結論
ファイズホールディングスは、ネット通販の物流センターで荷物を仕分け・梱包する人員を供給し、幹線輸送と配送も請け負う会社だ。筆者の結論は「やや割安」。ただし差は 1 割ほどで、余裕は大きくない。
売上の 69% は一つの顧客、アマゾンジャパンだ。ここが事業の核であり、最大の弱みでもある。アマゾンが物流を自前に寄せたり、委託先を替えたりすれば、売上の過半が動く。
成長の勢いは強い。2026 年 3 月期の売上は 403 億円で、前の期より 27% 伸びた。一方で営業利益は 4.6% の増加にとどまった。新拠点の立ち上げで人件費が先に出たためだ。会社は 2027 年 3 月期に営業利益を 47% 増の 22.5 億円と見込む。
大株主は物流大手の AZ-COM丸和ホールディングスで、議決権の 58% を持つ。丸和から資金を借り、役員も受け入れている。丸和もアマゾンの最大級の委託先であり、両社の関係は深い。少数株主は、親の都合で資金の使い道が決まる立場にある。
10 年の中立の筋書きでは、売上は 680 億円、純利益は 19 億円まで伸びる。ただ、利益の積み上がりは親会社の意向次第で戻り方が変わるため、溜まる現金は半分に割り引いた。割り引いた価値は、今の時価総額を 1 割ほど上回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「成長が速いが、堀が薄く、顧客が一つに偏った下請け」だ。強い会社ではなく、条件が整っていれば安く買える会社として見るのが筋だ。
良い点は、利益の伸びが現場の人員の増加と料金の改定で説明できる単純さにある。作業の量が増えれば売上が増え、人件費の上昇は料金に反映される。工場も在庫も持たず、設備の投資額も大きくない。自己資本利益率は 20% を超える水準を長く保ち、借金の返済に困る場面は見えない。
悪い点は、そこから利益を取り出せるかが親会社次第なことだ。丸和が 58% を持つ限り、配当や自社株買いは親の資金計画に沿う。顧客の 7 割がアマゾンで、料金の主導権も弱い。同じ領域の丸和(k 8.0%)と比べて、規模が小さく、顧客集中が高く、k を 8% とした。
10 年の中立の姿では、売上は 1.7 倍、純利益は 1.9 倍になり、価値は今の時価総額を 1 割ほど上回る。安全域は厚くない。悲観の筋書きで時価総額は 26 億円まで下がるが、起きる確率は 12% と見る。割安といっても、顧客の集中を飲み込める人だけが選べる銘柄だ。
何で稼ぐ会社か
事業は四つに分かれる。主力のオペレーションサービスは、2026 年 3 月期の売上が 269 億円で、全体の 67% を占める。物流センター内の入荷、仕分け、梱包、出荷までの作業を、社員とアルバイトの人員で丸ごと請け負う。社員 389 人に対し、アルバイトは 1 日 8 時間換算で 2,346 人を使う。人手が事業の中身そのものだ。
トランスポートサービスは売上 105 億円。工場から物流センター、センターからセンターへの幹線輸送、小売店向けのルート配送、通販商品のラストワンマイル配送を手がける。自社の車両と協力会社の車両を使い分け、荷主と運び手をつなぐ配車の仕組みも運営する。国際物流(売上 8 億円)は東南アジアからの輸入の通関や手配で、情報システム(売上 21 億円)は技術者派遣と受託開発だ。
最大顧客のアマゾンジャパンは売上の 69.1%(前の期は 67.0%)を占める。会社の成長は、アマゾンの国内の物流センターが増え、委託が広がる速度とほぼ同じだと見てよい。会社は流通業やメーカー向けの新規開拓を掲げるが、まだ構成比は小さい。
利益率は薄い。2026 年 3 月期のセグメント利益率は、オペレーションが 3.5%、トランスポートが 4.4%、情報システムが 6.4%だ。オペレーションは前の期より利益が 9% 減った。新しい拠点を立ち上げるときは、人を先に雇い、荷物が増えるまで空回りするためだ。事務所と拠点の賃借料は年に 29 億円にのぼる。
優良さと弱いところ
優良さは「中の下から普通」だ。堀、つまり他社がまねできない強みは、あまりない。
強みは三つある。一つ目はアマゾンとの長い取引で、2014 年の創業時から物流センターの運営を請け負い、現場の運営ノウハウが蓄積されている。二つ目は人員の集め方で、アルバイトの直接雇用と協力会社の活用を組み合わせ、波動のある作業量に応じて人数を動かせる。三つ目は丸和グループの一員という立場で、車両や拠点、荷主の紹介を受けやすい。
弱みはそれ以上に目立つ。一つ目は顧客の集中で、売上の 7 割がアマゾン、1 社だ。契約の更新で価格を下げられても拒みにくい。二つ目は利益率の薄さで、営業利益率は 4% 前後だ。人件費の上昇を料金に転嫁できないと、すぐ減益になる。三つ目は代わりがきくことで、同じ作業を請け負う会社は多く、大口の荷主が複数社に見積もりを取れば、値下げ競争になる。
