株譜
AI 銘柄分析 · エネルギー · 試作

フィリップス66 PSX

製油の弱さをミッドストリームと CPChem で補う多角の会社。2026 年の戦争のクラック高を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER で中立のクラックを測ると届かない(割高)

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)112.18 ドル458 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)284.6 ドル1,161 億ドル差 −60.6%
10 年後から見ると 割高 価値 112.18 ドル458 億ドル · 差 −60.6% · 期待の年率 −2.0%
期待の年率リターン(10 年)−2.0%資本コスト比 −12.0 pt
推定の資本コスト10.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 10.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

フィリップス 66 は、米国の石油精製で 4 位の大手(原油処理能力 約 199 万 b/d)に、NGL(天然ガス液)を中心としたミッドストリーム、化学品の合弁 CPChem(シェブロンと 50% ずつ)、燃料・潤滑油のマーケティング、再生可能ディーゼルを重ねた多角経営の会社である。2025 年の調整後の税引き前利益は 36 億ドルで、うちミッドストリームが 28 億ドル、製油は 4 億ドルにすぎない。2026 年はホルムズ海峡の封鎖で世界の製品が足りなくなり、4〜6 月だけで調整後利益 38 億ドル(製油の税引き前 31 億ドル)に跳ね、純負債も 220 億ドルから 165 億ドルへ減った。

バリュー投資の観点では、強みは三つある。①利益の土台になる料金型のミッドストリーム(2027 年末に EBITDA の年率 45 億ドルを目標)と CPChem の新設 2 基、②米国の製油能力が閉鎖で縮んでいること、③利益の 5 割超を返す姿勢(2026 年 7 月に自社株買いの枠を 100 億ドル積み増し)。弱みは、製油の収益力が同業の MPC やバレロに劣ること(2025 年は処理 1 バレルあたりの税引き前利益が 0.6 ドル)、化学の値幅が谷にあること、そして今の株価が戦争の異常に高いクラックを織り込んでいることである。

数量 × 価格で積み上げると、業界共通の 3-2-1 クラック(2035 年 28 ドル/バレル)で 10 年後の純利益は 61 億ドル。2026 年の高値の年(95 億ドル級と推定)の 6 割強で、2025 年の事業利益(26 億ドル)の 2 倍余り。資本コストは 10.0%(8.0% + quality 2.0%)、倍率は利益ベースの正当化 PER の 8〜8.5 割で、10 年の中立は 9.2 倍。確率で加重した価値は今の時価総額 1,196 億ドルを約 6 割下回り、割高と出る。ただしミッドストリームの分離・CPChem の売却など、経営が価値を顕在化させる道は上振れの材料として残る。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、PSX は「10 年後も存在するか」と聞かれれば存在し、ミッドストリームについては「今より強い」と言える。NGL の輸送・分留・輸出と、パーミアンのガス処理は、米国のシェールの増産・LNG・化学の原料需要に支えられ、料金型で 10 年続く。一方、製油は価格を決める力がなく、電気自動車で需要が緩やかに減る市場で、同業より収益力が低い。堀は「ミッドストリームの網と CPChem の原料の優位」で、製油は堀とは言えない。

オーナー利益で見ると、2025 年の調整後純利益 26 億ドル(GAAP の 44 億ドルは JET の売却益などの一時益を含む)から、製油所の維持の設備投資(年 11 億ドル)とミッドストリームの成長投資(年 13 億ドル)を考えると、株主のものは 20 億ドル台前半。今の PER 27 倍は 2025 年の低い利益と今の株価の組み合わせで、2026 年(95 億ドル級と推定)の利益で見れば 12〜13 倍に下がる。しかし 2029 年に 3-2-1 が 26 ドルへ戻れば純利益は 2026 年の 6 割弱になる。

資本配分は、高いクラックの 2026 年に借入を返して財務を直し、自社株買いの枠を足した点は評価できるが、買い戻しは今の株価(2025 年利益の 27 倍)では価値を生みにくい。エリオットの要求(ミッドストリームの分離・CPChem の売却)は、経営が分離や売却で価値を顕在化させるかを見る材料で、成功すれば上振れる。事業は読みにくい(クラックと PE の値幅は外から決まる)ので、確信度を中程度に下げ、価格の道筋は中立に置いたうえで、悲観の確率を厚めにした。

何で稼ぐ会社か

売上は五つの事業から成る。製油は米国の主な製油所(ベイウェイ、スウィニー、レイクチャールズ、ポンカシティ、ビリングス、ボルガー、ウッドリバー)と欧州(英ハンバー、独ミロの持ち分)などを合わせた 10 製油所で、原油処理能力 約 199 万 b/d(ロサンゼルス 13.9 万 b/d は 2025 年末に閉鎖。ボルガー・ウッドリバーを持つ WRB は残り 50% を買い取って 2025 年 10 月から 100% 連結)。稼働率は 2026 年 4〜6 月で 96%、クリーン製品歩留まり 86%。実現値幅は 1 バレル 24.08 ドル(1〜3 月は 10.11 ドル)で、捕獲率は 98%。

ミッドストリームは、NGL の輸送・分留・輸出(スウィニーのハブ、コースタル・ベンド)、天然ガスの集荷・処理(2023 年に全株を取得した DCP)、原油・製品パイプライン(グレイ・オークほか)で、2025 年の調整後の税引き前利益は 28 億ドル。会社は EBITDA の年率 45 億ドルを 2027 年末までに(アイアン・メサ、コースタル・ベンドの増強)達成すると説明している。

化学は CPChem(ポリエチレン・オレフィン)の持分法利益で、2025 年は 3.3 億ドルと値幅の谷だが、2026 年 4〜6 月は 4.0 億ドルへ戻り、米国のゴールデン・トライアングル(オレンジ、テキサス)とカタールのラスラファンが 2027 年に完全稼働する計画。マーケティング・スペシャルティは米国の燃料ブランド・卸と潤滑油で、2025 年は 18 億ドル。ドイツ・オーストリアの JET 小売は 2025 年 12 月に 65% を売却した。再生可能燃料はロデオ(カリフォルニア)で、45Z(1 ガロン 0.40 ドル)などの政策次第で 2025 年は −3.8 億ドル、2026 年 4〜6 月は 5.4 億ドル。

