株譜
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イーレックス 9517

バイオマス発電と新電力の二刀流、逆ざやの傷は癒えたが利益の質はまだ読み切れない

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)555 円433 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)773 円603 億円差 −28.2%
10 年後から見ると やや割高 価値 555 円433 億円 · 差 −28.2% · 期待の年率 +4.0%
期待の年率リターン(10 年)+4.0%資本コスト比 −5.0 pt
推定の資本コスト9.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

イーレックスは、バイオマス発電所と法人向けの電力小売を二本柱にする、電力の新参組だ。売上の4分の3は小売と電力取引で、利益の源泉は国内のバイオマス発電にある。

筆者の結論は「やや割高」である。会社は2029年3月期に純利益95億円を掲げるが、10年先まで見れば、その半分以上は海外の新設発電所が計画どおり動くことに懸かる。まだ運転していない資産の利益に、いまの値段が先に払っている形だ。

足元の黒字は本物だが、傷は深かった。2024年3月期には、市場価格の下落で割高な電源を抱え、約210億円の最終赤字を出した。時価総額の3分の1を一年で失った計算になる。この事業は、仕入れと販売の値段がずれるだけで、利益が吹き飛ぶ。

一方で、バイオマス発電の運営力、ベトナム・カンボジアでの用地と許認可の積み上げ、クレジット収入という新しい稼ぎは、育てば効く。筆者は海外が計画の6割ほど進む姿を中立に置き、資本コストは事業の振れを見て9.5%とした。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点で見ると、この会社の事業は「分かりにくい」の部類に入る。仕入れと販売の値段がずれる小売、制度で収入が変わる発電、まだ動いていない海外の新設が混ざっている。10年先の利益を一つの数字で言い切る確信が持てない。

オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、足元で純利益より小さい。海外の新設に毎年お金が出ていくからだ。稼ぎが育ち切るまで、配当は純利益の半分程度が限度になる。

経営は、大きな失敗を認めて調達を絞り直した。この姿勢は信頼できる。一方で、計画の数字は毎年上方に置かれ、実績が追いつかない年が多い。2029年の純利益95億円は、中立に置くには強気すぎる。

安全域の面では、いまの値段は計画がほぼ達成された姿を織り込みつつある。外れたとき、下の支えになる資産は発電所と海外の権益だが、売ればその分の事業が消える。筆者は、割安になるまで待つ価値のある銘柄と考える。

何で稼ぐ会社か

稼ぎ方は三つに分かれる。一つ目は小売・トレーディングで、売上の約75%を占める。工場やビルなど法人に電気を売り、足りない分や余った分は卸電力市場(JEPX)で調整する。利ざやは薄く、売上が大きい割に利益は小さい。

二つ目が発電・燃料で、売上の約23%だが、利益の中心はここだ。国内にバイオマス発電所5基を持ち、燃料はパーム椰子殻(PKS)や木質ペレットを輸入する。国の固定価格買取制度(FIT)で長く売れる電源が多く、土佐や八戸は市場価格に連動する制度(FIP)へ移った。2025年度から糸魚川の運転を休み、市場価格を見て動かす電源に変えている。

三つ目が海外で、売上の1.5%と小さい。ベトナムのハウジャンで、もみ殻を燃やす20MWの発電所が2025年4月に動き出した。2027年度末には同国で50MW級2基、カンボジアでも水力80MWとバイオマス・太陽光が続く予定だ。石炭火力にバイオマスを混ぜる事業と、クレジットの創出もここに入る。

このほか国内では、系統用蓄電池を共同出資で広げている。年1億円ほどを稼ぐ小さな案件の積み重ねだ。

優良さと弱いところ

強みは、バイオマス燃料を自分で調達し、発電所を動かし、電気を売るまでを一つの会社で回せる点だ。燃料は年160万トン規模を扱い、規模を背にした調達力がある。八戸でJR東日本に環境価値を売る仕組みなど、買い手の脱炭素需要をつかむ動きも早い。

