結論
NEXYZ.Groupは、中小企業にLED照明や業務用エアコンを初期費用ゼロ・月払いで入れる仕組みを売る会社だ。筆者の結論は「やや割高」である。銀行と信用金庫の紹介で案件は伸びているが、顧客が払えなくなった時の痛みを会社が負う構造は変わっていない。
主力の「ネクシーズZERO」は、機器の選定から工事、月々の支払いの仕組みまでを一括で請け負う。提携する金融機関は171社に増え、紹介の案件が売上の6割近くを占める。2026年9月期の営業利益は22億円と、5期続けて増える見込みだ。
ただ、この会社は2020年と2021年に大きな赤字を出した。コロナで飲食店が払えなくなり、解約と貸倒れが一度に来たからだ。今も解約に備える引当金は30億円近くあり、毎年増えている。
もう1本の柱は、子会社ブランジスタの電子雑誌と広告だ。こちらは広告の制作という、AIに置き換えられやすい仕事を含む。
10年で見ると、紹介の網の広がりで設備の案件は伸びるだろう。それでも、信用の重さと広告の縮みを差し引くと、確率で重みを付けた本質価値は今の時価総額を2割ほど下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は判断が分かれる。地方の金融機関の紹介の網は、手間をかけて作った本物の資産だ。中小企業が設備を入れ替えるたびに、NEXYZに声がかかる仕組みができつつある。
ただ、稼ぎ方には危うさがある。売った時に利益が立ち、顧客が払えなくなった痛みは後から来る。2020年からの2年間で、その痛みは自己資本の大半を消した。今は顧客の業種が分散し、金融機関の紹介で顧客の質も上がったとみられる。それでも、次の不況でどこまで耐えられるかは、まだ試されていない。
資本の使い方も素直ではない。親子上場の子会社を抱え、投資有価証券に資金を寝かせ、還元は配当性向3割にとどまる。
筆者は、事業の伸びは認めつつ、信用の重みと広告の縮みに安全域を求める。今の値段は、紹介の網が伸び続けることをかなり織り込んでいる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの8割は「ネクシーズZERO」だ。中小企業や病院、工場が、LED照明・業務用エアコン・冷蔵庫・キュービクル(工場やビルの高圧の受電設備)などを、初期費用ゼロで入れられる。顧客は月々の定額を払い、NEXYZは機器の仕入れ、工事、保守までを一括で担う。支払いの裏側は信販会社などの金融で、会社はこれを「エンベデッド・ファイナンス」、つまり販売に組み込んだ金融と呼ぶ。2025年9月期の売上は232億円、セグメント利益は17億円だった。
販路の柱は地方の金融機関だ。銀行69行と信用金庫92庫と提携し、取引先の中小企業を紹介してもらう。信金中央金庫との提携で、全国の信金に広がりつつある。紹介の案件は売上の57%を占め、顧客の業種も飲食中心から製造・建設や医療・福祉へと広がった。
収益の仕組みの要は、契約の後に顧客が解約したり払えなくなったりした時の負担だ。会社は解約に備えて30億円近い引当金を積み、自社でリース債権も34億円持つ。売る時に利益が立ち、痛みは後から来る形だ。
残りの2割は、上場子会社ブランジスタのメディアと販促だ。電子雑誌「旅色」に宿や飲食店の広告を載せ、タレントを使った企業のPR支援「アクセルジャパン」を地方銀行と組んで売る。売上は52億円、利益は11億円で、利益の一部は少数株主のものになる。
優良さと弱いところ
優良さで見ると、この会社は「販路は強いが、信用の重みが抜けない」部類に入る。
強みは、地方の金融機関との提携の網だ。銀行や信金は取引先の設備投資を後押ししたいが、機器の選定や工事はできない。NEXYZはそこを一括で引き受け、金融機関は紹介するだけで済む。提携は1年で36社増え、取扱支店は1万を超えた。この網は、他社がすぐにはまねできない。
弱さは2つある。1つは信用だ。中小企業は景気の谷で真っ先に払えなくなる。コロナの時には飲食店の解約と貸倒れで、2期で30億円を超える赤字を出し、自己資本は12億円まで減った。もう1つは、機器そのものに独自性が無いことだ。LEDもエアコンも、量販店や設備会社から買える。値段の差ではなく、手間の少なさで選ばれている。
資本効率は数字の上では高い。ROEは過去10年の中央値で24%だが、自己資本が薄いからでもある。自己資本比率は18%しかなく、厚い引当金と少数株主の持分を除けば、株主の資本は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中小企業の設備の入れ替えには、10年の追い風がある。
1つ目は省エネだ。電気代が上がり、古い蛍光灯やエアコンを替える損得は良くなった。水銀を使う蛍光灯は2027年末で製造と輸出入が止まる。エアコンも省エネの基準が2027年度から厳しくなり、入れ替えの需要が前に出る。
2つ目は人手不足と老朽化だ。工場やビルのキュービクルは寿命の来たものが多く、更新が要る。中小企業は手元の資金が乏しく、初期費用ゼロの仕組みが選ばれやすい。
3つ目は地方の金融機関の変化だ。貸出の利ざやが薄い中で、取引先の設備投資を紹介して手数料を得たい。信金や地銀は、NEXYZのような仕組みを持つ会社と組む動機がある。
