結論
みずほリースは、みずほ銀行の取引先に設備を貸す総合リース会社だ。不動産の開発、再生可能エネルギー、航空機にも手を広げ、利益の柱はリースだけではなくなった。
筆者の結論は、10年の値打ちは今の時価総額を上回るとみる、というものだ。ただし同業の大手ほどの余裕はない。自己資本比率は10%と薄く、利益には持分法益や物件の売却益が混じる。
リースの稼ぎは、貸した資産の大きさに利ざやをかけたものだ。資産は名目では伸びる。一方で、金利が上がると、借り入れの調達コストが先に上がり、利ざやは削られやすい。筆者は、利益の伸びは物価並みか、それをやや下回る程度にとどまるとみる。
今年7月の資本再編は大きい。みずほFGへのA種種類株式で461億円を調達し、筆頭株主はみずほFGから丸紅に替わった。日鉄興和不動産も株主に加わる。銀行の顧客網に、商社の海外網と不動産会社の開発力が重なる形だ。
見方が分かれるのは、新しい稼ぎ頭の質である。売却益に頼る不動産と、持分法益に頼る海外・航空機の利益は、毎年そろって出るとは限らない。中計2028の純利益600億円は届く水準だが、その先に積み増せるかが問われる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家の目で見ると、まず「十年後も同じ事業が続くか」を問う。リースは続く。だが、利益の質には差がある。国内のリースは長く続くが、薄い。不動産と海外の利益は、大きいが、波がある。
次に、株主のものになる利益を見る。この会社は、利益の3分の1ほどを配当に回し、残りを資産に積む。積んだ資産が、調達コストを上回って稼げば、積み増しは価値を生む。稼げなければ、積むほど自己資本利益率(ROE)が薄まる。筆者は、後者の危険を無視できないとみる。
安全域は、資本の薄さで測る。自己資本比率10%の会社は、損失に弱い。谷の年に純利益が半分になれば、配当を保ちながら資産を絞る苦しい局面が来る。ここは、同業の大手より厳しく見るべき点だ。
一方、株主の顔ぶれは強い。みずほの案件、丸紅の海外網、日鉄興和不動産の開発力が、案件の質を底上げする。10年で、この3社が支える力が不動産と海外の利ざやに出れば、本業は今より強くなる。
筆者は、値段が値打ちを下回る余地はあるが、同業の大手ほど大きくはないと見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は単純だ。企業が機械や車、不動産を買う代わりにみずほリースが買い、期間にわたって料金をもらう。調達は借金で行う。貸す側の利率と借りる側の利率の差が、利ざやになる。
利益は大きく4つに分かれる。いちばん大きいのは国内の法人リースだ。情報機器や産業機械、医療機器を、みずほ銀行の取引先に貸す。平均5年ほどの契約で、堅実だが、同業との値下げ競争があり、利ざやは薄い。
2つ目は不動産と環境エネルギーだ。物流施設やオフィスを開発して売る。再エネの発電所も持つ。売却益が乗れば利益は大きく跳ねるが、毎年同じだけは出ない。2026年3月期の売上が3割以上増えたのは、大口の不動産物件を売ったためだ。
3つ目が海外と航空機である。米国の航空機リース会社エアキャッスルに出資し、その利益を持分法で取り込む。アジアでは現地の企業にリースを出す。
4つ目はファイナンスと投資だ。融資や、事業会社への出資にあたる。小さいが、成果が出れば大きい。
事業の4割が国内のリース、残りが不動産・海外・投資と見てよい。国内の成熟需要を、成長する分野で補うという構図が、この会社の骨格である。
優良さと弱いところ
優良さの中身は、堀というより、株主と取引先の質だ。みずほの顧客網があるので、案件の仕入れには困らない。丸紅の海外網は、海外・航空機・インフラ投資の案件を呼ぶ。日鉄興和不動産は、不動産開発の目利きを貸してくれる。
弱みは、値段を自分で決められないことだ。総合リースは銀行系・メーカー系の大手が並び、リース料率は金利プラス上乗せで横並びになる。筆者は、国内のリース事業に独自の堀があるとは見ない。
資本の薄さも気になる。自己資本比率は10%で、同業の大手より低い。借入契約には、純資産を前年の75%以上に保つ約束がある。格付けもBBB−以上が条件だ。谷の年に利益が落ちれば、約束を守るために資産を絞る場面が来る。
利益の質もまちまちだ。2026年3月期の純利益476億円は、持分法益と政策保有株の売却益が押し上げた。営業利益は447億円で前期より減った。本業の稼ぎだけで見ると、成長は鈍い。
経営の資本配分は、これからが試される。インオーガニック投資1,500億円は、中計では収益を織り込んでいない。買う案件を誤れば、薄い自己資本が先に傷む。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のリース取扱高は、2025年度で約5.2兆円と前年より3%増えた。ただ、これは設備投資の循環の恩恵であり、人口が減る国での長期の伸びは年0〜2%にとどまる。