弱みは、値段を自分で決められないことだ。小売は市場価格に引きずられ、発電もFIT・FIPの制度と燃料の値段に縛られる。堀、つまり他社がまねできない強みは、まだ厚いとは言えない。

経営の資本の使い方には、判断の分かれる所がある。2022年度に市場高騰の保険として電源を厚く仕込み、翌年に値段が落ちて大赤字になった。いまは調達を絞り、逆ざやを解消した。ただ、取引先のエネトレードの民事再生で約12億円の損を被っており、与信管理にも甘さが残る。

海外の新設は、現地の政府保証つきの長期契約が多く、設計は手堅い。だが日本の会社が東南アジアで建設・運転を続けてきた実績はまだ浅い。ベトナムの発電所は、台風で稼働率が下がった。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

電力小売は、2022年の燃料高で新電力の撤退が相次ぎ、旧大手電力が8割前後を握る形に戻った。残った新電力は、調達を市場に頼らず、自前の電源か長期契約で固める方向に動く。イーレックスの強みは、自前のバイオマス電源を持つ新電力であることだ。

バイオマス発電は、脱炭素の追い風を受ける。ただ国の買取価格は下がり、新しい発電所は市場価格と補助金を組み合わせるFIPが中心になる。燃料のPKSは持続可能性の第三者認証が必要になり、調達の手間と費用が増えている。国内に新設の余地は乏しく、海外へ出るのが成長の道だ。

東南アジアは電力需要が伸び、日本向けの木質ペレットの供給地でもある。二国間クレジット(JCM)は、日本の技術で減らした排出量を日本の削減分に数えられる仕組みで、1トン60ドル前後と見込まれている。この制度の運用は政府の方針に左右される。

競合は、旧大手電力のほか、JERAなどの発電大手、再エネの専業のレノバ、ガス会社系の新電力だ。小売の顧客争いは、価格より調達力の勝負になっている。

小売の需要は、人口減で伸びない。伸びるのはデータセンターなど新しい需要と、脱炭素の電気を求める法人の契約だ。この会社が勝てるかは、顧客数より調達の質で決まる。

資本政策と M&A

株主還元は、3年間で総額83億円を予定している。2026年3月期の期末配当は前の期の倍で、黒字の回復を配当に素直に反映した形だ。

成長投資は、3年で約294億円を計画している。海外の新設発電所と、国内の蓄電池が中心になる。借金は純有利子負債が約270億円と時価総額の4割強で、自己資本比率は4割ほどだ。海外の新設に資金が出ていく局面で、財務の余裕が大きく広がることはない。

大株主は光通信が約8.5%、JFEエンジニアリングと戸田建設が約5.6%ずつで、支配株主はいない。持ち合いで経営が守られる形でもない。買収されるか、買う側に回るかは、どちらも想定しやすい。

2024年の赤字のあとに、新潟の大型バイオマス事業の計画は中止の方向になったとされる。大きな賭けを絞り、小さな案件を積む路線に切り替えたことは、評価できる。

減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の37億円が10年後に約 55億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

海外の収益は、まだほとんど立ち上がっていない。ベトナムの50MW級2基とカンボジアの水力80MWは、2027年度に動き出す予定で、いずれも長期契約で買い手が決まっている。ベトナムの50MWだけで、年に税引前で1,000万米ドルの利益が試算されている。クレジット収入は、発電所1基あたり年に数億円が上乗せになる。

国内のバイオマスは、制度の移行を終え、燃料の値段も落ち着いた。逆ざやは解消し、小売は市場の急変動に備えた調達に切り替わった。2025年度は営業利益71億円、2026年度は85億円と、計画は一歩ずつ達成している。

蓄電池や環境価値の販売など、設備を持つ強みが活きる新しい稼ぎも広がる。会社の目標どおり、2030年度に税引前利益が250億円に届けば、いまの時価総額は低すぎる。海外の利益が立ち上がる局面は、株価が見直される時期になる。

