結論
四国電力は、四国4県の電気を発電から送配電、小売まで一貫して担う地域電力である。筆者の結論は、資本コスト8.0%で測ると今の値段はやや割高。いちばんの理由は、足元の利益が一時要因で膨らんでおり、借り換えによる利払い増がこれから重く効くことだ。
2025年度の経常利益は約680億円だったが、燃料費調整の期ずれ差益や退職給付費用の減など、約180億円の一時要因を含む。これを除いた稼ぐ力は約500億円。会社の2026年度予想(約400億円)は逆に約240億円の一時要因で押し下げられており、ならせば500〜600億円台が実力だ。
強みは三つある。送配電が規制で守られていること。伊方3号機が燃料費の安い電源として効くこと。情報通信と国際事業が育ち始めたことだ。弱みは、原発が伊方3号機の1基しかなく、その稼働に利益が大きく振れる点にある。
重いのは財務だ。有利子負債は約9,300億円。今の利払いは低金利の借入が支えており、借り換えが進めば10年後には年200億円ほど増える。一方で設備投資は年1,200億円超と減価償却の倍で、自己資本は厚くなりにくい。
10年で見ると、稼ぎは名目で伸びても、利払い増と投資の重さで資本効率は資本コストの手前にとどまる。中立の時価総額は今の水準を下回り、総合の計算は約30%の割高(やや割高)になった。ただ、1基の稼働が好調で燃料が落ち着く展開なら、今の値段は十分に正当化される。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家の目で見ると、この会社は、守りの資産は良いが、持ち続けて増える事業ではない。
送配電の独占と伊方3号機は、他社がまねできない資産だ。一方で、稼いだお金の大半は設備に戻る。利益が出ても、株主の手元に残るオーナー利益は小さい。2025年度の営業キャッシュフローは約820億円、設備投資は約1,240億円だった。
資本の使い方は、改善の途上にある。ROE 8%以上、DOE 2.5%、自社株買いと、株主を意識した目標を掲げた。評価できる。だが、資本コストを上回る稼ぎを安定して出せるかは、これからの実績で確かめる段階だ。
安全域の面では、今の値段に厚みがない。足元の利益が一時要因で膨らみ、利払い増はこれからだ。予測できる部分(送配電、情報通信)と、予測できない部分(燃料、水力、1基の稼働)が混ざる事業で、確信度は高くない。安全域を求めるなら、もう一段低い値段が要る。割安に近づくのは、伊方3号機の運転が安定し、利払い増の影響が見えた後だと考える。
何で稼ぐ会社か
四国電力の事業は、電気事業とそれ以外に分かれる。電気事業は発電・販売と送配電の二つだ。売上の約6割を占める発電・販売は、四国の家庭や企業に電気を売り、他の電力会社や市場にも卸す。2025年度の販売電力量は約343億kWhで、うち小売が約229億kWh、卸が約115億kWhだった。
発電の顔ぶれは偏っている。自社の原子力(伊方3号機)が約60億kWh、水力が約16億kWh、火力が約87億kWh。電気の半分強は他社や再エネ事業者からの受電でまかなう。伊方3号機は四国で動く唯一の原発で、燃料費が安く、稼働が利益をいちばん動かす。
送配電は、子会社の四国電力送配電が担う。四国の送電線と配電網を独占して運営し、国が認めたレベニューキャップ制度の範囲で収入を得る。利益は大きくないが、需要が消えない限り安定している。
電気以外では、情報通信が経常利益112億円で稼ぎ頭になった。個人向けの光回線、データセンター、ケーブルテレビを手がける。エネルギー事業は、国際の発電事業への出資、LNG基地、給湯機の販売だ。建設・エンジニアリングは電気設備工事を担い、持分法適用の四電工とも連携する。ほかに計測機器の製造と商事、研究がある。
2025年度の経常利益678億円の内訳は、発電・販売348、送配電85、情報通信112、エネルギー53、建設・エンジニアリング51、その他39(億円、内部取引消去前)。中期経営計画2030は、電気以外の稼ぎを2030年度に約280億円まで伸ばし、全体で650億円以上を目指す。
優良さと弱いところ
堀の中心は、四国の送配電の独占と、伊方3号機という低コスト電源である。
送配電は、規制の枠の中で安定した収益を生む。ただ、年度ごとの収支のぶれは大きく、2025年度は85億円、2026年度は赤字の予想だ。独占の強さは、利益の大きさではなく、需要が消えない確かさにある。
伊方3号機は、燃料費が火力より安い。利用率が1%動くと、経常利益が約5億円動く。過去4年の設備利用率は92%、87%、77%、81%と振れた。強い武器だが、四国には他に原発がない。
小売の価格を決める力は弱い。燃料高は燃料費調整で遅れて料金に乗るが、卸電力市場や燃料の国際市況は動かせない。新電力のシェアは四国で低く、旧来の顧客基盤は守られている。これは規制と地域独占に支えられた優位であり、自力で築いたブランドではない。
資本効率は、2025年度のROEが約11%に見えるが、一時要因を除けば約8%だ。自己資本比率は27%台で、有利子負債は自己資本の約2倍。会社も気にしており、中期経営計画で自己資本比率25%以上の確保を掲げた。経営の質では、2023年に顧客情報の不適切な閲覧で経済産業省から業務改善勧告を受けた経緯がある。取締役を14人から10人に減らし、監督を引き締める途上にある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
