株譜
AI 銘柄分析 · 倉庫・運輸関連業 · 試作

リンコーコーポレーション 9355

新潟港の荷役を一手に担う老舗。港とホテルの資産は重く、稼ぐ力は資本コストに遠い

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,125 円30 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)2,254 円59 億円差 −50.1%
10 年後から見ると 割高 価値 1,125 円30 億円 · 差 −50.1% · 期待の年率 +0.5%
期待の年率リターン(10 年)+0.5%資本コスト比 −8.3 pt
推定の資本コスト8.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

リンコーコーポレーションは、新潟港で船の荷役とコンテナターミナルを営む港湾運送の会社だ。新潟市内のホテルと、港の周りの土地の賃貸も持つ。筆者の結論は割高である。港の地盤は堅いが、荷は地元の工場に縛られて伸びにくく、重い資本に見合う稼ぎが出ないからだ。

売上の 7 割は運輸だが、その利益率は 1% しかない。営業利益の半分以上は、不動産・ホテル・機械の整備が稼ぐ。2026/03 期の純利益は 10 億円を超えたが、持ち株の売却益と税金の戻りを除けば 4 億円ほどだ。

10 年先を考えると、新潟県の人口は年 1% 近く減り、港を通る荷も少しずつ細る。港の機械や建物の更新には、今の高い建築費がかかる。有利子負債は 90 億円あり、借り換えのたびに利払いが増える。ROE は 10 年の中央値で 3% に届かず、自前の中計の目標 4% にも届かない。川崎汽船が 4 分の 1 を持つ点は、再編の芽として見ておく価値がある。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、リンコーコーポレーションは「地盤はあるが、持ち主の値打ちを増やしにくい」会社だ。新潟港の荷役は免許と長い取引に守られ、明日なくなる事業ではない。

しかしオーナーとして見ると、資本が重すぎる。港の機械と建物、ホテル、そして時価総額に近い持ち株を抱え、自己資本は約 200 億円ある。それで稼ぐ本業の純利益は年 4〜5 億円だ。資本コストを毎年大きく下回る事業は、時間とともに持ち主の値打ちを削る。

持ち株を売って借金を返し、資本を軽くすれば、話は変わる。当期の売却はその一歩にも見えるが、方針として数字で示されてはいない。筆者は、持ち株の縮小と港の事業の収益の改善が数字で見えるまでは、今の値段に安全域は無いと見る。川崎汽船を軸にした再編は、そのきっかけになりうる。筆者はその変化を待つ。

何で稼ぐ会社か

事業は 4 つに分かれる。柱は運輸で、新潟港で船に荷を積み降ろし、コンテナターミナルを運営する。紙・化学・エネルギーの原料など、地元の工場の荷が中心だ。倉庫での保管、トラックの輸送、船舶代理店も手がけ、川崎汽船の代理店業務も担う。2026/03 期の取扱量は 535 万トンだった。

港湾運送は免許の事業で、港ごとに担い手が限られる。新潟港で長く荷役を担ってきたことが、この会社のいちばんの強みだ。ただ、荷の量は後背地の工場の生産に縛られ、自分の力では増やしにくい。

ホテルは新潟市内で宿泊と宴会、レストランを営み、売上は 25 億円ほどある。不動産は港の周りや倉庫跡地の土地を貸す小さな事業だが、利益率は 5 割を超える。関連事業では、建設機械や港湾機械の整備と販売、木材のリサイクルを行う。

売上 139 億円のうち、運輸が 100 億円を占める。しかし営業利益 5 億円のうち、運輸の稼ぎは 1 億円しかない。港の会社でありながら、利益は港の外の事業が支えている。人の数は連結で 580 人余りだ。

優良さと弱いところ

強みは新潟港での地盤だ。港湾運送は免許制で、港の岸壁や上屋、荷役の機械を長く運用してきた会社に仕事が集まる。地元の工場や川崎汽船との長い取引も、簡単には崩れない。

一方で、値段を決める力は弱い。荷主は地元の大きな工場で、料金の交渉では荷主の側が強い。人手不足で外注費や燃料費が上がっても、料金に移すには時間がかかる。運輸の利益率が 1% にとどまるのは、その表れだ。

