株譜
AI 銘柄分析 · パルプ・紙 · 試作

ザ・パック 3950

紙袋と紙箱の直販メーカー。借金のない堅実な会社だが、資本コストをわずかに下回る稼ぎが天井

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,388 円752 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,492 円809 億円差 −7.0%
10 年後から見ると 適正 価値 1,388 円752 億円 · 差 −7.0% · 期待の年率 +5.4%
期待の年率リターン(10 年)+5.4%資本コスト比 −1.9 pt
推定の資本コスト7.2%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.2% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ザ・パックは、百貨店や専門店の紙袋で国内最大手とされる大阪の包装メーカーだ。紙袋、ギフトや食品の紙箱、EC向けの段ボール、ポリ袋を、問屋を通さず得意先へ直接売る。筆者の結論は「やや割高」である。事業は堅いが、稼ぐ力が資本コストにほんの少し届かない。そのため高い倍率は付けられない。

堅さは本物だ。純現金は約230億円で、時価総額の3割にあたる。自己資本比率は74%、直近12年に赤字の年はない。紙袋は、プラスチックから紙への切り替えという追い風も受ける。ただ、10年で見ると国内の人口は減り、百貨店の売り場も細る。数量はほぼ横ばいで、物価の分だけ売上が伸びる姿が筆者の中立だ。

気になるのは利益率である。2025年は売上が3.6%伸びたのに、紙加工品の営業利益は8%減った。紙や人件費の値上がりを、値上げで取り切れていない。会社は2030年に営業利益100億円を掲げるが、過去の最高益は80億円だ。

余った現金は、新しい中期計画が総還元性向を70%まで引き上げる方針で、株主に戻る見込みが立つ。それでも10年の加重平均は今の時価総額を下回る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点で、この会社の魅力は「負けにくさ」だ。借金がなく、現金が厚く、直近12年に赤字がない。紙袋・紙箱は、人が物を買い、贈り、持ち帰る限り需要が消えない。持ち続けて不安の少ない会社である。

ただ、持ち続けて大きく報われるかは別だ。堀が広くない。稼いだ利益のうち、設備の更新や人件費の上昇に取られる分が多く、株主が自由に使える利益は純利益より小さい。資本コストにわずかに届かない稼ぎでは、利益を溜めるほど価値は薄まる。だから倍率は高く置けない。

経営の姿勢には変化の兆しがある。自己資本比率を下げ、還元を厚くする方針は、バリュー投資家が歓迎する内容だ。実行が伴えば評価は上がる。

安全域の面では、現金と堅い事業で下値は固い。今の値段が筆者の見立てより高いのは、10年かけて利益が緩やかに伸びる姿を、すでに織り込んでいる面が大きいと筆者は見る。

何で稼ぐ会社か

稼ぎの中心は紙加工品事業で、売上の約7割を占める。紙袋、印刷した紙箱、段ボールを作る。紙袋では百貨店・アパレル・専門店の手提げ袋が古くからの得意分野だ。近ごろは食品、EC、ドラッグストアなど流通小売へ広がっている。

強みは「直販」だ。問屋を挟まず、得意先の売り場や物流の悩みを直接聞く。袋と箱と段ボールを一緒に提案できるので、得意先は発注先を一つにまとめやすい。会社はこれを複合販売と呼び、成長の柱に据える。

化成品事業はポリ袋やフィルム包装で、売上の約13%。紙加工品より利益率は低い。会社はフィルム分野の買収を狙っているが、前の3年間に実行した買収は4億円の1件だけだった。

その他事業は、得意先の包装まわりの仕入れ販売や印刷などだ。得意先が自分で探す手間を省く役回りで、利益率は紙加工品に近い。売上の動きは得意先の需要に連動する。国内が中心で、海外の販売は約74億円と全体の7%にとどまり、新計画では90億円を目指す。

