結論
大運は、大阪港・神戸港で荷役と通関、倉庫を手がける、創業80年の小さな港湾運送会社だ。筆者の結論は「ほぼ妥当」。本業の稼ぎと、現金・持ち合い株の厚みを合わせても、今の値段との差は小さい。資産は厚いが、株主に戻る分しか数えられないからだ。
直近の営業利益は3.5億円で、前期から4割伸びた。港湾運送の利益率は7%台で、売上の98%を占める。利益の山は過去12年で最高だが、ほぼ同水準が続くと見る。会社予想も来期は横ばいだ。
時価総額25億円に対し、純現金は10億円、上場株式は推計で20億円を超える額を持つ。これらの配当は純利益に入っており、評価にはその分しか数えない。株主に戻る道筋は弱いが、株価の下値を固くしている。
懸念は2つ。港湾運送は荷主と景気に左右され、利益の山は続かない可能性がある。もう1つは、現金と株がためこまれ、株主に戻るまで時間がかかる点だ。10年の期待は資本コストをわずかに下回るが、悲観でも資産の床があり、大きくは崩れにくい。
小さな会社なので、数字の裏づけは浅い。取扱量や荷主の名前は開示にない。筆者は、開示された収入・利益と、阪神港という市場の動きだけから、10年の姿を組み立てた。確信度は、割安の方向では高く、数量の見立てでは中くらいだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「現金と株に守られた、地味な港運」だ。本業の利益は薄いが、資産の裏づけが厚く、株価の下値は固い。
オーナー利益(株主が自由に使える利益)は、設備投資が小さいため、純利益とほぼ同じだ。大運は倉庫と車両が小さく、償却も軽い。稼いだ現金は積み上がる。
問題は、その現金が株主に戻るかだ。配当性向は2割強で、現金は10年で10億円まで積み上がった。持株会が大株主で、外から圧力がかかりにくい。筆者はこの積み上がりを、半分しか評価に入れない。
安全域は、値段より資産の側にある。中立の期待は資本コストをわずかに下回るが、悲観でも現金と株の床で大きくは割れにくい。わかりやすい事業で、確信度は高い。持ち続けたいかと問われれば、「配当が増え続けるなら持つ」と答える。小さな会社に特有の脆さはあるが、資産の厚みがそれを補う。
何で稼ぐ会社か
売上の98%は港湾運送だ。大阪港や神戸港に着いた輸入貨物とコンテナを、船から降ろし、通関を済ませ、倉庫で保管し、荷主のもとまで届ける。国際複合一貫輸送(船・トラック・倉庫をつないだ輸送)が主な業務だ。
拠点は、大阪の南港雑貨センター(1984年)と、神戸の六甲物流センター(1988年)が柱。本社は大阪市中央区で、名古屋と東京に営業所、上海に事務所がある。港湾労働者の組合員が60人おり、現場は組合員と協力会社で支える。
自動車運送は1.6億円で赤字が続き、縮んでいる。保険代理は規模が小さい。子会社はなく、単体で経営している。
稼ぎ方の特徴は、荷主から立替金を預かって通関や荷役を代行する点だ。立替金が多く、関税や消費税の変更で資金繰りが動く。収入の見かけは大きいが、利益率は薄い。
会社の方針は、荷主の選別と集中、中国事務所の強化、3PL(荷主の物流を丸ごと受ける業務)を視野に入れた機能強化、ローコスト運営。数値目標は公表していない。
設備は軽い。倉庫と車両が小さく、償却の負担が小さい。設備投資は年に数千万円にとどまり、稼いだ現金はそのまま積み上がる。土地は帳簿で5.8億円ほどあり、賃借の土地や建物の家賃は年0.8億円だ。
優良さと弱いところ
筆者は、堀(他社がまねできない強み)は「普通」と見る。港湾運送は国の許可が要り、新規参入は難しい。ただ、大阪港には上組や日本通運など大手がひしめき、大運は規模で劣る。
強みは身軽さと長い付き合いだ。従業員97人で、荷主との取引は80年続いてきた。利益率は7%台で、2期続けて上昇した。港湾運送の利益は前期に18%伸びた。
弱みは規模と荷主の集中、そして立替金の管理だ。会社自身も課題として立替金の早期回収と財務体質の改善を挙げる。取扱量は開示がなく、強みがどこにあるか外から確かめにくい点も気になる。
経営は、借金を返し現金を積み、配当を増やしてきた。配当は10円から15円へ上がった。それでも性向は2割強で、株主への還元は控えめだ。大株主の上位は、協力会社と従業員の持株会で、会社の方向は安定している。外部からの圧力は弱く、現金は積み上がりやすい。
資本の使い方で、筆者がいちばん気にするのは持ち合い株だ。上場株を162銘柄も持つのは、小さな会社には多すぎる。純投資目的と書くが、取引先との関係を支える意味もあるのかもしれない。この株の値動きで、純資産が1年で6億円動いた。株価の上げ下げが会社の見かけの価値を大きく揺らす。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
港湾運送の需要は、日本の輸出入の量で決まる。2025年の国内コンテナ取扱は2,236万TEUで、前年から1.8%伸びた。長い目では横ばいから緩やかな増加だ。筆者は大運の実質の数量を10年で1.05倍と見る。
大運の地盤の阪神港は、2023年の取扱が507万TEUで、目標の550万TEUに届かなかった。2029年度に560万TEU以上を目指す計画はあるが、京浜港や名古屋港との競争は厳しい。国際基幹航路の呼び込みが、阪神港全体の命運を握る。
