結論
ハリバートン(Halliburton)は、水圧破砕(圧力ポンプ)と坑井の仕上げに強い、世界第 2 位の油田サービス会社である。2025 年は売上 222 億ドル、調整後の営業利益 31 億ドル(利益率 約 15%)、減損等を引いた GAAP の純利益は 13 億ドル。売上の約 56% は国際、約 44% は北米で、北米の陸上(シェール)の稼働と価格に最も敏感な大手でもある。
2026 年は中東の戦争でイラクやクウェートの陸上が止まり、北米も E&P が高い原油でも設備投資を増やさなかったため、調整後の営業利益率は 12%(4〜6 月期)まで下がった。ただし会社は、国際(中東を除く)が 2026 年に低い 2 桁で伸び、2028 年までに年 25〜30 億ドルの国際売上を上乗せする計画を「前倒し」と言い、7〜9 月期は利益率が 125〜175bp 上がる見通しを示した。
10 年先は、北米と国際それぞれを「市場の大きさ × シェア × 価格」で積んだ。中立では売上が年 4% 台、営業利益率は長期の平均に近い 13% 台に戻る。資本コストは 9.5%(基本 8.0% に、北米の稼働の循環 1.0% と価格を決められない分 0.5%)、長期の成長は 3.5%(市場の実質 +0.5%・シェア維持・価格は物価に 0.5% 届かない)、倍率は利益ベースの正当化 PER(ROE 21.5% から RONIC 15.5%、北米の価格競争で上限の 8 割)で、10 年の中立は 11.2 倍。確率加重の本質価値は今の時価総額(286 億ドル)を 1 割弱下回り、総合は適正(差 −10% 前後)である。悲観は北米の稼働が 4 割落ちる不況の底と、電動化・自動化による構造的な単価の崩れを合わせて 12% ずつ置いた。今の株価は 2026 年の谷の利益を前提にしており、利益率が長期の平均に戻るだけで差が出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るのは「10 年後に北米の稼働が減っても、国際の利益で資本コストを上回るオーナー利益が出るか」である。ハリバートンは、油田サービスの中では堀が深い方である。圧力ポンプの規模、電動・自動化の技術、国営石油会社との契約、仕上げ工具と掘削の抱き合わせ、が同じ会社にある。しかし商品価格に連動する顧客の設備投資が売上を決め、価格を決められない循環の事業であることは変わらない。
良い点は 3 つ。(1) 株主への還元が毎年 FCF の 8 割を超え、規律がある。(2) 純負債は EBITDA の 1.4 倍で、悲観でも配当を守れる。(3) 2026 年は谷(調整後の営業利益率 12%)にあり、利益が平均に戻るだけで 5〜6 割の差が出る。
気になる点は 3 つ。(1) 北米の稼働が景気で 4〜5 割動く。(2) 2025〜26 年の減損の理由(班の評価損)が、将来の追加の減損の種になる。(3) 2026 年の GAAP の PER 22 倍は、利益が谷にあるためで、調整後の 13 倍前後と見ても安くはなく、安全域は利益率の戻りの確信度に比例する。
評価は、中立で営業利益率を 12〜13% 台(2021〜2025 年の平均 15% より低く、過去 12 年の平均 11% よりやや高い)にとどめ、15% を超える年は楽観だけに置いた。本質価値は今を 1 割弱下回る。ほぼ適正だが、利益率の戻りが遅れれば割高に傾く。分かりやすい事業だが、確信度は中程度である。
何で稼ぐ会社か
売上は大きく 2 つの地域に分かれる。北米(2025 年 約 97 億ドル)は、シェールの E&P 向けに、水圧破砕のポンプ車(圧力ポンプ)、坑井の仕上げ工具、人工採油、掘削・評価を売る。ハリバートンは米国の圧力ポンプで最大手とされ、電動の班(ゼウス)やガス燃料で動かす班を持つ。収入は E&P の掘削・仕上げの件数と、1 班あたりのサービス単価で決まる。2026 年は 4〜6 月期に売上 23 億ドル(前期比 +7%)まで戻り、会社は北米で 30 超のリグが追加されていると言う。電動とガス代替の班は市場に空きがほとんど無く、値上げが「着実な行進」として続いている。
国際(2025 年 約 125 億ドル)は、国営石油会社と国際石油会社向けで、仕上げ機器の販売、坑井の建設(掘削・セメント・評価)、生産化学、統合油田管理(イラクの大型契約など)、デジタル(LOGIX など)が中心である。欧州・アフリカ(4〜6 月期 10 億ドル、前期比 +19%)、中東・アジア(13 億ドル)、ラテンアメリカ(11 億ドル)の 3 つに分かれる。YPF(アルゼンチン、複数年・数十億ドル)、ソナトラック(アルジェリア、同国初の非在来)、トタルエナジーズ(スリナム)、サウジのジャファーラなど、2026 年に取った契約が 2027 年以降の売上になる。