収益の構造は、製油が 3-2-1 クラック 1 ドルあたり税引き前で約 4 億ドル動く(処理 7.1 億バレル × 0.55。推定)のに対し、ミッドストリームは物価と投資で年 5% 前後伸びる。2020 年は純損失 40 億ドル、2022 年は純利益 110 億ドルと、同じ会社が 2 年で正反対になった。

優良さと弱いところ

製油は価格を決められないので、優良さは「安く原油を調達して高く売る複雑度・立地」と「波を和らげる第二の足」で決まる。PSX の堀は三つある。①ミッドストリーム:NGL の輸送・分留・輸出網(スウィニー、コースタル・ベンド、フリーポートの輸出)とパーミアンのガス処理(DCP)は、料金・最低数量契約が多く、2025 年は NGL の輸送・分留量が前年比で 22〜23% 増えた。②化学の合弁 CPChem:シェブロンとの折半で、原料の安いエタンを使う米国のメキシコ湾岸の大型設備を持つ。③メキシコ湾岸と中西部(WRB)の立地・複雑度で、2026 年 4〜6 月の捕獲率は 98%。

弱みも明確にある。①製油の収益力:2025 年の製油は処理 7 億バレルで税引き前 4 億ドルと、MPC の R&M(約 46 億ドル)に大きく劣る。経営も 2025 年の株主総会(エリオットの要求で取締役が 2 名入れ替わった)の前後に、製油の運転費を 1 バレル 5.50 ドルへ下げ、稼働率を業界平均より 2 ポイント上げる目標を約束した。②化学の値幅は 1 ポンド 0.14〜0.15 ドルで平均より下。③欧州の製油所は規制と需要減の逆風が強い(ロサンゼルスは閉鎖、英ハンバーは低硫黄ガソリンの投資が必要)。④再生可能燃料は政策で利益が出ない年がある。⑤総負債 206 億ドル・純負債 165 億ドル(時価総額比 約 14%)は借り換えで利息が上がる。経営は 2026 年 4〜6 月に借入を 67 億ドル返済し、2027 年末に総負債 170 億ドルを目標にしており、規律は戻りつつある。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

2026 年の米国の製油は、ホルムズ海峡の封鎖と湾岸・ロシアの製油所の被害で世界の製品が足りず、3-2-1 クラックが 9 月に約 63 ドル/バレル(2022 年 5 月の最高 75.9 ドルに近い)に達した。ディーゼルの在庫は 4 年ぶりの低さで、米国の稼働率は 97.8%。PSX の実現値幅は 4〜6 月に 1 バレル 24.08 ドルと、1〜3 月の 10.11 ドルの 2.4 倍になった。ただし会社自身が「2022 年の繰り返しではなく供給ショック」と説明しており、湾岸の精製(約 300 万 b/d が停止と推計)が戻れば下がる。業界ノートの中立は 3-2-1 が 2029 年に 26・2035 年に 28 ドル(今のドル価値で 20)。米国の製油能力は 2025〜26 年にライオンデルバセルのヒューストン、PSX のロサンゼルス、バレロのベニシアが閉じて約 55 万 b/d(3%)縮み、床を支える。

長期の構造では、電気自動車と効率化でガソリン需要が緩やかに減り、湾岸(ドゥクム・ジャザン)・アジア・ナイジェリア(ダンゴテ)の大型製油所が輸出で競合する。ミッドストリームは、パーミアンのガス生産と NGL の輸出が伸びて需要が強く、競合はエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ、ターガ・リソーシズ、ワンオーク、ウィリアムズなど。化学は、米国のポリエチレンが中国の自給化と新設で供給過剰気味で、ダウ・ライオンデルバセル・エクソンモービルが競合し、値幅は谷にある。

製油の競合は、マラソン・ペトロリアム(精製と MPLX)、バレロ・エナジー(精製の専業に近い)、エクソンモービル・シェブロン(製油は小さな一部)。PSX は米国の製油能力で 4 位に下がった(EIA)が、MPC・バレロより多角で、ミッドストリームが製油の波を和らげる点が違う。

資本政策と M&A

還元は配当と自社株買いで、会社は営業キャッシュフロー(運転資本を除く)の 5 割超を返す方針。2025 年は 31 億ドル、2026 年 4〜6 月は 8.9 億ドル(自社株買い 3.8・配当 5.1)。負債返済を優先して買い戻しを抑えていたが、2026 年 7 月に枠を 100 億ドル積み増し、下期は買い戻しを増やす。配当は年 約 20 億ドルで安定。株式報酬は小さい(年 約 2 億ドルと推定。正味の還元で引く)。

財務は、総負債 206 億ドル・現金 41 億ドル(純負債 165 億ドル)で、2026 年末に純負債 160 億ドル未満、2027 年末に総負債 170 億ドル、その先は純負債 135〜140 億ドルを目指す。借り換えは国債 5% + 0.5〜1% で、brief.py の推定では同じ負債のままなら利払いが 3 年で 2 億・10 年で 4 億ドル増える。負債が減る分と相殺して、本社費・利息として 14 億ドル前後(3 年)・17 億ドル前後(10 年)を置いた。

M&A:買収より有機的な投資を優先すると明言(ミッドストリーム。ウェスタン・ゲートウェイの最終投資判断が 1 か月以内)。2025 年に WRB の残り 50% を取得、JET の 65% を売却、2026 年 4 月に英リンジーの資産を取得。エリオットは 2025 年 2 月に 25 億ドル超を保有してミッドストリームの分離、CPChem 持ち分の売却、JET の売却を求め、5 月の総会で取締役 2 名の入れ替えに成功した(一部の勝ち)。2026 年 8 月にシェブロンが CPChem 持ち分の買い取りに前向きとの報(二次情報・未確認)がある。TOB を受ける可能性は時価総額が大きすぎて低い。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

