結論
東京瓦斯(東京ガスグループ)は首都圏の都市ガス導管網を握る国内最大手で、都市ガス市場(全国約3.9兆円)の約35%のシェアを持つ。ただ家庭用需要は人口減・オール電化で構造的に縮む一方、原料費調整制度のもとで国内エネルギー・ソリューション事業の営業利益率は6%前後と薄く、2026年3月期の国内(ネットワークを含む)の営業利益1,538億円に対し、北米シェールガス開発会社TG Natural Resources(旧TGエナジー)を中核とする海外事業は売上2,411億円で利益率29.3%・707億円を稼ぐ、規模は小さいが資本効率の高い柱になっている。新宿パークタワー(パークハイアット東京が入居)をはじめとする保有不動産の含み益は約4,500億円、時価総額の4分の1強に相当し、2024年11月に株式5%超を取得した米エリオット・マネジメントはこの不動産と政策保有株式の売却・自社株買いを強く求め、中期経営計画2026〜2028年度のROE目標(28年度9%・30年ごろ10%)とセグメント別ROIC管理の導入という形で資本政策の骨格を約1年で塗り替えた。国内ガス販売量は実質で家庭用の縮小と工業用の横ばいの差し引きで10年0.90倍、単価は原料費調整と規制料金の認可ラグで物価に遅れて追いつき10年1.32倍。北米シェールガスは生産拡大(2030年ごろ日量4,000万m3、LNG換算1,060万トン規模)と単価のどちらも上振れ余地がある一方、天然ガス価格の循環に業績が揺らされる。純有利子負債10,226億円の借り換えで利払いは10年で年256億円増える。資本コストは基本7.5%に、シェールの市況の振れ+0.25%・導管の規制−0.5%・家庭用の縮小+0.25%を入れて7.5%。中立のROEはkを下回るので倍率の上限は1÷kの13.3倍、その8割に置いた。総合では今の値段を約17%下回るやや割高になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、首都圏の都市ガス導管網という地域独占資産は手堅いオーナー利益を生むが、その利益率は6%前後と薄く、本質価値の押し上げ役は北米シェールガス事業と不動産に移っている。この事業は天然ガス価格という自社で制御できない変数に業績が揺らされる点で、予測できる事業を好む立場からは確信度を下げる要因になる一方、新宿パークタワー等の含み益約4,500億円という「眠る資産」は悲観の筋書きでも価値の床を支える安全域になる。資本配分については、エリオットの圧力を受けてではあるが、不動産・政策保有株式の売却と自社株買いの拡大に動いたことは株主価値の観点では前向きな変化であり、稼いだ利益のうち北米の追加投資(3年で3,500億円)に再投資が必要な分を引いた株主のものになる利益は、海外事業の規模が大きくなるほど予測の難しさが増す点を割り引いて考える必要がある。2026年3月期の純利益2,269億円は資産売却・海外好調という一時的要因を含み、巡航速度の稼ぐ力は中期計画の27年3月期目標(1,340億円)に近い水準とみるのが妥当である。
何で稼ぐ会社か
東京ガスグループの収益は実質4つの事業で構成される。報告セグメントで最大の「エネルギー・ソリューション」(売上24,445億円・利益率6.1%)は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉等)の家庭・商業・工業向けに都市ガスと電力を販売する中核事業で、原料費調整制度によりLNG輸入価格・為替をほぼそのまま価格に反映する。2026年3月期の国内ガス販売量は合計11,175百万m3(家庭用2,719・業務用2,275・工業用4,630)で、工業用が4割強を占め生産動向に左右されやすい。電力は顧客基盤を現状420万件から中期経営計画の最終年度(2028年度)に520万件へ拡大する計画で、ガス・電力セットでの顧客の引き留めが競争の要になる。「ネットワーク」セグメント(売上1,031億円)は導管網そのものの維持・運用を担う規制事業で、国が認める収益でほぼ公正な利益に抑えられる。「海外」セグメント(売上2,411億円・利益率29.3%)は北米シェールガス開発会社TG Natural Resources(ヘインズビル地域で有数の規模、生産量はLNG換算で年約1,000万トン規模)を中核に、LNGの液化・トレーディング、海外発電事業を展開し、上流から中流までを垂直統合的に押さえる。「都市ビジネス」セグメント(売上460億円・利益率21.4%)は新宿パークタワー(パークハイアット東京が入居)をはじめとする不動産開発・賃貸、法人向けエネルギーサービス等を担う非ガスの成長領域で、保有不動産の含み益は合計約4,500億円にのぼる。合成メタン(e-メタン)・水素の開発は全社を横断する長期の脱炭素投資テーマになっている。
優良さと弱いところ
