結論
タルガリソース(Targa Resources・TRGP)は、パーミアン(テキサス西部・ニューメキシコ)でガスを集めて処理し、NGL(天然ガス液)をモント・ベルビューで分留して、ガルナ・パークの港から LPG(プロパン・ブタン)を輸出する、集荷処理と物流を一本でつなぐミッドストリームである。2025 年は売上 172 億ドル、営業利益 35 億ドル(営業利益率 20%)、純利益 19 億ドル(Targa 帰属)、調整後 EBITDA 50 億ドル。純負債は 172 億ドル(時価総額の 27%)。
追い風は 3 つある。第 1 に量で、2026 年 4〜6 月のパーミアン受け入れは過去最高の 71.9 億立方フィート/日(前年比 +14%)、分留は +24%、LPG 輸出は +15%。第 2 に建設中の設備で、デラウェアの 5 工場・分留トレイン 12 と 13・NGL 導管スピードウェイ・LPG 輸出拡張が 2027 年第 3 四半期ごろまでに立ち上がる。第 3 に利益の上方修正で、2026 年の調整後 EBITDA は見通しの上端(57〜59 億ドル)に着地する見通しである。
ただしバリュー投資の観点では、強い成長の裏に 3 つの負担がある。2026 年の成長投資は約 45 億ドルで、自由キャッシュフローは 2027 年第 3 四半期まで出ない。純負債は 2026 年中に 190 億ドル台へ増える。商品価格に連動する部分があり、2020 年に配当を 10 億ドルから 4 億ドル、さらに 2 億ドルへ削った前例もある。資本コストは 9.0%(基本 8.0% に、商品連動と借金で 1.0%)、倍率は利益ベースの正当化 PER(g 3.75%・ROIC から直した ROE 15.0%)で、10 年の中立は 11.6 倍。確率加重の本質価値は今の時価総額を 4 割半下回り、割高(−45%)になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10 年後もこの事業は存在し、今より強いか、と問えば、存在する。パーミアンのガスと NGL は国内の LNG・石化・輸出の原料で、集荷処理から分留・輸出までを一体で持つ会社は少ない。堀(産地の立地・一貫した設備・長期契約)は設備が増えるほど広がる。ただし 10 年の予測可能性は導管会社(KMI)より低い。産地の生産は価格と生産者の設備投資で動き、2030 年代は減速するとみる。
オーナー利益(株主のものになる利益)は、純利益 19 億ドルに減価償却(約 15 億ドル)を足し、維持の設備投資(年約 2.5 億ドル)と、成長に要る分を引いたもの。成長投資が年 45 億ドルと純利益の 2 倍を超えるため、今のオーナー利益は小さく、2027 年第 3 四半期以後に出る自由キャッシュフローが本番となる。今の時価総額は 2025 年の純利益の 35 倍(2026 年の見込み 24 億ドルでも約 27 倍)、EV/EBITDA では約 14 倍で、同業の成熟後の 9〜11 倍を大きく上回る。利益ベースの正当化 PER(10 年後の中立は 11.6 倍)で見ると、中立の筋書きの価値は今の値段より低く、悪い筋書き(商品価格・借金・配当削減)の分だけさらに高い。強い会社を、成長を織り込んだ値段で持つ形で、安全域は大きくない。
何で稼ぐ会社か
売上は 2 つのセグメントで組む。集荷処理(Gathering & Processing)は、パーミアンのデラウェアとミッドランドの 2 盆地、ノースダコタのバッドランズ、オクラホマ・北テキサスで、生産者のガスをパイプで集め、処理工場でガスと NGL に分ける。顧客は生産会社で、契約は処理量に応じた手数料を中心に、最低手数料(フィー・フロア)を付けた形へ移してきた。商品価格に連動する取り分(NGL・ガスの売却益)は一部に残り、Waha(パーミアンの渡し値)が負の期間は利益を削る。2026 年 4〜6 月の実現ガス価格は 1 MMBtu あたり −2.48 ドルだった。
物流(Logistics & Transportation)は、集荷処理で出た NGL をグランド・プリックス導管でモント・ベルビュー(テキサスの NGL 集積地)まで運び、分留設備(トレイン 1〜11。12 と 13 は建設中)でエタン・プロパン・ブタンなどに分け、ガルナ・パークの積み出し設備から LPG として輸出する。2026 年 4〜6 月の分留は 120.6 万 b/d(+24%)、NGL 輸送は 109.9 万 b/d(+14%)、LPG 輸出は 48.7 万 b/d(過去最高)。この区間は規制がなく料金は契約と市場で決まるが、集荷処理で押さえたガスが流れ込む形なので、量が自動的に積み上がる。
