結論
サンリツは、工作機械や半導体製造装置などの精密機器を、輸出用に梱包する会社だ。顧客の工場に入って梱包し、倉庫と輸送も受け持つ。筆者の結論は、ほぼ適正からやや割高。新しい倉庫で売上は伸びるが、借入が重く、稼ぐ力が資本コストに届かないからだ。
強みは、顧客の工場に入り込んでいることだ。精密機器の梱包は、壊さず、錆びさせず、船や飛行機の決まりに合わせる技術が要る。長年の取引で、顧客の工程の一部になっている。
弱みは、仕事の量が輸出の量で決まることだ。工作機械の輸出の谷で、前の中期計画の売上目標は届かなかった。今は成田に新しい倉庫を建て、借入が 1 年で倍になった。
筆者は、新倉庫と大型品の比率の上昇で利益は伸びるとみる。ただ、自己資本利益率は中期計画でも 6% 台で、資本コストを下回る。純資産の 6 割弱という今の値段は、その差をおおむね映している。
分かれ目は成田の新倉庫だ。早く満ちて利払いを超えて稼げば、価値は上に振れる。空きが残れば、借入の重さだけが残る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、長く持ちたい会社かと問えば、答えは「条件付きで、いいえ」だ。
良い点は、仕事が顧客の工程に組み込まれていることだ。精密機器の梱包は 10 年後も要り、サンリツはその技術を持ち続けるだろう。経営は中国の子会社を売り、欧州を見送るなど、手を広げすぎない判断もしている。
悪い点は、資本の稼ぎが薄いことだ。自己資本利益率は資本コストを下回り続け、新倉庫の投資もその差を埋めるほどの稼ぎは見込みにくい。借りたお金で建てた倉庫が資本コストを超えて稼ぐかは、まだわからない。
払う値段で見ると、今の時価総額は純資産の 6 割弱だ。稼ぐ力が資本コストの 7 割なら、この値段は割安とは言えない。
筆者が見たいのは、成田の新倉庫が借入の利払いを超えて稼ぐかだ。満ちるのが早ければ、評価は一段上がる。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つある。売上の 7 割が梱包、残りを倉庫、運輸、賃貸ビルが分ける。
主力の梱包は、精密機器を輸出用に包む仕事だ。工作機械、半導体製造装置、電力変換装置、医療機器と、重くて壊れやすい機械が多い。顧客の工場の中で作業する構内の梱包と、自社の梱包センターに運び込む形がある。最大の顧客はマキノ・ロジスティックスで、売上の 1 割を占める。工作機械の比率は 3 割強から 2 割強に下がり、代わりに大型精密機器が 2 割強に上がった。
倉庫は、梱包の前後の保管と付帯作業を受け持つ。2024 年に府中、2025 年に米国のサバンナ、2026 年 7 月に成田の新倉庫が加わる。成田は延べ 8,000 坪で、冷蔵・冷凍の設備も持つ。運輸は医療機器の輸送が柱で、賃貸ビルは本社ビルの空きフロアを貸す。
海外は米国が売上の 7% ほどで、日系の工作機械メーカーが主な客だ。中国の子会社は 2025 年に売り、欧州への進出も見送った。
稼ぎの形は、人と場所の掛け算だ。熟練の作業員が顧客の工場で手を動かし、自社の倉庫で保管と付帯作業を受ける。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば、手堅い職人の会社だが、資本の稼ぎは薄い。
強みは切り替えにくさだ。構内の梱包は顧客の工程に組み込まれ、別の会社に替えるには手間がかかる。精密機器の梱包は資格と経験が要り、新しく入る会社は少ない。梱包の利益率は全社費用の前で 1 割を超える。
弱みは 3 つある。第一に、仕事の量が輸出の量で決まり、自分では増やせない。第二に、全社の費用が重く、セグメントの利益の 6 割が本社などの費用に消える。第三に、新倉庫の借入で、純負債が EBITDA の 4 倍近くに膨らんだ。
自己資本利益率は 12 年の中央値で 6% 弱だ。資本コストは基本より 1 ポイント高い 8.5% とみる。
経営は手堅い。前の中期計画で利益率 5% の目標を達成し、不採算の中国から退いた。ただ、資本の稼ぎを上げる手は、まだ倉庫を建てることに偏っている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界を動かすのは、日本の機械の輸出、精密機器の大型化、物流の人手の 3 つだ。
日本の機械の輸出は、ならして横ばいに近い。工作機械は世界の設備投資の波で 2〜3 割上下する。半導体製造装置は AI とデータセンターの投資で伸びるが、米中の対立で中国向けは揺れる。電力変換装置は電力網の更新で伸びる。輸出梱包の量は、この 3 つの重みの合計で動く。
精密機器は大型化している。大きく重い装置ほど、梱包に技術と手間がかかり、1 件の単価が上がる。サンリツが大型精密機器の比率を上げようとしているのはこのためだ。
物流の人手は足りない。トラックの運転手の時間外労働の上限で、運賃は上がり続ける。梱包の作業員も同じで、人件費は物価以上に上がる。値段を上げられる会社と上げられない会社で、利益の差が開く。
競合は、日本通運などの大手の物流会社の梱包部門と、地域の梱包会社だ。業界の倉庫の大手は不動産で稼ぐが、サンリツの稼ぎは作業が中心で、不動産の含みで支えられる会社ではない。筆者は、この作業の技術こそが会社の値打ちだとみる。
資本政策と M&A
資本政策は、新倉庫への投資が先で、還元は配当性向 3 割が目安だ。配当は増やしてきたが、自社株買いは「必要に応じて検討」にとどまる。
成田の新倉庫と米国の倉庫で、1 年に 45 億円を投じた。そのための借入で、純負債は 37 億円から 73 億円に増えた。借り換えのたびに金利は 3.5% 前後に上がり、利払いが利益を削る。