四国の電力は、需要が細る土地で、供給の主役が入れ替わる時期にある。
需要は実質で細る。四国電力送配電の供給計画では、四国の最大電力は2025年度の476万kWから2034年度に439万kWへ減る。人口減と省エネが続くためだ。会社は、データセンターの増加と電化が需要を押し上げる可能性に触れているが、四国で大口の案件が具体化した形跡はまだ薄い。
競争は緩い。新電力の小売シェアは直近で、高圧・特別高圧が約1割、低圧が約14%。全国の約2割と約26%より低く、旧来の顧客基盤が守られている。ただ、制度の変更が競争より利益を動かす業界だ。2025年度は容量市場の約定価格の低下で、卸収入が約240億円減った。
価格は制度に縛られる。燃料費調整は3〜5か月遅れで料金に反映されるため、燃料が急騰すると、その間は差損が出る。2026年度の会社予想は、この期ずれ差損を約135億円と見込む。送配電は、レベニューキャップで2027年度までの収入が決まり、2028年度から第2期に入る。金利と物価の上昇が収入に反映されれば、追い風になる。
供給側では、脱炭素の投資が重い。会社は水素に対応できる高効率LNG火力を建設し、老朽の火力2機(阿南3号機・坂出3号機)の廃止を決めた。伊方3号機は2034年12月に運転開始から40年を迎える。延長の認可が下りるかは、10年の見通しの最大の分かれ目だ。
資本政策と M&A
還元は配当が柱で、自社株買いを足す形だ。中期経営計画で、DOE(自己資本配当率)2.5%を目安に安定配当を続けると示した。2026年度の配当は前年度から1割ほど増やす予定だ。自社株買いも続き、2025年度に32億円、2026年8〜9月に35億円(約181万株)を実施した。ROE 8%以上という目標と合わせ、資本効率を意識する姿勢に変わってきた。
ただ、お金の使い道は成長投資が先に立つ。設備投資は年1,200億円台で減価償却の約2倍。フリーキャッシュフローは2025年度に約680億円の赤字だった。自己資本比率は25%を下限、30%を目標とする。還元を増やす余地は、投資の山が過ぎるまで限られる。
M&Aは、買う側として情報通信と海外発電に絞って進める方針だ。2026年9月にはタイの工業団地向け電力・蒸気事業に15%出資し、海外は11か国目になった。四電工(約32%、持分法)との連携も続く。買われる側としては、原発と規制事業を抱えるため、現実味は薄い。
2026年8月の自己株式取得(約21.5億円)は実行済みで、株数に反映した。この分は10年の還元に入れていない。9月に取得した残り約13.5億円は今の株数に入っていないので、還元に残してある。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の422億円が10年後に約 499億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。送配電などの規制事業の償却と利払いは託送料金で売上に戻るので、この数字は規制外の分だけだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年度予想の経常利益400億円は、約240億円の一時要因で押し下げられた姿である。燃料費調整の期ずれ差損、送配電の年度収支、退職給付費用がそれで、いずれもならせば消える。戻すと約640億円となり、中期経営計画2030が掲げる650億円以上に近い。
伊方3号機は2026年度に利用率91%を見込む。水力は渇水から平年に戻る。この二つだけで、需給の収支は改善に向かう。情報通信はデータセンターの契約が増え、2030年度に120億円を目指す。国際事業は2026年9月のタイ出資で海外11か国目となり、2030年度に80億円へ伸ばす計画だ。
ROE 8%以上、DOE 2.5%、自社株買いと、株主還元の枠組みが明文化された。自己資本比率は2021年度の約21%から27%台まで積み上がった。PBRは0.9倍前後。簿価を割る水準は、規制事業に守られた利益が続く会社には低すぎる。
需要も底堅い。会社は、電化の進展とデータセンターの増加で、約20年ぶりに電力需要が増える可能性を指摘する。立地が四国に向かえば、送配電と小売の両方に追い風となる。
慎重な見方
足元の利益は、約180億円の一時要因に押し上げられた姿である。除くと約500億円。ここから、借り換えによる利払い増が差し引かれる。
有利子負債は約9,300億円。今の利払いは低金利時代に組んだ借入に支えられ、年70億円台にとどまる。借り換えが進めば、10年で約210億円増える。これは今の実力の利益の4割に当たる。
設備投資は年1,200億円超で、減価償却の約2倍。2025年度のフリーキャッシュフローは約680億円の赤字だった。借金が増える中で、利払いは上へ張り付く。自己資本比率の下限25%は、余裕のある数字ではない。
原発は伊方3号機の1基だけ。利用率1%の差が約5億円で、2022年度の92%と2025年度の81%の差だけで50億円を超える。2034年12月に運転開始から40年を迎え、延長の認可が前提になる。
需要は実質で細る。四国の最大電力は2034年度に今より1割弱減る見通しで、容量市場の価格低下も卸収入を削った。ROE 8%の目標も、利払い増を考えれば達成は容易でない。