2026年の通期予想は売上1,060億円、営業利益75億円。上期は全部門が増収増益で、EC・輸送梱包向けが伸びた。一方、本社部門の費用が毎年14億円ほどかかる。

優良さと弱いところ

堀は広くない。同じ紙袋・紙箱でも、素材の紙を作る大手に比べ、値段を決める力は弱い。得意先は百貨店や大手小売で、買い手が強い。原材料が上がると、値上げの交渉に半年から1年かかる。2025年の利益率の低下はこの遅れの表れだと筆者は見る。

それでも質の面で評価できる点は多い。国内最大手という規模があり、紙袋は図柄や印刷の手間が多く、少量多品種の注文をこなせる工場網が強みだ。直販なので、得意先の事情が早く入る。2020年のコロナ禍で営業利益率が4%まで落ちたが、赤字にはならなかった。

資本の使い方は保守的すぎる面がある。自己資本利益率は10年の中央値で8%、資本コストにあと一歩届かない。借金がなく、現金を厚く持ちすぎるためだ。経営は、この点を自覚している。新計画は自己資本比率を74%から60〜65%へ下げる方針を明記し、自社株買いと配当を厚くする。

取引先との持ち合いも残る。大株主は公益財団法人の11%、取引先持株会の7%。政策保有株は売却を進めるが、取引先の株が中心で、動きは慎重だ。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

紙袋・紙箱・段ボールは、小売と食品と物流の動きにそのままつながる。需要の中身は人口と消費だ。人口は減るが、1人あたりの包装の量は、EC、冷蔵・生鮮の宅配、持ち帰りの食品で増えている。国内の段ボール原紙の内需は、軽量化で2026年に前年比0.8%減とやや減る見通しだ。数量は全体でほぼ横ばいと筆者は置く。

追い風は紙化だ。レジ袋の有料化以降、スーパーや食品店はプラスチックから紙へ切り替えている。リサイクルしやすい紙製品やFSC認証品(適切に管理された森の紙)を求める声が強まり、ザ・パックもFSC商品を売上の半分にする目標を立てた。

逆風は、百貨店の売り場の縮小と、人手不足による賃金の上昇だ。包装は労働集約の仕事で、工場の人件費が重い。紙の値上がりも、2026年に印刷用紙や家庭用紙で相次いだ値上げの流れの中で続く。

競合は、段ボールでは王子ホールディングスやレンゴーなどの大手、紙袋や紙箱では中堅の専業が多数だ。市場は細かく分かれており、シェアが高くても値段で優位に立ちにくい。業界全体の再編は、まだ途上にある。

資本政策と M&A

還元は強める方向だ。新しい中期計画(2026〜2030年度)は、配当性向40%で減らさない配当を基本に、5年で100億円の自社株買いを置く。2025年に54%だった総還元性向は、70%を目指す。

借金は使わない会社だったが、5年で約130億円のデットを活用する。投資は350億円で、中心は老朽化した奈良工場の建て替えだ。買収の予算は前計画並みに残るが、実績は少ない。自己資本比率は60〜65%へ下がる計画である。

政策保有株は、保有の意味が薄ければ持たない方針で、2025年度も売却で35億円の収入があった。大株主は公益財団法人が11%、取引先持株会が7%で、支配株主はいない。買収される側になる確率は、kabufuの推計で10年以内17%とされる。

筆者が見るべき点は二つ。奈良工場の投資が資本コストを超えて回るか。そして、還元の約束が守られるか。2019年には自己株式の公開買付けを実施した実績があり、還元に前向きな会社だとは言える。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

事業の追い風は小さくない。レジ袋の有料化以降、食品店や小売は紙袋へ切り替えており、国内最大手のザ・パックが最も恩恵を受ける。直販で袋・箱・段ボールをまとめて提案できるため、得意先が増えるほど一社あたりの取引も増える。新計画の複合販売はその仕組みを広げる狙いだ。