個人投資家の大津直樹氏が 2025 年から株を買い増し、8% 強を持つ。会社は低い PBR を課題と認めており、還元を厚くする圧力になりうる。ただ、借入が重い今は、還元を急に厚くする余地は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
大型精密機器の比率の上昇は、構造の変化だ。半導体製造装置と電力変換装置は、AI とデータセンター、電力網の更新で 10 年伸びる。大きな装置ほど梱包の単価は高く、技術の差も出る。サンリツはこの分野で実績を積んでいる。
成田の新倉庫は、梱包と保管を 1 か所で済ませられる。空港に近く、冷蔵・冷凍の設備はフォワーダーの関心も呼んでいる。満ちれば、倉庫の利益は大きく増える。
前の中期計画で利益率 5% の目標を達成した。計画を守る経営だ。新しい計画では利益率 6.8% を掲げ、配当も増やす。
大株主の買い増しは、還元を厚くする後押しになる。純資産の 6 割弱という値段は、新倉庫の稼ぎを映していない。運輸でも運賃の交渉が通り、利益は 25% 増えた。値段を上げる力は、思われているより強い。人手不足は、職人を抱える会社にとってむしろ追い風だ。新しく梱包を始める会社はほとんど無く、顧客は替えの利かない相手として値上げを受け入れる。
慎重な見方
前の中期計画の売上目標は届かなかった。工作機械の輸出の谷で、梱包の仕事は減った。輸出の量は会社が決められず、同じことは何度でも起きる。
成田の新倉庫は、借りたお金で建てた。純負債は 1 年で倍になり、EBITDA の 4 倍近い。金利が 3.5% に上がれば、利払いは今の倍を超える。倉庫が満ちるまでの数年、償却と利払いが利益を食う。
全社の費用は重い。セグメントの利益の 6 割が本社などの費用に消え、人件費は物価以上に上がる。
中期計画の自己資本利益率の目標は 6.6% だ。目標を満たしても資本コストに届かない。資本コストを下回る会社の純資産に、帳簿どおりの価値は無い。米国の倉庫も、開設から 1 年たっても稼ぎは小さい。米国の売上は前の期に 2 割強減った。
半導体装置も安泰ではない。米中の対立で中国向けの輸出が絞られれば、伸びると期待した大型精密機器の梱包も細る。顧客の機械メーカーが関税に備えて海外で作れば、日本から輸出する荷そのものが減る。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。大型精密機器の伸びと新倉庫は本物の追い風だが、借入の重さと全社の費用が、その稼ぎの多くを食う。
確率は中立を軸に、悲観側に 3 割強を置いた。計画を守ってきた経営の実績は認め、やや楽観にも 2 割を置いた。結論は、今の値段がほぼ中立の筋書きを映しているということだ。安全域と呼べるほどの差は無い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,995 円113 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 433 円25 億円)。 今の値に割り戻すと 1,218 円69 億円、今との差 +4.9%、 期待の年率 +7.7%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,196 円238 億円 | 700 円40 億円 | +321.6% | +15.5% | 490 円28 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,972 円169 億円 | 570 円32 億円 | +205.1% | +11.8% | 709 円40 億円 |
| 中立 | 38% | 2,047 円116 億円 | 451 円26 億円 | +115.2% | +8.0% | 949 円54 億円 |
| やや悲観 | 21% | 696 円39 億円 | 295 円17 億円 | −14.7% | −1.6% | 208 円12 億円 |
| 悲観 | 11% | 517 円29 億円 | 138 円8 億円 | −43.6% | −5.6% | 72 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,995 円113 億円 | 433 円25 億円 | +109.1% | +7.7% | 2,427 円138 億円 |
今の株価時価総額 1,161 円66 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 半導体装置の梱包が柱になり、新倉庫が満ちる 利益 19 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 4,196 円238 億円
日本の半導体製造装置と電力変換装置の輸出が、AI とデータセンターの投資で伸び続ける。サンリツは大型精密機器の梱包で実績を積み、件数は 10 年で 3 割増える。大型品は 1 件の単価が高く、価格は物価を上回る。
成田の新倉庫は数年で満ち、冷蔵・冷凍の設備はフォワーダーにも使われる。米国のサバンナ倉庫も日系の精密機器メーカーを取り込み、修理などの付帯作業で稼ぐ。
運輸は人手不足を背景に運賃を上げ続ける。全社の営業利益は 26 億円ほど、利益率は 7% 台に届く。借入は新倉庫の稼ぎで返り、配当は性向 3 割を保つ。
