結論
イムラは、企業や役所が使う封筒を受注で作る大手だ。ダイレクトメールの封入や発送を請け負う事業も持つ。筆者の結論は割高寄りだ。自己資本の半分ほどの時価総額でも、稼ぐ力がそれに見合わないからだ。
本業の封筒は、郵便の減少とともに縮む市場にある。2024 年秋の郵便料金の値上げで、減り方はむしろ速まった。会社は通販向けの包材や商品パッケージに軸足を移そうとしており、奈良に新しい工場を建てた。
ただ、その新工場の償却が利益を押し下げる。2027 年 1 月期は営業利益が 4 割近く減る見込みだ。包材の伸びが封筒の減りを埋めても、資本の稼ぎ(ROE)は 4% 前後にとどまるとみる。
資本コストを下回る稼ぎでは、ためた利益は帳簿の額ほどの値打ちを持たない。PBR の低さは安さの印ではなく、この事業の稼ぎの薄さを映している。
筆者がいちばん気にしているのは、市場が縮む中で資本を増やしたことだ。新工場は会社の将来を賭けた投資だが、包材は競争の激しい場所で、封筒の減りを埋めて余りある利益を生むとは見ていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安いが、良い事業ではない」に分類される。時価総額は自己資本の半分ほどだが、その自己資本が稼ぐのは年 4〜5% にすぎない。資本コストを下回る事業では、内部にためた利益は、帳簿の額ほどの値打ちを持たない。
10 年後もこの事業は残る。役所や銀行は封筒を使い続け、大手に注文が集まる。だが今より強くなっているとは考えにくい。市場が縮む中で、包材という競争の激しい場所に新工場の資本を投じた。
オーナー利益、つまり設備の更新を引いたあとに株主に残る現金は、会計の利益より少ない。建設費が上がる中で、償却を上回る更新の投資が続くからだ。
安全域は帳簿にはあるが、稼ぐ力にはない。資本を株主に戻すか、事業を手放すかの決断が無い限り、筆者は値段の低さだけで持ち続けたい会社とは見ない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は封筒だ。銀行や保険会社、通販会社、役所から仕様を受けて、窓付き封筒や DM 用封筒を大量に刷って作る。この「パッケージソリューション」が売上の 7 割、営業利益の大半を占める。相模原と奈良に工場を持ち、2026 年 2 月に奈良新庄の第 2 工場が動き出した。
同じ部門で、通販の商品を送る袋や紙の包材、商品パッケージを伸ばしている。プラスチックから紙への置き換えを狙うもので、会社はこれを成長の柱と位置づける。
2 つ目の柱は「メーリング&デジタルソリューション」で、売上の 2 割ほどだ。顧客の通知書やカタログを印刷し、封入して郵便局に差し出すまでを請け負う。封筒の製造と組み合わせて一括で受けられるのが強みで、国勢調査や選挙のような官公庁の大口案件が年によって業績を押し上げる。
そのほかに、医療機関向けの印刷物、紙器、海外の子会社がある。海外子会社は赤字が続いたが、2027 年 1 月期の中間期にようやく黒字に戻った。
顧客は金融、通販、自治体と幅広く、1 社に頼る形ではない。その分、どの顧客も紙の通知を減らす同じ流れの中にいる。
優良さと弱いところ
優良さは「並」の下と筆者は見る。封筒は差がつきにくい品で、紙の値段が上がっても価格に転嫁するまで時間がかかる。2026 年 1 月期も原価率の上昇で利益が削られた。
強みはある。大口の顧客の仕様に合わせて、窓の加工や印刷、封入までを短い納期で大量にこなせる設備と経験だ。小さな封筒屋が廃業していく中で、残る大手に仕事が集まる面もある。
しかし市場そのものが縮む。郵便の数が減れば、封筒の数量も減る。包材は伸びるが、そこには紙器や包装の専業の会社が多く、イムラが値決めの主導権を握れる場所ではない。
資本の稼ぎも弱い。過去 10 年の ROE の中央値は 4.7% で、資本コストの 8% 台に一度も届いていない。大型の新工場で資本はさらに膨らんだ。経営は創業家が担い、長く続く会社を守る姿勢は強いが、資本の効率を上げる手はまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
封筒の需要は、郵便とともに長く減り続けている。請求書や通知はウェブとメールに移り、紙で送る理由が年々薄れている。2024 年 10 月の郵便料金の値上げは、企業に DM の数を絞らせ、減り方を速めた。
一方で、通販の市場は伸びている。会社の短信によれば、通販の売上は 1998 年度から 27 年続けて拡大した。商品を送る袋や緩衝材を紙に替える動きもある。ここが封筒屋にとって数少ない伸びしろだ。
紙の業界全体では、国内の紙と板紙の需要が初めて 2,000 万トンを下回る見通しだ。製紙会社は値上げを重ねており、封筒屋は原紙の値上がりを後から追いかける立場にある。
10 年で見ると、封筒の数量は 3 割ほど減ると筆者は見る。包材の伸びがその一部を埋め、会社全体の数量は 1 割強の減少にとどまる。値段は原紙と人件費に引っ張られて上がるが、物価並みに通すのがやっとだろう。
同業の多くは非上場の中小で、廃業や事業の譲渡が続く。残る大手には数量が寄るが、それで市場の縮みを打ち消せるわけではない。紙の封筒は、減りながらも長く残る品だ。
