株譜
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エクソンモービル XOM

価格を決められない世界最大級の石油メジャー。低コスト油と厚い財務を持つが、埋蔵量の寿命 11.2 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の値段を 5 割ほど下回る(割高)

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)86.55 ドル3,612 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-21)178.1 ドル7,433 億ドル差 −51.4%
10 年後から見ると 割高 価値 86.55 ドル3,612 億ドル · 差 −51.4% · 期待の年率 −1.3%
期待の年率リターン(10 年)−1.3%資本コスト比 −9.8 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

エクソンモービルは、上流(原油・天然ガスの開発)、精製、化学、潤滑油などのスペシャルティを一体で持つ世界最大級の民間石油会社である。2025 年は売上 3,239 億ドル、営業利益 339 億ドル、純利益 288 億ドル(Brent の年平均 69 ドル/バレル)で、生産量は 470 万 boe/d と 40 年超で最高になった。2026 年は中東の戦争とホルムズ海峡の封鎖で Brent が急騰し、4〜6 月期の純利益は 145 億ドルに達した一方、カタールの液化設備の被害などで生産は 1〜3 月に 460 万 boe/d まで落ちている。

バリュー投資の観点では、強みは三つある。ガイアナ(日量 90 万バレル超の能力が 2029 年末に 170 万超へ)とパーミアンのような低コスト油、純負債が時価総額の 5% に留まる厚い財務、それに 43 年連続で増やしてきた配当である。弱みは、利益の 7 割が原油・ガス・精製値幅という外から決まる価格で動く価格受容者であること、石油需要が 2030 年代に天井を打つ可能性、そして株価が 2026 年の高値の期待を含んでいることである。

数量 × 価格で 10 年を積み上げると、中立の Brent は 101 ドル(2036 年、今のドル価値で 72)で純利益は 516 億ドルになる。資本コストは 8.5%(8.0% + quality 0.5%)で、倍率は利益ベースの正当化 PER を埋蔵量の寿命 11.2 年の年金(g 1%)で頭押さえしたうえ、上限の 8.8 割(統合で利益がならされる質を見た)に置き、10 年の中立は PER 6.5 倍。確率で加重した価値は今の時価総額 7,471 億ドルを約 5 割下回り、割高と出る。10 年の悲観は時価総額 1,155 億ドル(今の 15%)まで下がり、価格の振れは大きい。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、エクソンは『10 年後も存在するか』と聞かれれば存在する。ガイアナ・パーミアン・LNG の資産は 20〜30 年の寿命を持ち、財務は戦争・不況を耐えた実績がある。堀は『低コスト資産と規模と財務』で、広がるとも狭まるとも言いにくい。石油需要が 2030 年代に天井を打てば、堀は広がるのではなく『衰退する市場で最後まで残る低コスト会社』になる。

オーナー利益(株主のものになる利益)で見ると、2025 年の純利益 288 億ドルに対し、維持のための設備投資(減価償却を上回る生産の入れ替え)と株式報酬を引くと実質 250 億ドル前後。2025 年の PER 18 倍(期末)に対し、今は 25.9 倍。これは 2026 年の高値の利益(4〜6 月期の 145 億ドル、年換算で 580 億ドル)を見ているからで、原油が戦争前に戻れば半分以下になる利益である。

資本配分は、買収より自社案件を重視する今の姿は評価できる。一方、上流の入れ替えには毎年巨額が要るので、利益がそのまま株主に渡るわけではない。中立の倍率は埋蔵量の寿命 11.2 年の年金で頭を押さえて 6.5 倍で、k が 8.5% でも今の値段には届かない。今の値段には安全域が無い。事業の質は高いが、価格を予測できない事業なので確信度は中程度に下げ、価格の道筋を中立に置いた上で確率を厚めに悲観側へ配った。

何で稼ぐ会社か

売上は 4 つの事業から成る。アップストリーム(上流)は原油・天然ガスの探鉱と生産で、2025 年に 470 万 boe/d を生産した。パーミアン(テキサス・ニューメキシコ)が 160 万 boe/d、ガイアナが 70 万 b/d 超と、どちらも年間の最高を更新した。ほかにカタール・パプアニューギニア・モザンビークの LNG、カザフスタンのテンギス、UAE のアッパー・ザクムなどを持つ。2025 年の上流の利益は 214 億ドルで、全体の約 7 割を稼ぐ。

エネルギー・プロダクツは精製と燃料の販売で、米国メキシコ湾岸(ベイタウン・ボーモント・バトンルージュ)、シンガポール、欧州の製油所を持ち、2025 年は稼働率の上昇と精製値幅の改善で利益が 74 億ドル(前年の約 2 倍)になった。ケミカル・プロダクツ(エチレン・ポリエチレンなど)は中国の過剰能力でスプレッドが底にあり、利益は 8 億ドル。スペシャルティ・プロダクツ(潤滑油のモービル 1、基油、アスファルト、合成ゴム)は景気に比較的強く、2026 年上期は 16 億ドルで年 3 億ドル台のペース。