- 梱包:数量 37.4(梱包の取扱い(千件/年・推定))× 価格 73(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 271 億円・営業利益 34 億円。大型精密機器が伸び件数 3 割増
- 運輸:数量 140(運行(千運行/年・推定))× 価格 2.90(1 運行あたり売上(万円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 5 億円。運賃の値上げが通る
- 倉庫:数量 54.0(保管の面積(千坪・推定))× 価格 11(1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む))→ 売上 59 億円・営業利益 10 億円。成田と米国が満ちる
- 賃貸ビル:数量 1,050(賃貸の面積(坪・推定))× 価格 30(1 坪あたり年間賃料(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。空きが埋まる
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.16 倍、時価総額 244 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体装置の輸出の伸び、成田の新倉庫の早い立ち上げ、米国の回復の 3 つが要る。中計の利益率 6.8% を超える水準なので 1 割。
やや楽観 20% 中計どおり利益率 6% 台に乗る 利益 14 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,972 円169 億円
新中計の筋道どおりに進む。大型精密機器の比率は 3 割近くまで上がり、梱包の件数は 2 割増える。工作機械の梱包は景気で上下するが、半導体装置と電力変換装置が埋める。
成田の新倉庫は 3〜4 年で稼働が上がる。新しい建物の償却は重いが、既存の倉庫の償却は取得した時の値段のままで、物価で膨らむ売上に対して軽くなる。
全社の営業利益は 21 億円ほど、利益率は 6% 台になる。全社の費用は物価で増えるが、横浜事業所の効率化で一部を吸収する。配当は性向 3 割で増え、借入は少しずつ減る。
自己資本利益率は 7% 前後まで上がるが、資本コストにはまだ届かない。
- 梱包:数量 34.6(梱包の取扱い(千件/年・推定))× 価格 70(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 242 億円・営業利益 29 億円。大型精密機器の比率が上がる
- 運輸:数量 137(運行(千運行/年・推定))× 価格 2.84(1 運行あたり売上(万円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 5 億円。運賃の交渉が効く
- 倉庫:数量 52.0(保管の面積(千坪・推定))× 価格 10(1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む))→ 売上 54 億円・営業利益 8 億円。成田が数年で満ちる
- 賃貸ビル:数量 1,050(賃貸の面積(坪・推定))× 価格 28(1 坪あたり年間賃料(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。空きが埋まる
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 172 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新中計の 2029/03 の営業利益 16 億円は、前の中計で利益率 5% を達成した実績があり届きうる。ただ売上の目標は前回も届かず、2 割。
中立 38% 新倉庫の分だけ伸び、利益率は 5% 台 利益 10 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,047 円116 億円
日本の機械の輸出は、ならして横ばいに近い。工作機械は景気で上下し、半導体装置は伸びるが、米中の対立で中国向けは細る。梱包の件数は大型品の比率の上昇で 15% 増えるにとどまる。
成田の新倉庫は 5 年ほどかけて満ちる。倉庫の利益率は、新しい建物の償却が足されて今より下がる。既存の償却は増えないが、建て替えと更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入の利払いも 3.5% に上がる。
全社の費用は物価で 1.3 倍に増える。全社の営業利益は 16 億円台、利益率は 5% 台と、過去の山の少し下にとどまる。配当は性向 3 割で、10 年の還元は純利益の 3 割強だ。
- 梱包:数量 33.1(梱包の取扱い(千件/年・推定))× 価格 67(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 222 億円・営業利益 24 億円。大型品の比率上昇で件数 15% 増
- 運輸:数量 133(運行(千運行/年・推定))× 価格 2.80(1 運行あたり売上(万円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 4 億円。件数は細るが運賃は上がる
- 倉庫:数量 50.0(保管の面積(千坪・推定))× 価格 10(1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む))→ 売上 50 億円・営業利益 7 億円。成田が 5 年で満ちる・償却が重い
