397 円27 億円 · 差 −17.3% · 期待の年率 +5.7%
期待の年率リターン(10 年)+5.7%資本コスト比 −2.6 pt
推定の資本コスト8.3%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.3% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

古林紙工は大阪の紙器の会社だ。菓子や食品、洗剤や日用品の箱を刷って作り、プラスチックの容器や包材も手がける。花王・味の素などの大口の 3 社で売上の 4 割近くを占める。筆者の結論は「やや割高」で、一番の理由は、本業の営業利益率が 1〜5% と薄く、事業の稼ぎが資本コストの半分にも届かないことにある。

今の時価総額は自己資本の 3 分の 1 にすぎない。帳簿だけ見れば安い。だが自己資本の半分近くは、花王を中心とした政策保有の株と工場だ。持ち合いの株は取引の証しとして持ち続けるもので、株主が手にできる現金ではない。その配当は利益に入っており、倍率で評価済みだ。

10 年の間、国内の箱の量は人口とともに少しずつ減る。紙への置き換えは追い風だが、値上げを大口の客に通す力は弱い。筆者は、帳簿の安さに見合う稼ぐ力は無いと見る。確率で重みを付けた価値は、今の時価総額を 2 割前後下回る。純投資の株主が 1 割を持ち、資本の方針が変われば話は別だが、それはまだ起きていない。

バリュー投資の観点から

オーナーとして持ちたい事業かと問われれば、筆者はためらう。箱は 10 年後も要るし、花王や味の素との取引も続くだろう。だが、その取引から株主の取り分をどれだけ引き出せるかは心もとない。

バリュー投資の観点で一番気になるのは、資産の多くが株主の手の届かない所にあることだ。自己資本の半分近くが持ち合いの株で、本業の資本の稼ぎは 3〜4% にとどまる。帳簿の価値は大きいが、それが現金として戻ってくる道筋は見えない。

安全域はどうか。今の時価総額は政策保有の株の時価を下回る。資産で見れば安全域は厚い。だが、その資産を会社が売らない限り、株主の手に残るのは細い配当と、低い稼ぎにためた利益だけだ。筆者は帳簿の安さを割安の根拠にしない。

見方が変わるのは、会社が持ち合いの株を売って還元に回すと決めた時だ。その一歩があれば、今の値段の安さは本物の安全域になる。

何で稼ぐ会社か

事業は紙器、つまり印刷した紙の箱づくりが中心だ。菓子や食品、石鹸や洗剤、日用品のカートンを刷り、折って、客の工場に届ける。プラスチックを成型した容器やフィルムの包材も作り、紙とプラスチックの両方の包装を手がけられるのが特徴だ。

客は大手の消費財メーカーに偏る。2025/12 期は花王が売上の 14%、レンゴー・リバーウッド・パッケージングが 12%、味の素が 11% を占めた。3 社で 37% になる。箱は中身の商品と一緒に設計され、一度採用されると何年も同じ形で発注が続く。

地域では日本が 154 億円、中国と台湾が 25 億円だ。上海に 2 つ、台湾に 1 つ子会社があり、日系や現地の客に箱を納める。国内では運送の金剛運送を 2024 年に買い、自前で客の工場に届ける体制を整えた。

稼ぎの仕組みは単純で、印刷機と加工機の稼働を上げ、紙・インキ・人件費の上がりを値段に移せるかで利益が決まる。2025/12 期の営業利益率は 2.4% と薄い。設備の投資は年 2 億円弱と償却の 4 分の 1 ほどに抑えており、古い機械を長く使って利益を出している面もある。更新の時期が来れば、建設費や機械の値上がりで投資は膨らむ。

優良さと弱いところ

優良さは並より下だと筆者は見る。長所は客との付き合いの長さだ。花王や味の素の箱を何十年も作り、品質と納期の信頼を積んできた。箱は商品の顔なので、客は簡単には作り手を替えない。

ただ、それは値決めの力にはなっていない。相手は日本を代表する消費財メーカーで、調達の力は圧倒的に強い。紙やインキが上がっても値上げは後追いになり、営業利益率は過去 20 年で 5% を超えたことが無い。過去 10 年の ROE の中央値は 4.6% だ。