価格は、港湾運送料金が、人件費の上昇を荷主に転嫁する形で上がる。2024年問題でトラック運賃が上がった流れもあり、物価並みの転嫁は可能と見る。ただ、荷主との交渉に時間がかかり、物価より1〜2年遅れる。
大阪の同業は、上組、日本通運、山九などの大手のほか、中堅・中小が多い。荷主の選別と3PLへの展開で、大手が手を出しにくい中堅の荷主を押さえられるかが分かれ目になる。
人手不足も大きい。港湾の荷役は高齢化が進み、賃金の上昇が続く。会社の全社費用は年3億円強あり、物価で増える。
アジアの荷動きも見ておきたい。大運は上海に事務所を置き、中国発の輸入貨物を主に扱う。日本と中国の貿易が細れば直撃を受けるが、サプライチェーンの分散でアジア域内の取引は広がる。数量は、この両方を差し引いて、横ばいに近いと見る。
資本政策と M&A
還元は、会社が「株主への利益還元を第一」と書く。2026年3月期の配当は総額0.7億円、性向は2割強。来期は小さく増える予想だ。配当は10円から15円へ4年で5割増えたが、利益の伸びほどではない。
現金同等物は15億円で、借金が5億円ある。純現金は10億円だ。立替金や通関の資金需要に備える面があり、すべてが余った現金とは言えない。筆者は半分の5億円を余りと見る。
上場株式162銘柄を持つ。会社は「純投資目的のみ」と書く。配当収入は0.7億円で、株価の上昇で純資産が1年で6億円増えた。これらを売る方針は開示にない。配当が純利益に入っているため、価値は別に足さない。ただし、悲観の床では売れる資産として数える。
買収や提携の計画は開示にない。大株主の上位は持株会で、TOBの可能性は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
大阪港と神戸港の取扱は、国の戦略港湾政策で増える方向だ。大運は、荷主の選別と3PLへの展開で、利益率を8%台まで引き上げられる。港湾運送の利益は前期に18%伸びており、その勢いが続く。
財務は固い。純現金は10億円、上場株は20億円を超え、時価総額の25億円を超える資産がある。配当は4年で5割増え、増配が続けば、積み上がった現金の一部が株主に戻る。会社が「利益還元を第一」と書く以上、性向を3割に引き上げるのは時間の問題だ。
中国事務所の強化も、日本と中国の貿易が続く限り、新しい荷主を連れてくる。従業員97人の身軽さは、荷主の要望に素早く応える強みだ。2期連続の増益は偶然ではなく、荷主の集中という方針の成果だ。
さらに、資産の面でも下値は固い。時価総額の25億円は、純現金と上場株を合わせた資産より小さい。評価が見直されれば、資産と本業の両方から株価が支えられる。小さな会社は、一度の評価替えで値が大きく動く。
慎重な見方
港湾運送の利益率7%台は、過去12年で最高だ。山のあとには谷が来る。コンテナの取扱は阪神港で目標に届かず、大手が荷主を囲い込むなかで、大運は価格競争に巻き込まれる。
立替金が多く、荷主が倒れれば損失が出る。立替金の回収が課題だと会社自身が書く。収入の見かけは大きいが、利益は薄く、少しの貸倒れで吹き飛ぶ。
現金と株は株主のものではあるが、会社は配当性向を2割強に抑え、積み上げてきた。持株会が大株主のため、外から還元を迫る力も弱い。時価総額が資産より小さいのは、市場がその事情を織り込んでいるからだ。人手不足による賃金の上昇も、全社費用を押し上げ続ける。
持ち合い株も安心材料とは限らない。株価が下がれば純資産が減り、配当も落ちる。取引先の株は、売りたいときに売れるとは限らない。資産の厚みは、見かけほど自由には使えない。小さな会社の大手との勝負は、料金の値引き要求が出る年に表面化しやすい。
さらに、阪神港の取扱が目標に届かない状況が続けば、荷主がより大きな港へ流れる動きは止めにくい。港の地位は、1社の努力では変えられない。
どちらに重みを置いたか
ほぼ互角だ。現金と株の裏づけは事実で、2期続けて増益と配当の増加が続いた。ただ、利益率が過去最高の水準にあり、荷主と立替金の危うさも本物だ。そのため悲観を11%、楽観側を30%に置き、中立を軸に対称に近い配分にした。還元が弱い点は、戻り方の評価を半分にして織り込んだ。割安の度合いは大きいが、利益の山と立替金の危うさを考え、確信度は中くらいにとどめる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,128 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 203 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 661 円32 億円、今との差 +27.0%、 期待の年率 +9.9%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,176 円106 億円 | 338 円16 億円 | +383.5% | +17.1% | 201 円10 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,712 円83 億円 | 268 円13 億円 | +280.7% | +14.3% | 436 円21 億円 |