どちらに重みを置いたか
強気の根拠は事実だが、一時要因を戻した約640億円は、伊方3号機の高稼働と水力の平年化が前提だ。利払い増は確実に来る。10年は需要の細りと1基の重さから、やや悲観と悲観に計4割弱を寄せた。その結果、中立の時価総額は今を下回り、総合で約32%の割高になった。ただ、確率を動かすと結果は大きく変わる。伊方が安定すれば、今の値段は妥当な範囲に戻る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,245 円4,563 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 938 円1,906 億円)。 今の値に割り戻すと 1,678 円3,410 億円、今との差 −21.3%、 期待の年率 +4.1%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,439 円6,988 億円 | 1,366 円2,775 億円 | +125.3% | +8.5% | 384 円781 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,045 円6,188 億円 | 1,188 円2,413 億円 | +98.5% | +7.1% | 847 円1,720 億円 |
| 中立 | 34% | 2,649 円5,383 億円 | 1,008 円2,049 億円 | +71.5% | +5.5% | 1,244 円2,527 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,478 円3,003 億円 | 768 円1,560 億円 | +5.3% | +0.5% | 561 円1,141 億円 |
| 悲観 | 13% | 701 円1,424 億円 | 434 円881 億円 | −46.8% | −6.1% | 147 円300 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,245 円4,563 億円 | 938 円1,906 億円 | +49.3% | +4.1% | 3,183 円6,468 億円 |
今の株価時価総額 2,133 円4,333 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 伊方の延長が通り、育てた事業が柱になる 利益 559 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,439 円6,988 億円
伊方3号機は運転期間の延長が認められ、2035年度まで高い稼働率を保つ。同機が燃料費の安い電源として効き続け、火力の更新は計画どおり水素に対応するLNG火力へ進む。四国でもデータセンターの立地が進み、大口の需要が数量を押し上げる。情報通信はデータセンターの契約が伸び、利益率を保ったまま拡大する。国際事業は東南アジアで案件を重ね、持分容量が大きく増える。送配電は第2期以降のレベニューキャップで投資が適正に回収される。ROEは7%台に乗り、資本コストを明確に上回る。自社株買いと増配が続き、市場は成熟した規制事業としては高い評価を与える。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の422億円が10年後に約 499億円(物価で一律に増やすと約 426億円)。営業利益は +73億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 20億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約29%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 発電・販売事業:数量 371(総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計))× 価格 25(平均単価(円/kWh、燃料費調整後))→ 売上 9,257 億円・営業利益 453 億円。販売量+8%・単価1.36倍・伊方延長・償却は物価で増やさず按分(10年後 499億円)
- 送配電事業:数量 260(四国のエリア需要(億kWh、送電端))× 価格 12(1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh))→ 売上 3,197 億円・営業利益 120 億円。数量+2%・単価1.36倍
- 情報通信事業:数量 78.0(契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定))× 価格 11(1件あたり年間収入(万円))→ 売上 891 億円・営業利益 170 億円。契約+30%・単価1.30倍(データセンター)
- エネルギー事業(国際・LNG):数量 343(国際事業の持分容量(万kW))× 価格 1.79(持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW))→ 売上 615 億円・営業利益 130 億円。持分容量+70%・単価1.34倍
