結論
イントラストは、賃貸住宅の家賃を保証する会社だ。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正、というものだ。割安とも割高とも言い切れない、というのが正直なところだ。
稼ぐ力は高い。2026年3月期の営業利益は28億円で、5年前の2倍を超える。ROEは21.5%、借金はなく、自己資本比率は63%。配当は10期続けて増え、配当性向は6割を目指す。医療・介護の費用保証が新しい柱として育ちつつある。
弱みは取引先の偏りだ。大和リビングの管理物件に関する保証が、連結売上の6割強を占める。条件が変われば、利益は直接削られる。市場は成熟し、料率も下がりやすい。
10年の中立は、家賃の保有契約が約64万件、営業利益が約47億円、ROEは17.5%。強気の見方は、取引先が広がり医療・介護が育つ姿だ。慎重な見方は、大口を失い料率が崩れる姿である。確率を重ねた価値は、時価総額の6%下だった。配当性向を高めに保つ姿勢は、株主にとって安心材料になる。
バリュー投資の観点から
事業は分かりやすい。家賃が払われなければ代わりに払い、あとで取り立てる。保証料を先に受け取るため、資本が軽く、ROEが高く出る。
良い点は三つある。第一に、借金がなく、自己資本比率が63%と厚い。第二に、更新保証料が毎年積み上がり、収入の見通しが立ちやすい。第三に、配当を増やし続ける経営だ。
気になる点も三つある。第一に、取引先の偏りだ。連結売上の6割強が一つの取引先に由来する。第二に、値決めの力が弱く、料率は下がりやすい。第三に、貸倒れが景気で動く。直近の好成績は、貸倒れの低さに支えられた面がある。
筆者は、この会社を「資本が軽く、増配に前向きだが、一つの取引先に命運を預けた会社」と見る。持ち続けたいかは、取引先の偏りがどこまで解けるかにかかる。医療・介護の保証が第二の柱に育てば、見方は変わる。
安全域は、今の値段にはほとんどない。確率を重ねた価値は、時価総額と同じ水準にある。大きな割安は見えない。
何で稼ぐ会社か
イントラストは、賃貸住宅の家賃を保証する会社だ。入居者が家賃を払えなくなったとき、代わりに家主へ払う。これを代位弁済といい、あとで入居者から取り立てる。
2026年3月期の売上は123億円。うち保証事業が110億円で9割を占める。中身は、家賃債務保証のほか、介護費用保証、医療費用保証、養育費保証だ。ほかにソリューション事業が9億円、2026年1月に買収したIT会社のキャロルシステムが3億円ある。
家賃保証の保有契約は48万9千件。収入は、契約時の初回保証料と、更新のたびに入る更新保証料が柱だ。契約が積み上がるほど、更新料が毎年入る。
成長中の分野が、医療費用保証と介護費用保証だ。患者が払えない医療費や、入居者の介護費用の未払いを保証する。2025年9月期の上期は、医療が約2.4倍、介護が約2.5倍に伸びた。契約の医療機関は239、介護事業者は115だった。
営業は、管理会社や不動産会社との提携で広げる。いちばん大きいのは大和リビングで、その管理物件の保証が連結売上の62%を占める。地方銀行向けに「地銀モデル」も提供し、現在4行が参入した。
費用の中心は、代位弁済で回収できない分の引当と、人件費だ。営業利益率は22.5%、従業員は連結で308名、臨時を含めて約400名。
優良さと弱いところ
堀は、審査と回収の力、そして提携先の網にある。ただ、広い堀ではない。
強みは、厳しい審査で滞納を抑え、回収率を高く保つことだ。会社の説明では、回収率は安定して推移している。具体的な数字は開示が乏しいが、貸倒引当金を積みつつも、営業利益率は20%台を保ってきた。2016年の上場後、営業利益は5億円から28億円へ伸びた。
値決めの力は弱い。家賃保証に許認可は要らず、参入は自由だ。保証料の相場は競争で下がりやすく、大口の管理会社は複数の保証会社から選べる。
最大の弱みは、取引先の偏りだ。大和リビングの管理物件に関する保証が、連結売上の62%を占める。提携の関係は長いが、条件の見直しや切り替えが起きれば、利益に直接響く。
資本効率は高い。ROEは2026年3月期で21.5%、過去10年の中央値は19.8%だった。借金はなく、自己資本比率は63%。保証料を先に受け取る仕組みで、資本が軽い。
経営は、株主還元に前向きだ。配当は10期連続で増え、配当性向は2027年3月期に6割を目指す。一方、親会社のプレステージ・インターナショナルが56.8%を持つ親子上場で、少数株主の立場は強くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家賃保証は成熟した市場だ。賃貸の契約で保証会社を使うのは、すでに標準に近い。
国土交通省の資料では、賃貸契約の約97%が保証を求め、約6割が保証会社を使っていた(2014年度の調査)。民間の資料は、2023年に9割を超えたとする。調査の方法が違い、比べにくい。市場の大きさは取れなかった。筆者の粗い推定では、保証付きの賃貸契約は900万〜1,300万件で、イントラストの保有48.9万件はそのうち4〜5%に当たる。根拠は弱い。
需要の伸びは、賃貸住宅の戸数ではなく、単身の高齢者や外国人の入居が増えることから出る。ただ会社自身も、賃貸住宅の戸数が10年ほどで頭打ちになりうると見ている。新規契約は増えにくく、更新の積み上げが収入を支える。