逆風は信用と競争だ。月払いの仕組みは、リース会社や信販会社、電力会社や設備商社も手がける。景気の谷では中小企業の倒産が増え、解約と貸倒れが一度に来る。金利の上昇は、月払いの裏の金融の費用を上げる。
広告の側は逆風が強い。電子雑誌の広告とPR支援は、AIによる制作の自動化と、検索から対話のAIへの移行で、値段と量の両方が押される。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2025年9月期は東証の上場20周年の記念を含め年3.9億円を配った。2026年9月期は2.6億円の予定で、配当性向は3割ほどになる。自社株買いは近年していない。
資本の使い道は、ZEROの拡大と、投資有価証券への出資だ。持っている株の値上がりで投資有価証券は58億円まで膨らみ、2026年9月期には20億円の売却益を出した。ただ、どこまで売り、何に使うかの数字は示していない。
上場子会社のブランジスタは、親子上場の形が続く。子会社の利益の一部は少数株主のものになり、親会社の株主には全部は届かない。東証が親子上場の見直しを求める中、完全子会社化か売却かの判断がいずれ要る。創業者が経営を率いており、会社が買われる側になる可能性は低い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
紹介の網は、まだ広がる途中だ。全国の信用金庫は254庫あり、提携はまだ92庫にとどまる。銀行も98行のうち69行だ。信金中央金庫との提携で、全国の信金に一気に広がる道が開けた。金融機関の紹介の案件は1年で3割増え、売上の6割近くを占めるようになった。紹介の顧客は金融機関が素性を知っているので、払えなくなる心配も小さい。
需要も厚い。蛍光灯の製造は2027年末で止まり、エアコンの省エネの基準も厳しくなる。工場のキュービクルは更新の時期を迎え、1件の金額も大きい。中小企業は手元の資金が乏しく、初期費用ゼロの仕組みが選ばれる。
コロナの時の赤字は、飲食店に偏った顧客の構成のせいだった。今は製造・建設や医療・福祉が増え、飲食は13%まで下がった。営業利益は5期続けて増え、2026年9月期は22億円になる。紹介の網が全国に広がれば、利益は10年で倍を超えうる。
投資有価証券の値上がりも見逃せない。2026年9月期には20億円の売却益を出し、手元の資金は厚くなった。
慎重な見方
この会社は、売る時に利益を立て、痛みを後から受け取る。顧客が途中で解約したり払えなくなったりした時の負担は、会社に戻ってくる。解約に備える引当金は1年で7億円増え、30億円近い。2020年と2021年には、コロナで飲食店が払えなくなり、2期で30億円を超える赤字を出して自己資本は12億円まで減った。顧客の業種が広がっても、次の不況では中小企業全体が苦しくなる。
機器に独自性は無い。LEDもエアコンも、リース会社や電力会社、設備商社が同じように月払いで売る。金融機関も、紹介先を1社に絞る理由は無い。金利が上がれば、月払いの裏の金融の費用も上がる。
広告の側は縮む。電子雑誌とPR支援は、AIが広告の文章や画像を作る時代に、値段と量の両方が押される。親子上場の子会社の利益は少数株主にも分けられる。還元は配当性向3割で、資金は投資有価証券に寝ている。
顧客が分散したと言っても、景気の谷はどの業種にも来る。紹介の顧客の質が本当に高いかは、次の不況まで確かめられない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方にも理がある。紹介の網は本物で、省エネと更新の需要も厚い。中立では設備の件数を10年で4割増やした。ただ、信用の重みは過去に会社を傾けた実績があり、広告の縮みも避けにくい。やや悲観と悲観に3割半ばの重みを置き、楽観は1割とした。解約調整引当金の伸びが売上の伸びを下回り続けるか、景気の谷で損失を1年分の利益に収められるかが、確率を動かす分かれ目になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,267 円165 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 250 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 727 円95 億円、今との差 −3.0%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,986 円388 億円 | 401 円52 億円 | +352.2% | +16.3% | 339 円44 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,003 円261 億円 | 314 円41 億円 | +209.4% | +12.0% | 463 円60 億円 |
| 中立 | 35% | 1,464 円190 億円 | 266 円35 億円 | +130.9% | +8.7% | 605 円79 億円 |
| やや悲観 | 22% | 200 円26 億円 | 200 円26 億円 | −46.6% | −6.1% | 88 円11 億円 |
| 悲観 | 13% | 92 円12 億円 | 77 円10 億円 | −77.4% | −13.8% | 22 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,267 円165 億円 | 250 円33 億円 | +102.6% | +7.3% | 1,517 円197 億円 |