財務は強い。純現金は時価総額の3割あり、5年間の営業キャッシュフロー約440億円で、投資350億円と還元220億円をまかなえる。総還元性向は54%から70%へ上がり、自社株買いも毎年続く。借金を少し使い、自己資本比率を60%台へ下げれば、自己資本利益率は8%から10%に近づく。

2025年の減益は、材料と人件費の上昇を転嫁する遅れが原因で、一時的だ。2026年の上期は全部門が増収増益に戻った。会社の2030年の目標、営業利益100億円(利益率8.3%)は、2017年の8.1%や2024年の7.9%と同じ水準で、無理な数字ではない。奈良工場が新しくなれば、生産の手間も減る。フィルム分野の買収が当たれば、さらに上振れる。

慎重な見方

稼ぐ力は資本コストにぎりぎりだ。自己資本利益率は10年の中央値で8%だが、最近は7%台で、予想は2026年に6.9%まで下がる。純利益の2025年の60億円には政策保有株の売却益が入っており、本業の稼ぎはもっと小さい。2025年は売上が伸びたのに紙加工品の利益は8%減った。値上げが利益に届かない構造だ。

需要の下地も弱い。人口は減り、百貨店の売り場は細る。紙袋の紙化という追い風も、いったん切り替えが済めば終わる。残るのは、人件費と原材料が毎年上がる中で、買い手の強い得意先と価格を交渉する日々だ。堀が広くないので、競合が値段を下げれば追随せざるを得ない。

会社は買収に積極的と言うが、前の3年に実行したのは4億円1件だけだ。奈良工場の建て替えに加え、350億円の成長投資を回収できる保証もない。自己資本比率を下げる計画は、稼ぎが資本コストを下回る会社にとっては、借金のリスクを増やすだけになりかねない。現金の厚みは、株価の下値を支えるが、上値を押し上げる力にはならない。

どちらに重みを置いたか

事業の堅さと財務の強さは、強気の主張に分がある。一方、稼ぎが資本コストに届かない点と、材料・人件費を転嫁する力の弱さは、慎重な主張が突いている。両者の言い分を合わせると、最も起こりやすいのは「数量は横ばい、利益率は今の7%前後を保つ」姿だと見る。確率は中立に3割台半ばを置き、楽観とやや楽観に合わせて3割半ばを割いた。やや悲観と悲観は合わせて3割とした。現金の分と還元の拡大を考えても、10年の加重平均は今の時価総額に届かない。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 1,847 円1,001 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 667 円362 億円)。 今の値に割り戻すと 1,388 円752 億円、今との差 −7.0%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 7.2%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 2,991 円1,621 億円 941 円510 億円 +163.5% +10.2% 393 円213 億円
やや楽観 25% 2,347 円1,273 億円 802 円435 億円 +111.1% +7.8% 787 円427 億円
中立 35% 2,068 円1,121 億円 738 円400 億円 +88.1% +6.5% 982 円532 億円
やや悲観 20% 864 円468 億円 461 円250 億円 −11.2% −1.2% 265 円144 億円
悲観 10% 646 円350 億円 221 円120 億円 −41.8% −5.3% 87 円47 億円
加重平均100% 1,847 円1,001 億円667 円362 億円 +68.5% +5.4% 2,515 円1,363 億円

今の株価時価総額 1,492 円809 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。

楽観 10% 紙化と複合販売が実り、直販の強みが利益に出る 利益 94 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 2,991 円1,621 億円

レジ袋から紙袋への切り替えが食品・小売で定着し、国内最大手のザ・パックが顧客を増やす。袋・箱・段ボールを一社に束ねる複合販売が広がり、得意先1社あたりの取引額が伸びる。EC向けの段ボールと食品の一次容器(食品に直接触れる紙の容器)も伸びる。フィルム分野では、条件に合う買収が決まり、利益の柱の一つに育つ。

