結論
コロナは新潟県三条市の暖房・給湯・空調の機器メーカーだ。石油ストーブで育ち、いまはエコキュートなどの住宅設備機器が売上の半分を占める。
筆者の結論は割高だ。理由は事業の稼ぐ力にある。営業利益率は1%前後、自己資本利益率(ROE)は1%台で、会社自身が株主資本コストを4〜5%と見て、それを下回ると認めている。今期の営業利益は6億円の計画で、前期より3割減る。中期計画の最終年度の経常利益目標も、今年5月に20億円から15億円へ下げた。
株価を支えているのは貸借対照表の厚みだ。現金・債券・投資有価証券は合わせて340億円ほどあり、時価総額の275億円を上回る。だがこの金は動かない。安定株主の持ち株が5割を超え、手元資金は長く株主に戻らないまま積み上がってきた。ROEが低い会社にとって、動かない金は額面どおりの価値を持たない。
10年後の中立の筋書きでも、時価総額は今の8割ほどにとどまる。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を4割以上下回る。今の値段を超えるのは、資本政策が変わって貯めた金が株主に戻る筋書きだけだ。
見るべき点は3つある。灯油の暖房機がどこまで細るか。エコキュートで大手に値段で負けないか。そして、貯めた金を使う側が動くかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、まず問うのは「10年後も今より強いか」だ。コロナの答えは「ほぼ今のまま、むしろ石油暖房は細る」になる。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は薄い。営業利益は6〜9億円で、毎年の設備投資は27〜34億円だ。減価償却の20億円を引いても、維持と成長の投資が営業利益の大半を食う。受取利息と配当がなければ、配当を払えない年も出る。
安全域は、払う値段と価値の差だ。帳簿の自己資本は778億円で、時価総額はその35%ほどにすぎない。見かけは安い。だが筆者は、安さの理由が2つあると見る。ひとつは、本業のROEが資本コストを下回り、貯めた金が額面どおりの価値を持たないこと。もうひとつは、金の使い道を安定株主と経営陣が握り、少数株主が動かせないことだ。
経営は誠実で、財務は堅い。借金を増やして無理な拡大をしない点は評価できる。ただし、資本をどう働かせるかについての具体策がない。自分がオーナーなら、事業を縮めて金を返すか、利益率の高い分野に賭けるか、どちらかを選ぶ。今のコロナは、その選択を先送りしている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は3本ある。2026年3月期の売上853億円の内訳は、住宅設備機器が50%、暖房機器が27%、空調・家電機器が16%、その他が7%だ。
住宅設備機器の柱は、エコキュート(空気の熱で湯を沸かす電気給湯機)、石油給湯機、電気温水器の3つだ。エコキュートは2001年にコロナが世界で初めて売り出した。前期は台数が6.7%増え、業界の伸びを上回った。売上は423億円で、5年前より3割増えた。政府の補助金の要件に合わせた新型機を春と夏に出し、補助金のある年に台数を取りに行く売り方をしている。
暖房機器は会社の原点だ。1955年に日本で初めて加圧式の石油ストーブを発売し、2025年に機械遺産に認定された。いまは石油ファンヒーター、ポータブルストーブ、寒冷地向けの石油暖房機が中心で、石油暖房機ではトップシェアを自称する。売上は2023年3月期の275億円から3年で15%縮んだが、利益の大半はこの暖房と石油給湯機から出る。会社自身が、中期計画の資料で「灯油頼みの利益構造」と書いている。
空調・家電機器は、ルームエアコン、除湿機、加湿器だ。エアコンはダイキンや三菱電機など大手との競争が激しく、前期は売上が9%減った。窓に置くウインドタイプで隙間を狙う。加湿器は72%増と好調だった。その他は美容・健康機器、部品、サービスだ。
生産は新潟県内の8工場に集めている。従業員は連結で2,083人、販売網は支店11・営業所54だ。事業は住宅関連機器の1セグメントとして開示され、製品別の利益は出ない。暖房は11月から2月に売上が集中するため、第1四半期(4〜6月)は毎年営業赤字になる。
優良さと弱いところ
優良とは言いがたい。筆者は、堀(他社がまねできない強み)が弱いと見る。
石油暖房機には強みがある。寒冷地向けの暖房機や、電気がなくても動く機種は、停電や災害時の最後の頼りとして需要が残る。ただし市場そのものが縮んでいる。石油暖房機の出荷は1995年の750万台から、いまは数百万台規模まで落ちた。堀が守るのは、縮む池の中のシェアだ。