- 建設・製造・商事ほか:数量 1,300(取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定))× 価格 1.38(価格指数(今の値段=約1))→ 売上 1,788 億円・営業利益 130 億円。取扱量+30%・単価1.36倍
倍率:事業の純利益 559 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 6,988 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:伊方の運転期間の延長、需要の上振れ、情報通信・国際の育成が同時に実現する必要がある。実現すれば大きいが条件が多く、1割未満にとどめた。
やや楽観 20% 計画を超えて着実に積み上がる 利益 495 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,045 円6,188 億円
伊方3号機の延長が認められる見通しが立ち、10年を通じて利用率は8割台を保つ。需要は人口減で細るが、電化と産業用の需要が穴を埋める。情報通信は着実に伸び、国際事業は持分容量が5割ほど増える。送配電は規制収益が安定し、年度収支のぶれも小さくなる。利払いは増えるが、本業の伸びがそれを上回る。ROEは6%台半ばと資本コスト並みに近づき、安定配当の銘柄として評価される。ただ、燃料の期ずれや渇水の年には利益が大きく振れ、利益の質はなお電力の中で中位にとどまる。会社が掲げる中期経営計画の650億円は10年のどこかで超えるが、利払い増がその価値の多くを削る。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の422億円が10年後に約 499億円(物価で一律に増やすと約 430億円)。営業利益は +69億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 19億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約29%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 発電・販売事業:数量 357(総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計))× 価格 25(平均単価(円/kWh、燃料費調整後))→ 売上 8,849 億円・営業利益 404 億円。販売量+4%・単価1.35倍・償却は物価で増やさず按分(10年後 499億円)
- 送配電事業:数量 252(四国のエリア需要(億kWh、送電端))× 価格 12(1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh))→ 売上 3,080 億円・営業利益 112 億円。数量-1%・単価1.35倍
- 情報通信事業:数量 73.2(契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定))× 価格 11(1件あたり年間収入(万円))→ 売上 836 億円・営業利益 158 億円。契約+22%・単価1.30倍
- エネルギー事業(国際・LNG):数量 313(国際事業の持分容量(万kW))× 価格 1.76(持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW))→ 売上 552 億円・営業利益 115 億円。持分容量+55%・単価1.32倍
- 建設・製造・商事ほか:数量 1,220(取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定))× 価格 1.36(価格指数(今の値段=約1))→ 売上 1,665 億円・営業利益 125 億円。取扱量+22%・単価1.35倍
倍率:事業の純利益 495 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 6,188 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の目標が達成され、その後も名目の成長が続く姿。伊方の運転が安定すれば無理のない展開で、2割を置いた。
中立 34% 安定はしているが、成長しない規制事業 利益 426 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,649 円5,383 億円
