株譜
AI 銘柄分析 · 倉庫・運輸関連業 · 試作

住友倉庫 9303

持ち株と賃貸ビルの含み資産は厚いが、本業の利益で測ると 10 年の伸びは小さく、今の値段は割高

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)3,451 円2,606 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)4,255 円3,213 億円差 −18.9%
10 年後から見ると やや割高 価値 3,451 円2,606 億円 · 差 −18.9% · 期待の年率 +3.8%
期待の年率リターン(10 年)+3.8%資本コスト比 −3.2 pt
推定の資本コスト7.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 7.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

住友倉庫は、住友グループの倉庫・港湾運送会社だ。売上の約 95% は物流で、残りが賃貸ビルである。筆者の結論は「割高」。会社の価値の大きな部分は本業ではなく、持ち株と不動産の含み益にあり、それが株主に渡るまでが遅いと見るからだ。

持ち株(政策保有株)の評価額は約 2,000 億円で、時価総額の 6 割に当たる。前の期は 260 億円分を売り、純利益 177 億円を押し上げた。この売却益を除くと、稼ぐ力は 110 億円前後と筆者は推定する。営業利益率は 6% に届かない。

2026 年 3 月に新しい中期経営計画が出た。2030 年度の ROE 8% を掲げる。前の計画は届かなかった。料金の値上げが遅れ、国際輸送が計画を下回ったためだ。筆者は同じことが繰り返されうると見て、10 年後の利益を計画よりやや低めに置いた。

下値は厚い。賃貸ビルの含み益は税引き後で約 600 億円、持ち株の含み益は評価差額金の形で約 1,000 億円ある。それでも、本業の稼ぎから積み上げた本質価値は、今の時価総額に届かない。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を 4 割ほど下回る。差を埋める鍵は、持ち株の売却代金が自社株買いに回るか、採算の低い投資に消えるかだ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の目で見て、この会社の中身は 3 つの袋に分かれる。1 つ目は本業の物流で、利益率は低く、資本コストをやっと超える程度だ。2 つ目は賃貸ビルで、時価は簿価の 2 倍だが、利益は時価に対して 2.5% しか出していない。3 つ目が持ち株で、配当は年 2〜3% ほどにすぎない。

持ち株と不動産は、売ればお金になる。しかし持ち続ければ、時価総額を引き上げる力は小さい。経営がどれだけ早く、安い資産を売って、高い利回りの先か自社株買いに回すかが、株主にとっての価値を決める。新しい中計は方向を示したが、前の中計は目標に届かなかった。筆者は、実行の確かさに安全域を置くべきだと考える。

本業の稼ぎ(オーナー利益)から見ると、10 年後の中立の ROE は 6% ほどで、資本コストを下回る程度だ。この水準の会社に、純資産に近い値段を払うのは、含み資産を満額で評価することと同じだ。それを払える安全域は今の値段にはない。

何で稼ぐ会社か

稼ぎの中心は物流事業で、連結営業収益の約 95%、セグメント利益の約 75% を占める。倉庫での保管と荷役、港での船積み・荷下ろし(港湾運送)、トラック輸送、航空・海上の輸送手配(国際輸送)を一貫して請け負う。従業員は連結で約 4,500 人、うち 4,200 人が物流の現場にいる。近年は食品向けの定温倉庫(温度を保つ倉庫)、米国の食品物流、ベルギーの化学品物流、ベトナム・インドの拠点づくりに力を入れる。

不動産事業は営業収益の約 5% だが、営業利益率は 4 割と高く、セグメント利益の約 25% を稼ぐ。倉庫や港に近い土地の上の賃貸ビルが中心で、賃貸面積は約 27 万㎡。簿価 851 億円に対し、会社が開示する時価は 1,731 億円ある。ただし鉄道の建設に伴う賃料の減少が続き、前の期の利益は 19% 減った。

本社経費など全社費用が年 65 億円かかり、営業利益は物流と不動産の合計から引かれる。もう 1 つの収益源が、受取配当金だ。上場の持ち株が 37 銘柄、評価額は約 2,000 億円。営業外の配当が営業利益の 4 割ほどに当たり、見かけの利益を支えている。

