結論
レノバは、太陽光・風力・バイオマスの発電所を自ら開発し、長期契約で電気を売る再生可能エネルギー会社だ。筆者の結論は、今の値段は成長を先に織り込みすぎている、というものだ。
稼ぎの土台は堅い。国の固定価格買取制度(FIT)などで電気の売り先と値段が長く決まっており、運転中の設備は1GWに届いた。ただ、設備を建てるお金の大半は借金で、純有利子負債は3,000億円を超える。
問題は金利だ。営業利益のほとんどが利払いで消え、直近の純利益は33億円にとどまる。借り換えで利払いはさらに増える。会社は2030年に純利益100億円以上を掲げるが、筆者は10年かけても半分程度と見る。
新しい発電所の採算も、昔のようには稼げない。FIT初期の高い買取価格の案件は減り、新しい太陽光は安い値段の契約が中心になる。成長のたびに稼ぎの質は薄まる。
自己資本比率は2割だ。借金の重い会社の価値は、利益を金利で削られた残りで測る。その物差しで見ると、総合の本質価値は今の値段を大きく下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見て、この会社には2つの顔がある。1つは、契約で収入が決まる安定した発電事業だ。もう1つは、借金で毎年大きく広げる開発事業だ。前者は好ましいが、後者は資本の使い道として合格点を付けにくい。
理由は簡単だ。新しい発電所の稼ぎは、借りるお金の金利との差で決まる。今の新規案件は売値が下がり、金利は上がった。差は薄く、成長するほど自己資本の稼ぎは薄まる。
持ち続けたいオーナー利益も見えにくい。純利益は33億円で、無配だ。稼いだお金は次の設備に回る。その設備が資本コストを上回る稼ぎを生むのか、筆者は懐疑的だ。
安全域も厚くない。純有利子負債は時価総額の4倍を超え、少しの金利上昇が利益を大きく動かす。強気の筋書きにも、悪い条件が重なる筋書きにも、結果が大きく振れる。
評価できるのは、事業を立ち上げる力と、創業者が株を持つ点だ。それでも、今の値段で買うなら、この力が将来の利益に変わる前提が要る。筆者はその前提に重い値段を払いたくない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの形は単純だ。発電所を建て、20年前後の長期契約で電気を売り、毎年決まった額を受け取る。土地を探し、許認可を取り、資金を集め、建てて動かすまでを自前で担う開発会社である。
柱は3つある。1つ目は大規模太陽光と陸上風力で、全国各地に発電所を持つ。2つ目はバイオマス発電で、御前崎港、徳島津田、唐津(2025年9月に運転開始)などで木質燃料を燃やして発電する。売上の大部分はこの2つの電力売りが占める。
3つ目は育てている途中の蓄電事業だ。北海道の石狩で30MWの蓄電所を2027年度に動かす予定で、着工済みの蓄電容量は260MWに及ぶ。電気を安い時間にためて高い時間に売る事業で、国の容量市場の収入も見込む。
秋田県由利本荘市沖の洋上風力は、会社の名を高めた案件だった。2021年の入札では三菱商事の連合に敗れ、株価はストップ安になった。その後、三菱商事は2025年8月に秋田沖から撤退し、国は再公募を進める。再び応札するかどうかは、大きな分かれ道になる。
建設にはプロジェクトごとに銀行から融資を受ける。この融資は発電所の収入だけで返す仕組みだ。連結の借金は膨らむが、会社全体への返済義務は限られる。この形が、少ない自己資金で設備を増やせる理由であり、同時に利払いの重さの源でもある。
優良さと弱いところ
この会社の堀は、事業を立ち上げる力にある。発電所の用地、地元の同意、送電線への接続、融資団の組成。この一連の段取りを、人材と実績で回せる会社は多くない。
ただ、それは設備そのものの堀ではない。完成した発電所の売り先は決まっているが、電気の値段を自分で上げる力はほとんどない。FITの買取価格は固定で、物価が上がれば燃料代と維持費だけが増える。バイオマスは特にこの圧迫を受けやすい。
財務はこの会社の最大の弱点だ。自己資本比率は約2割、営業利益は支払利息の1.1倍にとどまる。2025年3月期には希薄化も起きた。東京瓦斯が2024年に第三者割当増資で主要株主となったように、成長のために外から資本を入れる場面が何度もあった。
設備の稼働面では不具合も出ている。御前崎港バイオマスは2025年6月に漏水で止まり、10月に補修を終えた。徳島津田も2026年7月に停止した。発電所の運転品質は、利益の安定を左右する。
経営は創業者の木南陽介氏が率い、同氏は約16%を持つ。大株主には住友林業(約8%)も並ぶ。経営と大株主の利害が揃っている点は評価できるが、無配が続き、株主への還元はまだ先だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の再エネは、事業の旨みが薄れる局面に入った。FIT制度の初期は、太陽光の買取価格が今の新規契約の2〜3倍もあった。今の新規案件は十数円の契約が中心で、同じ1MWを建てても売上は半分以下だ。