収益の構造は、上流で原油価格 1 ドル/バレルあたり純利益 約 5 億ドル(推定)が動き、下流が部分的に逆の動き(原油が上がると精製値幅が縮む年がある)をして平準化する。2025 年 12 月に更新した 2030 年計画は、2024 年比で利益 +250 億ドル・現金フロー +350 億ドル(一定の価格・値幅)、生産 550 万 boe/d、ROCE 17% 超、構造的コスト削減累計 200 億ドルを掲げる。2026 年上期までに 163 億ドルを達成した。課題は、中東の混乱で 2026 年上期の識別項目が 9 億ドル、カタールの被害が長引く可能性、化学のスプレッドの低迷である。

優良さと弱いところ

石油会社は価格受容者で、優良さは『価格を決める力』ではなく『どの価格でも利益が残る低コスト資産』と『財務の厚み』で決まる。エクソンの堀はそこにある。ガイアナは低コストの大規模油田で、損益分岐は Brent 一桁台後半から 30 ドル台の水準とされ、パーミアンは自社の技術で井戸あたりの生産を上げ、2030 年に 250 万 boe/d(2024 年の 2 倍)を計画する。LNG(カタール・ゴールデンパス・モザンビーク・パプアニューギニア)は長期契約で利益の平準化に効く。

財務は純負債 398 億ドル(時価総額の 5.2%)・自己資本比率 58% で、2020 年に純負債が 686 億ドルまで膨らんでも配当を 149 億ドル払い続けた。2014〜25 年の ROE は 28.6%(2022 年)から −14.3%(2020 年)まで振れ、平均は 11% 前後。2022 年の高値でも ROE 29% は 1 年だけで、ならすと資本コストを数ポイント上回る程度である。

弱みは三つ。第 1 に、資本配分の過去:2010 年代にシェールの買収(XTO)、カナダのオイルサンド、ロシアのサハリンで価値を壊した。2024 年のパイオニア買収(全株式取得で約 600 億ドル)は割高だったかを 10 年で判断される。第 2 に、化学は参入障壁が低く、中国の増設で長く底を這う。第 3 に、上流の寿命:毎年、生産の減少を補う新しい油田を買う・見つける必要があり、新規投資の収益率は平均 ROE より低い。経営は計画(コスト削減・生産目標)を前倒しで守る実績があり、規律は高い。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

2026 年の石油市場は、ホルムズ海峡の封鎖を伴う中東の戦争で急騰している。EIA の 10 月の見通しは Brent が 2025 年 69 → 2026 年 96 → 2027 年 84 ドル/バレル、9 月の月平均は 114 ドルだった。湾岸の停止は 3 月に日量 1,000 万バレル超、7 月でも 830 万バレル残るとされ、世界の在庫は 3〜4 月だけで約 2.5 億バレル減った。戦争が収まれば湾岸の生産が戻り、OPEC+ の余剰能力も出てくるので、2026 年の高値は 2027 年の安値の種になる。

米国のシェールは、WTI 63〜70 ドル/バレルが新規採算の線で、その上にある限り生産は横ばいから微増、下回ると 6〜9 か月で減る。この線がエクソンの中立の長期価格(今のドル価値で Brent 72 ドル)の根拠である。統合・再編が進み(エクソンとパイオニア、シェブロンとヘス、コノコフィリップスとマラソン・オイル)、シェール会社の数が減って設備投資の規律が強まった。LNG は米国の輸出が 2026 年に 17 Bcf/d、2027 年に 18.6 へ伸び、電力・データセンターが天然ガスの需要を引く。

長期の構造では、電気自動車と効率化で石油需要が 2030 年代に天井を打つかどうかが最大の分かれ目になる。競合はシェブロン、シェル、ビーピー、トタルエナジーズ、そしてサウジアラムコなどの国営会社。エクソンは世界で上流・精製・化学・LNG を一体で持つ数社の一つで、その規模と投資家向けの規律が競争上の位置である。精製は閉鎖が進み、米国の値幅の床を支える。

資本政策と M&A

還元は配当と自社株買い。2025 年は配当 172 億ドル・自社株買い 203 億ドルの合計 375 億ドルで、純利益 288 億ドルを上回った(FCF は 236 億ドル、差は純負債の増加と手元現金)。2026 年 4〜6 月期は 94 億ドル(配当 43・自社株買い 51)。会社は 2030 年まで年 200 億ドルの自社株買いを続けられるとし、前提 Brent 実質 65 ドルで余剰現金は累計 1,450 億ドルという。配当は 43 年連続で増やした。株式報酬は小さい(売上の 0.1% 前後)ので、正味の還元の補正は年 10 億ドル前後。

M&A:2023 年にデンバリー(CO2 パイプラインと二酸化炭素回収)、2024 年にパイオニア・ナチュラル・リソーシズを全株式で買収した。株数は 2024 年に 6.1% 増えた。パイオニアの相乗効果は年 40 億ドル(当初の 2 倍)と上方修正。大型の買収はこれで一巡し、今後はガイアナ・パーミアン・LNG の自社案件が資本の中心。

2026 年 7 月にテキサスへの移転が予定どおり進み、親会社は ExxonMobil Holdings に代わった(ティッカーは XOM のまま)。9 月には 2030・2031 年満期の低利社債(1.9%・2.15%)の公開買い付けを行った。借り換えは今の金利(国債 5% + 上乗せ 0.5%)になるので、利払いは 3 年で 4 億ドル・10 年で 7 億ドル増える(推定・純利益に反映)。TOB を受ける可能性は時価総額が大きすぎて低い。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 100.1 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