資本の効率は低い。港の機械や上屋、ホテルの建物に多くの資本を抱え、さらに 50 億円を超える持ち株も持つ。自己資本は約 200 億円あるが、本業の純利益は年 4〜5 億円で、ROE は資本コストに遠く届かない。持ち株の配当は利益を支えるが、資本の重さをさらに増している。

経営の目標も控えめだ。中計の ROE 4% は、資本コストの半分にも届かない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

日本の港のコンテナの取扱量は 2024 年に 2,198 万 TEU とほぼ横ばいで、10 年先も年 0〜2% の緩やかな伸びが業界の見方だ。ただ伸びるのは東京・横浜・神戸など大きな港で、国も国際コンテナ戦略港湾として集中して投資している。新潟のような地方の港は、その流れから外れやすい。

新潟港の荷は、地元の紙・化学・エネルギーの工場に支えられている。新潟県の人口は年 1% 近く減り、工場の統合や移転があれば、その分の荷は戻らない。一方で、太平洋側の港の混雑や、大きな地震への備えから、日本海側の港を使い分ける動きもある。

人手の面では、港湾の荷役もトラックの輸送も担い手が足りない。物流の 2024 年問題以降、運賃や外注費は上がり続けている。料金を上げられる会社と上げられない会社で、利益の差が開く。

港の機械や上屋は長く使う資産で、会計の償却は取得した時の値段のまま増えない。ただ更新の時期が来れば、今の高い建築費で建て替えることになる。会計の利益は物価で少し膨らんで見えても、手元の現金は更新の投資で細る。

資本政策と M&A

配当は 1 株あたりの下限を決めたうえで、配当性向 20〜30% を保つ方針だ。2026/03 期は一過性の利益を除いて算定し、総額 1.6 億円を払う。自社株買いの実績は乏しい。

持ち株は上場だけで 164 銘柄、49 億円と、時価総額に近い額にのぼる。第四北越フィナンシャルグループ、みずほリース、北越コーポレーションなど、地元と取引の関係の株が多い。当期は三菱マテリアルや飯野海運などを売ったが、売る方針を数字では示していない。配当は利益に入っているので、ここで別に足すことはしない。

川崎汽船が議決権の 4 分の 1 を持つ。代理店の取引でつながる大株主で、再編の時の受け皿になりうる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

新潟港での地盤は揺るがない。港湾運送は免許制で、岸壁と荷役の機械を長く運用してきた会社に仕事が集まる。川崎汽船との取引も長く、議決権の 4 分の 1 を持つ大株主として会社を支える。

利益は戻りつつある。営業利益は 2021/03 期の赤字から 5 億円に戻り、中計は利益率 4% を目指す。人手不足で港湾の料金は上がり、値上げが定着すれば運輸の薄い利益率も改善する。古い機械の償却は増えないので、値上げの分は利益に残りやすい。

資産も厚い。持ち株は 50 億円を超え、売れば借金の半分以上を返せる。当期は実際に一部を売った。太平洋側の港の混雑や災害への備えで、日本海側の港を使う動きも出ている。

日本海側の港の役割は、むしろこれから増す。大陸との航路や、エネルギーの受け入れの拠点として、新潟港の値打ちが見直される場面もありうる。不動産とホテル、整備の事業が利益の半分以上を支えるので、荷の波にも耐えられる。

慎重な見方

港の会社なのに、港で稼げていない。運輸は売上の 7 割を占めながら、利益率は 1% しかない。荷主の工場に料金を握られ、人手と燃料の値上がりを移しきれていない。

荷の量も伸びない。新潟県の人口は年 1% 近く減り、地元の工場が生産を絞れば荷は戻らない。国の投資は大きな港に集まり、地方の港は取り残される。

資本は重い。港の機械と建物の更新には今の高い建築費がかかり、借金は 90 億円ある。借り換えのたびに利払いが増え、持ち株の配当で埋める形は長く続かない。ROE は 10 年で 3% に届かず、2026/03 期の高い利益も売却益と税金の戻りによる見かけのものだ。

