結論
Jトラストは、不動産ローンの保証で稼ぐ日本、貯蓄銀行を持つ韓国、インドネシアとカンボジアの銀行を柱にした金融グループである。筆者の結論は「割高」だ。利益は戻ってきたが、まだ資本コストに届く稼ぐ力ではないと見る。
利益の主役は日本保証である。アパートローンなど不動産ローンの保証で、2025年12月期は全社の営業利益の7割近くを稼いだ。韓国の2つの貯蓄銀行は貸し倒れの山を越え、黒字が戻ってきた。
足を引くのは東南アジアだ。インドネシアの銀行は規制と景気後退の影響を受け、2026年12月期は赤字予想である。カンボジアの銀行が下支えするが、収益のぶれが大きい。国ごとに規制も通貨も違う事業を寄せ集めた形で、まとまった強みは見えにくい。
自己資本比率は12%と薄い。2015年から2020年には、アジア投資の損失で純利益の赤字が続いた。資本政策の失敗の記憶は軽くない。筆者は資本コストを 9.0% と置き、堀(他社が簡単にまねできない強み)は弱いと判断した。
そのうえで10年後の中立の時価総額は1,200億円前後。今の時価総額とほぼ同じ水準だが、10年ぶんの割引と還元の少なさを考えると、今の値段は先の成功を前払いしている。強気の筋書きでも今の値段を大きくは上回らない。結論は「やや割高」止まりだが、筆者は安全域がないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点でいちばん引っかかるのは、事業の「わかりやすさ」である。日本の保証は理解しやすい。だが韓国とインドネシアの銀行は、現地の規制、通貨、貸し倒れの波を外から読むのが難しい。事業を理解できない部分が、利益の半分近くを占める。
オーナー利益(株主が持ち出せる利益)で見ると、足元の純利益は80億円前後だ。このうち日本の保証が稼ぐ分は質が高いが、残りは貸し倒れ次第で消える。
経営者の資本配分は、これまで合格点とは言いにくい。アジアの銀行を買って損失を出した歴史がある。最近は不採算を切り離し、日本と韓国の黒字を伸ばしている。この方向は評価するが、変化の実績はまだ数年だ。
安全域は薄い。自己資本は時価総額の1.6倍あるが、銀行の自己資本は預金者のお金に裏打ちされた帳簿であり、そのまま持ち出せない。筆者は、帳簿が厚いことを理由に割安とは見ない。稼ぐ力が資本コストを上回るまで待つのが、安全な持ち方だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は5本ある。最大の利益源は日本の金融事業だ。日本保証が、銀行などが貸す不動産ローンに保証をつけて保証料を受け取る。パルティール債権回収が不良債権を買って回収し、JTG証券とNexus Cardが周辺を支える。保証残高は2026年3月末で3,000億円に達した。2025年12月には楽天銀行と、投資用不動産ローンの包括保証契約を結んだ。
韓国ではJT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行が、預金を集めて個人と企業に貸す。貸出残高は2行で4,400億円前後だ。かつて損失を出したが、2025年12月期は営業利益が24億円と、前年の2倍以上に戻った。
東南アジアは、インドネシアのJトラスト銀行インドネシア(BJI)とカンボジアのJトラストロイヤル銀行が柱になる。営業収益は458億円と、日本の2倍以上の売上があるのに、利益は10億円しかない。インドネシアの多目的ファイナンス会社は株式を譲渡し、連結から外れる予定だ。
このほか不動産事業は、販売用不動産の売買に加え、家賃保証や不動産クラウドファンディングに乗り出した。投資事業は利益が年ごとに大きくぶれる。
株主は、創業者の藤澤信義氏とその関係先(NLHD・ジャパンポケット)で約39%を持つ。支配株主がいる会社だ。
優良さと弱いところ
日本保証の保証事業は、この会社でいちばん質が高い。独自の不動産担保の審査力が堀になり、銀行は自前で審査を作るより外に出したほうが安上がりだ。融資期間が長いため、残高が急に落ちにくい。ただし、不動産市況の悪化で代位弁済(保証した融資の肩代わり)が増える循環の影響は受ける。
韓国の貯蓄銀行は、地場の大手銀行やネット銀行と競う。規模が小さく、資本が薄いため、貸出を増やすには資本の積み増しが要る。不良債権の比率は3〜4%台と、まだ高い。
インドネシアとカンボジアは、新興国の銀行である。利ざやは厚いが、貸し倒れも大きく、規制と景気の波を受けやすい。BJIは資本規制のため、貸出を伸ばすには増資が必要だ。
いちばん気にしているのは資本の使い方だ。過去にアジアの銀行を買い、のれんを何度も減損してきた。自己資本比率が12%と薄いなか、増資で株が増えた時期もある。2025年12月期のROEは4.9%にとどまる。資本効率はまだ回復の途中と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
領域は「消費者金融」に近いが、中身は3つの市場の寄せ集めだ。
日本では、不動産ローンの保証市場が主戦場になる。地方銀行は低金利のもとで収益源を探し、収益不動産ローンを増やしてきた。保証会社の出番が広がったが、金利が上がれば不動産投資の需要が冷える。貸付残高が伸びる局面と、代位弁済が増える局面が、数年ごとに入れ替わる。
韓国の貯蓄銀行は、不動産PF(開発向け融資)の不良化を経て、監督当局が貸出の質を厳しく見る時期にある。業界全体の貸出が伸びにくく、資本の厚い大手が有利だ。