小売の回復も軽く見られている。2025年3月期に販売電力量が6割増えたのは、調達を固めた上で顧客を取れる体制が整った表れだ。逆ざやを経験した会社だからこそ、同じ失敗は繰り返しにくい。国内で新設の余地が乏しい中、海外に出る道筋をすでに作り終えたことは、他の新電力にない強みだ。

慎重な見方

この会社は、利益が一年で消える事業を持つ。2024年3月期の約210億円の赤字は、市場価格が下がって仕入れが割高になっただけで起きた。同じことは、燃料や市場価格がもう一度動けば再び起きる。小売は調達の仕組みを改めたが、価格競争の中で利ざやを取り続けられる保証はない。

海外の新設は、建設の遅れ・為替・現地の電力需給・クレジット制度の変更と、どれも外れる余地がある。利益の半分以上を占める見込みの資産に、まだ一度も稼働実績がない。ベトナムの既存の発電所すら、台風で稼働率が落ちた。

国内のバイオマスは、FITの期間が終わるたびに市場価格の影響を受ける。糸魚川と土佐を休ませた事実は、燃料費を回収できない局面があることを示す。取引先のエネトレードの民事再生で12億円の損が出たように、与信の穴も残る。

中計の目標は、毎期のように上方に置かれる。計画の数字をそのまま信じる材料はない。

配当の回復も、海外の新設に資金が出ていく局面では長続きしない。純有利子負債は時価総額の4割強あり、新設の資金を借金で足すなら、金利の上がる環境では利払いが利益を削る。配当を倍にした直後に、再び赤字に落ちる年が来ても不思議ではない。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方にやや分がある。海外の新設は設計が手堅く、計画の方向は正しい。ただ、利益がまだ出ていない資産の分を、いまの値段が先に払っている。小売の逆ざやで大きく振れた実績もある。中立の確率を最も厚くし、強気の筋書きには計画の6割ほど、慎重な筋書きには再度の逆ざやと海外の遅れを置いた。確率は、やや悲観と悲観を合わせて4割に寄せた。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 836 円652 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 311 円243 億円)。 今の値に割り戻すと 555 円433 億円、今との差 −28.2%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 9.0%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 2,345 円1,830 億円 687 円536 億円 +292.3% +14.6% 212 円166 億円
やや楽観 17% 1,425 円1,112 億円 511 円399 億円 +150.5% +9.6% 329 円257 億円
中立 37% 1,054 円822 億円 361 円282 億円 +83.1% +6.2% 524 円409 億円
やや悲観 27% 117 円91 億円 153 円119 億円 −65.2% −10.0% 73 円57 億円
悲観 12% 66 円52 億円 9 円7 億円 −90.3% −20.8% 9 円7 億円
加重平均100% 836 円652 億円311 円243 億円 +48.3% +4.0% 1,147 円895 億円

今の株価時価総額 773 円603 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。

楽観 7% 海外が計画どおり立ち上がる 利益 145 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 2,345 円1,830 億円

ベトナムとカンボジアの新設が予定どおり動き、持分出力は270MWまで伸びる。クレジット収入が上乗せされ、海外の営業利益は国内の発電を超える。国内は、FIPへの移行で市場価格の上振れを取り込み、小売は調達を絞ったまま薄い利ざやを守る。逆ざやは二度と起きない。

会社が掲げる2030年度の税引前利益250億円に近づき、配当と自社株買いも厚くなる。借金は返済が進み、財務に余裕が出る。次の海外の候補地へ資金を回し、利益を積み増す。

この姿になれば、小売の振れも、国内発電の制度の期限も、海外の利益で薄まる。優良な再エネの会社として評価が改まる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の37億円が10年後に約 55億円(物価で一律に増やすと約 60億円)。営業利益は −5億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 3億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 小売・トレーディング:数量 32.0(小売販売電力量(億kWh))× 価格 70(1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数))→ 売上 2,230 億円・営業利益 45 億円。法人と家庭の双方で件数が伸びる
  • 発電・燃料:数量 11.0(国内発電電力量(億kWh))× 価格 51(1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数))→ 売上 561 億円・営業利益 95 億円。FIPの上振れと蓄電池の収益・償却は物価で増やさず按分(10年後 55億円)
  • 海外:数量 270(稼働中の持分出力(MW))× 価格 1.70(1MWあたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 459 億円・営業利益 130 億円。新設が全部動きクレジットも乗る