競争は三つある。全保連やジェイリースなどの独立系、カード会社や信販系、そして地方銀行などの保証だ。イントラストは、地方銀行と組む「地銀モデル」で、競合になりうる相手をパートナーにする道を選んだ。
新しい領域が、医療・介護の費用保証だ。日本の病院は8,000を超え、会社は1〜2割の開拓を目指す。医療費の未払いは病院の悩みで、需要は確かにある。ただ、導入に時間がかかり、立ち上がりは緩やかだ。
数量は、家賃の保有契約件数と、医療・介護の契約施設数で置いた。1件あたりの売上は、物価で1.34倍になるところ、競争で1.2倍にとどまるとした。
資本政策と M&A
還元は厚くなる方向だ。配当は10期連続で増え、2026年3月期の配当性向は48.7%だった。中期計画は40〜60%で、2027年3月期は60%を計画する。自社株買いの方針は確認できなかった。
現金は72億円で、借金はない。自己資本比率は63%と厚い。ただ、負債の約47億円には前受けの保証料や引当金が含まれ、現金の全部が自由なわけではない。
買収は小粒だ。2023年にプレミアライフ、2024年にラクーンレント(のちに吸収)、2026年1月にキャロルシステムを買った。ITの買収は、保証事業から離れた分野で、うまくいくかは見えていない。
親会社のプレステージ・インターナショナルが、議決権の56.8%を持つ。上場子会社として、少数株主の利益が親会社の都合と食い違うおそれがある。kabufuの推計では、10年以内の買収や公開買付けの確率は18%だ。価格が事業の価値を映すかは、そのときに確かめる必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、新しい分野と配当の厚さに目を向ける。
2026年3月期の営業利益は27.7億円で、前期から19%増えた。売上は16%増え、過去最高を更新した。2027年3月期の計画は、売上142億円、営業利益30億円だ。ROEは23.2%と高い。
成長の先頭が、医療と介護の費用保証だ。2025年9月期の上期は、医療が約2.4倍、介護が約2.5倍に伸びた。医療機関は8,000超あり、会社が目標とする1〜2割は、今の239から数倍にあたる。契約の継続率は約95%と高い。
家賃保証では、地方銀行が競合ではなくパートナーになる「地銀モデル」を始めた。4行が参入し、今期は2行が加わった。ここが広がれば、大和リビング以外の経路が育つ。
還元も厚い。配当性向は2027年3月期に60%を計画し、配当は11期連続で増える予定だ。
10年後、家賃の保有契約が76万件、医療・介護が3倍強、営業利益が75億円に届けば、ROE21%の高収益が続く。この筋書きの確率を6%とした。
慎重な見方
慎重な見方は、取引先の偏りと、成熟した市場を突く。
大和リビングの管理物件に関する保証が、連結売上の62%を占める。この関係は2014年からの提携に基づくが、条件の見直しや、保証会社の使い分けが起きれば、利益は直接削られる。大口の管理会社には、価格を交渉する力がある。
家賃保証は、保証会社を付けるのが標準で、新規契約の自然な伸びは小さい。会社自身も、賃貸住宅の戸数が10年ほどで頭打ちになりうると書く。保証の許認可は要らず、料率は競争で下がりやすい。
直近の好成績には、貸倒れの低さが効いた。不況になれば代位弁済は増え、回収率は下がる。貸倒引当金は33億円と、立替金60億円の半分を超える。回収の難しい債権が多いことをうかがわせる。
医療・介護は伸びているが、売上の規模はまだ小さい。収益への寄与は、見かけの伸び率ほど大きくない。買収したITサービスは、本業から遠い。
最後に、56.8%を持つ親会社の存在だ。少数株主の利益と食い違うおそれがあり、株価には買収の期待が混じりうる。
どちらに重みを置いたか
結論は、今の値段はほぼ適正、というものだ。確率を重ねた価値は約241億円で、時価総額257億円の6%下にあたり、適正の範囲に入る。
分かれ目は、取引先の偏りがどう動くかだ。大口を保ちつつ、医療・介護と地銀モデルが育てば、高いROEが10年続く。大口の条件が悪化すれば、利益は今の4割以下まで落ちる。
強気の言い分は、成長分野の勢いと増配で、慎重な見方は偏りと料率だ。どちらも根拠が強く、確率は中立の37%に集め、慎重側の筋書きに合計40%を置いた。10年の中立は、営業利益47億円、ROE17.5%で、足元より落ち着いた姿だ。
見るべき点は三つ。大和リビング向けの売上比率、医療・介護の保証の売上、そして貸倒れと回収の数字である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,768 円396 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 586 円131 億円)。 今の値に割り戻すと 1,171 円262 億円、今との差 +2.3%、 期待の年率 +7.5%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,592 円804 億円 | 822 円184 億円 | +285.6% | +14.4% | 265 円59 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,836 円634 億円 | 742 円166 億円 | +212.4% | +12.1% | 608 円136 億円 |