堀の核は首都圏の都市ガス導管網という地域独占資産にあり、顧客基盤(ガス供給件数は国内最大規模)の安定性は高いが、価格決定力は原料費調整の範囲に限られ、国内エネルギー・ソリューション事業の営業利益率は6%前後と薄い。資本効率の主な押し上げ役は北米シェールガス事業(海外セグメント利益率29.3%)と都市ビジネス(不動産、利益率21.4%)に移っており、全社の資本効率が米国の天然ガス価格という予測しにくい変数に依存する構造になっている。自己資本比率は44.1%、純有利子負債は時価総額の52.1%相当でDaigas(大阪瓦斯)より財務はやや重い。経営の質については大きなガバナンス不祥事は確認できないが、2024年11月に米エリオット・マネジメントが株式5%超を取得し、資産価値1兆円以上と見込む不動産・政策保有株式の売却と自社株買いの拡大を迫った結果、セグメント別ROIC-WACC管理の導入、ROE目標(28年度9%)の設定など資本政策の骨格が約1年で塗り替わった点は、経営の規律が外部の圧力で強められた形であり、株主還元の姿勢そのものは明確になった。2026年3月期の純利益2,269億円は前期(742億円)の3倍超だが、海外事業の好調と資産売却益が押し上げた一時的な水準で、中期経営計画の27年3月期目標(純利益1,340億円)はこれより低く、巡航速度の稼ぐ力はまだ検証が要る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
都市ガス業界は原料費調整制度により、燃料高・円安は即赤字にはならず調整ラグの間だけ業績が振れるのが通常だが、2021〜2022年のLNG価格急騰局面では各社の利益率が一時的に圧迫された実例があり、これが悲観の下敷きになる。家庭用ガス需要はオール電化・省エネ機器の普及で緩やかな構造的縮小が続き、工業用需要は生産動向に左右されつつ横ばい圏にとどまる見通しで、国内だけでは成長が乏しい点は大阪瓦斯・東邦瓦斯にも共通する業界共通の前提である。東京瓦斯が他の都市ガス2社と一線を画すのは、都市ガス市場(全国約3.9兆円)で最大の約35%のシェア(大阪瓦斯約20%・東邦瓦斯約10%)を持つ規模と、北米シェールガス(TG Natural Resources)への踏み込みの深さで、中期経営計画では北米で2027〜2029年度の3年間に3,500億円を投資し、生産量を2030年ごろに日量4,000万m3(LNG換算1,060万トン規模)へ拡大する方針を掲げる。米国の天然ガス価格が地政学・LNG輸出拡大・シェール開発コストの変動で大きく振れることは、海外事業の利益率が高い東京瓦斯にとって業績の最大の変動要因になる。電力事業では新電力の浸透が進んだものの2022年度の燃料高騰を経て旧来の大手がシェアを戻しており、東京電力エナジーパートナーとの顧客の奪い合いが続く。合成メタン(e-メタン)は大阪瓦斯・東邦瓦斯・三菱商事と共同で米国での量産・輸入体制の検討が進むが、本格的な収益化は10年という期間でもまだ入り口にある。不動産・政策保有株式の圧縮という株式市場全体の機運(上場企業の不動産含み益は2023年度に過去最大の約29兆円)が東京瓦斯にも直接及んでいる点は、資産効率の改善余地が相対的に大きいことの裏返しでもある。
資本政策と M&A
株主還元は総還元性向4割を基本方針とし、2025年11月〜26年3月に上限800億円、26年3月期上期に上限1,200億円(発行済株式の9%相当)の自社株買いを相次いで発表、2029年3月期に向けてさらなる増配を見込む。2024年11月に米エリオット・マネジメントが株式5%超(投資額約649億円)を取得し、資産価値1兆円以上と見込む保有不動産・政策保有株式の売却を要求したことが、ROE目標(28年度9%・30年ごろ10%)の設定とセグメント別ROIC-WACC管理の導入という資本政策の骨格を約1年で塗り替えた直接のきっかけになった。M&Aでは北米シェールガス開発会社(現TG Natural Resources)への出資・増強が他社を買う側としての主な実例で、他社に買われる側・再編の当事者になる話は確認されない。今後は不動産・政策保有株式の売却進捗と、北米での3,500億円規模の追加投資、株主還元の拡大のバランスが問われる局面になる。
実行済みの自社株買い(約407億円)は、株数と自己資本の起点に反映し、10年の還元には入れていない。
減価償却は物価で増やさない。今ある設備の償却は取得した時の値段のままで、増えるのは更新と新規の分だけだ。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になって利払い(3.5%)が増える。会計の利益と現金の動きは同じ向きに動かない。送配電などの規制事業の償却と利払いは託送料金で売上に戻るので、この数字は規制外の分だけだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
北米シェールガス事業(TG Natural Resources)は、ヘインズビル地域で有数の規模を持ち、2030年ごろに生産量を日量4,000万m3(LNG換算1,060万トン規模)へ拡大する計画が進んでいる。AIデータセンターの電力需要拡大という構造的な追い風のもとで天然ガス価格が底堅く推移すれば、海外事業の利益はさらに積み上がる。エリオット・マネジメントの株式取得をきっかけに、ROE目標(28年度9%・30年ごろ10%)とセグメント別ROIC-WACC管理が導入されたことで、資本配分の規律は過去より明確に強まった。保有不動産(含み益約4,500億円)・政策保有株式の売却が計画を上回るペースで進めば、自社株買いの原資はさらに増え、資本効率の改善が前倒しで市場に評価される。電力顧客基盤の420万件から520万件への拡大(2028年度)が計画どおり進み、都市ビジネス(不動産)も新宿パークタワーなどの高稼働を背景に緩やかに成長を続ければ、国内の薄利を補って余りある稼ぐ力が証明される。合成メタン(e-メタン)は大阪瓦斯・東邦瓦斯・三菱商事と共同で米国での量産体制の検討が進み、国内ガス事業の長期的な存在価値を底上げする種になる。これらが重なれば、今の値付けは海外事業の成長力をまだ十分に評価していない保守的な水準にすら見える。
