結論
東陽倉庫は、名古屋港と東海・関東の拠点で、倉庫の保管、運送、港湾荷役、国際輸送を束ねて受ける物流会社だ。営業収益は 302 億円(2026 年 3 月期)で、営業利益は 13.8 億円。営業利益率は 4.6% と薄い。
筆者は、稼ぐ力は低く、資産の厚みは大きいが株主の手には届きにくい、と見る。賃貸等不動産の時価は 159 億円で、簿価 18 億円との差が 141 億円ある。時価総額 150 億円と並ぶ規模だ。ただ、賃貸の利益は純利益に入っており、会社は売る方針を示していない。
問題は資本効率だ。ROE は 5〜6% で、資本コストの 8.25% に届かない。PBR は 0.5 倍台。会社も ROE 8% を中長期の目標に据えた。
配当は純資産配当率 2% か配当性向 40% の高い方を下限にする方針で、優待も拡充した。還元は厚くなるが、10 年の価値は時価総額 150 億円をやや下回る、と筆者は見る。第 1 四半期は営業利益が 17% 減った。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず事業の質を見る。倉庫と運送は立地と許認可に守られているが、人と設備が要る労働集約の商売で、利益率は 4〜5% と薄い。10 年後も名古屋港の物流は残る。ただ、価格を決める力は強くない。
次に、資本の使い方を問う。赤字の期がなく、増配を重ねてきたのは評価できる。一方、ROE は資本コストに届かない。会社も、ROE 8% を超える水準を目指すと認めている。
安全域は資産にある。賃貸等不動産の含み益(税後 99 億円)と、上場株式の含み益が、時価総額に匹敵する。だが賃貸の利益は純利益に入っており、会社が売る方針を示さないかぎり、株主の手には届かない。
筆者は、本業の利益には控えめな倍率(10 倍前後)を置き、上場株式には戻り方 0.5 を掛けて見た。不動産の含みは悲観の床にだけ入れた。それでも今の時価総額は、10 年の価値より高い。割高の側にある。
何で稼ぐ会社か
事業は物流事業と不動産事業の 2 つで、営業収益の 98% は物流だ。2026 年 3 月期の物流事業は営業収益 295 億円、セグメント利益 18.2 億円。
物流事業の中身は、陸上運送が 117 億円(39%)、倉庫業が 73 億円(24%)、港湾運送が 31 億円(10%)、国際輸送・流通加工・配送センターなどが 74 億円(25%)。非鉄金属(アルミ地金)の保管と港湾荷役、食料工業品、自動車関連が荷物の中心で、名古屋港周辺に強い。2025 年 7 月に知多市で新しい物流施設を開き、早期に本格稼働した。
不動産事業は営業収益 6 億円、セグメント利益 2.6 億円で、利益率は 42%。愛知県を中心に、賃貸用の物流施設と商業施設を貸す。賃貸等不動産の簿価は 18 億円だが、期末の時価は 159 億円ある。
従業員は連結で 721 人、臨時雇用が 614 人。運送の一部は外注で賄う。荷主は製造業、商社、食品メーカーなどで、保管の長期契約と荷役の都度払いを組み合わせる。取扱いの季節変動は小さく、景気の波は荷動きに出る。持分法の会社を通じた物流の取り込みも利益に入る。
優良さと弱いところ
強みは、名古屋港に近い立地の倉庫群と、非鉄金属など荷主の定着した取引だ。倉庫の保管残高は堅調で、営業収益は 2022 年以降、緩やかに伸びている。過去 10 年に赤字の期はなく、営業利益率は 2.9〜4.8% の狭い帯に収まる。
ただ収益力は低い。ROE の中央値は 5.5% で、資本コストを下回り続ける。運送と倉庫は人と設備を抱える労働集約の事業で、荷主に価格を移せる範囲にも限りがある。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業収益が 7% 伸びたが、再保管費と人材派遣費がかさみ、営業利益は 17% 減った。
資本配分は改善している。9 期連続の増配に加え、2026 年 3 月期は自己株式 7.4 万株(1.2 億円)を取得し、政策保有株を 3 銘柄売った。2027 年 3 月期からは、配当性向 40% か純資産配当率 2% の高い方を下限にする。
弱みは、含み益の大きい不動産と株式が、利益や還元に結びつきにくい点だ。大株主には取引銀行や取引先が並ぶ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流業界は、荷物の量が伸びない一方、コストが上がり続けている。人口減少で国内の消費は細り、貿易量も横ばいに近い。2024 年の国内港湾のコンテナ取扱量は前年比 0.9% 増にとどまった。
コスト側では、トラック運転手の時間外労働に上限がかかる 2024 年問題で、運送の外注費が上がっている。標準的な運賃は 2024 年 3 月に約 8% 引き上げられた。倉庫でも人手不足と電力料の上昇が続く。荷主への価格転嫁が進む会社と、進まない会社で利益が分かれる。
