結論
サンエー化研は、食品や薬の袋、粘着テープの土台、ディスプレイの保護フィルムを作る静岡の加工会社だ。ポリエチレンなどの樹脂を、薄いフィルムや紙に貼り合わせて売る。売上は300億円、従業員は約600人。
筆者の結論は、今の値段は少し高いというものだ。ただし、直近の数字だけ見れば安く見える。
2027年3月期の第1四半期は、営業利益が前年の5.7倍になった。会社は通期の営業利益予想を9億円から21億円に引き上げた。この予想で見ると、PERは6倍ほどだ。理由はデータセンターと車載向けの保護フィルムの需要、そして原材料高の価格転嫁である。
問題は、これが続くかだ。同社の営業利益率は、過去10年で4.5%を超えたことがない。2023〜2025年3月期は営業赤字だった。素材を加工して売る商売は、原材料が高い時に値上げで利益が出て、安くなれば値下げを求められる。
筆者は、10年後の営業利益率を4%前後と見る。過去の山を超えない水準だ。それでも利益は今の1.5倍になるが、資本の厚さを考えると倍率は低い。自己資本223億円のうち65億円は取引先の株式で、事業の稼ぎには寄与しない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、サンエー化研は「直近は絶好調だが、続くかを見極めたい」会社だ。
事業の質は並みである。貼り合わせと塗工の技術は確かだが、素材の加工業は値段を自分で決められない。長く持つ株主にとって、利益が景気や原材料に左右されるのは好ましくない。
2027年3月期の会社予想の利益(純利益16億円)は、過去10年の最高の水準だ。ただし、ポリエチレンが上がった局面で転嫁が先行した可能性がある。バリュー投資家は、こういう時の利益を平常の利益とは見ない。
オーナー利益、つまり設備投資を引いた自由に使える利益は、平常で年8〜10億円ほどと見る。時価総額97億円は、その10倍前後。極端に安くはない。
資本の使い方は改善の余地がある。自己資本の3割が取引先の株式に眠り、配当は控えめだ。株主にとっては、利益が内部に溜まる形になりやすい。
安全域は資産の厚さにある。純現金と政策保有株で、時価総額の約8割になる。事業が不振でも、下値は限られる。
結論として、利益の持続性が確認されるまでは、予想の数字をそのまま信じない。
何で稼ぐ会社か
サンエー化研は1942年、茶業界向けのアスファルト紙の供給を目的に静岡で生まれた。本社は東京・日本橋、工場は静岡県内に5つと奈良、栃木にある。連結の従業員は約610人。
事業は3つに分かれる。軽包装材料が売上の4割強で、食品、医薬品・医療、日用品の袋やフィルムを作る。ポリエチレンを貼り合わせる技術(ラミネート)が柱だ。
産業資材は3割強。粘着テープの土台に使う剥離紙や、紙・布に樹脂を貼った加工品だ。スマートフォンのフレキシブル基板を作る工程で使う紙も含む。
機能性材料は2割強で、ディスプレイや電子部品の表面を傷から守る保護フィルムだ。2024年11月、レゾナックの表面保護フィルム事業を譲り受けて、売上が伸びた。
顧客は印刷会社、食品・日用品メーカー、粘着テープメーカー、電子部品メーカーなど。同社の製品は、顧客にとって費用の小さい副資材だが、品質が最終製品に直結する。
主原料は石油化学品のポリエチレンで、ナフサ価格に連動する。原価に占める原材料の割合が高く、価格転嫁の巧拙が利益を決める。
子会社に東邦樹脂工業(粘着加工)とシノムラ化学工業(51%)がある。生産拠点は7つで、うち5つが静岡県にある。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、貼り合わせ・塗工・フィルムの加工という3つの技術と、多品種の小ロットに応える体制にある。顧客の細かい要望に合わせる力は、大手が手を出しにくい分野だ。
ただし、素材そのものは代替が利く。値段は原材料と顧客に決められやすい。営業利益率は過去10年で最高でも4.5%、2023〜2025年3月期は赤字だった。堀はあっても、利益を守る力は強くない。
ここ数年で、改善の打ち手は実行されている。設備を統廃合し、低採算の日用品の受注を絞り、保護フィルム事業を買い、原材料高の転嫁を進めた。2026年3月期の営業利益は8億円と、赤字から立ち直った。
資本効率は低い。ROE(自己資本に対する純利益の割合)は過去10年の中央値で3.0%、2026年3月期でも4.3%だ。自己資本の3割は取引先の株式(65億円)で、昭和パックスやオカモトなど、顧客や仕入先のものが多い。
財務は健全だ。自己資本比率は57%。借入は短期が中心で、運転資金のためだ。経営は慎重で、配当性向は2割弱と低い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