財務は普通だ。自己資本比率は 34% で、借入金は丸和からのものを含めて 31 億円ほど。現金は 35 億円ある。ROE は 22% と高いが、自己資本が小さいからで、事業の質が高いからではない。過去 10 年で営業利益率は 2.2〜6.6% と揺れている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の通販市場は、人口が減るなかでも実質で伸びている。店舗からネットへの移行が続き、物流センターの数と作業量は増える。ただ、国内の貨物輸送量全体は 1990 年代のピークから 3 割ほど減り、通販だけが例外として伸びている形だ。
通販物流の請負は競争が厳しい。同じ領域には、AZ-COM丸和(売上の 7 割強が通販向けで、アマゾンが 33.7%)、SBS ホールディングス、ハマキョウレックス、センコーなど大手が並ぶ。荷主が自社で物流を内製したり、大手に任せ直したりする動きもある。請負の価格は人件費に連動する契約が多く、人件費が上がれば料金も上がる一方、荷主が料金の引き下げを求める交渉も続く。
2024 年問題(運転手の残業規制)と物流効率化法の改正は、運送業の人手不足を深くした。拠点間の輸送は車両と運転手を確保できる会社が有利になり、価格を上げやすい。トランスポートの利益が前の期に 47% 伸びたのは、その表れだ。
10 年後は、作業の自動化が進み、1 拠点あたりの人員は減る。ロボットや自動倉庫を荷主が自前で入れると、人員を供給する会社の仕事は減る。労働力の確保が成長の天井になるため、数量の伸びは実質で年 2〜3% にとどまると筆者は見る。価格は人件費の上昇を映して物価並みに上がる。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、成長のための内部留保と、配当性向 3 割前後の安定配当だ。2026 年 3 月期の配当性向は 31.5% で、2027 年 3 月期は増配を計画し、性向は 29% の見込みだ。自社株買いの実績はなく、自己株式は 7 万株ほどで動いていない。
設備投資は大きい。2026 年 3 月期は 21 億円で、減価償却費(4.7 億円)の 4 倍以上にあたる。物流センター内の設備、車両、リース資産の購入が中心だ。営業活動の現金収支は 16 億円の黒字だったが、設備投資と買収で 14 億円が出ていき、借入を 17 億円増やして現金を積み増した。
大株主は AZ-COM丸和ホールディングスで、議決権の 58% を持つ。丸和は 2022 年 3 月に公開買付けでファイズを連結子会社にした。ファイズは丸和から資金を借りており、役員も兼任している。完全子会社化の発表や観測は、今のところ見当たらない。
筆者は、現金や利益の使い道を親が握るため、利益の積み上がりを時価総額に足すときは半分に割り引いた。賃借も重く、拠点の賃借料は年 29 億円で、営業費用に入っている。2028 年 3 月期から始まる新リース会計で、自己資本比率は見かけ上さらに下がる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
通販物流の需要は、人口が減っても実質で伸びる。ファイズはアマゾンの現場の運営を 12 年かけて磨いてきた請負の専門家で、拠点を増やすたびに運営のノウハウが蓄積され、立ち上げのコストも下がる。2026 年 3 月期の営業利益が 4.6% の増加にとどまったのは、新拠点の人件費が先に出た一時的な負担で、拠点が軌道に乗れば利益は急に増える。会社が 2027 年 3 月期に営業利益 47% 増を見込むのは、その裏づけだ。
運送の領域でも追い風がある。2024 年問題で車両と運転手の確保が難しくなるなか、自社の車両と協力会社、配車の仕組みを持つ会社は、価格を引き上げやすい。トランスポートの利益は前の期に 47% 増えた。丸和グループの一員として、車両、拠点、荷主の紹介を受けられる点も効く。
財務は無理をしていない。現金は 35 億円で借入と同水準、営業活動の現金収支は黒字だ。配当は性向を保ちながら増えている。小さな会社で、時価総額は 115 億円と、営業利益の 22 億円の見通しに対して低い。物流の需要が続く 10 年で、利益が倍になる道は十分に開けている。
慎重な見方
売上の 69% が 1 社、アマゾンだ。この関係が壊れれば、会社は成り立たない。アマゾンは物流を内製に寄せる動きを続けており、委託先に対して料金の引き下げを求める力も強い。契約の更新のたびに、薄い利益率はさらに削られる。営業利益率は 4% 前後で、売上が 1 割落ちるだけで利益はほぼ消える。
利益の質も低い。2026 年 3 月期は売上が 27% 伸びても営業利益は 4.6% しか増えず、会社の予想には届かなかった(経常利益の事前予想 18 億円に対し実績は 16 億円)。設備投資は減価償却の 4 倍で、現金は借入で積み増している。成長にお金がかかり、手元には残りにくい。