倍率:事業の純利益 145 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.62 倍、時価総額 1,830 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:新設4件が遅れなく動き、クレジット収入も会社の想定に近づく展開は、実績の短さを考えると起きにくい。

やや楽観 17% 海外が計画の8割で進む 利益 99 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 1,425 円1,112 億円

海外の新設は、ベトナムが予定どおり動き、カンボジアが半年から一年遅れる。持分出力は210MWに届き、海外の営業利益は85億円まで育つ。国内の発電はFIPの運用を磨いて、安定して稼ぐ。

小売は、家庭向けの件数を30万件に近づけ、法人でも調達の仕組みで逆ざやを避ける。利ざやは薄いが、赤字の年は出ない。クレジット収入は想定の半分ほど入る。

配当は純利益の4割ほどを保ち、残りを新しい案件に回す。計画の数字を一段下げた姿で、会社の方向が当たる展開だ。

小売の逆ざやが起きにくい調達の形が定着し、市場の値動きが利益に響かなくなる。この姿が続けば、事業の質は一段上がったと言える。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の37億円が10年後に約 55億円(物価で一律に増やすと約 61億円)。営業利益は −6億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 5億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 小売・トレーディング:数量 29.0(小売販売電力量(億kWh))× 価格 70(1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数))→ 売上 2,021 億円・営業利益 35 億円。家庭向けが件数を積む
  • 発電・燃料:数量 10.5(国内発電電力量(億kWh))× 価格 50(1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数))→ 売上 525 億円・営業利益 79 億円。FIPの運用が安定・償却は物価で増やさず按分(10年後 55億円)
  • 海外:数量 210(稼働中の持分出力(MW))× 価格 1.65(1MWあたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 347 億円・営業利益 85 億円。カンボジアが遅れて立ち上がる

倍率:ROE約10%はk9%をわずかに超える。g4%、残る割合1/2でRONIC約9.8%、正当化PERは10.8倍。ROEがkを超えるので下限は1÷k=11.23倍で、11.23倍に置いた。

確率:新設の一部の遅れは織り込んでも、残りは動く展開に一定の確率を置く。

中立 37% 海外は6割、小売は薄利を守る 利益 74 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,054 円822 億円

海外の新設は半分強が予定どおり動き、残りが遅れる。持分出力は160MWで、海外の営業利益は60億円。ベトナムの既存発電所は台風の影響を受けながらも動き続ける。クレジットの収入は想定を下回る。

国内の発電は、FITの期限が来る電源が市場価格に連動するFIPへ移り、稼ぎが少しずつ細る。燃料の調達の工夫と蓄電池の積み増しで、利益は今を少し上回る。

小売は、法人と家庭で件数を積むが、薄い利ざやのままだ。市場価格の急変を受けて、数年に一度は利益が削られる。10年で営業利益は2倍弱、純利益は80億円ほどに育つ。会社の目標より遅いが、事業の方向は報われる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の37億円が10年後に約 55億円(物価で一律に増やすと約 61億円)。営業利益は −6億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 6億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 小売・トレーディング:数量 26.0(小売販売電力量(億kWh))× 価格 70(1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数))→ 売上 1,812 億円・営業利益 25 億円。薄利のまま件数が増える
  • 発電・燃料:数量 10.5(国内発電電力量(億kWh))× 価格 49(1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数))→ 売上 512 億円・営業利益 69 億円。FIT期限の到来で稼ぎは横ばい・償却は物価で増やさず按分(10年後 55億円)
  • 海外:数量 160(稼働中の持分出力(MW))× 価格 1.60(1MWあたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 256 億円・営業利益 60 億円。新設は半分強が稼働