伊方3号機は運転期間の延長を目指しながら、10年を通じて8割台の稼働を保つ。四国の需要は人口減で細り、小売はほぼ横ばいが精一杯だ。電気の価格は燃料費調整と規制料金で物価並みに上がる。情報通信は着実に伸び、国際事業は海外の出資案件が積み上がる。送配電は、レベニューキャップの下で適正な収益を確保する。ただ、借り換えで利払いが年200億円ほど増える。設備投資は更新と脱炭素で重く、自己資本が積み上がってROEは5%台に下がる。市場は、規制で守られた安定企業として、簿価を下回る評価をつける。売上は物価で名目では伸びるが、人件費や修繕費も同じ速さで上がり、利益率は上がらない。還元は配当が中心で、自社株買いは小規模にとどまる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の422億円が10年後に約 499億円(物価で一律に増やすと約 434億円)。営業利益は +65億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 18億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約29%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 発電・販売事業:数量 343(総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計))× 価格 25(平均単価(円/kWh、燃料費調整後))→ 売上 8,445 億円・営業利益 355 億円。販売量横ばい・単価1.34倍(物価並み)・償却は物価で増やさず按分(10年後 499億円)
- 送配電事業:数量 244(四国のエリア需要(億kWh、送電端))× 価格 12(1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh))→ 売上 2,965 億円・営業利益 100 億円。数量-4%(需要減)・単価1.34倍
- 情報通信事業:数量 67.2(契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定))× 価格 11(1件あたり年間収入(万円))→ 売上 755 億円・営業利益 148 億円。契約+12%・単価1.28倍(物価ほど上がらない)
- エネルギー事業(国際・LNG):数量 283(国際事業の持分容量(万kW))× 価格 1.74(持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW))→ 売上 491 億円・営業利益 100 億円。持分容量+40%・単価1.30倍
- 建設・製造・商事ほか:数量 1,150(取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定))× 価格 1.35(価格指数(今の値段=約1))→ 売上 1,558 億円・営業利益 118 億円。取扱量+15%・単価1.34倍
倍率:事業の純利益 426 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 5,325 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:伊方の運転が続き、需要は横ばいから緩やかな減少、利払いが重いという姿が最も自然なため、最も高い確率を置いた。
やや悲観 25% 需要の細りと利払いで資本効率が落ちる 利益 279 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,478 円3,003 億円
四国の需要が想定より速く細り、新電力や自家消費にも一部を奪われる。伊方3号機は延長の審査が長引き、安全対策の追加投資が重なる。火力は水素対応の更新に費用がかさむが、販売価格に転嫁しきれない。情報通信は価格競争で利益率が下がり、国際事業は新規案件の収益が薄い。利払い増は避けられず、ROEは4%を割る。配当は維持するが、自社株買いは止まり、市場は資本コストを稼げない企業として簿価の5割台で評価する。送配電の収益は残るため、赤字にはならないが、資本を増やしても利益が増えない状態が続く。会社は事業の選択と集中を迫られ、国際や情報通信の拡大にも慎重にならざるをえない。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の422億円が10年後に約 499億円(物価で一律に増やすと約 452億円)。営業利益は +47億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 23億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約29%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 発電・販売事業:数量 326(総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計))× 価格 24(平均単価(円/kWh、燃料費調整後))→ 売上 7,784 億円・営業利益 242 億円。販売量-5%・単価1.30倍・償却は物価で増やさず按分(10年後 499億円)
- 送配電事業:数量 234(四国のエリア需要(億kWh、送電端))× 価格 12(1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh))→ 売上 2,757 億円・営業利益 85 億円。数量-8%・単価1.30倍
- 情報通信事業:数量 60.0(契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定))× 価格 11(1件あたり年間収入(万円))→ 売上 632 億円・営業利益 125 億円。契約横ばい・単価1.20倍