- 賃貸ビル:数量 1,050(賃貸の面積(坪・推定))× 価格 28(1 坪あたり年間賃料(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。物価より低い賃料
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 119 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:輸出の量はならして横ばいに近く、伸びは新倉庫と大型品の比率の分だけ。利益率は過去 12 年の山を超えない。最もありそうな筋書きとして 38%。
やや悲観 21% 工作機械の谷と新倉庫の空きが重なる 利益 4 億円 · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 696 円39 億円
工作機械の輸出は谷が長引き、米国の顧客も伸びない。半導体装置は米中の対立で中国向けが細り、梱包の件数は横ばいにとどまる。
成田の新倉庫は空きが目立ち、償却と利払いが利益を食う。倉庫の利益率は 1 割を割る。
運輸は運賃を上げても人件費に追いつかない。全社の費用は物価で増え、営業利益は 9 億円ほど、利益率は 3% 台に下がる。
配当は性向 3 割で減り、借入の返済が遅れる。自己資本利益率は 2% 台と、資本コストの 3 分の 1 にとどまる。
会社は倒れないが、新倉庫に投じたお金は資本コストに見合う稼ぎを生まない。
- 梱包:数量 28.8(梱包の取扱い(千件/年・推定))× 価格 64(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 184 億円・営業利益 19 億円。工作機械の谷で横ばい
- 運輸:数量 126(運行(千運行/年・推定))× 価格 2.64(1 運行あたり売上(万円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。人件費に追いつかない
- 倉庫:数量 46.0(保管の面積(千坪・推定))× 価格 9.46(1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む))→ 売上 44 億円・営業利益 5 億円。成田に空きが残る
- 賃貸ビル:数量 1,000(賃貸の面積(坪・推定))× 価格 27(1 坪あたり年間賃料(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。空室が残る
倍率:ROE 2.4% が k 8% 以下なので、上限は 1÷k=11.8 倍。稼ぐ力が資本コストを大きく下回る筋書きなので、上限に引き上げず 8.5 割の 10.00 倍に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 10.62 倍・時価総額 40 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:工作機械の梱包の減少で前の中計の売上目標は届かなかった。新倉庫の立ち上がりの遅れも起こりうるので 21%。
悲観 11% 輸出の構造が変わり、梱包の仕事が細る 利益 −5 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 517 円29 億円
機械メーカーが関税と為替に備えて海外での生産を増やし、日本からの輸出の量が 2 割減る。梱包の件数も減り、構内作業を他社に奪われる顧客も出る。
成田の新倉庫は埋まらず、償却と利払いだけが残る。運輸も件数が細る。全社の費用は物価で増え、営業は赤字に転じる。
会社は倉庫の一部を売り、借入を返す。配当は大きく減る。価値は、持っている土地と建物を売って借入を返した残りで測るしかない。少数株主は、その売り方と時期を決められない。
借入が重い分、売った代金の多くは返済に消え、株主に残る分は帳簿の 4 分の 1 ほどになる。
- 梱包:数量 23.0(梱包の取扱い(千件/年・推定))× 価格 60(1 件あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 138 億円・営業利益 8 億円。輸出の量が 2 割減る
- 運輸:数量 112(運行(千運行/年・推定))× 価格 2.50(1 運行あたり売上(万円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。件数が細る
- 倉庫:数量 40.0(保管の面積(千坪・推定))× 価格 8.91(1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。新倉庫が埋まらない
- 賃貸ビル:数量 900(賃貸の面積(坪・推定))× 価格 26(1 坪あたり年間賃料(万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。空室が残る
倍率:営業が赤字で稼ぐ力では測れないため、土地建物を売って借入を返した残りで測る。今の自己資本 121 億円に約 0.25 倍を掛けた額が床の推定と一致する。
確率:顧客の機械メーカーが海外生産を進めれば、日本からの輸出梱包そのものが減る。借入の重さもあり、構造的に負ける筋書きとして 11%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
梱包
工作機械・半導体製造装置・電力変換装置・医療機器など精密機器の輸出梱包。顧客の工場に入り込む構内作業と、自社の梱包センターでの作業がある。