慎重な見方
海外事業の利益707億円は、米国の天然ガス価格という東京瓦斯が制御できない変数に強く依存している。シェールガス生産(TG Natural Resources)は上流事業そのものであり、供給過剰で価格が急落する展開が再来すれば、この利益率29.3%の稼ぎ頭は急速に剥落しうる。北米での3年3,500億円の追加投資は、建設・資材コストの高騰や天然ガス価格の循環次第で計画どおりの利益成長につながらない可能性がある。国内エネルギー・ソリューション事業は原料費調整制度があっても、調整ラグと規制料金の上限次第で簡単に薄利に沈む構造的な弱さを抱え、家庭用需要の緩やかな縮小(オール電化・省エネの進展)も続く。エリオット・マネジメントが求める不動産・政策保有株式の売却は、売却対象の市況や関係維持の必要性次第で計画からずれる可能性があり、2026年3月期の純利益2,269億円(前期の3倍超)は資産売却益・海外好調による一時的な水準で、中期経営計画の27年3月期目標(純利益1,340億円)はこれより大きく低い。純有利子負債10,226億円(時価総額比52.1%)を抱える中で、金利上昇による利払い増(10年で年256億円)はROE改善の重荷になり、巡航速度の稼ぐ力を見誤ると今の株価は一時的な好決算に支えられた水準に見える。
どちらに重みを置いたか
導管網の地域独占と北米の上流・不動産の含み益は強みだが、国内の薄利と海外事業の天然ガス価格依存、エリオットの要求どおりに資産売却・還元拡大が進むかどうかの不確実性は、楽観を強く主張しすぎない理由になる。10年は北米事業の拡大が構造的に定着するかどうかで上下に広く確率を配った。悲観は10%を下回らせず、2026年3月期の好決算が一時的な要因を含む点を踏まえ、巡航速度の利益を基準に倍率を置いた。中立のROEはkを下回るので倍率の上限は1÷kとし、その8割に置いた。総合は今の値段を1割半ほど下回るやや割高になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 8,499 円2.78 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,983 円9,745 億円)。 今の値に割り戻すと 6,083 円1.99 兆円、今との差 −2.4%、 期待の年率 +6.3%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 18,407 円6.01 兆円 | 4,292 円1.40 兆円 | +264.0% | +13.8% | 2,724 円8,897 億円 |
| やや楽観 | 24% | 11,721 円3.83 兆円 | 3,373 円1.10 兆円 | +142.0% | +9.2% | 3,623 円1.18 兆円 |
| 中立 | 32% | 8,249 円2.69 兆円 | 3,022 円9,870 億円 | +80.7% | +6.1% | 3,607 円1.18 兆円 |
| やや悲観 | 22% | 2,805 円9,161 億円 | 2,321 円7,583 億円 | −17.8% | −1.9% | 1,128 円3,684 億円 |
| 悲観 | 10% | 2,208 円7,213 億円 | 1,814 円5,924 億円 | −35.5% | −4.3% | 402 円1,314 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,499 円2.78 兆円 | 2,983 円9,745 億円 | +84.1% | +6.3% | 11,483 円3.75 兆円 |
今の株価時価総額 6,236 円2.04 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 12% 北米シェールが第二の本業として定着し資本効率が10%に達する 利益 3,731 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 18,407 円6.01 兆円
TG Natural Resourcesの生産拡大が10年間で着実に積み重なり、2030年ごろの目標(日量4,000万m3、LNG換算1,060万トン規模)を上回る規模に達する。AIデータセンターの電力需要は構造的に高止まりし、海外事業は名実ともにグループの収益の柱となる。国内エネルギー・ソリューション事業は合成メタン(e-メタン)の導入拡大と電力顧客基盤の拡大(520万件超)で薄利体質から脱却が進む。都市ビジネスも新宿パークタワー等の不動産開発・賃貸で着実に成長し、保有不動産・政策保有株式の売却と自社株買いを通じた株主還元は累計で大きく積み上がり、2030年ごろのROE10%目標を上回る水準で10年を終える。