このメモでは、北米を「市場 800 億ドル × シェア 12.1%」、国際を「市場 1,500 億ドル(北米・ロシア・中国を除く)× シェア 8.3%」と置いた。会社は市場規模を開示しないので推定である。会社の内部の区分は、仕上げ・生産(C&P、売上 約 130 億ドル)と掘削・評価(D&E、同 約 92 億ドル)である。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に、米国の圧力ポンプでの規模と、ゼウス(電動)・ガス代替の班という技術で、E&P から見て班の質と稼働率で選ばれる(Kimberlite の評価では、リバティと並ぶ上位で、価格は市場より上)。第 2 に、仕上げ工具と坑井の建設を同じ会社が持ち、複数の工程をまとめて契約できる。第 3 に、国営石油会社との長期の関係(サウジ・イラク・アルゼンチン)である。
弱い所も多い。第 1 に、サービス単価は E&P が決める。2015〜2020 年の営業利益率は 3〜9% まで落ち、ROE も赤字の年があった(2016 年の純損失 58 億ドル、2020 年 29 億ドル)。第 2 に、北米の圧力ポンプは SLB が 2020 年に売却して撤退した後も、リバティ・エナジー、パターソン・UTI(Patterson-UTI)、プロフラック(ProFrac)などが競い、設備は重く、景気が悪い時の固定費が大きい。第 3 に、同業の SLB は国際の比重が高く、受注残の厚さと利益率で上回る(ハリバートンの国際売上は SLB の半分以下)。
経営は、2020 年以降、事業を絞り、価格を優先して班を国際へ移す(会社は「戻りが出る所へ班を動かすのに迷いは無い」と述べた)など、シェアより利益を重視している。ROE は 2023 年に 28%・2024 年に 24% まで戻ったが、2025 年は減損等で 12% に下がった。「安定して高い」実績は、減損が続くので割り引いて見る必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
油田サービスは E&P の設備投資で決まる。2026 年は中東の戦争で Brent が 100 ドルを超えたが、E&P は資本規律を守り、北米の設備投資は小幅に減り、国際はロシアを除いて +1〜2% にとどまる。高い原油でも設備投資を増やさない点は、ハリバートンの売上が 2026 年に前年並みの約 225 億ドルにとどまる理由である。
北米の位置は「底から戻る途中」である。2025 年 10〜12 月期に前期比 −7% まで落ち、2026 年 1〜3 月期は前年比 −4%、4〜6 月期に前期比 +7% と戻った。リグが 30 超増え、電動・ガス代替の班に空きが無く、値上げが続く。ただし E&P の 2027 年の設備投資がカギで、効率化(同じ生産に要る班が減る)が続けば稼働は伸びない。
国際は構造的に伸びる。オフショアの FPSO の締まりは 2027 年後半にかけてで、ラテンアメリカ・アフリカ沖・北海の案件が出る。中東は 2026 年の戦争で止まった陸上の活動が戻れば上振れする。
競争は、国際で SLB・ベーカー・ヒューズ・ウェザーフォード(Weatherford)・NOV、北米で SLB の撤退後にリバティ・エナジー・パターソン・UTI・プロペトロ(ProPetro)。米国の LNG 輸出や電力需要で天然ガスの掘削が増えれば北米にも追い風だが、天然ガスの生産は随伴ガスで応えるため、ガス井の追加の掘削は限られる。業界ノートの中立(北米の稼働は年 −1%・国際は年 +2%・北米の単価は年 +1%)をそのまま使った。
資本政策と M&A
還元:配当は年 6 億ドル前後で、2025 年の自社株買いは 10 億ドル、FCF の 85% を株主に返した。2026 年 4〜6 月期の買い戻しは 約 2 億ドルで、会社は「過去 2 年の水準へ戻す」とした。2026 年の設備投資は約 11 億ドル。正味の還元(自社株買い+配当から株式報酬の増加分を引く)は、中立で 10 年 197 億ドル(年 20 億ドル)とした。
M&A:大型の買収は 2016 年のベーカー・ヒューズとの合併(独占禁止の理由で中止)以降無く、2025〜26 年は掘削技術の小さな買収(指向性掘削の事業を LOGIX に統合)にとどまる。純負債は 61 億ドル(時価総額の 21%)、EBITDA の約 1.4 倍で、格付けも安定している。
資本政策は規律がある一方、2025 年と 2026 年 1〜3 月期に減損等が合計で 10 億ドル超出た。価格より稼働を取るために投資した設備の評価損と見られる。のれんが 29 億ドル前後(推定)あり、悲観の筋書きでは減損を入れた。TOB・再編の可能性は低い。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 3.1 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年は谷である、という見方である。第 1 に、北米は底を打った。4〜6 月期に前期比 +7%、リグは 30 超追加、電動・ガス代替の班は空きが無く、値上げが続く。2028 年に価格が物価並みに戻れば、北米の営業利益率は 16% に戻る。第 2 に、国際は計画より早い。会社は 2028 年までの年 25〜30 億ドルの国際売上の上乗せを前倒しと言い、アルゼンチン(YPF)、アルジェリア(ソナトラック)、スリナム、サウジのジャファーラ、イラクの統合油田管理が、2026〜27 年に売上になる。欧州・アフリカは前期比 +19%。第 3 に、中東の戦争が収まれば、止まっていた陸上が戻り、利益に約 6〜8 億ドルの上振れが出る。第 4 に、7〜9 月期は C&P の利益率が 125〜175bp、D&E が 25〜75bp 上がる見通しで、2027 年も上向く。