成長の中身は、デラウェアのファルコン II・イースト・ペンブルック・イースト・ドライバー(2026 年に稼働)、建設中のコパーヘッド・イエティ・イエティ II・ロードランナー III(2.65 億 cf/d)・コパーヘッド II(2.75 億 cf/d。2028 年第 1 四半期まで)、分留トレイン 12・13、NGL 導管スピードウェイ(50 万 b/d。ポンプ追加で 100 万 b/d)、LPG 輸出拡張(月 1,900 万バレル。2027 年第 3 四半期)、残ガスをパーミアンの外へ出す導管ブラックコム・トラバース(持ち分 17.5%)である。2025 年の純利益 19 億ドルは 4 年前の 1 億ドルの 19 倍に増えた。
優良さと弱いところ
堀は「産地から港まで一本でつなぐ」ことと、産地での立地である。Targa は、ガスを集め、処理し、NGL を運び、分留し、輸出するまでを持つ。生産者から見ると、ガスを預けるだけで売り先まで届き、Targa は各段階の手数料を取りこぼさない。パーミアンの受け入れは約 7 Bcf/d 台(推定でパーミアン産ガスの約 4 分の 1)で、競合のエナジー・トランスファー(ET)、エンタープライズ・プロダクツ、ウエスタン・ミッドストリーム、キネティック、フィリップス 66 の DCP と並ぶ上位の一角にある。モント・ベルビューの分留では、エンタープライズが首位で、Targa と ET・ONEOK が続く(推定)。
資本の使い方は上手だが重い。新設の工場・分留設備は建設費の 5〜6 倍の EBITDA(利回り 17〜20%)で稼働するのが通例(推定)で、デラウェアの工場が前倒しで立ち上がっている点も実行力を示す。弱みは 3 つ。第 1 に、利益の 1〜2 割は NGL・ガス価格や Waha の割引に動く商品連動の部分で、2026 年 4〜6 月はガスの価格差で売上が 7.8 億ドル減り、ヘッジの損も 2.9 億ドルあった。第 2 に借金で、純負債は 172 億ドル(2025 年末)から 2026 年 4〜6 月に 194 億ドルへ増え、レバレッジは約 3.4 倍(目標 3〜4 倍)。第 3 に 2020 年の前例で、配当を 2019 年の 10 億ドルから 2020 年 4 億ドル・2021 年 2 億ドルへ削り、2020 年は評価損で純損失 16 億ドルを出し、株価はコロナで −83% と同業で最も深く落ちた。帳簿の ROE 60% は自己資本 31 億ドルが過去の損失と自社株買いで小さいためで、事業の実力は式の ROE 15% の方である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
パーミアンのガス生産は 2026 年に前年比 +10% で過去最高。石油が横ばいでも、ガスの比率が上がって増える(随伴ガス)。ただし 2026 年は出口が詰まり、Waha が年初から 6 月 1 日までに 158 日も負の値になり、生産者が一時的に出荷を絞った(キネティックは 2026 年の絞り込みを 2.2 億 cf/d に上方修正)。2026 年には出口が約 45 億 cf/d 増える(GCX 拡張 0.6 Bcf/d、ヒュー・ブリンソン、ブラックコム 2.5 Bcf/d)。先物は 2027 年夏にまた負へ戻る(Aegis:−1.98 ドル/MMBtu)とみる向きもあり、出口が早く作られすぎたあとの足踏みも想定の内である。
業界ノートの中立は、集荷処理・NGL の塊の数量が 10 年で年 +3%、4 社の純利益が 10 年で年 +5%。Brent は 2029 年 80 ドル・2036 年 101 ドル(実質 72 ドル)、Henry Hub は 2029 年 3.9 ドル・2036 年 4.9 ドル(実質 3.5 ドル)で、米国の生産は実質 70 ドルを割ると 2030 年代半ばにかけて減る。LNG 輸出は 2027 年に 18.6 Bcf/d(EIA)で、ガスと NGL の需要を引く。
競合の形は、産地ごとの寡占。パーミアンの処理は Targa・ET・エンタープライズ・ウエスタン・ミッドストリーム・キネティック・DCP が分け合い、分留と輸出はエンタープライズ・ET が先行し、ONEOK(OKE)が内陸のメディフォードで分留を増やす。Targa は産地の集荷処理が分留の量を押し上げ、分留が輸出の量を押し上げる循環が強みだが、他社の輸出設備の拡張が先に埋まると、分留・輸出の料金が下がる。建設費(タービン・パイプ・人件費)は需要が増えると先に上がる。業界の中で Targa は、成長が最も速く、商品連動も最も大きい、増加型の塊に入る。
資本政策と M&A
還元は、配当が 2026 年 4〜6 月の四半期配当で前年比 +25%(年約 11 億ドル)、自社株買いが 2025 年に 6.4 億ドル、2026 年 4〜6 月に約 0.8 億ドル(残枠 12.4 億ドル)。経営陣は「自由キャッシュフローが出れば配当を大きく増やす」と述べ、自社株買いは機会的と位置づける。成長投資が年 45 億ドルで営業 CF の大半を使い、自由キャッシュフローは 2027 年第 3 四半期(スピードウェイと LPG 輸出拡張の稼働後)から出る見込み。レバレッジの目標は 3〜4 倍(直近は約 3.4 倍)で、格付けは投資適格。