PSX は、製油の収益力が谷にある今が底で、これから上がる会社である。2025 年の製油は WRB が半分の持分法の期間・ロサンゼルスの閉鎖費用・定期修理が重なって処理 1 バレルあたり 0.6 ドルしか稼げなかったが、2026 年は WRB の 100% 連結、ロサンゼルス閉鎖後の稼働率の上昇(96%)、運転費 1 バレル 5.50 ドルの目標で利益率が変わる。ミッドストリームは EBITDA の年率 45 億ドル(2025 年は約 37 億ドル)を 2027 年末に達成し、パーミアンのガス処理(アイアン・メサ、ゼウス)・NGL 分留(コースタル・ベンド 10 万 b/d)・ウェスタン・ゲートウェイで 2035 年に 68 億ドルの EBITDA へ年 5% で伸びる。

CPChem はゴールデン・トライアングルとラスラファンの新設で能力が約 3 割増え、値幅が平均に戻るだけで持ち分の利益は 2025 年の 3 倍になる。米国の製油能力は 55 万 b/d 縮み、新設の計画はほぼ無く、湾岸の復旧は遅く、2029 年でもクラックが 30 ドル台に居座る可能性は高い。加えて、エリオットの圧力で分離・売却の選択肢が現実にあり、シェブロンが CPChem を買う話も出ている。中立の 2029 年(3-2-1 が 26 ドル)でも純利益 54 億ドルは 2025 年の 2 倍で、k が 7.0% と低い今の決まりなら、倍率は 18 倍まで正当化できる。

慎重な見方

製油は価格を決められず、2026 年の高値は戦争の産物である。2022 年の最高から 1 年でクラックは大きく戻り、PSX の純利益は 2023 年 70 億ドル→2024 年 21 億ドルへ 3 分の 1 になった。会社は製油の目標(運転費・稼働率)を約束したが、2025 年の製油は 4 億ドルしか稼げず、MPC の R&M の約 10 分の 1。人件費・修繕費は物価で上がるので、クラックが物価並みに上がるだけでは製油の利益は増えない。中立の 2035 年は製油の税引き前利益が 10 億ドルと、ほぼ損益分岐になる。

化学は米国のポリエチレンが供給過剰で、値幅は 1 ポンド 0.14〜0.15 ドルと谷にあり、新設 2 基が稼働する 2027 年に供給がさらに増える。ミッドストリームの 45 億ドルの目標は、DCP の統合とパーミアンの生産に依存し、ワハの価格崩れ(2026 年に負の価格)や許認可で遅れうる。再生可能燃料は政策で利益が出ない年がある。2026 年の利益の大半は一回限りのクラック高と時価評価の益で、純負債 165 億ドルも借り換えで利息が上がる。電気自動車と効率化でガソリン需要が減り、湾岸・アジアの新設製油所が輸出に回れば、10 年後の製油は赤字になる。エリオットの分離の要求も、2025 年から実現していない。

どちらに重みを置いたか

中立の筋書きは業界ノートの共通の価格(3-2-1:2035 年 28 ドル)をそのまま使い、人件費・修繕費の物価上昇を製油のコストに入れた。強気の見方はミッドストリームの 45 億ドルの目標と CPChem の新設 2 基を正しく突くので、それらを中立に織り込み、悲観の床をミッドストリームなどを売った税後の手取り(売れる資産)に置いた。慎重な見方は製油の収益力の低さ・化学の値幅の谷・今の高値が戦争の産物であることを正しく突くので、悲観・やや悲観の確率の合計を 37% と厚めにした(MPC は 40%。PSX はミッドストリームと販売が下を支える分だけ薄くした)。結果は慎重な見方の側に寄り、今の値段は 2026 年の異常値を織り込んでいる。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 139.83 ドル571 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 93.85 ドル383 億ドル)。 今の値に割り戻すと 112.18 ドル458 億ドル、今との差 −60.6%、 期待の年率 −2.0%(資本コスト 10.0%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 289.40 ドル1,181 億ドル 188.21 ドル768 億ドル +67.8% +5.3% 33.43 ドル136 億ドル
やや楽観 18% 199.80 ドル815 億ドル 131.60 ドル537 億ドル +16.4% +1.5% 59.65 ドル243 億ドル
中立 38% 137.53 ドル561 億ドル 94.35 ドル385 億ドル −18.5% −2.0% 88.12 ドル360 億ドル
やや悲観 23% 100.48 ドル410 億ドル 68.62 ドル280 億ドル −40.6% −5.1% 38.89 ドル159 億ドル
悲観 14% 58.82 ドル240 億ドル 38.23 ドル156 億ドル −65.9% −10.2% 13.59 ドル55 億ドル
加重平均100% 139.83 ドル571 億ドル93.85 ドル383 億ドル −17.9% −2.0% 233.68 ドル954 億ドル

今の株価時価総額 284.63 ドル1,161 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。

楽観 7% 楽観:クラックが実質 28 ドルに居座り、ミッドストリーム・化学も伸びる 利益 116 億ドル · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 289.40 ドル1,181 億ドル

2035 年の 3-2-1 クラックは名目 39 ドル(今のドル価値で 28)、Brent 127 ドル。米国の製油能力が閉鎖で縮んだまま、湾岸・アジアの新設製油所の稼働が遅れ、電気自動車の普及も遅い。PSX の処理量は日量 202 万バレルを保ち、実現値幅は 1 バレル 21.5 ドルで製油の税引き前利益は 55 億ドル。ミッドストリームは Permian のガス処理の増設(ダズ・ピコス II・ゼウス)、NGL 分留(コースタル・ベンド)、ウェスタン・ゲートウェイの稼働で取扱量が日量 1,000 万バレル相当へ伸び、61 億ドル。化学は新設の分解炉 2 基が定着し、ポリエチレンの値幅が平均並みへ戻って 24 億ドル。純利益は 116 億ドル(2025 年の 4 倍超)。エリオットが求めたミッドストリームの分離などが実現して価値が顕在化する道も、この筋書きなら開ける。倍率は利益ベースの正当化 PER で 10.18 倍。