EC の拡大は、倉庫の保管と流通加工の需要を支える。建築費と用地の高騰で新しい倉庫の供給は抑えられており、既存の倉庫の稼働率と保管料には追い風になる。
港湾と倉庫は許認可と立地の障壁があり、新規参入は多くない。ただ、名古屋地区では大手と同規模の中堅が並び、価格の競争は穏やかでも、荷主との交渉力は強くない。
会社は、フォワーディングと 3PL(荷主に代わって物流全体を請け負う仕組み)の強化、物流 DX による省人化を掲げる。自動仕分けロボットや自動ラベル貼付機は既に入れている。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 3 月期が総額 5.3 億円(記念配当を含む)、2027 年 3 月期の予想は 5.7 億円で 10 期連続の増配になる。2027 年 3 月期からは連結純利益に対する配当性向 40% か、純資産配当率(配当総額÷株主資本)2% の高い方を目安にする。業績が落ちても配当を保つ作りで、純資産が増えるほど下限も上がる。
自己株式は 2026 年 3 月期に 7.4 万株(1.2 億円)を取得した。保有は発行済みの 4% ほど。
株主優待は 2026 年 3 月末の分から拡充した。500 株以上を 1 年以上持つ株主に、保有数に応じて 4 段階のギフト券を贈る(最も多い段で額面 3 万円相当)。株主数は 4,068 人。500 株以上の株主を 400 人ほどと置くと、費用は年 0.18 億円ほど(推定)。優待の費用は販管費に入って利益を下げているので、10 年の還元には「年 0.18 億円 × 10 年 × 続く見込み」を足した(中立 1.0、やや悲観 0.75、悲観 0.5)。
純有利子負債は 84 億円(時価総額の 56%)で、自己資本比率は 57.8%。設備投資は 2026 年 3 月期が 19.5 億円、2027 年 3 月期が 13 億円の計画で、償却費 16 億円を下回る。
上場株式(政策保有)は 63 億円。含み益の税後は 50 億円ほどを余った現金とみて、戻り方は 0.5 とした。TOB の確率は kabufu の推定で 27.3%。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
名古屋港周辺で長く荷主と取引を続け、保管残高が堅調に伸びている。新しい知多の拠点が早期に稼働し、倉庫の需要は力強い。非鉄金属の取扱いが増え、港湾運送と国際輸送も堅調だ。
EC の拡大と、新しい倉庫の供給の抑制は、保管料と稼働率を支える。3PL と物流 DX で 1 人あたりの取扱いが増えれば、人手不足の中でも営業利益が伸びる。
還元は厚くなる。配当性向 40% か純資産配当率 2% を下限に置き、優待も拡充した。自己株式を取得し、政策保有株を縮減する方針も数字で示している。
資産の厚みも見逃せない。賃貸等不動産は簿価 18 億円に対し時価 159 億円。上場株式にも含み益がある。会社は ROE 8% を目指すと言い、含み益の活用が進めば、PBR 0.5 倍台の評価は見直される。人手不足は価格の引き上げを通しやすくする面もあり、新しい拠点の稼働率が上がる余地もあり、取扱いを絞って採算の悪い荷を断る余地もある。
慎重な見方
ROE は過去 10 年の中央値で 5.5%、資本コストを大きく下回る。営業利益率は 4〜5% の薄さで、人件費や外注費が少し動くだけで利益が消える。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、営業収益が 7% 増えたのに営業利益は 17% 減った。
運送と倉庫は人手不足の最前線にある。2024 年問題で外注費は上がり続け、荷主への価格転嫁は限られる。食料工業品の取扱いは落ち込んでいる。
含み益は株主の手に届きにくい。賃貸の利益は純利益に入っており、会社は売る方針を示していない。上場株式は取引銀行や取引先で、売却は年に 5 億円ほどにとどまる。大株主にも取引先が並ぶ。
設備の更新は建築費の上昇で膨らむ。償却は物価で増えないが、更新の投資は増え、借入と利払いが増える。純負債は 84 億円あり、金利が 3.5% に上がれば利払いが年 2 億円ほど増える。名古屋港周辺に偏った荷主の事情も、一つの港の荷動きで利益が動く弱さになる。
どちらに重みを置いたか
物流の薄い収益と、資本効率の低さは変わらない。慎重な見方の、人手不足と外注費の上昇には、やや悲観の確率を厚く置いた。一方、賃貸不動産の含み益、増配と下限を置いた還元方針は、悲観の床を高くする。結論は、慎重の言い分がやや強い。確率は、楽観 7%・やや楽観 20%・中立 38%・やや悲観 23%・悲観 12%。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,829 円213 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 858 円65 億円)。 今の値に割り戻すと 2,010 円151 億円、今との差 +0.8%、 期待の年率 +6.3%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,443 円334 億円 | 1,032 円78 億円 | +174.4% | +10.6% | 383 円29 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,764 円283 億円 | 982 円74 億円 | +137.9% | +9.1% | 949 円71 億円 |