| 中立 | 37% | 2,146 円480 億円 | 653 円146 億円 | +144.4% | +9.3% | 1,036 円232 億円 |
| やや悲観 | 26% | 948 円212 億円 | 505 円113 億円 | +26.9% | +2.4% | 378 円85 億円 |
| 悲観 | 14% | 212 円47 億円 | 268 円60 億円 | −58.1% | −8.3% | 67 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,768 円396 億円 | 586 円131 億円 | +105.6% | +7.5% | 2,354 円527 億円 |
今の株価時価総額 1,145 円256 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 大和リビング以外にも広がり、医療・介護の保証が育つ 利益 49 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 3,592 円804 億円
地方銀行向けの「地銀モデル」が全国に広がり、大和リビング以外の管理会社からの契約が増える。家賃の保有契約は76万件と、今の1.55倍になる。
医療費用保証は、全国8,000超の病院のうち2割に届き、介護も導入が進む。この領域は件数が3倍強に増え、保証事業の第二の柱になる。買収で取り込んだITサービスも伸びる。
営業利益は約75億円、純利益は約49億円。ROEは21.4%と、過去の中央値に近い高さを保つ。配当性向は5割台半ばで、ためる利益は買収にも回る。
料率は競争で削られるが、件数の伸びと新分野の厚みがそれを上回る。大口の取引先との関係も保たれ、偏りは薄まっていく。
- 家賃債務保証:数量 75.9(保有契約件数(万件))× 価格 24,192(1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため))→ 売上 184 億円・営業利益 45 億円。保有契約75.9万件、1件あたり売上は今の1.30倍、利益率24.5%
- 医療・介護・養育費の費用保証:数量 1,485(契約施設数(医療機関+介護事業者。推定))× 価格 0.06(1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目))→ 売上 86 億円・営業利益 22 億円。契約施設1485、1施設あたり581万円、利益率26%
- ソリューション・ITサービス:数量 2.4(売上の規模の指数(今を1))× 価格 16(売上(億円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 8 億円。売上指数2.4、利益率20%
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍。全体の PER 16.27 倍、時価総額 804 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家賃保証は大和リビング向けの比重が高く、他の管理会社や地方銀行への広がりは道半ばだ。それが進み、医療・介護も計画を上回る姿は、うまくいった場合の上限に近い。6%とした。
やや楽観 17% 家賃保証の網が少しずつ広がり、医療・介護が上乗せされる 利益 40 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 2,836 円634 億円
家賃の保有契約は69万件に増える。更新のたびに入る保証料が積み上がり、新規契約の伸びが鈍っても収入は崩れない。
医療・介護は件数が2.6倍になり、利益の約1/4を稼ぐ。傷害保険付きの商品や、病院向けの導入が広がる。ITとソリューションも緩やかに伸びる。
営業利益は約60億円、純利益は約40億円。自己資本は約201億円で、ROEは19.8%。貸倒れは平時の水準に収まり、配当性向は6割に近い。
料率は物価ほどは上がらないが、件数の積み上がりがそれを補う。大口の取引先との関係は保たれ、偏りは少しずつ薄まる。
- 家賃債務保証:数量 69.5(保有契約件数(万件))× 価格 23,261(1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため))→ 売上 162 億円・営業利益 38 億円。保有契約69.5万件、1件あたり売上は今の1.25倍、利益率23.5%
- 医療・介護・養育費の費用保証:数量 1,170(契約施設数(医療機関+介護事業者。推定))× 価格 0.06(1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目))→ 売上 67 億円・営業利益 17 億円。契約施設1170、1施設あたり576万円、利益率24%