エクソンは過去 10 年で『価格が下がっても儲かる会社』に作り替えた。構造的コスト削減は 2019 年比で累計 163 億ドル(2030 年目標は 200 億ドル)で、2019 年の上流の単位利益の 3 倍を 2030 年に出す計画だ。パーミアン 250 万 boe/d、ガイアナ 170 万 b/d の能力、LNG の拡大で、2030 年の生産 550 万 boe/d のうち 65% が低コストの優位資産になる。2030 年に 2024 年比で利益 +250 億ドルというのは Brent 実質 65 ドルでの話で、今の実質 72 ドルに戻るだけで追加の余裕がある。

戦争の高値で足元の現金は潤沢(4〜6 月期の FCF 172 億ドル)、財務は純負債が時価総額の 5% で、買収にも自社株買いにも使える。石油需要の天井はまだ見えず、シェールが減る中でエクソンのような低コスト油は希少になり、2030 年代の価格を支える。配当を 43 年連続で増やした会社の持続性は市場が過小評価している。k が 6% と低い今の決まりでは、年 4% で利益が伸びるだけでも倍率は 20 倍近くになる。

慎重な見方

石油会社は価格を決められず、10 年後の価格はだれにも分からない。2016 年は純利益が 78 億ドルまで落ち、2020 年は 224 億ドルの赤字、価格・数量・減損・倍率が同時に落ちた。今回も 2026 年の利益は戦争の一過性の高値で、2027 年に Brent が 84、湾岸の復旧と OPEC+ の余剰で 60 台まで落ちる年がありうる。

会社の計画は『一定の価格・値幅』での利益増で、価格が下がる局面ではコスト削減もインフレに食われる。化学は中国の増設で底を這い、2030 年の +90 億ドルのプロダクト・ソリューションズ目標の達成は不確か。パイオニアの買収は 600 億ドルの全株式で、シェールの在庫の質に賭けた。さらに電気自動車と効率化で石油需要が 2030 年代に天井を打てば、資源の入れ替え投資の収益率は k に近づく。今の PER 25.9 倍は 2025 年の利益の 26 倍で、2026 年の高値の利益を恒久と見ている。埋蔵量の寿命 11.2 年の年金で測ると、利益の何倍も払う値段ではなく、配当利回りは 2% 台でしかなく、安全域はない。

どちらに重みを置いたか

中立の筋書きは業界ノートの共通の価格(Brent 2036 年 101 ドル)に、会社の計画を約 6 割織り込んだ形で置いた。強気の見方は財務と低コスト資産の厚みを正しく突いている。慎重な見方の「新規投資の収益率 8% なら倍率 19 倍が限度」は、決まり(式の ROE は事業の ROE)に合わないので採らず、石油需要の天井は g(中立 2%=実質で減る)と確率に入れた。価格受容者であることは確率に表し、10 年のやや悲観・悲観に合計 36% と厚めに寄せた。埋蔵量の寿命 11.2 年の年金で測ると、結果は慎重な見方の側に寄り、割高になる。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 77.27 ドル3,225 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 78.75 ドル3,287 億ドル)。 今の値に割り戻すと 86.55 ドル3,612 億ドル、今との差 −51.4%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 8.5%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 146.01 ドル6,095 億ドル 105.65 ドル4,410 億ドル +41.3% +3.5% 20.13 ドル840 億ドル
やや楽観 20% 113.48 ドル4,737 億ドル 93.67 ドル3,910 億ドル +16.3% +1.5% 41.43 ドル1,729 億ドル
中立 36% 80.85 ドル3,375 億ドル 81.45 ドル3,400 億ドル −8.9% −0.9% 58.43 ドル2,439 億ドル
やや悲観 22% 45.08 ドル1,882 億ドル 68.76 ドル2,870 億ドル −36.1% −4.4% 25.04 ドル1,045 億ドル
悲観 14% 27.66 ドル1,155 億ドル 50.79 ドル2,120 億ドル −55.9% −7.9% 10.98 ドル458 億ドル
加重平均100% 77.27 ドル3,225 億ドル78.75 ドル3,287 億ドル −12.4% −1.3% 156.02 ドル6,512 億ドル

今の株価時価総額 178.09 ドル7,433 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:Brent は実質 90 ドル、ガイアナ・パーミアンが計画を超え、ならしの利益率も上がる 利益 911 億ドル · PER 6.7 倍 · 株価時価総額 146.01 ドル6,095 億ドル

2035 年の Brent は名目 127 ドル/バレル(今のドル価値で 90)。シェールの新規採算の線を大きく上回る水準が続くのは、石油需要の天井が遅れ、OPEC+ の余剰も湾岸の地政学リスクで出てこないため。エクソンの生産は 590 万 boe/d(パーミアンが 250 万を超え、ガイアナの 8 件目まで稼働し、パイオニア・LNG の相乗効果も出る)。精製値幅は 39 ドル/バレルで、化学も 95 億ドルを稼ぐ。営業利益は 1,072 億ドル、純利益は 911 億ドル(2025 年の 3.2 倍)で、ROE は 17%。倍率は利益ベースの正当化 PER で 6.69 倍(k・g・RONIC は倍率の理由に書いた)。還元は 10 年で 4,410 億ドルと、配当・自社株買いとも増える。それでも今のドル価値で見れば 2022 年の利益に近い程度で、構造の変化を伴わない価格の上振れである。