M&A は、買収による成長ではなく自前の建設を主とする(デラウェアで年 3 工場を作る目安)。2020 年の資本の危機のあと、借金を減らして 2022 年から配当と自社株買いを増やした。周辺資産の入れ替えはあるが、近年は大型の買収はない。パーミアンの外へ出す導管(ブラックコム・トラバース。持ち分 17.5%)には出資している。
バリュー投資の目では、資本配分は「建設費の 5〜6 倍の EBITDA で買える成長」に集中している間は価値を生むが、建設費が上がって 7〜9 倍になり、借金の金利(約 5.9%)との差が縮むと、成長は価値を増やさず借金だけが増える。2020 年に配当を削った前例は、同じ規律が崩れたときの形を示している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
パーミアンの受け入れは 2026 年 4〜6 月に 71.9 億 cf/d と過去最高で、Waha の負の期間でも 4.5 億 cf/d 以上積み上がった。出口はブラックコム(2026 年第 4 四半期)とトラバース(2027 年中頃)で厚くなり、生産者は絞り込みを戻した(7 月に大半が復帰)。建設中のデラウェアの 5 工場(コパーヘッド・イエティ・イエティ II・ロードランナー III・コパーヘッド II)と、年 3 工場のペースで、2028 年までに受け入れは 8〜9 Bcf/d へ増える。
分留はトレイン 11 が稼働後すぐに高稼働となり、12 と 13 も予定どおり。スピードウェイ(50 万 b/d、拡張で 100 万 b/d)と LPG 輸出(月 1,900 万バレル)が 2027 年第 3 四半期に入ると、自由キャッシュフローが転じ、「配当を大きく増やす」と明言する局面に入る。2026 年の調整後 EBITDA は 57〜59 億ドルの上端で、2025 年の 50 億ドルから約 +18%。2020 年の資本危機のあと、借金を減らして配当を 2 億ドルから 8 億ドルまで戻し、レバレッジは 3.4 倍で目標の中にある。
LNG 輸出(2027 年 18.6 Bcf/d)と電力で国内のガスと NGL の需要は増える。産地から港まで一貫して持つので、エンタープライズや ET が後から入っても、集荷処理で押さえた量が自社の分留・輸出に流れる。成長が 10 年続けば、本質価値は今の値段を超える。これが強気の見方で、楽観とやや楽観の筋書きの下敷きである。
慎重な見方
今の PER 35 倍・EV/EBITDA 約 14 倍は、同業の成熟後の 16〜22 倍・9〜11 倍に比べて高く、2026 年の上方修正と建設中の工場をすでに織り込んでいる。成長の 45 億ドルは自社の営業 CF の大半を使い、自由キャッシュフローは 2027 年第 3 四半期まで出ない。借金は 2025 年末の 172 億ドルから 2026 年 4〜6 月に約 194 億ドル(総負債 196 億ドル、現金 1.3 億ドル)へ増え、5.9% 前後で借り換わる。
利益の 1〜2 割は商品価格に連動する。2026 年 4〜6 月は、ガスの価格差で売上 7.8 億ドル減、ヘッジ損 2.9 億ドル。Waha の負の期間は 2026 年に 158 日(6 月 1 日まで)で、出口が増えても、先物は 2027 年夏にまた −1.98 ドル/MMBtu を示す(Aegis)。出口が作られすぎれば Waha は戻るが、パーミアンの生産が頭打ちになれば、集荷処理の量の伸びが止まる。2030 年代は生産が減速する。
2020 年に配当を 10 億ドルから 4 億ドル、さらに 2 億ドルへ削り、評価損で純損失 16 億ドル、株価はコロナで −83%(同業で最も深い)。同じ形はまた起きうる。成長の設備は、建設費が上がり、競合(エンタープライズ・ET)が輸出や分留で先に埋めると、収益率が下がる。これが慎重な見方で、やや悲観・悲観の筋書きの下敷きである。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、量の実績と建設中の設備が確かで、足元の利益は確からしい。慎重な見方は、今の倍率の高さ・借金・商品連動・2020 年の前例で強い。倍率を利益ベースの正当化 PER(k 9.0%・g 3.75%・RONIC 12.0%)で作り、悲観側を確率で厚くすると、確率加重の価値は今の時価総額を 4 割半下回り、−45% の割高になる。確率は楽観 7%・やや楽観 20%・中立 38%・やや悲観 22%・悲観 13%。KMI より悲観を少し厚くしたのは、商品連動と 2020 年の配当削減・純損失の前例があるため。