資本政策と M&A
還元は控えめだ。配当は利益の 3 割を基本に、2026 年 1 月期からは株主資本に対する配当の割合(DOE)も目安に加えた。年の配当総額は 3 億円ほどだ。
自社株買いは小口で続く。2026 年 9 月には 10 万株、1 億円を上限とする取得を決めたが、9 月中の買付はゼロだった。
大きな使い道は設備だった。2026 年 1 月期に新工場などへ 37 億円を投じ、借入が増えて純負債に転じた。創業家の井村氏が社長を務める会社で、政策保有の株も 14 億円ほど持つ。資本を絞って株主に戻す動きは、まだ弱い。
時価総額は小さく、創業家の持分もあるため、同業や投資ファンドによる買収の可能性はゼロではない。ただ具体的な話は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
包材への転換は始まっている。2027 年 1 月期の中間期は、官公庁の需要がはげ落ちても包材と商品パッケージの売上が伸び、封筒の落ち込みの一部を埋めた。通販の市場は伸び続け、紙への置き換えも追い風になる。
新工場は先行の投資だ。償却は重いが、現金の稼ぎを示す EBITDA は 2027 年 1 月期も前期を上回る目標だ。西日本の生産を集めたことで、数年後には原価が下がる。
封筒の業界では中小の廃業が続き、残る大手に注文が寄る。官公庁の大口案件も、封入と発送まで一括で受けられる会社は限られる。数量の減りは市場ほどには大きくない。
自己資本は厚く、政策保有の株と退職給付の積み立ての余りもある。資本の使い方を変えれば、ROE は 6% 台に戻る余地がある。
時価総額は自己資本の半分ほどで、事業が少し上向くだけで評価が変わる位置にある。官公庁の案件や包材の大口がまとまれば、利益は会社予想より早く戻る。
慎重な見方
市場が縮むことが、すべての出発点だ。郵便料金の値上げのあと、企業は DM と通知を一段と絞った。この流れは戻らない。封筒の数量は 10 年で 3 割以上減ってもおかしくない。
包材は伸びるが、そこは紙器や軟包装の専業がひしめく場所だ。封筒屋が後から入って高い利益を取れる保証はない。新工場の償却は 2027 年 1 月期に営業利益を 4 割近く削る。
原紙の値上げを後から追う構造も変わらない。紙の値上がりが続けば、利益率は 3% 台に張り付く。官公庁の大口案件は年によって大きく振れ、平らに見れば利益は今より低い。
借入は増え、純負債に転じた。配当は利益の 3 割で、資本を絞る姿勢は弱い。ROE は資本コストに届かないままだ。
自己資本が厚いことは、稼げない資本が多いことの裏返しでもある。帳簿の額で安いと見るのは、この事業の性格を見誤る。海外子会社の立て直しにも時間がかかり、その他の部門が利益の足を引っ張る年が続いている。
どちらに重みを置いたか
数量の見通しでは慎重な見方が強い。封筒の減少は構造的で、包材の伸びはその一部を埋めるにとどまる。ただ事業が急に崩れる会社でもないので、中立に最も厚く 40% を置き、悲観側の合計を 34%、楽観側を 26% とした。包材の伸びは中間期で確かめられたが、その利益の厚さはまだ見えないので、楽観の重みを増やすだけの材料には足りない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 920 円92 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 288 円29 億円)。 今の値に割り戻すと 610 円61 億円、今との差 −30.4%、 期待の年率 +3.3%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,724 円173 億円 | 466 円47 億円 | +149.8% | +9.6% | 131 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,356 円136 億円 | 371 円37 億円 | +97.0% | +7.0% | 345 円35 億円 |
| 中立 | 40% | 1,015 円102 億円 | 297 円30 億円 | +49.6% | +4.1% | 525 円53 億円 |
| やや悲観 | 24% | 506 円51 億円 | 214 円21 億円 | −18.0% | −2.0% | 173 円17 億円 |
| 悲観 | 10% | 178 円18 億円 | 156 円16 億円 | −62.0% | −9.2% | 33 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 920 円92 億円 | 288 円29 億円 | +37.7% | +3.3% | 1,208 円121 億円 |
今の株価時価総額 877 円88 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 包材が第 2 の柱に育ち、封筒の減りを埋める 利益 14 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,724 円173 億円