この見方では、2035 年の純利益は 55 億ドル超、ROE は 30% を超え、式の倍率は 15 倍台になる。会社が自社株買いを続ければ、1 株あたりの価値はさらに増える。
慎重な見方
2026 年の高い原油でも設備投資が増えなかった事実が、構造を物語る、という見方である。第 1 に、北米の E&P は買収で大きくなり、資本規律を優先して高い原油でも稼働を増やさない。効率化で同じ生産に要る班が減り続ければ、北米の売上は物価に届かない。リバティ・エナジー・プロフラックなどが値引きで班を守ると、ハリバートンのプレミアム価格は守れない。第 2 に、2025 年と 2026 年 1〜3 月期に合計 10 億ドル超の減損が出た。班の評価損は、設備が過剰だった証拠である。第 3 に、国際の伸びは SLB が先行し、国営石油会社は自社サービス部門を育て、価格は物価に届かない。中東の戦争の収束で一時の遅れが戻っても、2027 年には原油が下がり、E&P の支出が絞られる。第 4 に、電動化と自動化で水圧破砕の単価が下がる。
この見方では、2035 年の純利益は 19 億ドルにとどまり、式の倍率は 12 倍台、ROE は 15% で、10 年後の時価総額は今の 1.2 倍にとどまる。
どちらに重みを置いたか
強い方は、利益率が谷にあるという事実(調整後 12% 対 2021〜2025 年の平均 15%)と国際の契約の積み上がりに立つ見方だが、北米の価格が物価に届かない事実と減損の履歴も強い。確率は楽観 8%・やや楽観 20%・中立 36%・やや悲観 24%・悲観 12% とし、やや悲観を厚く置いた。理由は、E&P の資本規律が 2026 年に実績で確認された点と、北米の専業の過剰設備である。悲観の 12% は、電動化・自動化で構造的に負けて減損が出る筋書きとした。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 40.21 ドル343 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 21.60 ドル184 億ドル)。 今の値に割り戻すと 29.95 ドル255 億ドル、今との差 −9.8%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 9.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 85.79 ドル732 億ドル | 30.82 ドル263 億ドル | +251.3% | +13.4% | 9.33 ドル80 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 58.94 ドル503 億ドル | 26.37 ドル225 億ドル | +157.0% | +9.9% | 17.06 ドル146 億ドル |
| 中立 | 36% | 43.97 ドル375 億ドル | 23.08 ドル197 億ドル | +102.0% | +7.3% | 24.14 ドル206 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 20.82 ドル178 億ドル | 17.92 ドル153 億ドル | +16.7% | +1.6% | 9.30 ドル79 億ドル |
| 悲観 | 12% | 6.08 ドル52 億ドル | 10.42 ドル89 億ドル | −50.3% | −6.7% | 1.98 ドル17 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 40.21 ドル343 億ドル | 21.60 ドル184 億ドル | +86.2% | +6.4% | 61.81 ドル527 億ドル |
今の株価時価総額 33.19 ドル283 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:実質 90 ドルの原油で E&P が増産し、国際が伸び、北米の価格が戻る 利益 57 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 85.79 ドル732 億ドル