買収は小粒だ。2006 年に遠州トラックを公開買付けで子会社にし、2017 年に倉庫会社の若洲を取り込んだ。2022 年には米国海運の Westwood を売却した。大型の海外買収はなく、成長投資の中心は自前の倉庫の建設と取得である。

優良さと弱いところ

堀は「そこそこ」だ。強みは、港や都市近郊に持つ倉庫・用地と、住友グループの顧客網である。港湾運送は免許と港ごとの既得権が残り、新規参入は難しい。倉庫は新しく作る土地と建築費が重く、同業が増えにくい。

しかし値段を自分で決められる会社ではない。倉庫料も運賃も荷主との交渉で決まり、人件費が上がっても転嫁が遅れた。前の中計が未達に終わった主因も、料金転嫁の遅れだと会社自身が認めている。直近の物流の営業利益率は 7% 台で、全社では 6% を割る。

資本の効率はさらに弱い。自己資本 3,138 億円のうち約半分は持ち株と不動産の含みで、本業の資産は半分ほどしかない。そこから稼ぐ ROE は 5% 台にとどまる。筆者が見る限り、経営は資本効率を意識し始めたが、まだ結果が出ていない。

財務は堅い。自己資本比率は 61%、利息の支払いは営業利益の 5% 程度だ。倒産の心配はなく、含み資産が下値を支える。ただ、株主にとってはその資産が会社の中に留まっている間、投資の成績に反映されない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内の物流は、人口減少で荷物の量がほぼ横ばいという成熟市場だ。輸出入コンテナの取扱量は年 0〜1% の伸びにとどまる。一方、通販の拡大や食品の温度管理需要が、倉庫の面積に対する需要を年 1〜2% ほど押し上げる。建築費の高騰と用地難で新しい倉庫の供給が絞られ、既存の倉庫を持つ会社には追い風である。

トラックの 2024 年問題(運転手の残業の上限規制)は、運賃の上昇を通じて陸運のコストを押し上げた。国の標準運賃は 2024 年に約 8% 上がった。ただ、荷主への転嫁が進むかは交渉次第で、住友倉庫は前の中計で転嫁が遅れた。

競合は三菱倉庫、三井倉庫ホールディングス、澁澤倉庫の同業と、日本通運などの総合物流会社だ。三菱倉庫は丸の内に大型ビルを持ち、不動産の収益と含み益が住友倉庫より厚い。2030 年度の ROE 目標も三菱倉庫が 10%、住友倉庫が 8% と差がある。

10 年先を見ると、物流の自動化が進み、荷主が自社で倉庫を持つ動きが出れば、価格を決める力は弱まる。逆に定温倉庫や医薬品・化学品の専門物流は、設備と許認可が要るため、利益率が守られやすい。住友倉庫はこの高付加価値側へ投資を寄せる計画だが、まだ道半ばだ。

資本政策と M&A

資本政策は「ようやく動き出した」段階だ。新しい中計では、2030 年度までに政策保有株を約 600 億円売る。株主への還元は約 700 億円とし、配当は据え置きを下限に、水準を自己資本の 3.5〜4.5%(DOE)とする。自社株買いは 5 年で 350 億円規模を見込む。前の中計は 2028 年 3 月までに 100 億円の売却が目標だったから、規模は 6 倍だ。

成長投資は約 1,650 億円。物流に 1,000 億円、不動産に 250 億円、海外に 300 億円を充てる。その資金の源は、持ち株の売却 600 億円、借入 450 億円、事業の稼ぎ 1,200 億円である。ここで筆者が気にするのは、売却代金のかなりの部分が、採算の読みにくい倉庫投資に回ることだ。自己資本比率は約 50% までは下げてよいとしており、借金は増える方向にある。

大株主には住友不動産(約 10%)、大和ハウス工業(約 7%)、住友生命、住友商事が並ぶ。物言う株主の名前は確認できなかった。公開買付けの確率を機械で見積もると、10 年以内で 16% 程度だ。含み資産が厚いので、買収の的になる可能性は残る。