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 198.07 ドル430 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 118.69 ドル257 億ドル)。 今の値に割り戻すと 160.81 ドル349 億ドル、今との差 −44.5%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 291.79 ドル633 億ドル | 171.51 ドル372 億ドル | +60.0% | +4.8% | 32.43 ドル70 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 259.70 ドル563 億ドル | 146.61 ドル318 億ドル | +40.3% | +3.4% | 81.26 ドル176 億ドル |
| 中立 | 38% | 222.04 ドル482 億ドル | 135.09 ドル293 億ドル | +23.3% | +2.1% | 135.71 ドル294 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 154.96 ドル336 億ドル | 100.05 ドル217 億ドル | −11.9% | −1.3% | 56.10 ドル122 億ドル |
| 悲観 | 13% | 55.69 ドル121 億ドル | 30.89 ドル67 億ドル | −70.1% | −11.4% | 11.26 ドル24 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 198.07 ドル430 億ドル | 118.69 ドル257 億ドル | +9.4% | +0.9% | 316.76 ドル687 億ドル |
今の株価時価総額 289.54 ドル628 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:パーミアンが 2030 年代も伸び、輸出と分留が不足する 利益 49 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 291.79 ドル633 億ドル
LNG 輸出(30 Bcf/d 超)と電力・石化でガスと NGL の需要が上振れし、パーミアンのガス生産は 2035 年に 38 Bcf/d 超。Targa の受け入れは 11.6 Bcf/d(2025 年の 1.8 倍。シェア 30%)、分留は 2,250 千 b/d で、LPG 輸出も増設が続く。売上 510 億ドル、調整後 EBITDA 約 112 億ドル(2025 年比 2.3 倍)、営業利益 82.5 億ドル、純利益 48.5 億ドル。純負債は 293 億ドルまで増えるが、レバレッジは 2.6 倍に下がり、配当と自社株買いで 10 年に約 370 億ドルを還元する。分留・輸出の不足でエンタープライズ・ET の設備より料金が高く保たれ、新規案件は建設費の 5.5 倍の EBITDA(利回り 18%)が続く。
- 集荷処理(G&P):数量 11.6(パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア)× 価格 3.98(1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む))→ 売上 168 億ドル・営業利益 33 億ドル。受け入れ量・単価・利益率
- 物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出):数量 2,250(NGL の分留量(千 b/d))× 価格 42(1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む))→ 売上 342 億ドル・営業利益 53 億ドル。分留量・単価・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。式の ROE は 帳簿の ROE は自己資本が小さく 60% 台になるので使わず、ROIC から直した事業の ROE(17.4%)で RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 13.2%(moat normal)、g 4.0%。式の値 13.9 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 14.5 倍に対し、料金契約が中心で利益が安定する質を見て、上限の 9.0 割(13.05 倍)に置いた。