| 中立 | 38% | 3,176 円239 億円 | 915 円69 億円 | +105.1% | +7.4% | 1,555 円117 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,596 円120 億円 | 859 円65 億円 | +23.1% | +2.1% | 565 円42 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,596 円120 億円 | 371 円28 億円 | −1.4% | −0.1% | 236 円18 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,829 円213 億円 | 858 円65 億円 | +84.9% | +6.3% | 3,688 円277 億円 |
今の株価時価総額 1,995 円150 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 3PL の取引が広がり、知多の新拠点と DX で利益率が上がる 利益 22 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 4,443 円334 億円
荷主が物流の外注を増やし、東陽倉庫の倉庫・運送・国際輸送を束ねた提案が通る。新しい知多の拠点と自動仕分け機で、人員は今のまま、1 人あたりの取扱いは実質で 18% 増える。値上げは物価並みに通る。物流の営業利益率は今の 6.2% から 6.8% に上がる。
不動産は賃貸物件を少し増やし、賃料は 1.3 倍。全社費用は物価並みの 1.34 倍。営業利益は 26 億円、純利益は 22 億円。配当は純資産配当率 2% を下限にした方針どおり、配当性向は 45%。10 年の還元は優待を含めて 78 億円ほど。中立との差は、1 人あたりの取扱いが実質で 4% でなく 18% 伸びることと、物流の営業利益率が 1 ポイント高いことだ。
- 物流事業:数量 971(従業員換算(人。正社員+臨時の半数))× 価格 4,812(1 人あたり営業収益(万円・名目))→ 売上 467 億円・営業利益 32 億円。従業員換算 971 人(今と同じ)× 1 人あたり営業収益 1.58 倍(物価 1.34 × 実質 1.18)、営業利益率 6.8%
- 不動産事業:数量 175(賃貸等不動産の時価(億円・実質))× 価格 0.05(時価あたり年間売上(比率))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。賃貸等不動産の時価 1.1 倍 × 年売上÷時価 1.3 倍、営業利益率 45%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)38 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 334 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:倉庫・運送・国際輸送を束ねた 3PL の取引が広がり、荷主の外注が進む筋書き。新しく開いた知多の拠点が早期に稼働したことは追い風だが、第 1 四半期は営業利益が 17% 減っており、人件費の上昇を価格に移す力は試されている。営業利益率が過去最高の 5.6%(1996 年)に近づくには、10 年続けて値上げが通る必要がある。実現の幅は狭いので 7% にとどめた。
やや楽観 20% 取扱いは緩やかに伸び、利益率が少し上がる 利益 19 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 3,764 円283 億円
倉庫の保管残高と国際輸送が堅調で、人員は今のまま、1 人あたりの取扱いは実質で 10% 増える。値上げは物価並み。物流の営業利益率は 6.3% まで戻る。会社は ROE 8% を中長期の目標にするが、そこまでは届かない。
不動産は賃料が 1.25 倍。全社費用は物価並みの 1.34 倍。営業利益は 22 億円、純利益は 19 億円。配当性向は 48%、10 年の還元は優待を含めて 74 億円ほど。中立との差は、1 人あたりの取扱いが実質で 4% でなく 10% 伸びることと、物流の営業利益率が 0.5 ポイント高いことだ。外注費と人材派遣費の上昇を価格に移せる前提になる。