少数株主の立場も弱い。丸和が 58% を持ち、資金の貸し借りと役員の兼任でつながっている。丸和にとって都合のよい価格で完全子会社化されたり、利益が親の資金に回ったりしても、少数株主に止める力はない。自動化が進めば、人員を供給する事業そのものが縮む。利益の質が低いこの会社に、今の値段以上の価値を認める理由は薄い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。強気の見方が示す拠点の増加と運送の値上げは現実で、2027 年 3 月期の増益見通しもその延長だ。ただ、顧客の集中は 10 年の間に必ず試される。
確率は、中立に 4 割弱を置き、やや悲観に 3 割近くを置いた。悲観は 1 割強で、アマゾンが委託を大きく減らすか、料金を大幅に下げさせる筋書きだ。楽観は 6% にとどめた。親会社の影響下で、少数株主に利益が戻る保証がないためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,789 円300 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 502 円54 億円)。 今の値に割り戻すと 1,634 円176 億円、今との差 +54.9%、 期待の年率 +12.1%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 5,775 円621 億円 | 716 円77 億円 | +515.3% | +19.9% | 389 円42 億円 |
| やや楽観 | 17% | 4,527 円487 億円 | 632 円68 億円 | +389.0% | +17.2% | 877 円94 億円 |
| 中立 | 37% | 3,578 円385 億円 | 549 円59 億円 | +291.1% | +14.6% | 1,527 円164 億円 |
| やや悲観 | 28% | 1,145 円123 億円 | 456 円49 億円 | +51.7% | +4.3% | 448 円48 億円 |
| 悲観 | 12% | 242 円26 億円 | 177 円19 億円 | −60.3% | −8.8% | 50 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,789 円300 億円 | 502 円54 億円 | +212.0% | +12.1% | 3,292 円354 億円 |
今の株価時価総額 1,055 円113 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 拠点が増え、アマゾン以外の荷主も広がる 利益 30 億円 · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 5,775 円621 億円
アマゾンの物流センターの増設に歩調を合わせて拠点が増え、流通業とメーカー向けの新規顧客が売上の 3 割に近づく。運営の自動化を逆に取り込み、システムとロボットの運用まで請け負う高付加価値の仕事が増えて、オペレーションの利益率は 5% に上がる。
運送では協力会社のネットワークを広げ、運賃の上昇を価格に転嫁する。売上は 892 億円、営業利益は 47 億円、純利益は 30 億円まで増える。配当性向は 4 割弱を保ち、自己資本は 172 億円になる。ただし、これは顧客の集中が薄まり、親会社が少数株主に不利に動かない前提だ。起きる確率は低い。
- オペレーションサービス:数量 4,513(庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質))× 価格 0.14(人員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 622 億円・営業利益 31 億円。オペレーションサービス:数量 4512.75 × 単価 0.14、利益率 5.0%
- トランスポートサービス:数量 357(運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質))× 価格 0.57(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 203 億円・営業利益 11 億円。トランスポートサービス:数量 357.00 × 単価 0.57、利益率 5.5%
- 国際物流サービス:数量 22.0(従業員(人・実質))× 価格 1.08(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。国際物流サービス:数量 22.00 × 単価 1.08、利益率 4.0%