倍率:事業の純利益 74 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 822 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:新設の遅れと国内の安定が交わる姿を中心に置く。逆ざやの再発は慎重側で別に受ける。

やや悲観 27% 逆ざやが再発し海外も遅れる 利益 13 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 117 円91 億円

小売で、市場価格の急変により逆ざやが再発する。調達の仕組みを改めても、価格競争で顧客を取るために利ざやを削る場面が続き、小売の利益はほぼ消える。国内の発電は、燃料のPKSが高止まりして、休む発電所が増える。

海外は、カンボジアとベトナムの新設が一年以上遅れ、クレジット制度の運用も不透明になる。持分出力は90MWにとどまる。

営業利益は60億円を割り、純利益は30億円ほどに減る。配当は維持するが、自社株買いは止める。事業は残るが、成長の物語は後ろへ延びる。

借り換えの金利も上がり、純有利子負債の利払いが利益をさらに削る。取引先の倒産で与信の損が出る年も混じる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の37億円が10年後に約 55億円(物価で一律に増やすと約 66億円)。営業利益は −11億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 13億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 小売・トレーディング:数量 24.0(小売販売電力量(億kWh))× 価格 62(1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数))→ 売上 1,488 億円・営業利益 5 億円。逆ざやで利益がほぼ消える
  • 発電・燃料:数量 9.0(国内発電電力量(億kWh))× 価格 44(1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数))→ 売上 396 億円・営業利益 34 億円。休止が増え稼働が落ちる・償却は物価で増やさず按分(10年後 55億円)
  • 海外:数量 90.0(稼働中の持分出力(MW))× 価格 1.50(1MWあたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 135 億円・営業利益 25 億円。新設が遅れ規模が伸びない

倍率:ROEは3.5%程度でk9%を大きく下回り、PERの上限は1÷k=10.5倍。稼ぐ力が薄く振れも大きいので、中立より低い7倍に置いた。

確率:2024年に実際に起きた逆ざやが再発する確率と、海外の新設の遅れが重なる確率を合わせて、4分の1強に置く。

悲観 12% 市場の急変と海外の失敗が重なる 利益 −36 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 66 円52 億円

市場の急変で小売が赤字に転じ、国内の発電もPKSと市場価格の逆風で稼働が減る。海外は、現地の政策変更や設備の不調で新設が停滞し、一部は撤退して減損を出す。

営業利益はほぼゼロまで落ち、純利益は赤字になる。自己資本は減損と赤字で大きく減り、新しい投資に回す余力が消える。配当は止まり、財務の改善を優先する。

事業は残るが、収益を生む力は薄い。売れる発電所と権益を減らしながら借金を返す形になり、株主に残る価値は自己資本のごく一部になる。

配当は前半に払うが、赤字の年に入れば止める。足りない分は資産の売却と借入で賄い、株主への還元は期間を通じて小さくなる。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の37億円が10年後に約 55億円(物価で一律に増やすと約 70億円)。営業利益は −15億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 29億円(3.5%)を純利益から引いた。

  • 小売・トレーディング:数量 18.0(小売販売電力量(億kWh))× 価格 56(1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数))→ 売上 1,008 億円・営業利益 −5 億円。顧客の流出と逆ざやで赤字
  • 発電・燃料:数量 6.0(国内発電電力量(億kWh))× 価格 40(1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数))→ 売上 240 億円・営業利益 10 億円。稼働が落ち採算が悪化・償却は物価で増やさず按分(10年後 55億円)
  • 海外:数量 60.0(稼働中の持分出力(MW))× 価格 1.20(1MWあたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 72 億円・営業利益 0 億円。撤退と減損で規模が縮む

倍率:赤字が続き、稼ぐ力は価値を支えない。床は今の自己資本704億円の0.2倍にあたる141億円で、借金を返したあとに株主へ残る資産の見込み。稼ぐ力からではなく資産の価値から置いた。EV÷営業利益は約82倍(純有利子負債269億円を今の値で足した場合)と利益はほぼ無く、利益の倍率では測れないので資産から置いた。

