結論
NSグループは、日本セーフティーを中核に、住宅や店舗の家賃を保証する会社だ。筆者の結論は「適正圏」である。継続的に入る更新保証料と全国に広がる取扱店網は魅力的だが、信用リスクと買収由来ののれんが大きく、株価に明白な安全域があるとまでは言えない。保証会社は単に審査を請け負うのではない。借主が家賃を払えない時に、自分のお金で立て替える責任そのものを売っている。だから十年先も必要とされる仕事だ。
2025年の営業収益は298億円、営業利益は99億円だった。新規の契約で稼ぐだけでなく、既存契約が続く限り更新料を受け取る仕組みが収益を支える。2025年には33.9万件の新規契約を取り、2026年には九州のアルファーを傘下に収めた。住居用の普及余地は徐々に狭まるが、店舗・事務所向けでは敷金に代わる保証の需要が伸びる。中立では契約件数の増加と家賃上昇を見込む一方、営業利益率が今の水準を維持できるとは考えない。
鍵を握るのは、審査通過率を高く保ちながら、滞納債権を回収できるかどうかだ。470万件の申込データと取扱店との関係は追い風だが、生成AIで審査や事務処理の模倣は容易になる。強みが残るのは、損失を見極めて引き受ける判断と、問題が起きた後の現場対応である。さらに自己資本289億円には、のれん360億円が含まれる。倒産に近い筋書きでは帳簿の純資産を換金価値と見なせない。
10年間の配当や自社株買いまで含めると、本業の成長は今の評価をおおむね説明できる。ただし、景気悪化時に保証料より代位弁済と回収費用が先に増える危うさがある。利益の増加だけを見て安心するのではなく、代位弁済率、回収率、取扱店の定着、事業用保証の採算を確認し続けるべき企業である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず「家賃を保証する仕組みは十年後も必要か」と問うだろう。答えはおおむね肯定である。親族に保証人を頼む慣行は弱まり、家主には家賃未回収を防ぐ需要がある。貸主と借主の信用を橋渡しする役割は、電子契約やAIが進んでも消えない。審査画面の操作がなくなっても、損失を引き受ける資本と法律上の責任は残るからだ。
次に見るのは、利益が本当に株主の懐に入るかどうかである。更新保証料には継続的な現金収入の魅力があるが、保証会社には立替資金と回収人員が要る。景気が悪化してから貸倒損失が出るため、平時の利益のすべてを気軽に配れるわけではない。しかも貸借対照表の資産には高額ののれんが載る。自己資本が厚そうに見えても、事業が壊れた時に換金できる資産は限られる。
堀の深さも丁寧に分けたい。日本セーフティーの取扱店網と独自の延滞データは一日にしてできない。地元の不動産会社と問題解決を積み重ねた信用には価値がある。その一方、保証会社の乗り換えを禁止するものはなく、大手の取引先を取りに行くと販売手数料は競争にさらされる。審査のAI化は自社にも利益をもたらすが、他社の追随を止めない。
経営者を評価する基準はROEの高さより増分投資の利回りだ。既存顧客への更新保証は優れた稼ぎだが、赤字の同業を買って顧客基盤を広げても、引受損失や追加のれんが増えるだけなら意味がない。少数株主としては、利益を慎重に数え、配当方針が景気の悪い年にも守られるかを確かめたい。現時点では価値と市場の値段が近く、優れた部分を認めても大幅な安全域までは認められない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの入口は不動産管理会社と仲介会社である。借主が住宅、店舗、事務所を借りる時、子会社の日本セーフティーが家主に対して賃料を保証する。紹介した不動産会社には販売手数料を支払い、借主から契約時の新規保証料と、その後の年次・月次更新料を受け取る。家賃が滞れば自社で立て替え、借主から取り戻す。このため売上が伸びても、回収不能額が増えれば株主の取り分は細る。
会社の会計上の報告セグメントは家賃債務保証事業一つだけである。経済性を捉えるため、ここでは住居用の新規保証、事業用の新規保証、駐車場などのその他新規保証、既存契約の更新保証、集金代行等の五つに分ける。2025年に認識した新規保証料は約143億円、更新保証料は約120億円、集金代行等は約36億円だった。新規保証料のうち住居用と事業用の内訳は、実際の収受額を基に会計上の認識額へ配分した推定値であり、会社が利益を用途別に開示した数字ではない。
収益の質は新規保証と更新保証で違う。新規保証は引っ越し件数と不動産会社からの紹介に左右されるが、更新保証は既存の入居者が住み続けるほど積み上がる。2025年の新規契約は33.9万件で、これが数年後の更新料の種になる。一方、会社は既存契約の約七割に集金代行も提供する。毎月の家賃を銀行等を通じて受け取り、家主や管理会社に送る手数料収入である。分別送金のように複数の送金先へ振り分ける機能も持つ。
最も伸びしろが大きいのは事業用保証だ。テナントは敷金を厚く積む代わりに保証料を払い、店舗やオフィスの貸主は保証会社の信用力を使う。契約一件当たりの金額は住宅より大きい反面、店舗の廃業が増えると立替金の回収は難しくなる。駐車場向けではニーリーのPark Directとの提携があり、デジタル契約の流れにも関与している。保証の引受責任と集金の事務処理を混同せず、後者にはAIによる手数料低下の圧力を織り込む必要がある。
優良さと弱いところ
同社の堀、すなわち競争相手がすぐには追いつけない強みは、紹介経路と信用情報の蓄積にある。日本セーフティーは約6.6万店の取扱店を持ち、地域の小規模管理会社との結び付きを築いてきた。特に管理戸数1,250戸以下の領域で第一保証のシェア約10%、第二保証のシェア約6%と会社は推計する。大手信販系が手数料競争を仕掛ける市場とは違い、小さな不動産会社には迅速な対応や回収時の相談相手が重視される。この局地的な強みは十年後にも一部残るだろう。