(名目の前提)国内ガス販売量は実質(家庭用のガス離れと工業用の横ばいの差し引き)、単価は原料費調整と認可で物価に遅れて追いつく。海外の単価は米国の物価で名目に上がるが、天然ガス価格の循環で振れる。借金の借り換えで利払いが10年後に年256億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円(物価で一律に増やすと約 1,316億円)。営業利益は +479億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。送配電などの規制事業(償却の約40%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む):数量 10,952(国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標))× 価格 324(平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標))→ 売上 35,452 億円・営業利益 3,492 億円。数量 0.98 倍・価格 1.42 倍(名目)・営業利益率9.8%・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,795億円)
- 海外事業:数量 1,600(北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標))× 価格 3.86(万トン当たりの年間収益(億円/万トン))→ 売上 6,172 億円・営業利益 2,222 億円。数量 1.60 倍・価格 1.60 倍(名目)・営業利益率 36.0%
- 都市ビジネス事業:数量 135(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 6.16(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 832 億円・営業利益 208 億円。数量 1.35 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 25.0%
倍率:事業の純利益 3,731 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.8 倍。全体の PER 15.8 倍、時価総額 58,950 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:北米の生産拡大が10年続き、天然ガス価格も概ね良好に推移する展開が連続して続く必要があり、連続した好条件を要するため確率は抑えた。
やや楽観 24% 海外事業とデータセンター需要が着実に積み上がる 利益 2,595 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 11,721 円3.83 兆円
TG Natural Resourcesの生産量は10年間で段階的に積み重なり、中期経営計画の目標(2030年ごろLNG換算1,060万トン規模)に近い水準に達する。国内エネルギー・ソリューション事業は家庭用需要の緩やかな縮小を工業用の底堅さと電力顧客基盤の拡大で一部相殺し、薄利ながら安定した収益基盤を維持する。都市ビジネスも不動産・法人サービスで緩やかに成長し、不動産・政策保有株式の売却と自己資本の積み上がりで財務基盤はさらに厚くなる10年になる。
(名目の前提)国内ガス販売量は実質(家庭用のガス離れと工業用の横ばいの差し引き)、単価は原料費調整と認可で物価に遅れて追いつく。海外の単価は米国の物価で名目に上がるが、天然ガス価格の循環で振れる。借金の借り換えで利払いが10年後に年256億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円(物価で一律に増やすと約 1,426億円)。営業利益は +369億円。投資は内部の資金で賄え、借入は増えない。送配電などの規制事業(償却の約40%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む):数量 10,505(国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標))× 価格 310(平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標))→ 売上 32,568 億円・営業利益 2,779 億円。数量 0.94 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率8.5%・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,795億円)
- 海外事業:数量 1,300(北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標))× 価格 3.42(万トン当たりの年間収益(億円/万トン))→ 売上 4,451 億円・営業利益 1,380 億円。数量 1.30 倍・価格 1.42 倍(名目)・営業利益率 31.0%
- 都市ビジネス事業:数量 125(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 6.16(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 771 億円・営業利益 170 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 22.0%