港の外の事業も盤石ではない。ホテルは人手不足で客室を回しきれず、建物の更新も迫る。持ち株の配当で利益を支える形は、相場が崩れれば一気に崩れる。中計の ROE 4% という目標そのものが、資本コストの半分にも届かない。資本を軽くする決断が無い限り、この形は変わらない。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方が強い。地盤は本物だが、荷の量も料金も自分で動かせず、重い資本に見合う稼ぎが出ない。確率は中立に厚く置き、悲観側を合わせて 30% とした。持ち株を売って借金を減らす方針や、川崎汽船を軸にした再編が見えれば、楽観側に寄せ直す。強気の見方の言う値上げの定着は、中立で運輸の利益率を倍にする形で入れた。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 1,888 円50 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 470 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 1,125 円30 億円、今との差 −50.1%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 3,336 円88 億円 683 円18 億円 +78.3% +6.0% 322 円8 億円
やや楽観 22% 2,687 円71 億円 596 円16 億円 +45.6% +3.8% 722 円19 億円
中立 40% 2,186 円58 億円 531 円14 億円 +20.6% +1.9% 1,087 円29 億円
やや悲観 20% 588 円16 億円 300 円8 億円 −60.6% −8.9% 178 円5 億円
悲観 10% 380 円10 億円 114 円3 億円 −78.1% −14.1% 49 円1 億円
加重平均100% 1,888 円50 億円470 円12 億円 +4.6% +0.5% 2,358 円62 億円

今の株価時価総額 2,254 円59 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。

楽観 8% 日本海側の玄関口として荷が増える 利益 8 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 3,336 円88 億円

太平洋側の港の混雑や大きな災害への備えから、荷主が日本海側の港を使い分けるようになる。新潟港は東北・北陸の玄関口として荷を増やし、取扱量は 1 割近く伸びる。

人手不足で港湾の料金は上がり、荷役の利益率は 3% に戻る。ホテルは新潟を訪れる客の戻りで稼働を保ち、宴会も持ち直す。

営業利益は 11 億円まで伸びるが、ROE は 3% 台にとどまる。港の機械と建物を抱える会社の資本は重く、資本コストには届かない。配当は方針どおり利益の 3 割ほどを払う。港の周りの土地の賃料も上がり、不動産の稼ぎが厚みを増す。

  • 運輸(港湾運送・コンテナターミナル):数量 562(取扱数量(万トン))× 価格 0.26(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 145 億円・営業利益 4 億円。535 万トンの 1.05 倍 × 1.38 倍、3%
  • 不動産:数量 31.5(賃貸面積(千㎡・推定))× 価格 0.14(千㎡あたりの年間賃料(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。1.05 倍 × 1.34 倍、55%
  • ホテル:数量 8.6(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 4.20(1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。1.05 倍 × 1.40 倍、8%
  • 関連事業:数量 1,100(整備・販売の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。1.1 倍 × 1.38 倍、9%

倍率:事業の ROE 3.2% が k 8.75% を下回るので PER の上限は 1÷k の 11.42 倍。荷が増えるこの筋書きは上限いっぱいとした。港の荷役機械・上屋・ホテルの建物の償却(推定で年 6〜7 億円)は取得した時の値段のまま増えないので、利益率には償却を物価で膨らませない形で入れた。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は借入で賄うので利払いが増える。

確率:太平洋側の港の混雑や災害への備えで、日本海側の港に荷が移る筋書き。過去 12 年で営業利益率が 4.5% を超えた年は無く、8% にとどめた。

やや楽観 22% 中計の目標をやや遅れて達成 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,687 円71 億円

新潟港の取扱量は今の水準を保ち、港湾の料金は物価並みに上がる。人手不足で外注費は上がるが、値上げで追いつき、荷役の利益率は 2.5% に戻る。

不動産は倉庫跡地や港の周りの土地を貸して、安定した稼ぎを上げる。ホテルは新潟の出張と観光の客を取り込み、利益率 7% を保つ。機械の整備と木材のリサイクルも、地元の需要で伸びる。

営業利益は 9 億円台と中計の目標を超えるが、借り換えで利払いが増え、純利益は 6 億円ほどにとどまる。ROE は 3% に届かない。配当は利益の 3 割を払う。ROE は中計の 4% に届かないまま、資本の重さは変わらない。

  • 運輸(港湾運送・コンテナターミナル):数量 535(取扱数量(万トン))× 価格 0.25(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 134 億円・営業利益 3 億円。1.0 倍 × 1.34 倍、2.5%
  • 不動産:数量 30.0(賃貸面積(千㎡・推定))× 価格 0.13(千㎡あたりの年間賃料(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。1.0 倍 × 1.30 倍、53%
  • ホテル:数量 8.2(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 4.11(1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む))→ 売上 34 億円・営業利益 2 億円。1.0 倍 × 1.37 倍、7%
  • 関連事業:数量 1,050(整備・販売の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。1.05 倍 × 1.36 倍、8.5%

倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.6% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 71 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:会社は 2026 年度に営業利益 6 億円・利益率 4% を目標にする。数年遅れでも届けば、この筋書きになる。目標に近づいた実績から 22% とした。

中立 40% 新潟港の荷は細り、利益は薄いまま 利益 5 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,186 円58 億円

新潟県の人口は年 1% 近く減り、港を通る荷も 10 年で 5% ほど細る。紙・化学・エネルギーの原料など、地元の工場の荷が中心なので、大きく伸びる余地は乏しい。

港湾の料金は人手不足で物価並みに上がるが、荷役の利益率は 2% にとどまる。不動産とホテル、整備の事業が利益の半分以上を支える形は変わらない。

借り換えで利払いが年 2 億円ほど増え、持ち株の配当がそれを一部埋める。純利益は 5 億円ほどで、ROE は 2% 台だ。中計が掲げる ROE 4% にも届かない。港の機械の更新は今の高い建築費で進み、手元の現金は細る。

  • 運輸(港湾運送・コンテナターミナル):数量 509(取扱数量(万トン))× 価格 0.24(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 123 億円・営業利益 2 億円。新潟港の後背地が細り 0.95 倍 × 1.30 倍、2%
  • 不動産:数量 30.0(賃貸面積(千㎡・推定))× 価格 0.13(千㎡あたりの年間賃料(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。1.0 倍 × 1.25 倍、52%
  • ホテル:数量 8.2(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 4.02(1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。1.0 倍 × 1.34 倍、6%
  • 関連事業:数量 1,000(整備・販売の件数(件・推定))× 価格 0.02(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。1.0 倍 × 1.34 倍、8%

倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:過去 12 年の営業利益率は −4〜4.5% で、平均は 2% 台。新潟港の後背地の人口が減る中、薄い利益が続く筋書きが最もありうるので 40% とした。

やや悲観 20% 荷が減り、荷役は赤字すれすれ 利益 1 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 588 円16 億円

新潟の紙や化学の工場が生産を絞り、港を通る荷は 15% 減る。荷役は固定費が重く、量が減ると利益はほぼ消える。

ホテルは人手不足で客室を十分に回せず、稼働を落とす。整備と木材のリサイクルも地元の需要の細りに引きずられる。

営業利益は 3 億円を割り、借り換えの利払いを引くと純利益は 1 億円台になる。配当は方針の下限まで下がる。持ち株を売っても借金を返すのが先で、株主に戻る値打ちは薄い。港の機械の更新は先延ばしになる。

持ち株の配当で利益を支えようにも、相場の下げで配当も細る。借金の返済が先で、株主に戻る分は少ない。

  • 運輸(港湾運送・コンテナターミナル):数量 455(取扱数量(万トン))× 価格 0.23(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。0.85 倍 × 1.22 倍、0.5%
  • 不動産:数量 28.5(賃貸面積(千㎡・推定))× 価格 0.12(千㎡あたりの年間賃料(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。0.95 倍 × 1.15 倍、45%
  • ホテル:数量 7.0(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 3.75(1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。0.85 倍 × 1.25 倍、2%
  • 関連事業:数量 900(整備・販売の件数(件・推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。0.90 倍 × 1.25 倍、4%

倍率:事業の ROE 0.7% で、稼ぐ力(純利益÷k)は約 16 億円。純有利子負債 81 億円が持ち株の税後約 44 億円を上回り、純現金と売れる資産の床は無いので、稼ぐ力の 8 割弱の PER 8.5 倍とした。PBR は 0.2 倍を大きく割り、EV ÷ 営業利益は 30 倍を超える。借金を含めると、資産の値打ちの多くは債権者のものになる筋書きだ。

確率:地元の工場の縮小や移転で荷が 15% 減り、荷役の利益がほぼ消える筋書き。2021/03 期に赤字を出した実例があり、20% とした。

悲観 10% 港の地位が落ち、ホテルも沈む 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 380 円10 億円