北米は市場が実質年 +1% で 884 億ドル、シェア 12.5%、価格 1.43 倍(物価並み)で売上 158 億ドル、営業利益率 17%。国際は市場が実質年 +2.5% で 1,920 億ドル、シェア 9.5%(2028 年までの年 25〜30 億ドルの上乗せが積み上がる)、価格 1.43 倍で売上 261 億ドル、営業利益率 21%。売上は合計 419 億ドル。営業利益 75 億ドル。純利益 56.6 億ドル、自己資本 180 億ドル(ROE 31.5%)。ゼウスなどの電動・自動化の技術で価格を決める力が上がり、リバティ・エナジーなど専業の値引き競争から抜ける。SLB の国際の優位は残るが、ハリバートンは掘削と仕上げをまとめる強みで北米外のシェアを伸ばす。
- 北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む):数量 884(北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 17.9%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 158 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
- 国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ):数量 1,920(北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 13.6%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 261 億ドル・営業利益 55 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。事業の帳簿 ROE 31.4% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 20.5%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 14.6 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 15.2 倍に対し、国際の大型契約で利益が最も厚い筋書きだが、北米の価格競争が残るので、上限の 8.5 割(12.93 倍)に置いた。
確率:実質 90 ドルの原油が 10 年続く必要があり、業界ノートの楽観に近いので 8%。
やや楽観 20% やや楽観:国際が年 +4〜5% で伸び、北米の利益率が 14.5% に戻る 利益 42 億ドル · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 58.94 ドル503 億ドル
北米は市場 840 億ドル、シェア 12.3%、価格 1.40 倍で売上 145 億ドル、営業利益率 14.5%。国際は市場 1,800 億ドル、シェア 9.0%、価格 1.40 倍で売上 227 億ドル、営業利益率 19%。売上は合計 372 億ドル。営業利益 57 億ドル、純利益 41.9 億ドル、自己資本 162 億ドル(ROE 25.9%)。競合との関係では、北米でパターソン・UTI(Patterson-UTI)・リバティ・エナジーと分け合い、ハリバートンが最大手を保つ。国際は SLB が売上で上回るが、ハリバートンは北海・ラテンアメリカ・サウジの契約で差を縮める。
- 北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む):数量 840(北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 17.2%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 145 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
- 国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ):数量 1,800(北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 12.6%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 227 億ドル・営業利益 43 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。事業の帳簿 ROE 25.9% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 17.7%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 14.1 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 14.6 倍に対し、同じく北米の価格競争が残るので、上限の 8.2 割(12.00 倍)に置いた。
確率:国際の伸びが計画どおり続くが、北米の価格が物価に届かない期間が残る。20% とした。