- 物流事業:数量 971(従業員換算(人。正社員+臨時の半数))× 価格 4,485(1 人あたり営業収益(万円・名目))→ 売上 436 億円・営業利益 27 億円。従業員換算 971 人 × 1 人あたり営業収益 1.47 倍(物価 1.34 × 実質 1.10)、営業利益率 6.3%
- 不動産事業:数量 167(賃貸等不動産の時価(億円・実質))× 価格 0.05(時価あたり年間売上(比率))→ 売上 8 億円・営業利益 4 億円。賃貸等不動産の時価 1.05 倍 × 年売上÷時価 1.25 倍、営業利益率 43%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)38 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 283 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期の会社予想(営業利益 13.8 億円)は第 1 四半期の営業減益で達成が見えにくい。それでも、倉庫の保管残高は堅調で、新拠点の稼働が続くので、1 人あたりの取扱いは緩やかに伸びる筋書き。物価並みの値上げが通る前提で、確度は中くらいなので 2 割にした。
中立 38% 取扱いは横ばい、価格は物価並み。利益はゆっくり伸びる 利益 15 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 3,176 円239 億円
取扱いの実質は伸びず、1 人あたりの取扱いが 4% 増えるだけ。値上げは物価並みに通り、物流の営業利益率は今の 6.2% から 5.8% へ少し下がる。償却は今の設備の簿価のままで年 16 億円前後、新しい投資の分だけ 10 年後に 21 億円ほどになる。その一方で人件費と外注費は物価並みに上がる。
不動産は賃料の上げが物価に届かず 1.2 倍。全社費用は 1.34 倍。営業利益は 18 億円、純利益は 15 億円。配当性向は 50% 程度で、純資産配当率 2% の方針が下限になる。10 年の還元は優待を含めて 69 億円ほど。ROE は 4% 台で、資本コストを下回り続ける。借入の借り換えで利払いは増え、受取配当と持分法の利益の伸びが一部を打ち消す。
- 物流事業:数量 971(従業員換算(人。正社員+臨時の半数))× 価格 4,241(1 人あたり営業収益(万円・名目))→ 売上 412 億円・営業利益 24 億円。従業員換算 971 人(今と同じ)× 1 人あたり営業収益 1.39 倍(物価 1.34 × 実質 1.04)、営業利益率 5.8%(今 6.2%)
- 不動産事業:数量 159(賃貸等不動産の時価(億円・実質))× 価格 0.05(時価あたり年間売上(比率))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。賃貸等不動産の時価 横ばい × 年売上÷時価 1.2 倍(長期契約で賃料の上げは物価に届かない)、営業利益率 42%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)38 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 239 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の貿易量と消費は横ばいに近く、倉庫の保管残高も大きくは伸びない。人手不足で運送の外注費と人件費が上がり続けるが、荷主に価格を移せる範囲に収まる。東陽倉庫の過去 10 年の営業利益率は 2.9〜4.8% の狭い帯にあり、この形が最も起こりやすい。強気と慎重の中間に 4 割弱を置いた。
やや悲観 23% 人手不足と外注費の上昇を価格に移せず、利益率が薄くなる 利益 9 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,596 円120 億円
取扱いの実質は今の 0.95 倍に減り、1 人あたりの営業収益は物価の 1.28 倍にとどまる。外注費と人材派遣費が重く、物流の営業利益率は 4.5% に落ちる。
不動産は賃料が 1.1 倍。全社費用は物価並みの 1.34 倍で、売上が伸びなくても下がらない。営業利益は 9 億円、純利益は 9 億円。配当は純資産配当率 2% の下限を守るため、利益の 7 割を超える。10 年の還元は優待を含めて 65 億円ほどで、優待は 75% の継続とみた。純現金はなく、純負債が重くなる。会社の存続は揺るがないが、設備の更新と配当を両立するには借入が増える。