倍率:事業の純利益 2,595 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍。全体の PER 14.08 倍、時価総額 36,538 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:北米の拡大が着実に進み天然ガス価格も概ね良好に推移する展開で、bullほどの連続した好条件を要しないためbaseに次ぐ確率を置いた。
中立 32% 国内は構造的な薄利、北米事業の緩やかな拡大が全体を支える 利益 1,935 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 8,249 円2.69 兆円
家庭用ガス需要はオール電化・省エネの進展で10年にわたり緩やかに縮小し、国内エネルギー・ソリューション事業は構造的な薄利から大きくは脱却できない。一方、TG Natural Resourcesの生産拡大は検討・実行が進みながらも中期計画の目標より緩やかな規模にとどまり、天然ガス価格も長期平均に近い水準に正常化する。都市ビジネスは緩やかに成長し、合成メタン(e-メタン)は実証段階からの前進はあるが収益への寄与はまだ限定的な10年になる。
(名目の前提)国内ガス販売量は実質(家庭用のガス離れと工業用の横ばいの差し引き)、単価は原料費調整と認可で物価に遅れて追いつく。海外の単価は米国の物価で名目に上がるが、天然ガス価格の循環で振れる。借金の借り換えで利払いが10年後に年256億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円(物価で一律に増やすと約 1,497億円)。営業利益は +298億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 3億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約40%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む):数量 10,058(国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標))× 価格 301(平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標))→ 売上 30,265 億円・営業利益 2,295 億円。数量 0.90 倍・価格 1.32 倍(名目)・営業利益率7.6%・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,795億円)
- 海外事業:数量 1,100(北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標))× 価格 3.18(万トン当たりの年間収益(億円/万トン))→ 売上 3,501 億円・営業利益 980 億円。数量 1.10 倍・価格 1.32 倍(名目)・営業利益率 28.0%
- 都市ビジネス事業:数量 115(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 5.98(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 688 億円・営業利益 131 億円。数量 1.15 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 19.0%
倍率:事業の純利益 1,935 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 24,962 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:北米の拡大が大きな上振れも下振れもなく緩やかに進み、国内の構造的な薄利も続くのが最も自然な道筋であるため、5つの筋書きで最も高い確率を置いた。
やや悲観 22% 電化シフトの加速と北米ガス安が重なる 利益 717 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 2,805 円9,161 億円
国内では家庭用のガス離れ(オール電化・ヒートポンプへの代替)が想定より速く進み、ガス販売量が10年で縮小し、導管網の維持コストを薄まった顧客基盤で負担する構図が強まる。TG Natural Resourcesの生産拡大は資金調達環境の悪化や天然ガス価格の軟化で鈍る。都市ビジネスの成長も不動産市況の鈍化で緩やかになるが、株主還元の原資は保有不動産・政策保有株式の売却で確保し、拡大ペースは鈍る10年になる。
(名目の前提)国内ガス販売量は実質(家庭用のガス離れと工業用の横ばいの差し引き)、単価は原料費調整と認可で物価に遅れて追いつく。海外の単価は米国の物価で名目に上がるが、天然ガス価格の循環で振れる。借金の借り換えで利払いが10年後に年256億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円(物価で一律に増やすと約 1,600億円)。営業利益は +195億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 76億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約40%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む):数量 9,499(国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標))× 価格 292(平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標))→ 売上 27,718 億円・営業利益 1,304 億円。数量 0.85 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率4.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,795億円)