中立 36% 中立:売上は年 +4% 台、利益率は 12〜13% 台、価格は物価にやや届かない 利益 33 億ドル · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 43.97 ドル375 億ドル
北米は市場が実質年 +0.3% で 824 億ドル、シェア 12.1% を維持、価格 1.35 倍(物価 1.41 倍に届かない)で売上 135 億ドル、営業利益率 12.5%。国際は市場が実質年 +1.4% で 1,715 億ドル、シェア 8.7%、価格 1.38 倍で売上 206 億ドル、営業利益率 17.5%。本社費ほか −6.5 億ドル。売上は合計 341 億ドル。営業利益 46 億ドル、純利益 33.4 億ドル、自己資本 155 億ドル(ROE 21.6%)。競合との関係では、SLB が 2020 年に米国の水圧破砕をリバティに売却して以来、北米の圧力ポンプはハリバートン・リバティ・エナジー・パターソン・UTI が分け合う形が続く。国際は SLB・ベーカー・ヒューズ・ウェザーフォード(Weatherford)と受注を取り合い、ハリバートンのシェアは小幅に伸びるだけ。
- 北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む):数量 824(北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 16.3%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 135 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
- 国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ):数量 1,715(北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 12.0%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 206 億ドル・営業利益 36 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。事業の帳簿 ROE 21.5% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 15.5%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 13.5 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 14.0 倍に対し、北米の価格競争で上限の 8 割(利益は景気で振れるため)、上限の 8.0 割(11.23 倍)に置いた。
確率:業界ノートの中立(E&P の名目設備投資は 10 年で年 +3%、価格は物価に届かない期間がある)。議論の落としどころで 36%。
やや悲観 24% やや悲観:E&P の資本規律が続き、北米の市場が縮み、価格が物価を大きく下回る 利益 19 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 20.82 ドル178 億ドル
北米は市場が実質で縮み 700 億ドル、シェア 11.5%、価格 1.25 倍で売上 101 億ドル、営業利益率 10%。国際は市場 1,550 億ドル、シェア 8.1%、価格 1.30 倍で売上 163 億ドル、営業利益率 15%。売上は合計 264 億ドル。営業利益 29 億ドル、純利益 18.6 億ドル、ROE 15.0%。競合との関係では、リバティ・エナジー・プロフラックなど北米の専業が電動の班で追いつき、ハリバートンのプレミアム価格が維持できず、シェアが下がる。国際は国営石油会社の自社サービス部門が拡大し、SLB に価格を合わせる。減損 約 8 億ドルを自己資本から引いた。
- 北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む):数量 700(北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 14.4%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 101 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
- 国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ):数量 1,550(北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 10.5%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 163 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。事業の帳簿 ROE 15.0% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.3%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.2 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 12.7 倍に対し、北米の稼働が縮み価格が崩れる構造なので質を落として、上限の 7.5 割(9.55 倍)に置いた。