  • 製油(リファイニング):数量 2.0(製油所の総処理量(百万 b/日))× 価格 177(処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む))→ 売上 1,302 億ドル・営業利益 55 億ドル。処理量×売値・値幅から
  • マーケティング・スペシャルティ:数量 1.3(製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む))× 価格 148(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 675 億ドル・営業利益 20 億ドル。販売量×売値、営業利益率で
  • ミッドストリーム:数量 10.0(取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安))× 価格 3.43(1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利))→ 売上 125 億ドル・営業利益 61 億ドル。取扱量×料金収入(粗利)
  • 化学(CPChem 持ち分 50%):数量 140(CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド))× 価格 0.71(ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド))→ 売上 99 億ドル・営業利益 24 億ドル。CPChem 持ち分の販売量×売値
  • 再生可能燃料(ロデオ):数量 0.1(処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン))× 価格 190(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 8 億ドル。ロデオ(再生可能ディーゼル)

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +2.0% = 10.0%。事業の帳簿 ROE 20.1% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 15.1%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.2 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 12.7 倍に対し、クラックで大きく振れる市況の事業で、上振れは供給の抑制が前提なので、上限の 8.0 割(10.18 倍)に置いた。

確率:米国の閉鎖が続き、湾岸・アジアの新設が遅れ、ガソリン需要の減少が緩やかな場合のみ。供給側の構造(新設の製油所)と逆向きなので 7%。ミッドストリームの伸びで MPC(6%)よりわずかに厚い。

やや楽観 18% やや楽観:クラックは実質 23 ドル、ミッドストリームは年 5% 成長を保つ 利益 86 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 199.80 ドル815 億ドル

2035 年の 3-2-1 は 33 ドル(今のドル価値で 23)、Brent 114 ドル。米国の閉鎖で稼働率が高く保たれ、処理量は日量 200 万バレル、実現値幅は 18.2 ドルで製油は 31 億ドル。ミッドストリームは取扱量日量 970 万バレル相当・料金は物価並みで 58 億ドル(EBITDA 約 71 億ドル)。化学は 18 億ドル、マーケティングは 18 億ドル。純利益は 86 億ドル。倍率は利益ベースの正当化 PER で 9.48 倍。還元は 10 年で 537 億ドル(配当と自社株買い。株式報酬の分を引いた正味)。西海岸の供給が逼迫する中で、ロサンゼルスを閉じたことが利益率の改善に効いた形になる。

  • 製油(リファイニング):数量 2.0(製油所の総処理量(百万 b/日))× 価格 160(処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む))→ 売上 1,170 億ドル・営業利益 31 億ドル。処理量×売値・値幅から
  • マーケティング・スペシャルティ:数量 1.2(製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む))× 価格 148(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 659 億ドル・営業利益 18 億ドル。販売量×売値、営業利益率で
  • ミッドストリーム:数量 9.7(取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安))× 価格 3.43(1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利))→ 売上 121 億ドル・営業利益 58 億ドル。取扱量×料金収入(粗利)
  • 化学(CPChem 持ち分 50%):数量 135(CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド))× 価格 0.71(ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド))→ 売上 95 億ドル・営業利益 18 億ドル。CPChem 持ち分の販売量×売値
  • 再生可能燃料(ロデオ):数量 0.1(処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン))× 価格 190(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 5 億ドル。ロデオ(再生可能ディーゼル)

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +2.0% = 10.0%。事業の帳簿 ROE 15.3% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.6%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 11.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 11.8 倍に対し、同じく市況の事業なので、上限の 8.0 割(9.48 倍)に置いた。

確率:実質 23 ドルは 2025 年の約 22 とほぼ同じ水準で、閉鎖が続けば十分ありうる。ミッドストリームの目標(2027 年末に EBITDA 45 億ドル)が計画どおりに進む前提も含め 18%。

中立 38% 中立:クラックは実質 20 ドル、製油は損益分岐に近く、ミッドストリームが利益の中心 利益 61 億ドル · PER 9.2 倍 · 株価時価総額 137.53 ドル561 億ドル

2035 年の 3-2-1 は名目 28 ドル(今のドル価値で 20)、Brent 101 ドル。米国のガソリン需要は微減(年 −0.5%)で、閉鎖と相殺して処理量は日量 195 万バレル。実現値幅は 1 バレル 15.4 ドルだが、コストは 2025 年比 41% 上がって 14.0 ドル、製油の税引き前利益は 10 億ドルと、ほぼ損益分岐に近い(中立では製油は稼ぎ頭ではない)。ミッドストリームは取扱量日量 950 万バレル相当・料金は物価並みで 55 億ドル(EBITDA 約 68 億ドル。2027 年の 45 億ドルから年 5% 前後の伸び)。化学は 14 億ドル、マーケティングは 17 億ドル、再生可能燃料は 3 億ドル。純利益は 61 億ドルで、実質では 2025 年の事業利益と同程度。倍率は利益ベースの正当化 PER で 9.2 倍。還元は 10 年で 385 億ドル(2026 年の高いクラックの分を含む)。

  • 製油(リファイニング):数量 2.0(製油所の総処理量(百万 b/日))× 価格 145(処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む))→ 売上 1,029 億ドル・営業利益 10 億ドル。処理量×売値・値幅から
  • マーケティング・スペシャルティ:数量 1.2(製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む))× 価格 148(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 648 億ドル・営業利益 17 億ドル。販売量×売値、営業利益率で
  • ミッドストリーム:数量 9.5(取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安))× 価格 3.43(1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利))→ 売上 119 億ドル・営業利益 55 億ドル。取扱量×料金収入(粗利)
  • 化学(CPChem 持ち分 50%):数量 130(CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド))× 価格 0.71(ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド))→ 売上 92 億ドル・営業利益 14 億ドル。CPChem 持ち分の販売量×売値
  • 再生可能燃料(ロデオ):数量 0.1(処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン))× 価格 190(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 3 億ドル。ロデオ(再生可能ディーゼル)