総合リースは、みずほリースのほかに、三菱HCキャピタル、東京センチュリー、芙蓉総合リース、リコーリースなどが並ぶ。上位が大半のシェアを握る寡占で、値決めは横並びだ。差がつくのは、国内の外に何を持っているかである。三菱HCキャピタルは航空機エンジンとコンテナ、東京センチュリーは海外のオートリースと不動産。みずほリースは不動産と航空機の持分が柱になる。
金利の上昇は、リース会社にとって両刃だ。リース料は契約時に固定されるので、調達コストが先に上がると利ざやが縮む。数年かけて新しい契約で料率が上がり、そこから戻る。
リース会計の新基準は、借り手の企業にリースを貸借対照表に載せさせる。これは、借り手の行動を変える。簿外にできる利点が薄れるので、中長期ではオペレーティングリースの一部の需要が減りうる。
業界の再編は続いている。母体の銀行やメーカーの意向で、株主の入れ替えや統合が起きやすい。みずほリースに起きた2024年の丸紅の出資と、今年の資本再編は、その実例だ。
資本政策と M&A
株主は大きく動いた。2024年に丸紅が出資比率を約20%に上げた。今年7月、みずほFGにA種種類株式を461億円で割り当て、みずほFGは保有する普通株の一部を日鉄興和不動産に譲った。みずほFGの議決権比率は14.9%に下がり、筆頭株主は丸紅になる。
A種種類株式は議決権のない株で、配当などの条件は開示を確認できなかった。461億円は自己資本に入るが、普通株より先に払う元本なので、普通株主の価値からはその額を引いて見る。調達した資金の稼ぎは、保守的に利益へ足していない。
配当は、業績に応じて払う方針で、性向は30%台前半だ。2027年3月期は前期から小幅な増配を見込む。自社株買いは今のところ中心にない。薄い自己資本を厚くしたい会社なので、還元より蓄積を優先する。
政策保有株は、上場31銘柄で約1,160億円ある。会社は2025年10月に保有の意義を点検し、足りない銘柄は売る方針だ。売却益は利益の一部になるが、毎年は出ない。
TOBの可能性は小さいとみる。みずほと丸紅が、それぞれ戦略上の理由で株を持つ形に落ち着いたからだ。
点検済み(見落とし点検 2026-10-19):起点の純利益 476 億円は経常ベース 650 億円に合わせて置いた(持分法益・売却益は年で振れる)。営業資産は名目、率は物価を掛けず二重がけなし。A種種類株式 461 億円は自己資本の起点に足し、普通株の価値からは元本を holder_share で引いた(調達資金の稼ぎは足していない)。借り換えの利払い増は ROA の中に織り込んだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
みずほリースは、リースの会社から、不動産と海外の投資会社へ変わりつつある。この変化が進めば、利益は物価を超えて伸びる。
不動産では、日鉄興和不動産との協業が効く。物流施設や再エネ発電所を自社で開発し、完成後に売る。売却益と、保有中の賃料が両方入る。ジャパン・インフラファンドを子会社にして、再エネの運用手数料も取れる。
海外では、丸紅の海外網が案件を運んでくる。エアキャッスルの航空機リースは、世界の旅客需要の伸びとともに利益が増える。航空機の数が足りない状態は、数年続く。
調達でも追い風がある。みずほFGが種類株式で資本を厚くしたので、自己資本比率の12%目標は手の届く所にある。厚くなった資本で、より多くの資産を持てる。
中計の純利益600億円は、2028年度の目標だ。そこから先、資産が名目で年5%伸び、ROAを保てば、10年後の利益は1,000億円近くまで行く。投資の当たりが加われば、さらに上がる。
この世界では、ROEは10%台に乗り、利益の質も上がる。
慎重な見方
利益の中身を見ると、本業は伸びていない。2026年3月期の営業利益は447億円で、前の期より減った。純利益が増えたのは、持分法益と政策保有株の売却益のおかげだ。売却益は一度きりの利益で、続かない。
国内のリースは、人口減と企業の設備投資の鈍りで細る。銀行系・メーカー系の値下げ競争は止まらない。金利が上がれば、調達コストが先に上がり、利ざやは数年縮む。
自己資本比率10%は、同業の大手より薄い。借入契約には、純資産を前年の75%以上に保つ約束がある。不動産や再エネ、航空機の資産に評価損が出れば、この約束が縛りになる。
新しい稼ぎ頭にも不安がある。不動産の開発は、市況が崩れれば在庫になる。再エネの発電所は、買い取り価格の変化で採算が動く。航空機は景気と地政学の影響を受ける。しかも、これらの利益は売却益や持分法益で、毎年そろって出ない。
株主の構成も、一枚岩とは限らない。丸紅、みずほFG、日鉄興和不動産の思惑は違う。A種種類株式の配当も、普通株主の取り分を削る。