- ソリューション・ITサービス:数量 2.0(売上の規模の指数(今を1))× 価格 16(売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 6 億円。売上指数2.0、利益率18%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍。全体の PER 15.94 倍、時価総額 634 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近は売上が毎年1〜2割伸びており、医療・介護の保証は倍以上の伸びを続けている。この勢いが半分ほどに落ちて続く姿は、十分ありうる。17%とした。
中立 37% 件数は3割増え、保証料は物価に届かず、ROEは17%台 利益 31 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 2,146 円480 億円
家賃の保有契約は64万件と、今の1.3倍になる。賃貸住宅の戸数は頭打ちに近く、伸びの源は更新の積み上げと、地方銀行などの新しい経路だ。
1件あたりの売上は1.2倍にとどまる。初回の保証料は家賃に連動して上がるが、更新料は定額が多く、競争で料率も削られる。物価の1.34倍には届かない。
医療・介護は件数が2倍になり、ITとソリューションは買収の通年分で段差が付く。営業利益は約47億円と、今の1.7倍。営業利益率は21%で、過去の山の28%を下回る。
純利益は約31億円。配当性向を6割に保つため、自己資本は約178億円にとどまり、ROEは17.5%。
- 家賃債務保証:数量 63.6(保有契約件数(万件))× 価格 22,331(1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため))→ 売上 142 億円・営業利益 31 億円。保有契約63.6万件、1件あたり売上は今の1.20倍、利益率22.0%
- 医療・介護・養育費の費用保証:数量 900(契約施設数(医療機関+介護事業者。推定))× 価格 0.06(1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目))→ 売上 51 億円・営業利益 12 億円。契約施設900、1施設あたり563万円、利益率23%
- ソリューション・ITサービス:数量 1.7(売上の規模の指数(今を1))× 価格 15(売上(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 4 億円。売上指数1.7、利益率15%
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.39 倍、時価総額 480 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:賃貸の保証は普及しきっているが、医療・介護など新しい分野が足していく。大口の取引先を失わず、料率が少しずつ削られる姿を中立とした。37%とした。
やや悲観 26% 料率が崩れ、取引先の見直しも入って利益は横ばい 利益 20 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 948 円212 億円
保険会社やカード会社、地方銀行系の保証が広がり、料率が下がる。1件あたりの売上は1.1倍にとどまる。家賃の保有契約は55万件で、伸びは鈍い。
大口の管理会社が、保証会社の使い分けや手数料の引き下げを求める。医療・介護は伸びるが、導入に時間がかかり、利益への寄与は小さい。
営業利益は約30億円と、今とほぼ同じ。物価が1.34倍になるので、実質では細る。純利益は約20億円、ROEは12.9%。取引先は保たれるが、料率を物価に合わせて上げられない。
借金のない財務は崩れず、配当も払われる。ただ、利益が伸びない分、増配は止まり、成長株としての見方は失われる。
- 家賃債務保証:数量 54.8(保有契約件数(万件))× 価格 20,470(1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため))→ 売上 112 億円・営業利益 21 億円。保有契約54.8万件、1件あたり売上は今の1.10倍、利益率19.0%
- 医療・介護・養育費の費用保証:数量 675(契約施設数(医療機関+介護事業者。推定))× 価格 0.05(1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目))→ 売上 35 億円・営業利益 7 億円。契約施設675、1施設あたり520万円、利益率19%
- ソリューション・ITサービス:数量 1.3(売上の規模の指数(今を1))× 価格 14(売上(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。売上指数1.3、利益率10%
倍率:事業のROEは12.9%で資本コストを上回るが、今より低い。RONICは約11%で式の上限は約13.9倍。利益が横ばいで成長が乏しいので、上限の75%の10.5倍とした。
確率:参入の壁が低い事業で、料率の競争は続く。大口の取引先が条件の見直しを求める可能性も加わる。名目の利益が10年ほぼ横ばいになる姿として、26%とした。