エコキュートは、世界初という実績とブランドがある。だがパナソニック、三菱電機、ダイキン、日立という大手がひしめく。コロナの国内シェアは、情報源によって8%台から15%まで開きがあり、公的な統計では確かめられなかった。上位ではあるが、値段を決める側ではない。
数字がそれを裏付ける。営業利益率は過去12年、0.7%から3.2%の間にとどまる。ROEは最高でも3%を超えたことがない。前期は台数と売値の改善で17.8億円の増益要因があったのに、操業度の低下と原材料高、販管費の増加で10億円以上が消え、営業利益は37%減った。価格転嫁と稼働の両方に弱い。
強い点は財務の安全性だ。自己資本比率は78%で、借金はほとんどない。生産を県内に集め、コスト構造は見通しやすい。弱い点は、利益率を引き上げる手段が見えにくいことだ。研究開発費は年7億円ほどで、売上の1%に満たない。会社は「利益ある成長経営」を掲げるが、成果はまだ数字に出ていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界は3つの別々の市場が重なっている。
給湯は、買い替えの需要が土台になる。エコキュートの国内出荷は年66万台前後(2024年度)で、累計は2025年3月に1,000万台を超えた。寿命が10〜15年なので、買い替えは毎年続く。政府は2030年に累計1,590万台の普及を目標に置き、「給湯省エネ2026」で1台あたり7万〜10万円を補助する(予算570億円)。ただし年間の出荷は2022年度の約70万台から伸びていない。補助金頼みの山がいつまで続くかは読めない。石油給湯機は、ガスや電化への切り替えで、前期に台数が6%減った。
暖房は縮む市場だ。灯油の暖房機は、暖冬、電化、人口減が重なる。その一方、寒冷地と防災の需要は残る。ファンヒーターではダイニチ工業、ストーブではトヨトミなどとのシェア争いが続く。コロナの暖房売上は、2023年3月期の275億円から前期の233億円まで落ち、今期は224億円を計画する。
空調は、価格競争が最も激しい。ルームエアコンは2027年度に省エネ基準が引き上がり、大手が対応機を投入する。コロナはウインドタイプと除湿機・加湿器で別の道を取る。
3つに共通するのは、物価の上昇と値上げの難しさだ。原材料の値上げ分を価格に載せきれない年が続けば、利益は薄くなる。逆に、新築が減っても買い替えとリフォームが相殺するので、住宅設備の台数は大きくは崩れにくい。住宅の新設着工は今期の第1四半期も弱含みと会社が書いている。
資本政策と M&A
資本の使い方は保守的で、株主の目から見ると効率が悪い。
財産の中身を見ると、現金が28億円、有価証券が101億円、投資有価証券が211億円ある。このうち政策保有株は連結株主資本の4.6%(約34億円)で、残りは債券など運用資産とみられる(内訳は確認できなかった)。借金はほとんどなく、純現金は99億円だ。本業の運転資金を除いても、200億円超が余っていると筆者は見る。受取利息と配当は、前期の営業外収益4.8億円の中身で、営業利益の半分を超えた。
配当には年8億円強の下限を設け、利益が落ちても守る。今期は利益計画を上回る配当で、配当性向は136%になる。会社は「成長投資を最優先」と書くが、自社株買いは「適宜検討」で具体策はない。安定株主が5割を超える。コロナ興産が37.8%、内田エネルギー科学振興財団が8.1%、第四北越銀行が4.5%、社員持株会が3.3%だ。親会社はない。
M&Aの実績は目立たない。TOBや再編の報道は確認できなかった。大株主の構成から、外から買収が入る余地は小さい。
株主優待もある。3月末に100株以上でQUOカード、保有数に応じて増える。株主は約1万3千人で、年間の費用は1億円に届かないと見積もられ、還元の中では小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
エコキュートが日本の給湯の主役になり、コロナは上位メーカーとして台数を伸ばす。補助金の山が過ぎても、2030年に向けた電化の流れは止まらず、年間の出荷は70万台を超える。コロナは補助金対応の高機能機を早く出す会社で、前期は業界を上回る伸びだった。値上げが通り、住宅設備の単価は物価を上回る。
暖房は、減るペースが緩む。寒冷地と防災の需要は根強く、10年で台数は2割減にとどまる。石油暖房機のトップシェアを守り、仕入れ価格の上昇を価格に転嫁できる。生産合理化の成果も出て、営業利益率は2.7%まで上がる。これは過去のピーク(2018年3月期の3.2%)の手前だ。
さらに大きな材料は資本政策だ。会社はROEが1〜2%と資本コストを下回ることを自分で書いている。東証が資本効率の改善を求める流れも強まり、特別配当や自社株買いで余った金を戻すことになる。10年で200億円を戻せば、金融資産の重荷が減る。
最後に、大株主の動きがある。コロナ興産や財団が株を動かし、非公開化のTOB(公開買い付け)に進めば、純資産に近い価格が付く可能性もある。ただしこれは確率が低い。