もう一つの財産は約470万件の申込データだ。2025年にはこれを使うAI審査モデルを運用し始め、審査時間を短縮した。貸倒損失を抑えながら比較的広い範囲の借主を受け入れられれば、家主にも借主にも選ばれる。営業利益率は直近三期で三割を超え、2025年は33.1%だった。ただし取扱店との契約は排他的ではなく、値上げを継続して通した実績も確認できない。データが多いことを、そのまま永続的な価格支配力と呼ぶのは早い。
資本効率にも留保が必要だ。ROEは直近22%前後だが、過去には大株主向けに大型配当を行い、自己資本を圧縮している。利益成長だけで高ROEを実現したわけではない。のれん約360億円と無形資産約77億円を除くと有形の自己資本は大幅なマイナスとなる。純負債は約99億円で当面の利払いは管理可能でも、保証債務が一斉に顕在化すれば現金を自由には使えない。高い利益率と厚い清算価値はまったく別物である。
筆者は堀を「普通」と評価する。全国の代理店網と回収ノウハウは有力だが、顧客の年間解約率、値上げ実績、取扱店の専属比率が確認できないため、強固な独占とは認めない。今後の増分投資が資本コストを上回るかは、買収先の顧客を安い費用で既存基盤へ移し、回収率を落とさずに利益を増やせるかで決まる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家賃債務保証は人口減少下でも用途が増える市場だ。2020年の民法改正で個人連帯保証人には極度額の設定が必要となり、専門会社を使う理由が強まった。単身高齢者や外国人の増加、2025年10月に始まった認定家賃保証の制度も追い風である。ただし、住宅の戸数そのものが十年で大きく増えるわけではない。住宅用の実質的な契約増は、保証会社の利用率と会社自身のシェアを奪えるかにかかっている。
矢野経済研究所が2026年8月に公表した調査では、2025年度の市場は約2,722億円、2026年度は約2,905億円と推計された。2030年度には約3,657億円という見通しである。事業用だけを見ると、2025年度の337億円から2030年度には600億円超へ広がるとされる。会社の2025年売上298億円は市場全体の約11%に相当するが、集金代行などの周辺売上が混じるため厳密な市場シェアではない。保証料に相当する新規と更新の合計では約262億円、単純対比は約9.6%である。
競争相手には、全保連、ジェイリース、Casa、イントラストの独立系や、信販会社・不動産管理会社の系列がある。上位各社の市場占有率を同一基準で比較できる公表資料は乏しく、一社独占の市場とは言えない。管理戸数の多い会社では信販系が第一保証になりやすく、独立系は第二保証として選ばれる場面がある。会社推計では小規模管理会社の第一保証で約10%、中規模では約2%、大規模ではごくわずかであり、営業の余地は大きい。ただし大手を取りに行くほど販売手数料を競うため、件数と利益率は同時に伸びない。
物価が年3%上がる十年では、家賃も保証料の名目単価も上がりうる。しかし、全保連やジェイリースが審査を自動化すれば、同じ入居者に保証を付ける作業のコストは下がり、手数料競争が厳しくなる。集金代行はさらに自動化の影響を受ける。中立の市場全体は実質で緩やかに成長すると見るが、事業用の高成長が2030年以降も同じ勢いで続くとは考えない。貸倒率と代理店手数料が上がれば、名目売上の伸びが利益増につながらない構造だ。
資本政策と M&A
会社の2025年11月公表の中期計画は、2027年12月期の営業収益約365億円、調整後EBITDAマージン約43%、新規保証料185億円、新規契約38.5万件を目標とする。住居用の新規保証料115億円、事業用60億円という内訳も示している。これは収益力と販売量の約束であり、ROE、DOE、自社株買い総額の中計数値目標はない。株主還元については有報に配当性向50%以上という別の明確な目標がある。
資本配分には功罪がある。旧支配株主の投資期間中、2023年に120億円、2025年に60億円の大口配当が行われた。2025年の上場関連費用と旧株主への管理報酬は利益を一時的に押し下げたが、その負担は終了した。一方、こうした特別配当を持続的な株主還元率とみなせば十年の資本政策を誤る。2026年には立会外取引と市場買付による自己株取得を実行したものの、一部は従業員向け株式報酬の交付に備える目的でもある。
2026年7月には九州の家賃保証会社アルファーを完全子会社化した。取扱店約5,500の営業網が手に入る半面、買収先は直近期に営業赤字だった。取得価額は非開示で、純資産の15%未満という上限情報だけでは投下資本利益率を判定できない。買収後に顧客を失わず、回収業務を統合して黒字化できるかが経営者の最初の試金石になる。過去の大型株主還元だけで経営陣の規律を証明したことにはならない。
少数株主への現金の戻り方は原則1.0と考える。上場後の配当性向50%以上の方針と実際の自社株取得があるためだ。ただし現在は純負債であり、自由に加算できる余剰現金はない。今後は増配と減債、採算の取れる小型買収の順で、株主の価値を増やせるかを見たい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
更新保証料が積み上がる性質は市場が考えるより強い。新規契約の獲得は毎年必要だが、退去しない既存顧客が将来の保証料を支える。日本セーフティーは約6.6万店に接点を持ち、小規模管理会社では相談に応じる回収体制が選ばれる理由になっている。470万件の申込データと独自の回収履歴を使い、無理に審査を厳しくせずに貸倒率を抑えれば、同じ営業費用で多くの顧客を獲得できる。全国型の取扱店網を持つ会社が小規模な地域の保証会社を買収すれば、販売経路を手に入れ、システム費用を共有できる。
伸びしろは事業用保証にある。店舗やオフィスでは保証金の負担を軽くしたいテナントが増え、貸主も家賃未回収を避けたい。中期計画が目指す事業用の新規保証料は2027年に60億円だ。小規模管理会社向けで培った関係を商業用不動産や大手管理会社へ広げられれば、件数と一件当たり保証料の双方が伸びる。国内の賃貸住宅戸数が頭打ちでも、保証会社を使う割合と事業用の利用率は高められる。