| 数量梱包の取扱い(千件/年・推定) | 価格1 件あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 28.8 | 50 | 144 | 17 |
| 10 年後 中立 | 33.1 | 67 | 222 | 24 |
取り方:有報のセグメント売上 144.0 億円・利益 16.6 億円(全社費用の配賦前)。件数は開示がなく、大型の精密機器を含めて 1 件 50 万円として推定で割った。大型精密機器の比率が上がるほど 1 件の単価は上がる。
運輸
医療機器を中心とした精密機器の輸送。
| 数量運行(千運行/年・推定) | 価格1 運行あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 140 | 2.00 | 28 | 3 |
| 10 年後 中立 | 133 | 2.80 | 37 | 4 |
取り方:有報のセグメント売上 28.0 億円・利益 3.4 億円。運行の数は開示がなく、1 運行 2 万円として推定で割った。2024 年からの運賃の交渉で単価が上がっている。
倉庫
精密機器の保管と付帯作業。府中(2024 年)、米国サバンナ(2025 年)、成田(2026 年 7 月)の新倉庫が加わる。
| 数量保管の面積(千坪・推定) | 価格1 坪あたり年間売上(万円・名目、付帯作業を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 7.75 | 31 | 5 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 10 | 50 | 7 |
取り方:有報のセグメント売上 31.0 億円・利益 5.0 億円。面積は開示がなく、4 万坪・1 坪年 7.75 万円と推定した。成田新倉庫は延べ 8,000 坪で、面積を 2 割増やす。既存の倉庫の償却は取得した時の値段のままで、成田の建物(約 53 億円)の償却が年 1.5 億円前後足される。
賃貸ビル
本社ビルなどの空きフロアの賃貸。
| 数量賃貸の面積(坪・推定) | 価格1 坪あたり年間賃料(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 24 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,050 | 28 | 3 | 1 |
取り方:有報のセグメント売上 2.36 億円・利益 0.64 億円。面積は推定で 1,000 坪。賃料の稼ぎは利益に残し、建物の含み益は余り資産に足さない(二重にしない)。本社ビルは古く、賃料は物価ほどは上げられないとみて、中立の単価は 1.2 倍に置く。
リスクと懸念
輸出の量の波
梱包の仕事は日本の機械の輸出の量で決まる。工作機械の谷では梱包の件数が大きく減り、前の中期計画の売上目標も届かなかった。
借入と金利
成田と米国の新倉庫で純負債は 73 億円に増えた。借り換えのたびに金利は 3.5% 前後に上がり、倉庫が満ちるまでの間、利払いと償却が利益を削る。
新倉庫の立ち上がり
成田の新倉庫は延べ 8,000 坪と大きい。稼働の上がりが遅れれば、新しい建物の償却だけが先に重くのしかかる。建て替えと更新の投資も建築費の上昇で膨らむ。
顧客の海外生産
機械メーカーが関税や為替に備えて海外で作れば、日本からの輸出梱包そのものが減る。米中の対立は半導体装置の輸出にも影を落とす。
人手と資材の値上がり
梱包の作業員と運転手の人件費は物価以上に上がる。ナフサ由来の包装資材も中東情勢で値上がりした。値上げが遅れれば利益率が下がる。
今後の分かれ目
- 成田の新倉庫が 2 年で 8 割以上埋まる
- 倉庫の利益が早く立ち上がる。やや楽観の確率を上げる。
- 工作機械の受注が前年を 2 割以上下回る
- 梱包の件数が落ちる。やや悲観の確率を上げる。
- 自社株買いや増配で総還元を厚くする
- 少数株主に戻る分が増える。戻り方を上げて評価を見直す。
- 借入の返済が進み、純負債が 50 億円を割る
- 利払いの負担が軽くなる。中立の純利益を上げる。
- 半導体装置の輸出規制が強まる
- 大型精密機器の伸びが鈍る。悲観側に確率を移す。
見ておくもの
- 日本の工作機械と半導体製造装置の輸出
- 成田新倉庫の稼働
- 純有利子負債と支払利息
- 梱包の利益率
- 大株主の保有と還元の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や同業の値付けから置かず、10 年後の自己資本利益率と資本コスト 8% から決めた。ROE が資本コストを下回るため、上限は 1÷k だ。償却は物価で増やさず、既存の年 8.8 億円は取得した時の値段のまま、成田の建物の分だけ年 1.5 億円前後を足した(10 年後は 11 億円前後)。賃貸ビルの稼ぎは利益に残し、含み益は足していない。今の株価は計算に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→13.16 倍・やや楽観 PER 10.35→12.5 倍・中立 PER 10→12.5 倍・やや悲観 PER 10→10.62 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足して 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.00%。