  • 上流(原油・天然ガス):数量 5.9(生産量(百万 boe/日))× 価格 78(実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍))→ 売上 1,669 億ドル・営業利益 786 億ドル。生産×実現価格(Brent×0.61)
  • エネルギー・プロダクツ(精製・燃料):数量 4.0(精製処理量(百万 b/日))× 価格 185(製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売))→ 売上 2,701 億ドル・営業利益 197 億ドル。処理量×製品の売値・精製値幅
  • ケミカル・プロダクツ:数量 26.5(販売量(百万トン/年))× 価格 2,060(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 546 億ドル・営業利益 95 億ドル。販売量×トン当たり売値
  • スペシャルティ・プロダクツ:数量 16.5(販売量(百万トン/年))× 価格 2,720(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 449 億ドル・営業利益 62 億ドル。販売量×トン当たり売値

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の帳簿 ROE 17.1% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.8%(moat normal)、g 1.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.3 倍。先細りの資源なので寿命 11.2 年の年金(g 1%)が頭を押さえ、7.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 7.4 倍に対し、ガイアナ・パーミアンの低コスト上流で厚い筋書きだが、価格受容者なので、上限の 9.0 割(6.69 倍)に置いた。

確率:石油需要の天井が遅れ Brent が実質 90 ドルに張り付くには、供給の抑制が続く必要があり、構造の変化と逆向き。8% に留める。

やや楽観 20% やや楽観:Brent は実質 81 ドル、会社の 2030 年計画の約 8 割が出る 利益 708 億ドル · PER 6.7 倍 · 株価時価総額 113.48 ドル4,737 億ドル

2035 年の Brent は名目 114 ドル(今のドル価値で 81)。生産は 565 万 boe/d で、2030 年の 550 万を超えて 2030 年代前半まで伸びる。上流の単位あたりの利益が計画どおり改善(ガイアナなど低コスト油の比率が 65% へ)、精製と化学も有利な案件(ベイタウン・ヒューストンの高付加価値品・中国の化学コンプレックス)が効いて営業利益は 833 億ドル、純利益 708 億ドル。ROE 16%。倍率は利益ベースの正当化 PER で 6.69 倍(k・g・RONIC は倍率の理由に書いた)。還元は 10 年で 3,910 億ドルで、配当が年 4% ずつ増え、自社株買いは年 200 億ドル級を保つ。バリュー投資家の目には、計画が概ねその通りに実現する筋書きで、価格の上振れは入れていない。

  • 上流(原油・天然ガス):数量 5.7(生産量(百万 boe/日))× 価格 70(実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍))→ 売上 1,433 億ドル・営業利益 608 億ドル。生産×実現価格(Brent×0.61)
  • エネルギー・プロダクツ(精製・燃料):数量 4.0(精製処理量(百万 b/日))× 価格 166(製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売))→ 売上 2,393 億ドル・営業利益 155 億ドル。処理量×製品の売値・精製値幅
  • ケミカル・プロダクツ:数量 25.8(販売量(百万トン/年))× 価格 2,010(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 519 億ドル・営業利益 80 億ドル。販売量×トン当たり売値
  • スペシャルティ・プロダクツ:数量 16.2(販売量(百万トン/年))× 価格 2,670(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 433 億ドル・営業利益 58 億ドル。販売量×トン当たり売値

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の帳簿 ROE 15.9% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.2%(moat normal)、g 1.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.2 倍。先細りの資源なので寿命 11.2 年の年金(g 1%)が頭を押さえ、7.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 7.4 倍に対し、同じく価格受容者なので、上限の 9.0 割(6.69 倍)に置いた。

確率:会社の 2030 年計画(約 8 割が出る)と実質 81 ドルの組み合わせ。計画の実績は 2019〜25 年にコスト削減を前倒しで達成しており信頼度は高い。2 割。

中立 36% 中立:Brent は実質 72 ドル、計画の約 6 割で ROE は 14% 利益 516 億ドル · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 80.85 ドル3,375 億ドル

2035 年の Brent は名目 101 ドル/バレル(今のドル価値で 72)、ヘンリーハブ 4.9 ドル/MMBtu、精製値幅 28 ドル/バレル。生産は 540 万 boe/d(2030 年の 550 万計画をほぼ維持。2030 年以降は新規の大型案件が減り横ばい)で、上流の単位コストはインフレに近い上昇(効率化と低コスト油への入れ替えが相殺)。上流の営業利益 436 億ドル、精製 120 億ドル、化学 65 億ドル、スペシャルティ 55 億ドル、本社・金融 −68 億ドルで、営業利益は 608 億ドル、純利益は 516 億ドル(2025 年の 1.8 倍。このうち 5 割強は物価)。この利益は業界ノートの XOM 分(約 490 億ドル)をやや上回るが、化学のスプレッドが底から平均に戻る分と低コスト油の比率の上昇による。倍率は利益ベースの正当化 PER で 6.54 倍(k・g・RONIC は倍率の理由に書いた)。還元は 10 年で 3,400 億ドル。