- 物流事業:数量 922(従業員換算(人。正社員+臨時の半数))× 価格 3,895(1 人あたり営業収益(万円・名目))→ 売上 359 億円・営業利益 16 億円。従業員換算 922 人(今の 0.95 倍)× 1 人あたり営業収益 1.28 倍、営業利益率 4.5%
- 不動産事業:数量 159(賃貸等不動産の時価(億円・実質))× 価格 0.04(時価あたり年間売上(比率))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。賃貸等不動産の時価 横ばい × 年売上÷時価 1.1 倍、営業利益率 38%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益 9 ÷ k 7.25% = 108 億円)に余った現金の戻り分(約 19 億円)を足すと約 127 億円で、売れる資産の税後 120 億円(floor_assets_oku)とほぼ並ぶ。床を時価総額にそのまま置いた。今の自己資本 291 億円に対する PBR は 0.41 倍。EV ÷ 営業利益でも見たが(純有利子負債 84 億円を足して約 22 倍)、営業利益が 9 億円まで落ちる筋書きでは倍率が意味を持たず、資産の床で測った。
確率:運送の外注費と人材派遣費が物価を超えて上がり、荷主への価格転嫁が追いつかない筋書き。足元でも第 1 四半期の営業利益は 17% 減っており、延長にすぎない。2024 年問題でドライバーの時間外労働の上限が効き、運賃の上昇は続く。食料工業品の取扱いの落ち込みも出ている。2 割強にした。
悲観 12% 荷主の内製化と貿易の縮小で、取扱いが細り赤字に近い低採算が続く 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,596 円120 億円
荷主の内製化と貿易量の縮小で、取扱いは今の 0.8 倍に減る。1 人あたりの営業収益は物価の 1.15 倍にとどまり、物流の営業利益率は 2.5% まで落ちる。設備の更新投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増えて利払いも増える。
不動産は空室が出て、賃貸等不動産の時価の一部を売って現金を作る。全社費用は 1.2 倍までしか減らせない。営業利益はほぼ 0、純利益は 2 億円。配当は純資産配当率の方針を守れず、利益を超えて 4 割の配当を続けるのも難しい。10 年の還元は優待を含めて 28 億円ほど。優待は半分に縮む。自己資本は積み上がらないが、賃貸等不動産と上場株式の含みが床になる。
- 物流事業:数量 777(従業員換算(人。正社員+臨時の半数))× 価格 3,499(1 人あたり営業収益(万円・名目))→ 売上 272 億円・営業利益 7 億円。従業員換算 777 人(今の 0.8 倍)× 1 人あたり営業収益 1.15 倍、営業利益率 2.5%
- 不動産事業:数量 127(賃貸等不動産の時価(億円・実質))× 価格 0.04(時価あたり年間売上(比率))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。賃貸等不動産の時価 0.8 倍 × 年売上÷時価 横ばい、営業利益率 35%
倍率:この筋書きの事業の純利益は 2 億円で、稼ぐ力は 25 億円にも届かない。売れる資産の税後 120 億円(floor_assets_oku)のほうが大きいので、床を時価総額に置いた。今の自己資本 291 億円に対する PBR は 0.41 倍。ためた利益は床に数えない。EV ÷ 営業利益でも見たが、営業利益がほぼ 0 で倍率は意味を持たず、純有利子負債を引いた資産の床で測った。
確率:人口減少と内需の縮小で貿易量が細り、荷主が自社物流や安い運送業者に切り替えて、取扱いが 2 割減る構造的な負けの筋書き。固定費の重い倉庫と運送は、稼働率の低下が利益を直撃する。過去 25 年で最悪の営業利益率は 2.1% で、これを下回らない範囲に置いた。1 割強にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流事業
倉庫の保管・荷役、陸上運送、港湾運送、国際輸送、流通加工、配送センター。名古屋港周辺が中心。
| 数量従業員換算(人。正社員+臨時の半数) | 価格1 人あたり営業収益(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 971 | 3,043 | 296 | 18 |
| 10 年後 中立 | 971 | 4,241 | 412 | 24 |
取り方:営業収益 295.45 億円(セグメント利益 18.16 億円)。従業員は正社員 667 人と臨時 608 人(年間平均)で、臨時を半数と数えて 971 人。外注の運送費を含む売上を人数で割り、1 人あたり約 3,043 万円とした(推定)。
不動産事業
愛知県を中心に、賃貸用の物流施設と商業施設を貸す。工事の請負も含む。