荷主が物流を太平洋側の大きな港に集め、新潟港の取扱量は 3 割減る。荷役は赤字になり、港の機械の更新も先延ばしになる。

ホテルは客が減り、建物の更新の費用もまかなえず赤字に沈む。土地と建物の減損で、自己資本は 20 億円ほど削られる。

借金は 90 億円台あり、持ち株を売って返しても、その分の配当の稼ぎも消える。配当はほぼ止まる。川崎汽船など大株主による再編が無ければ、株主の値打ちは稼ぐ力の残りかすだけになる。港の免許だけが残る。

地元の金融機関も融資の条件を厳しくし、借り換えの金利はさらに上がる。

  • 運輸(港湾運送・コンテナターミナル):数量 375(取扱数量(万トン))× 価格 0.21(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 80 億円・営業利益 −2 億円。0.70 倍 × 1.15 倍、−2%
  • 不動産:数量 27.0(賃貸面積(千㎡・推定))× 価格 0.11(千㎡あたりの年間賃料(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。0.90 倍 × 1.05 倍、35%
  • ホテル:数量 5.7(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 3.45(1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む))→ 売上 20 億円・営業利益 −1 億円。0.70 倍 × 1.15 倍、−4%
  • 関連事業:数量 750(整備・販売の件数(件・推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。0.75 倍 × 1.15 倍、0%

倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。純有利子負債 81 億円が持ち株の税後約 44 億円を上回り、純現金と売れる資産の床も無いので、今の自己資本 199 億円に PBR 0.05 倍を掛けた小さな値とした。PBR は 0.05 倍と極端に低いが、純負債を引くと株主の取り分が稼ぐ力の残りしか無い筋書きなので、資産の床では支えない。

確率:荷主が太平洋側の大きな港に荷を集め、新潟港の地位が落ちる構造的な負けの筋書き。川崎汽船との取引が支えになるので 10% とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

運輸(港湾運送・コンテナターミナル)

新潟港での船の荷役、コンテナターミナルの運営、倉庫での保管、トラックの輸送、船舶代理店。

数量取扱数量(万トン)価格1 万トンあたりの売上(億円)売上営業利益
今 2026/03 535 0.19 100 1
10 年後 中立 509 0.24 123 2

取り方:有報の取扱数量 535.3 万トン(一般貨物とコンテナの合計)で運輸の売上 99.9 億円を割り、1 万トンあたり約 0.19 億円とした。保管・陸送・代理店の売上も含む。

不動産

港の周りや倉庫跡地の土地・建物の賃貸。

数量賃貸面積(千㎡・推定)価格千㎡あたりの年間賃料(億円)売上営業利益
今 2026/03 30.0 0.10 3 2
10 年後 中立 30.0 0.13 4 2

取り方:面積の開示が無いため、地方の倉庫・事業用地の賃料を 1 千㎡あたり年 0.1 億円前後とみて、売上 3.1 億円から約 3 万㎡と推定した。

ホテル

新潟市内のホテルの宿泊・宴会・レストラン。

数量販売した客室の延べ数(万室泊・推定)価格1 万室泊あたりの売上(億円。宴会・料飲を含む)売上営業利益
今 2026/03 8.2 3.00 25 1
10 年後 中立 8.2 4.02 33 2

取り方:客室数の開示が無いため、約 300 室・稼働 75% とみて年 8.2 万室泊と推定し、売上 24.6 億円を割った。宴会と料飲の売上が多いので 1 室泊あたりは高めに出る。

関連事業

建設機械・港湾機械の整備と販売、木材のリサイクルなど。

数量整備・販売の件数(件・推定)価格1 件あたりの売上(億円)売上営業利益
今 2026/03 1,000 0.01 11 1
10 年後 中立 1,000 0.02 15 1

