株譜
AI 銘柄分析 · パルプ・紙 · 試作

昭和パックス 3954

セメント・化学品・食品の重い紙袋が主力の地味な会社。現金と持ち合い株が時価総額の大半を占め、稼ぐ力の割に株主へ戻る分は小さい

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)2,927 円129 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)3,105 円136 億円差 −5.7%
10 年後から見ると 適正 価値 2,927 円129 億円 · 差 −5.7% · 期待の年率 +6.6%
期待の年率リターン(10 年)+6.6%資本コスト比 −1.4 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

昭和パックスは、セメント、化学品、飼料、米などを詰める重い紙袋(クラフト紙袋)が売上の3分の2を占める包装メーカーだ。ほかに食品や産業用のポリエチレンのフィルム、大型の運搬袋であるフレキシブルコンテナを作る。筆者の結論は、事業そのものは安定しているが成長せず、価値の大きな部分は現金と持ち合い株にあるというものだ。

強みは、重い中身にも耐える袋の設計と、全国の工場網で、顧客を長く抱えている点だ。弱みは、国内の紙袋の出荷が毎年1%台で減る点と、クラフト紙・樹脂の原料高を売値にゆっくりしか乗せられない点だ。2026年3月期は営業利益が16億円と前の期より2割近く増えたが、数量は減り、値上げで補った形だ。

財務は、自己資本比率が72%、純現金が70億円で時価総額の半分に当たる。上場株式を35銘柄、約70億円分持つ。一方で、東京工場の建て替えに約78億円を2031年まで投じる計画があり、現金が増え続けるとは限らない。

2027年3月期の予想は8月に上方修正され、経常利益21.5億円の見込みだ。10年の中立では、数量は実質で1割ほど細り、価格は物価並みに上がるとみる。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、この会社は「事業の価値」と「持っている資産の価値」を分けて見るべきだ。事業は、数量が細るのを値上げで補う安定した低成長の仕組みで、自己資本利益率は資本コストに届かない。事業だけなら、高い倍率は付かない。

一方、純現金70億円と持ち合い株70億円は、時価総額の大部分を占める。借金がなく、事業が赤字になる心配が小さいので、安全域は厚い。ただし、その現金が株主に戻る保証はない。配当は利益の2割に届かず、自社株買いも見えないため、戻り方は半分に割り引いて見る。

経営の姿勢は堅実だが、資本の使い方に力が入っていない。東京工場の建て替えは、必要な更新ではあるが、新たな利益を生むとは限らない。

持ち続けたいかと問われれば、事業の成長ではなく、現金と持ち合い株の価値の保全に賭ける銘柄だ。割安に見える部分の多くは、事業の力ではなく、使われていない資産から来る。

何で稼ぐ会社か

事業は大きく三つに分かれる。売上236億円のうち、重包装袋(クラフト紙袋)が154億円で約65%、フィルム製品が44億円で約19%、フレキシブルコンテナを含むその他が約38億円だ。重包装袋は、25キロや30キロの中身を詰める多層の紙袋で、セメント、化学薬品、合成樹脂、飼料、肥料、米、砂糖などが主な納入先になる。

紙袋の仕事は、袋の強度や湿気対策、充填機との相性を顧客ごとに合わせる点にある。納入先の工場の充填ラインに合わせた袋を作るので、一度採用されると他社への切り替えは簡単ではない。近年は、窒素を充填して食品の酸化を防ぐ包装と、その装置の納入を始め、フードロスを減らす提案を進めている。

フィルム製品は、食品向けの包装や産業用の袋で、ポリエチレン樹脂が原料だ。樹脂価格の変動を売値に乗せる速さが利益率を左右する。フレキシブルコンテナは、1トン前後を運べる大型袋で、化学品・穀物・資源の輸送に使われる。

工場は、防府や東京など国内に置き、タイにも子会社がある。従業員は重包装袋が236名、フィルムが49名。2026年1月に子会社の山陰パックを吸収合併し、国内の拠点を整理した。事業別の利益は決算の開示を基に、営業利益16.3億円に合うよう筆者が割り振った推定を含む。数量は開示がなく、売上を単価で割った推定だ。