確率:LNG と電力でガスと NGL の需要が上振れ、パーミアンが 2030 年代も伸びる確率として 7%。
やや楽観 20% やや楽観:成長が年 4〜5% に落ち着き、設備が高稼働を保つ 利益 45 億ドル · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 259.70 ドル563 億ドル
成長は 2030 年代に年 4% へ落ち着くが、建設中の設備と追加の工場で受け入れは 10.6 Bcf/d、分留は 2,050 千 b/d と高稼働を保つ。料金は物価並みに上がり、商品連動の取り分も Brent 101 ドルの中立より少し高い。売上 449 億ドル、調整後 EBITDA 約 101 億ドル、営業利益 73.7 億ドル、純利益 45.1 億ドル(2026 年の約 24 億ドルから年 +7%)。純負債は 222 億ドルで横ばいに近く、レバレッジは 2.2 倍まで下がり、10 年に約 320 億ドルを配当と自社株買いで返す。競合のエンタープライズ・ET の輸出増設とは役割を分け、新規案件は建設費の 5.75 倍の EBITDA を保つ。
- 集荷処理(G&P):数量 10.6(パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア)× 価格 3.84(1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む))→ 売上 149 億ドル・営業利益 29 億ドル。受け入れ量・単価・利益率
- 物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出):数量 2,050(NGL の分留量(千 b/d))× 価格 40(1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む))→ 売上 300 億ドル・営業利益 48 億ドル。分留量・単価・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。式の ROE は 帳簿の ROE は自己資本が小さく 60% 台になるので使わず、ROIC から直した事業の ROE(16.2%)で RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.6%(moat normal)、g 4.0%。式の値 13.7 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 14.2 倍に対し、同じく契約中心の利益なので、上限の 8.8 割(12.49 倍)に置いた。
確率:契約と設備の稼働が保たれ、建設費の上昇が限られる確率として 2 割。
中立 38% 中立:EBITDA は 2035 年に約 93 億ドル、成長は 2030 年代に年 4% 前後へ 利益 42 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 222.04 ドル482 億ドル
2035 年に、パーミアンの受け入れは 9.6 Bcf/d(年 +4%。パーミアンのガス生産が約 37 Bcf/d、シェア 26%)、分留は 1,850 千 b/d(2025 年の 1.85 倍)。料金は物価並みに上がり、商品の売却分を含む単価は集荷処理で 1.41 倍、物流で 1.30 倍(高価値でない NGL 量の増加で物価より低い)。売上 396 億ドル、調整後 EBITDA 約 93 億ドル(年 +6.5%)、営業利益 67.8 億ドル、純利益 41.7 億ドル(2026 年から年 +6%)。成長投資は 2030 年代に年 20 億ドル前後へ下がり、純負債は 198 億ドル、レバレッジ 2.1 倍。10 年に約 290 億ドルを返す。競合のエンタープライズ・ET が輸出と分留で伸びる中、Targa は産地の立地で年 4% 前後を維持する。
- 集荷処理(G&P):数量 9.6(パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア)× 価格 3.74(1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む))→ 売上 131 億ドル・営業利益 27 億ドル。受け入れ量・単価・利益率