10 年の還元は、開示された方針(DOE 3.5〜4.5%、5 年で 350 億円規模の自社株買い)に合わせ、取得ずみの分は除いた。持ち株の売却 600 億円のうち、自社株買いに回る分の含み益(税後で約 300 億円)は、余った現金から外した。

減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の111億円が10年後に約 151億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

住友倉庫には隠れた資産がある。賃貸等不動産の時価は簿価の 2 倍の 1,731 億円で、含み益は約 880 億円。上場の持ち株は約 2,000 億円で、自己資本の 6 割に当たる。今の時価総額 3,221 億円は、この 2 つを合わせた約 3,600 億円の税引き後の価値に近く、本業をほぼ無料で買っているに等しい。

会社は変わり始めた。新しい中計は持ち株の約 600 億円売却、5 年で 350 億円規模の自社株買い、DOE 3.5〜4.5% の配当を掲げる。前の期には 260 億円分を売り、計画を先取りした。売却代金で自社株を買えば、1 株当たりの価値は上がる。

本業にも追い風がある。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が 28% 増えた。定温貨物は伸び、倉庫の新規供給は建築費で絞られ、物流の運賃は人手不足の中で上がりやすい。米国の食品物流や、ベルギーの化学品物流のような専門分野が育てば、利益率は 8% 台に乗る。不動産が資産回転型に変われば、含み益は現金に変わる。

慎重な見方

前の中計は 4 つの目標すべてに届かなかった。理由は料金転嫁の遅れ、国際輸送の下振れ、進捗管理の不足と会社自身が挙げている。2030 年度の営業利益目標 160 億円は、前の計画の 180 億円より低い。ROE 8% も、三菱倉庫の 10% より低い。目標を下げても届かない会社が、新しい計画を満額で達成するとは考えにくい。

前の期の純利益 177 億円は、持ち株の売却益が押し上げた。売却益を除いた稼ぎは 110 億円前後で、営業利益率は 6% を割る。持ち株の配当は年 2〜3% で、含み益は株主の手元に届かない。売却の代金が倉庫の新設に回れば、採算が資本コストを下回る投資になりうる。

賃貸ビルは時価に対し利益 2.5% しか出していない。鉄道建設に伴う賃料の減少も続く。物流の自動化が進み、荷主が倉庫を自社で持つようになれば、価格を決める力は弱まる。借入は 450 億円増える計画で、金利は上がっている。含み資産の厚さは安心材料だが、それが株主に渡る保証はない。

どちらに重みを置いたか

含み資産が厚い点は強気側が正しく、下値の床として悲観の筋書きに使った。一方、利益で測る価値は、慎重な側の見立てが当たっていると見る。前の計画の未達と、売却益を除いた低い稼ぎが、中計の達成を割り引く根拠だからだ。確率は中立を最も厚くしつつ、やや悲観を同業の 9301 より少し厚く置いた。計算の結論は「割高」。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 4,620 円3,489 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,546 円1,168 億円)。 今の値に割り戻すと 3,451 円2,606 億円、今との差 −18.9%、 期待の年率 +3.8%(資本コスト 7.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 6% 7,776 円5,873 億円 2,026 円1,530 億円 +130.4% +8.7% 588 円444 億円
やや楽観 18% 6,650 円5,022 億円 1,942 円1,467 億円 +101.9% +7.3% 1,547 円1,168 億円
中立 38% 5,794 円4,375 億円 1,813 円1,369 億円 +78.8% +6.0% 2,890 円2,183 億円
やや悲観 26% 1,986 円1,500 億円 1,185 円895 億円 −25.5% −2.9% 825 円623 億円
悲観 12% 1,986 円1,500 億円 650 円491 億円 −38.0% −4.7% 316 円239 億円
加重平均100% 4,620 円3,489 億円1,546 円1,168 億円 +44.9% +3.8% 6,166 円4,657 億円

今の株価時価総額 4,255 円3,213 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。

楽観 6% 定温・海外の高付加価値物流が育ち、持ち株を売った資金で自社株を買う 利益 219 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 7,776 円5,873 億円