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +2.0% = 10.0%。事業の帳簿 ROE 11.3% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 10.7%(moat normal)、g 4.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 10.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 10.8 倍に対し、ミッドストリームの安定と製油の損益分岐を合わせて中立らしく、上限の 8.5 割(9.20 倍)に置いた。

確率:業界ノートの共通の道筋(2036 年の 3-2-1 は名目 28 ドル、今のドル価値で 20)をそのまま使い、最も厚く 38%。

やや悲観 23% やや悲観:湾岸・アジアの新設が輸出に回り、クラックは実質 16 ドルへ。製油が赤字 利益 35 億ドル · PBR 1.4 倍 · 株価時価総額 100.48 ドル410 億ドル

2035 年の 3-2-1 は名目 23 ドル(今のドル価値で 16)、Brent 85 ドル。湾岸の復旧に加え、ドゥクム・ジャザン・ダンゴテなどの大型製油所が製品を輸出し、電気自動車と効率化でガソリン需要が減る。PSX の処理量は日量 185 万バレル(稼働率 87%)、実現値幅 12.7 ドルはコスト 13.8 ドルを下回り、製油は -8 億ドルの赤字(ロサンゼルスに続く欧州・内陸の弱い製油所の閉鎖・売却も視野)。ミッドストリームは 51 億ドルと利益の主役になり、化学は 9 億ドル。純利益は 35 億ドル。製油の閉鎖費用・減損 20 億ドルを織り込む。時価総額は、ミッドストリームの持ち分などを売った税後の手取りから純負債を返した残り 410 億ドル(床の資産)で測る。還元は 10 年で 280 億ドル。

  • 製油(リファイニング):数量 1.9(製油所の総処理量(百万 b/日))× 価格 126(処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む))→ 売上 850 億ドル・営業利益 −8 億ドル。処理量×売値・値幅から
  • マーケティング・スペシャルティ:数量 1.2(製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む))× 価格 148(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 621 億ドル・営業利益 14 億ドル。販売量×売値、営業利益率で
  • ミッドストリーム:数量 9.0(取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安))× 価格 3.43(1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利))→ 売上 113 億ドル・営業利益 51 億ドル。取扱量×料金収入(粗利)
  • 化学(CPChem 持ち分 50%):数量 122(CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド))× 価格 0.71(ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド))→ 売上 86 億ドル・営業利益 9 億ドル。CPChem 持ち分の販売量×売値
  • 再生可能燃料(ロデオ):数量 0.1(処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン))× 価格 190(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 0 億ドル。ロデオ(再生可能ディーゼル)

倍率:悲観の床は、稼ぐ力(純利益 ÷ k)か、純現金+売れる資産の税後の大きい方(SCHEMA §1-3)。やや悲観の年は製油が赤字で、稼ぐ力(純利益 35 億ドル ÷ k 10.0%)は 約 350 億ドルにとどまる。売れる資産の内訳:ミッドストリームの EBITDA 64 億ドルを 10 倍で売ると 637 億ドル、簿価 220 億ドル(推定)との差の税(21%)約 88 億ドルを引いて 549 億ドル。ここから純負債 約 205 億ドルを返して 344 億ドル。化学(CPChem 持分)は税引き前 9 億ドルの利益の 10 倍に税を引いて 約 70 億ドル、赤字の製油は閉鎖費用と相殺で 0 とみて、合計 約 410 億ドル(担当の見積もり)。 時価総額は 410 億ドルで、今の自己資本 291 億ドルに掛けた PBR 1.41 倍に当たる(PBR は床の資産を今の自己資本で割り戻した換算)。EV でも見た:純有利子負債 205 億ドルは売れる資産から先に返す前提で、床はその後の株主の取り分。

確率:湾岸のドゥクム・ジャザン、アジア、ナイジェリアのダンゴテの新設が製品を輸出に回し、ガソリン需要が減る筋書き。10 年のうちに実際に起きうるので 23%(MPC は 24%)。

悲観 14% 悲観:ガソリン需要が減り、新設製油所に押されて精製が構造的に負ける 利益 2 億ドル · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 58.82 ドル240 億ドル

2035 年の 3-2-1 は名目 17 ドル(今のドル価値で 12)で張り付き、Brent 72 ドル。米国の製油所は輸出で稼ぐ余地を失い、処理量は日量 170 万バレルへ縮み、実現値幅 9.4 ドルはコスト 13.4 ドルを大きく下回って製油は -25 億ドルの赤字。ミッドストリームは 43 億ドルと残るが、化学は PE の供給過剰で 3 億ドル、再生可能燃料は政策の後退で -5 億ドル。純利益はほぼゼロ(2 億ドル)で、もう優良な精製会社ではなく、ミッドストリームの持ち分を持つ会社になる。製油の閉鎖・売却と減損で自己資本は 60 億ドル削られ、配当を約半分に減らし、非中核の資産売却で借金を返す(利息は約 14 億ドルに増える)。時価総額は、ミッドストリームの持ち分などを売った税後の手取りから純負債を返した残り 240 億ドル(床の資産)で測る。還元は 10 年で 156 億ドル。

  • 製油(リファイニング):数量 1.7(製油所の総処理量(百万 b/日))× 価格 110(処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む))→ 売上 679 億ドル・営業利益 −25 億ドル。処理量×売値・値幅から
  • マーケティング・スペシャルティ:数量 1.1(製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む))× 価格 148(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 567 億ドル・営業利益 10 億ドル。販売量×売値、営業利益率で
  • ミッドストリーム:数量 8.0(取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安))× 価格 3.43(1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利))→ 売上 100 億ドル・営業利益 43 億ドル。取扱量×料金収入(粗利)
  • 化学(CPChem 持ち分 50%):数量 110(CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド))× 価格 0.71(ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド))→ 売上 78 億ドル・営業利益 3 億ドル。CPChem 持ち分の販売量×売値
  • 再生可能燃料(ロデオ):数量 0.1(処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン))× 価格 190(1 バレルあたりの売値(ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 −5 億ドル。ロデオ(再生可能ディーゼル)