慎重な見方
本業が伸びないことに尽きる。石油暖房機は、気温と電化で毎年数%ずつ減る。2023年3月期の275億円から前期の233億円まで、3年で15%減った。仕入れの値上げは価格に載せきれず、前期は営業利益が37%減った。今期の計画はさらに3割減だ。第1四半期も暖房が17%減り、営業赤字が続いた。
エコキュートも安泰ではない。補助金で山を作った後に、大手が量と価格で攻める。上位5社のうち、コロナはシェアが最も小さい部類だ。ヒートポンプは設備投資が重く、将来の競争は規模の勝負になる。ルームエアコンも前期は売上が9%減った。
財務の厚みは、株主にとって動かない金だ。ROEは1%台で、会社自身が認める株主資本コストの4〜5%にも届かない。株価は純資産の0.35倍で、2011年以降ほぼ0.3〜0.6倍に張り付く。市場が同じ見方をしている証拠だ。金融資産が増えても、株主に戻る道筋がない限り、増えた金は評価されない。
配当は下限を守るが、今期は純利益の計画6億円に対し配当が8億円強で、配当性向は136%になる。配当は利益を上回り、貯めた金から払っている。この状態が長く続けば、貯金も減っていく。
どちらに重みを置いたか
本業の弱さを重く見た。強気の見方は、補助金後も続く電化の伸びと、資本政策の転換が前提になる。どちらも会社が公表した計画には数字として出てこない。慎重な見方は数字の裏付けがある。営業利益率は12年で3.2%を超えず、会社自身がROEを資本コストより低いと認めている。確率は中立を最も厚く置き、やや悲観を楽観側より厚くした。ただし財務は強く、悲観でも会社が行き詰まる筋書きにはしていない。割高という結論は、事業の弱さと、金が動かないという2つの理由が重なった結果だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,085 円318 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 335 円98 億円)。 今の値に割り戻すと 717 円210 億円、今との差 −23.8%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,581 円463 億円 | 683 円200 億円 | +140.6% | +9.2% | 158 円46 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,342 円393 億円 | 410 円120 億円 | +86.2% | +6.4% | 350 円103 億円 |
| 中立 | 38% | 1,206 円353 億円 | 307 円90 億円 | +60.8% | +4.9% | 575 円168 億円 |
| やや悲観 | 25% | 840 円246 億円 | 273 円80 億円 | +18.3% | +1.7% | 278 円81 億円 |
| 悲観 | 10% | 376 円110 億円 | 205 円60 億円 | −38.3% | −4.7% | 58 円17 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,085 円318 億円 | 335 円98 億円 | +50.9% | +4.2% | 1,420 円416 億円 |
今の株価時価総額 941 円275 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 資本政策が変わり、電化の波にも乗る 利益 28 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,581 円463 億円
エコキュートが日本の給湯の主役となり、コロナの台数が1割ほど伸びる。補助金後も高機能機への買い替えが続き、値上げも通る。暖房は減るペースが緩み、10年で台数は2割減にとどまる。生産合理化と価格転嫁が進み、営業利益率は2.7%まで上がる。これは過去12年の最高(3.2%)の手前だ。
会社は貯めた金の使い方を変える。特別配当と自社株買いで10年に200億円を戻し、余った金融資産は150億円まで減る。安定株主が株を動かし、非公開化のTOBが出る可能性もあるが、その場合も価格は純資産を大きく割り込む水準を想定している。それでもROEは3%台にとどまり、資本コストには届かない。事業の弱さは、資本政策では消えない。
- 住宅設備機器:数量 17.4(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 38(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 664 億円・営業利益 19 億円。台数換算17.4万台×1台38.3万円、営業利益率2.8%