同社が戦う市場は、需要が大きく伸びない成熟市場と、伸びる分野が混ざっている。
軽包装は、人口減とプラスチック削減の流れで、数量は細る。食品の値上がりで包材の受注も減った。一方、医薬品・医療用は在庫調整が終わり、需要が戻った。紙やモノマテリアル(単一素材)への切り替えが進めば、貼り合わせ加工の出番は減る。
産業資材は、粘着テープの需要自体は底堅いが、一部の顧客がテープ事業を縮小した。スマートフォンのフレキシブル基板向けの工程紙は堅調だ。
機能性材料は、同社でいちばん成長が見込める分野だ。データセンターの半導体や車載の電子部品を加工する時、表面を守るフィルムの需要が増えている。ただし、スマートフォンやVR機器の仕様変更で受注が一気に減った経験もあり、波は大きい。中国メーカーの低価格品も迫る。
どの分野も、競合は大手の印刷・化学メーカーと、同規模の加工会社だ。価格交渉で優位に立つのは難しい。
2026年に入ってからは、中東情勢で原材料が高騰し、値上げが通りやすい環境にあった。この環境が続く保証はない。
資本政策と M&A
資本政策は慎重だ。配当は年に2回、性向は2割弱で、利益が増えても配当を増やしてこなかった。2027年3月期も据え置く予想である。内部留保は、設備と成長投資、M&Aに使うとしている。
買収は大きくない。2024年にレゾナックから保護フィルム事業を譲り受けたのが、直近の例だ。のれんは約7億円で、買収後に営業利益が改善しており、いまのところ成功している。
政策保有株は20銘柄で65億円ある。昭和パックス(約25億円)、オカモト(約16億円)が大きい。売却の姿勢は示しているが、実績は小さい。持ち合い解消が進めば、資本効率は上がる。
自社株買いは過去に実施し、発行済株式の15%が自己株式として残る。一方、現金59億円に対し借入が46億円あり、手元の余裕は大きくない。
独立系の中堅で、時価総額は100億円に満たず、PBRは1倍を大きく下回る。10年以内にTOBや買収が起きる確率は、市場の推計で3割ほどある。割安さと小ささから、買われる側になる可能性は否定できない。ただし、噂の段階であり、価値には織り込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、構造が変わった。赤字の時代は終わっている。
まず、設備の統廃合と低採算品の整理で、固定費が下がった。次に、レゾナックから譲り受けた保護フィルム事業が、データセンターと車載向けで伸びた。2026年4〜6月期の営業利益率は10%を超え、通期予想も2.2倍に引き上げられた。
価格転嫁の仕組みも整った。原材料が上がれば価格に乗せる流れが定着し、ポリエチレンが下がっても一度上げた価格は戻りにくい。
資本効率の改善が次に来る。PBRは0.4倍台で、政策保有株65億円と純現金を合わせると時価総額の8割に相当する。株主の目が厳しくなる中、持ち合い解消と増配が進めば、評価は一気に変わる。配当性向は2割弱と、増やす余地が大きい。
10年の営業利益率が6%に定着すれば、純利益は今の2倍になる。小型で買われやすいという点も、下値を支える。
楽観の目で見れば、保護フィルムは第二の柱になる。軽包装の食品用が縮んでも、医薬品用と電子部品用で穴は埋まる。10年後に営業利益率が過去の山を超えても、不思議ではない。
慎重な見方
いまの利益は一時的だ。
原材料の高騰を転嫁できたのは、中東情勢の混乱で業界全体が値上げしたためで、同社の力ではない。環境が落ち着けば、顧客は値下げを求める。実際、2023〜2025年3月期は3期連続の営業赤字だった。営業利益率が過去に4.5%を超えたことはない。会社予想の6.2%は、前例のない水準である。
保護フィルムも不安が残る。同社はスマートフォンやVR機器の仕様変更で受注を失った経験がある。データセンターと車載の需要が続く保証はなく、中国メーカーの低価格品も迫る。レゾナックから買った事業にはのれんがあり、失速すれば減損が出る。
軽包装は人口減とプラスチック削減で数量が縮む。産業資材の顧客も撤退している。
そして資本効率は低いままだ。自己資本の3割が取引先の株式で、事業の稼ぎを生まない。配当性向が2割弱では、株主に利益が回らない。
工場の5つが静岡にあり、南海トラフ地震の影響も大きい。
予想の数字は例外であり、10年のうちに平常の利益に戻る。倍率が低くて当然である。
どちらに重みを置いたか
強いのは、改善の実行済みの手と、保護フィルムの成長だ。弱いのは、利益率が前例のない高さである点と、素材加工の値決めの弱さである。
筆者は、利益率を過去の山(4.5%)より少し低い4%台に置いた。改善は事実だが、10年の平均で高い水準を保てる根拠はまだ足りない。