  • 上流(原油・天然ガス):数量 5.4(生産量(百万 boe/日))× 価格 62(実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍))→ 売上 1,214 億ドル・営業利益 436 億ドル。生産×実現価格(Brent×0.61)
  • エネルギー・プロダクツ(精製・燃料):数量 3.9(精製処理量(百万 b/日))× 価格 148(製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売))→ 売上 2,107 億ドル・営業利益 120 億ドル。処理量×製品の売値・精製値幅
  • ケミカル・プロダクツ:数量 25.0(販売量(百万トン/年))× 価格 1,940(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 485 億ドル・営業利益 65 億ドル。販売量×トン当たり売値
  • スペシャルティ・プロダクツ:数量 16.0(販売量(百万トン/年))× 価格 2,620(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 419 億ドル・営業利益 55 億ドル。販売量×トン当たり売値

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の帳簿 ROE 14.2% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 11.3%(moat normal)、g 1.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.2 倍。先細りの資源なので寿命 11.2 年の年金(g 1%)が頭を押さえ、7.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 7.4 倍に対し、上流の価格の振れと下流・化学の緩衝を合わせて中立らしく、上限の 8.8 割(6.54 倍)に置いた。

確率:実質 72 ドルは新規シェールの採算の線に余裕を足した水準(業界ノート)。計画の約 6 割。最も厚く 36%。

やや悲観 22% やや悲観:湾岸が戻り、Brent は実質 60 ドル、ROE は 12% 利益 309 億ドル · PER 6.1 倍 · 株価時価総額 45.08 ドル1,882 億ドル

2035 年の Brent は名目 85 ドル(今のドル価値で 60)。OPEC+ の増産と湾岸の復旧で供給が余り、電気自動車と効率化で需要の伸びが止まる。生産は 520 万 boe/d、精製値幅は 22 ドル/バレル、化学は中国の過剰能力で 40 億ドルに留まる。コストはインフレで上がるので営業利益は 364 億ドル、純利益は 309 億ドル(2025 年の 1.07 倍で、実質では 3 割減)。それでも配当は守り、自社株買いは年 100 億ドルへ縮める。倍率は利益ベースの正当化 PER で 6.09 倍(k・g・RONIC は倍率の理由に書いた)。還元は 10 年で 2,870 億ドル。ガイアナ・パーミアンの低コスト油の比率が高いので、シェールや深海の高コスト勢よりは持ちこたえる。

  • 上流(原油・天然ガス):数量 5.2(生産量(百万 boe/日))× 価格 52(実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍))→ 売上 985 億ドル・営業利益 264 億ドル。生産×実現価格(Brent×0.61)
  • エネルギー・プロダクツ(精製・燃料):数量 3.8(精製処理量(百万 b/日))× 価格 126(製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売))→ 売上 1,748 億ドル・営業利益 78 億ドル。処理量×製品の売値・精製値幅
  • ケミカル・プロダクツ:数量 23.5(販売量(百万トン/年))× 価格 1,750(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 411 億ドル・営業利益 40 億ドル。販売量×トン当たり売値
  • スペシャルティ・プロダクツ:数量 15.2(販売量(百万トン/年))× 価格 2,450(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 372 億ドル・営業利益 50 億ドル。販売量×トン当たり売値

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の帳簿 ROE 11.7% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 10.1%(moat normal)、g 1.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 12.0 倍。先細りの資源なので寿命 11.2 年の年金(g 1%)が頭を押さえ、7.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 7.4 倍に対し、価格が下がり利益率が落ちる構造なので質を落として、上限の 8.2 割(6.09 倍)に置いた。

確率:供給過剰と需要の頭打ちは、10 年のうちに実際に起きうる。シェールと OPEC+ の余剰能力は価格を抑える。22%。

悲観 14% 悲観:石油需要が 2030 年代に天井を打ち、実質 50 ドルが続く構造の負け 利益 183 億ドル · PER 6.3 倍 · 株価時価総額 27.66 ドル1,155 億ドル

電気自動車・燃費・再エネで石油需要が 2030 年代前半に天井を打ち、2035 年の Brent は名目 72 ドル(今のドル価値で 50)で張り付く。ガイアナ・パーミアンの低コスト油は残るが、シェール、深海の高コスト油、オイルサンドが閉じ、生産は 490 万 boe/d。精製値幅は 18 ドル/バレルに下がり、化学は中国・中東の増設で 28 億ドル。営業利益は 215 億ドル、純利益は 183 億ドル(2025 年の 6 割強で、実質では 55% 減)。自己資本は還元と減損で約 1,100 億ドルに減る。もう優良な資源会社ではなく、衰退する資産を回収する会社になる。倍率は利益ベースの正当化 PER で 6.31 倍(k・g・RONIC は倍率の理由に書いた)。配当は守り自社株買いはほぼ止める。還元は 10 年で 2,120 億ドル。