確率:2024年に赤字を出した実績があり、小売の損失・国内発電の採算割れ・海外の撤退が重なる構造的な負けとして、1割強を置く。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

小売・トレーディング

法人を中心に電気を売り、足りない分と余る分は卸電力市場で調整する事業。売上の約75%を占める

数量小売販売電力量(億kWh)価格1kWhあたりの売上(円。卸取引の売上を含む名目の指数)売上営業利益
今 2026/03 24.4 52 1,269 15
10 年後 中立 26.0 70 1,812 25

取り方:2025年3月期の小売販売電力量は24.4億kWh。売上は全体の約75%(1,269億円)で、市場取引の売上を含むため1kWhあたりが高くなる。営業利益は開示がなく、全体の75億円から他部門と一過性損益を引いた推定

発電・燃料

国内のバイオマス発電所(PKS・ペレット)と燃料の取扱いで稼ぐ事業。利益の中心

数量国内発電電力量(億kWh)価格1kWhあたりの売上(円。燃料販売を含む名目の指数)売上営業利益
今 2026/03 10.0 39 390 70
10 年後 中立 10.5 49 512 69

取り方:売上は全体の約23%(390億円)。稼働は5基のうち休止分を除いた出力に稼働率8割を掛けた推定で約10億kWh。営業利益は開示がなく、一過性(糸魚川の棚卸引当・約8億円)を含む推定

海外

ベトナムのバイオマス発電、石炭火力への混焼、クレジット創出。カンボジアは建設中

数量稼働中の持分出力(MW)価格1MWあたりの年間売上(億円、名目)売上営業利益
今 2026/03 20.0 1.25 25 −2
10 年後 中立 160 1.60 256 60

取り方:売上は全体の約1.5%(25億円)。稼働はベトナムのハウジャン20MWのみ。台風で稼働率が下がり、営業利益は小幅の赤字と推定

リスクと懸念

電力の逆ざや

仕入れの電源と販売の値段がずれると、利益が吹き飛ぶ。2024年3月期は市場価格の下落で、割高な電源を抱え、約210億円の最終赤字を出した。調達を絞った今も、市場の急変が起きれば同じ構図になる。

海外新設の遅れと失敗

ベトナムの50MW級2基とカンボジアの水力・バイオマス・太陽光は、2027年度に動く予定だ。建設の遅れ、現地の政策変更、為替、台風などで利益が後ろにずれる。長期の利益の半分以上がここに懸かる。

FIT・FIPの制度と燃料費

国内のバイオマスは、固定価格の買取期間が終わるたびに市場価格の影響を受ける。燃料のPKSは第三者認証が必要になり、調達の費用が増える。糸魚川と土佐を休ませたように、燃料費を回収できない局面もある。

取引先の与信

取引先のエネトレードの民事再生で、約12億円の損失が出た。小売の取引先が倒れると、薄い利ざやでは吸収できない。法人の顧客が増えるほど、与信の管理が利益に直結する。

クレジット制度の不確実さ

JCMのクレジットは、1トン60ドル前後の想定で、ベトナムの新設2基だけで年7億円が見込まれる。制度の運用は政府の方針次第で、価格や認定の範囲が変われば、新しい稼ぎの前提が崩れる。

計画の達成の遅れ

中計は、毎期のように目標が置かれ、実績が追いつかない年が多い。2029年3月期の純利益95億円と、2030年度の税引前利益250億円以上は、複数の新設が同時に動く前提だ。