- 海外事業:数量 850(北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標))× 価格 2.41(万トン当たりの年間収益(億円/万トン))→ 売上 2,049 億円・営業利益 389 億円。数量 0.85 倍・価格 1.00 倍(名目)・営業利益率 19.0%
- 都市ビジネス事業:数量 105(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 5.52(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 580 億円・営業利益 75 億円。数量 1.05 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 13.0%
倍率:ROE2.6%前後で正当化PBRは低くなるが、導管網の規制資産と不動産の含み益・米国の権益の資産価値を床に、今の自己資本17175億円の0.465倍に置いた。稼ぐ力(純利益635÷k7.75%=約8500億円)と同じ水準で、資産の床がそれを下回らない範囲。純有利子負債を足したEV÷営業利益は20倍をわずかに超えるが、利益が低い年で測ったためで資産の価値で見ている。
確率:国内の電化シフトが競合(東京電力エナジーパートナー等)との競争で想定より速く進み、北米の天然ガス価格も軟化する展開は10年という期間では相応の確率で起こりうるため2割超を置いた。
悲観 10% 米ガス価格の構造的な低迷と国内ガス離れで優良さを失う 利益 −420 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,208 円7,213 億円
米国でシェールガスの供給過剰が10年にわたり続き、天然ガス価格が構造的に低迷する。TG Natural Resourcesの生産資産は収益性を失い、北米での追加投資は資金調達環境の悪化で事実上停止する。国内では電化・脱炭素シフトが想定を超えて加速し、家庭用・業務用のガス需要が構造的に縮小する一方、導管網の維持コストは薄まった顧客基盤に重くのしかかる。都市ビジネスの成長も止まり、東京瓦斯は「海外事業で成長する都市ガス会社」という評価を失い、資産保有型の縮小企業として扱われるようになるが、配当は保有不動産(含み益約4,500億円)・政策保有株式の売却を使って維持する10年になる。
(名目の前提)国内ガス販売量は実質(家庭用のガス離れと工業用の横ばいの差し引き)、単価は原料費調整と認可で物価に遅れて追いつく。海外の単価は米国の物価で名目に上がるが、天然ガス価格の循環で振れる。借金の借り換えで利払いが10年後に年256億円ほど増える分を純利益から引いた。減価償却は物価で増やさず、今ある設備は取得原価のまま、更新と新規の投資だけ新しい値段で35年に按分した。償却は今の1,586億円が10年後に約 1,795億円(物価で一律に増やすと約 1,758億円)。営業利益は +37億円。建築費の上昇で膨らむ投資を借入で賄うため、新しい借入の利払い年 160億円(3.5%)を純利益から引いた。送配電などの規制事業(償却の約40%)は、償却と利払いが託送料金(収入上限)などで売上に戻るので、利益には動かしていない。上の数字は規制外の分。
- 国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む):数量 8,381(国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標))× 価格 274(平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標))→ 売上 22,928 億円・営業利益 152 億円。数量 0.75 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率0.7%・償却は物価で増やさず按分(10年後 1,795億円)
- 海外事業:数量 650(北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標))× 価格 1.69(万トン当たりの年間収益(億円/万トン))→ 売上 1,097 億円・営業利益 110 億円。数量 0.65 倍・価格 0.70 倍(名目)・営業利益率 10.0%
- 都市ビジネス事業:数量 95.0(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 4.83(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 459 億円・営業利益 23 億円。数量 0.95 倍・価格 1.05 倍(名目)・営業利益率 5.0%