定温倉庫と海外の食品・化学品物流が計画どおりに育ち、物流の利益率は 9% まで上がる。国際輸送でも料金転嫁が進み、人件費の上昇を吸収する。持ち株の売却は 10 年で計画の 600 億円を超え、代金は自社株買いと高採算の倉庫に回る。賃貸の面積は大型倉庫の取得で 1.45 倍になる。資本効率を意識した経営が定着し、本業の ROE は 8% まで上がる。

住友倉庫は「含み資産の会社」から「稼ぐ会社」へ評価が変わる。中計の ROE 8% に届く、10 年間で最も理想的な筋書きだ。ここでは海外の食品物流と化学品物流、国内の定温倉庫が、同業の三菱倉庫との差を縮める原動力になる。賃貸ビルでは大型倉庫の取得が進み、鉄道建設で落ちた賃料も戻る。物価の上昇を料金に乗せる力が、会社の弱点から強みに変わる10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の111億円が10年後に約 151億円(物価で一律に増やすと約 149億円)。営業利益は +2億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 28億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 物流事業:数量 247(倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定))× 価格 14(万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価))→ 売上 3,335 億円・営業利益 302 億円。能力 1.30 倍・単価 1.38 倍・利益率9.1%・償却は物価で増やさず按分(10年後 151億円)
  • 不動産事業:数量 39.5(賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡))× 価格 5.60(万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料))→ 売上 221 億円・営業利益 93 億円。面積 1.45 倍・賃料 1.40 倍・利益率 42%

倍率:事業の純利益 209 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)706 億円。全体の PER 14.04 倍、時価総額 3,781 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:中計の目標を超えて高付加価値物流が定着し、料金転嫁も進む筋書き。前の中計を達成できなかった実績があるので、確率は低く置いた。

やや楽観 18% 高付加価値物流が緩やかに育ち、中計の目標に近づく 利益 161 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 6,650 円5,022 億円

定温倉庫と海外拠点が着実に増え、物流の利益率は 8% まで戻る。人件費の上昇は料金に転嫁され、国際輸送も安定する。持ち株は計画どおり約 600 億円を売り、自社株買いは 5 年で 350 億円を超える。賃貸面積は 1.3 倍に増え、利益率は 40% を保つ。2030 年度の ROE 8% には届くか届かないかだが、10 年後の本業の ROE は 7% 台になる。

住友倉庫は「普通に優良な物流会社」になる。含み資産は徐々に株主へ戻るが、評価が大きく変わるほどではない。定温倉庫の稼働率は高く、国際輸送は貿易量の変動を受けつつも、料金の改定で採算を守る。会社の計画に近い線だが、前の計画の未達を踏まえ、満額には届かない。株主は配当と自社株買いで、緩やかな改善の果実を受け取る。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の111億円が10年後に約 151億円(物価で一律に増やすと約 151億円)。営業利益は +0億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 38億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 物流事業:数量 228(倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定))× 価格 13(万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価))→ 売上 3,034 億円・営業利益 243 億円。能力 1.20 倍・単価 1.36 倍・利益率8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 151億円)
  • 不動産事業:数量 36.0(賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡))× 価格 5.48(万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料))→ 売上 197 億円・営業利益 79 億円。面積 1.32 倍・賃料 1.37 倍・利益率 40%

倍率:事業の純利益 151 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)706 億円。全体の PER 13.41 倍、時価総額 2,865 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:中計が目標に近づき、料金転嫁も徐々に進む筋書き。会社の計画の線に近いが、前の計画の未達の実績を踏まえて満額とはせず、楽観より厚く置いた。

中立 38% 中計は半分ほど達成。物流の利益率は横ばい、持ち株は少しずつ売れる 利益 113 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 5,794 円4,375 億円

物流の利益率は 7% 前後で、今とほぼ変わらない。定温倉庫や海外で数量は 1.12 倍に伸びるが、料金転嫁の遅れが部分的に残り、人件費の上昇と相殺される。賃貸ビルは大型倉庫の取得で面積が 1.2 倍になるが、新しい物件の減価償却で利益率は 38% に下がる。持ち株の売却は計画の約 600 億円で、代金は自社株買いと倉庫の建設に半々で回る。