- 暖房機器:数量 72.0(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.57(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 257 億円・営業利益 10 億円。台数換算72万台×1台3.57万円、営業利益率3.7%
- 空調・家電・その他:数量 68.3(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 4.12(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 281 億円・営業利益 4 億円。台数換算68万台×1台4.1万円、営業利益率1.5%
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)150 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 463 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ROE1%台という自己認識があり、資本効率の要請も強まっているが、安定株主が5割超で動く確証がない。補助金後も電化が続く前提を合わせた、成功の連続なので低い確率にとどめる。
やや楽観 20% 電化が進み、暖房の落ち込みも浅い 利益 19 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,342 円393 億円
補助金の山は過ぎるが、住宅設備機器の台数は6%増と堅調に続く。単価は物価並みか少し上を取れる。暖房は台数が26%減るが、寒冷地と防災の需要で崩れない。営業利益率は1.9%まで上がり、直近の谷から戻る。ただし2018年3月期の3.2%には届かない。
余った金は一部が戻る。下限の配当を守りつつ、特別配当を足して10年の還元は120億円。社外取締役の指摘や東証の資本効率の要請を受けて、会社が配当方針を一段上げる形だ。ただし自社株買いは小さく、安定株主の持ち株比率も大きくは動かない。ROEは2%台で、資本コストには届かない。中期計画が目指す方向に会社が進むものの、成果は小さく、株主の評価が変わるほどの転換ではない。
- 住宅設備機器:数量 16.4(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 37(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 611 億円・営業利益 12 億円。台数換算16.4万台×1台37.2万円、営業利益率1.9%
- 暖房機器:数量 66.6(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.50(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 233 億円・営業利益 7 億円。台数換算66.6万台×1台3.50万円、営業利益率3.0%
- 空調・家電・その他:数量 65.0(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 4.06(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 264 億円・営業利益 2 億円。台数換算65万台×1台4.06万円、営業利益率0.8%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)190 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 393 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:エコキュートが補助金後も一定の需要を保ち、暖房の落ち込みも緩やかな筋書き。会社の中期計画の延長線上にあり、実現は十分ありうる。
中立 38% 細る石油と伸びる電化が釣り合い、薄い利益が続く 利益 14 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,206 円353 億円
住宅設備機器の台数は3%減(10年)で、新築の減少を買い替えが相殺する。単価は物価並みだが、大手との競争で利益率は1%台前半にとどまる。暖房は台数が3割あまり減り、売上は金額でも縮む。空調・家電は台数5%減で、利益はほぼ出ない。