今後の分かれ目

市場価格が急変し、小売で逆ざやが再発する
小売の利益が消え、純利益は慎重な筋書きの水準まで落ちる。配当や自社株買いも止まりやすい
ベトナムの新設2基が2027年度末に予定どおり動く
海外の営業利益の立ち上がりが確かめられ、強気の筋書きに近づく
カンボジアの水力が2026年12月に営業運転を始める
政府保証つきの長期契約の収入が加わり、海外の利益の下支えが固まる
JCMクレジットの認定範囲や価格が見直される
新しい稼ぎの前提が変わり、海外の利益は計画から上下に振れる
PKSの調達価格が上がり、燃料費を回収できなくなる
休む発電所が増え、国内の発電の利益が細る。慎重な筋書きに近づく
中計の営業利益目標を2年続けて達成する
計画の信頼度が上がり、中立の確率を強気側へ動かす根拠になる

見ておくもの

  • ベトナム・カンボジアの新設の運転開始の時期
  • 小売の営業利益の安定(赤字の四半期が出ないか)
  • 糸魚川・土佐などの休止発電所の稼働の判断
  • JCMクレジットの認定量と単価
  • 与信損失(取引先の倒産)の有無

倍率と資本コストの決め方

今の値段を見ずに、10年先の事業の稼ぐ力から倍率を置いた。ROEは中立で約7.7%、資本コスト9%に届かず、PERの上限は1÷k=10.5倍。中立は上限の75%の7.9倍に置き、ROEがkを超える強気側は下限の10.5倍とした。慎重側は稼ぐ力が薄い分、7倍と資産ベースの0.2倍。市場の倍率とは比べていない。数字は2026年3月期のIFRSの形(家賃は既に貸借対照表)にそろえた。純有利子負債が増える局面の利息は、下調べの推定(10年で年7億円の悪化)を含めた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.62 倍・やや楽観 PER 10.5→11.23 倍・中立 PER 7.9→11.11 倍)。

資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。同じ領域の電源開発(+1.5%)より、小売の振れと実績の短さを見て高く置いた。借金の重さで電源開発より下げた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。