通販向けの紙の包材と商品パッケージが大きく伸び、新工場が埋まる筋書きだ。封筒の数量は 3 割減るが、包材がそれと同じだけ増え、部門の数量は今と変わらない。
中小の廃業で、官公庁や銀行の大口の封筒がイムラに寄る。原紙の値上げも遅れずに通るようになり、価格は物価をわずかに上回る。海外子会社は軌道に乗り、その他の部門も利益を出す。
会社全体の営業利益率は過去の最良に近い 6.5% まで戻る。ROE は 6% ほどで、まだ資本コストには届かない。それでも配当と自社株買いは増え、資本の使い方への評価は今より上がる。
- パッケージソリューション(封筒・包材):数量 30.0(封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定))× 価格 6.80(1 枚あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 204 億円・営業利益 14 億円。封筒 3 割減を包材が埋める。価格は物価を少し上回る
- メーリング&デジタルソリューション:数量 4.6(受託の通数(億通・推定))× 価格 14(1 通あたりの受託単価(円・推定))→ 売上 63 億円・営業利益 4 億円。官公庁と通販の封入が横ばい
- その他(医療印刷・紙器・海外):数量 180(出荷点数(百万点・推定))× 価格 27(1 点あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。海外と紙器が伸びる
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 173 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率 6.5% は 2023/01 期の最良に並ぶ水準で、数量も横ばいを保つ筋書き。縮む市場で両方がそろう見込みは小さく 6% にした。
やや楽観 20% 包材が育ち、数量の減りは 1 割弱で止まる 利益 11 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,356 円136 億円
封筒の減少は続くが、包材の伸びがその多くを埋める筋書きだ。部門の数量は 10 年で 7% ほどの減少にとどまり、新工場の稼働率は徐々に上がる。
原紙の値上げは半年ほど遅れて価格に乗る。価格は物価にほぼ並び、営業利益率は 2020 年代前半の 5〜6% の水準に戻る。
メーリングの事業は、官公庁の大口がある年とない年で振れながら横ばいだ。海外子会社は小さな黒字を続ける。ROE は 5% ほどで、資本コストとの差は縮むが埋まらない。還元は配当が中心のままだ。
会社の評価は今よりやや上がるが、市場が縮む中での利益なので、倍率は控えめにとどまる。
- パッケージソリューション(封筒・包材):数量 27.9(封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定))× 価格 6.70(1 枚あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 187 億円・営業利益 11 億円。数量 7% 減。価格は物価並み
- メーリング&デジタルソリューション:数量 4.3(受託の通数(億通・推定))× 価格 13(1 通あたりの受託単価(円・推定))→ 売上 58 億円・営業利益 3 億円。通数は少し減る
- その他(医療印刷・紙器・海外):数量 160(出荷点数(百万点・推定))× 価格 27(1 点あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 43 億円・営業利益 1 億円。海外が伸びる
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中間期に包材の伸びが確かめられ、官公庁の需要も数年おきに入る。起こりうる上振れとして 20% を置いた。
中立 40% 封筒は 3 割減、包材で一部を埋め、利益率は 5% 弱 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,015 円102 億円
封筒の数量が 10 年で 3 割ほど減り、包材の伸びがその一部を埋める筋書きだ。部門の数量は 13% 減る。価格は原紙と人件費に引っ張られて上がるが、物価をわずかに下回る。
新工場の償却は取得した時の値段のまま続く。古い設備の償却が終わる一方、建設費の上がった更新の投資が加わり、償却費は 10 年後も年 12 億円前後とみる。営業利益率は 5% 弱に落ち着く。
借入の金利は 3.5% で借り換わり、利払いが少し増える。配当は利益の 4 割ほどで、自己資本は積み上がる。ROE は 4% 前後で、資本コストを下回り続ける。
- パッケージソリューション(封筒・包材):数量 26.1(封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定))× 価格 6.60(1 枚あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 172 億円・営業利益 9 億円。封筒 3 割減・包材増で 13% 減。価格は物価をわずかに下回る