倍率:ほぼ無利益のため資産で測る。米国のガス安と国内の電化が重なり優良さを失う筋書きで、導管網の清算価値と、新宿パークタワー等の不動産の含み益約4,500億円を踏まえ、今の自己資本17175億円の0.42倍の床。この筋書きの値は利益でなく資産の価値で見ている。配当の維持には保有不動産・政策保有株式の売却を使う。
確率:米国の天然ガス供給過剰が長期化する展開と、国内の電化・脱炭素シフトが想定を超えて加速する展開が同時に重なる複合的なシナリオで、頻度は低いが10年という期間では無視できない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内エネルギー・ソリューション事業(ネットワークを含む)
首都圏の家庭・商業・工業向けに都市ガスと電力を販売する中核事業と、導管網の維持・運用を担う規制事業。原料費調整制度でLNG価格・為替をほぼそのまま価格に反映する。
| 数量国内ガス販売量(百万m3。電力販売・導管事業を含む代理指標) | 価格平均単価(円/m3、ガス・電力・導管を混合した代理指標) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11,175 | 228 | 25,476 | 1,538 |
| 10 年後 中立 | 10,058 | 301 | 30,265 | 2,295 |
取り方:2026年3月期の国内ガス販売量合計11,175百万m3(家庭用2,719・業務用2,275・工業用4,630)と、報告セグメント「エネルギー・ソリューション」(売上24,445億円)に「ネットワーク」(売上1,031億円)を足した売上高25,476億円から逆算した1m3あたりの平均単価。数量は実質で、家庭用のガス離れ(オール電化・省エネ)と工業用の横ばいの差し引きで置く。単価は原料費調整制度でLNGの値段に数か月遅れて連動し、規制料金・導管の託送料金は認可で1〜2年遅れて物価に追いつく。営業利益1,538億円は両セグメントのセグメント利益の合計で、連結営業利益に合わせて後の筋書きでは比例配分している。
海外事業
北米シェールガス開発会社TG Natural Resources(旧TGエナジー)を中核に、LNGの液化・トレーディング、海外発電事業を展開する上流〜中流の垂直統合事業。
| 数量北米シェールガス生産・LNGトレーディング規模(LNG換算・万トン/年、海外事業全体の代理指標) | 価格万トン当たりの年間収益(億円/万トン) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 2.41 | 2,411 | 707 |
| 10 年後 中立 | 1,100 | 3.18 | 3,501 | 980 |
取り方:TG Natural Resources の生産規模(ヘインズビル地域で有数の規模、LNG換算で年約1,000万トン程度と見積もられる)を数量の代理とし、海外セグメントの売上高2,411億円から1万トンあたり年間収益を逆算した(LNGトレーディング・海外発電の収益を含む混合指標)。単価は米国の物価で名目に上がる前提だが、天然ガス価格は長期平均に戻るとみる。営業利益率29.3%は会社公表のセグメント利益(持分法投資利益を含む)を連結営業利益に合わせて比例配分した値。
都市ビジネス事業
新宿パークタワー等の不動産開発・賃貸、法人向けエネルギーサービスを担う非ガスの成長領域。保有不動産には大きな含み益がある。
| 数量事業量の指数(2026年3月期=100、実質) | 価格指数1点あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 4.60 | 460 | 98 |
| 10 年後 中立 | 115 | 5.98 | 688 | 131 |
取り方:不動産(東京ガス不動産の新宿パークタワー等の賃貸床・分譲)、法人向けエネルギーサービスを合わせた都市ビジネスセグメントの売上高460億円を、実質の事業量の指数(今=100)と名目の単価に分けた。数量は新しい床・新規顧客の分だけ増え、賃料・単価は物価で上がる。営業利益率21.4%は会社公表の実績で、保有不動産の含み益(合計約4,500億円)はこの帳簿上の利益には含まれない。
リスクと懸念
米国天然ガス価格の変動
シェールガス開発会社TG Natural Resourcesの生産資産は、米国の天然ガス価格(Henry Hub等)の変動にほぼ直接晒される上流事業であり、供給過剰局面では海外事業の利益が大きく縮小しうる。国内の原料費調整のような価格転嫁の仕組みがないため、国内事業より業績の振れが大きい。
国内都市ガス事業の構造的な薄利
原料費調整制度があっても、調整ラグと規制料金の上限次第で営業利益率は簡単に薄れる。家庭用需要はオール電化・省エネの進展で緩やかな縮小が構造的に続き、国内事業だけでは成長が乏しく、海外事業への依存度がさらに高まりやすい。
エリオット・マネジメントとの関係
2024年11月に株式5%超を取得した米エリオット・マネジメントは保有不動産・政策保有株式の売却を要求しており、資本政策の骨格はこの1年ですでに大きく変わった。要求がさらに強まれば経営の自由度が狭まる一方、進捗が計画からずれれば市場の期待が裏切られるリスクもある。
北米発電所・資源開発の実行リスク