インドネシアは、人口の厚い市場で預金も貸出も伸びる一方、政策金利の上昇で調達コストが上がり、平均貸出金利は下がっている。これが利ざやを圧迫する。カンボジアは小さな市場だが、金利が高く、利益は黒字を保つ。
日本の消費者金融の大手のように、規制が一本化された市場ではない。それぞれの国で別の競争と規制に向き合うため、業界の追い風を寄せ合わせても、まとまった優位にはなりにくい。
景気の山と谷の入れ替わりは、貸し倒れの増減としてどの国でも利益に現れる。10年で見れば、貸出の伸びより、貸し倒れをどこまで抑えるかが利益を決める。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。方針は累進配当で、配当性向30%以上をめざす。2025年12月期は記念配当を含めて増配し、性向は27.9%だった。自社株買いは大きくない。
資本の使い道は、BJIの増資が最大の論点になる。貸出を伸ばすには資本が要り、増資が成長の条件になっている。日本で稼いだ利益を東南アジアの資本に回す構図で、これが過去の損失の再来にならないかが最大の注目点だ。
再編は整理の方向に動いている。韓国のJ Trust Credit NBFIの全株式を譲渡し、モンゴル事業は連結から外れた。インドネシアのJTOも譲渡する。小さな不採算事業を切り離す動きは評価できる。
支配株主の藤澤氏と関係先で約39%を持つため、TOBによる完全子会社化は出にくい。一方、創業者の意向が資本政策を左右する面はある。3ヶ年計画(2027年12月期までに営業利益174億円)は、保守的な水準と見られている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
日本の保証事業は、まだ伸びる。保証残高は2026年3月末で3,000億円に達し、楽天銀行との包括提携で都市部の投資家向けローンの入り口が広がった。預かり資産という新しい柱も育っている。地方銀行は収益源を探し続けており、保証会社に出す需要は消えない。日本だけで営業利益は90億円を超える見通しで、全社の利益の土台になる。
韓国は貸し倒れの山を越えた。貸出は底を打ち、黒字で資本が増えれば、貸出を増やせる。営業利益は2026年12月期に38億円まで戻る計画で、計画は例年保守的だ。インドネシアでは増資で貸出が増え、カンボジアのロイヤル銀行は19億円の営業利益を稼ぐ。不採算の事業は、売却で整理が進む。
10年で、日本が150億円、韓国が100億円、東南アジアが80億円の営業利益を稼ぐ姿は荒唐無稽ではない。ROEが9%台に戻れば、今の時価総額は割安に変わる。
貸し倒れのコストが落ち着けば、利益の弾みはどの国でも大きい。損失を出し続けた事業の整理は、すでに実績として進んでいる。
慎重な見方
利益の質が低い。この会社は2015年3月期から2020年12月期まで、赤字が続いた。アジアの銀行に投じた資金を、何度も減損で失っている。2025年12月期の利益も、東南アジアは前年から3割減った。2026年12月期の東南アジアは赤字予想である。
インドネシアは、規制強化と景気後退で貸し倒れの引当が重い。政策金利の上昇で調達コストも増え、平均の貸出金利は下がっている。BJIが貸出を伸ばすには増資が要るが、その資金が失われれば、日本の利益がまた消える。
日本の保証は不動産市況に左右される。金利が上がれば、収益不動産の需要が冷え、代位弁済が増える。韓国も、不動産PFの不良化が再燃すれば、資本の薄い貯蓄銀行は耐えられない。自己資本比率は12%しかなく、損失の吸収力が小さい。
支配株主がいる会社では、少数株主の利益が後回しになりやすい。ROE4.9%の会社に、今の値段は払い込みすぎである。
事業を整理したあとの利益が、資本コストを上回る水準まで戻ると示した年は、まだ一度もない。利益の戻りが続くと決めつけるのは早い。
どちらに重みを置いたか
日本の保証事業は評価できるが、全社の価値を決めるのは、資本の薄い海外の銀行である。過去の損失の実績が重く、悲観側の筋書きにやや確率を寄せた。日本と韓国の改善は、確かな変化として楽観側にも一定の確率を残している。それでも中立の稼ぐ力は資本コストに届かず、10年の加重平均は今の時価総額を3割ほど下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,124 円1,493 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 254 円337 億円)。 今の値に割り戻すと 640 円850 億円、今との差 −17.5%、 期待の年率 +5.9%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,275 円3,022 億円 | 452 円600 億円 | +251.8% | +13.4% | 245 円326 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,706 円2,266 億円 | 339 円450 億円 | +163.8% | +10.2% | 409 円543 億円 |
| 中立 | 34% | 1,246 円1,655 億円 | 263 円350 億円 | +94.8% | +6.9% | 513 円682 億円 |
| やや悲観 | 24% | 445 円591 億円 | 192 円255 億円 | −17.8% | −1.9% | 153 円203 億円 |