今の株価時価総額 749 円97 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 全国の信金が売り場になる 利益 25 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 2,986 円388 億円
信金中央金庫との提携をてこに、全国の信用金庫の大半と地方銀行の多くが「ネクシーズZERO」の紹介に加わる。中小企業の設備の入れ替えの窓口として定着し、導入の件数は10年で6割増える。キュービクルや空調など1件の金額の大きい設備が増え、単価も物価を少し上回る。
金融機関が素性を知る顧客が中心になり、景気の谷でも解約と貸倒れは小さく済む。設備の部門の利益率は過去の最高に近づく。
ブランジスタはAIを自社の制作に取り込み、地方銀行と組んだPR支援で数量の縮みを小さくする。利益は今の3倍近くになり、配当も増える。
- エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO):数量 12,500(導入の件数(件・年、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 525 億円・営業利益 45 億円。件数 1.62 倍・単価 1.39 倍・利益率 8.5%
- メディア・プロモーション(ブランジスタ):数量 2,200(広告・PR の契約社数(社・年、推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年間売上(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 9 億円。社数 0.85 倍・単価 1.06 倍・利益率 20%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 15.17 倍、時価総額 388 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:提携が全国の信金と地銀に広がり、景気の谷でも貸倒れが小さく済む筋書き。信用の試練を無傷で越える必要があり、確度は低い。
やや楽観 20% 紹介の網が広がり、谷も小さい 利益 18 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 2,003 円261 億円
提携する金融機関は10年で倍近くになり、導入の件数は5割増える。蛍光灯の製造の終わりとエアコンの省エネの基準が、前半の需要を押し上げる。後半は工場の受電設備や空調の更新が支える。
景気の谷は一度来るが、顧客の業種が分散し、金融機関の紹介の顧客が多いので、損失は利益の1年分ほどで済む。設備の部門の利益率は7%台半ばを保つ。
ブランジスタの広告は縮むが、PR支援で一部を補う。親子上場はそのまま続き、子会社の利益の一部は少数株主に流れる。配当は利益とともに増える。
解約調整引当金の伸びは売上の伸びの範囲に収まり、信用の質が上がったことが数字で確かめられる。
- エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO):数量 11,500(導入の件数(件・年、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 472 億円・営業利益 35 億円。件数 1.49 倍・単価 1.36 倍・利益率 7.5%
- メディア・プロモーション(ブランジスタ):数量 1,950(広告・PR の契約社数(社・年、推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年間売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 7 億円。社数 0.75 倍・単価 1.03 倍・利益率 17%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 14.39 倍、時価総額 260 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:提携の網が広がり、景気の谷での損失も過去より小さい筋書き。直近5年の伸びの延長に近い。
中立 35% 設備は4割増え、広告は縮む 利益 14 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 1,464 円190 億円
提携の網は広がるが、伸びは次第に落ち着く。金融機関も複数の会社に紹介を分け、リース会社や電力会社も同じ月払いの仕組みで競う。導入の件数は10年で4割増え、単価は物価並みに上がる。
景気の谷では解約と貸倒れが増え、引当金の積み増しが利益を削る年がある。均してみれば、設備の部門の利益率は今と同じ7%前後だ。本社の費用は物価とともに増える。
ブランジスタの電子雑誌と広告の制作は、AIによる自動化で値段も量も押され、売上は3分の2ほどに縮む。会社全体の利益は名目で今の1.4倍ほどになるが、物価を除けばほぼ横ばいだ。配当性向は3割のままだ。
- エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO):数量 10,800(導入の件数(件・年、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 437 億円・営業利益 31 億円。件数 1.40 倍・単価 1.34 倍・利益率 7%
- メディア・プロモーション(ブランジスタ):数量 1,700(広告・PR の契約社数(社・年、推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年間売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 5 億円。社数 0.65 倍・単価 1.0 倍(AI 代替で物価なし)・利益率 15%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 13.66 倍、時価総額 190 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:紹介の網の広がりで設備の件数は4割増えるが、利益率は今の水準で、広告は AI に押されて縮む筋書き。
やや悲観 22% 競争と景気の谷で利益が細る 利益 3 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 200 円26 億円
リース会社や電力会社、設備商社が、同じ初期費用ゼロの仕組みを金融機関に売り込む。金融機関は紹介先を複数に分け、NEXYZの取り分は細る。導入の件数は10年で1割ほどしか増えない。
景気の谷で中小企業の倒産が増え、解約と貸倒れの引当金が大きく積み増される。設備の部門の利益率は5%に下がる。金利の上昇で月払いの裏の金融の費用も上がり、顧客の負担を上げられない。
ブランジスタの広告は半分に縮み、利益もわずかになる。配当は年2億円台を守るが、利益は今の3分の1に細る。投資有価証券の売却で谷を埋めることになる。
- エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO):数量 8,500(導入の件数(件・年、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 323 億円・営業利益 16 億円。件数 1.10 倍・単価 1.26 倍・利益率 5%
- メディア・プロモーション(ブランジスタ):数量 1,300(広告・PR の契約社数(社・年、推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年間売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。社数 0.5 倍・単価 0.95 倍・利益率 8%
倍率:ROE は 4% 前後で k を大きく下回る。価値はこの筋書きの稼ぐ力(純利益 2.6 億÷k≒29 億)まで。上限 1÷k の 7.6 割の 8.5 倍に置き、余った資産は谷で食う分を見て 0.75 倍。
確率:月払いの競争が激しくなり、景気の谷で解約と貸倒れが重なる筋書き。中小企業向けの信用の重さから2割強とした。
悲観 13% 不況で解約が噴き、2020年が再来 利益 −16 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 92 円12 億円
深い不況が来て、中小企業の倒産と解約が一度に増える。顧客の業種は分散したが、景気の谷はどの業種にも来る。解約と貸倒れの引当金は大きく積み増され、設備の部門は赤字になる。
金融機関は紹介を控え、信販会社も審査を厳しくする。導入の件数は10年で2割減る。ブランジスタの広告はAIに置き換えられ、利益はほぼ消える。
本社の費用を賄えず、会社は数年の赤字を出す。2020年と同じく自己資本は大きく削られる。配当は止まる。株主に残るのは、投資有価証券の売却の値打ちと、わずかな純現金だけだ。子会社の株も、少数株主と分け合う。
- エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO):数量 6,500(導入の件数(件・年、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 234 億円・営業利益 −2 億円。件数 0.84 倍・単価 1.19 倍・赤字
- メディア・プロモーション(ブランジスタ):数量 1,000(広告・PR の契約社数(社・年、推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年間売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。社数 0.38 倍・単価 0.9 倍・損益ゼロ
倍率:赤字の筋書きなので PBR で置き、今の親会社の株主の自己資本 43.3 億に掛けた。稼ぐ力の床は無く、床は売れる資産の約 13 億。時価総額 12 億で PBR 0.28 倍。