高収益を守る手段もある。2025年から稼働しているAI審査は、単に人員を削る道具ではない。滞納リスクの見極めを改善し、回収が難しい案件を早めに把握することで、保証の引受範囲を広げる余地をつくる。IFRS上の償却費を差し引いても利益率が高い点は、架空のソフトウェア収益とは違う。中計の収益目標が達成され、九州買収の統合も成功すれば、同社は十年後も賃貸市場の有力な社会インフラであり続ける。
慎重な見方
最も気になるのは、保証料を取る時と損失を支払う時がずれることだ。住宅賃料は緩やかに上がっても、失業が増えれば代位弁済はすぐに膨らむ。店舗向けでは、飲食店や中小企業の倒産が重なると一件当たりの未回収額が住宅より大きくなりやすい。回収率が高いという平時の実績は、深い不況を含む十年間で証明されたものではない。信用費用の増加だけでなく、弁護士費用や訪問回収の人件費も重なり、営業利益率が急落する危険がある。
取扱店が多いことは必ずしも独占を意味しない。不動産管理会社は複数の保証会社を使い分け、販売手数料が高い会社を第一保証に選ぶこともある。全保連、ジェイリース、Casa、信販系各社がAI審査を導入すれば、与信判断の速さは差別化要因でなくなる。家賃を預かって送金するだけの事務処理も自動化される。集金代行の周辺手数料が縮めば、新規保証と更新保証で失った利益を埋め合わせるのは難しい。
貸借対照表は悲観時の安全網にならない。自己資本約289億円より、のれん約360億円の方が大きい。借入金約259億円を抱え、保証契約の債務もある。将来の利益を当てにできなくなれば、清算して簿価の資本を受け取ることはできない。2023年と2025年の大型配当は既存株主への現金移転であり、買収の上手さを示すものではなかった。2026年に買収したアルファーが赤字を続け、追加の買収まで失敗すれば、成長という見栄えとオーナー利益の実態が大きく食い違う。
どちらに重みを置いたか
継続保証料と取扱店網に価値がある点では前向きな見方に分がある。ただし、取扱店は非独占で、貸倒損失には深い景気後退の実績が乏しい。買収したアルファーの採算と大株主の資本配分にも確認すべきことが残る。下に寄せる理由はAIだけではなく、保証事故の連鎖と買収費用が同時に膨らむ可能性である。上側27%、下側39%、中立34%とし、現在の価値判断は適正圏にとどめる。AI代替の影響は主として集金代行の数量と長期成長率に反映し、確率に同じ損失を重ねない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,074 円1,046 億円(+ 還元の換算額還元の合計 720 円363 億円)。 今の値に割り戻すと 1,451 円732 億円、今との差 −1.2%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,418 円2,229 億円 | 1,116 円563 億円 | +276.7% | +16.6% | 553 円279 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,567 円1,799 億円 | 995 円502 億円 | +210.5% | +14.1% | 775 円391 億円 |
| 中立 | 34% | 2,314 円1,167 億円 | 827 円417 億円 | +113.8% | +9.4% | 1,068 円539 億円 |
| やや悲観 | 27% | 884 円446 億円 | 521 円263 億円 | −4.4% | −0.5% | 379 円191 億円 |
| 悲観 | 12% | 2 円1 億円 | 149 円75 億円 | −89.7% | −35.1% | 18 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,074 円1,046 億円 | 720 円363 億円 | +90.2% | +7.8% | 2,794 円1,410 億円 |
今の株価時価総額 1,469 円741 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 全国の販路と商業用保証が同時に飛躍 利益 163 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,418 円2,229 億円
住居用で小規模管理会社との関係が一段と太くなり、首都圏と関西だけでなく地方の有力管理会社にも入り込む。新規住宅保証は年間45万件まで伸び、今より高い家賃を背景に一件当たりの新規保証料も上がる。事業用では敷金を保証に置き換える動きがオフィスや物流施設へ広がり、年間8万件を受託する。競合の全保連やジェイリースと大口顧客を争いながらも、細かな与信審査と回収力で採算を守る。
アルファーの九州基盤を無理なく統合し、その後の小型買収も大幅な追加のれんを生まずに稼働する。更新保証の有効契約は142万件となり、新規獲得が翌年以降の安定収益に結び付く。滞納者への早期対応とAI審査の改善によって、貸倒費用の上昇を抑えながら営業利益率を改善する。AIを新しい有料商品として売り出した金額の開示はないため、その寄与は新規売上ではなく費用効率に限定する。
高い利益から配当性向50%以上の方針を継続し、減債後の現金は買収や自社株取得に回る。取扱店が継続的に顧客を紹介する関係を保てれば、十年後も独立系の中心企業として選ばれる。
- 住居用新規保証:数量 45.0(新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定))× 価格 5.28(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 238 億円・営業利益 76 億円。住居用新規件数は2025年の1.73倍、単価1.45倍。全国の取扱店拡大と家賃上昇を反映。