| 悲観 | 13% | 365 円485 億円 | 75 円100 億円 | −43.1% | −5.5% | 57 円76 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,124 円1,493 億円 | 254 円337 億円 | +77.8% | +5.9% | 1,378 円1,830 億円 |
今の株価時価総額 775 円1,030 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 9% 日本の保証と韓国・東南アジアの銀行が揃って育つ 利益 266 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 2,275 円3,022 億円
日本保証は楽天銀行など大手の提携が広がり、保証残高は今の1.6倍に伸びる。預かり資産も柱になり、日本の営業利益は180億円台に届く。韓国は貸出が回復し、貯蓄銀行の黒字が定着する。インドネシアは増資で貸出が増え、貸し倒れも落ち着き、カンボジアと並ぶ柱になる。不採算の事業は整理が済み、アジア投資の損失の時代は終わる。配当は累進で増え、自己資本比率も上がる。ROEは9%台後半に戻り、資本を預けられる会社として評価が変わる、最良の10年である。海外の売却や縮小に動く必要がなく、増資も最小限で済む。資本コストを上回る利益が数年続けて出せたとき、株主還元の余地も広がる。
- 日本金融事業(保証・債権回収・証券):数量 4,800(保証残高(億円、今の物価で測った実質))× 価格 0.09(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 442 億円・営業利益 186 億円。提携が広がり保証残高は1.6倍、貸し倒れは低位
- 韓国金融事業(貯蓄銀行2行):数量 6,500(貸出残高(億円、実質、円換算))× 価格 0.14(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 878 億円・営業利益 105 億円。貸出が増加に転じ、不良債権比率も低下
- 東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア):数量 6,000(貸付残高(億円、実質、円換算、推定))× 価格 0.17(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 990 億円・営業利益 79 億円。増資で貸出が拡大し、引当が落ち着く
- 不動産事業:数量 900(取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定))× 価格 0.31(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む))→ 売上 279 億円・営業利益 20 億円。家賃保証など新しい収益が加わる
倍率:事業の純利益 266 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.36 倍、時価総額 3,022 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日本の保証拡大、韓国の貸出回復、インドネシアの増資成功が10年のあいだにすべてそろう必要がある。過去の損失の実績から、確率は低く置く。
やや楽観 20% 日本が柱、韓国が戻り、東南アジアはほどほど 利益 204 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,706 円2,266 億円
日本保証は保証残高が1.4倍に伸び、日本の営業利益は150億円台になる。韓国は貸出が緩やかに回復し、営業利益は80億円台で安定する。東南アジアは、インドネシアの引当が落ち着いてカンボジアの利益と合わせて黒字を保つが、成長は限られる。不動産は小さな黒字を続ける。配当性向は30%台前半で、累進で増える。海外の銀行が足を引く構図は弱まるが消えない。優良会社と呼べる水準までは届かないが、資本コストにやや届く、安心して持てる会社になる。3ヶ年計画の最終年度の目標に近い水準で、利益の質もやや高まる。海外の損失の穴を日本の利益で埋め続ける形からは、抜け出せる。
- 日本金融事業(保証・債権回収・証券):数量 4,400(保証残高(億円、今の物価で測った実質))× 価格 0.09(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 389 億円・営業利益 156 億円。提携拡大で保証残高は1.4倍
- 韓国金融事業(貯蓄銀行2行):数量 5,900(貸出残高(億円、実質、円換算))× 価格 0.13(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 773 億円・営業利益 85 億円。貸出が緩やかに回復、不良債権は低下
- 東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア):数量 5,200(貸付残高(億円、実質、円換算、推定))× 価格 0.16(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 842 億円・営業利益 51 億円。増資で貸出は増えるが利ざやは薄い