資本の使い方も物足りない。自己資本の半分近くが政策保有の株に眠り、本業の稼ぎを薄めている。配当性向は 2 割弱で、株主へ戻すより会社にためる配分が続く。

経営は手堅く、大きな失敗の買収も無い。ただ、手堅さが資本の稼ぎの低さを放っておく理由になっている面は否めない。筆者がこの会社に足りないと見るのは、資本を株主の目で使う意識だ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

紙器の需要は、中身の消費財の量に結びつく。菓子・食品・洗剤の量は人口とともに細り、詰め替えや簡易な包装が増えるほど、箱そのものが要らなくなる。国内の紙器の量は、10 年でゆっくり減っていくと筆者は見る。

追い風もある。プラスチックを減らす流れで、食品や日用品の包装を紙に置き換える動きが広がっている。紙とプラスチックの両方の加工を知る会社は、置き換えの設計で客に頼られる。ただ、置き換えで増える量は、人口の減りを少し埋める程度だ。

競合は、TOPPAN や大日本印刷のような大手の印刷会社、レンゴーやザ・パックのような包装の大手、そして各地の中堅の紙器の会社だ。大手は規模で紙と加工の費用を下げ、中堅は客との近さで勝負する。客が調達先を絞るたびに、中堅は値段か量のどちらかを譲ることになる。

10 年の見通しとして、筆者は国内の量を 5% 減、値段を物価並みと見る。中国は日系の客の生産の移り方しだいで、伸びは期待しにくい。

悲観の深さも考えておく。印刷の業界は 30 年で需要が大きく減り、中堅の印刷会社の廃業や統合が続いてきた。紙器は印刷の中では底堅い方だが、客が調達先を絞る局面では、中堅が真っ先に外される。

資本政策と M&A

還元は配当で、年 2 回、1 株あたりの額を据え置く安定配当だ。配当性向は 17.5% と低い。自社株買いの実績は乏しい。

政策保有の株は約 50 億円ある。花王が 30 億円強と大半で、明治ホールディングスや大手銀行の株も持つ。花王は最大の客なので、取引の証しとして持ち続けるとみるのが自然だ。売る方針の数字は示していない。

株主には、純投資を掲げるアダチメディカルレンタルリースが 1 割を持ち、2026 年にも買い増した。創業家は 7% 強と大きくない。時価総額が自己資本の 3 分の 1 という状態は、株主からの還元の要求や、同業による買収の的になりうる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

今の時価総額は、持っている花王などの株の時価より小さい。本業の工場と客の取引がほぼただで付いてくる計算だ。資産の裏付けがこれほど厚い会社は珍しい。

本業も弱くない。花王や味の素の箱を何十年も作ってきた信頼は、新しい作り手にはまねできない。箱は商品の顔で、客は作り手を簡単に替えない。プラスチックを減らす流れで、紙とプラスチックの両方を知る同社の出番は増える。

株主の顔ぶれも変わりつつある。純投資の株主が 1 割を持ち、買い増しを続けている。政策保有の株を売って還元に回せという声が強まれば、資本の使い方は一気に変わりうる。

値上げも少しずつ通り始めた。2023/12 期には営業利益率が 3% 台に戻った実績がある。物価が上がる世の中では、遅れても値上げは通る。紙の箱への置き換えの波に乗れれば、量の減りも止まる。

悪い方を見ても、持ち合いの株という厚い床がある。下がる余地は小さく、上がる余地は資本の方針しだいで大きい。

慎重な見方

資産の厚さは株主のものではない。花王の株は最大の客との取引の証しで、売れば取引に響く。会社は売る方針を示しておらず、その配当はすでに利益に入っている。

本業は薄い。営業利益率は過去 20 年で 5% を超えたことが無く、2024/12 期は 1% まで落ちた。売上の 4 割近くを 3 社に頼り、相手は日本で最も調達の力が強い消費財メーカーだ。値上げは後追いで、通っても費用の上がりを埋めるだけになる。