優良さと弱いところ

優良さは、重い中身に耐える袋を長く供給してきた実績と、顧客の充填ラインに合わせた設計にある。取引先は素材・食品・農水産と広く、特定の1社に頼らない。堀(他社がまねしにくい強み)はあるが、深くはない。紙袋は規格品に近く、価格競争を避けにくい。

値決めの力は弱い。クラフト紙と樹脂が上がると、売値に乗せるのが遅れて利益率が削られる。2026年3月期は値上げが通り、営業利益率は6.9%と過去の最良に並んだが、過去20年の最悪は2%程度まで落ちている。

財務の質は高い。借金はほぼなく、営業利益は支払利息の80倍以上ある。赤字の期もない。ただし、資本の効率は低く、自己資本利益率は5%前後、過去10年の中央値は5.7%だ。厚い自己資本のうち、現金と持ち合い株が事業に働かず、利益を押し下げている。

寿命の面では、紙袋は国内で緩やかに縮む市場にいる。化学品・樹脂の袋はフレキシブルコンテナやバルク輸送に置き換わりやすく、長期では不利だ。筆者は、この会社を「守りは堅いが、攻める力は弱い」と評価する。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内のクラフト紙袋(ごみ袋を除く)の出荷数量は、直近の年度で前年を1.4%下回った。昭和パックスの売上数量は1.7%減と、業界と同じ方向に動いている。化学薬品と合成樹脂向けの減少が目立った。顧客の工場の生産が減るか、大型輸送に切り替わると、袋の需要は直接減る。

原材料は、クラフト紙とポリエチレン樹脂だ。紙の価格は高止まりし、物流費と労務費も上がっている。樹脂は中東情勢で一部に供給の制約が出た。これを売値に乗せられるかが、業界全体の利益率の分かれ目になる。

競争は、製紙大手系の包装会社や、紙袋・フィルムに特化した中堅が入り交じる。市場の大きさと各社のシェアは公表資料に見当たらず、筆者は数量の推定にとどめる。需要は食品・農産物のように底堅い用途と、化学品のように縮む用途に分かれる。

人口が減る国内では、袋の数量は実質で年1%台の減少が続くと筆者はみる。物価が3%で上がるので、価格は名目で伸びる。ただし、原料も同じ速さで上がるため、利益率が自然に伸びるわけではない。窒素充填のような付加価値の高い提案が、数量の減少を補えるかが焦点だ。

資本政策と M&A

還元は、年2回の配当を安定して続ける方針だ。2026年3月期は、設立90周年の記念配当を含む配当にした。ただし、純利益に対する配当の割合は2割に届かず、現金は積み上がっている。自社株買いの実績は確認できなかった。

保有する上場株式は35銘柄、貸借対照表で約70億円で、時価総額の約半分に当たる。取引先との関係を保つための持ち合いが中心とみられる。株価が上がれば自己資本が増える一方、売却して事業や株主還元に回す動きは見えていない。

大株主には、化学品の包装材を手掛けるサンエー化研が約19%を持つ。支配する親会社ではないが、安定した大株主として、買収を仕掛けにくくしている。kabufu の推定では、10年以内に買収される確率は2割強とされる。

設備投資は、防府工場のピンチ袋の製造ラインに約8億円、東京工場の建て替えに約78億円(2026年11月着手、2031年6月完了予定)。建て替えは営業キャッシュフローで賄える規模だが、償却費が増える。新しい建物の償却は今の建築費で積み上がる点に注意が要る。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

2026年3月期は営業利益が前の期より18%増え、2027年3月期の第1四半期も売上が11.6%増、経常利益が5割増と好調だ。8月には通期の予想も売上250億円、経常利益21.5億円へ上げた。値上げが通り、数量の減少を補う形ができている。

自己資本比率は72%、純現金は70億円で、時価総額の半分に当たる。さらに上場株式を約70億円持つ。事業を除いた資産だけで、時価総額に近い。これは安全域として強い。