- エネルギー事業(国際・LNG):数量 232(国際事業の持分容量(万kW))× 価格 1.67(持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW))→ 売上 388 億円・営業利益 75 億円。持分容量+15%・単価1.25倍
- 建設・製造・商事ほか:数量 1,050(取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定))× 価格 1.31(価格指数(今の値段=約1))→ 売上 1,380 億円・営業利益 100 億円。取扱量+5%・単価1.30倍
倍率:ROE3.7%はkを大きく下回り、利益だけで測ると正当化PBRは低い。送配電の規制資産と事業の継続価値を床に、今の自己資本4746億円の0.55倍に置いた。稼ぐ力(純利益263÷k8.0%=約3300億円)と同じ水準。純有利子負債8,565億円を足したEV÷営業利益は22倍と高く出るが、利益が薄い年で測るためで、この筋書きの値は資産の価値で見ている。
確率:四国の需要は実質で細り、利払いは確実に増える。伊方の延長にも不確実性がある。この組み合わせは起こりやすく、4分の1を置いた。
悲観 13% 伊方の停止と構造的な負けで優良さを失う 利益 5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 701 円1,424 億円
伊方3号機が運転期間の延長を得られない、または長期の停止に入る。火力で代替するため、燃料費と購入電力料が膨らみ、期ずれ差損も繰り返す。四国の需要は想定以上に細り、新電力と自家発電が低圧・高圧の顧客を奪う。送配電の収益だけでは資本コストに届かず、情報通信と国際事業の利益は残るが、全体を支えきれない。利払いが年200億円超増え、純利益はほぼゼロに近づく。配当は減らし、自己資本比率は下限の25%に近づく。会社は事業の入れ替えと資産売却で財務を守る局面に入り、市場は簿価を大きく下回る価格をつける。株主還元の再開は、伊方の再稼働か燃料の落ち着きを見届けた後になる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の422億円が10年後に約 499億円(物価で一律に増やすと約 477億円)。営業利益は +22億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 38億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約29%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 発電・販売事業:数量 292(総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計))× 価格 23(平均単価(円/kWh、燃料費調整後))→ 売上 6,696 億円・営業利益 −18 億円。販売量-15%・単価1.25倍・伊方停止で赤字・償却は物価で増やさず按分(10年後 499億円)
- 送配電事業:数量 216(四国のエリア需要(億kWh、送電端))× 価格 11(1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh))→ 売上 2,449 億円・営業利益 60 億円。数量-15%・単価1.25倍
- 情報通信事業:数量 54.0(契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定))× 価格 9.66(1件あたり年間収入(万円))→ 売上 522 億円・営業利益 105 億円。契約-10%・単価1.10倍
- エネルギー事業(国際・LNG):数量 182(国際事業の持分容量(万kW))× 価格 1.54(持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW))→ 売上 279 億円・営業利益 50 億円。持分容量-10%・単価1.15倍
- 建設・製造・商事ほか:数量 900(取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定))× 価格 1.21(価格指数(今の値段=約1))→ 売上 1,092 億円・営業利益 70 億円。取扱量-10%・単価1.20倍
倍率:構造的に負けた筋書きで利益はほぼゼロ(純利益16億円)のため、資産で測る。送配電は認可された収益の土台があり、売却価値がゼロにはならない。ほかの電力会社の悲観は同じ考えで資産の床を置いており、四国だけ利益から出すと物差しが揃わない(直す前の値は約200億円)。総資本(今の自己資本4,746億円+純有利子負債8,565億円)の0.75倍を資産の価値とし、純有利子負債を引くと約1,420億円、今の自己資本の0.30倍になる。0.75は、ほかの電力8社の悲観の床を総資本で測った値(0.68〜0.85、中央値0.8)より、原発が1基で弱い分だけ低くした。純有利子負債を足したEV÷営業利益は約43倍と高く出るが、利益の低い年で測るためで、この筋書きの値は資産の価値で見ている。