倍率:悲観の床は、稼ぐ力(純利益 ÷ k)か、純現金+売れる資産の税後の大きい方(SCHEMA §1-3)。悲観の年は純利益が 2 億ドルで、稼ぐ力は無い。売れる資産の内訳:ミッドストリームの EBITDA 56 億ドルを 10 倍で売ると 561 億ドル、簿価 220 億ドル(推定)との差の税(21%)約 71 億ドルを引いて 490 億ドル。ここから、閉鎖費用と赤字で増えた純負債 約 250 億ドルを返して 240 億ドル。化学と製油の資産は減損後の売却額を 0 とみた(担当の見積もり)。 時価総額は 240 億ドルで、今の自己資本 291 億ドルに掛けた PBR 0.82 倍に当たる(PBR は床の資産を今の自己資本で割り戻した換算)。EV でも見た:純有利子負債 205 億ドルは売れる資産から先に返す前提で、床はその後の株主の取り分。

確率:電気自動車・効率化で需要が減り輸出の余地が縮む構造の負け。PSX は精製の専業ではなくミッドストリームが残るので MPC(16%)より少し薄い 14%。ただし化学・再生可能燃料の政策リスクと欧州の製油所もあり、薄めすぎない。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

製油(リファイニング)

米国・欧州の 10 製油所(原油処理能力 約 199 万 b/d)で原油を精製し、ガソリン・ディーゼル・ジェットを売る。クラックで利益が動く。

数量製油所の総処理量(百万 b/日)価格処理 1 バレルあたりの売値(ドル。原油+値幅+その他。マーケティング向けの内部取引を含む)売上営業利益
今 2025/12 2.0 100 712 4
10 年後 中立 2.0 145 1,029 10

取り方:処理量は 2026 年 4〜6 月の日量約 205 万バレル(稼働率 96%)と、ロサンゼルス閉鎖後の能力 約 199 万 b/d・WRB 100% 連結から年換算で 195 万 b/d と置いた。売値は Brent 69+実現値幅約 11(クラック 22 の約 0.55 倍)+その他約 20 で 100 ドル/バレル(推定)。営業利益は調整後の税引き前利益 4.3 億ドル(2025 年は WRB が半分の持分法の期間・ロサンゼルスの閉鎖費用・定期修理が重なって薄い)。値幅の感度は 1 ドルのクラックで約 4 億ドル(7.1 億バレル × 0.55)。

マーケティング・スペシャルティ

米国の燃料卸・小売ブランドと潤滑油・特殊製品、欧州の JET(ドイツ・オーストリアの小売。2025 年 12 月に 65% を売却)。

数量製品の販売量(百万 b/日。内部取引を含む)価格1 バレルあたりの売値(ドル)売上営業利益
今 2025/12 1.6 105 613 18
10 年後 中立 1.2 148 648 17

取り方:販売量は JET を 100% 含む 2025 年の推定(売却後は 35% の持分法になり 1.15 百万 b/d へ縮む)。売値は 105 ドル/バレル(推定)。営業利益は調整後の税引き前利益 18.4 億ドル(営業利益率 3.0%。JET の分を約 4〜5 億ドル含む推定)。

ミッドストリーム

NGL(天然ガス液)の輸送・分留・輸出、天然ガス集荷・処理(DCP)、原油・製品のパイプライン(グレイ・オーク・ダコタ・アクセスなどの持ち分)。料金・最低数量契約が中心。

数量取扱量(百万 b/日相当。NGL の輸送・分留・ガス処理・パイプラインの合計の目安)価格1 バレル相当あたりの粗利収入(ドル。手数料と商品の粗利)売上営業利益
今 2025/12 7.0 2.43 62 28
10 年後 中立 9.5 3.43 119 55

取り方:取扱量は推定(NGL 輸送・分留で記録的な量、年 22〜23% 増)。1 バレル相当 2.43 ドルの粗利収入で 62 億ドル(推定)。営業利益は調整後の税引き前利益 28.3 億ドルで、EBITDA は減価償却 約 8.5 億ドルを足した 約 37 億ドル(推定)。会社の目標は 2027 年末に EBITDA の年率 45 億ドル。非支配持分は利益の約 4.4%(1.25 億ドル)。

化学(CPChem 持ち分 50%)

シェブロンと折半の CPChem(ポリエチレン・オレフィン)の持分法利益。米国メキシコ湾岸の分解炉とカタールの新設で 2027 年に能力が増える。

数量CPChem の販売量の持ち分 50%(億ポンド)価格ポリエチレン相当の売値(ドル/ポンド)売上営業利益
今 2025/12 90.0 0.50 45 3
10 年後 中立 130 0.71 92 14

取り方:販売量の持ち分は推定(CPChem の販売量 約 180 億ポンドの半分)。売値は 0.50 ドル/ポンド。営業利益は調整後の税引き前利益 3.3 億ドルで、値幅が 1 ポンド 0.12〜0.15 ドルの谷に近い年。2026 年 4〜6 月は 4.0 億ドルと戻した。

再生可能燃料(ロデオ)

カリフォルニアのロデオ製油所を再生可能ディーゼル・SAF の工場に転換した事業。RIN・税額控除(45Z)の政策で利益が動く。

数量処理量(百万 b/日。年 約 8 億ガロン)価格1 バレルあたりの売値(ドル)売上営業利益
今 2025/12 0.1 135 25 −4
10 年後 中立 0.1 190 35 3