窒素充填包装のように、食品の廃棄を減らす新しい提案が育てば、袋の数量の減少を付加価値で補える。東京工場の建て替えで生産が効率化されれば、利益率が高まる余地もある。山陰パックの吸収合併による拠点の整理も、固定費の削減に働く。

大株主のサンエー化研が約19%を持ち、買収や非上場化の可能性も排除できない。そのとき、現金と持ち合い株の価値が株主に届く。10年の長さで見れば、東京工場の更新を終えた後に、現金の使い道が株主還元へ向く可能性もある。

慎重な見方

国内の紙袋の出荷は毎年1%台で減っている。昭和パックスの数量も1.7%減だ。化学品や合成樹脂の袋は、フレキシブルコンテナやバルク輸送に置き換わりやすく、構造的な縮小が続く。値上げで補う力にも限りがあり、原料高を売値に乗せきれない期は利益率が2%台まで落ちた。

資本の効率は低い。自己資本利益率は5%前後で、資本コストの8.0%に届かない。現金と持ち合い株が自己資本の半分近くを占め、働いていない。配当は利益の2割に届かず、現金は戻ってこない。化学品・樹脂向けは顧客の工場の生産に左右され、回復の見込みは薄い。

東京工場の建て替えに約78億円を投じる。償却費が積み上がり、新たな利益に結び付く保証はない。

厚い財務は、割安の根拠にならない。使われない資産は、株主の取り分としては割り引くべきだ。大株主が安定株主で、買収の圧力も弱いので、経営が資本の効率を高める動機も小さい。人口が減る国内では、数量の減少を取り戻す手立ても限られる。

どちらに重みを置いたか

事業の安定と財務の厚さは確かで、強気の見方は中立の確率に取り込んだ。一方、数量の構造的な縮小と、資本の効率の低さ、現金が戻らない点という慎重な見方の根拠も、構造的に残る。そのため中立を最も厚く置き、悲観側は3割強とした。現金の戻り方は半分に割り引いた。中立の価値には、事業の稼ぐ力に加え、使われていない現金と持ち合い株の価値を、割り引いて足した。数量の縮小が速まる場合に備え、悲観側の確率を3割強に置く。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 5,016 円220 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 887 円39 億円)。 今の値に割り戻すと 2,927 円129 億円、今との差 −5.7%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 8.0%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 6,841 円300 億円 1,253 円55 億円 +160.7% +10.1% 647 円28 億円
やや楽観 22% 6,102 円268 億円 1,093 円48 億円 +131.7% +8.8% 1,583 円69 億円
中立 38% 5,722 円251 億円 911 円40 億円 +113.6% +7.9% 2,521 円111 億円
やや悲観 24% 3,307 円145 億円 683 円30 億円 +28.5% +2.5% 958 円42 億円
悲観 8% 1,970 円87 億円 456 円20 億円 −21.9% −2.4% 194 円9 億円
加重平均100% 5,016 円220 億円887 円39 億円 +90.1% +6.6% 5,903 円259 億円

今の株価時価総額 3,105 円136 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 8% 窒素充填など付加価値が数量の減少を補う 利益 20 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 6,841 円300 億円

窒素充填包装と食品向けの提案が育ち、重包装袋の数量は今の98%と、ほぼ横ばいを保つ。値上げが物価を上回って通り、紙袋の営業利益率は8.5%と過去の最良を超える。フィルムとコンテナも数量が少し増える。東京工場の建て替えで生産が効率化されるが、新しい建物の償却は今の建築費で積み上がるため、償却増として年2億円を別に引く。現金は戻され、配当が利益の4割近くに増える。借入に頼らず投資を続けられる点が、財務の厚さの利点として生きる。ただし、この姿が10年続く保証はなく、筆者は楽観の上限として扱う。国内需要の縮小という向かい風を、新しい提案だけで打ち消すのは難しい。それでも、借金が無い強みが、投資の自由度と配当の余力を生む。