| 中立 | 36% | 1,258 円61 億円 | 206 円10 億円 | +181.7% | +10.9% | 527 円26 億円 |
| やや悲観 | 23% | 437 円21 億円 | 151 円7 億円 | +13.0% | +1.2% | 135 円7 億円 |
| 悲観 | 11% | 217 円11 億円 | 72 円4 億円 | −44.5% | −5.7% | 32 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,128 円55 億円 | 203 円10 億円 | +155.9% | +9.9% | 1,331 円65 億円 |
今の株価時価総額 520 円25 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 荷主の集中と3PLが実り、利益率が8%台に上がる 利益 7 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 2,176 円106 億円
阪神港のハブ化が進み、大運は荷主の選別と3PLで中堅荷主を取り込む。取扱は今の1.3倍近くに増え、港湾運送の利益率は8.5%に上がる。
中国事務所が新しい荷主を連れてくる。国際複合一貫輸送の単価は、通関や保管を含めて物価よりやや多く上がる。自動車運送は撤退かと収支均衡まで整理が進む。
営業利益は8億円強になり、配当性向も3割に近づく。現金は積み上がるが、一部は配当に回る。これは、会社が掲げる方針がすべて実を結ぶ筋書きだ。
それでも前提が多く、荷主の集中と阪神港の拡大の両方が要る。確率は1割に届かない8%とした。
- 港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送):数量 6.2(取扱コンテナ(万TEU換算、推定))× 価格 26(1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値))→ 売上 161 億円・営業利益 14 億円。利益率8.5%
- 自動車運送(内陸輸送・長距離):数量 10.0(稼働車両(台、推定))× 価格 2,179(1台あたり年間収入(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。利益率0.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 14.72 倍、時価総額 100 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:実現の条件が多い上振れ。8%にとどめた。
やや楽観 22% 取扱が緩やかに増え、利益率が8%に乗る 利益 5 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 1,712 円83 億円
阪神港の取扱は560万TEUの目標に近づかないまでも、緩やかに増える。大運は荷主の集中で取扱を1割強伸ばし、利益率は8%に乗る。
港湾運送料金は物価並みに上がり、人件費の転嫁も進む。全社費用は物価で増えるが、売上の伸びで吸収する。自動車運送は縮み、赤字は小さい。
営業利益は6億円ほどになり、配当は増え続ける。資本コストをわずかに下回るROEだが、利益の質は高い。
2期続いた増益の流れが続き、荷主の集中が少しずつ効く。港湾運送料金の改定も通る。穏やかな追い風が続く筋書きで、2割強の確率を置く。大運の規模でも、荷主が1つ増えるだけで取扱が数%動く。
- 港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送):数量 5.5(取扱コンテナ(万TEU換算、推定))× 価格 25(1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値))→ 売上 140 億円・営業利益 11 億円。利益率8.0%
- 自動車運送(内陸輸送・長距離):数量 9.0(稼働車両(台、推定))× 価格 2,179(1台あたり年間収入(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。利益率-2.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 14.09 倍、時価総額 74 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2期続いた増益が、緩やかに続く筋書き。
中立 36% 取扱は横ばいに近く、料金は物価に遅れて追いつく 利益 4 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,258 円61 億円
阪神港の取扱は横ばいから微増で、大運の取扱も5%増にとどまる。港湾運送料金は人件費の転嫁で上がるが、物価に1〜2年遅れる。
利益率は7%台前半で、前期の水準をほぼ保つ。全社費用は物価で3億円強から4.5億円に増え、営業利益の伸びを食う。自動車運送は縮んで赤字がわずかに残る。
営業利益は4億円強で、純利益は4億円ほどになる。配当は性向3割に近づき、現金は積み上がる。持ち合い株の配当も純利益に入り続ける。堅実で、特別な成功のない10年だ。