| 数量賃貸等不動産の時価(億円・実質) | 価格時価あたり年間売上(比率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 159 | 0.04 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 159 | 0.05 | 7 | 3 |
取り方:営業収益 6.16 億円(セグメント利益 2.59 億円)。数量は有報の賃貸等不動産の期末時価 159.3 億円、単価は年売上÷時価の 3.9%(推定)。
リスクと懸念
人手不足と外注費の上昇
ドライバーの時間外労働の上限(2024 年問題)と最低賃金の上昇で、運送の外注費と人材派遣費が上がる。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業収益 +7% に対し営業利益 −17% だった。価格転嫁が遅れると利益率が薄くなる。
荷主と地域への集中
名古屋港周辺の荷主、非鉄金属(アルミ地金)、食料工業品、自動車関連に偏る。中東・南米の情勢で荷動きが変わると、保管残高が動く。
設備更新の投資と金利
建築費の上昇で更新投資が膨らむ。純有利子負債 84 億円は借り換えで金利が 3.5% 前後になり、10 年で利払いが年 2 億円ほど増える。償却は物価で増えないが、更新の現金は物価で増える。
含み益が株主に届かない
賃貸等不動産の含み益 141 億円と上場株式の含み益は、売る方針が開示されなければ評価に反映されにくい。大株主に取引銀行や取引先が並び、持ち合いが厚い。
上場株式の価格変動
上場株式 63 億円は株価で上下する。評価差額金は自己資本に入るので、相場が崩れると自己資本が目減りする。
新しい拠点の稼働
知多の新拠点は 2025 年 7 月に開設し、早期に稼働したが、初期費用と人員が営業利益を圧迫する面もある。
新リース会計基準
2028 年 3 月期から、賃借している倉庫・土地・設備がリース負債として貸借対照表に載る。リース債務は今は 3 億円と小さいが、自己資本比率はわずかに下がる。
今後の分かれ目
- 物流事業の営業利益率が 2 年続けて 5% を割る
- 外注費と人件費の転嫁が進んでいない。やや悲観の確率を高め、物流の営業利益率を 4.5% に見直す。
- 賃貸等不動産の売却や再開発で、含み益を現金化する方針が出る
- 含みが株主の手に届く。余った資産に足す額と戻り方(0.5)を高める材料になる。
- 純資産配当率 2% を超える増配や、大きな自己株式の取得が出る
- 還元が方針どおりに厚くなる。配当性向 50% の見通しを上げる。
- ROE 8% に向けた具体の施策(資産売却、事業の絞り込み)が数字で出る
- 資本効率の改善が現実になる。やや楽観の確率を厚くできる。
- 優待を廃止する、または大幅に縮める
- 還元の受け取りが減る。優待分の継続率を 0.5 に下げる。
- TOB の提案が出る
- 賃貸等不動産と上場株式の含みにプレミアムがつく可能性がある。大株主に取引先が並ぶので、価格が少数株主に公正かを確かめる。
見ておくもの
- 物流事業のセグメント利益率と、外注費・人材派遣費の推移
- 倉庫の保管残高と知多の新拠点の稼働
- 配当(純資産配当率 2%)、自己株式の取得、優待の内容
- 賃貸等不動産の時価と、売却・再開発の方針
- 純有利子負債と金利
- 政策保有株の売却の進み方
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト 7.25%(基本 7.5% に、循環 +0.25%・値決め +0.25%・借入 +0.25%)と ROE から式で出した。今の PBR 0.5 倍台や同業の倍率は見ていない。ROE が 2〜6% と資本コストを下回るので、PER の上限は 1÷k=12.1 倍で、その 8〜9 割に置いた。
上場株式の時価 63 億円のうち含み益の税後を含めて 50 億円を余った現金とみて、戻り方 0.5 を掛けた。配当収入は純利益に入っているので、その分は事業の利益から外して重ねていない。賃貸等不動産の含み益(時価 159 億円−簿価 18 億円)は、賃貸の利益が純利益に残るので価値として足さず(足すと稼ぎと含み益の二重)、悲観の床にだけ入れた。償却は今の設備の簿価のままで年 16 億円前後、新しい投資の分だけ 10 年後に 21 億円ほどに増える。人件費と外注費、全社費用は物価並みに 1.34 倍。更新の投資は建築費で膨らむが、借入は純負債 84 億円を横ばいに保つ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に、循環 +0.25%・値決め +0.25%・借入 +0.25% を足して 8.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.25%。