取り方:件数の開示が無いため、整備と販売を平均 1 件約 115 万円とみて、売上 11.5 億円から約 1,000 件と推定した。

リスクと懸念

地元の工場への依存

新潟港の荷は、紙・化学・エネルギーなど地元の工場の原料と製品が中心だ。工場の統合や移転、生産の縮小があれば、その荷はまとめて消え、戻ってこない。

人手と外注費

荷役もトラックも担い手が足りず、外注費と賃金は上がり続ける。料金に移すには荷主との交渉が要り、追いつかなければ運輸の薄い利益は消える。

借り換えの利払い

有利子負債は 90 億円あり、借り換えのたびに金利が上がる。10 年で利払いは年 2 億円ほど増え、純利益の半分近くを食う大きさになる。

港の機械と建物の更新

荷役の機械、上屋、ホテルの建物はいずれ更新が要る。今の高い建築費で建て替えれば償却が増え、借入で賄えば利払いも増える。

持ち株の値下がり

上場の持ち株は 49 億円と時価総額に近い。相場が崩れれば評価損が自己資本を削り、配当の稼ぎも細る。地方銀行の株が多い点も偏りになる。

災害

新潟港は地震と津波の備えが要る地域にある。被災すれば岸壁と機械が止まり、修復の費用と荷の流出が同時に起きる。

今後の分かれ目

持ち株を売って借金を返す方針が数字で示されたら
資本が軽くなり ROE が上がる道が開く。楽観側の確率を上げる。
中計の営業利益 6 億円・利益率 4% を達成したら
やや楽観の筋書きに近づいたとみる。運輸の利益率の改善が続くかを見る。
地元の大きな工場が統合や移転を発表したら
やや悲観の確率を上げる。失う荷の量を見積もり直す。
川崎汽船が持ち分を増やす、または再編の話が出たら
再編で株主に値打ちが渡る可能性が出る。条件が見えた時点で測り直す。
日本海側の港への荷の移りが統計で確かめられたら
新潟港の取扱量の見通しを上げ、楽観側に寄せる。

見ておくもの

  • 新潟港の取扱数量(一般貨物・コンテナ)
  • 運輸セグメントの利益率
  • 有利子負債と持ち株の残高
  • 中計の達成の度合い
  • 川崎汽船の持ち分

倍率と資本コストの決め方

倍率は今の株価や PBR から置かず、事業の ROE が k 8.75% を大きく下回ることから PER の上限 1÷k の 10.8 倍を出し、利益の質で 80〜100% を掛けた。2026/03 期の純利益 10.6 億円は売却益と税金の戻りを含むので、起点を 4.3 億円にならした。持ち株は配当が利益に入るので足していない。PBR 0.3 倍は割安の根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.42 倍・やや楽観 PER 10→11.43 倍・中立 PER 9.2→11.43 倍)。