確率は中立の36%を中心に、悲観側(やや悲観25%、悲観12%)と楽観側(やや楽観20%、楽観7%)をほぼ釣り合わせた。会社予想が現実になれば楽観側に寄るが、その確認には最低でも2期かかる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,520 円146 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 271 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 871 円84 億円、今との差 −14.6%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,453 円236 億円 | 467 円45 億円 | +186.3% | +11.1% | 204 円20 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,109 円203 億円 | 374 円36 億円 | +143.5% | +9.3% | 497 円48 億円 |
| 中立 | 36% | 1,780 円171 億円 | 291 円28 億円 | +103.0% | +7.3% | 745 円72 億円 |
| やや悲観 | 25% | 938 円90 億円 | 187 円18 億円 | +10.3% | +1.0% | 281 円27 億円 |
| 悲観 | 12% | 428 円41 億円 | 104 円10 億円 | −47.9% | −6.3% | 64 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,520 円146 億円 | 271 円26 億円 | +75.6% | +5.8% | 1,792 円173 億円 |
今の株価時価総額 1,020 円98 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% データセンターと車載の保護フィルムが主役になる 利益 20 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,453 円236 億円
電子部品の加工に使う保護フィルムが、データセンター向けの高性能半導体と車載部品の増加で10年伸び続ける。機能性材料の面積は8割増え、単価も1.3倍まで上がる。
軽包装と産業資材は、値上げを通して利益率を守る。両部門とも面積は1割弱減るが、単価は物価並みに上がる。
全社の営業利益率は6%を超える。2027年3月期の会社予想(6.2%)が一過性でなく、水準として定着する筋書きだ。
増収増益が続き、配当も増える。10年の還元は45億円。
生産は静岡の拠点の増強で対応し、設備投資は年7億円前後に増える。保護フィルムの利益率は9%台と、軽包装の倍以上になる。顧客は大手の電子部品メーカーで、品質の実績が乗り換えを防ぐ。
- 軽包装材料:数量 13.8(出荷量(千トン))× 価格 121(1トンあたりの平均販売価格(万円))→ 売上 166 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 4.0%
- 産業資材:数量 96.4(加工面積(百万㎡))× 価格 134(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 129 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 5.5%
- 機能性材料:数量 86.2(加工面積(百万㎡))× 価格 195(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 168 億円・営業利益 16 億円。営業利益率 9.5%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 236 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保護フィルムの旺盛な需要が10年続き、他社に流れず、価格転嫁も維持される必要がある。営業利益率が過去最高を大きく超える姿で、確度は高くない。
やや楽観 20% 保護フィルムが伸び、価格転嫁も定着する 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,109 円203 億円
保護フィルムの面積が10年で5割近く増え、価格は1.28倍。データセンターと車載の需要が支える。