- 情報システム:数量 207(従業員(技術者、人・実質))× 価格 0.21(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。情報システム:数量 207.00 × 単価 0.21、利益率 7.8%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 28.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.5 倍。全体の PER 19.48 倍、時価総額 588 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:拠点の増加が続き、流通業やメーカーなど新しい荷主が育つ筋書き。顧客の集中が薄まらない限り確率は低く置き、6% とした。
やや楽観 17% 拠点の増加が続き、運送の値上げが利益を押し上げる 利益 24 億円 · PER 19.1 倍 · 株価時価総額 4,527 円487 億円
アマゾン向けの新拠点が毎年数か所のペースで増え、オペレーションの人員は 10 年で 1.45 倍になる。運送は人手不足のなかで運賃を上げやすく、利益率は 5% に近づく。売上は 774 億円、営業利益は 37 億円、純利益は 24 億円ほどになる。
拠点の立ち上げ費用は残るが、運営が軌道に乗れば利益率は 4.6% で安定する。配当性向は 4 割まで上がり、自己資本は 150 億円になる。顧客の集中は 6 割台まで下がるが、アマゾンが最大の顧客である状況は変わらない。強気に傾きすぎず、現状の延長を素直に描いた形だ。
- オペレーションサービス:数量 3,966(庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質))× 価格 0.13(人員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 535 億円・営業利益 25 億円。オペレーションサービス:数量 3965.75 × 単価 0.13、利益率 4.6%
- トランスポートサービス:数量 326(運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質))× 価格 0.56(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 183 億円・営業利益 9 億円。トランスポートサービス:数量 326.40 × 単価 0.56、利益率 5.1%
- 国際物流サービス:数量 18.0(従業員(人・実質))× 価格 1.06(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。国際物流サービス:数量 18.00 × 単価 1.06、利益率 3.0%
- 情報システム:数量 179(従業員(技術者、人・実質))× 価格 0.20(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。情報システム:数量 179.40 × 単価 0.20、利益率 7.2%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.1 倍。全体の PER 19.07 倍、時価総額 458 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:現状の延長に近い筋書き。アマゾン向けの拠点が着実に増え、運送の価格が上がる。確率を厚めに置いた。
中立 37% 人手の制約で数量は緩やかに伸び、価格は物価並み 利益 19 億円 · PER 18.6 倍 · 株価時価総額 3,578 円385 億円
オペレーションの人員は 10 年で 1.3 倍、運送は 1.15 倍にとどまる。労働力の確保と自動化の進み方で、数量の伸びは実質で年 2〜3% に収まる。価格は人件費の上昇を転嫁して 1.34 倍になる。売上は 680 億円、営業利益は 30 億円、純利益は 19 億円。営業利益率は 4.4% で、過去の中央値に近い。
配当性向は成長投資が落ち着くにつれて 4 割まで上がり、自己資本は 135 億円になる。設備投資は減価償却を上回り続けるが、借入で賄える範囲に収まる。顧客の集中は残り、親会社の持株比率も変わらない。大きな成功も失敗もなく、物価と人員の増加の分だけ着実に伸びる。
- オペレーションサービス:数量 3,556(庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質))× 価格 0.13(人員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 469 億円・営業利益 20 億円。オペレーションサービス:数量 3555.50 × 単価 0.13、利益率 4.2%