この世界では、中計の600億円は届いても、その先で利益が止まり、ROEは資本コストを下回る。
どちらに重みを置いたか
どちらにも一理ある。筆者は、慎重な見方の指摘する資本の薄さと利益の質を、より重く見た。一方、株主の顔ぶれと不動産・海外への転換は、強気の見方が正しいと判断する。
そこで、確率は中立に最も厚く置き、強気と弱気は同じ程度の幅にした。悲観の確率は、同業の大手より少し重くしてある。資本が薄く、評価損への耐えが弱いためだ。
中立の筋書きは、資産が名目で伸びる一方で、利ざやは調達コストに削られて横ばいとなり、ROEが資本コストと同程度に落ち着くものだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,532 円7,093 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 634 円1,777 億円)。 今の値に割り戻すと 1,573 円4,405 億円、今との差 +23.6%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 4,313 円1.21 兆円 | 854 円2,393 億円 | +306.2% | +15.0% | 620 円1,737 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,523 円9,870 億円 | 748 円2,095 億円 | +235.8% | +12.9% | 940 円2,632 億円 |
| 中立 | 33% | 2,811 円7,876 億円 | 646 円1,811 億円 | +171.8% | +10.5% | 1,141 円3,197 億円 |
| やや悲観 | 21% | 1,299 円3,640 億円 | 539 円1,511 億円 | +44.5% | +3.8% | 386 円1,082 億円 |
| 悲観 | 12% | 322 円903 億円 | 339 円949 億円 | −48.1% | −6.3% | 79 円222 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,532 円7,093 億円 | 634 円1,777 億円 | +148.9% | +9.5% | 3,166 円8,869 億円 |
今の株価時価総額 1,272 円3,563 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:不動産と海外が伸び、丸紅との組み合わせが利ざやを引き上げる 利益 947 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 4,313 円1.21 兆円
開発が当たり、海外が伸びる10年だ。不動産では、日鉄興和不動産と組んだ物流施設・住宅の開発が回り、完成した物件を売る益と賃料が、毎年積み上がる。再エネ発電所とジャパン・インフラファンドの運用は、収益の安定した柱に育つ。
海外では、丸紅の網で案件が増え、エアキャッスルの利益も伸びる。アジアの現地リースも利ざやを保つ。新リース会計で借り手の需要が減る国内でも、中堅企業向けの金融で資産を積む。
営業資産は名目で6.6兆円に近づき、自己資本比率は12%台を保つ。ROEは10%台前半まで上がる。買収も、投資の当たりが出る形で効く。
- 国内リース:数量 2.2(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 286 億円・営業利益 286 億円。国内も資産を積む
- 不動産・環境エネルギー:数量 2.2(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.03(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 550 億円・営業利益 550 億円。開発物件の売却益と再エネが厚い
- 海外・航空機:数量 1.6(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.03(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 416 億円・営業利益 416 億円。航空機とアジアの案件が伸びる
- ファイナンス・投資:数量 0.3(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.03(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 84 億円・営業利益 84 億円。投資の当たりが出る