同じ業種(電気・ガス業)の AI 分析

割安 北陸電力9505 水力と規制事業の土台は厚いが、純負債が自己資本の2倍超で利払い増が重く、志賀の再稼働は見えない。本質価値は今の時価総額を1割強上回る(やや割安) 本質価値との差 +54.8% · 10 年 割安(年 +12.3%) 割安 北海道瓦斯9534 札幌を握る道内の都市ガス。近年の高い利益率は平常へ戻り、北海道電力の参入が重い。本質価値は今の値段を2割ほど上回る(やや割安) 本質価値との差 +54.0% · 10 年 割安(年 +11.2%) 割安 東北電力9506 女川2号機の再稼働が利益を支えるが、借金が重く金利上昇が効く。資本コスト8.25%で測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +36.8% · 10 年 割安(年 +10.6%) やや割安 九州電力株式会社9508 原子力4基の稼働とTSMC熊本需要で収益は底を打ったが、自己資本比率19.9%の財務の脆さと送配電の利幅低下が重く、資本コスト7.75%で測っても本質価値は今の値段とほぼ並ぶ 本質価値との差 +16.6% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) 適正 中部電力9502 浜岡の審査撤回で信頼を失い、原発の緩衝材もない。借り換えの利払い増と資本コスト7.75%を入れると、本質価値は今の株価をやや下回る 本質価値との差 +6.7% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 メタウォーター9551 水道を守る手堅い会社だが、利益率が薄く、10年先の価値は今の時価総額をやや下回る 本質価値との差 +4.7% · 10 年 適正(年 +7.3%) 適正 西部ガスホールディングス9536 ガス・電力・不動産の三本柱へ移る途上。稼ぎは増えるが借金の利払いが重く、資本コスト8.25%ではやや割高 本質価値との差 +3.1% · 10 年 適正(年 +7.3%) 適正 東京瓦斯9531 国内都市ガスは人口減で薄利が続くが、米シェールガスと不動産の含み益が支え、エリオットの圧力で還元も厚くなる。資本コスト7.5%で測ると本質価値は今の値段を下回るやや割高 本質価値との差 −2.4% · 10 年 適正(年 +6.3%) 適正 大阪瓦斯9532 国内は薄利だが米国の発電・ガスが稼ぎ頭に。利益の倍率とEVの両方で測り、資本コスト7.5%では今の値段はやや割高 本質価値との差 −5.1% · 10 年 適正(年 +5.7%) 適正 北陸瓦斯9537 新潟の導管網は堅い。ただ稼ぎは資本コストに届かず、直近の増益は山。10年で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −6.8% · 10 年 適正(年 +6.5%) やや割高 関西電力9503 原発7基とデータセンター需要で収益は底を打ったが、借り換えの利払い増を入れ資本コスト7.5%で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −10.0% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 京葉瓦斯9539 千葉北西部のガス網は堅いが、資本の稼ぎが薄すぎる。10年で測ると、今の値段はやや割高 本質価値との差 −12.2% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 広島ガス9535 地域の導管網は堅いが、稼ぐ力が資本コストに届かない。半導体の追い風を見込んでも10年で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −12.5% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 沖縄電力9511 他地域とつながらない島の電力会社で、燃料の振れと借金の重さを資本コスト 8.75% で測ると、今の値段はかなり割高 本質価値との差 −16.7% · 10 年 やや割高(年 +5.4%) やや割高 静岡ガス9543 静岡のガス独占は堅いが、成長投資の稼ぎが資本コストに届かない。10年で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −18.7% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 中国電力9504 島根2号機で息を吹き返したが、純有利子負債は自己資本の3.7倍。借り換えの利払いが利益を削り、本質価値は今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −19.7% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 北海道電力9509 泊3号機の再稼働と半導体・データセンター需要に賭ける北海道の独占電力。借金と利払い増を引くと、10年先の価値は今の値段を3割ほど下回る(割高) 本質価値との差 −20.5% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 四国電力9507 原発1基と規制事業で稼ぐ四国の地域電力。今期の利益は一時要因で膨らんだ姿で、借り換えの利払い増も重く、資本コスト8.0%で測ると今の値段はやや割高 本質価値との差 −21.3% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 東邦瓦斯9533 中部の都市ガスを握る安定企業だが、足元の利益は期ずれの差益でかさ上げされ、実力は薄い。資本コスト7.5%で測ると今の値段は割高 本質価値との差 −24.6% · 10 年 やや割高(年 +2.7%) やや割高 電源開発9513 石炭と海外発電で稼ぐ卸電力会社、脱炭素の重荷と借金の金利上昇を今の値段は見落としている 本質価値との差 −27.5% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 アースインフィニティ7692 代理店で小さな店や工場に電気を売る新電力。伸びは速いが、発電所を持たず市場で電気を買う商売に堀はなく、値段は高い 本質価値との差 −29.1% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) 割高 東京電力ホールディングス9501 機構の優先株1兆円が普通株に換われば今の株主の取り分は約3分の1。原発とデータセンターで本業は良くなるが、普通株は割高 本質価値との差 −37.2% · 10 年 割高(年 +3.4%) 割高 レノバ9519 太陽光・風力・バイオマスを借金で積み上げる再エネ開発会社、金利上昇で利益が薄く今の値段は先走りと見る 本質価値との差 −52.3% · 10 年 割高(年 +0.2%) 割高 エフオン9514 木を燃やす発電所5か所を持つ会社。FITの固定単価に物価が追いつき、借金も重く、割高 本質価値との差 −53.3% · 10 年 割高(年 −0.4%) 割高 アストマックス7162 先物の会社から電力の取引へ。前期の大きな黒字はヘッジの計上のずれで、実力の稼ぎは資本コストに遠い 本質価値との差 −54.6% · 10 年 割高(年 −0.8%)

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読んだ資料

  1. イーレックス 中期経営計画(2027年3月期〜2029年3月期)
  2. イーレックス、29年3月期に純利益95億円 東南アジアの発電所稼働で(日本経済新聞)
  3. イーレックス、再エネ主力電源化・GX-ETSを商機に(ログミーファイナンス)

分析日 2026-10-16