- メーリング&デジタルソリューション:数量 4.0(受託の通数(億通・推定))× 価格 13(1 通あたりの受託単価(円・推定))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。DM の減少で通数 12% 減
- その他(医療印刷・紙器・海外):数量 140(出荷点数(百万点・推定))× 価格 27(1 点あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。海外が少し伸びる
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の営業利益率は 1〜6.5% で中央は 4% 台。新工場の償却を踏まえて 4.7% とし、最も起こりやすい形として 40% を置いた。
やや悲観 24% 郵便の減少が速まり、包材も価格競争に 利益 4 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 506 円51 億円
郵便の減少が速まり、封筒の数量が 10 年で 4 割近く減る筋書きだ。包材は伸びるが、専業との価格競争で思うように利益が出ない。部門の数量は 25% 減る。
原紙の値上げを価格に通しきれず、価格は物価を下回る。新工場の稼働率は上がらず、償却の重さが残る。営業利益率は 3% 前後に張り付く。
メーリングの事業も DM の縮小で細る。配当は利益に連動して減り、自己資本はゆっくり積み上がるだけだ。ROE は 2% ほどに沈む。
事業の売却や工場の集約が話題に上るが、創業家の会社なので決断には時間がかかる。
- パッケージソリューション(封筒・包材):数量 22.5(封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定))× 価格 6.30(1 枚あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 142 億円・営業利益 5 億円。数量 25% 減。価格は物価を下回る
- メーリング&デジタルソリューション:数量 3.6(受託の通数(億通・推定))× 価格 13(1 通あたりの受託単価(円・推定))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円。通数 2 割減
- その他(医療印刷・紙器・海外):数量 120(出荷点数(百万点・推定))× 価格 25(1 点あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。海外は収支とんとん
倍率:ROE 2.0% で稼ぐ力は資本コストの 4 分の 1。構造的に縮む筋書きなので上限 12.1 倍の 6 割弱の 7 倍。中立より PBR は低い。
確率:2027/01 期の会社予想は営業利益率 3.1% で、この水準が続く筋書き。郵便料金の値上げ後の減り方を見ると十分に起こりうるので 24% にした。
悲観 10% 封筒が半減に向かい、本業の利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 178 円18 億円
紙の通知と DM が一段と減り、封筒の数量が 10 年で半分近くに落ちる筋書きだ。包材は伸びず、新工場は空きが目立つ。部門の数量は 38% 減る。
原紙の値上げを転嫁できず、価格は物価を大きく下回る。償却と人件費が固定費として残り、営業利益はほぼゼロになる。海外子会社も赤字に戻る。
配当は減らされ、事業の縮小と工場の集約が議題になる。値打ちは稼ぐ力ではなく、持っている株と土地を処分した時の額で決まる。純負債が残るので、その額も大きくはない。
少数株主には資本の使い道を決める力がなく、現金や土地があっても値段に乗りにくい。
- パッケージソリューション(封筒・包材):数量 18.6(封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定))× 価格 6.00(1 枚あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 112 億円・営業利益 2 億円。数量 38% 減。価格は物価を大きく下回る
- メーリング&デジタルソリューション:数量 3.0(受託の通数(億通・推定))× 価格 12(1 通あたりの受託単価(円・推定))→ 売上 36 億円・営業利益 0 億円。通数 3 割強減
- その他(医療印刷・紙器・海外):数量 100(出荷点数(百万点・推定))× 価格 24(1 点あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。海外が赤字
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は 5 億円ほどしかない。床は売れる資産で見て、今の自己資本 178 億円に 0.1 倍を掛けた。中立の PBR 0.34 倍より低い。EV(時価総額+純負債)÷営業利益は 30 倍を超えるが、利益がほぼ消える筋書きなので資産の床で見た。