- 物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出):数量 1,850(NGL の分留量(千 b/d))× 価格 39(1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む))→ 売上 265 億ドル・営業利益 44 億ドル。分留量・単価・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。式の ROE は 帳簿の ROE は自己資本が小さく 60% 台になるので使わず、ROIC から直した事業の ROE(15.0%)で RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 12.0%(moat normal)、g 3.8%。式の値 13.1 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 13.6 倍に対し、成長投資の借金と商品連動の取り分を見て中立らしく、上限の 8.5 割(11.55 倍)に置いた。
確率:成長が年 4% 前後へ落ち着き、倍率が成熟へ収まる落としどころ。
やや悲観 22% やや悲観:パーミアンが 2030 年代前半に頭打ちし、建設費が上がる 利益 35 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 154.96 ドル336 億ドル
パーミアンが 2030 年代前半に頭打ちし、ガスの Waha 割引と建設費の上昇(新規案件は建設費の 7 倍の EBITDA。利回り約 14%)で成長が年 3% 台へ落ちる。受け入れは 8.6 Bcf/d、分留は 1,600 千 b/d。LPG は競合の輸出増設で料金が物価を下回る。売上 322 億ドル、調整後 EBITDA 約 81 億ドル、営業利益 56.4 億ドル、純利益 35.3 億ドル。成長投資が減ってもレバレッジは 3 倍台前半の期間が長く、配当は年 +4〜5% で、純負債は 148 億ドルまで下がる。10 年の還元は約 220 億ドルにとどまる。
- 集荷処理(G&P):数量 8.6(パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア)× 価格 3.53(1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む))→ 売上 111 億ドル・営業利益 23 億ドル。受け入れ量・単価・利益率
- 物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出):数量 1,600(NGL の分留量(千 b/d))× 価格 36(1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む))→ 売上 211 億ドル・営業利益 37 億ドル。分留量・単価・利益率
倍率:利益ベースの正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)。k = 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。式の ROE は 帳簿の ROE は自己資本が小さく 60% 台になるので使わず、ROIC から直した事業の ROE(11.3%)で RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k)= 10.2%(moat normal)、g 3.2%。式の値 11.8 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を乗せた上限 12.2 倍に対し、産地が頭打ちで成長が止まる構造なので質を落として、上限の 7.8 割(9.52 倍)に置いた。
確率:パーミアンの頭打ち・建設費の上昇・競合の輸出増設が重なる確率として 22%。成長投資が重く、同業より悲観を厚くした。
悲観 13% 悲観:構造的に負け、パーミアンが減り、料金が下がり、配当を再び削る 利益 13 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 55.69 ドル121 億ドル
2030 年前後にパーミアンの生産が頭打ち、2030 年代に減る(米国の実質 Brent が 70 ドルを割る)。受け入れは 2025 年の水準 6.4 Bcf/d に戻り、分留は 1,150 千 b/d。長期契約の更新で手数料が下がり、LPG 輸出は競合に押される。成長投資(2026〜27 年に 83 億ドル)の回収が遅れ、約 25 億ドルの評価損を出す。売上 204 億ドル、調整後 EBITDA 約 47 億ドル(2026 年比 −17%)、営業利益 24.6 億ドル、純利益(ならした値)12.8 億ドル。レバレッジは 2029〜30 年に 3.6 倍付近まで上がり、配当は 2 回削られて、10 年の還元は約 70 億ドルに縮む。2020 年の再来で、自己資本は評価損後でも 90 億ドル。