営業利益率は1.3%で、過去12年の平均(1.6%)より低い。純利益は14億円で、今の1.4倍だが、主な理由は金利上昇による受取利息の増加だ。下限の配当を守り、10年の還元は90億円。余った金は今のまま積み上がり、ROEは2%近辺にとどまる。会社の姿は、10年経っても今と大きくは変わらない。
- 住宅設備機器:数量 15.0(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 37(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 551 億円・営業利益 7 億円。台数換算15万台×1台36.6万円、営業利益率1.2%
- 暖房機器:数量 61.2(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.47(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 212 億円・営業利益 5 億円。台数換算61万台×1台3.47万円、営業利益率2.5%
- 空調・家電・その他:数量 61.8(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 4.06(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 250 億円・営業利益 1 億円。台数換算62万台×1台4.06万円、営業利益率0.4%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)225 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 353 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:石油暖房の縮小と電化の伸びが相殺し、会社の方針も今のまま続く筋書き。過去12年の利益率と、中期計画の目標を下げた実績に最も近い。安定株主の構成が変わらない前提を置いた。
やや悲観 25% 暖房の縮小が速まり、大手に押される 利益 8 億円 · PER 8.2 倍 · 株価時価総額 840 円246 億円
暖房の台数は10年で4割以上減る。エコキュートは補助金後に大手が価格を下げ、コロナは値上げを通せず単価は物価を下回る。住宅設備の台数は12%減る。営業利益率は0.6%と、今期計画の水準が続く。
本社機能と工場の見直しが続くが、効果は限定的だ。仕入れ価格の上昇を価格に載せきれず、販管費も物価で増えるため、営業利益は6億円台の低い水準に張り付く。受取利息が利益を支え、純利益は8億円。下限の配当は守るが、10年の還元は80億円にとどまる。安定株主の構成は変わらず、貯めた金は動かない。事業は縮むが、会社は存続する。株主にとっては、利益も還元も増えない10年になる。
- 住宅設備機器:数量 13.6(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 36(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 485 億円・営業利益 3 億円。台数換算13.6万台×1台35.5万円、営業利益率0.7%
- 暖房機器:数量 52.2(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.31(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 173 億円・営業利益 3 億円。台数換算52万台×1台3.31万円、営業利益率1.5%
- 空調・家電・その他:数量 57.2(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.87(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 222 億円・営業利益 −1 億円。台数換算57万台×1台3.87万円、営業利益率-0.3%
倍率:事業のROEは1%前後で、資本コスト8.25%以下。PERの上限は1÷k=11.4倍。稼ぐ力が弱いので上限の約72%の8.2倍に置いた。余った金融資産200億円(谷で一部を使う)は戻り方0.5で足した。
確率:石油暖房の縮小が年5%に速まり、エコキュートとエアコンで大手に値下げを迫られる筋書き。今期の営業利益6億円(計画)に近い低さが続く形で、実現しても不思議はない。
悲観 10% 構造的な負けで、リストラに追われる 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 376 円110 億円