- トランスポートサービス:数量 293(運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質))× 価格 0.55(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 162 億円・営業利益 8 億円。トランスポートサービス:数量 293.25 × 単価 0.55、利益率 4.7%
- 国際物流サービス:数量 15.0(従業員(人・実質))× 価格 1.04(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。国際物流サービス:数量 15.00 × 単価 1.04、利益率 2.0%
- 情報システム:数量 166(従業員(技術者、人・実質))× 価格 0.20(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。情報システム:数量 165.60 × 単価 0.20、利益率 6.8%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.3% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.6 倍。全体の PER 18.61 倍、時価総額 357 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の需要は伸びるが、人員の確保が天井になる。価格は人件費の上昇を映して物価並み。最も確率が高い。
やや悲観 28% 料金の引き下げと人件費の上昇で利益率が削られる 利益 11 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,145 円123 億円
アマゾンが複数の委託先に競争させ、料金の引き上げを認めない。人件費は上がり続けるため、オペレーションの利益率は 3.2% まで下がる。拠点の数はほぼ横ばいで、人員の増加は 1.05 倍にとどまる。売上は 535 億円、営業利益は 18 億円、純利益は 11 億円になる。
賃借の拠点の家賃は固定費として残るため、利益は売上より大きく減る。配当性向は 4 割台半ばに上がるが、利益が伸びないため金額は増えない。ROE は 10% 台に下がり、資本コストを少し上回る程度だ。顧客の集中は変わらず、親会社の影響下で、成長のない下請けとして評価される。
- オペレーションサービス:数量 2,872(庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質))× 価格 0.13(人員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 362 億円・営業利益 12 億円。オペレーションサービス:数量 2871.75 × 単価 0.13、利益率 3.2%
- トランスポートサービス:数量 255(運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質))× 価格 0.53(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 135 億円・営業利益 5 億円。トランスポートサービス:数量 255.00 × 単価 0.53、利益率 3.8%
- 国際物流サービス:数量 12.0(従業員(人・実質))× 価格 1.00(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。国際物流サービス:数量 12.00 × 単価 1.00、利益率 1.0%
- 情報システム:数量 138(従業員(技術者、人・実質))× 価格 0.19(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。情報システム:数量 138.00 × 単価 0.19、利益率 5.8%
倍率:ROE 10.8%(純利益 11.4 億円 ÷ 自己資本 106 億円)。k 8% を少し超える程度で、g は 3% に下げて RONIC = 9.65%、正当化 PER = 12.5 倍。利益が伸びず、利益の質も低い局面なので、上限の 7 割台前半の 9.0 倍に置いた。溜まる現金 33 億円は戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:契約の更新で料金を抑えられ、人件費は上がる。数量は伸びるが利益が残らない。確率を厚めに置いた。
悲観 12% アマゾンが委託を大きく減らし、構造的に負ける 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 242 円26 億円
構造的に負ける。アマゾンの内製化と自動化で、委託する作業が大きく減る。オペレーションの人員は 0.6 倍まで縮み、売上は 312 億円に戻る。拠点の家賃や契約済みの人員は急に減らせず、オペレーションの利益は出なくなる。