数量は阪神港の動きに沿い、料金は人件費の転嫁で上がる。会社の来期予想の延長線上で、静かに利益が増えていくイメージだ。筆者は、この筋書きがもっとも起こりやすいと見る。
- 港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送):数量 5.0(取扱コンテナ(万TEU換算、推定))× 価格 24(1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値))→ 売上 123 億円・営業利益 9 億円。利益率7.2%
- 自動車運送(内陸輸送・長距離):数量 8.0(稼働車両(台、推定))× 価格 2,114(1台あたり年間収入(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。利益率-3.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)5 億円。全体の PER 13.6 倍、時価総額 51 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の利益を土台に、数量が横ばい、価格が物価に1〜2年遅れる中心の筋書き。
やや悲観 23% 荷主の離反と阪神港の地位低下で、取扱が1割落ちる 利益 2 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 437 円21 億円
阪神港の地位が下がり、荷主の一部が大手に流れる。大運の取扱は1割落ち、料金も物価に遅れて、荷主の値下げ要求に押される。
利益率は6%に下がる。人件費と全社費用は物価で増え、営業利益は2億円を切る。自動車運送の赤字は広がる。
立替金の一部が貸倒れになり、配当は据え置く。現金は取り崩され、持ち合い株の配当だけが利益を支える。構造的に地盤を失い、優良ではなくなっている筋書きだ。
港運の免許は残るが、荷主の選別が裏目に出て、集中した荷主が離れると全体が傾く。人手不足で賃金が上がるほど、利益の取り分が減る。
- 港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送):数量 4.3(取扱コンテナ(万TEU換算、推定))× 価格 24(1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値))→ 売上 101 億円・営業利益 6 億円。利益率6.0%
- 自動車運送(内陸輸送・長距離):数量 6.0(稼働車両(台、推定))× 価格 2,033(1台あたり年間収入(万円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。利益率-5.0%
倍率:純利益2.0億円・ROE 3%台は k を下回り、上限は 1÷k=12.9倍。新しく投じる資本の稼ぎが資本コストを下回る構造的な負けの筋書きで、上限の約5割の6.5倍に置いた。
確率:大手に荷主を奪われ、取扱と料金の両方が弱る筋書き。
悲観 11% 貿易の落ち込みと荷主の喪失が重なり、赤字に沈む 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 217 円11 億円
世界貿易が急減し、コンテナ取扱が3割落ちる。大口荷主を失い、大運の取扱は今の7割まで減る。港湾運送の利益率は3.5%に下がり、全社費用が重く、営業赤字になる。
立替金の貸倒れで損失が出る。持ち合い株の価値も落ち、配当は大きく削られる。
価値は、現金と持ち合い株の売れる資産の床まで落ちる。清算されない限り少数株主は現金の使い道を決められず、床は半分に割り引く。
リーマン時のように、荷動きが急に細る年は一時的に来る。ただ、大運は借金が小さく、現金と株があるため、すぐ行き詰まることはない。ただし荷主を失った穴は埋めにくく、回復には数年かかる。配当は大きく削られ、積んだ現金が減っていく。
- 港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送):数量 3.4(取扱コンテナ(万TEU換算、推定))× 価格 23(1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値))→ 売上 77 億円・営業利益 3 億円。利益率3.5%
- 自動車運送(内陸輸送・長距離):数量 4.0(稼働車両(台、推定))× 価格 1,951(1台あたり年間収入(万円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。利益率-8.0%
倍率:営業赤字で稼ぐ力は測れず、床は現金と持ち合い株の売れる額で測る。半分に割り引いた約14億円を床とし、減損3億円と貸倒れを引いた後の自己資本35億円に0.30倍を掛けた。今の自己資本40.8億円に対しては0.26倍。
確率:リーマン級の貿易急減と、大口荷主の喪失が重なる筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
港湾運送(荷役・通関・倉庫・国際複合一貫輸送)