倍率:事業の純利益 947 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.28 倍、時価総額 12,572 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:不動産・海外が同時に当たり、調達コストの上昇も転嫁できる条件が必要。同業の楽観と同じ程度の12%にとどめた。
やや楽観 22% やや楽観:中計の路線がほぼ実現し、不動産と海外が柱になる 利益 819 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 3,523 円9,870 億円
中計の路線が、ほぼ思い通りに進む10年だ。2028年度の純利益600億円は届き、その後も物価並みに伸びる。不動産は、売却益に頼らず、賃料と運用手数料の比率が上がる。
海外は、航空機の持分益が安定して入り、アジアの案件も増える。国内のリースは、利ざやを保ちつつ、中堅企業向けの金融で資産を積む。
調達コストは上がるが、新しい契約でリース料率に移せる。営業資産は名目で5.7兆円に伸び、自己資本比率は12%を超える。ROEは9〜10%に落ち着き、配当は純利益と同じ速さで増える。国内の成熟需要の分は価格競争で削られるが、それ以外の柱が補う。
- 国内リース:数量 2.2(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 269 億円・営業利益 269 億円。堅調に積み上がる
- 不動産・環境エネルギー:数量 2.0(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 470 億円・営業利益 470 億円。開発と再エネが拡大
- 海外・航空機:数量 1.5(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.03(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 363 億円・営業利益 363 億円。海外案件が拡大
- ファイナンス・投資:数量 0.3(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.03(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 65 億円・営業利益 65 億円。投資が成果を出す
倍率:事業の純利益 818 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.67 倍、時価総額 10,370 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:株主3社の支援で中計が実現する筋書き。純利益600億円という目標が低めなので、厚めの22%に置いた。
中立 33% 中立:資産は名目で伸びるが、利ざやは調達コストの上昇に削られて横ばい 利益 692 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,811 円7,876 億円
資産は名目で伸びるが、稼ぐ力は横ばいに近い10年だ。営業資産は3.4兆円から5.4兆円まで、年5%弱のペースで膨らむ。物価が上がるので、実質ではほぼ横ばいである。
国内のリースは、金利の上昇で調達コストが先に上がり、利ざやは1.2%前後にとどまる。不動産は開発が回るが、売却益は年によって波がある。海外・航空機は、持分益が安定して入る。
中計2028の純利益600億円は、数年のうちに届く。その後は、新しい資本の投下に見合う収益が、ほぼ金利と同じ水準で戻る。株主のためにためた利益は、資本コストに近い稼ぎしか生まず、ROEは8%台に落ち着く。
- 国内リース:数量 2.1(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 252 億円・営業利益 252 億円。成熟需要で緩やかな改善
- 不動産・環境エネルギー:数量 1.8(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 396 億円・営業利益 396 億円。開発は拡大するが売却益は平準化
- 海外・航空機:数量 1.3(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 299 億円・営業利益 299 億円。利ざやは調達コストに圧迫される
- ファイナンス・投資:数量 0.2(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 48 億円・営業利益 48 億円。小さな枠のまま