  • 上流(原油・天然ガス):数量 4.9(生産量(百万 boe/日))× 価格 44(実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍))→ 売上 785 億ドル・営業利益 159 億ドル。生産×実現価格(Brent×0.61)
  • エネルギー・プロダクツ(精製・燃料):数量 3.6(精製処理量(百万 b/日))× 価格 109(製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売))→ 売上 1,432 億ドル・営業利益 50 億ドル。処理量×製品の売値・精製値幅
  • ケミカル・プロダクツ:数量 21.5(販売量(百万トン/年))× 価格 1,600(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 344 億ドル・営業利益 28 億ドル。販売量×トン当たり売値
  • スペシャルティ・プロダクツ:数量 14.5(販売量(百万トン/年))× 価格 2,300(トン当たり売値(ドル/トン))→ 売上 334 億ドル・営業利益 46 億ドル。販売量×トン当たり売値

倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。事業の帳簿 ROE 9.3% から RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 8.9%(moat normal)、g 1.0%(市場の伸びと価格から。k − g ≥ 3.5%)。式の値 11.8 倍。先細りの資源なので寿命 11.2 年の年金(g 1%)が頭を押さえ、7.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 7.4 倍に対し、需要の天井で構造的に負ける筋書きなので、上限の 8.5 割(6.31 倍)に置いた。

確率:電気自動車・再エネ・効率化で石油需要が 2030 年代に天井を打ち、実質 50 ドルが続く構造の負け。低コスト油を持つ分だけ他社より軽いが、価格受容者であることは変わらないので 14%。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

上流(原油・天然ガス)

原油・天然ガス・LNG の開発と生産。パーミアン・ガイアナ・LNG が成長源。

数量生産量(百万 boe/日)価格実現価格(ドル/boe。Brent の 0.61 倍)売上営業利益
今 2025/12 4.7 42 721 253
10 年後 中立 5.4 62 1,214 436

取り方:生産は 2025 年の 470 万 boe/d。実現価格は Brent 年平均 69 ドルに対し約 42 ドル/boe(天然ガス・LNG の混合)。rev_factor 3.65 は 365 日×100 万 ÷ 1 億。営業利益は上流の利益 214 億ドル(税引き後)を税前の考えに直した 253 億ドル(利益×1.18。全体の営業利益 339 に合わせた)。

エネルギー・プロダクツ(精製・燃料)

製油所の運転と燃料の販売。精製値幅(3-2-1 クラック)で利益が動く。

数量精製処理量(百万 b/日)価格製品の平均売値(ドル/バレル。原油+精製値幅+販売)売上営業利益
今 2025/12 4.0 105 1,514 87
10 年後 中立 3.9 148 2,107 120

取り方:処理量は約 395 万 b/d(推定)、売値は Brent 69 + 3-2-1 クラック約 22 + 販売・物流の上乗せ約 14 ドルで 105 ドル/バレルとした。営業利益は利益 74 億ドル×1.18。1 ドルのクラックで営業利益が約 7 億ドル動く(推定)。

ケミカル・プロダクツ

エチレン・ポリエチレンなどの石油化学。中国の増設でスプレッドが底。

数量販売量(百万トン/年)価格トン当たり売値(ドル/トン)売上営業利益
今 2025/12 20.5 1,370 281 9
10 年後 中立 25.0 1,940 485 65

取り方:年の販売量を約 2,050 万トン(推定)、売値を約 1,370 ドル/トンとした。rev_factor 0.01 は 100 万トン×ドル/トン = 100 万ドル = 0.01 億ドル。営業利益は 2025 年の利益 8 億ドル×1.18。底のスプレッドで、2010 年代の平均は利益 40〜50 億ドル。

スペシャルティ・プロダクツ

潤滑油(モービル 1)・基油・アスファルト・合成ゴムなど。景気に比較的強い。

数量販売量(百万トン/年)価格トン当たり売値(ドル/トン)売上営業利益
今 2025/12 14.0 1,850 259 33
10 年後 中立 16.0 2,620 419 55

取り方:販売量を約 1,400 万トン(推定)、売値を約 1,850 ドル/トンとした。営業利益は 2025 年の利益 28 億ドル(全体の 288 から他を引いた逆算。2026 年上期は 16 億ドル)×1.18。本社・金融は調整 −43。

リスクと懸念

原油価格の下落と戦争の反動

2026 年の高値は戦争による一時のもの。湾岸の生産が戻り、OPEC+ の余剰能力が出ると、2027 年に Brent が 60 台へ落ちる年がありうる。Brent 1 ドル/バレルで純利益が約 5 億ドル動くので、20 ドル落ちると 100 億ドル減る。過去の谷(2016 年に純利益 78 億ドル・2020 年に赤字)を下敷きにしている。

石油需要の天井

電気自動車と燃費の改善で石油の需要が 2030 年代に頭打ちになれば、実質 50 ドルが続く構造の負けになる。ガイアナ・パーミアンの低コスト油は残るが、新規投資の収益率は k に近づき、倍率は 15 倍前後まで下がる(悲観の筋書き)。