  • 重包装袋(クラフト紙袋):数量 3.8(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 55(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 211 億円・営業利益 18 億円。数量0.98倍×単価(物価込み)1.04倍・営業利益率8.5%
  • フィルム製品:数量 2.1(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 30(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 63 億円・営業利益 4 億円。数量1.05倍・営業利益率6.5%
  • フレキシブルコンテナ・その他:数量 78.8(年間の出荷量(万枚相当・推定))× 価格 0.70(1万枚あたりの売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 5 億円。数量1.05倍・営業利益率9.0%

倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 300 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:紙袋の数量が横ばいに近く保たれ、原料高も売値に乗る必要がある。国内の出荷が毎年1%台で減る現状から、数量が実質ほぼ横ばいで10年続く確率は低い。

やや楽観 22% 数量の減少は緩やかで、値上げが通る 利益 17 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 6,102 円268 億円

重包装袋の数量は今の93%まで緩やかに減るが、値上げが物価をやや上回って通り、紙袋の営業利益率は7.8%に上がる。フィルムは数量を保ち、利益率は5.8%。コンテナは横ばい。東京工場の建て替えで償却が年2億円増える。配当は利益の3割台に増え、現金は少しずつ株主に戻る。営業キャッシュフローが建て替えを賄い、現金は減らない。窒素充填の包装など、付加価値の高い製品が少しずつ増え、値上げの通りやすさを支える。ただし成長の源は乏しく、純利益は今の1.3倍にとどまる。自己資本利益率は資本コストに届かないままだ。

  • 重包装袋(クラフト紙袋):数量 3.6(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 54(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 196 億円・営業利益 15 億円。数量0.93倍×単価(物価込み)1.02倍・営業利益率7.8%
  • フィルム製品:数量 2.0(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 29(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 3 億円。数量1.0倍・営業利益率5.8%
  • フレキシブルコンテナ・その他:数量 75.0(年間の出荷量(万枚相当・推定))× 価格 0.68(1万枚あたりの売上(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。数量1.0倍・営業利益率8.5%

倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 264 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:納入先の充填ラインに合わせた袋を長く抱える性質と、2026年の値上げが通った実績から、数量の減少が緩やかにとどまる筋書きは十分あり得る。強気と慎重のどちらから見ても妥当な範囲だ。

中立 38% 数量は実質1割細り、価格は物価並み 利益 14 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 5,722 円251 億円

国内の紙袋の出荷が年1%台で減り、重包装袋の数量は10年で今の88%になる。価格は物価並みの1.34倍で、原料高と同じ速さで上がるため、紙袋の営業利益率は7.2%と今の7.0%付近にとどまる。フィルムは数量が95%、利益率5.2%。コンテナも95%。東京工場の建て替えが完成し、新しい建物の償却を今の建築費で積むため、年2億円の償却増を別に引く。既存の設備の償却は取得時のままとして据え置く。配当は利益の2〜3割で、現金は少しずつ積み上がる。営業利益は18億円ほど、純利益は15億円ほどで、今より3割近く多い。

  • 重包装袋(クラフト紙袋):数量 3.4(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 53(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 182 億円・営業利益 13 億円。数量0.88倍×単価(物価込み)1.0倍・営業利益率7.2%
  • フィルム製品:数量 1.9(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 29(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 56 億円・営業利益 3 億円。数量0.95倍・営業利益率5.2%
  • フレキシブルコンテナ・その他:数量 71.3(年間の出荷量(万枚相当・推定))× 価格 0.67(1万枚あたりの売上(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 4 億円。数量0.95倍・営業利益率8.0%

倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 234 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:強気の見方(値上げの実績と財務の厚さ)と慎重な見方(数量の構造的な縮小)の落としどころ。業界の出荷が年1%台で減る足元の動きを、10年にそのまま延ばした。

やや悲観 24% 数量の縮小が速まり、利益率が削られる 利益 9 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 3,307 円145 億円