- 事業用新規保証:数量 8.0(新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 23(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 185 億円・営業利益 65 億円。事業用新規件数は2025年の3.02倍、単価1.45倍。事業用市場拡大の上位筋書き。
- 駐車場・その他新規保証:数量 6.2(その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 1.51(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。駐車場などの新規件数は1.18倍、単価1.40倍。
- 既存契約の更新保証:数量 142(有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定))× 価格 1.88(更新保証料(万円/有効契約・年、名目))→ 売上 268 億円・営業利益 115 億円。更新保証の契約ストックは1.54倍、単価1.45倍。継続率改善が採算を支える。
- 集金代行・その他周辺サービス:数量 61.0(年間利用の稼働契約換算数(万件、推定))× 価格 0.74(集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 6 億円。AIエージェント代替の影響を受けるBPO・決済事務。実質数量0.95倍、単価1.32倍。AI商品販売の実証がないため、楽観でも実質数量を現状以下とする。
倍率:資本コストk=8.0%、当該筋書きのROE=20.2%、普通の堀の残存率1/2よりRONIC=14.1%。10年後以降の名目成長g=2.2%、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.55倍。上限と同水準をそのまま用い、今や過去の取引倍率は参照しない。金融保証の現金残高は立替資金に必要で、余剰現金は別建て加算しない。
確率:全国の取扱店網拡充と事業用の高成長、信用事故抑制、九州買収の黒字化が同時に続く必要がある。成功すれば収益は大きいが連続達成の確率は一割に限る。
やや楽観 17% 保証の継続収入と事業用が順調に伸びる 利益 135 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,567 円1,799 億円
住居用では、家賃保証を必須とする貸主が増え、小規模管理会社でのシェアがじわじわ高まる。年間の新規住宅保証は40万件に達し、家賃上昇をほぼ保証料へ反映できる。大手管理会社では信販系の優位が残るが、第二保証の地位から第一保証へ上がる案件が増える。事業用の年間契約は6.7万件となり、店舗だけでなく中規模のオフィスでも一定の採用が進む。
更新保証料は既存顧客の解約率が想定より低く、ストックが130万件相当へ積み上がる。集金代行は便利なサービスであり続けるが、単純な照合と振込指図はAIエージェントに置き換わる。処理件数は今より減るものの、送金ミス防止と分別送金の実務が残る。これを保証料事業の大きな成長要因とは見なさない。
九州買収の経営統合で赤字を解消し、その後は買収価額を慎重に選ぶ。保証損失が急増する不況に遭わず、信用費用を制御できれば収益性は高い水準で残る。配当と自社株取得も利益の伸びに応じて拡大し、少数株主が利益のかなりの部分を受け取る十年になる。
- 住居用新規保証:数量 40.0(新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定))× 価格 5.10(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 204 億円・営業利益 63 億円。住居用の新規件数1.54倍、単価1.40倍。
- 事業用新規保証:数量 6.7(新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 22(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 149 億円・営業利益 48 億円。事業用の新規件数2.53倍、単価1.40倍。
- 駐車場・その他新規保証:数量 5.9(その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 1.47(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。駐車場等の新規件数1.12倍、単価1.36倍。
- 既存契約の更新保証:数量 130(有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定))× 価格 1.82(更新保証料(万円/有効契約・年、名目))→ 売上 237 億円・営業利益 99 億円。更新契約ストック1.41倍、単価1.40倍。
- 集金代行・その他周辺サービス:数量 57.0(年間利用の稼働契約換算数(万件、推定))× 価格 0.74(集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 5 億円。AI代替を織り込んだBPO・決済事務。実質数量0.89倍、単価1.31倍。AI商品販売の実証はない。
倍率:資本コストk=8.0%、当該筋書きのROE=17.4%、普通の堀の残存率1/2よりRONIC=12.7%。10年後以降の名目成長g=2.2%、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.25倍。上限と同水準をそのまま用い、今や過去の取引倍率は参照しない。金融保証の現金残高は立替資金に必要で、余剰現金は別建て加算しない。
確率:事業用の市場拡大と既存保証の積み上がりは十分あり得るが、大手への販売手数料増額なしに大きなシェアを取れるとは限らない。
中立 34% 更新収入は伸びるが保証料競争が利益率を削る 利益 91 億円 · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,314 円1,167 億円