中東・湾岸の生産と LNG の被害

カタールのラスラファンの液化設備が被害を受け、修復に長期かかる可能性が報じられている。UAE・カタールで全生産の約 2 割という推計もある。2026 年 1〜3 月期の生産は 459 万 boe/d で、2025 年の 470 万から落ちた。復旧が遅れると中立の生産 510 万(2029 年)が下振れする。

化学のスプレッドの低迷

中国の石油化学の増設で、エチレンのスプレッドが 2025 年に底を這い、利益は 8 億ドルに落ちた。2010 年代の平均は 40〜50 億ドル。戻らなければ 2030 年計画のプロダクト・ソリューションズ +90 億ドルが届かない。

買収の価値の実現

パイオニア(約 600 億ドル・全株式)とデンバリーの買収が、価格が下がる局面で収益を出せるかは未確定。過去にもシェールの XTO やカナダ・ロシアで価値を壊した前例がある。相乗効果 年 40 億ドルが出るかが指標。

テンギス・カザフスタンなど海外資産の中断

2026 年 1〜3 月はカザフスタンの操業の混乱が生産を押し下げた。上流の一部は政治リスクの高い国にあり、接収・契約変更・戦争のリスクがある。2022 年にロシアのサハリン 1 を失い 46 億ドルを減損した。

規制・訴訟・脱炭素の費用

二酸化炭素回収(デンバリー)・水素・リチウムなどの低炭素投資を 2025〜30 年に約 200 億ドル計画する。収益が出なければ資本の無駄になる。気候訴訟や、炭素に値段を付ける規制の強化で、費用や資産の評価が変わる可能性も予測しにくい。

今後の分かれ目

Brent が 2027 年に 70 ドル/バレル未満へ落ち、湾岸の生産が全面復旧する
業界ノートのやや悲観に近づく。利益は 2029 年に 260 億ドル台、自社株買いは年 100 億ドルへ減る。やや悲観・悲観の確率を上げる。
ガイアナ第 5・第 6 浮体式生産設備とパーミアンが 2029 年までに計画どおり稼働し、生産が 520 万 boe/d を超える
やや楽観の筋書きに近づき、利益は中立より 1 割増える。10 年の中立の確率を下げ、やや楽観を上げる。
石油需要が 2030 年代前半にピークを打ち、実質の Brent が 55 ドル以下に張り付く
悲観(構造の負け)に移る。成長が負になって倍率はさらに縮み、時価総額は 1,200 億ドル前後(今の 15% 前後)。
化学のスプレッドが 2027 年から戻り、恵州・ベイタウンの新設備が計画どおり稼働する
プロダクト・ソリューションズが 2030 年計画の +90 億ドルに近づき、中立の利益が 1 割増える。
エクソンが大型の買収(シェール・LNG)を高値で行い、株を発行する
株数が増え、時価総額の価値は薄まる。価値を壊した前例があるので、確率を悲観側に寄せる。
カタールの液化設備の復旧が 5 年以上かかると確定する
LNG の利益が 1〜2 割下振れし、中立の生産を 5 万 boe/d 引き下げる。

見ておくもの

  • Brent の 2027 年の水準(84 ドルへ落ちるか)と湾岸の復旧・OPEC+ の増産
  • ガイアナの第 5・第 6 浮体式生産設備の稼働(2026 年第 4 四半期から)
  • パーミアンの生産(180 万 → 250 万 boe/d)
  • カタール・ゴールデンパス・モザンビークの LNG
  • 精製値幅(3-2-1 クラック)と化学のスプレッド
  • 2026 年第 3 四半期以降の決算(上流の単位利益・構造的コスト削減累計 163 → 200 億ドル)
  • 自社株買いの規模(年 200 億ドル級が続くか)

倍率と資本コストの決め方

倍率は式だけで置いた。先細りの資源なので、PER は式((1 − g/RONIC)/(k − g)、g は 1%)と、埋蔵量の寿命 11.2 年の年金の小さい方で頭を押さえる。k は 8.5%(8.0% + quality 0.5%)で、年金が効く。楽観〜中立は上限(×(1+g))の 88〜90%(統合で利益がならされる質を見たが価格受容者)、悲観側は 8 割台。ROE が k を超える筋書きは 1÷k を下回らせない。今の PER・過去の中央値・業界ノートの倍率には寄せておらず、結果の差と 5 段階はそのまま受け入れた。利益(数量 × 価格)と確率は変えていない。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.5% = 8.5%(決まり v2。β は使わない)。価格の振れは cycle で、下流・化学の緩衝も cycle に含めた。パイオニア買収の統合・ロシア資産の残滓・ガイアナの集中は k に足さず、筋書き(価格と数量)と悲観の確率で表した。