運送は 0.8 倍で、利益率は 1.5%。営業利益は 2 億円、純利益は 1 億円を割る。配当は 3 割台に落ち、自己資本は 47 億円と今と同じ水準で動かない。稼ぐ力が小さい会社の価値は、売れる資産で測る。丸和が 58% を持つ会社が清算に向かうかは親が決めるため、少数株主は資産の全額を取り戻せない。
- オペレーションサービス:数量 1,641(庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質))× 価格 0.11(人員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 186 億円・営業利益 0 億円。オペレーションサービス:数量 1641.00 × 単価 0.11、利益率 0.0%
- トランスポートサービス:数量 204(運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質))× 価格 0.48(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 97 億円・営業利益 1 億円。トランスポートサービス:数量 204.00 × 単価 0.47、利益率 1.5%
- 国際物流サービス:数量 9.0(従業員(人・実質))× 価格 0.88(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。国際物流サービス:数量 9.00 × 単価 0.88、利益率 0.0%
- 情報システム:数量 124(従業員(技術者、人・実質))× 価格 0.17(従業員 1 人あたりの売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。情報システム:数量 124.20 × 単価 0.17、利益率 4.0%
倍率:構造的に優良でなくなり、純利益は 1 億円を割る。稼ぐ力は価値にならず、売れる資産で測る。自己資本 46.5 億円の 6 割弱にあたる 26 億円を床に置き、今の自己資本に対する PBR は 0.56 倍にあたる。
確率:アマゾンが物流を内製に寄せるか、委託先を替え、売上の過半が動く負け筋。確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
オペレーションサービス
物流センター内の入荷から出荷までの作業を、社員とアルバイトの人員で請け負う主力事業。
| 数量庫内作業の人員(社員+アルバイト換算、人・実質) | 価格人員 1 人あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,735 | 0.10 | 269 | 9 |
| 10 年後 中立 | 3,556 | 0.13 | 469 | 20 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上は 269.3 億円、セグメント利益は 9.4 億円(利益率 3.5%)。従業員 389 人とアルバイトの 1 日 8 時間換算 2,346 人の合計 2,735 人を数量に置き、1 人あたり約 985 万円が価格に当たる。協力会社の人員に払う費用も売上に入るため、数量は目安である(推定)。
トランスポートサービス
工場・物流センター間の幹線輸送、店舗向けルート配送、ラストワンマイル配送、配車プラットフォーム。
| 数量運輸部門の従業員(人・運送力の目安、実質) | 価格従業員 1 人あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 255 | 0.41 | 105 | 5 |
| 10 年後 中立 | 293 | 0.55 | 162 | 8 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上は 105.3 億円、セグメント利益は 4.7 億円(利益率 4.4%)。従業員 255 人を数量に置き、1 人あたり約 4,130 万円が価格に当たる。協力会社の車両を手配した分の売上を含むため、人員あたりの売上が大きく見える(推定)。
国際物流サービス
東南アジアからの輸入貨物の運送取扱と通関手続きの代行。
| 数量従業員(人・実質) | 価格従業員 1 人あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 0.80 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 15.0 | 1.04 | 16 | 0 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上は 8.0 億円、セグメント利益は 0.03 億円。従業員 10 人を数量に置き、1 人あたり 0.8 億円が価格に当たる。利益はほぼゼロで、規模は小さい。