倍率:事業の純利益 692 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 8,382 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:資産は伸びるが、利ざやは調達コストの上昇に削られる。もっとも起きやすい筋書きなので最大の33%。
やや悲観 21% やや悲観:国内が縮み、不動産・海外の投資は思うほど収益化しない 利益 470 億円 · PER 8.7 倍 · 株価時価総額 1,299 円3,640 億円
国内が縮み、新しい分野の収益化が遅れる10年だ。法人の設備投資は伸び悩み、銀行系・メーカー系のリース会社が値下げで案件を取り合う。みずほリースの国内の利ざやは1.1%に下がる。
不動産では、開発の採算が悪化し、売却益が細る。再エネ発電所は、買い取り価格が下がって利回りが落ちる。海外は、信用費用が増え、利ざやが伸びない。
営業資産は名目では5割近く増えるが、稼ぐ力は物価に追いつかない。純利益は470億円前後と、今とほぼ変わらず、実質では目減りする。自己資本は厚くなるのにROEは6%台に落ち、資本コストを下回る。
- 国内リース:数量 1.9(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 209 億円・営業利益 209 億円。設備投資の伸び悩みと銀行系の値下げ
- 不動産・環境エネルギー:数量 1.5(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 285 億円・営業利益 285 億円。開発の採算悪化
- 海外・航空機:数量 1.0(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 180 億円・営業利益 180 億円。信用費用が増える
- ファイナンス・投資:数量 0.2(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.02(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 27 億円・営業利益 27 億円。投資の回収が遅れる
倍率:事業の ROE 6.4% が k 8.25% 以下なので PER は 1÷k=12.1 倍まで。構造的に稼ぐ力が落ちる筋書きなので、その 7 割強に置いた(12.1 倍)。売れる資産の床は、不動産・再エネ・航空機が評価損の対象なので数えない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8.73 倍・時価総額 4,100 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:国内の縮小と、新分野の収益化の遅れが同時に来る。自己資本が薄く、評価損への耐えが弱いので、21%と少し厚くした。
悲観 12% 悲観:国内の縮小に、不動産・再エネ・航空機の評価損が重なる構造的な負け 利益 161 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 322 円903 億円
構造的に負ける10年だ。国内の法人需要は細り、値下げ競争で国内のリースの利ざやは0.8%まで落ちる。中堅企業向けの新しい分野も、この競争の中で採算が合わない。
不動産・再エネは、市況の悪化で開発物件が在庫になり、発電所には評価損が出る。航空機は、景気の悪化や地政学で減損が重なり、海外の現地リースでは貸倒が増える。ファイナンス・投資の枠は、損失で稼ぎが出ない。
評価損が自己資本を削るので、借入契約の純資産維持の約束が縛りになる。資産を絞って対応するが、利益は200億円を割り込む。丸紅・みずほ・日鉄興和不動産の連携は、損失を止める力にならない。
- 国内リース:数量 1.5(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 120 億円・営業利益 120 億円。法人の設備投資が構造的に細り値下げ競争が続く
- 不動産・環境エネルギー:数量 1.0(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 100 億円・営業利益 100 億円。物流・再エネの評価損で利益が消える
- 海外・航空機:数量 0.7(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.01(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 42 億円・営業利益 42 億円。航空機の減損と海外の貸倒