確率:原発は伊方の1基しかない。延長の不認可・事故・長期停止のどれかが起きると、収益の柱が一度に崩れる。10年の間に起こりうる規模の出来事として1割強を置いた。慎重な見方を強いと見て、やや悲観と悲観に計4割弱を寄せた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
発電・販売事業
四国の家庭・企業に電気を売り、他社や市場へ卸す。自社の伊方3号機・水力・火力と、他社からの受電で供給する。
| 数量総販売電力量(億kWh、小売と卸の合計) | 価格平均単価(円/kWh、燃料費調整後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 343 | 18 | 6,301 | 348 |
| 10 年後 中立 | 343 | 25 | 8,445 | 355 |
取り方:2025年度の発電・販売(内部取引消去前)の売上6,301億円を、総販売電力量343.46億kWh(小売228.94・卸114.52)で割って平均単価(円/kWh)を逆算した。数量は実質で、四国の人口減と省エネによる小売の減少を、卸・法人・新しい大口が埋める差し引きで置く。単価は燃料費調整で燃料に3〜5か月遅れて連動し、規制料金は認可で遅れる。営業利益は経常利益348億円で代用(連結の営業利益と経常利益は同額の678億円)。期ずれ差益・退職給付費用の減など一時の押し上げを含み、これを除く水準は約200〜250億円。
送配電事業
四国の送電線・配電網を独占して運営し、国が認めたレベニューキャップ制度の範囲で収入を得る規制事業。
| 数量四国のエリア需要(億kWh、送電端) | 価格1kWhあたりの託送等の収入(円/kWh) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 255 | 9.05 | 2,305 | 85 |
| 10 年後 中立 | 244 | 12 | 2,965 | 100 |
取り方:売上2,305億円(内部取引消去前)を、四国のエリア需要254.67億kWh(四国電力送配電の公表値)で割って1kWhあたりの収入(円/kWh)を逆算した。需給調整収益などを含むので、託送料金そのものより高い。レベニューキャップの第1期は2023〜2027年度で、第2期(2028年度〜)から物価・金利・投資が収入に反映される。経常利益85億円で代用。年度収支の戻しで毎年ぶれ、2025年度は約41億円のマイナスだった。
情報通信事業
個人向け光回線(FTTH)、法人通信、データセンター、クラウド、ケーブルテレビを手がける。子会社のSTNetなどが担う。
| 数量契約件数相当(万件、光回線を軸にデータセンター等を回線換算した推定) | 価格1件あたり年間収入(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 8.78 | 527 | 112 |
| 10 年後 中立 | 67.2 | 11 | 755 | 148 |
取り方:売上527億円は、個人向け光回線、法人通信、データセンター、ケーブルテレビの合計で、数量は開示されない。ここでは契約件数相当(個人向けの光回線を軸に、データセンターや法人回線を回線換算で足した推定)を60万件と置き、年間の1件あたり収入(万円)を逆算した。経常利益112億円。通信料金は競争で物価ほどは上がらない(10年で1.28倍)。
エネルギー事業(国際・LNG)
国際の発電事業(IPP)への出資、LNG基地の運営とLNG販売、給湯機・空調機器の販売、熱・ガス供給。
| 数量国際事業の持分容量(万kW) | 価格持分容量1万kWあたりの売上(億円/万kW) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 202 | 1.34 | 270 | 53 |
| 10 年後 中立 | 283 | 1.74 | 491 | 100 |
取り方:売上270億円(国際事業・LNG・給湯機・熱供給の合計)。数量は国際事業の持分容量202万kW(2025年度、決算資料)で代表させ、売上を容量で割った値を単価とした。LNG販売や機器販売も含むので粗い代理だが、持分容量が増えれば利益が増える動きは映せる。経常利益53億円(うち国際37億円)。2026年9月のタイ出資(持分約13万kW)は2026/03期の値に入っていない。
建設・製造・商事ほか
電気設備工事・設計(建設・エンジニアリング)、計測機器の製造、商事・不動産、研究開発。
| 数量取扱量(実質・億円、今の値段で置いた市場規模×シェアの推定) | 価格価格指数(今の値段=約1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 1.01 | 1,011 | 90 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 1.35 | 1,558 | 118 |
取り方:建設・エンジニアリング(売上589億円)とその他事業(製造・商事・研究、売上422億円)を合わせた1,011億円。数量は開示されないため、四国の電力・電気設備工事と計測機器・商事のうちグループが取る分を、今の値段で約1,000億円と推定し、価格指数を1.011と置いた(市場規模×シェアの推定)。経常利益は51億円と39億円で計90億円。四電工(持分約32%)は持分法のため、売上でなく利益だけが入る。