軽包装は医薬品用で需要が戻り、食品用の減少を補う。低採算の日用品を整理した効果も残る。産業資材はFPC向けの剥離紙が支える。
営業利益率は5%に乗る。会社予想(6.2%)よりは低く、過去の山(4.5%)を少し超える水準である。
還元は増配が中心で、10年で36億円。
機能性材料の売上が全体の3割を超え、利益の構成が変わる。本社費は物価で増えるが、減価償却は取得時の値段のまま増えず、利益率に効く。ただし転嫁は原材料の値動きしだいで、途中に利益の谷が混ざる。
- 軽包装材料:数量 13.3(出荷量(千トン))× 価格 121(1トンあたりの平均販売価格(万円))→ 売上 161 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 3.5%
- 産業資材:数量 93.4(加工面積(百万㎡))× 価格 134(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 125 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 5.0%
- 機能性材料:数量 69.5(加工面積(百万㎡))× 価格 192(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 133 億円・営業利益 10 億円。営業利益率 7.5%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 196 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年4〜6月期の営業利益率10%超と通期予想の大幅上方修正は、転嫁の進みを示す。ただし原材料高の局面の利益である可能性が残る。
中立 36% 転嫁した値上げが残り、利益率は過去の山並みに 利益 13 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,780 円171 億円
軽包装と産業資材の面積は、人口減とプラスチック包材の削減、粘着テープ事業の縮小で10年に1割減る。単価は物価の1.34倍まで上がる。ポリエチレンの値上がりを転嫁する商売で、利益率は3%から4.5%の幅にとどまる。
保護フィルムは、データセンターと車載で面積が15%増える。ただしディスプレイ向けは仕様変更とVR機器の不振があり、単価は物価に届かない1.25倍にとどめる。
全社の営業利益率は4.1%。過去12年の最高(4.5%)を下回る。本社費は物価で増やし、減価償却は物価で増やさない。大規模な設備の入れ替えはなく、年5億円前後の投資で足りる。
純利益は12.5億円。還元は性向を25%に引き上げ、10年で28億円。
- 軽包装材料:数量 13.1(出荷量(千トン))× 価格 121(1トンあたりの平均販売価格(万円))→ 売上 157 億円・営業利益 5 億円。営業利益率 3.0%
- 産業資材:数量 91.4(加工面積(百万㎡))× 価格 134(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 122 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 4.5%
- 機能性材料:数量 55.1(加工面積(百万㎡))× 価格 188(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 103 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 152 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:設備の統廃合・低採算の調整・保護フィルムの買収は実行済みで、改善は偶然でない。一方、原材料高の局面の利益は平常には戻る。両方を踏まえた落としどころ。
やや悲観 25% 転嫁が利かなくなり、利益率が2%台に戻る 利益 6 億円 · PER 8.2 倍 · 株価時価総額 938 円90 億円
原材料の価格が落ち着くと、顧客から値下げを求められる。単価は物価の1.15倍にとどまる。
保護フィルムは、ディスプレイの仕様変更や中国メーカーの台頭で、面積が伸びず利益率も3%台に戻る。軽包装は大手に押される。
全社の営業利益率は2.3%と、過去10年の平均に近い。純利益は5億円まで細り、配当は今の水準を保つのがやっとだ。
政策保有株は売らず、設備投資を抑える。還元は10年で18億円。