追い風は需要側にある。データセンターや半導体工場が増え、企業が再エネの電気を長期で買う動きが広がった。レノバも熊本の陸上風力54.6MWについて、2026年6月に東京ガスと25年の購入契約を結んだ。
競争は厳しい。太陽光や風力の開発には、電力大手のJERA、ほかの電力会社、商社、外資系ファンドが参入している。用地と送電線の接続枠の取り合いで、開発費は上がりやすい。
蓄電は、これから伸びる分野だ。再エネが増えるほど、電気の余る時間と足りない時間の差が広がり、ためる設備の価値が上がる。ただ、参入が相次ぎ、収入の仕組みが変わるリスクも大きい。
洋上風力は大きな賭けだ。三菱商事の撤退は、建設費が想定より大きく膨らんだことが背景にある。再公募の条件次第では、レノバにも大きな機会が来る。ただ、採算が見合わなければ手を出さない判断も要る。
出力制御も新しい論点だ。電気が余る時間に発電を止められ、売れるはずの電気が捨てられる。太陽光の多い地域で目立ち、軽米西ソーラーでも制御が出ている。
資本政策と M&A
資本政策は、成長のために借金を厚く使う形だ。発電所ごとにプロジェクトファイナンスを組み、2025年11月には小規模太陽光で約170MW、223億円の融資も組成した。
還元は後回しだ。2026年3月期は無配で、2027年3月期も無配の予定である。中期経営計画では、2030年3月期に配当性向40%を目安とする累進配当を掲げるが、それは利益が育った先の話だ。
中期経営計画2030は、2030年に運転中と建設中をあわせてグロス5.0GW、EBITDA600億円、純利益100億円以上を狙う。蓄電に1,500億円超を投じる計画だ。投資額が大きく、借金と外部資本への依存はさらに強まる。
提携先による出資の積み増しは考えられる。東京瓦斯が議決権の約13%、住友林業が約8%を持つ。ただ、10年の筋書きでは、買収の期待より希薄化の可能性のほうを重く見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は長く続く。データセンターと半導体の電力需要は増え、企業は長期契約で再エネを買う。東京瓦斯との25年契約はその証しだ。運転中の設備はすでに1GWに達し、中期経営計画では2030年までにグロス5.0GWを目指す。
蓄電は新しい成長の柱になる。再エネが増えるほど電気を時間でずらす価値が高まり、石狩を含む260MWの建設は先行者の位置を作る。容量市場の収入が付けば、太陽光より安定した利益になる。
洋上風力にも芽がある。三菱商事の撤退で、秋田の再公募の条件は見直される。建設費の上昇を反映した条件になれば、レノバが由利本荘沖で積み上げた実績が効く。
財務の重さにも反論がある。借金の大半は発電所ごとの融資で、会社全体への返済義務は限られる。長期契約が固定の収入を生むため、利払いが増えても返済できる。今は利益が薄くても、設備が増えれば営業利益は着実に伸びる。この見方では、10年後の純利益は今の3倍に届く。
慎重な見方
成長が利益に変わっていない。運転中の設備は1GWに達したが、純利益は33億円で、無配だ。EBITDAは300億円を超えるのに、減価償却と利払いで利益がほとんど残らない。設備を増やしても、利益が増える保証はない。
新しい案件の採算が悪化している。FITの初期は今の2〜3倍あった買取価格が、十数円の契約に置き換わった。売上は半分以下なのに、建設費は上がっている。同じ1MWを増やしても、昔のような稼ぎにはならない。
金利の影響は大きい。純有利子負債は3,090億円で、営業利益は支払利息の1.1倍しかない。借り換えのたびに金利が上がると、利払いだけで年に数十億円増え、薄い利益は簡単に消える。会社の計画は、この前提を十分に置いていない。
バイオマスは特に危うい。FITで売値が固定のまま燃料代が物価で上がれば、利益は削られる。御前崎の漏水、徳島津田の停止も重なった。
さらに、蓄電と洋上風力は大きな賭けで、建設費の膨張、収入制度の変更、参入者の増加で失敗しうる。資金が足りなくなれば、再び増資で株を薄める場面が来る。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。強気の見方の土台である需要の強さは確かだが、需要の強さがそのまま利益になるわけではない。借金と金利、新しい案件の薄い採算が、成長の果実を先に削る。