住宅向け家賃保証は十年後も日常的に必要とされる。しかし、国内の賃貸住宅市場は成熟し、保証会社を利用する割合の上昇も次第に緩やかになる。新規住宅保証は年間34万件へ増えるにとどまり、単価は家賃上昇の範囲で伸びる。事業用では保証の普及が続くものの、矢野経済研究所が予想する2030年までの伸びがその後も続くとは考えない。年間5万件を獲得し、住宅に次ぐ第二の柱になる。
取扱店が販売手数料や審査スピードを比べる場面が増え、同社の高利益率は徐々に薄まる。全保連、ジェイリース、信販系がAI審査で追随し、初回保証料の一部は家賃インフレを下回る。更新保証の稼働契約は116万件まで増える一方、集金代行は事務自動化で実質の処理数量が今の七割になる。AIエージェントが信用保証そのものを消すとは見ないが、周辺事務の値決め力には影響する。
アルファー買収は九州の販売網を補うが、既存の全国基盤を劇的に変えるほどの成果は出ない。信用費用と営業手数料の負担で営業利益率は高水準から低下する。それでも更新保証料を背景に利益は残り、配当性向50%以上をおおむね守る。大株主向けの特殊な大型配当は繰り返さず、蓄積した利益と株主還元が釣り合う会社となる。
- 住居用新規保証:数量 34.0(新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定))× 価格 4.88(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 166 億円・営業利益 43 億円。新規住宅保証の実質件数1.31倍、単価1.34倍。保証会社の普及率上昇と物価を反映。
- 事業用新規保証:数量 5.0(新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 21(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 105 億円・営業利益 28 億円。新規事業用保証の実質件数1.89倍、単価1.32倍。市場拡大の鈍化と手数料競争を織り込む。
- 駐車場・その他新規保証:数量 5.2(その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 1.35(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。駐車場等の新規保証件数0.99倍、単価1.25倍。
- 既存契約の更新保証:数量 116(有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定))× 価格 1.72(更新保証料(万円/有効契約・年、名目))→ 売上 199 億円・営業利益 74 億円。更新保証の実質契約ストック1.26倍、単価1.32倍。更新料の継続性を反映。
- 集金代行・その他周辺サービス:数量 45.1(年間利用の稼働契約換算数(万件、推定))× 価格 0.70(集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替により人月・BPO型の実質処理数量0.70倍、単価1.24倍。営業利益率にも価格競争を反映。
倍率:資本コストk=8.0%、当該筋書きのROE=13.4%、普通の堀の残存率1/2よりRONIC=10.7%。10年後以降の名目成長g=2.2%、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.69倍。上限と同水準をそのまま用い、今や過去の取引倍率は参照しない。金融保証の現金残高は立替資金に必要で、余剰現金は別建て加算しない。
確率:保証債務の需要が続く一方、住宅市場は成熟し、競合もAI審査を導入する。中計の初期成長とその後の利益率鈍化を合わせた中心的な道筋である。
やや悲観 27% 取扱店のシェア低下と信用費用の上昇 利益 45 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 884 円446 億円
家賃保証への需要は残るものの、取扱店を巡る競争が激しくなり、新規住宅保証は年間28万件にとどまる。大手管理会社では信販系が第一保証を取り、小規模管理会社でも全保連やジェイリースとの販売手数料競争が厳しくなる。事業用の保証は広がるが、小規模店舗の倒産が増えたため新規契約は3.5万件までしか伸びない。会社は審査を厳しくして一件当たりの引受損失を防ぐが、その分だけ成長機会を失う。
更新保証の有効契約は99万件となり、過去の新規獲得が生む収益はすぐには消えない。ただし家賃滞納の立替払いが増え、回収担当者と外部の弁護士に払う費用が膨らむ。AIによる審査・集金の自動化は業界全体に広がり、自社だけが大幅な費用削減益を独占することはない。集金代行の処理件数は減り、費用の固定部分が重くなる。
アルファーは黒字化に時間を要し、追加買収は止める。配当は利益の範囲で継続するが、自社株買いは慎重になる。保証事業として存続する一方、資本コストを大きく上回る収益性を失い、契約数は増えても利益はさほど増えない十年となる。
- 住居用新規保証:数量 28.0(新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定))× 価格 4.30(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 120 億円・営業利益 24 億円。新規住宅保証件数1.08倍、単価1.18倍。実質的な値下げ圧力と信用費用上昇。
- 事業用新規保証:数量 3.5(新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 18(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 62 億円・営業利益 11 億円。新規事業用保証件数1.32倍、単価1.12倍。テナントの信用悪化を織り込む。