量も減る。菓子や洗剤の量は人口とともに細り、詰め替えや簡易な包装で箱が要らない品も増える。上海の子会社は損失を出す期があり、海外が稼ぎの柱になる見込みも薄い。

資本の稼ぎは 3〜4% で、ためた利益は額面の価値も生まない。帳簿の安さは、この稼ぐ力の低さを映しているだけだ。

純投資の株主が増えても、創業家と取引先が株を持ち合う形は崩れにくい。資本の方針が変わる保証はどこにも無い。工場の更新が来れば、投資も膨らむ。

どちらに重みを置いたか

資産が株主の手に届かないという慎重な側の指摘の方が、会社の資本の方針という事実に支えられている。純投資の株主の動きは注目に値するが、方針が変わるまでは価値に数えない。確率は中立を中心にやや悲観を厚めにし、楽観は利益率が過去の最高に近づく場合に限って薄く置いた。資産の床が厚いので、悲観の深さは普通の中堅の紙器会社より浅い。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 4,492 円51 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 542 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 2,397 円27 億円、今との差 −17.3%、 期待の年率 +5.7%(資本コスト 8.3%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 8,289 円93 億円 800 円9 億円 +213.4% +12.1% 545 円6 億円
やや楽観 20% 6,619 円75 億円 666 円8 億円 +151.2% +9.6% 1,457 円16 億円
中立 40% 5,103 円57 億円 577 円7 億円 +95.9% +7.0% 2,272 円26 億円
やや悲観 22% 2,133 円24 億円 444 円5 億円 −11.1% −1.2% 567 円6 億円
悲観 12% 1,333 円15 億円 267 円3 億円 −44.9% −5.8% 192 円2 億円
加重平均100% 4,492 円51 億円542 円6 億円 +73.6% +5.7% 5,033 円57 億円

今の株価時価総額 2,900 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。

楽観 6% 紙への置き換えを取り込み、利益率が戻る 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 8,289 円93 億円

食品や日用品の包装で、プラスチックから紙への置き換えが本格的に進む。プラスチックの成型と紙器の両方を持つ古林紙工は、置き換えの設計を客と一緒に考えられる。国内の出荷は 5% 増える。

花王・味の素という大口の客は値上げを受け入れ、価格は物価を少し上回る。工場の自動化で人手も減らし、国内の営業利益率は 4% まで戻る。上海と台湾も日系の客の現地の生産を取り込み、黒字が定着する。

それでも資本の稼ぎは資本コストに届かない。政策保有の株が自己資本の半分近くを占め、事業に使っていない資本が重いからだ。持ち合いを売る決断が無い限り、株主の取り分は本業の伸びほどには増えない。

  • 日本(印刷紙器・プラスチック包材):数量 15.8(紙器・包材の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,417(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 223 億円・営業利益 9 億円。15.75 億個 × 1 個 1,417 銭(今の 1.38 倍)、利益率 4%
  • 中国・台湾(印刷紙器):数量 2.9(紙器の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,376(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。2.9 億個 × 1 個 1,376 銭、利益率 3%

倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 93 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:脱プラスチックで紙の箱への置き換えが進み、花王・味の素との取引も深まる筋書き。利益率が過去の最高(5.1%)に近づく必要があり、確率は低い。

やや楽観 20% 量は保ち、値上げが通る 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 6,619 円75 億円

国内の出荷は人口の減りを紙への置き換えが埋め、ほぼ横ばいを保つ。値上げは物価並みに通り、紙・インキ・人件費の上がりを吸収する。花王や味の素との取引は、置き換えの設計を通じてむしろ深まる。

営業利益率は国内で 3.5% と、2023/12 期の水準に戻る。上海と台湾は現地の客を少しずつ増やし、小さいながら黒字を続ける。

政策保有の株の配当は物価とともに増え、利益の 2 割前後を支える。配当性向は 2 割弱のままで、利益の多くは会社に残る。資本の稼ぎは資本コストの半分強にとどまる。会社は堅く続くが、株主にとっては物足りない姿だ。

  • 日本(印刷紙器・プラスチック包材):数量 15.0(紙器・包材の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,376(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 206 億円・営業利益 7 億円。15 億個 × 1 個 1,376 銭、利益率 3.5%
  • 中国・台湾(印刷紙器):数量 2.6(紙器の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,376(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。2.64 億個 × 1 個 1,376 銭、利益率 2%

倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 74 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:国内の量を保ち、値上げを物価並みに通し、利益率が過去 10 年の平均(3% 台)を少し上回る姿。2023/12 期に一度達した水準なので、中立の次に厚く置く。

中立 40% 量は少し減り、利益率は薄いまま 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,103 円57 億円