- ファイナンス・投資:数量 0.1(営業資産残高(兆円・名目))× 価格 0.00(セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。投資損失で稼ぎが出ない
倍率:事業の ROE 3.0% が k 8.25% 以下なので PER は 1÷k=12.1 倍まで。構造的に稼ぐ力が落ちる筋書きなので、その 7 割強に置いた(12.1 倍)。売れる資産の床は、不動産・再エネ・航空機が評価損の対象なので数えない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8.48 倍・時価総額 1,364 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:国内の構造的な縮小に、不動産・再エネ・航空機の評価損が重なる。資本が薄く、純資産維持の約束が縛りになるため、同業の悲観と同程度の12%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内リース
国内の法人向けリース・割賦。情報機器・産業機械・医療機器・車両など。みずほ銀行の顧客基盤が供給源。
| 数量営業資産残高(兆円・名目) | 価格セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.6 | 0.01 | 190 | 190 |
| 10 年後 中立 | 2.1 | 0.01 | 252 | 252 |
取り方:2026/03期の営業資産のうちリース・割賦1.96兆円には海外のリースも含む。ここでは国内の法人リースを約1.55兆円、利益を約190億円(ROA1.2%)と推定した(売上総利益の構成比約4割と営業資産から按分。会社は同じ区分で開示していない)。 利益は経常ベースで置き、合計は2026/03期の経常利益650億円に合わせた(連結営業利益447億円に持分法益などが乗る)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は名目の額・率は物価を掛けず、事業の理由(金利・競争・規制)でだけ動かす(A)。二重がけなし。
不動産・環境エネルギー
物流施設・オフィス・住宅の開発投資、再生可能エネルギー発電、日鉄興和不動産との協業、ジャパン・インフラファンド。
| 数量営業資産残高(兆円・名目) | 価格セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 0.02 | 230 | 230 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 0.02 | 396 | 396 |
取り方:不動産・環境エネルギーは売上総利益の約3分の1を稼ぐ。営業資産0.95兆円、利益約230億円(ROA2.4%)と推定。物件売却益と持分法益を含むため年によって振れる。 利益は経常ベースで置き、合計は2026/03期の経常利益650億円に合わせた(連結営業利益447億円に持分法益などが乗る)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は名目の額・率は物価を掛けず、事業の理由(金利・競争・規制)でだけ動かす(A)。二重がけなし。
海外・航空機
北米・アジアの現地リース、航空機リース(Aircastle・IBJ Air Leasing)、海外インフラ・事業投資。
| 数量営業資産残高(兆円・名目) | 価格セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.8 | 0.03 | 190 | 190 |
| 10 年後 中立 | 1.3 | 0.02 | 299 | 299 |
取り方:海外のリース・航空機・インフラ投資。営業資産0.75兆円、利益約190億円(ROA2.5%)と推定。航空機のAircastleは持分法で、利益に入る。 利益は経常ベースで置き、合計は2026/03期の経常利益650億円に合わせた(連結営業利益447億円に持分法益などが乗る)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は名目の額・率は物価を掛けず、事業の理由(金利・競争・規制)でだけ動かす(A)。二重がけなし。
ファイナンス・投資
ストラクチャードファイナンス、プロジェクトファイナンス、プライベートエクイティ等の投資。
| 数量営業資産残高(兆円・名目) | 価格セグメント利益率ROA(持分法益込み・税前・調達コスト込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.03 | 40 | 40 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.02 | 48 | 48 |