- 駐車場・その他新規保証:数量 4.0(その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 1.13(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。駐車場等の新規件数0.76倍、単価1.05倍。
- 既存契約の更新保証:数量 99.0(有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定))× 価格 1.56(更新保証料(万円/有効契約・年、名目))→ 売上 154 億円・営業利益 45 億円。更新保証ストック1.08倍、単価1.20倍。代位弁済負担により利益率が低下。
- 集金代行・その他周辺サービス:数量 32.0(年間利用の稼働契約換算数(万件、推定))× 価格 0.62(集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替による実質数量0.50倍、単価1.10倍。費用削減を上回る受注減少。
倍率:営業利益が縮んだ後の純利益45.293億円が継続する稼ぐ力を評価。ROE7.96%は資本コスト8.0%を下回り、価値上限は純利益÷k=約566億円。信用費用が平時より高止まりして再投資の収益性が低い筋書きなので、PER10.5倍の475.6億円に抑える。のれん等を根拠にPBRの床を上げない。
確率:下に寄せる理由:支配力が強い販路は小規模管理会社に偏り、大口顧客では手数料競争が強い。2026年に赤字の保証会社を買収しており、回収費用と買収統合費用が同時に増える下振れを重く見た。
悲観 12% 保証引受の優位性を失いのれんを減損 利益 −4 億円 · PBR 0.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2 円1 億円
賃貸市場の景気後退と競争激化が重なり、保証会社としての強みが構造的に崩れる。小規模管理会社は販売手数料の高い競合へ移り、大手顧客でも信販系との競争に敗れる。新規住宅保証は年間19.5万件、事業用は1.7万件に縮む。事業用のテナント倒産が増え、信用審査を通した案件からも回収不能が発生する。保証料を値下げしなければ契約を取れず、値下げすれば立替費用を賄えない。
更新保証料には過去契約の残りがあるため売上は直ちに消えないが、有効契約数は63万件へ落ち込む。集金代行はAIエージェントが銀行の送金機能と直接つながるようになり、単純な事務手数料が大幅に減る。アルファーをはじめ買収した会社の収益が振るわず、買収価格の妥当性も失われる。営業拠点と回収人員の固定費を減らすまでには時間がかかり、営業利益はほぼ消える。
最初の数年に配当を行った後は還元を停止し、金融機関との返済交渉を優先する。買収由来ののれんを約270億円減損し、自己資本は大幅に細る。新たな株式発行による救済の可能性も出るが、追加の希薄化は未確定なので会社全体の資産価値を過大に見ない。清算時に残る現金は借入や保証契約上の義務に先に充てられ、少数株主への資産の床は事実上ゼロとなる。ただし事業が完全に消滅するわけではなく、残存する保証契約や顧客基盤にごく小さな再建可能性は残るため、既存株主の持分価値はほぼ失われるが、厳密なゼロにはならない。
- 住居用新規保証:数量 19.5(新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定))× 価格 3.28(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 64 億円・営業利益 7 億円。新規住宅保証件数0.75倍、単価0.90倍。取扱店流出と信用損失増大。
- 事業用新規保証:数量 1.7(新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 14(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。新規事業用保証件数0.64倍、単価0.85倍。店舗破綻と回収不能で採算が消失。
- 駐車場・その他新規保証:数量 2.5(その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定))× 価格 0.86(当期認識した新規保証料(万円/契約、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。駐車場等の新規件数0.48倍、単価0.80倍。固定費を吸収できない。
- 既存契約の更新保証:数量 63.0(有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定))× 価格 1.21(更新保証料(万円/有効契約・年、名目))→ 売上 76 億円・営業利益 11 億円。更新保証ストック0.68倍、単価0.93倍。既存契約の解約増と貸倒負担。
- 集金代行・その他周辺サービス:数量 19.0(年間利用の稼働契約換算数(万件、推定))× 価格 0.48(集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。AI代替が進んだ集金代行の実質数量0.30倍、単価0.85倍。送金事務の収益力を失う。
倍率:家賃保証の純利益が恒常赤字となり、金融収支・損失負担を織り込んだ継続的な稼ぐ力は正の価値を生まない。今の自己資本288.8億円にはのれん360.4億円・無形資産76.8億円が含まれ、清算時の回収可能額は借入と保証債務を下回るため、換金可能な資産の床は0億円である。ただし事業は完全清算に至らず、残存保証契約や取扱店網に極めて小さな再建の可能性が残る。悲観筋書きでは約270億円ののれん減損を織り込んで自己資本を124億円まで減らしており、この減損後の自己資本に対するPBR0.01倍、すなわち時価総額1.24億円を残存価値とする。これは帳簿資産の回収価値ではなく、事業再建の極小のオプション価値である。現在や過去のPBRの谷を根拠にせず、赤字の稼ぐ力と売却可能資産の欠如から独立に評価した。