奈良工場が新しくなり、人手のかかる工程が自動化されて、人件費の上昇を吸収する。値上げも転嫁の遅れが縮まり、営業利益率は8%台に乗って、会社の2030年の目標に重なる。還元は総還元性向70%の水準を保ち、自己資本比率は60%台に下がるが、自己資本利益率は9%台まで上がる。

  • 紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール):数量 31,360(国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア))× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 1,137 億円・営業利益 114 億円。紙化と複合販売で数量が伸び、転嫁も通る
  • 化成品(ポリ袋・フィルム包装):数量 4,400(国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 196 億円・営業利益 15 億円。フィルム分野の買収が効く
  • その他(仕入商材・印刷・物流など):数量 5,000(関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 188 億円・営業利益 17 億円。得意先の購買の請負が横ばい

倍率:事業の純利益 93 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)100 億円。全体の PER 16.43 倍、時価総額 1,621 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:紙化の追い風、複合販売の広がり、フィルム分野の買収の成功、奈良工場の生産性向上が同時に揃う必要があり、実現すれば強いが、連続成功の確度は高くない。2025年の転嫁の遅れという実績を見て、1割に抑えた。

やや楽観 25% 転嫁が安定し、利益率が8%台後半で定着する 利益 79 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 2,347 円1,273 億円

紙袋の紙化と食品・EC向けの需要で、紙加工品の数量は10年で数%伸びる。転嫁の遅れは縮まり、紙加工品の利益率は9%台前半に戻る。化成品は横ばいで、その他は微減する。奈良工場の更新は予定どおり進み、人件費の上昇を吸収する。

買収はあっても小さく、会社の資本効率の改善は主に還元の強化で進む。自己株買いは年20億円規模で続き、総還元性向は70%近くで推移する。営業利益は100億円を少し超え、会社の目標に近い姿だが、物価の分が名目の売上を押し上げた結果であり、数量の伸びは小さい。自己資本利益率は8%台に乗り、資本コストをわずかに超える。奈良工場の投資は無難に回収できるが、それ以上の上振れは見ない。

  • 紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール):数量 29,680(国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア))× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 1,076 億円・営業利益 99 億円。転嫁が安定し、利益率が9%台前半に戻る
  • 化成品(ポリ袋・フィルム包装):数量 4,000(国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 179 億円・営業利益 12 億円。横ばい
  • その他(仕入商材・印刷・物流など):数量 4,900(関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 185 億円・営業利益 16 億円。微減

倍率:事業の純利益 78 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)100 億円。全体の PER 15.11 倍、時価総額 1,272 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:会社の中計に近い姿で、2024年までの利益率の水準に戻る想定。紙化と食品・EC向けの伸びは続く一方、買収の上振れは見ない。実績のある範囲の改善なので、中立より少し低い確率とした。

中立 35% 数量は横ばい、利益率は今の7%前後で推移する 利益 72 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 2,068 円1,121 億円

国内の袋・箱・段ボールの数量は、人口減と軽量化で細る分を、紙化・EC・食品の需要が補い、ほぼ横ばいで推移する。紙加工品はわずかに増え、化成品とその他は微減する。値段は物価並みに上がるが、人件費と紙の値上がりを全部は転嫁できず、紙加工品の利益率は8%台後半にとどまる。

奈良工場の建て替えは完成するが、効率化の効果は人件費の上昇で薄まる。買収は小さなものにとどまり、会社の目標の営業利益100億円は10年かけてようやく届く。還元は総還元性向6割台で、自己資本比率は60%台後半まで下がる。自己資本利益率は7%台で、現金を厚く抱えるぶん資本コストにわずかに届かない10年になる。

  • 紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール):数量 28,560(国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア))× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 1,035 億円・営業利益 90 億円。数量ほぼ横ばい、利益率は8%台後半
  • 化成品(ポリ袋・フィルム包装):数量 3,880(国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 173 億円・営業利益 11 億円。微減
  • その他(仕入商材・印刷・物流など):数量 4,850(関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 183 億円・営業利益 16 億円。微減