確率:E&P の資本規律(高い原油でも増やさない)が 10 年続き、北米の効率化で稼働が減る筋書きで 24%。
悲観 12% 悲観:電動化と自動化で単価が崩れ、北米が縮み、もう優良ではなくなる 利益 6 億ドル · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 6.08 ドル52 億ドル
北米は市場が 560 億ドル(実質年 −3.5%)、シェア 10.8%、価格 1.15 倍で売上 70 億ドル、営業利益率 7%。国際は市場 1,350 億ドル、シェア 7.2%、価格 1.15 倍で売上 112 億ドル、営業利益率 12%。売上は合計 182 億ドル。営業利益 13 億ドル、純利益 5.8 億ドル。北米の設備とのれんの減損 約 25 億ドルを自己資本から引き、自己資本 96 億ドル(ROE 6.0%)。競合との関係では、リバティ・エナジーの電動班と国営石油会社の内製化に押され、ハリバートンは SLB に差をつけられる。配当は維持するが自社株買いは小さく、もう優良な会社ではない。
- 北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む):数量 560(北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 12.4%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 70 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
- 国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ):数量 1,350(北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値))× 価格 8.3%(ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00))→ 売上 112 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場(2025 年ドル)× シェアと価格指数
倍率:k = 8.0% + quality +1.5% = 9.5%。この筋書きの事業の帳簿 ROE 6.0% は k 以下なので、ためた利益は額面を下回る価値で PER は 1÷k = 10.5 倍が上限。電動化・自動化で構造的に負けて減損が出る筋書きなので上限の 8.5 割(8.95 倍)。
確率:電動の水圧破砕・自動化で単価が構造的に下がり、E&P の設備投資が実質で縮む。12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米(陸上の水圧破砕・仕上げ・人工採油・掘削、メキシコ湾を含む)
米国・カナダの E&P(シェール中心)向けの圧力ポンプ(水圧破砕)、坑井の仕上げ、人工採油、掘削・評価。
| 数量北米の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値) | 価格ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 800 | 12.1% | 97 | 13 |
| 10 年後 中立 | 824 | 16.3% | 135 | 17 |
取り方:市場 800 億ドル × シェア 12.1%(推定。会社は市場規模を開示しない)。2025 年の北米売上は約 97 億ドル(四半期の値から推定)、調整後の営業利益率 約 13%。2025 年は価格指数 1.00。
国際(中東・アジア、欧州・アフリカ、ラテンアメリカ)
国営石油会社・国際石油会社向けの仕上げ機器・坑井の建設・生産化学・統合油田管理(イラクなど)・デジタル。
| 数量北米・ロシア・中国を除く世界の油田サービス市場(億ドル、2025 年のドル価値) | 価格ハリバートンのシェア × 名目の価格指数(2025 年は指数 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 8.3% | 125 | 23 |
| 10 年後 中立 | 1,715 | 12.0% | 206 | 36 |
取り方:市場 1,500 億ドル × シェア 8.3%(推定)。2025 年の国際売上は約 125 億ドル(Q4 の 35 億ドルなどから推定)、調整後の営業利益率 約 18%。本社費ほか −4.5 億ドルを別に引く(全社の調整後営業利益 31 億ドル)。