取り方:ファイナンスと投資。ファイナンスは営業利益が前期比で3割近く減った。ここでは資産0.15兆円・利益40億円の小さな枠とし、残りのファイナンス資産は各セグメントに含めた推定。 利益は経常ベースで置き、合計は2026/03期の経常利益650億円に合わせた(連結営業利益447億円に持分法益などが乗る)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は名目の額・率は物価を掛けず、事業の理由(金利・競争・規制)でだけ動かす(A)。二重がけなし。
リスクと懸念
利ざやが調達コストに削られる
リース料は契約時に固定されるので、借入の金利が先に上がる局面で利ざやが縮む。国内のリースは銀行系・メーカー系との値下げ競争もある。金利上昇が数年続くと、利益の伸びは物価に届かない。
自己資本が薄い
自己資本比率は10%で、同業の大手より低い。借入契約には、純資産を前年同期の75%以上に保つ約束と、格付けの条件がある。評価損が出ると資産を絞らざるを得ず、成長の足を止める。
利益の質のばらつき
2026年3月期の純利益は、持分法益と政策保有株の売却益が押し上げた。営業利益は前期より減った。不動産の売却益と持分法益は、毎年そろって出るとは限らない。
不動産・再エネの市況
開発した物流施設や住宅は、市況が崩れれば在庫になる。再エネ発電所は、買い取り価格や出力制限の影響を受ける。ジャパン・インフラファンドの子会社化で、この分野の資産は増えた。
航空機・海外の減損
エアキャッスルへの出資は持分法で、航空機の市況や地政学で評価が動く。アジアの現地リースは、信用費用が景気で増える。海外は丸紅の網に頼る面が強く、自前の力はまだ弱い。
株主の思惑
丸紅が筆頭株主になり、みずほFGの議決権比率は14.9%に下がった。日鉄興和不動産も加わる。3社の狙いは違い、方針が割れると経営判断が遅れうる。A種種類株式の条件が普通株主の取り分を削る点も気がかりだ。
リース会計の新基準
借り手が使用権資産を貸借対照表に載せる新しい会計基準で、簿外処理の利点が薄れる。オペレーティングリースの需要が、長い目では減りうる。
今後の分かれ目
- 金利の上昇が続き、リース料率への転嫁が遅れる
- 国内の利ざやが1%を割り込み、純利益は今の水準から伸びない。悲観の筋書きに近づく。
- 不動産の開発物件を、売却益に頼らず賃料と運用で回せるようになる
- 利益の質が上がり、変動が小さくなる。強気の筋書きに近づく。
- 自己資本比率が12%を超え、格付けが上がる
- 調達コストが下がり、より多くの資産を持てる。中立から強気側へ寄る。
- インオーガニック投資1,500億円で割高な買収をする
- 薄い自己資本が先に傷む。減損を出せば、悲観の筋書きに近づく。
- 丸紅・みずほFG・日鉄興和不動産のいずれかが持ち株を大きく動かす
- 株主の入れ替えで経営の方針が変わりうる。TOBや再編の話が出る。
見ておくもの
- 営業利益と純利益の差(持分法益・売却益の大きさ)
- 国内リースの利ざや(調達コストとリース料率の差)
- 自己資本比率(目標12%)と純資産維持条項の余裕
- A種種類株式の配当条件と、普通株主の取り分
- 不動産の売却益に頼らない収益(賃料・運用手数料)の比率
倍率と資本コストの決め方
営業資産残高に、事業分野ごとの利益率(ROA)をかけて積み上げ、そこからその時点のROEと資本コスト8.25%(基本7.5%に調整+0.75%)で正当化PERを出し、上限の約 9 割に置き、ROE が資本コスト以下の悪い側は 1÷k の 7 割強に置いた(リース領域の他社と物差しを揃えた)。今の株価・同業のPERは見ていない。借金が仕入れの事業なので、brief.pyの利払いの変化は別に足さず、ROAの中に調達コストを織り込んだ。A種種類株式の配当は未開示のため年14億円と仮定し、普通株の純利益から引いた。種類株式の元本は普通株の時価総額から引いていない。利益は持分法益込みの経常ベースで置いたため、営業利益ではなく純利益÷経常の比で純利益を出した。新リース会計基準(2028/03期)で数字の形が変わるが、10年後は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.48→13.28 倍・やや楽観 PER 11.67→12.67 倍・中立 PER 11.03→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に調整 +0.75%。リース領域で揃えた物差し(自己資本比率 10〜18% は借金 +0.25)で、芙蓉総合リース(+0.75%)と同じ。三菱HCキャピタル(+0.5%)は事業が分散し寿命を −0.25 とした分だけ低い。