倍率:事業の純利益 71 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)100 億円。全体の PER 14.46 倍、時価総額 1,121 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2人の言い分を合わせた最も起こりやすい姿。国内需要が人口減で細る一方、紙化・EC・食品が支え、物価の分だけ売上が伸びる。転嫁の遅れは残るので、利益率は今の7%前後。確率の重心を置いた。

やや悲観 20% 構造的に負ける:百貨店が縮み、値決めが効かなくなる 利益 40 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 864 円468 億円

百貨店・専門店向けの紙袋が細り、食品・EC向けの新しい販路は利益率が低く、置き換えが追いつかない。紙化の切り替えが済むと、競合が値段で攻めてくる。人件費と紙の値上がりを転嫁できず、物価並みの値上げは通らない。

奈良工場の建て替えと設備投資の負担は重く、自己資本比率も下がる一方、稼ぎは増えない。フィルム分野では、割高な買収で利益が出ず、のれんの償却だけが残る。営業利益率は4%台まで下がり、会社が掲げる自己資本利益率8%は遠のく。還元は配当を守る程度に縮み、自社株買いは止まる。優良とはいえない、平凡な会社になる10年だ。

  • 紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール):数量 25,200(国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア))× 価格 1.30(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 886 億円・営業利益 58 億円。百貨店が縮み、値上げが通らない
  • 化成品(ポリ袋・フィルム包装):数量 3,400(国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.25(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 142 億円・営業利益 6 億円。価格競争で収益が下がる
  • その他(仕入商材・印刷・物流など):数量 4,500(関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.30(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 164 億円・営業利益 10 億円。得意先の需要の減少に連動

倍率:事業の ROE 4.1% は資本コスト 7.25% を大きく下回る。残る割合 1/2 で RONIC は 5.9%、g 4% で PER は (1−4%÷5.9%)÷(7.75%−4%)=約 8.6 倍まで。稼ぐ力そのもの(純利益 39 億円)で測り、8.5 倍に置いた。余った現金は谷で使うとみて 0.75 倍の 75 億円を足した。

確率:百貨店・専門店向けの紙袋が細り、紙化の切り替えが済んだ後は価格競争になる、という下振れ。2025年の転嫁の遅れが構造に変わる形で、確率は2割とした。

悲観 10% 不況と競争が重なり、紙袋事業が立ち行かなくなる 利益 −5 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 646 円350 億円

景気の後退で小売と外食の発注が減り、百貨店向けの紙袋は急速にしぼむ。紙化の恩恵は、安い輸入品や大手メーカーとの価格競争で利益に残らない。人件費と紙の値上がりは転嫁できず、営業利益は赤字になる。

奈良工場の建て替えは負担になり、余った現金は赤字の穴埋めと工場の減損の処理で減っていく。買収は失敗して減損を出し、自社株買いは止まり、配当は大きく切り詰める。この間の配当は、これまで溜めた手元資金と、政策保有株や遊休地の売却から払う。優良会社としての評価は失われ、資産の価値で測られる会社になる。国内の最大手という看板も、価格競争の前では利益を守る盾にならない。得意先は安い仕入先へ分散し、直販の強みだった提案力は、値引きの材料にしかならなくなる。

  • 紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール):数量 21,000(国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア))× 価格 1.25(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 710 億円・営業利益 11 億円。不況と価格競争で赤字化
  • 化成品(ポリ袋・フィルム包装):数量 2,800(国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.20(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 112 億円・営業利益 −1 億円。赤字に転落
  • その他(仕入商材・印刷・物流など):数量 4,000(関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める)× 価格 1.25(値段の指数(今を 1.0))→ 売上 140 億円・営業利益 3 億円。需要減で利益がほぼ消える