TG Natural Resourcesの生産拡大(2030年ごろ日量4,000万m3、LNG換算1,060万トン規模)は資金調達・建設コストの不確実性を伴う段階にあり、天然ガス市況の悪化や資材・人件費の高騰が重なれば計画通りに進まない可能性がある。
電力事業における競争
首都圏の電力市場では東京電力エナジーパートナー等との顧客の奪い合いが続き、電力顧客基盤を420万件から520万件へ拡大する中期計画が想定どおり進むかどうかは、料金設計や販促の競争力に左右される。ガス・電力のセット販売による引き留めが効かなければ、国内事業の薄利体質からの脱却はさらに遅れる。
不動産・政策保有株式の価値変動と売却進捗
保有不動産の含み益(合計約4,500億円)・政策保有株式の売却を進める方針だが、売却対象の市況や関係維持の必要性により進捗が計画からずれる可能性がある。進捗が遅れれば資本効率(ROE)の改善ペースも鈍り、株主還元の拡大余地が計画より小さくなる。
合成メタン(e-メタン)の収益化の遅れ
大阪瓦斯・東邦瓦斯・三菱商事と共同で米国での量産・輸入体制の検討が進むが、本格的な収益化・コスト競争力の確立には10年という期間でもなお時間を要する。技術・供給網の構築が遅れれば、脱炭素投資が収益を圧迫するコスト要因として残る可能性がある。
今後の分かれ目
- TG Natural Resourcesの生産量が2030年ごろの目標(LNG換算1,060万トン規模)を上回るペースで拡大する
- 海外事業の利益がさらに積み上がり、本質価値の評価は上向く。
- 米国の天然ガス価格が供給過剰で構造的に低迷する
- TG Natural Resourcesの生産資産の収益性が失われ、10年の筋書きも下方に見直す必要が出る。
- エリオット・マネジメントの要求どおりに不動産・政策保有株式の売却が計画を上回るペースで進む
- 資本効率(ROE)の改善が前倒しで進み、株主還元の拡大余地が増す。
- 合成メタン(e-メタン)の米国での量産・輸入体制が2030年前後に具体化する
- 国内ガス事業の長期的な存在価値が底上げされ、構造的な薄利からの脱却の糸口になる。
- 家庭用ガス需要の電化代替が想定を超えて加速する
- 国内エネルギー・ソリューション事業の数量見通しが下方修正され、10年の中立・悲観の確率が入れ替わる可能性がある。
- 規制料金(経過措置料金)の撤廃が制度化される
- 国内エネルギー・ソリューション事業の価格決定の自由度が増し、原料費調整のラグによる一時的な損益の振れが小さくなる。
- 電力顧客基盤が2028年度目標の520万件に届かない
- 国内事業の薄利体質からの脱却が遅れ、海外事業への依存度がさらに高まる。
見ておくもの
- TG Natural Resourcesの生産拡大ペース(2030年ごろ日量4,000万m3、LNG換算1,060万トン規模への道筋)
- 米国天然ガス価格(Henry Hub等)の推移
- 国内ガス販売量(家庭用・業務用・工業用)と原料費調整額の推移
- エリオット・マネジメントとの対話の進展、保有不動産・政策保有株式の売却進捗
- 電力顧客基盤の拡大ペース(420万件→520万件、2028年度目標)
- 自社株買い(2026年3月期上期1,200億円等)・増配方針(2029年3月期に向けて)の実行状況
- 中期経営計画のROE目標(28年度9%・30年ごろ10%)の達成度
倍率と資本コストの決め方
国内ガス販売量・北米シェールガスの生産規模・都市ビジネスの事業量の指数に名目の単価を掛けて利益を積み、各時点のROEとk7.75%(基本7.5%に、循環+0.25%・導管の規制−0.5%・寿命+0.25%)で倍率を出した。2026年3月期の純利益2,269億円は資産売却・海外好調による一時的な水準とみて、巡航速度は中期経営計画の27年3月期目標(1,340億円)に近い水準を基準にした。中立はROEがkを下回るので上限は1÷k=13.3倍で、その8割(10.7倍)、やや楽観8割、楽観8.5割に置いた(導管網は規制で公正な利益に抑えられ、北米シェールは市況で動くので普通の堀)。悲観は今の自己資本に0.42〜0.48倍を掛け、稼ぐ力と不動産の含み益・導管網の資産価値から出して二重に下げていない。今のPERやPBR、過去・同業の倍率には寄せていない。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。利益で測る倍率には入らない価値を漏らさないため。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。
同じ業種(電気・ガス業)の AI 分析
読んだ資料
- 東京ガスグループ2026-2028年度中期経営計画の策定について
- 【特集】3事業を成長の原動力に/東京ガス26―28中期経営計画(ガスエネルギー新聞)
- エリオット、東京ガス株を5%保有 不動産売却を協議(日本経済新聞)
- 最恐アクティビスト、東京ガス「1兆円不動産」狙い撃ち(日経ビジネス電子版)
- 不動産の含み益は4500億、アクティビストに狙われた「東京ガス」のいま(楽待新聞)
- 東京ガス、トランプ流に懸け 再エネ目標削除・米シェールガスに投資(日本経済新聞)
- 東京ガス、最大1200億円の自社株買い 今期10円増配(日本経済新聞)
- 東京ガスのセグメント別・地域別売上高の推移
- 2025年度の都市ガス販売量(2025年4月~2026年3月)
- 5%の株式取得を背景に突きつけられた不動産売却要求への対応|2024年・東京ガス