そのため、中立の確率を最も厚く置き、悪い筋書きの合計は強気の筋書きの合計より厚くした。10年かけても、会社計画の純利益の半分程度が現実的な着地点と見る。強気の筋書きは、洋上風力の再公募や蓄電の収入が揃った場合にだけ成り立つ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 612 円554 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 156 円141 億円)。 今の値に割り戻すと 360 円326 億円、今との差 −52.3%、 期待の年率 +0.2%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,167 円1,056 億円 | 420 円380 億円 | +110.0% | +7.7% | 111 円100 億円 |
| やや楽観 | 18% | 885 円800 億円 | 288 円260 億円 | +55.0% | +4.5% | 211 円191 億円 |
| 中立 | 37% | 614 円556 億円 | 166 円150 億円 | +3.2% | +0.3% | 289 円261 億円 |
| やや悲観 | 25% | 435 円393 億円 | 55 円50 億円 | −35.2% | −4.2% | 122 円111 億円 |
| 悲観 | 13% | 272 円246 億円 | 0 円0 億円 | −64.1% | −9.7% | 35 円32 億円 |
| 加重平均 | 100% | 612 円554 億円 | 156 円141 億円 | +1.7% | +0.2% | 769 円695 億円 |
今の株価時価総額 756 円684 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 計画に近い成長と洋上風力 利益 95 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,167 円1,056 億円
会社の中期経営計画がほぼ実現する。2030年前後に運転中は4GWに近づき、蓄電は約1GWまで広がる。再公募された秋田の洋上風力で、建設費を反映した条件のもと一部を獲得し、開発力の評価が高まる。
東京瓦斯のような大口の買い手との長期契約が増え、新しい案件の売値も十分に確保できる。バイオマスは燃料を長期で固定でき、利益を保つ。金利の上昇は想定内に収まる。
純利益は100億円近くまで育ち、配当も始まって増えていく。それでも借金は重く、利益の多くは利払いに回る。資本コストを超える稼ぎには届かない。
成長の果実を受け取るのは、借金を返し終えた先の株主だ。10年の時点では、その果実の一部がようやく見え始める段階にとどまる。
- 太陽光・風力・分散型太陽光:数量 2,300(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 0.34(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 782 億円・営業利益 258 億円。新規案件の売値は低いが、開発の量で補う
- バイオマス発電:数量 200(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 1.98(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 396 億円・営業利益 30 億円。燃料を固定でき利益を保つ
- 蓄電事業:数量 1,100(運転中の蓄電出力(MW))× 価格 0.30(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 330 億円・営業利益 120 億円。容量市場の収入が付き安定
倍率:事業の純利益 95 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 1,056 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:洋上風力の再公募と蓄電の収入が同時に揃い、金利も抑えられる条件が重なる必要がある。会社計画に近い成長は10年でも起きにくく、1割に届かない確率にした。
やや楽観 18% 蓄電が育ち開発が順調 利益 72 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 885 円800 億円
開発は会社の計画より遅れるが、着実に進む。運転中は10年で3GW近くまで増え、蓄電は900MWに届く。熊本の陸上風力のように大口の買い手と結ぶ契約が積み上がり、新規の売値を確保できる。
洋上風力は手を出さないか、小さな持分にとどまる。バイオマスは燃料の値上がりを一部契約で抑えるが、利益は薄いままだ。
金利は中立並みに上がるが、利益の伸びがそれを少し上回る。純利益は70億円台まで育ち、配当も少しずつ増える。