確率:下に寄せる理由:のれんが純資産を超え、深い不況時には借入と保証債務が同時に重くなる。利益だけでなく株主の清算価値も乏しくなる非線形の損失を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住居用新規保証
住居を借りる人に対する家賃保証。入居時に初回保証料を認識する。
| 数量新規住宅保証契約数(万件/年、2025年用途別は推定) | 価格当期認識した新規保証料(万円/契約、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 26.0 | 3.64 | 95 | 30 |
| 10 年後 中立 | 34.0 | 4.88 | 166 | 43 |
取り方:有報の2025年新規保証料認識額142.57億円に、用途別の収受額100.14億円÷収受総額150.75億円を掛けて94.71億円と推計。新規契約全社33.9万件(会社マテリアリティ)と2024年住宅24.9万件(中計)および住宅保証料収受の伸び6.8%から住宅26.0万件と仮定し、認識売上94.71億円÷26.0万件=3.643万円とした。物価は価格だけに入れ、会計上の認識額と現金の保証料を混同しない。なお、用途別営業利益は非開示のため、会社営業利益98.7億円を保証料の継続性と回収費用の違いから配賦した分析上の推定値である。
事業用新規保証
店舗・事務所などの事業用テナント向け家賃保証。住宅より高単価だが、廃業時の信用損失も大きい。
| 数量新規店舗・事務所保証契約数(万件/年、2025年推定) | 価格当期認識した新規保証料(万円/契約、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.7 | 16 | 42 | 13 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 21 | 105 | 28 |
取り方:2025年の事業用収受保証料44.63億円を新規収受全社150.75億円で割り、新規認識142.57億円に配分すると42.21億円。2024年実績2.3万件・2027年計画3.5万件、2025年の事業用収受保証料増20.7%を見て2025年2.65万件と推定。一件当たり認識額15.93万円。会社の市場拡大予測と矢野研究所の2025年事業用市場337億円を数量成長の根拠に用い、物価は単価の側。なお、用途別営業利益は非開示のため、会社営業利益98.7億円を保証料の継続性と回収費用の違いから配賦した分析上の推定値である。
駐車場・その他新規保証
月極駐車場など住宅・事業用以外の賃料保証。
| 数量その他新規保証契約数(万件/年、2025年推定) | 価格当期認識した新規保証料(万円/契約、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.3 | 1.08 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.2 | 1.35 | 7 | 1 |
取り方:新規保証料の収受総額150.75億円から住宅100.14億円と事業用44.63億円を引くとその他5.98億円。これに認識額と収受額の比142.57÷150.75を掛けて認識額5.66億円。会社公表の全社33.9万件から住宅推定26.0万件と事業用推定2.65万件を差し引くとその他5.25万件。1件当たり1.077万円。推定であり正式な用途別開示ではない。なお、用途別営業利益は非開示のため、会社営業利益98.7億円を保証料の継続性と回収費用の違いから配賦した分析上の推定値である。
既存契約の更新保証
既存保証契約から受け取る年次・月次の更新保証料。
| 数量有効保証契約の年間請求換算数(万件、推定) | 価格更新保証料(万円/有効契約・年、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 92.0 | 1.30 | 120 | 49 |
| 10 年後 中立 | 116 | 1.72 | 199 | 74 |
取り方:有報の2025年更新保証料119.56億円を直接使用。目論見書に記載された既存契約約90万件の規模から、2025年末の有効契約の年間請求換算を92万件と保守的に推定、平均単価1.300万円。契約更改の実件数・月次請求回数は開示されないため、この数量は稼働契約の代理指標であり、正式な請求件数ではない。住宅戸数ではなく、継続率と新規獲得が数量を動かす。なお、用途別営業利益は非開示のため、会社営業利益98.7億円を保証料の継続性と回収費用の違いから配賦した分析上の推定値である。
集金代行・その他周辺サービス
家賃の収納、分別送金、入金照合などの事務・決済周辺サービス。
| 数量年間利用の稼働契約換算数(万件、推定) | 価格集金代行と付随サービスの年額収入(万円/契約、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 64.4 | 0.56 | 36 | 6 |
| 10 年後 中立 | 45.1 | 0.70 | 31 | 3 |
取り方:2025年その他売上36.14億円の内訳は集金代行約29.86億円とその他約6.28億円。有報で保証利用者の約7割が集金代行を使うとするため、更新保証の推定92万件×70%=64.4万件を代理数量にし、周辺売上年額0.561万円を割り戻した。厳密な契約実数は非開示。AIエージェント代替はこの事務・送金処理を対象とし、人月・BPO型と判定する。中立10年の実質処理数量は64.4万件の0.70倍、価格は1.24倍、長期gは名目0%。保証引受という法律上の債務を負う残り約88%には席課金・人月型を適用しない。なお、用途別営業利益は非開示のため、会社営業利益98.7億円を保証料の継続性と回収費用の違いから配賦した分析上の推定値である。