倍率:赤字に近く、稼ぐ力は 0 とみる。株主に残るのは、売れる資産の税後。床は今の自己資本 770 億円に 0.455 倍を掛けた 350 億円で、稼ぐ力(純利益 ÷ k)より売れる資産のほうが大きい。減損で自己資本は 600 億円まで減る。

確率:世界不況に加え、百貨店・小売の縮小と価格競争が重なる。10年という期間の長さを考えると頻度は低いが無視できない。事業の構造が崩れる筋書きなので、1割とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

紙加工品(紙袋・印刷紙器・段ボール)

紙袋・ギフトや食品の紙箱・EC向けの段ボールを、直販のメーカーとして作って売る。全社売上の約 73%。

数量国内市場の実質規模(億円・今の値段)。筋書きではシェアの増減も数量に含める(売上=数量×値段の指数×今のシェア)価格値段の指数(今を 1.0)売上営業利益
今 2025/12 28,000 1.00 758 66
10 年後 中立 28,560 1.34 1,035 90

取り方:紙袋(国内約 1,500 億円・シェア 2 割強)・紙器(約 6,500 億円・同 4%)・段ボール(約 2 兆円・同 0.7%)を足した市場約 2.8 兆円で、シェアは全体で約 2.7%(rev_factor)。市場規模とシェアは筆者の推定(開示なし)。売上 757.5 億円・営業利益 65.7 億円は有報どおり。

化成品(ポリ袋・フィルム包装)

ポリ袋やテーラーバッグなどのフィルム包装。全社売上の約 13%。

数量国内ポリ袋・フィルム包装の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める価格値段の指数(今を 1.0)売上営業利益
今 2025/12 4,000 1.00 133 8
10 年後 中立 3,880 1.34 173 11

取り方:市場約 4,000 億円・シェア約 3.3% は筆者の推定(開示なし)。売上 133.3 億円・営業利益 8.3 億円は有報どおり。新中計はフィルム分野の M&A を重視する。

その他(仕入商材・印刷・物流など)

報告セグメントに入らない仕入れ販売や印刷など。全社売上の約 14%。

数量関連市場の実質規模(億円)。シェアの増減も数量に含める価格値段の指数(今を 1.0)売上営業利益
今 2025/12 5,000 1.00 141 12
10 年後 中立 4,850 1.34 183 16

取り方:関連市場約 5,000 億円・シェア約 2.8% は筆者の推定(開示なし)。売上 140.5 億円・営業利益 12.0 億円は有報どおり。得意先の包装まわりの購買を請け負う性格で、数量は得意先の需要に連動すると置く。

リスクと懸念

材料・人件費の転嫁の遅れ

紙・インク・包材・人件費が上がっても、得意先への値上げは半年から1年遅れる。2025年は売上が3.6%伸びたのに、紙加工品の営業利益は8%減った。遅れが長引けば、利益率は7%から6%台へ下がる。

稼ぐ力が資本コストに届かない

自己資本利益率は10年の中央値で8%、予想は2026年で6.9%。資本コスト7.75%を下回る期間が長く、現金を溜めるほど価値が薄まる。新計画のROE8%以上の維持は、自己資本比率を下げる前提の数字である。

国内需要の細りと百貨店の縮小

人口が減り、百貨店・専門店の売り場が減る。紙袋は同社の原点であり、ここが縮むと数量を食われる。食品・EC・海外の伸びで補う計画だが、新しい販路は利益率が低めで、置き換えには時間がかかる。

奈良工場の建て替えと成長投資

成長投資は5年で約350億円。中心の奈良工場は老朽化で急ぐが、完成は計画の後半になる。投資が先に出て利益が遅れると、自己資本利益率はむしろ下がる。借金も使う計画である。

買収の実行力が乏しい

前の3年で実行した買収は4億円1件だけ。条件に合う案件が少なかったと会社は説明する。フィルム分野の買収は新計画の柱だが、実績がない中での大きな買収は、割高づかみの失敗の恐れがある。