資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。

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割安 ファイズホールディングス9325 アマゾンの物流現場を人手で支える会社。成長は本物だが、顧客の一極集中と親会社の存在が重い 本質価値との差 +54.9% · 10 年 割安(年 +12.1%) やや割安 ケイヒン9312 京浜港に根を張る小さな物流会社。国内の稼ぐ力は堅いが、新本社に投じた 118 億円の稼ぎが焦点。利益で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +29.7% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 大運9363 大阪の小さな港運会社。本業は堅実で資産も厚いが、株主に戻る道筋が弱く、今の値段はほぼ妥当だ 本質価値との差 +27.0% · 10 年 やや割安(年 +9.9%) やや割安 キムラユニティー9368 トヨタの部品を包み運ぶ手堅い会社。赤字知らずだが伸びは物価止まりで、利益で測ると今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +23.5% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 上組9364 東京港・神戸港の自社単独ターミナルという免許制の堀と実質無借金が強みだが、成長は鈍く、稼ぐ力で測ると今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +15.9% · 10 年 やや割安(年 +6.8%) やや割安 伊勢湾海運9359 名古屋港の港湾運送の中堅。現金は時価総額の 9 割と厚いが、稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +14.6% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) やや割安 エーアイテイー9381 日中の輸入物流を握る身軽な仲介業。現金は厚いが、利益の質は運賃次第で、今の値段はやや割高 本質価値との差 +11.4% · 10 年 やや割安(年 +7.6%) やや割安 日本トランスシティ9310 四日市港に根を張る堅実な物流会社。利益率が薄く、稼ぐ力は資本コストにわずかに届かないが、今の値段は 10 年の価値とほぼ釣り合う 本質価値との差 +10.7% · 10 年 やや割安(年 +7.6%) 適正 サンリツ9366 精密機器の輸出梱包の老舗。新倉庫で伸びるが、借入が重く稼ぐ力は資本コストに届かない 本質価値との差 +4.9% · 10 年 適正(年 +7.7%) 適正 伏木海陸運送9361 富山の港を一手に担う港湾の会社。地元では代わりがいないが、石炭とチップの先細りと設備の更新が重く、やや割高 本質価値との差 +3.8% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 東陽倉庫9306 名古屋地盤の倉庫・運送の中堅。賃貸不動産に含み益があるが、ROE が資本コストに届かず、10 年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 +0.8% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 三菱倉庫9301 丸の内などの含み益は悲観の下値を支えるが、利益で測ると物流の利益率の回復は遅く、今の値段は割高 本質価値との差 −3.6% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 東京汽船9193 東京湾の大型船を押し引きする曳船の老舗。手元の現金が時価総額に迫るが、本業はほぼ稼がず、値段はおおむね妥当 本質価値との差 −4.8% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 杉村倉庫9307 大阪港の倉庫と賃貸ビルを持つ老舗。財務は堅いが成長が遅く、含み益を足しても今の値段は高め。 本質価値との差 −5.0% · 10 年 適正(年 +5.9%) やや割高 名港海運9357 名古屋港に根を張る港湾運送の老舗。資産は厚いが稼ぐ力が資本に見合わず、本質価値は今の時価総額を3割強下回る 本質価値との差 −10.1% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 トレーディア9365 中国向けが半分の国際物流の仲介会社。利益は薄いが保有株と倉庫が支えるが、本質価値は今の時価総額をやや下回る。 本質価値との差 −10.5% · 10 年 やや割高(年 +7.1%) やや割高 東洋埠頭9351 港の倉庫と荷役の老舗。含み益のある株は多いが、本業の稼ぎは資本コストに届かず、10年では割高と見る 本質価値との差 −16.1% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 住友倉庫9303 持ち株と賃貸ビルの含み資産は厚いが、本業の利益で測ると 10 年の伸びは小さく、今の値段は割高 本質価値との差 −18.9% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 三井倉庫ホールディングス9302 稼ぎの質は改善したが、利益の伸びは物価並み。賃貸の含み益を足さず賃料を残して測ると、10年の価値は今の値段の5割ほどにとどまる 本質価値との差 −26.4% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 安田倉庫9324 上場株が時価総額に並ぶ会社。本業の稼ぎは薄く、10 年で測ると今の値段は割高に出る 本質価値との差 −27.2% · 10 年 やや割高(年 +2.9%) 割高 中央倉庫9319 京都の倉庫・運送に持ち合い株が時価総額の半分あるが稼ぐ力は細く、酒類物流の買収も重く、今の値段は割高 本質価値との差 −30.9% · 10 年 割高(年 +2.2%) 割高 兵機海運9362 姫路の鉄鋼の船と港を担う小さな物流会社。大株主 2 社が株を取り合うが、ROE は資本コストに届かず、価値は今の値段を 4 割近く下回る 本質価値との差 −31.3% · 10 年 割高(年 +3.2%) 割高 丸八倉庫9313 倉庫と土地は良いが、稼ぎは自己資本の 3% 前後。帳簿の半値でも、稼ぐ力から見れば割高だ 本質価値との差 −38.8% · 10 年 割高(年 +1.4%) 割高 澁澤倉庫9304 利益は薄く、値段は資産の価値に近い。含み益を現金に変える速さが、割高か否かを分ける 本質価値との差 −40.7% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 東海運9380 セメント輸送と港湾物流で 100 年を超えた老舗。稼ぐ力に比べて資産が重く、今の値段は割高とみる 本質価値との差 −44.3% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 櫻島埠頭9353 大阪港で石炭と油・化学品を預かる港湾の会社。本業は薄く、利益の半分近くは持ち合い株の配当。脱炭素で石炭が細り、今の値段は割高 本質価値との差 −44.5% · 10 年 割高(年 +0.7%) 割高 大東港運9367 東京港の食品輸入に強い港湾運送の中堅。堅実だが利益率は頂で、今の時価総額は重い 本質価値との差 −46.9% · 10 年 割高(年 −0.3%) 割高 川西倉庫9322 特別配当で目を引くが、稼ぐ力は資本コストの半分。10 年の利益で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −49.8% · 10 年 割高(年 −1.1%) 割高 キユーソー流通システム9369 食品物流の堅実さは本物だが、利益率が薄く資本コストに届かない。10年で見ても今の値段は大幅に割高 本質価値との差 −64.7% · 10 年 割高(年 −3.6%)

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読んだ資料

  1. リンコーコーポレーション 有価証券報告書(2026年3月期)テキスト
  2. 国土交通省 港湾のコンテナ取扱貨物量

分析日 2026-10-20