国内の出荷は 10 年で 5% 減る。菓子や洗剤の量は人口とともに細り、詰め替えの普及で箱そのものが要らない品も増える。紙への置き換えは減りの一部を埋めるにとどまる。

値段は物価並みに上がるが、花王や味の素のような大口の客との交渉で、上がった費用を全部は移せない。国内の営業利益率は 2.8% と、過去の平均よりやや低い。上海と台湾は日系の客の現地の生産が伸びず、収支とんとんが続く。

借入の金利は 3.5% 前後へ上がるが、純負債は 15 億円ほどで影響は小さい。利益の 2 割強は政策保有の株の配当が支える。

  • 日本(印刷紙器・プラスチック包材):数量 14.3(紙器・包材の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,376(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 196 億円・営業利益 5 億円。14.25 億個 × 1 個 1,376 銭、利益率 2.8%
  • 中国・台湾(印刷紙器):数量 2.4(紙器の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,335(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。2.4 億個 × 1 個 1,335 銭、利益率 1%

倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 57 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:過去 10 年の営業利益率(1〜5%、中央値 3% 強)と、国内の消費財の量の緩やかな減りをそのまま延ばした姿。いちばん起こりやすい。

やや悲観 22% 大口の客が調達先を絞る 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 2,133 円24 億円

花王や味の素が包装の調達先を絞り、大手の印刷会社に発注をまとめる。国内の出荷は 15% 減り、値上げも物価に届かない。営業利益率は 1.5% に沈む。2024/12 期の 1% という谷が、一時でなく普通の姿になる。

上海の子会社は現地の競争に負け、赤字が続く。撤退か縮小かの判断を先送りし、損失が積み上がる。台湾も現地の大手に押され、海外は重荷になる。

利益の多くは政策保有の株の配当になり、本業の稼ぎはほとんど残らない。会社は株を売らずに持ち続けるので、株主には配当の細い流れしか届かない。上がる費用を値段に移せない年が続き、工場の更新も遅れがちになる。

  • 日本(印刷紙器・プラスチック包材):数量 12.8(紙器・包材の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,335(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 170 億円・営業利益 3 億円。12.75 億個 × 1 個 1,335 銭(今の 1.30 倍)、利益率 1.5%
  • 中国・台湾(印刷紙器):数量 1.9(紙器の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,284(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。1.92 億個 × 1 個 1,284 銭、利益率 −2%

倍率:事業の ROE 1.6% が k を大きく下回るので、価値は稼ぐ力(純利益÷k)と売れる資産の床の大きい方で測る。正当化 PER の上限 1÷k=12.5 倍の 8 割の 10.0 倍で、床(約 20 億円)とほぼ並ぶ。

確率:売上の 37% を 3 社に頼り、2024/12 期には営業利益率が 1% まで落ちた。大口の 1 社が発注を減らすだけで崩れる形なので厚めに置く。

悲観 12% 紙器で負け、海外から退く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 1,333 円15 億円

大手の印刷会社や段ボールの大手が紙器でも量を取りにくる。古林紙工は大口の客を失い、国内の出荷は 4 分の 3 に減る。営業利益はほぼゼロになる。

上海から撤退し、清算の損失を出す。工場の一部も減損になり、自己資本は 95 億円まで減る。古い機械の更新も先送りされ、品質と納期の信頼まで揺らぐ。配当は減らされ、株主に届くお金はさらに細る。

残る価値は政策保有の株と、借入を返した後の残りだ。ただ、会社はその株を売らずに持ち続けるので、株主がその価値を手にできるとは限らない。会社が残る限り、帳簿の価値と株主の手取りの差は埋まらない。

  • 日本(印刷紙器・プラスチック包材):数量 11.3(紙器・包材の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,284(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 144 億円・営業利益 0 億円。11.25 億個 × 1 個 1,284 銭、利益率 0%
  • 中国・台湾(印刷紙器):数量 1.2(紙器の出荷数(億個・年、推定))× 価格 1,232(1 個あたりの売上(銭・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 −1 億円。1.2 億個 × 1 個 1,232 銭、利益率 −5%

倍率:赤字なので PBR で測る。床は今の自己資本 100 億円に掛け、政策保有の株の税後から純負債を引いた約 20 億円に、売らない持ち合いの分の戻り方 0.75 を掛けた約 15 億円とした。