重包装袋の数量は今の8割に細り、値上げは物価に届かず、紙袋の営業利益率は5%に下がる。フィルムも樹脂高で3.5%まで落ちる。東京工場の建て替えは実行され、償却が年2億円増える。配当は縮まず、利益の3割程度を保つ。現金の積み上がりは鈍る。営業利益は10億円ほどにとどまり、純利益は9億円台に減る。倒れはしないが、事業は縮みながら資産を食う形だ。工場の統合や人員の見直しが必要になるが、借金が無いので耐えられる。顧客が化学品・樹脂向けの袋を大型の運搬袋に切り替え、工場の稼働が下がる。固定費を値上げで賄えず、利益率が削られる。

  • 重包装袋(クラフト紙袋):数量 3.1(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 51(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 161 億円・営業利益 8 億円。数量0.8倍×単価(物価込み)0.97倍・営業利益率5%
  • フィルム製品:数量 1.8(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 28(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 2 億円。数量0.88倍・営業利益率3.5%
  • フレキシブルコンテナ・その他:数量 67.5(年間の出荷量(万枚相当・推定))× 価格 0.65(1万枚あたりの売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。数量0.9倍・営業利益率5%

倍率:ROE が資本コストを下回り、PER は 1/k を超えない。稼ぐ力が弱く、堀も深くないため、上限の約7割、9.0 倍に置いた。余った現金は谷で使うとみて 0.75 倍で数える。

確率:化学品・樹脂向けの袋が、フレキシブルコンテナやバルク輸送に置き換わるのは現実に進んでいる。原料高を売値に乗せきれない期が続く筋書きは、十分あり得る。

悲観 8% 紙袋が構造的に置き換わり、事業が赤字に近づく 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,970 円87 億円

重包装袋の数量は今の68%まで細り、値下げ圧力で営業利益率は2.5%に落ちる。フィルムは損益ぎりぎり、コンテナは2%。東京工場の建て替えは実行され、償却が年2億円増える。事業の稼ぐ力は失われ、配当は縮む。設備の稼働率が下がり、一部の評価損で自己資本が約10億円減る。それでも借金が無く、現金と持ち合い株が残るため、株主の取り分は資産の価値で決まる。買い手が付かなければ、東京工場の建て替えの投資が回収できず、損失になる可能性もある。工場の稼働が落ち、人員と設備の整理に費用がかかる一方、現金と持ち合い株は残り、時価総額の下支えになる。配当を維持できるかが焦点になる。

  • 重包装袋(クラフト紙袋):数量 2.7(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 49(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 130 億円・営業利益 3 億円。数量0.68倍×単価(物価込み)0.92倍・営業利益率2.5%
  • フィルム製品:数量 1.5(年間の出荷量(万トン・推定))× 価格 27(1万トンあたりの売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍・営業利益率0.5%
  • フレキシブルコンテナ・その他:数量 60.0(年間の出荷量(万枚相当・推定))× 価格 0.62(1万枚あたりの売上(億円))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。数量0.8倍・営業利益率2%

倍率:稼ぐ力は小さく、売れる資産の税後が床になる。今の自己資本267億円に PBR 0.324 倍を掛けた(約86億円)。床の資産約105億円の7割ほどしか株主に届かないとみた。事業の整理費用と、持ち合い株の売却が進まないことを織り込む。やや悲観より低い。

確率:過去20年の最悪の期は営業利益率が2%程度で、赤字にはならなかった。構造的な置き換わりが進み、赤字に近づく筋書きは、確率を低く置くが、無視はしない。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

重包装袋(クラフト紙袋)

セメント・化学品・飼料・米などを詰める多層の重い紙袋。全社売上の約65%。

数量年間の出荷量(万トン・推定)価格1万トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2026/03 3.9 40 154 11
10 年後 中立 3.4 53 182 13

取り方:売上154.31億円(前期比0.9%増)を、数量の開示が無いため推定の出荷量3.9万トンで割った(単価は1キロあたり約四百円相当)。数量は業界で1.4%減、当社は1.7%減。利益は営業利益16.3億円を事業別に割り振った推定で約7%。

フィルム製品

食品・産業向けのポリエチレンの包装フィルムと袋。全社売上の約19%。

数量年間の出荷量(万トン・推定)価格1万トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2026/03 2.0 22 44 2
10 年後 中立 1.9 29 56 3