大阪港・神戸港を拠点に、輸入貨物とコンテナ貨物の荷役、通関、倉庫保管、内陸輸送を一貫して請け負う本業。
| 数量取扱コンテナ(万TEU換算、推定) | 価格1TEUあたり収入(万円。荷役・保管・通関・立替を合わせた実効値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.8 | 19 | 90 | 7 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 24 | 123 | 9 |
取り方:営業収入90.4億円(前期比+6.8%)・セグメント利益6.9億円(利益率7.6%)。取扱量は開示がなく、阪神港のコンテナ507万TEU(2023年)に対し1%弱の規模と見て、コンテナ以外の貨物もTEUに換算した約4.8万TEUと置き、1TEUあたり収入を約18.8万円と逆算した。単価には通関や立替金など荷主から預かる費用が混じるため、実効値で見る。
自動車運送(内陸輸送・長距離)
国際海上コンテナの内陸輸送と、フェリーを使った長距離輸送。赤字が続き、縮小している。
| 数量稼働車両(台、推定) | 価格1台あたり年間収入(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 1,626 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 2,114 | 2 | 0 |
取り方:営業収入1.6億円(前期比−17.8%)・損失0.1億円。稼働車両を約10台(推定)と置き、1台あたり年間収入を約1,630万円と逆算した。燃料費の上昇で赤字が続く。
リスクと懸念
利益率が過去最高の水準にある
2026年3月期の営業利益率は3.8%で、過去12年の最高だ。前期は営業利益が43%伸び、期中に経常利益の予想も上方修正された。荷主の事情や港湾料金の改定が一巡すれば、利益は戻る可能性がある。
荷主と大手の競合
大阪港には上組・日本通運・山九などの大手がおり、大運は規模で劣る。主要荷主の名前は開示にないが、荷主の一部が離れれば取扱が落ち、固定費が重く残る。
立替金の貸倒れ
荷主の関税・消費税・荷役費を立て替える業務が多く、残高は大きい。会社も回収の強化を課題に挙げる。荷主が倒れれば、薄い利益が吹き飛ぶ。
阪神港の地位低下
阪神港の2023年のコンテナ取扱は507万TEUで、目標の550万TEUに届かなかった。国際基幹航路が減れば、荷主が京浜港や名古屋港に流れ、取扱が細る。
人手不足と賃金の上昇
港湾労働者の高齢化が進み、人件費は物価以上に上がる恐れがある。全社費用は年3億円強で、物価で増え続ける。料金の転嫁が遅れる年は、利益が落ちる。
還元が弱い現金の積み上がり
純現金は10億円、持ち合い株は20億円超あるが、配当性向は2割強にとどまる。持株会が大株主で、外から還元を迫る圧力が弱い。現金が使われないまま積み上がり、株主に戻らない恐れがある。
今後の分かれ目
- 配当性向が3割を超える
- 積み上がった現金が株主に戻り始める。余った現金の戻り方を0.75に引き上げてよい。
- 港湾運送の営業利益率が2期続けて8%を超える
- 荷主の選別と3PLが実を結んでいる。楽観側の確率を上げる。
- 阪神港のコンテナ取扱が560万TEUに近づく
- 国の戦略港湾政策が効いている。取扱量を今の1.2倍まで伸ばす筋書きの確率を上げる。
- 荷主の立替金で貸倒れが出る
- 利益が薄いため影響が大きい。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 持ち合い株の売却方針が数字で開示される
- 売却で現金化されるなら、価値を別に足せる。評価を上方に見直す。
見ておくもの
- 港湾運送の営業利益率(前期7.6%)
- 配当性向と1株配当(前期15円・来期予想16円)
- 立替金と営業未収入金の残高
- 阪神港のコンテナ取扱量(目標560万TEU)
- 持ち合い株の売却の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROEが資本コストを下回る会社の上限1÷kを出発点に、小規模・荷主の集中・利益の約2割が配当という質を考え、上限の5〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率からは置いていない。10年の利益は港湾運送の取扱量と料金(物価に遅れて追いつく)から積み、持ち合い株の配当は利益に残して価値は別に足していない。利益率は過去12年の最高の水準を超えない7%台に置いた。結果は今の値段にほぼ等しく出たが、数字を寄せにいってはいない。新リース会計基準(2028年3月期から)で営業利益と負債の形は変わるが、10年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.8→14.72 倍・やや楽観 PER 10.4→14.09 倍・中立 PER 9→13.6 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.25% を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 8.00%。