赤字になるほどではないが、2023〜2025年3月期の水準に近い、薄い利益の時代に戻る。ディスプレイ向けの波と食品包材の減少が重なる。
- 軽包装材料:数量 12.3(出荷量(千トン))× 価格 104(1トンあたりの平均販売価格(万円))→ 売上 128 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 2.0%
- 産業資材:数量 86.3(加工面積(百万㎡))× 価格 115(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 99 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 3.0%
- 機能性材料:数量 47.9(加工面積(百万㎡))× 価格 165(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 79 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 3.5%
倍率:ROEは約2%で資本コストを大きく下回る。上限の1÷k(約12.1倍)の約68%の8.2倍に置いた。素材の値下げ圧力が続く構造的に弱い姿。
確率:2022〜2025年3月期は営業赤字だった。素材が下がる局面では値下げ要求が戻る。会社予想の大幅な改善が続かない可能性は十分にある。
悲観 12% 保護フィルムを失い、素材の値下げ競争に巻き込まれる 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 428 円41 億円
ディスプレイ・電子部品向けの保護フィルムが、仕様変更と中国勢の低価格品で大きく減る。譲り受けたレゾナックの事業ののれん(約7億円)も減損する。
軽包装も、食品用の減少と日用品の価格競争で、面積が3割減る。粘着テープ向けの剥離紙も顧客の撤退で縮む。
営業利益はほぼゼロから赤字になる。静岡県に生産拠点が集中するため、大規模な地震が起きれば、さらに悪化する。
ここで効くのが政策保有株(約65億円)と純現金(約13億円)だ。少数株主は売却を決められないため、売却と分配で戻るのは6割と置く。還元は10年で10億円。
- 軽包装材料:数量 10.2(出荷量(千トン))× 価格 95(1トンあたりの平均販売価格(万円))→ 売上 96 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
- 産業資材:数量 76.1(加工面積(百万㎡))× 価格 105(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 80 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
- 機能性材料:数量 33.5(加工面積(百万㎡))× 価格 150(1㎡あたりの平均販売価格(円))→ 売上 50 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率 -2.0%
倍率:稼ぐ力(純利益0.6億円÷k)は小さく、資産の価値(床)が上回る。今の自己資本223億円に0.185を掛けた約41億円で値付けした。純現金と政策保有株の税引き後の売却額(約68億円)の約6割にあたる。少数株主は売却と分配を決められない。
確率:ディスプレイの構造変更と大手の参入が重なる構造的な負け。ただし生産拠点の集約と政策保有株という下支えがあるため、確率は1割強にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
軽包装材料
食品・医薬品・日用品の袋やフィルム。ポリエチレンをラミネートして作る。その他(約5億円)を含む。
| 数量出荷量(千トン) | 価格1トンあたりの平均販売価格(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 14.5 | 90 | 131 | 3 |
| 10 年後 中立 | 13.1 | 121 | 157 | 5 |
取り方:2026年3月期の9か月累計の構成比(軽包装材料41.3%・その他1.6%)を通期売上303.58億円に引き直した約130億円を、平均価格を1トン約90万円として出荷量に直した推定(約1.45万トン)。セグメント営業利益は開示がなく、全社の営業利益8.37億円を配分した推定(利益率2.5%)。
産業資材
粘着テープの基材となる剥離紙や、紙・布へのラミネート品。スマートフォンのFPC(フレキシブル基板)の工程紙も含む。