- 不動産事業:数量 850(取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定))× 価格 0.31(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む))→ 売上 259 億円・営業利益 16 億円。小さな黒字を維持
倍率:事業の純利益 204 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 2,266 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:3ヶ年計画の達成に近い姿で、2026年12月期の計画と上期の進捗が示す方向の延長である。会社計画が例年保守的な点も加味して、やや厚めに置く。
中立 34% 中立:日本が利益を伸ばし、海外の銀行は低収益のまま続く 利益 149 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,246 円1,655 億円
日本保証の残高は人口減と不動産市況の波を受けながらも、地方銀行との提携で1.3倍ほどに伸びる。日本の営業利益は120億円台になる。韓国の貸出は2割ほど増え、営業利益は60億円台で定着する。東南アジアは、インドネシアの利ざや縮小が続き、利益率は低いままだ。不動産は小さな黒字を保つ。創業者の影響が強い会社で、配当性向は30%前後を保ち、自社株買いは大きくない。特別な超過利益は生まれず、日本の保証事業を中心にした、収益力の低い金融グループとして続く10年になる。政策や市況が大きく動かない前提で、今の事業の延長線を素直に10年伸ばした姿になる。派手な成功も大きな失敗もなく、時間だけが過ぎる。
- 日本金融事業(保証・債権回収・証券):数量 3,900(保証残高(億円、今の物価で測った実質))× 価格 0.09(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 332 億円・営業利益 126 億円。保証残高は1.3倍、利益率は貸し倒れの正常化でやや低下
- 韓国金融事業(貯蓄銀行2行):数量 5,200(貸出残高(億円、実質、円換算))× 価格 0.13(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 666 億円・営業利益 63 億円。貸出は2割増、競争で利回りはやや低下
- 東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア):数量 4,300(貸付残高(億円、実質、円換算、推定))× 価格 0.16(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 679 億円・営業利益 31 億円。貸出は増えるが利ざやは薄く低収益のまま
- 不動産事業:数量 800(取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定))× 価格 0.30(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む))→ 売上 240 億円・営業利益 13 億円。小さな黒字を維持
倍率:事業の純利益 149 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 1,655 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日本の保証は伸び、韓国は黒字が定着するが、東南アジアは低収益が続く。会社計画の延長と、過去の損失の実績を併せた落としどころである。
やや悲観 24% 海外の銀行の損失が利益を食い続ける 利益 80 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 445 円591 億円
インドネシアでは規制と景気後退が続き、貸し倒れの引当が重い。BJIは増資でも貸出を伸ばせず、利益率はゼロ近くに落ちる。韓国は不動産の不良債権が残り、貸出はほぼ横ばいで、営業利益は30億円台にとどまる。日本は不動産市況の悪化で代位弁済が増え、保証残高の伸びも止まる。配当は性向を守るが利益が小さく、額は伸びない。海外の銀行が利益を食い、日本の保証だけが稼ぐ構図が固定される10年になる。日本の利益が堅いために全社は黒字を保つが、成長の期待は薄れる。資本を厚くする余力も乏しく、増資の可能性が残る。
韓国の貯蓄銀行も、監督当局の目が厳しい中で、貸出を増やせないまま10年を過ごす。
- 日本金融事業(保証・債権回収・証券):数量 3,400(保証残高(億円、今の物価で測った実質))× 価格 0.08(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 279 億円・営業利益 92 億円。代位弁済が増え、保証残高の伸びも鈍る
- 韓国金融事業(貯蓄銀行2行):数量 4,600(貸出残高(億円、実質、円換算))× 価格 0.12(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 552 億円・営業利益 33 億円。不良債権が残り貸出は横ばい