蓄電の収入が想定どおりに出る点が、この筋書きの肝になる。ここが崩れれば、利益は中立へ戻る。会社は借金を返しながら、利益を少しずつ株主へ回せる状態に入る。
- 太陽光・風力・分散型太陽光:数量 2,000(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 0.37(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 732 億円・営業利益 236 億円。新規は十数円の契約で量を積む
- バイオマス発電:数量 200(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 1.98(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 396 億円・営業利益 22 億円。燃料の値上がりを一部抑える
- 蓄電事業:数量 900(運転中の蓄電出力(MW))× 価格 0.29(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 261 億円・営業利益 90 億円。収入が安定して伸びる
倍率:事業の純利益 72 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 800 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電と風力の開発が計画の7割ほど進む展開は十分ありうる。東京瓦斯などの買い手がいる点も支えになる。
中立 37% 利益は育つが利払いが吸う 利益 50 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 614 円556 億円
開発は進むが、計画より遅れる。運転中は10年で2.5GW前後、蓄電は700MWまで増える。新しい太陽光や風力は十数円の契約が中心で、昔の高いFIT案件のようには稼げない。
バイオマスはFITで売値が固定されたまま燃料代が物価で上がり、利益が薄くなる。御前崎や徳島津田のような不具合も、ときおり利益を削る。
借り換えが進み、利払いは今の約1.6倍になる。営業利益は増えるが、増えた分の多くが利払いに消え、純利益は50億円ほどにとどまる。配当はごく小さい。
バイオマスの売値はFITで固定のため、物価が上がっても1MWあたりの売上は今のまま動かない。利益の伸びを支えるのは、新しい太陽光と蓄電である。伸びてはいるが、借金の重さが勝つ姿だ。
- 太陽光・風力・分散型太陽光:数量 1,700(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 0.39(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 663 億円・営業利益 210 億円。古いFIT案件が土台。新規は安い契約
- バイオマス発電:数量 200(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 1.98(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 396 億円・営業利益 15 億円。価格は1.0倍:FITの固定売値は物価に連動せず、燃料高で利益が薄くなる
- 蓄電事業:数量 700(運転中の蓄電出力(MW))× 価格 0.28(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 196 億円・営業利益 66 億円。着工済みの分に追加分を足す
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 556 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:開発は計画の6割ほど進み、金利は借り換えで上がる。会社の計画より控えめだが、事業が続く最も自然な姿として最も厚く置いた。
やや悲観 25% 新規の採算悪化と金利 利益 17 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 435 円393 億円
新しい発電所の採算が悪化する。太陽光の売値はさらに下がり、建設費は上がる。蓄電への参入が相次ぎ、1MWあたりの収入も下がる。開発のペースは落ち、運転中は2GW前後にとどまる。
バイオマスは燃料高で赤字寸前になる。金利は借り換えで上がり、営業利益はほとんど利払いに消える。純利益は10億円台で、配当はほぼ出ない。
事業が消えるわけではない。契約で守られた古い発電所は残り、借金を返しながら現金を生む。ただ、資本コストを超える稼ぎは見込めない。
株主にとっては、成長への期待が外れて、地味な借金返済の会社に変わる筋書きだ。