取り方:売上43.8億円(前期比2.4%増)を、推定の出荷量2.0万トンで割った(1キロあたり約二百二十円相当)。樹脂価格に左右される。利益は推定で約5.5%。

フレキシブルコンテナ・その他

1トン前後を運ぶ大型袋と、その他の事業。内訳は未確認。

数量年間の出荷量(万枚相当・推定)価格1万枚あたりの売上(億円)売上営業利益
今 2026/03 75.0 0.50 38 3
10 年後 中立 71.3 0.67 48 4

取り方:全体の売上236億円から重包装袋とフィルムを引いた約38億円(コンテナは売上の約8%、約19億円で、その他の内訳は未確認)。数量は推定。利益は推定で約8%。

リスクと懸念

紙袋の構造的な縮小

国内のクラフト紙袋の出荷は年1%台で減る。化学品・樹脂向けは、フレキシブルコンテナやバルク輸送に置き換わりやすい。

原料高の転嫁の遅れ

クラフト紙と樹脂の価格が上がると、売値に乗せるのが遅れて利益率が削られる。過去の最悪期は営業利益率が2%程度まで落ちた。

東京工場の建て替え

約78億円を2031年まで投じる。新しい建物の償却が今の建築費で積み上がり、利益を押し下げる。実行段階で費用や時期が変わる可能性もある。

現金が戻らない

配当は純利益の2割に届かず、自社株買いも確認できない。純現金70億円と持ち合い株70億円が株主に届く保証は薄い。

持ち合い株の変動

上場35銘柄を約70億円持つ。株価が下がると自己資本が減り、評価損が出る。

タイ子会社と為替

タイの子会社の換算が為替で動く。規模は小さいが、利益の振れ要因になる。

今後の分かれ目

重包装袋の数量の減少が1%を超えて2期続いたら
やや悲観・悲観の確率を上げる。置き換わりが進んだ証拠だ。
営業利益率が2期続けて7%を超えたら
やや楽観に重みを移す。値上げが原料高を上回っている証拠だ。
自社株買いや持ち合い株の売却と還元の方針が示されたら
現金の戻り方を0.5から0.75以上へ見直す。
サンエー化研などが公開買付けや非上場化を示したら
価格と条件が焦点になる。現金と持ち合い株の価値が反映されているかで評価する。
東京工場の建て替えの費用や工期が変わったら
償却増と現金の使い方を見直す。

見ておくもの

  • 重包装袋の数量と業界の出荷量
  • 営業利益率と原料(クラフト紙・樹脂)の動き
  • 配当性向と自社株買い
  • 持ち合い株の売却と時価
  • 東京工場の建て替えの進み方

倍率と資本コストの決め方

数量と価格をセグメントごとに積み、数量は国内の縮小を実質で、価格は物価の1.34倍を基本に置いた。費用は、既存の設備の償却を取得時のまま据え置き、東京工場の新しい建物の償却だけ今の建築費で別に引いた。倍率は正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限(k 8.0%、g 4%)の7〜9割を置き、今の株価や過去のPBRは根拠にしていない。余った現金は事業から分け、戻り方0.5を掛けて足した。持ち合い株の含み益は自己資本に入っているため、価値に二重に足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→12.5 倍・やや楽観 PER 11.6→12.5 倍・中立 PER 11→12.5 倍・悲観 PBR 0.28→0.324 倍)。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