確率:印刷の大手が紙器でも量を取りにくる中、中堅の専業が構造的に負ける筋書き。政策保有の株が床を支えるので、深さはあるが確率は普通の素材会社並みに置く。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

日本(印刷紙器・プラスチック包材)

菓子・食品・洗剤・日用品のカートンと、複合成型容器・フィルムの包材。花王・味の素などに納める。

数量紙器・包材の出荷数(億個・年、推定)価格1 個あたりの売上(銭・名目)売上営業利益
今 2025/12 15.0 1,027 154 4
10 年後 中立 14.3 1,376 196 5

取り方:個数の開示は無いので、日本の売上 154.0 億円をカートン 1 個 1,000 銭前後と見て年 15 億個と推定(推定)。営業利益は全社 4.32 億円を売上の比で割り振り、中国の採算の弱さを見た推定。

中国・台湾(印刷紙器)

上海と台湾の子会社が、日系・現地の消費財メーカーにカートンを納める。

数量紙器の出荷数(億個・年、推定)価格1 個あたりの売上(銭・名目)売上営業利益
今 2025/12 2.4 1,027 25 0
10 年後 中立 2.4 1,335 32 0

取り方:中国の売上 24.65 億円を日本と同じ 1 個 1,000 銭前後と見て年 2.4 億個と推定(推定)。上海の子会社は損失の期もあり、利益は薄い。

リスクと懸念

大口の客への偏り

花王・レンゴー・リバーウッド・パッケージング・味の素の 3 社で売上の 37% を占める。1 社が調達先を絞ったり、包装を簡易にしたりするだけで、量と利益が大きく揺れる。

値上げの遅れ

紙・インキ・電気・人件費が上がっても、大口の客との交渉で値上げは後追いになる。2024/12 期は営業利益率が 1% まで落ちた。物価 3% の世の中では、この遅れが毎年の利益を削る。

政策保有の株の扱い

自己資本の半分近くが花王などの株だ。株価が下がれば自己資本が目減りし、売らない限り株主の価値にもならない。逆に売る方針に転じれば、還元が大きく増える余地もある。

中国の子会社

上海の子会社は損失を出す期がある。日系の客の現地の生産が細れば、撤退や縮小の損失が出る。台湾も含め、海外は規模が小さく稼ぎの柱になりにくい。

包装の簡素化

詰め替えや簡易な包装、ネット通販向けの箱の省略が進めば、中身の量が同じでも紙器の数は減る。脱プラスチックの追い風を打ち消すこともある。

今後の分かれ目

政策保有の株を売り、その資金を自社株買いや増配に回す方針が示されたら
持ち合いの株の価値を税後で足し、戻り方を上げる。価値は大きく上がる。
営業利益率が 2 期続けて 4% を超えたら
値上げの定着とみて、やや楽観の確率を上げる。
花王・味の素向けの売上比率が下がったら
やや悲観の筋書きに近づく。調達先の絞り込みの始まりかを見る。
純投資の株主が提案や経営への関与を強めたら
資本の方針が変わる芽になる。ただし方針が変わるまでは価値に数えない。
上海の子会社の撤退を決めたら
一度の損失は出るが、赤字の芽を断つので中立の利益率は少し上がる。

見ておくもの

  • 国内の営業利益率と値上げの浸透
  • 花王・味の素向けの売上の比率
  • 政策保有の株の売却の方針
  • 純投資の株主の保有の比率

倍率と資本コストの決め方

倍率は今の株価や PBR(0.3 倍前後)から置かず、事業の ROE(中立 3.5%)が k 8.25% を下回るので正当化 PER の上限 1÷k=12.5 倍から、利益の質に応じて 8〜9.6 割で置いた。政策保有の株は配当を利益に残すので価値に足さず、悲観の床にだけ税後で数えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→12.12 倍・やや楽観 PER 11.3→12.12 倍・中立 PER 10.5→12.12 倍)。

資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.5%。同業の朝日印刷(7.8%)より客の偏りと値決めの弱さを重く見た。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.25%。