リスクと懸念
北米の稼働の循環
2015〜2016 年は北米のリグが約 7 割、2020 年は約 5 割減り、ハリバートンの売上は 2019→2020 年に 36% 減った(224 → 144 億ドル)。営業利益率は 4% まで落ち、純損失は 29 億ドル。同じ打撃が来れば、北米の市場は 4 割縮み、営業利益率は 2% まで落ちる。
E&P の資本規律と効率化
2026 年は Brent が 100 ドルを超えても、E&P は北米の設備投資を増やさなかった(北米は前期比 +7% だが前年並み)。同じ生産に要る班が効率化で減り続ければ、稼働は物価で伸びない。中立は北米の市場を年 −1% と置いた。
圧力ポンプの供給過剰と価格
北米の水圧破砕は、リバティ・エナジー・パターソン・UTI・プロフラックなどが競う。班が過剰になれば値引きが始まる。会社は「誰も作りすぎていない」と言うが、2025 年 10〜12 月期は前期比 −7% だった。価格が物価に届かない前提を中立に入れた。
中東の戦争と国際の遅れ
国際の約 4 割が中東・アジアで、2026 年 1〜3 月期は前年比 −13%(イラク・クウェートの陸上)、会社は戦争の影響を 1〜3 月期で純利益の約 2 億ドル、4〜6 月期で約 6〜8 億ドルの押し下げと見た(TIKR の推計を含む)。7〜9 月期は現状維持を前提とし、回復は織り込まない。収束が遅れれば国際の利益率が下がる。
減損の連続
2025 年の減損等は税引き前で約 8 億ドル、2026 年 1〜3 月期にさらに 3.6 億ドル。のれん 29 億ドル前後と、北米の班の簿価が、不況で追加の減損になりうる。悲観では 25 億ドルを自己資本から引いた。
競争と技術の置き換え
電動の水圧破砕・自動化で、単価が下がる構造がある。ゼウスを持つハリバートンは先行するが、リバティなどの電動班が追いつけば価格は下がる。SLB は国際で、国営石油会社は自社サービスで、ハリバートンの国際の伸びを奪う可能性がある。
今後の分かれ目
- 2027 年に E&P の設備投資が前年を明確に上回る(高い原油が続く)
- 北米の稼働が 2028 年に 800 億ドル近くへ戻り、値上げが物価並みに届く。やや楽観・楽観の確率を上げる。
- 国際(中東を除く)の売上が 2026〜27 年に低い 2 桁の成長を維持する
- 国際の売上は 2028 年に 160 億ドル近くになり、シェア 8.5% 以上が見える。10 年の中立の国際の伸びを上げ、やや楽観を厚くする。
- 北米の圧力ポンプで班の値引きが再開し、会社の北米の営業利益率が 10% 台前半に落ちる
- 価格が物価に届かない前提が崩れ、やや悲観・悲観の確率を上げる。減損の追加もありうる。
- 中東の戦争が収束し、イラク・クウェートの陸上が戻る
- 中東・アジアの売上が前年比で +10% 超になり、利益率が国際で 1〜2 ポイント上がる。中立の純利益を上振れ方向に見直す。
- 電動の班(ゼウス)の追加の契約が出て、競合の電動班の空きが無いまま続く
- 北米の価格決定力が戻り、10 年の北米の営業利益率 12.5% が上振れる。やや楽観の確率を上げる。
- リーマン級の需要の落ち込みが来る(Brent が 50 ドル台、北米の稼働 −4 割)
- 悲観に近づく。配当は守れる(純負債は EBITDA の 1.4 倍)が、自社株買いは止まる。
見ておくもの
- 北米の売上(四半期)と C&P の営業利益率(2026 年 4〜6 月期 15% → 7〜9 月期に +125〜175bp)
- 国際(中東を除く)の売上の伸び(2026 年は低い 2 桁)と、YPF・ソナトラック・サウジ・イラクの契約の売上化
- E&P の 2027 年の設備投資の発表(高い原油でも増やすか)
- 北米のリグ数と圧力ポンプの稼働班、電動・ガス代替の班の空き
- 減損等の追加(のれん 29 億ドル前後)と純負債の EBITDA 倍率(1.4 倍)
- 中東の戦争の収束とイラク・クウェートの陸上の再開
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)、k は 9.5%(8.0% + quality 1.5%)、RONIC は k + 1/2 ×(事業の ROE − k)、g は上限の 4%(本文の長期の成長 3.5% の内側)。中立は式の上限(×(1+g))の 8 割、北米の価格競争と景気の循環があるので上限いっぱいには置かない。悲観側は 7〜8 割台、悲観は ROE が k を割るので 1÷k の 85%。今の PER・過去の倍率・同業の倍率は根拠にしていない。結果の差と適正の 5 段階はそのまま受け入れた。利益(数量 × 価格)と確率は変えていない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.5% = 9.5%(決まり v2。β は使わない)。北米の稼働の循環は cycle・pricing で見た。中東・価格の弱さは k に足さず、確率と筋書きで表した。