- 集荷処理(G&P):数量 6.4(パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア)× 価格 3.05(1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む))→ 売上 71 億ドル・営業利益 11 億ドル。受け入れ量・単価・利益率
- 物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出):数量 1,150(NGL の分留量(千 b/d))× 価格 32(1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む))→ 売上 133 億ドル・営業利益 17 億ドル。分留量・単価・利益率
倍率:k = 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。式の ROE 6.3%(帳簿の ROE は自己資本が小さく 60% 台になるので使わず、ROIC から直した事業の ROE)は k 以下なので、ためた利益は額面を下回る価値で PER は 1÷k = 11.1 倍が上限。産地の頭打ちと手数料の下がる構造的な負けで、上限の 8.5 割(9.44 倍)。
確率:産地の構造的な減少・長期契約の更新での値引き・借金の重さが重なる確率。2020 年の配当削減と純損失の前例から 13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
集荷処理(G&P)
パーミアン・バッドランズ・中部のガスを集めて処理する。手数料が中心で、一部は NGL・ガス価格に連動。
| 数量パーミアンのガス受け入れ量(Bcf/d)= パーミアンのガス生産 × Targa のシェア | 価格1 Mcf あたりの売上(ドル。商品の売却分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.4 | 2.65 | 62 | 14 |
| 10 年後 中立 | 9.6 | 3.74 | 131 | 27 |
取り方:パーミアンの受け入れ量を 2025 年平均 6.4 Bcf/d(2026 年 4〜6 月は 7.19、前年比 +14%)、パーミアンのガス生産を約 27 Bcf/d(推定)としてシェア約 24% と置いた。売上は商品の売却分を含めて約 62 億ドル、営業利益は約 14 億ドル(推定。開示は営業マージン)。rev_factor は 365 ÷ 100 で、売上=数量×価格×rev_factor。
物流(L&T:分留・NGL 輸送・LPG 輸出)
NGL をモント・ベルビューまで運び分留し、ガルナ・パークから LPG を輸出する。
| 数量NGL の分留量(千 b/d) | 価格1 バレルあたりの売上(ドル。NGL の販売分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 30 | 110 | 23 |
| 10 年後 中立 | 1,850 | 39 | 265 | 44 |
取り方:分留量を 2025 年平均約 1,000 千 b/d(2026 年 4〜6 月は 1,206、前年比 +24%)、売上を NGL・LPG の販売分を含めて約 110 億ドル、営業利益を約 23 億ドル(推定)と置いた。単価は商品の売却分を含む 1 バレルあたりの売上で、NGL 価格にも動く。中立の 3 年は物価の 1.11 倍でなく 1.04 倍(低単価のエタンの量の増加と、競合の輸出増設での料金の伸び悩み)。rev_factor は 365 ÷ 100,000。
リスクと懸念
成長投資と借金
2026 年の成長投資は約 45 億ドル、2027 年も 40 億ドル前後で、自由キャッシュフローは 2027 年第 3 四半期まで出ない。総負債は 2026 年 4〜6 月に 196 億ドル(現金 1.3 億ドル)、レバレッジは約 3.4 倍(目標 3〜4 倍)。借り換えは 5.9% 前後で、brief.py の推定で利払いは 10 年で −3 億ドル。工事の遅れや建設費の上昇で成長が価値を増やさなくなると、借金だけが残る。
商品価格と Waha
利益の 1〜2 割は NGL・ガス価格と Waha の割引に連動する。2026 年 4〜6 月はガスの価格差で売上が 7.8 億ドル減り、ヘッジの損も 2.9 億ドル。Waha は 2026 年に 6 月 1 日までで 158 日負。出口(ブラックコム・トラバース)が増えても、先物は 2027 年夏にまた負へ戻るとの見方がある(Aegis)。最低手数料(フィー・フロア)が効く量が増えるほど守られるが、完全ではない。
2020 年の前例(配当削減と評価損)
2020 年に配当を 2019 年の 10 億ドルから 4 億ドル、2021 年に 2 億ドルへ削り、評価損で純損失 16 億ドル、株価はコロナで −83%(同業で最も深い)。当時の借金(純負債 75 億ドル)は今より軽いが、純負債は 194 億ドルへ増えた。レバレッジが 4 倍を超えて資金調達が詰まると、同じ形が起きうる。