石油暖房機が規制と電化で急減し、台数は半分以下になる。エコキュートは中国勢を含む価格競争で値下がりし、補助金後の需要も落ちる。工場の稼働が下がり、新潟県内の8工場の統廃合と早期退職の費用がかさむ。営業利益は赤字に転じる。
それでも財務は崩れない。金融資産は取り崩しながら残り、配当は下限を引き下げて10年で60億円。工場の土地と建物の一部を売って、事業を縮める。会社が行き詰まる筋書きではなく、事業の価値がほぼ消える筋書きだ。売上は700億円を割り、営業赤字は10億円近くに達する。受取利息でかろうじて純損益を均すが、本業の穴は埋まらない。残るのは、金融資産と土地という、動かしにくい資産の束である。
- 住宅設備機器:数量 11.6(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 33(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 381 億円・営業利益 −1 億円。台数換算11.6万台×1台32.8万円、営業利益率-0.3%
- 暖房機器:数量 40.5(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 2.98(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 121 億円・営業利益 −2 億円。台数換算40.5万台×1台2.98万円、営業利益率-1.5%
- 空調・家電・その他:数量 52.0(販売台数換算(万台・年、推定))× 価格 3.63(1台あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 189 億円・営業利益 −4 億円。台数換算52万台×1台3.63万円、営業利益率-2.0%
倍率:事業は赤字で、PERでは測れない。純現金と売れる資産の税後の価値(床)まで下がる。内訳は floor_assets_why に書いた。
確率:石油暖房の急減とヒートポンプの価格競争が同時に来る複合の筋書き。中期計画の経常利益目標を一度下げたことや、利益率が薄いことから、無視できない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅設備機器
エコキュート、石油給湯機、電気温水器、ヒートポンプ式温水暖房。売上の5割。
| 数量販売台数換算(万台・年、推定) | 価格1台あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15.5 | 27 | 424 | 3 |
| 10 年後 中立 | 15.0 | 37 | 551 | 7 |
取り方:売上423.7億円。エコキュートの国内市場66万台(2024年度)にコロナのシェア約10%(情報源により8.5〜15%)で約6.6万台、石油給湯機・電気温水器・ヒートポンプ暖房を台数に換算して約15.5万台とし、1台あたり約27.3万円とした。台数は実質。物価と高機能化は単価に入れた。会社は製品別の利益を開示しないため、営業利益3.0億円は暖房・空調との比較から推定した(全体8.5億円)。
暖房機器
石油ファンヒーター、ポータブル石油ストーブ、寒冷地向け石油暖房機、電気暖房機。売上の27%。
| 数量販売台数換算(万台・年、推定) | 価格1台あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 90.0 | 2.59 | 233 | 7 |
| 10 年後 中立 | 61.2 | 3.47 | 212 | 5 |
取り方:売上233.0億円。国内の石油ファンヒーターは年約170万台、ポータブルストーブは約95万台(2021年度、日本ガス石油機器工業会)。コロナはトップシェアを自称し、寒冷地向けの高単価機も含めて約90万台、1台あたり約2.6万円とした。台数は実質で、物価と高機能化は単価に入れた。営業利益6.5億円は、利益の大半がここと石油給湯機から出るという会社説明から推定した。
空調・家電・その他
ルームエアコン、除湿機、加湿器、美容・健康機器、部品・サービス。売上の23%。
| 数量販売台数換算(万台・年、推定) | 価格1台あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 65.0 | 3.03 | 197 | −1 |
| 10 年後 中立 | 61.8 | 4.06 | 250 | 1 |
取り方:空調・家電138.2億円とその他58.5億円の合計196.7億円。ルームエアコン(セパレート・ウインド)、除湿機、加湿器、美容・健康機器を台数に換算して約65万台、1台あたり約3.0万円とした。台数は実質。会社は赤字か低利益とみられる(前期は販売減とルームエアコンの競争激化)。営業利益−1.0億円は推定。