リスクと懸念
伊方3号機への一本足
原発は伊方3号機の1基だけ。利用率が1%動くと経常利益が約5億円動き、2022年度の92%から2025年度の81%への低下だけで50億円を超える減益要因になる。2034年12月に運転開始から40年を迎え、延長の認可が下りなければ、低コスト電源を失う。事故や長期停止が起きれば、火力の焚き増しで費用が一気に膨らむ。
借り換えによる利払い増
有利子負債は約9,300億円で、今の利払いは年70億円台。低金利時代に組んだ借入が借り換えのたびに新しい金利へ移るため、10年で約210億円増えると見る。今の実力の利益の4割に当たる規模で、本業の伸びがこれを上回れなければ、利益は目減りする。
燃料費調整の期ずれと卸の価格
燃料価格は3〜5か月遅れで電気料金に反映される。急騰すると、その間は差損になる。2026年度の会社予想は期ずれ差損を約135億円と見込む。石炭価格が1トンあたり1ドル動くと年約6億円の影響が出るなど、燃料の振れは利益に直結する。
水力と気象の振れ
2025年度の出水率は80%と、前年の99%から大きく下がり、水力発電電力量が約25%減った。出水率1%が約3億円に当たる。渇水の年は火力の焚き増しが要り、燃料高と重なると需給の収支が一気に悪化する。気温の振れも小売の販売電力量を動かす。
設備投資の重さと財務
設備投資は年1,200億円台で、減価償却の約2倍。火力の更新、脱炭素、送配電の更新が重なる。2025年度のフリーキャッシュフローは約680億円の赤字で、借金で賄った。会社は自己資本比率25%を下限、30%を目標とするが、悲観の筋書きでは下限に近づき、還元の余力が消える。
退職給付費用と送配電の年度収支
退職給付の数理計算上の差異償却は、2025年度に利益を約170億円押し上げたが、2026年度は押し上げが約40億円に縮む。送配電の年度収支の戻し(レベニューキャップ)も年によって逆に振れる。会計や制度の動きで経常利益が数百億円単位で動くため、利益の読みにくさが残る。
需要の細りと制度の変更
四国の最大電力は2034年度に今より1割弱減る見通しで、人口減と省エネが続く。新電力のシェアは低いが、容量市場の約定価格の低下は2025年度に卸収入を約240億円減らした。規制料金の見直しやレベニューキャップの第2期の設計次第で、送配電と小売の収益が動く。
今後の分かれ目
- 伊方3号機の運転期間の延長が認められる見通しが立つ
- 2034年以降も低コスト電源が続くと市場が見て、10年の中立と楽観の確率が上がる。
- 伊方3号機が長期の停止に入る
- 火力の焚き増しで費用が膨らみ、10年とも悲観の確率を引き上げる必要がある。
- 四国でデータセンターなど大口の電力需要が具体化する
- 数量の前提が上方に直り、小売と送配電の両方で10年の見通しが改善する。
- 燃料価格が高止まりし、期ずれ差損が複数年続く
- 利益の質が落ち、10年の中立を下方に直す。利益の倍率も下がる。
- 借り換えが想定より低い金利で進む
- 利払い増が小さくなり、中立の利益が上がる。割高の度合いが縮む。
- ROE目標の達成に向け、配当と自社株買いの水準が大きく引き上げられる
- 資本効率が上がり、自己資本の積み上がりが抑えられて、倍率の前提が改善する。
- 送配電のレベニューキャップ第2期で、金利と物価が収入に反映される形になる
- 送配電の利益が底上げされ、中立の利益水準が上方に動く。
見ておくもの
- 伊方3号機の設備利用率と定期検査の日程、運転期間延長の申請の動き
- 燃料費調整の期ずれ額、石炭・LNG・原油の価格と為替
- 有利子負債の残高と平均金利、自己資本比率(下限25%・目標30%)
- レベニューキャップ第2期(2028年度〜)の制度設計と送配電の経常利益
- 情報通信の経常利益(2030年度に約120億円の目標)とデータセンターの契約
- 四国の最大電力と大口の新規需要、新電力のシェア
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに販売電力量・エリア需要・契約件数・持分容量に名目の単価を掛けて積み、一時要因(期ずれ・退職給付費用・年度収支)を除いた水準から置いた。利払い増は10年210億円を税前の利益から引いた。kは基本7.5%に、循環+0.25%・送配電の規制−0.5%・借金+0.75%を入れた8.0%。倍率は利益ベースの正当化PER(ROEがkを下回る年は上限1÷k=12.5倍)に対し、中立8割・やや楽観8.5割・楽観9割。1基の原発と燃料の期ずれで利益の質は電力の中では低めと見た。やや悲観は今の自己資本の0.55倍、悲観は総資本の0.75倍から純有利子負債を引いた資産の床(今の自己資本の0.30倍)に置いた。直す前は悲観だけ利益の1÷kに置いて物差しが他社と違っていた。EV÷営業利益は17倍前後になるが、減価償却が大きくEBITDAでは10倍前後。リース会計の影響は小さい。今のPERや過去の倍率には寄せていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.25→12.5 倍・やや楽観 PER 10.62→12.5 倍・中立 PER 10→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。