営業利益は 175 億円前後になり、物価の分を除くと今より 15% ほどしか増えない。本業の ROE は 6% 弱で、資本コストを下回る。会社は大過なく進むが、評価が見直されるほどの変化は起きない。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の111億円が10年後に約 151億円(物価で一律に増やすと約 153億円)。営業利益は −2億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 45億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 物流事業:数量 213(倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定))× 価格 13(万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価))→ 売上 2,790 億円・営業利益 193 億円。能力 1.12 倍・単価 1.34 倍・利益率6.9%・償却は物価で増やさず按分(10年後 151億円)
  • 不動産事業:数量 32.7(賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡))× 価格 5.36(万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料))→ 売上 175 億円・営業利益 66 億円。面積 1.20 倍・賃料 1.34 倍・利益率 38%

倍率:事業の純利益 103 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 7.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)706 億円。全体の PER 13.04 倍、時価総額 2,180 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:前の中計が未達だった実績と、2027 年 3 月期に営業利益が 7% 増える会社予想の勢いを合わせた中心の筋書き。保管需要は年 1% 強の増加、価格は物価並みという業種ノートの中立に沿う。

やや悲観 26% 料金転嫁の遅れが続き、投資の採算が資本コストを割る 利益 64 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 1,986 円1,500 億円

物流の単価は物価より 1% 弱遅れて上がり、利益率は 6% に下がる。国際輸送は貿易の停滞で数量が伸びない。賃貸ビルは鉄道建設の影響と新しい物件の償却で利益率が 35% に落ちる。持ち株の売却は計画より遅れ、代金は採算の低い倉庫の建設に回る。配当は下限を守るが、自社株買いは細る。

営業利益は 110 億円ほどで、物価の分を除くと今より 25% 小さくなる。本業の ROE は 4% で、資本コストを大きく割る。会社は計画を作り直し、投資の中身を見直すが、その間に好機を逃す。持ち株の評価額は横ばいにとどまり、含み益は積み上がるものの、株主へ渡る速度は遅い。住友倉庫は「財務は堅いが稼ぎが伸びない会社」と見られる10年になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の111億円が10年後に約 151億円(物価で一律に増やすと約 158億円)。営業利益は −7億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 42億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 物流事業:数量 194(倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定))× 価格 13(万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価))→ 売上 2,465 億円・営業利益 141 億円。能力 1.02 倍・単価 1.30 倍・利益率5.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 151億円)
  • 不動産事業:数量 29.4(賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡))× 価格 5.12(万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料))→ 売上 151 億円・営業利益 53 億円。面積 1.08 倍・賃料 1.28 倍・利益率 35%

倍率:稼ぐ力(事業の純利益 64 ÷ k 7% = 800 億円)より資産の床のほうが大きいので、売れる資産の税後 1,500 億円(floor_assets_oku)を時価総額にそのまま置いた。今の自己資本 3,138 億円に対する PBR は 0.478 倍。償却を計算どおりに置き直して利益が細り、悲観と同じ床で値が付く。

確率:前の中計で料金転嫁が遅れた問題が続き、持ち株の売却代金が採算の低い投資に回る筋書き。実績が会社の見立てより弱いので、同じ領域の 9301 よりやや厚い 26% を置いた。

悲観 12% 荷主の自社物流化と料金競争で、物流の利益が消える 利益 −32 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 1,986 円1,500 億円

荷主の自社物流化と自動化で、倉庫・国際輸送の数量が 1 割強減り、価格競争で単価は物価に追いつかない。物流の利益率は 3.5% まで下がり、全社の営業利益は 20 億円ほどになる。賃貸ビルは鉄道建設の影響と賃料の下落で利益が細る。成長投資で借入が増えた上に、持ち株の評価額も市場の下落で 3 割ほど目減りする。