取引先との持ち合い

取引先持株会が約7%を持ち、取引先の株式も多く抱える。売却は慎重に進める方針で、資本効率の改善が遅れる。得意先との関係を壊せば売上に響くため、整理の速さには限りがある。

今後の分かれ目

2026年12月期の営業利益が75億円の予想を超え、利益率が7%台後半に乗ったら
転嫁の遅れは一時的だったと見て、やや楽観側の確率を上げる。
自社株買いが年20億円を超えて実施され、自己資本比率が65%を割ったら
還元の約束が実行されている証拠で、余った現金の戻り方への信頼が増す。中立〜やや楽観に寄せる。
紙加工品の利益率が2期連続で7%台に落ちたら
値決めの弱さが構造だと見て、やや悲観側に確率を移す。
フィルム分野で100億円規模の買収が発表されたら
価格と統合の中身を確かめる。割高なら資本効率が悪化するので、やや悲観に寄せる。
奈良工場の建て替えが完成前に費用超過や遅れを出したら
投資回収の前提が崩れる。やや悲観側に寄せる。
政策保有株の売却が加速し、売却額が年50億円を超えたら
資本の入れ替えが進むので、自己資本の効率が上がる方向に見直す。

見ておくもの

  • 紙加工品の営業利益率(8.7%の維持・回復)
  • 自社株買いの額と総還元性向(70%の目標)
  • 自己資本比率の推移(74%から60〜65%へ)
  • 奈良工場の進捗とフィルム分野の買収
  • 紙・人件費の上昇と値上げの浸透

倍率と資本コストの決め方

今の株価や PER から倍率を置かず、紙加工品・化成品・その他の実質の売上(市場規模×シェアの推定)に物価 3% の値段を掛けて積んだ。倍率は k 7.25%・g 4% から式で出した上限(ROE が k 以下で約 13 倍)の 9 割前後に置いた(堀・借金は k と残る割合で見ており重ねて引かない)。余った現金 100 億円は事業の利益と分け、戻り方 1.0 で足した。悲観は稼ぐ力と売れる資産の税後(推定)から出した。結果は今の時価総額を下回る(やや割高)。新リース会計で純債務の形が変わっても、家賃の小さい会社で数字は今の形にそろえてある。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.2→16.43 倍・やや楽観 PER 12.3→15.11 倍・中立 PER 11.7→14.46 倍)。

資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.25% を足した 7.75%。事業は傾いていない。奈良工場の投資や買収の実行は、k に積まず筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。