| 数量加工面積(百万㎡) | 価格1㎡あたりの平均販売価格(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 102 | 100 | 102 | 4 |
| 10 年後 中立 | 91.4 | 134 | 122 | 6 |
取り方:9か月累計の構成比33.4%を通期売上に引き直した約101.5億円を、1㎡あたり百円前後の水準として面積に直した推定。営業利益は配分した推定(利益率約4%)。一部の顧客がテープ事業を縮小し、受注が減った。
機能性材料
ディスプレイや電子部品の加工時に表面を守る保護フィルム。2024年にレゾナックから譲り受けた事業を含む。
| 数量加工面積(百万㎡) | 価格1㎡あたりの平均販売価格(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 47.9 | 150 | 72 | 2 |
| 10 年後 中立 | 55.1 | 188 | 103 | 6 |
取り方:9か月累計の構成比23.7%(前年同期比17.8%増)を通期売上に引き直した約71.8億円を、1㎡あたり百五十円前後の水準として面積に直した推定。営業利益は配分した推定(利益率約2.4%)。2027年3月期第1四半期は黒字に転換した。
リスクと懸念
原材料(ポリエチレン)の変動
主原料はナフサ連動のポリエチレンで、原価の多くを占める。中東情勢での高騰は転嫁できたが、転嫁が遅れる局面や、下がる局面で値下げを求められる局面は何度も来る。
高い利益率が一時のものに終わる
2027年3月期の会社予想は営業利益率6.2%で、過去最高の4.5%を超える。2022〜2025年3月期は営業赤字だった。原材料高の局面の上乗せなら、平常時には元に戻る。
ディスプレイ・電子部品の仕様変更
保護フィルムは最終製品の設計で使われ方が変わる。スマートフォンやVR機器の仕様変更で受注が減った例もある。代替部材への切り替えで需要が消えるリスクがある。
生産拠点の静岡集中
7拠点のうち5つが静岡県内にあり、南海トラフ地震の影響を受けやすい。復旧に時間がかかれば、顧客の切り替えを招く。
食品・日用品包材の需要減
食品の値上がりで受注が減り、プラスチック包材を削る動きも強まっている。低採算の受注は調整中だが、数量の縮小が利益を削る。
政策保有株の評価変動
政策保有株65億円は自己資本の3割にあたり、株価の変動が自己資本に響く。売却も進んでおらず、資本効率を下げている。
粘着テープ向けの顧客縮小
産業資材は、一部の顧客がテープ事業を縮小し、受注が減った。顧客の再編が続けば、剥離紙とラミネート品の数量が縮む。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益率が5%を超えて通期で着地し、次期も維持されたら
- 転嫁が定着したとみて、楽観・やや楽観の確率を厚くする。
- 原材料が下がり、販売価格の引き下げ要求で営業利益率が3%を割ったら
- 原材料高の局面の利益だったとみて、やや悲観の確率を厚くする。
- 政策保有株の売却と自社株買い・増配が方針として示されたら
- 資本効率の改善が進むとみて、PERと確率を見直す。
- データセンター・車載向けの保護フィルムの受注が開示で確かめられたら
- 機能性材料の数量を引き上げ、楽観の確率を上げる。
- レゾナックから譲り受けた事業の受注が減り、のれんの減損が出たら
- 保護フィルムの成長を割り引き、悲観寄りに見直す。
見ておくもの
- 四半期の営業利益率(5%超が続くか)
- 機能性材料の売上と利益
- 原材料価格と製品価格の差
- 政策保有株の売却と株主還元の方針
- のれんの減損
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、部門ごとの面積(重さ)×単価で10年後の利益を積んだ。単価は物価の1.34倍を基本に、保護フィルムは値下がり圧力を見て1.25倍に置いた。営業利益率は4.1%で、過去12年の山(4.5%)を超えない。会社予想の6.2%は原材料高の局面の可能性があり、取り入れていない。倍率はROEが資本コストを下回るため、1÷k(約12倍)の約8割に置いた。政策保有株は配当が利益に入っているので、余った資産として足していない。今の時価総額と比べたのは最後。新リース会計基準の影響は小さい。10年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.12 倍・やや楽観 PER 10.5→12.12 倍・中立 PER 9.8→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。