リスクと懸念
灯油の暖房機が細り続ける
暖房機器は営業利益の大半を稼ぐ。台数が毎年3〜4%ずつ減ると、工場の稼働が落ちて原価率が上がる。前期は暖房と空調の販売減で、操業度の低下によるコスト増が10億円出た。縮む事業が利益の柱という構造は、10年かけて重くなる。
エコキュートで大手に価格で負ける
パナソニック、三菱電機、ダイキン、日立が競う市場だ。補助金で台数が増えても、利益率は薄くなりやすい。コロナの国内シェアは上位でも最大手ではなく、値下げ競争が始まると、規模の小さい側が先に利益を削られる。補助金が縮めば、需要の山も崩れる。
原材料と人件費の値上がり
鋼材、樹脂、電子部品、物流費が上がると、価格転嫁が遅れる。今期は中東情勢による石油由来の原材料の値上がりを織り込んでいるが、長引けば計画を下回る。人件費と業務合理化の費用で、前期は販管費が4.6億円増えた。
貯めた金が動かないこと
金融資産は時価総額を上回る。だが安定株主が5割超で、外からの圧力も小さい。使い道が変わらなければ、金は少数株主の価値にならないまま積み上がる。配当性向が100%を超える年が続けば、貯金も目減りする。
天候への依存
暖冬、冷夏、梅雨明けの早さで売上と利益が振れる。前期は需要期の気温が高く暖房が減収になり、除湿機も梅雨明けが早く減収だった。利益は第3四半期に集中するため、年間では天候ひとつで計画が崩れる。
設備投資が収益につながらない
設備投資は今期34億円(前期27億円)と増える。ヒートポンプの生産能力の拡充に使うが、需要が補助金に左右されるため、稼働が上がらなければ減価償却の負担だけが残る。投資が営業利益の4倍を超える年は、利益ではなく資産の価値を削っている。
今後の分かれ目
- 石油暖房機の売上が年5%以上のペースで減り始めたら
- 暖房の台数前提を下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。利益の大半を稼ぐ事業の崩れなので、売上の比率以上に影響が大きい。
- エコキュートの補助金が縮小・終了したのに、台数が減らなかったら
- 住宅設備の台数前提を上げ、やや楽観に重みを移す。補助金なしでも売れるなら、需要の土台が強いと見直せる。
- 自社株買いや特別配当などで、余った金を戻す方針が数字で示されたら
- 楽観寄りに確率を移し、余った金の戻り方の前提(0.5)を上げる。現状の評価で最も大きな変化になる。
- 中期計画の経常利益目標(15億円)に届かなかったら
- 利益率の前提を下げる。目標を一度下げた計画に、さらに届かないなら、実行力の評価も下げる。
- 安定株主(コロナ興産・財団)が株を売る、またはTOBが出たら
- 価値の前提が大きく変わる。TOB価格が純資産に近いのか、金融資産を割り引いた価格なのかを見る。
- 営業利益率が3%を超えて定着したら
- 過去12年の最高圏を超えるので、構造が変わったかを確認し、中立の利益率を引き上げる。
見ておくもの
- 暖房機器の売上・台数(石油ファンヒーター・ポータブルストーブ)と、会社の暖房売上計画の達成度
- エコキュートの台数と業界の出荷(日本冷凍空調工業会)、補助金の予算・要件の変更
- 営業利益率と販管費(人件費・業務合理化費用)、中期計画の経常利益目標の修正
- 自社株買い・特別配当・政策保有株の売却の開示、大株主(コロナ興産・財団)の持ち株の動き
倍率と資本コストの決め方
今の株価や純資産倍率0.35倍には寄せていない。売上は台数(実質)×単価(名目、物価の10年1.34倍が基本)で積み、暖房は台数が年3〜4%減る前提を置いた。利益率は過去12年の山(3.2%)以下にとどめ、本社費・研究費・販管費も物価で上がる前提で製品別の利益率に含めた(中期計画の経常利益目標が下がった実績を重視)。倍率は、事業のROEが資本コスト8.25%(基本7.5%に循環+0.5%・値決め力+0.25%・寿命+0.5%)以下なので、PERの上限1÷k=11.4倍から、利益の質を見て7〜9割に置いた。余った金融資産225億円は、利息分(1.4%)を利益から外し、帳簿の額に戻り方0.5を掛けて足した。貯めた金を額面で数えると今の株価が割安に見えるが、動かない金は額面の価値を持たないというのが筆者の見立てだ。新リース会計基準(2028年3月期から)は、営業所の賃借が小さいため影響は軽く、10年後の数字も今と同じ形(家賃を営業費用に含む)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.12 倍・やや楽観 PER 9.8→12.12 倍・中立 PER 9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。