- 太陽光・風力・分散型太陽光:数量 1,350(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 0.43(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 585 億円・営業利益 179 億円。新規が減り古い案件が中心
- バイオマス発電:数量 200(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 1.98(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 396 億円・営業利益 5 億円。燃料高で薄利
- 蓄電事業:数量 450(運転中の蓄電出力(MW))× 価格 0.24(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 30 億円。収入が競争で下がる
倍率:稼ぐ力(純利益17÷k9%=約200億円)は低く、床は売れる資産に置く。今の自己資本の約0.3倍で、中立のPBRを下回る。資産の売却価値から借金を引いた額が下を支える。EV÷営業利益は約29倍と高いが、営業利益が薄い筋書きのため、利益の倍率でなく資産の売却価値から置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.32 倍・時価総額 393 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:金利が想定より高止まりし、新規案件の売値と蓄電の収入がともに弱くなる展開は、10年では十分ありうる。
悲観 13% 構造的な負け:借金と赤字で資本を食う 利益 −45 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 272 円246 億円
蓄電の供給過剰と洋上風力の失敗が重なる。蓄電は参入が相次ぎ、収入の制度も変わる。1MWあたりの収入は計画の3分の2に落ち、投資の回収が長引く。洋上風力の案件を手がけて建設費が膨らめば、減損に追い込まれる。
バイオマスはFITの固定売値に対して燃料代が上がり、赤字になる。出力制御で売れる電気も減る。借り換えの金利は高く、営業利益は利払いに及ばず、最終赤字が続く。
資金が足りなくなり、株を大きく薄める増資に追い込まれる。もはや成長する再エネ会社ではなく、古い発電所の収入で借金を返す会社だ。
株主の取り分は、増資で薄まったうえに、返済を終えた後にしか残らない。
- 太陽光・風力・分散型太陽光:数量 1,000(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 0.51(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 510 億円・営業利益 140 億円。出力制御で売れる電気が減る
- バイオマス発電:数量 200(運転中の連結出力(MW・推定))× 価格 1.98(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 396 億円・営業利益 −20 億円。燃料代がFIT売値を超える
- 蓄電事業:数量 250(運転中の蓄電出力(MW))× 価格 0.20(1MWあたりの年間売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 5 億円。収入が計画の3分の2に
倍率:最終赤字で稼ぐ力は付かず、床は売れる資産の税後に置く。今の自己資本1,228億円の0.2倍。減損で自己資本が減る分は筋書きの自己資本に反映した。EV÷営業利益は約95倍に見えるが、営業利益がほぼ潰れる筋書きで、倍率でなく資産の売却価値から置いた。
確率:金利の上昇、新規採算の悪化、蓄電と洋上風力の失敗が重なる構造的な負け筋。借金が重い会社では連鎖が起きやすく、1割強の確率を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
太陽光・風力・分散型太陽光
全国の大規模太陽光、陸上風力、小規模分散型太陽光の電力売り。FITと長期契約が中心
| 数量運転中の連結出力(MW・推定) | 価格1MWあたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 0.60 | 480 | 150 |
| 10 年後 中立 | 1,700 | 0.39 | 663 | 210 |
取り方:運転中は全体でグロス約1GW。バイオマス約200MWを除いた太陽光・風力を連結ベースで約800MWと推定。売上は全体876億円からバイオマス分を引いた額。開発関連の売上も含むため1MWあたりは高めに出る