情報システム
技術者の派遣、システムの受託開発、パッケージソフトの販売と改修。
| 数量従業員(技術者、人・実質) | 価格従業員 1 人あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 138 | 0.15 | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 166 | 0.20 | 33 | 2 |
取り方:2026/03 期のセグメント売上は 20.6 億円、セグメント利益は 1.3 億円(利益率 6.4%)。従業員 138 人を数量に置き、1 人あたり約 1,490 万円が価格に当たる。金融機関や官公庁向けの開発が中心で、物流とは景気の波が違う。
リスクと懸念
アマゾン 1 社への集中
売上の 69.1% が一つの顧客、アマゾンジャパンだ。契約の解除や料金の引き下げ、委託先の変更が起これば、利益は一気に消える。アマゾンが物流の内製化を進めれば、人員を供給する事業そのものが縮む。
利益率の薄さ
営業利益率は 4% 前後で、売上が 1 割落ちるだけで利益がほぼ消える。拠点の立ち上げ費用は先に出て、オペレーションの利益は前の期に 9% 減った。人件費の上昇を料金に転嫁できないと、すぐ減益になる。
親会社の影響
AZ-COM丸和が議決権の 58% を持ち、資金の借入と役員の兼任でつながる。完全子会社化の価格が本質価値を下回れば少数株主に不利で、配当や自社株買いも親の資金計画に沿うため、利益が少数株主に戻る保証はない。
人手の確保と自動化
人員の確保が成長の天井になり、採用費と人件費は上がり続ける。反対に、荷主が自動倉庫やロボットを入れれば、人員を供給する仕事は減る。どちらに転んでも利益率は削られやすい。
賃借の拠点と設備投資
事務所と拠点の賃借料は年に 29 億円で、固定費として残る。2028 年 3 月期からの新リース会計で、負債と自己資本比率の見かけが下がる。設備投資は減価償却の 4 倍で、借入への依存が続く。
運送の事故と災害
貨物自動車運送事業は、重大な事故が起これば営業停止などの処分を受ける。物流センターの火災や停電、情報システムの停止も業務を止める。代表者への依存も高く、後継の体制は小さな組織のままだ。
今後の分かれ目
- アマゾン向けの売上比率が 7 割を超えて上がり続けたら
- 集中が深まったとみて、悲観・やや悲観の確率を上げ、k の寿命の項を厚くする。
- アマゾン以外の荷主が売上の 3 割を超えたら
- 顧客の集中が薄まったとみて、楽観・やや楽観の確率を増やし、中立の利益率を見直す。
- オペレーションの利益率が 2 期続けて 3% を割ったら
- 料金の引き下げが進んだとみて、やや悲観の確率を上げ、中立の利益率を引き下げる。
- 丸和がファイズの完全子会社化を発表したら
- 価格が本質価値を上回るか下回るかで評価が変わる。下回る価格なら少数株主に不利な取引になる。
- 自社株買いや特別配当が発表されたら
- 溜まる現金の戻り方を 0.5 から 1.0 へ上げる。増配だけなら性向の上昇を確かめる。
- アマゾンの内製化や委託先の見直しが報じられたら
- 悲観の確率を大きく上げ、中立の数量を引き下げる。
見ておくもの
- アマゾンジャパン向け売上の構成比
- オペレーションの利益率と新拠点の立ち上がり
- 丸和からの借入と持株比率の変化
- 設備投資と減価償却の差、借入の水準
- 配当性向と自社株買いの有無
- 人件費・採用費の上昇と料金の改定
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コスト k 8%(基本 7.5% + quality 1.0%)を超える楽観〜中立は式の正当化 PER(楽観 15.4 倍・やや楽観 15.0 倍・中立 14.3 倍)の 8〜9 割で置き、中立は 1÷k(11.8 倍)を下回らせなかった。やや悲観は ROE が k に近く、g を 3% に下げて上限の 7 割台前半に置いた。今の株価や今の PER を見てから決めたわけではない。純現金は時価総額の 4% にとどまり、事業の運転資金と親会社からの借入に見合うため、余った現金には分けなかった。10 年で溜まる現金だけは、親会社の存在を見て戻り方 0.5 を掛けた。数量は人員の数で置いたが、協力会社の費用も売上に入るため目安である。悲観の床は自己資本の 6 割弱(26 億円)で、過去の PBR の底は使っていない。賃借の拠点の家賃(年 29 億円)は営業費用に入れた形で置き、2028 年 3 月期からの新リース会計で営業利益と純負債の数字の形が変わる点は、10 年後も今と同じ形にそろえた。減価償却は物価で増やさず、更新の投資が償却を上回る分は現金が出ていくとして、配当性向と借入に反映した。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.00%。