- 東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア):数量 3,600(貸付残高(億円、実質、円換算、推定))× 価格 0.14(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 504 億円・営業利益 10 億円。引当が重く利益は小さい
- 不動産事業:数量 700(取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定))× 価格 0.28(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む))→ 売上 196 億円・営業利益 8 億円。市況悪化で利益は小さい
倍率:事業の ROE 3.6% が k 9.00% 以下なので PER の上限は 1÷k の 11.1 倍。稼ぐ力が資本コストに届かない筋書き。上限の約 67% の 7.4 倍に置く。
確率:インドネシアが2026年12月期に赤字予想である点、韓国の不良債権比率がまだ高い点、過去の損失の実績を踏まえ、中立の次に厚く置く。
悲観 13% 海外の銀行で再び大きな損失、構造的に優良さを失う 利益 −20 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 365 円485 億円
インドネシアの規制強化と景気後退が重なり、BJIは増資を食いつぶして赤字が続く。韓国の貯蓄銀行も不動産の不良化が再燃し、資本が薄いために貸出を縮めるしかない。日本の保証だけは黒字を保つが、不動産市況の悪化で伸びは止まる。のれんと資産の減損で自己資本は薄くなり、配当は大きく減らされる。海外の銀行は売却か縮小に追い込まれ、日本の保証と債権回収が残る小さな会社になる。かつての積極展開は失敗に終わる筋書きである。日本の保証事業が残る分、会社の存続は揺らがない。ただし自己資本の薄さが、損失の吸収を難しくし、株主の取り分は小さくなる。
- 日本金融事業(保証・債権回収・証券):数量 2,900(保証残高(億円、今の物価で測った実質))× 価格 0.08(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 218 億円・営業利益 54 億円。不動産市況の悪化で保証残高は伸びず、代位弁済が増える
- 韓国金融事業(貯蓄銀行2行):数量 3,500(貸出残高(億円、実質、円換算))× 価格 0.11(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 368 億円・営業利益 −7 億円。不動産の不良債権が再燃し貸出を縮小
- 東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア):数量 2,500(貸付残高(億円、実質、円換算、推定))× 価格 0.12(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目))→ 売上 300 億円・営業利益 −24 億円。規制強化と景気後退で引当が重く赤字が続く
- 不動産事業:数量 600(取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定))× 価格 0.25(実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む))→ 売上 150 億円・営業利益 0 億円。市況悪化で利益はゼロ
倍率:稼ぐ力はゼロ近くなので、売れる資産で値段を測る。床は今の自己資本1,618億円に0.3倍。海外の銀行は清算に近い値でしか売れないと見る。
確率:2015年から2020年にかけて赤字が続いた実績があり、同じ型の損失が再び起きる確率として、一割強を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
日本金融事業(保証・債権回収・証券)
日本保証が銀行の不動産ローンに保証をつけて保証料を得る。パルティール債権回収の債権回収、JTG証券、Nexus Cardも含む。
| 数量保証残高(億円、今の物価で測った実質) | 価格実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,900 | 0.07 | 190 | 79 |
| 10 年後 中立 | 3,900 | 0.09 | 332 | 126 |
取り方:保証残高は2026年3月末の3,000億円から逆算して2025年12月末を約2,900億円と置いた。営業収益190億円(債権回収・証券を含む)を残高で割った収益率。営業利益はセグメント利益。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
韓国金融事業(貯蓄銀行2行)
JT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行が預金を集め、個人と企業に貸す。韓国の債権回収業は事業譲渡で整理済み。
| 数量貸出残高(億円、実質、円換算) | 価格実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,400 | 0.10 | 435 | 24 |
| 10 年後 中立 | 5,200 | 0.13 | 666 | 63 |