リスクと懸念
保証事故・回収不能の連鎖
最大のリスクは代位弁済率の上昇と、その後の債権回収率の悪化が同時に起きることだ。家賃保証は売上を先に認識しても、回収不能の確定は遅れる。特に店舗の廃業増加では一件当たりの未収額が大きい。平時の高い回収実績が深い不況でも再現するとは限らない。
のれんと負債が作る薄い資産の床
自己資本288.8億円に対してのれんは約360.4億円、無形資産も約76.8億円ある。純有利子負債約99億円に加え、保証契約の支払義務もあるため、清算時に自己資本額を受け取れるとは考えられない。買収した会社の採算が悪化した場合、減損が配当余力と借入条件に与える影響を確認する必要がある。
販売経路の非独占と手数料競争
不動産管理会社は複数の保証会社を比較でき、信販系や全保連、ジェイリースなどが紹介手数料を競う。小規模管理会社との関係は有利でも、大手への進出ほど値下げと手数料増加を招きやすい。契約件数だけが伸び、保証料から販売手数料と貸倒費用を引いた利益が増えない可能性がある。
AIエージェント代替
信用保証の引受責任はAIに置き換わらないが、契約受付、照合、集金代行、督促の事務はAIエージェントが自動処理できる。2025年売上の約12%を占める集金代行などの周辺サービスは人月・BPO型と判定し、中立の10年実質数量を70%へ縮小させた。さらに全社の長期成長率を抑えているため、寿命プレミアムや確率で同じAI侵食を重複計上しない。
事業用保証の想定外の損害率
事業用保証の市場は住宅より速く伸びるが、テナント一件当たりの滞納額が大きくなりやすい。契約を増やすために審査基準を緩めたり、店舗・オフィスの景気悪化を過小評価したりすると、収受した保証料以上の損失が発生する。事業用の収入成長率だけでなく、引受残高に対する立替払いを追う必要がある。
買収価格と支配株主の資本配分
2026年に完全子会社化したアルファーは直近期の営業利益が赤字で、取得価額も非開示である。既存のれんが大きい会社が追加の買収で損失を抱えると、実際の再投資利回りが見えにくくなる。旧大株主への特別配当と2026年の株式報酬向け自己株取得を、一般株主への恒常的な利益還元と区別して評価すべきである。
潜在株式と資本政策による取り分の希薄化
2026年上期には希薄化後の一株利益が基本的一株利益を約6%下回る。買い戻した自己株式の一部を株式報酬に使えば、取得した時点の株数減少が長く続くとは限らない。将来の新株予約権行使、自己株式の交付、増資を追跡し、会社全体の利益と既存株主一人当たりの価値を分けて見る必要がある。
今後の分かれ目
- 新規契約件数が2027年に38.5万件へ届き、住宅と事業用の保証料収受も計画どおり伸びたら
- 営業の拡張力が確認できるため、やや楽観の確率を上げる。ただし取扱店への販売手数料と代位弁済率が横ばいであることを同時に求める。
- 事業用新規保証料が60億円を超え、保証残高に対する事故率も安定していたら
- 高単価事業用の成長を採算を伴うものと認め、事業用の数量と中立営業利益率を見直す。件数だけ増えて信用費用も増えるなら評価を上げない。
- 代位弁済率や二か月以上の滞納率が複数四半期で悪化し、回収率も下落したら
- 貸倒関連費用を恒常的なものとして中立の利益率を下げる。やや悲観・悲観への移行を早め、保有現金を清算価値へ簡単に足さない。
- アルファーの営業黒字化と投下資金の回収が具体的な数字で開示されたら
- 買収による増分利益が資本コストを超えるかを計算し、九州の契約数増加を上側の筋書きに反映する。取得価額が非開示のままなら確信を上げない。
- 集金代行・収納事務の売上が保証契約数に比べ継続して減ったら
- AIエージェント代替が進む兆候として集金代行の数量と単価を引き下げ、全社の長期名目成長率も再点検する。信用保証そのものの減少とは分けて扱う。
- 配当性向50%以上の方針が守られ、自己株式の消却が報酬交付を上回ったら
- 利益が既存株主へ還元される確度を高める。権利行使による株式増加が予想より少なければ既存株主の取り分を上方修正する。
- のれんの減損や大規模増資、予定外の借り換え条件悪化が起きたら
- 清算時の資産の床は引き上げず、資金調達と持分希薄化をまず点検する。十年後の利益が同じでも株主に帰属する価値は下がる。
見ておくもの
- 新規保証契約件数(総数と住居・事業用)および件当たり保証料の推移
- 更新保証料、稼働保証契約数、年間解約率と更新継続率(開示充実を要請)
- 代位弁済率、正常化率、複数月滞納率、最終回収率、信用損失引当金
- 取扱店数と管理戸数規模別の第一保証・第二保証シェア、販売手数料率
- 集金代行利用率と実質件数・手数料単価、AIによる事務の外部代替
- アルファー買収後の地域別契約獲得数・営業利益・のれんと投下資本
- 配当性向、自己株取得と消却の差、潜在株式増加、純有利子負債、金利
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額761億円や市場のPER・PBRを先に使わず、2025年の新規契約33.9万件、用途別の保証料収受額、更新料と集金代行の収益から数量と価格を組み立てた。十年後の収益力から利益と資本を流し、8.0%の資本コスト、通常の堀、長期名目成長2.2%による正当化PERで楽観から中立を評価した。信用悪化時には現在の自己資本を床とせず、のれん360.4億円・無形資産76.8億円を換金困難とした。悲観では減損後の自己資本124億円に対するPBR0.01倍で、清算価値ゼロとは別に、事業再建の極小の残存価値1.24億円を認めた。収益と株主還元には同じ現金を二度足さず、潜在株式による希薄化を最後に計上した。IFRSのリース負債は既に帳簿に反映され、日本基準の新リース会計の影響を追加で数えない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の基準7.5%に、保証事故の信用循環を0.5%加えた8.0%。個別の買収・支配株主リスクは筋書きと確率で扱う。