利益は配当収入に頼る形になり、自社株買いは止まる。それでも、持ち株と賃貸ビルの含み益が会社の下値を支え、倒産には至らない。配当は持ち株の売却代金で払い、還元の総額は期間の純利益を上回る。経営は不動産の売却や事業の整理に追い込まれ、住友倉庫は「優良な物流会社」ではなくなる。含み資産の厚さが、評価の崩れを一定のところで止める。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の111億円が10年後に約 151億円(物価で一律に増やすと約 167億円)。営業利益は −16億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 61億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 物流事業:数量 167(倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定))× 価格 12(万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価))→ 売上 1,996 億円・営業利益 54 億円。能力 0.88 倍・単価 1.22 倍・利益率2.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 151億円)
  • 不動産事業:数量 27.2(賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡))× 価格 4.60(万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料))→ 売上 125 億円・営業利益 38 億円。面積 1.00 倍・賃料 1.15 倍・利益率 30%

倍率:この筋書きの事業の純利益は 7 億円で、稼ぐ力は 100 億円にも満たない。売れる資産で測る:持ち株(市場の下落後の評価額、税引き後約 1,050 億円)と賃貸ビル(時価 1,731 億円が 25% 下落、含み益に税をかけて約 1,170 億円)の合計から、増えた借入約 700 億円を引いた約 1,500 億円を床に置いた(下落率と借入額は筆者の推定)。

確率:物流の自動化で荷主が倉庫を自社で持つ、国際輸送が縮む、料金転嫁が進まないという複合の筋書き。構造的な後退は一度始まると止まりにくいが、含み資産で会社が倒れる形にはならないので、12% に置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

物流事業

倉庫の保管・荷役、港湾運送、トラック輸送、国際輸送の手配を一貫して請け負う事業。定温倉庫や海外物流が成長の軸。

数量倉庫・上屋・ターミナルの面積換算(万㎡、売上から逆算した推定)価格万円/㎡・年(保管・荷役・運送・国際輸送を合算した実効単価)売上営業利益
今 2026/03 190 9.78 1,859 135
10 年後 中立 213 13 2,790 193

取り方:2026 年 3 月期の物流事業の営業収益 1,859 億円(内部取引の控除前)を、倉庫・上屋・ターミナルなど物流の取扱能力を面積に換算した 190 万㎡(筆者の推定。会社は開示していない)で割った実効単価。単価は保管料だけでなく、荷役・運送・国際輸送の取扱料を含む混合値。営業利益 135 億円は全社費用の配賦前。数量は定温倉庫と海外拠点の増設で伸び、単価は人件費に連れて物価並みに上がる。

不動産事業

倉庫や港に近い土地の賃貸ビル・賃貸倉庫の賃貸事業。賃貸面積は約 27 万㎡。

数量賃貸面積(万㎡、有価証券報告書の 272,395㎡)価格万円/㎡・年(営業収益を賃貸面積で割った実効賃料)売上営業利益
今 2026/03 27.2 4.00 109 44
10 年後 中立 32.7 5.36 175 66

取り方:2026 年 3 月期の不動産事業の営業収益 109 億円(内部取引の控除前)を賃貸面積 27.24 万㎡で割った実効賃料。営業利益 44 億円(利益率 40%)。前期は鉄道建設に伴う賃料の減少と一時収益の剥落で利益が 19% 減った。賃料は契約更新で物価に 1〜2 年遅れて上がり、面積は大型賃貸倉庫への投資(中計で 250 億円)の分だけ増える。

リスクと懸念

料金転嫁の遅れが続くリスク

前の中計の未達の主因に、人件費や外注費の上昇を料金に転嫁できなかったことがある。物流の営業利益率は 7% 台にとどまり、全社では 6% を割る。転嫁が今後も遅れれば、定温倉庫や海外で数量が伸びても、利益は物価の分すら増えない。

持ち株の売却代金が低採算の投資に消えるリスク

政策保有株の約 600 億円売却は、成長投資 1,650 億円の資金源でもある。売却代金が倉庫の新設に回り、その採算が資本コストを下回れば、含み益を現金化しても株主の価値は増えない。借入も 450 億円増える計画で、金利は上がっている。

持ち株の市場価格の下落

上場の持ち株の評価額は約 2,000 億円で、自己資本の 6 割に当たる。株式市場が下がれば自己資本と含み益が目減りし、悲観の床も下がる。配当収入も営業利益の 4 割ほどを占めるので、利益も同時に揺れる。