同じ業種(エネルギー)の AI 分析

やや割安 デボン・エナジーDVN デラウェアとマーセラスを併せ持つ合併後の大手シェール会社。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 8.4 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 2 割ほど上回る(やや割安) 本質価値との差 +23.9% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) 適正 ハリバートンHAL 北米の弱さを国際の大型契約で補う油田サービスの最大手。2026 年の利益は谷にあり、利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 1 割弱下回る(適正) 本質価値との差 −9.8% · 10 年 適正(年 +6.4%) やや割高 ダイヤモンドバック・エネルギーFANG パーミアン専業の低コスト原油生産会社。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 10.8 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の時価総額を 1 割ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −10.4% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 アパッチAPA 石油主体の低コスト生産にエジプトと 2028 年稼働のスリナムを足した会社。戦争の高値を外し、埋蔵量の寿命 6.2 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 1 割あまり下回る(やや割高) 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 ベーカー・ヒューズ・カンパニーBKR 電力・LNG の受注残 400 億ドルに乗る産業機器と油田サービスの二本柱に、チャートを足した直後。利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 2 割弱下回る(やや割高) 本質価値との差 −14.3% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 エクスパンド・エナジー・コーポレーションEXE 米国最大のガス生産者。ハイネスビルとアパラチアの両輪で LNG 需要を取りに行くが、費用は重く利益はガス価格に直結する。埋蔵量の寿命 9.9 年の年金で測ると、本質価値は今の値段を 1 割半下回る(やや割高) 本質価値との差 −15.1% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 SLB(シュルンベルジェ)SLB 国際・オフショアと油田デジタルに強い世界最大の油田サービス会社。利益ベースの正当化 PER で測ると本質価値は今の時価総額を 1 割半ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −16.5% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 EQTコーポレーションEQT 米国最大級のガス生産者。低コストと純負債 50 億ドルへの接近が強み。埋蔵量の寿命 11.8 年の年金で測ると、本質価値は今の値段を 2 割弱下回る(やや割高)。低コストでも、ガスは価格を決められず、悲観は深い 本質価値との差 −17.8% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ONEOKOKE NGL・ガス集荷処理・精製品導管を一つにした総合ミッドストリーム。質は上位だが借金が重く、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は本質価値をやや上回り(やや割高) 本質価値との差 −19.2% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 キンダーモルガンKMI 米国最大級のガス導管網で質は最上位級。ただ成長は同業より遅く、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は成長を先取りしており、やや割高 本質価値との差 −22.8% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 オキシデンタル・ペトロリアムOXY 借金と優先株を返しながら稼ぐパーミアン中心の石油会社。費用は同業より重く、埋蔵量の寿命 8.7 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の時価総額を 3 割ほど下回る(やや割高) 本質価値との差 −28.9% · 10 年 やや割高(年 +3.0%) やや割高 ウィリアムズ・カンパニーズWMB 天然ガス幹線で米国最大級。契約に守られた成長は本物だが、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段はその成長を先取りし、やや割高 本質価値との差 −29.2% · 10 年 やや割高(年 +2.6%) 割高 EOGリソーシズEOG 無借金に近く費用が最下位級の米国シェール専業。戦争の高値を除き、埋蔵量の寿命 12.2 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 3 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −32.1% · 10 年 割高(年 +3.1%) 割高 タルガリソースTRGP パーミアンの集荷処理から NGL 分留・LPG 輸出まで一本でつなぐ高成長の会社。質は高いが借金と商品価格への感応があり、利益ベースの正当化 PER で測ると今の値段は成長を先取りしている(割高) 本質価値との差 −44.5% · 10 年 割高(年 +0.9%) 割高 コノコフィリップスCOP 世界最大の独立系石油・ガス会社。2026 年の原油高騰を除き、埋蔵量の寿命 8.8 年の年金で測ると、本質価値は今の時価総額を 5 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −52.9% · 10 年 割高(年 −1.3%) 割高 シェブロンCVX 上流中心の統合石油で財務は厚く、ヘスとテンギズで生産は伸びる。埋蔵量の寿命 7.9 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の値段を 5 割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −53.0% · 10 年 割高(年 −2.2%) 割高 マラソン・ペトロリアムMPC 精製の波を MPLX の安定収益で和らげる米国最大級の製油会社。2026 年の戦争の高値を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER で測ると中立のクラックでは届かない(割高) 本質価値との差 −58.7% · 10 年 割高(年 −2.3%) 割高 フィリップス66PSX 製油の弱さをミッドストリームと CPChem で補う多角の会社。2026 年の戦争のクラック高を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER で中立のクラックを測ると届かない(割高) 本質価値との差 −60.6% · 10 年 割高(年 −2.0%) 割高 テキサス・パシフィック・ランドTPL パーミアンの土地・水の通行料で稼ぐ高収益会社。今の値段は成熟後の倍率を大きく先取りしており、寿命 20 年の年金で頭を押さえた倍率で測ると、本質価値は今の 3 割ほど(割高) 本質価値との差 −69.3% · 10 年 割高(年 −5.0%) 割高 バレロ・エナジーVLO 米国最大級の製油会社。2026 年の戦争の高値を織り込んだ今の値段は、利益ベースの正当化 PER では中立のクラックに届かない(割高) 本質価値との差 −69.9% · 10 年 割高(年 −5.3%)

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  2. ExxonMobil 2030 計画の更新(2025-12)
  3. ExxonMobil の 2025 年決算(OGJ)
  4. ExxonMobil 第 1 四半期の利益が 5 年ぶりの低水準(AGBI)
  5. ガイアナの生産能力(Hellenic Shipping News)
  6. ExxonMobil のテキサス移転
  7. ExxonMobil の低利社債の公開買い付け結果(2026-09)

分析日 2026-10-16