確率:深い不況で中小企業の解約と貸倒れが一度に来る構造的な負け。2020年に一度起きたので1割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エンベデッド・ファイナンス(ネクシーズZERO)
LED・業務用エアコン・冷蔵庫・キュービクルなどを、初期費用ゼロ・月払いで中小企業に入れる。機器の仕入れ・工事・保守と、支払いの仕組みを一括で担う。
| 数量導入の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 7,700 | 0.03 | 232 | 17 |
| 10 年後 中立 | 10,800 | 0.04 | 437 | 31 |
取り方:件数の開示は無いので推定。売上 232.3 億を、1 件あたり平均 302 万円(LED の小口からキュービクルの大口までを均した値)で割り、年 7,700 件とした。物価 3% は単価に入れ、件数は実質。
メディア・プロモーション(ブランジスタ)
上場子会社ブランジスタの電子雑誌「旅色」の広告、タレントを使った企業 PR 支援「アクセルジャパン」、EC の支援など。
| 数量広告・PR の契約社数(社・年、推定) | 価格1 社あたりの年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 2,600 | 0.02 | 52 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,700 | 0.02 | 34 | 5 |
取り方:契約社数の開示は無いので推定。売上 51.7 億を、1 社あたり年 199 万円で割り、2,600 社とした。広告の制作・運用は AI エージェント代替の型(PROMPT_AI_RISK)で、中立の数量は 10 年 0.65 倍、単価は物価で上げない。
リスクと懸念
解約と貸倒れ
売る時に利益が立ち、顧客が途中で解約したり払えなくなったりした時の負担は後から会社に戻る。解約に備える引当金は30億円近く、1年で7億円増えた。2020年と2021年には、この痛みで2期30億円超の赤字を出した。
月払いの仕組みの競争
リース会社、信販会社、電力会社、設備商社も、初期費用ゼロの月払いで設備を売る。金融機関が紹介先を複数に分ければ、件数の伸びは鈍る。機器そのものに独自性は無い。
AIエージェント代替(広告)
ブランジスタの電子雑誌の広告と制作、PR支援は、AIが文章や画像を作り、検索が対話のAIに移る中で、値段と量の両方が押される。利益の4割近くを占める部分が縮む恐れがある。
金利の上昇
月払いの裏の金融は信販会社が担うが、金利が上がればその費用は上がる。顧客の月額に載せられなければ、NEXYZの取り分が削られる。自社のリース債権の調達の費用も上がる。
親子上場と資本の使い方
上場子会社ブランジスタの利益の一部は少数株主のものになる。投資有価証券に資金が寝ており、還元は配当性向3割にとどまる。完全子会社化に資金を使えば、還元はさらに細る。
需要の先食い
蛍光灯の製造の終わりとエアコンの基準の強化で、2027年前後に入れ替えの需要が集まる。その後は需要が落ちる谷が来うる。
今後の分かれ目
- 解約調整引当金が売上の伸びより速く増え続ける
- 信用の質が落ちていると見て、やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 提携する信用金庫が150庫を超え、紹介の案件が売上の7割を超える
- 紹介の網が全国の売り場になったと見て、やや楽観の確率を上げる。
- 景気の谷で解約と貸倒れの損失が営業利益の1年分以内に収まる
- 信用の重みが軽くなったと見て、k の循環の分を下げる。
- ブランジスタを完全子会社化するか売却する
- 親子上場の取り分の漏れが無くなる。値段次第で価値を足すか引くかを判断する。
- 投資有価証券の売却代金を自社株買いに回す
- 眠っていた資産が株主に戻ると見て、戻り方を上げる。
見ておくもの
- 解約調整引当金と貸倒引当金の残高
- 提携金融機関の数と紹介の案件の構成比
- エンベデッド・ファイナンスのセグメント利益率
- ブランジスタの売上と利益
- 投資有価証券の残高と売却の使い道
倍率と資本コストの決め方
設備は導入の件数(推定)× 1 件の単価、広告は契約社数(推定)× 1 社の単価で積み、物価 3% は単価に入れた。広告は AI エージェント代替の型で数量 0.65 倍・単価は物価なし。k は 7.5% に quality +1.5% で 9.0%。純利益は子会社の少数株主の取り分を引いた親会社の株主の分。中立の PER は正当化 PER の 9 割。余った資産は投資有価証券の一部だけを戻り方 0.5 で足し、解約調整引当金と少数株主の分の現金は数えない。今の PER・PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.1→15.17 倍・やや楽観 PER 11.4→14.39 倍・中立 PER 10.8→13.66 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質の調整+1.5%を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.50%。