同じ業種(パルプ・紙)の AI 分析

割安 スーパーバッグ3945 店の紙袋と通販の宅配袋を作る老舗。利益は薄いが、値段は稼ぐ力に比べて安く、割安 本質価値との差 +113.8% · 10 年 割安(年 +16.3%) 適正 トーモク3946 原紙を買って箱にする独立系の段ボール加工大手。値上げで稼ぐ力は戻ったが、資本コストを安定して超える日はまだ先だ 本質価値との差 +3.5% · 10 年 適正(年 +6.9%) 適正 ダイナパック3947 値上げと海外買収で利益は一段上がったが、稼ぐ力が資本コストに届かない。厚い含み益の株が下支えする 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 大村紙業3953 段ボール箱の小さな専業。借入ゼロで現金は時価総額の7割に迫るが、稼ぐ力は薄く、筆者はやや割高と見る 本質価値との差 −3.7% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 昭和パックス3954 セメント・化学品・食品の重い紙袋が主力の地味な会社。現金と持ち合い株が時価総額の大半を占め、稼ぐ力の割に株主へ戻る分は小さい 本質価値との差 −5.7% · 10 年 適正(年 +6.6%) 適正 岡山製紙3892 王子グループの一角で中芯原紙を作る堅実な小工場。現金は厚いが株主に戻る道が細く、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 −8.8% · 10 年 適正(年 +6.6%) やや割高 朝日印刷3951 医薬品・化粧品の包装で首位の堅い事業だが、利益率は 3.6% まで落ちた。10 年の中立は利益が少し戻る程度で、今の値段には届かない割高と出る 本質価値との差 −11.7% · 10 年 やや割高(年 +4.9%) やや割高 古林紙工3944 花王・味の素の箱を作る堅い下請けだが、本業の利益率は薄く、資産の多くは売らない株にある 本質価値との差 −17.3% · 10 年 やや割高(年 +5.7%) やや割高 レンゴー3941 国内段ボールの最大手。事業は堅いが、重い借金と海外の不振で、資本コストを超える稼ぎには届きにくい 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ハビックス3895 紙おむつの素材から製品の受託へ踏み出すが、借りて建てた工場が稼ぐ力を薄めかねない 本質価値との差 −17.7% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 日本製紙3863 洋紙の縮小を生活関連と木材で埋められるかが勝負。借金の重さと事故・震災を考えると、今の値段は回復の筋書きを先取りしている 本質価値との差 −17.9% · 10 年 やや割高(年 +6.5%) やや割高 中越パルプ工業3877 富山と鹿児島に工場を持つ中堅の製紙会社。紙の縮小を家庭紙と包装用紙で埋める途上で、稼ぐ力は薄く、今の値段は安全域に乏しい 本質価値との差 −19.1% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大石産業3943 パルプモウルドで底堅く稼ぐが、大型投資と費用増で利益は縮んでいる。厚い現金は安全域だが、事業の稼ぎは薄い 本質価値との差 −19.8% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 笹徳印刷3958 王子系と組む愛知の紙器・印刷会社。本業の利益は薄く、稼ぎの多くは持ち合いの株の配当が支える 本質価値との差 −21.8% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 大王製紙3880 家庭用品の足場は固いが、借金の重さで稼ぎが資本コストに届かない。今の値段には安全域がない 本質価値との差 −23.2% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 王子ホールディングス3861 森と段ボールと政策保有株を抱える巨艦。資本コストを超えて稼ぐ日が来るまで値段は重い 本質価値との差 −25.8% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 光ビジネスフォーム3948 自治体の通知物を一貫で請け負う堅い仕事だが、紙は細り ROE は資本コストに届かない。厚い現金を差し引いても割高と出る 本質価値との差 −29.5% · 10 年 やや割高(年 +2.7%) 割高 イムラ3955 封筒の大手。郵便の減少に包材で抗うが、新工場の償却が重く、資本の稼ぎは資本コストに届かない 本質価値との差 −30.4% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 北越コーポレーション3865 洋紙の縮みを輸出と白板紙でどこまで埋められるか。財務は堅いが、稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は高い 本質価値との差 −32.3% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 特種東海製紙3708 特殊紙・段ボール原紙・リサイクルの 3 本柱は堅実だが、伸びは緩い。稼ぐ力が資本コストに届かず、今の値段は回復を先取りしている 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 阿波製紙3896 RO 膜の支持体は良いニッチだが、借金と少数株主への流出で株主の取り分は細い。値段は割高 本質価値との差 −36.4% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 ニッポン高度紙工業3891 コンデンサ用セパレータで世界首位級の隠れた優良企業。ただ利益は AI 需要の山にあり、10 年で見ると今の値段は先取りしすぎている 本質価値との差 −36.9% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 三菱製紙3864 機能性材料は伸びるが、洋紙の縮みと重い投資、利息の上昇が稼ぎを食う。今の値段は回復をかなり織り込んでいる 本質価値との差 −57.2% · 10 年 割高(年 −0.8%)

ほかの業種も見る(AI 銘柄分析の一覧)→

読んだ資料

  1. ザ・パック 中期経営計画(2026〜2030年)
  2. ザ・パック セグメント別売上高・営業利益(有価証券報告書 2025/12)
  3. ザ・パック 2026年12月期 中間決算短信

分析日 2026-10-16