同じ業種(パルプ・紙)の AI 分析

割安 スーパーバッグ3945 店の紙袋と通販の宅配袋を作る老舗。利益は薄いが、値段は稼ぐ力に比べて安く、割安 本質価値との差 +113.8% · 10 年 割安(年 +16.3%) 適正 トーモク3946 原紙を買って箱にする独立系の段ボール加工大手。値上げで稼ぐ力は戻ったが、資本コストを安定して超える日はまだ先だ 本質価値との差 +3.5% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 ダイナパック3947 値上げと海外買収で利益は一段上がったが、稼ぐ力が資本コストに届かない。厚い含み益の株が下支えする 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 大村紙業3953 段ボール箱の小さな専業。借入ゼロで現金は時価総額の7割に迫るが、稼ぐ力は薄く、筆者はやや割高と見る 本質価値との差 −3.7% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 ザ・パック3950 紙袋と紙箱の直販メーカー。借金のない堅実な会社だが、資本コストをわずかに下回る稼ぎが天井 本質価値との差 −7.0% · 10 年 適正(年 +5.4%) 適正 岡山製紙3892 王子グループの一角で中芯原紙を作る堅実な小工場。現金は厚いが株主に戻る道が細く、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 −8.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) やや割高 朝日印刷3951 医薬品・化粧品の包装で首位の堅い事業だが、利益率は 3.6% まで落ちた。10 年の中立は利益が少し戻る程度で、今の値段には届かない割高と出る 本質価値との差 −11.7% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 古林紙工3944 花王・味の素の箱を作る堅い下請けだが、本業の利益率は薄く、資産の多くは売らない株にある 本質価値との差 −17.3% · 10 年 やや割高(年 +5.7%) やや割高 レンゴー3941 国内段ボールの最大手。事業は堅いが、重い借金と海外の不振で、資本コストを超える稼ぎには届きにくい 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ハビックス3895 紙おむつの素材から製品の受託へ踏み出すが、借りて建てた工場が稼ぐ力を薄めかねない 本質価値との差 −17.7% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 日本製紙3863 洋紙の縮小を生活関連と木材で埋められるかが勝負。借金の重さと事故・震災を考えると、今の値段は回復の筋書きを先取りしている 本質価値との差 −17.9% · 10 年 やや割高(年 +6.5%) やや割高 中越パルプ工業3877 富山と鹿児島に工場を持つ中堅の製紙会社。紙の縮小を家庭紙と包装用紙で埋める途上で、稼ぐ力は薄く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −19.1% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大石産業3943 パルプモウルドで底堅く稼ぐが、大型投資と費用増で利益は縮んでいる。厚い現金は安全域だが、事業の稼ぎは薄い 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 笹徳印刷3958 王子系と組む愛知の紙器・印刷会社。本業の利益は薄く、稼ぎの多くは持ち合いの株の配当が支える 本質価値との差 −21.8% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大王製紙3880 家庭用品の足場は固いが、借金の重さで稼ぎが資本コストに届かない。今の値段には安全域がない 本質価値との差 −23.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 王子ホールディングス3861 森と段ボールと政策保有株を抱える巨艦。資本コストを超えて稼ぐ日が来るまで値段は重い 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 光ビジネスフォーム3948 自治体の通知物を一貫で請け負う堅い仕事だが、紙は細り ROE は資本コストに届かない。厚い現金を差し引いても割高と出る 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.7%) 割高 イムラ3955 封筒の大手。郵便の減少に包材で抗うが、新工場の償却が重く、資本の稼ぎは資本コストに届かない 本質価値との差 −30.4% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 北越コーポレーション3865 洋紙の縮みを輸出と白板紙でどこまで埋められるか。財務は堅いが、稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は高い 本質価値との差 −32.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 特種東海製紙3708 特殊紙・段ボール原紙・リサイクルの 3 本柱は堅実だが、伸びは緩い。稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 阿波製紙3896 RO 膜の支持体は良いニッチだが、借金と少数株主への流出で株主の取り分は細い。値段は割高 本質価値との差 −36.4% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 ニッポン高度紙工業3891 コンデンサ用セパレータで世界首位級の隠れた優良企業。ただ利益は AI 需要の山にあり、10 年で見ると今の値段は先取りしすぎている 本質価値との差 −36.9% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 三菱製紙3864 機能性材料は伸びるが、洋紙の縮みと重い投資、利息の上昇が稼ぎを食う。今の値段は回復をかなり織り込んでいる 本質価値との差 −57.2% · 10 年 割高(年 −0.8%)

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読んだ資料

  1. 昭和パックス 2026年3月期 決算短信
  2. 昭和パックス 2027年3月期 第1四半期 決算短信
  3. 昭和パックス 有価証券報告書テキスト(FY2026)

分析日 2026-10-20