取り方:処理量は日量約 5 万バレル(稼働率 106% の実績)。2025 年の調整後の税引き前利益は −3.8 億ドル。2026 年は 45Z(1 ガロン 0.40 ドル)込みで 4〜6 月に 5.4 億ドルと一時的に黒字(約 1 億ドルは一回限りの返金など)。

リスクと懸念

クラックの正常化(戦争の高値の反動)

2026 年のクラック(9 月 63 ドル/バレル)は戦争の産物。湾岸の精製(約 300 万 b/d が停止と推計)が戻れば、2027 年に 3-2-1 は 34 ドル前後、2029 年は 26 ドルへ下がる。1 ドルのクラックで PSX の税引き前利益は約 4 億ドル動くので、20 ドル落ちると約 80 億ドルの減益になる(2025 年の調整後の税引き前利益 36 億ドルの 2 倍超)。

製油の収益力の低さ

2025 年の製油は処理 7 億バレルで税引き前 4 億ドル(1 バレルあたり約 0.6 ドル)と、MPC やバレロに大きく劣った。運転費 5.50 ドル/バレル・稼働率の目標を達成できないと、中立のクラックでも製油が利益に寄与しない。欧州(ハンバー、ミロ)と内陸の弱い製油所は閉鎖・売却の候補で、費用と減損が出る。

化学の値幅と新設 2 基の立ち上がり

CPChem のポリエチレンの値幅は 1 ポンド 0.14〜0.15 ドルと平均より下。米国の供給過剰と中国の自給化が続くうえ、ゴールデン・トライアングル(オレンジ)・ラスラファン(カタール)の稼働が 2027 年に重なり、需要が追いつかないと利益は伸びない。シェブロンとの折半で、売却・買い戻しの条件も影響する。

ミッドストリームの目標(2027 年末 EBITDA 45 億ドル)の遅れ

アイアン・メサ・ゼウスなどのガス処理、コースタル・ベンドの NGL 分留、ウェスタン・ゲートウェイ(最終投資判断は約 1 か月以内、供給は 2029 年末)は工期と許認可、パーミアンのガスの出荷制約(ワハの価格崩れ)に左右される。目標が遅れれば、中立の 37 億ドル(2028 年)が小さくなる。

金利・負債(借り換え)

総負債 206 億ドル・純負債 165 億ドル。借り換えは国債 5% + 0.5〜1% で利息が上がる。2027 年末に総負債 170 億ドルの目標だが、クラックが落ちると返済と還元が両立せず、自社株買いが先に細る。

欧州・再生可能燃料の規制と閉鎖

ロサンゼルスは 2025 年末に閉鎖済みで、残る欧州の製油所(英ハンバー、独ミロの持ち分)は燃料規制・需要減の逆風が強い。ロデオ(カリフォルニア)の再生可能ディーゼルも州と連邦の政策に左右される。閉鎖は一時の減損と費用を生む。

ガバナンスと分離の不確実性

エリオットの要求(ミッドストリームの分離、CPChem の売却)は 2025 年の総会で一部だけ通った。分離・売却が実現すれば価値の顕在化になるが、実現しなければ多角の割引が続く。売却が割安な値段で進んだり、分離の税負担が大きかったりすれば、価値を壊す。

今後の分かれ目

3-2-1 クラックが 2027 年に 30 ドルを割り、湾岸の精製が全面復旧する
やや悲観に近づき、純利益は 2028 年に 30 億ドル前後。自社株買いは年 20 億ドル台へ減る。やや悲観・悲観の確率を上げる。
製油の運転費が 1 バレル 5.50 ドル、稼働率が業界平均 +2 ポイントを達成する
製油の税引き前利益は中立より 5〜10 億ドル増え、やや楽観に近づく。製油が堀の一部だと見直せる。
ミッドストリームが 2027 年末に EBITDA 45 億ドルへ届き、2028 年以降も年 5% で伸びる
中立の前提どおり。ウェスタン・ゲートウェイの最終投資判断と稼働が決まれば、2035 年の 68 億ドルが上振れ、やや楽観に移る。
エリオットの要求どおりミッドストリームが分離・売却される
ミッドストリームを EBITDA の 10〜12 倍で評価すると、時価総額への寄与は 450〜600 億ドル(推定)。多角の割引が消えて上振れるが、残る精製・化学・マーケティングは波が大きい。
シェブロンが CPChem の PSX 持ち分を買い取る
売却額は EBITDA の 7〜8 倍が目安(推定)。借入の返済・自社株買いの原資になるが、化学の新設 2 基の収益の取り込みを手放すことになり、時点によっては安く手放すことになる。
電気自動車の普及が早まり、中東・アジアの新設製油所が輸出を増やす
悲観(構造の負け)に移る。製油の閉鎖・減損が出て、ミッドストリームなどを売った税後の手取りが床になり、時価総額は今の 2 割前後。

見ておくもの

  • 3-2-1 クラックの 2027 年の水準(34 ドルで落ち着くか、30 ドルを割るか)と湾岸の精製の復旧
  • 製油の運転費(1 バレル 5.50 ドル)・稼働率(業界平均 +2 ポイント)・捕獲率(95〜98%)
  • ミッドストリームの EBITDA の年率(2027 年末 45 億ドル)とウェスタン・ゲートウェイの最終投資判断
  • CPChem の値幅(1 ポンド 0.14〜0.15 ドル)と新設 2 基(2027 年)の立ち上がり
  • 純負債(2026 年末 160 億ドル未満)と総負債(2027 年末 170 億ドル)、自社株買いの枠(100 億ドル)の消化
  • エリオットの要求(ミッドストリーム分離・CPChem 売却)と取締役会の動き
  • ガソリン需要と電気自動車、湾岸・アジアの製油所の新設、再生可能燃料の政策(RIN・45Z)