国際輸送の下振れ

国際一貫輸送とプロジェクト輸送は、前の期に減収だった。前の中計でも貿易環境の変化で計画を下回った。世界の貿易量が落ち込めば、倉庫の稼働と港湾の取扱量が同時に減り、固定費の重い設備が利益を圧迫する。

賃貸ビルの賃料減少

鉄道の建設に伴う賃料の減少が続き、前の期の不動産の営業利益は 19% 減った。賃貸ビルの時価は簿価の 2 倍あるが、利益は時価の 2.5% しか出ていない。資産回転型への転換が遅れれば、この含み益は眠ったままになる。

物流の自動化による荷主の自社物流化

自動倉庫や配車の自動化が進むと、荷主が倉庫を自社で持つ誘因が強まる。倉庫と港湾の付加価値が長期で薄れ、価格を決める力が弱まる。定温や専門物流への移行が間に合うかが分かれ目になる。

ガバナンス・資本政策の実行力

大株主に住友不動産や大和ハウス工業などが並び、持ち合いの性格が残る。含み資産が厚い会社は、買収の的にもなりうる。経営が資本効率の改善を先送りすれば、含み資産と株価の差は縮まらない。

今後の分かれ目

2027 年 3 月期の営業利益が会社予想 122 億円を上回ったら
料金転嫁が進んでいる証拠で、中立〜やや楽観に確率を移してよい。売却益などの一時要因を除いて確認する。
持ち株の売却が計画(600 億円)を上回り、代金が自社株買いに回ったら
含み資産が株主へ戻る速度が上がったと見て、還元側の価値を上方修正する。余った現金の戻り方の評価も上げる。
売却代金が倉庫の新設に回り、新しい物件の利回りが資本コストを下回ったら
やや悲観側へ確率を移す。投資の採算の規律が弱いと見る。
定温倉庫・海外物流の利益が増え、物流の利益率が 8% を超えたら
楽観・やや楽観に重みを移す。高付加価値への転換が進んだ証拠になる。
世界貿易が急減し、国際輸送の取扱量が 2〜3 割落ちたら
悲観側に重みを移す。固定費の重い設備の稼働低下が利益を直撃する。
賃貸ビルの売却や再開発で含み益が実現したら
含み益が現金になるので、自己資本と還元の見通しを上げる。売却益を除いた稼ぎも確認する。

見ておくもの

  • 四半期の物流事業の営業利益率(料金転嫁の進み具合)
  • 政策保有株の売却額と、売却代金の使い道(自社株買いか投資か)
  • 定温倉庫・海外拠点の稼働と利益
  • 不動産事業の営業利益と、賃貸ビルの売却・再開発の動き
  • 中計(2030 年度の営業利益 160 億円・ROE 8%)に対する進捗

倍率と資本コストの決め方

今の株価や PER から筋書きを作らず、物流の面積換算(推定 190 万㎡)と名目の単価、賃貸面積と賃料から利益を積んだ。倍率は利益ベースで、本業の ROE が資本コスト 7% 以下なので 1÷k=12.5 倍を上限に、上限の 9 割に置いた(景気の振れは k の循環で引いたので二重に引かない)。持ち株は評価差額金(税後・推定 約 1,000 億円。取得原価の分は足さない)を余った現金として別に足し、売却と還元の実績があるので戻り方は 1.0。賃貸ビルの含み益(有報の時価 1,731 億円と簿価 851 億円の差の税後 7 割)は、賃貸の利益を純利益に残すので余った現金に足さず、悲観の床にだけ使った。リースは自社保有が中心とみるが、解約不能の約束額は有報で未確認。新リース会計基準の後も、数字は家賃を営業費用に入れた今の形にそろえた。結論は「割高」。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.34→14.04 倍・やや楽観 PER 11.21→13.41 倍・中立 PER 11.25→13.04 倍)。

資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.5%(循環)を足した 8.0%。事業は傾いていないので上乗せは置かない。同じ領域の三菱倉庫(7.75%)より循環の分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.00%。

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読んだ資料

  1. 住友倉庫 中期経営計画 2026-2030(要約)
  2. 住友倉庫 有価証券報告書 2026 年 3 月期(テキスト)
  3. 住友倉庫 決算説明資料(2026 年 3 月期)

分析日 2026-10-16