取り方:2025年9月末の貸出残高(2行計4,482億円)と2026年6月末(同4,479億円)から2025年12月末を約4,400億円と置いた。営業収益435億円を割った収益率。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
東南アジア金融事業(インドネシア・カンボジア)
インドネシアのJトラスト銀行インドネシア、カンボジアのJトラストロイヤル銀行が柱。インドネシアの多目的ファイナンスは譲渡予定。
| 数量貸付残高(億円、実質、円換算、推定) | 価格実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,600 | 0.13 | 458 | 10 |
| 10 年後 中立 | 4,300 | 0.16 | 679 | 31 |
取り方:貸付残高の開示は見つからず推定。営業収益458億円に対し、貸付残高を3,600億円(収益率13%前後)と置いた。インドネシアの銀行・カンボジアの銀行・消費者金融の混合で、精度は低い。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
不動産事業
販売用不動産の売買、賃貸、家賃保証、不動産クラウドファンディング。
| 数量取扱不動産の資産残高(億円、実質、推定) | 価格実質残高1億円あたりの年間営業収益(億円、名目、回転を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 0.22 | 157 | 6 |
| 10 年後 中立 | 800 | 0.30 | 240 | 13 |
取り方:資産残高の開示は確認できず推定で700億円と置いた。営業収益157億円を割った回転込みの収益率。販売益はぶれが大きい。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
リスクと懸念
海外の銀行での損失の再発
2015年から2020年にかけて、アジアの銀行の損失で純利益の赤字が続いた。インドネシアは2026年12月期も赤字予想で、BJIの増資が貸し倒れで失われれば、日本の利益がまた消える。
薄い自己資本
自己資本比率は12%しかなく、損失の吸収力が小さい。過去20年に増資で株が増えた期もあり、貸出を伸ばすための資本の積み増しが、また希薄化を招く可能性がある。
不動産市況と金利
日本保証は不動産ローンの保証が主力で、金利が上がって不動産の需要が冷えれば、保証残高の伸びが止まり、代位弁済が増える。韓国も不動産PFの不良化が再燃すれば、貯蓄銀行の資本が痛む。
新興国の規制と通貨
インドネシアは政策金利の上昇で調達コストが増え、平均の貸出金利は下がっている。規制の強化が続けば、貸出を伸ばしにくい。カンボジアも、利益の大半を1つの銀行に頼る。
支配株主と資本配分
創業者の藤澤信義氏と関係先が約39%を持ち、資本政策は創業者の意向に左右されやすい。少数株主の利益が、海外の買収や増資で後回しになる恐れがある。
利益のぶれと一過性
投資事業や不動産の販売益は年ごとに大きくぶれる。2025年12月期の営業利益の増加には、前年の損失が減った効果が含まれ、足元の水準がそのまま続くとは限らない。
今後の分かれ目
- インドネシアのBJIが黒字を保ち、不良債権比率が下がり始めたら
- 東南アジアの利益率を上げ、楽観側の確率を上げてよい。ただし増資の規模と貸し倒れの動きを併せて確認する。
- BJIがさらなる増資を発表したら
- 日本の利益が海外の損失補填に使われる構図が続くとみて、悲観側の確率を上げる。
- 日本保証の保証残高が3,500億円を超えて伸び続けたら
- 日本の利益の見通しを上方修正し、中立の利益率も見直す。
- 韓国の貯蓄銀行の不良債権比率が3%を割り込み、貸出が増加に転じたら
- 韓国の営業利益が計画に近づくとみて、やや楽観側の確率を上げる。
- 不動産市況が崩れ、代位弁済が目立って増えたら
- 日本の利益率が下がるので、やや悲観の筋書きに重みを移す。
- 創業者側が持ち株を動かしたり、完全子会社化の動きが出たら
- 買収プレミアムの思惑で株価は動きうるが、本質価値は変わらない。確率配分を急に変えない。
見ておくもの
- 日本保証の保証残高と代位弁済の動き
- BJIの貸出残高・不良債権比率・増資の有無
- 韓国2行の貸出残高と不良債権比率
- インドネシアの政策金利と銀行規制の動向
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額(約1,006億円)やPERを見てから筋書きを作ってはいない。まずセグメントごとに残高×収益率で10年の営業利益を積み、資本コスト9.0%(基本7.5%に循環・値決め・寿命の調整+1.5%)と堀の弱さから倍率を決めた。ROEがkに届かない筋書きは、ためた利益は額面の価値に届かないので、PERは1÷k=11.1倍以下にした。悲観は今の自己資本に0.3倍とした。東南アジアの残高と不動産の資産残高は推定で、精度は低い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.65→11.36 倍・やや楽観 PER 8.66→11.11 倍・中立 PER 8.02→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。