倍率と資本コストの決め方

倍率は式だけで置いた:PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)、残る割合は堀で 普通(1/2)。k は 10.0%(8.0% + quality 2.0%)。上限に対しては、市況で大きく振れる価格受容者として楽観・やや楽観を 8 割、中立を 8.5 割に置いた。悲観は稼ぐ力と、ミッドストリームなどを売った税後の手取りから純負債を返した残り(売れる資産)の大きい方。今の PER・過去の中央値・業界ノートの倍率には寄せておらず、結果の差と 5 段階はそのまま受け入れた。利益(数量 × 価格)と確率は変えていない。

資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 2.0% = 10.0%(決まり v2。β は使わない)。クラックの振れ・価格受容者・製油所の閉鎖は cycle・pricing・life で見た。借金の戻りやすさは debt で見た。アクティビストの分離案・西海岸の閉鎖は k に足さず、筋書きと確率(悲観を厚く)で表した。

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やや割安 デボン・エナジーDVN デラウェアとマーセラスを併せ持つ合併後の大手シェール会社。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 8.4 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 2 割ほど上回る(やや割安) 本質価値との差 +23.9% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) 適正 ハリバートンHAL 北米の弱さを国際の大型契約で補う油田サービスの最大手。2026 年の利益は谷にあり、利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 1 割弱下回る(適正) 本質価値との差 −9.8% · 10 年 適正(年 +6.4%) やや割高 ダイヤモンドバック・エネルギーFANG パーミアン専業の低コスト原油生産会社。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 10.8 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の時価総額を 1 割ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −10.4% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 アパッチAPA 石油主体の低コスト生産にエジプトと 2028 年稼働のスリナムを足した会社。戦争の高値を外し、埋蔵量の寿命 6.2 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 1 割あまり下回る(やや割高) 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 ベーカー・ヒューズ・カンパニーBKR 電力・LNG の受注残 400 億ドルに乗る産業機器と油田サービスの二本柱に、チャートを足した直後。利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 2 割弱下回る(やや割高) 本質価値との差 −14.3% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 エクスパンド・エナジー・コーポレーションEXE 米国最大のガス生産者。ハイネスビルとアパラチアの両輪で LNG 需要を取りに行くが、費用は重く利益はガス価格に直結する。埋蔵量の寿命 9.9 年の年金で測ると、本質価値は今の値段を 1 割半下回る(やや割高) 本質価値との差 −15.1% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 SLB(シュルンベルジェ)SLB 国際・オフショアと油田デジタルに強い世界最大の油田サービス会社。利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 1 割半ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −16.5% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 EQTコーポレーションEQT 米国最大級のガス生産者。低コストと純負債 50 億ドルへの接近が強み。埋蔵量の寿命 11.8 年の年金で測ると、本質価値は今の値段を 2 割弱下回る(やや割高)。低コストでも、ガスは価格を決められず、悲観は深い 本質価値との差 −17.8% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ONEOKOKE NGL・ガス集荷処理・精製品導管を一つにした総合ミッドストリーム。質は上位だが借金が重く、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は本質価値をやや上回り(やや割高) 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 キンダーモルガンKMI 米国最大級のガス導管網で質は最上位級。ただ成長は同業より遅く、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は成長を先取りしており、やや割高 本質価値との差 −22.8% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 オキシデンタル・ペトロリアムOXY 借金と優先株を返しながら稼ぐパーミアン中心の石油会社。費用は同業より重く、埋蔵量の寿命 8.7 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の時価総額を 3 割ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −28.9% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) やや割高 ウィリアムズ・カンパニーズWMB 天然ガス幹線で米国最大級。契約に守られた成長は本物だが、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はその成長を先取りし、やや割高 本質価値との差 −29.2% · 10 年 やや割高(年 +2.6%) 割高 EOGリソーシズEOG 無借金に近く費用が最下位級の米国シェール専業。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 12.2 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 3 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 タルガリソースTRGP パーミアンの集荷処理から NGL 分留・LPG 輸出まで一本でつなぐ高成長の会社。質は高いが借金と商品価格への感応があり、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は成長を先取りしている(割高) 本質価値との差 −44.5% · 10 年 割高(年 +0.9%) 割高 エクソンモービルXOM 価格を決められない世界最大級の石油メジャー。低コスト油と厚い財務を持つが、埋蔵量の寿命 11.2 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の値段を 5 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −51.4% · 10 年 割高(年 −1.3%) 割高 コノコフィリップスCOP 世界最大の独立系石油・ガス会社。2026 年の原油高騰を除き、埋蔵量の寿命 8.8 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 5 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −52.9% · 10 年 割高(年 −1.3%) 割高 シェブロンCVX 上流中心の統合石油で財務は厚く、ヘスとテンギズで生産は伸びる。埋蔵量の寿命 7.9 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の値段を 5 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −53.0% · 10 年 割高(年 −2.2%) 割高 マラソン・ペトロリアムMPC 精製の波を MPLX の安定収益で和らげる米国最大級の製油会社。2026 年の戦争の高値を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER で測ると中立のクラックでは届かない(割高) 本質価値との差 −58.7% · 10 年 割高(年 −2.3%) 割高 テキサス・パシフィック・ランドTPL パーミアンの土地・水の通行料で稼ぐ高収益会社。今の値段は成熟後の倍率を大きく先取りしており、寿命 20 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の 3 割ほど(割高) 本質価値との差 −69.3% · 10 年 割高(年 −5.0%) 割高 バレロ・エナジーVLO 米国最大級の製油会社。2026 年の戦争の高値を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER では中立のクラックに届かない(割高) 本質価値との差 −69.9% · 10 年 割高(年 −5.3%)

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読んだ資料

  1. PSX 2026 年第 2 四半期決算(プレスリリース)
  2. PSX 2026 年第 2 四半期決算(8-K 別紙)
  3. PSX 2025 年第 4 四半期・通期決算(8-K 別紙)
  4. PSX 2026 年第 2 四半期の決算説明(要約)
  5. PSX 自社株買いの枠の積み増し(2026 年 7 月)
  6. エリオットの要求(CNBC)
  7. 米国の製油能力の縮小(EIA)
  8. PSX の 2026 年第 2 四半期 10-Q

分析日 2026-10-16