バイオマス発電
御前崎港、徳島津田、唐津など。木質燃料を燃やす発電でFITの固定価格で売る
| 数量運転中の連結出力(MW・推定) | 価格1MWあたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 1.98 | 396 | 12 |
| 10 年後 中立 | 200 | 1.98 | 396 | 15 |
取り方:御前崎港(約75MW)、徳島津田(約75MW)、唐津(49.9MW・2025年9月開始)の合計約200MWと推定。2026年3月期は御前崎の漏水停止で営業利益が低い年
蓄電事業
石狩30MW(2027年度運転開始)など、電気をためて売る蓄電所。着工済み260MW
| 数量運転中の蓄電出力(MW) | 価格1MWあたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.28 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 700 | 0.28 | 196 | 66 |
取り方:2026年3月期はまだ運転前で売上なし。先の価格は容量市場と市場取引の収入を合わせた1MWあたりの年間売上を0.28億円と推定
リスクと懸念
借り換えによる利払いの増加
純有利子負債は3,090億円で、営業利益は支払利息の1.1倍しかない。借り換えのたびに金利が上がると、薄い純利益はすぐに消える。会社の計画は、この金利上昇を十分に織り込んでいない。
新しい案件の採算悪化
FIT初期の高い買取価格の案件は減り、新しい太陽光は十数円の契約が中心になった。建設費は上がっているため、1MWあたりの稼ぎは昔の半分以下になる。成長するほど資本の稼ぎが薄まる構造にある。
バイオマスの燃料高と不具合
バイオマスはFITで売値が固定されたまま、燃料代と維持費が物価で上がる。御前崎港は2025年6月に漏水で止まり、徳島津田も2026年7月に停止した。運転の不調が続けば、利益はさらに削られる。
蓄電と洋上風力の賭け
蓄電に1,500億円超を投じる計画で、洋上風力は再公募への応札も選択肢になる。収入の制度が変わったり建設費が膨らめば、失敗の損は大きい。三菱商事が秋田沖から撤退した事例が示すように、洋上風力の採算は読みにくい。
出力制御と電気の売れ残り
太陽光が増えた地域では、電気が余る時間に発電を止められる。軽米西ソーラーでも制御が出ており、売れるはずの電気が捨てられる。制御が広がれば、設備の稼働率と売上が落ちる。
増資による株の希薄化
2025年3月期に希薄化が起き、2024年には東京瓦斯への第三者割当増資もあった。成長に資金がかかるため、今後も株を新しく出す場面がありうる。既存の株主の取り分は、その分薄まる。
今後の分かれ目
- 10年国債が3%を超えて上がり続け、借り換えの金利が4%台に乗る
- 利払いが営業利益の大半を吸い、純利益は中立よりやや悪い筋書きに近づく
- 秋田の洋上風力の再公募で、建設費を反映した条件のもとレノバが事業者に選ばれる
- 開発力の評価が高まり、強気の筋書きに近づく。ただし投資と借金も大きく増える
- 蓄電の収入制度(容量市場など)が見直され、1MWあたりの収入が下がる
- 蓄電の投資が回収できず、悪い筋書きに近づく
- バイオマスの燃料を長期で固定できる契約が増える
- 利益の圧迫が和らぎ、中立の利益が上振れする
- 出力制御が太陽光の多い地域で広がる
- 稼働率が下がり、売上が計画を下回る
- 新しい増資や大口の資本提携が発表される
- 資金の不安は和らぐが、既存の株主の取り分は薄まる
見ておくもの
- 中期経営計画2030の進み具合(運転中と建設中のグロス5.0GW、EBITDA600億円)
- 純有利子負債と支払利息の推移、借り換えの金利
- 秋田の洋上風力の再公募の条件とレノバの動き
- 石狩を含む蓄電所の運転開始と容量市場の収入
- 御前崎港・徳島津田・唐津の稼働率
倍率と資本コストの決め方
今の値段を見ずに、事業の稼ぎから倍率を決めた。ROEがk(8.5%)に届かないため、PERの上限は1÷k=11.8倍。やや悲観と悲観は、稼ぐ力と売れる資産の床から置き、過去のPBRの底は使っていない。新リース会計の影響は小さい。運転中の設備は発電所の所有で、賃借が中心の事業ではない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.11 倍・やや楽観 PER 10→11.11 倍・中立 PER 9.4→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に、借金の重さの分だけ1%を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。