パーミアンの頭打ち
パーミアンのガス生産は 2026 年に +10% で過去最高だが、米国の生産は実質 Brent が 70 ドルを割ると 2030 年代半ばにかけて減る(EIA)。Targa の受け入れはパーミアンの生産に連動するので、10 年では最大の外部要因。生産者の再編(大手の統合)で設備投資が絞られると、新しい工場の稼働率が下がる。
競合と輸出・分留の供給過剰
分留と輸出では、エンタープライズ(EPD)と ET が先行し、ONEOK も分留を増やす。各社が増設を続けると料金が下がり、Targa の分留(トレイン 12・13)と LPG 輸出拡張(月 1,900 万バレル)の収益率が落ちる。輸出は中国向けの関税や海運の制約にも動く。
建設費の上昇と許認可
需要が増えるとタービン・パイプ・人件費が先に上がり、新規案件の収益率が建設費の 6 倍の EBITDA(利回り約 17%)から 7〜9 倍(11〜14%)へ下がる。収益率が借金の金利(約 5.9%)との差を詰めると、成長が価値を増やさない。導管(スピードウェイ)や港の許認可・環境訴訟も工期を左右する。
株主還元の優先順位
成長投資を優先する間、配当と自社株買いは自由キャッシュフローが出るまで控えめ(2026 年 4〜6 月の買い戻しは約 0.8 億ドル)。経営陣は「配当を大きく増やす」と述べるが、数値目標は示していない。期待どおりに増えないと、倍率が縮む。
今後の分かれ目
- スピードウェイと LPG 輸出拡張が 2027 年第 3 四半期までに予算内で稼働し、自由キャッシュフローが転じる
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。配当と自社株買いが増え、中立の純利益(年 +6%)が確からしくなる。
- 建設費が 3 割上がり、新規案件の収益率が建設費の 7 倍の EBITDA(利回り約 14%)に下がる
- 10 年のやや悲観の確率を上げる。ROE を 15.0% から 11.3% へ下げ、倍率は 10 倍前後になる。
- Waha が 2027 年夏に再び負になり、生産者が出荷を絞る期間が長引く
- 受け入れの伸びが 2027 年に止まり、利益の商品連動の部分が削られる。やや悲観の確率を上げる。
- レバレッジが 4 倍を超えて 2 年続く、または格付けが投資適格を下回る
- 配当の増加と自社株買いが止まり、資金コストが上がる。悲観の確率を上げる。
- パーミアンの生産が 2030 年前後に頭打ちし、実質 Brent が 70 ドルを割る状態が続く
- 10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。受け入れが横ばいに入り、建設中の設備の稼働率が下がる。
- LNG と電力でガスと NGL の需要が上振れし、デラウェアの工場が年 3 つを超えて決まる
- 10 年の楽観・やや楽観の確率を上げる。受け入れの伸びが年 4% から 5% 近くに上がる。
見ておくもの
- 調整後 EBITDA の見通し(上端の 59 億ドル)と 2027 年の見通しの数値
- パーミアンの受け入れ量(過去最高 71.9 億 cf/d)と分留量(120.6 万 b/d)の伸び
- Waha の価格とブラックコム(2026 年第 4 四半期)・トラバース(2027 年中頃)の稼働
- スピードウェイと LPG 輸出拡張(2027 年第 3 四半期)の工程と建設費
- レバレッジ(約 3.4 倍)と自由キャッシュフローの転換、配当の増え方
- NGL・LPG の輸出料金とエンタープライズ・ET の増設
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。PER = (1 − g/RONIC)/(k − g)、k は 9.0%(8.0% + quality 1.0%)、式の ROE は帳簿でなく ROIC から直した値(中立 15%)、RONIC は k + 1/2 ×(ROE − k)、g は 4% まで。中立は式の上限(×(1+g))の 85%、悲観側は上限の 8 割弱、悲観は ROE が k を割るので 1÷k の 85% に置いた。今の PER・過去の倍率・同業の倍率は根拠にしていない。結果の差と割高の 5 段階はそのまま受け入れた。利益(数量 × 価格)と確率は変えていない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.0% = 9.0%(決まり v2。β は使わない)。借金と商品連動は cycle・debt で見た。産地の頭打ち・配当削減の前例は k に足さず、筋書きと確率(悲観を厚く)で表した。