確率:赤字は 2009/01・2011/01・2012/01 期にあり、利益が消える年は過去にもあった。構造的な縮みが続けば起こりうるが、大手としての受注は残るので 10% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
パッケージソリューション(封筒・包材)
受注生産の封筒(窓付き・DM 用など)と、通販向けの袋・紙の包材・商品パッケージ。
| 数量封筒・包材の出荷枚数(億枚・推定) | 価格1 枚あたりの平均単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 30.0 | 5.00 | 151 | 10 |
| 10 年後 中立 | 26.1 | 6.60 | 172 | 9 |
取り方:枚数は開示が無いので推定。窓付き・印刷込みの業務用封筒の単価を 1 枚あたり 3〜8(円)、平均 5(円)とみて、外部売上 151 億円から 30 億枚と割り戻した。営業利益はセグメント利益 10.04 億円。
メーリング&デジタルソリューション
通知書・DM の印刷、封入、発送の受託と、関連の情報処理。
| 数量受託の通数(億通・推定) | 価格1 通あたりの受託単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 4.6 | 10 | 46 | 3 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 13 | 54 | 3 |
取り方:通数は開示が無いので推定。印刷・封入・差し出しの手数料を 1 通あたり 10(円)前後(郵便料金は含まない)とみて、外部売上 45.5 億円から 4.55 億通とした。国勢調査など官公庁の大口が入った年。
その他(医療印刷・紙器・海外)
医療機関向けの印刷物と物品、紙器・段ボール箱、海外子会社の封筒など。
| 数量出荷点数(百万点・推定) | 価格1 点あたりの平均単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 109 | 20 | 22 | −2 |
| 10 年後 中立 | 140 | 27 | 38 | 1 |
取り方:点数は開示が無いので推定。印刷物と紙器の平均単価を 20(円)とみて、外部売上 21.8 億円から 1 億 900 万点とした。海外子会社の立て直しで赤字の年。
リスクと懸念
郵便の減少が速まる
2024 年秋の郵便料金の値上げで、企業は DM と紙の通知を一段と絞った。封筒の数量の減り方が年 3% から 5% に速まれば、包材の伸びでは埋めきれない。
新工場の償却と稼働率
奈良新庄の第 2 工場は 1992 年以来の大型の投資だ。包材の受注が思うように増えなければ、償却が固定費として残り、営業利益率は 3% 台に張り付く。
原紙の値上げを追う構造
製紙会社の値上げは続く。受注品の封筒は価格の改定に時間がかかり、その間は利益が削られる。2026 年 1 月期も原価率の上昇で減益になった。
官公庁の大口案件の振れ
国勢調査や選挙の案件は数年おきに入り、その年の利益を押し上げる。剥落した翌年は減益になりやすく、平らにならした利益は見た目より低い。
包材での競争
紙の包材や商品パッケージには、紙器や軟包装の専業が多い。封筒の設備と顧客をどこまで生かせるかが不確かで、価格競争に巻き込まれれば利益は薄い。
今後の分かれ目
- 包材・商品パッケージの売上が部門の 3 割を超える
- 封筒の減少を埋める柱が育ったとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 新工場の稼働後も営業利益率が 3% 台に張り付く
- やや悲観の筋書きが中心になり、中立の利益を下げる。
- 自社株買いを利益の半分以上の規模で続ける
- 資本を絞る姿勢が出たとみて、ROE と倍率の見方を上げる。
- 郵便の取扱数の減少が年 5% を超える
- 封筒の数量の見通しを下げ、悲観の確率を上げる。
- 海外子会社が安定して黒字を出す
- その他の部門の利益を上げ、楽観側にやや寄せる。
見ておくもの
- 包材・商品パッケージの売上と構成比
- セグメント利益率(パッケージソリューション)
- EBITDA と償却費
- 郵便の取扱数量の推移
- 自社株買いの実行額
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k 8.25% を下回るので上限 1÷k の 12.1 倍を基準に、利益の質に応じて 7〜11 倍に置いた。今と過去の PER・PBR は見ていない。PBR の低さを割安の根拠にしていない。新工場の償却は取得した時の値段のまま置き、10 年後の償却費を年 12 億円前後とみた。政策保有株と土地は悲観の床にだけ数え、配当の稼ぎと二重にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.12 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。