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割安 スーパーバッグ3945 店の紙袋と通販の宅配袋を作る老舗。利益は薄いが、値段は稼ぐ力に比べて安く、割安 本質価値との差 +113.8% · 10 年 割安(年 +16.3%) 適正 トーモク3946 原紙を買って箱にする独立系の段ボール加工大手。値上げで稼ぐ力は戻ったが、資本コストを安定して超える日はまだ先だ 本質価値との差 +3.5% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 ダイナパック3947 値上げと海外買収で利益は一段上がったが、稼ぐ力が資本コストに届かない。厚い含み益の株が下支えする 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 大村紙業3953 段ボール箱の小さな専業。借入ゼロで現金は時価総額の7割に迫るが、稼ぐ力は薄く、筆者はやや割高と見る 本質価値との差 −3.7% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 昭和パックス3954 セメント・化学品・食品の重い紙袋が主力の地味な会社。現金と持ち合い株が時価総額の大半を占め、稼ぐ力の割に株主へ戻る分は小さい 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 ザ・パック3950 紙袋と紙箱の直販メーカー。借金のない堅実な会社だが、資本コストをわずかに下回る稼ぎが天井 本質価値との差 −7.0% · 10 年 適正(年 +5.4%) 適正 岡山製紙3892 王子グループの一角で中芯原紙を作る堅実な小工場。現金は厚いが株主に戻る道が細く、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 −8.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) やや割高 朝日印刷3951 医薬品・化粧品の包装で首位の堅い事業だが、利益率は 3.6% まで落ちた。10 年の中立は利益が少し戻る程度で、今の値段には届かない割高と出る 本質価値との差 −11.7% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 レンゴー3941 国内段ボールの最大手。事業は堅いが、重い借金と海外の不振で、資本コストを超える稼ぎには届きにくい 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ハビックス3895 紙おむつの素材から製品の受託へ踏み出すが、借りて建てた工場が稼ぐ力を薄めかねない 本質価値との差 −17.7% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 日本製紙3863 洋紙の縮小を生活関連と木材で埋められるかが勝負。借金の重さと事故・震災を考えると、今の値段は回復の筋書きを先取りしている 本質価値との差 −17.9% · 10 年 やや割高(年 +6.5%) やや割高 中越パルプ工業3877 富山と鹿児島に工場を持つ中堅の製紙会社。紙の縮小を家庭紙と包装用紙で埋める途上で、稼ぐ力は薄く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −19.1% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大石産業3943 パルプモウルドで底堅く稼ぐが、大型投資と費用増で利益は縮んでいる。厚い現金は安全域だが、事業の稼ぎは薄い 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 笹徳印刷3958 王子系と組む愛知の紙器・印刷会社。本業の利益は薄く、稼ぎの多くは持ち合いの株の配当が支える 本質価値との差 −21.8% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大王製紙3880 家庭用品の足場は固いが、借金の重さで稼ぎが資本コストに届かない。今の値段には安全域がない 本質価値との差 −23.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 王子ホールディングス3861 森と段ボールと政策保有株を抱える巨艦。資本コストを超えて稼ぐ日が来るまで値段は重い 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 光ビジネスフォーム3948 自治体の通知物を一貫で請け負う堅い仕事だが、紙は細り ROE は資本コストに届かない。厚い現金を差し引いても割高と出る 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.7%) 割高 イムラ3955 封筒の大手。郵便の減少に包材で抗うが、新工場の償却が重く、資本の稼ぎは資本コストに届かない 本質価値との差 −30.4% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 北越コーポレーション3865 洋紙の縮みを輸出と白板紙でどこまで埋められるか。財務は堅いが、稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は高い 本質価値との差 −32.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 特種東海製紙3708 特殊紙・段ボール原紙・リサイクルの 3 本柱は堅実だが、伸びは緩い。稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 阿波製紙3896 RO 膜の支持体は良いニッチだが、借金と少数株主への流出で株主の取り分は細い。値段は割高 本質価値との差 −36.4% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 ニッポン高度紙工業3891 コンデンサ用セパレータで世界首位級の隠れた優良企業。ただ利益は AI 需要の山にあり、10 年で見ると今の値段は先取りしすぎている 本質価値との差 −36.9% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 三菱製紙3864 機能性材料は伸びるが、洋紙の縮みと重い投資、利息の上昇が稼ぎを食う。今の値段は回復をかなり織り込んでいる 本質価値との差 −57.2% · 10 年 割高(年 −0.8%)

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読んだ資料

  1. 古林紙工 有価証券報告書(2025/12 期)の本文
  2. 古林紙工 株式について大量保有の変更報告

分析日 2026-10-20