悲観 14% 大口の取引先を失い、料率が崩れて利益が細る 利益 7 億円 · PER 7.3 倍 · 株価時価総額 212 円47 億円
大口の取引先が、保証の手数料を大幅に引き下げるか、別の保証会社に切り替える。家賃の保有契約は44万件に減り、1件あたりの売上も下がる。
同時に、競合の参入で料率が崩れ、景気の悪化で代位弁済が増える。回収率が下がると、貸倒引当が利益を食う。医療・介護は軌道に乗らず、買収したITも低迷する。
営業利益は約8億円、純利益は約7億円と、今の4割以下に落ちる。配当性向は5割に下げざるをえず、ROEは4.6%。借金はなく倒れはしないが、稼ぐ力は大きく損なわれる。
現金は残るが、事業の縮小に使うほかなく、株主への還元も細る。親会社が完全子会社化を選ぶ場合も、価格は低い水準に落ち着く。
- 家賃債務保証:数量 44.1(保有契約件数(万件))× 価格 17,679(1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため))→ 売上 78 億円・営業利益 7 億円。保有契約44.0万件、1件あたり売上は今の0.95倍、利益率9.0%
- 医療・介護・養育費の費用保証:数量 450(契約施設数(医療機関+介護事業者。推定))× 価格 0.04(1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。契約施設450、1施設あたり433万円、利益率5%
- ソリューション・ITサービス:数量 1.0(売上の規模の指数(今を1))× 価格 12(売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。売上指数1.0、利益率3%
倍率:事業のROEは4.6%で資本コスト8.5%を大きく下回る。上限は1÷k=約11.8倍。利益が今の4割以下に落ち、大口依存も解けないので、上限の約6割の7.3倍とした。
確率:売上の6割強が大和リビングの管理物件に由来する。取引条件の変更や内製化は起こりうる。料率の崩れと貸倒れの増加が重なる構造的な負けとして、14%とした。この集中の理由を、k の上乗せでは重ねて数えていない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家賃債務保証
賃貸住宅の家賃を保証し、滞納時に家主へ立て替える。初回保証料と、更新のたびに入る更新保証料が収入。
| 数量保有契約件数(万件) | 価格1件あたり年間売上(円。物価なら10年で1.34倍が基準。中立は1.2倍:更新料は定額が多く、競争で料率も下がるため) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 48.9 | 18,609 | 91 | 21 |
| 10 年後 中立 | 63.6 | 22,331 | 142 | 31 |
取り方:保有契約48万9,399件は開示。保証事業110.5億円のうち家賃の売上は内訳が未開示のため、91.1億円と推定(医療・介護・養育費を19.5億円と置いた残り)。1件あたり約1.9万円は推定を件数で割った値。利益は営業利益27.7億円の配分の推定で、利益率22.5%。数量は件数、価格は名目(二重がけなし)。
医療・介護・養育費の費用保証
医療費の未払い、介護費用の未払い、養育費の不払いを保証する。成長中の新しい分野。
| 数量契約施設数(医療機関+介護事業者。推定) | 価格1施設あたり年間売上(億円。養育費の売上を分母に混ぜた推定。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 450 | 0.04 | 20 | 5 |
| 10 年後 中立 | 900 | 0.06 | 51 | 12 |
取り方:売上は開示がなく、保証事業110.5億円から家賃を除いた推定19.5億円(約18%)。契約施設は2025年9月期上期で医療239・介護115。そこから年末の増加を足し450と推定。利益率25%は推定。数量は施設数、価格は名目。
ソリューション・ITサービス
ソリューション事業(SMS、保険取次など)と、2026年1月に子会社化したITサービス(キャロルシステム)。
| 数量売上の規模の指数(今を1) | 価格売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 12 | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1.7 | 15 | 26 | 4 |
取り方:ソリューション9.1億円とITサービス3.2億円(第4四半期のみ)の合計12.3億円。ITは2027年3月期に通期で12.2億円の計画のため、10年の数量にこの段差を含めた。利益は推定。
リスクと懸念
大口の取引先への偏り
大和リビングの管理物件に関する保証が、連結売上の61.9%を占める。条件の見直しや保証会社の使い分けが起これば、売上と利益が直接減る。提携は2014年から続くが、契約の期間や更新の条件は確認できなかった。
料率の下落と競争
家賃保証に許認可は要らず、参入は自由だ。保険会社、カード会社、地方銀行系の保証が入り、料率は競争で下がりやすい。更新保証料は定額が多く、物価に連動しない。1件あたりの売上が、物価に届かない形で細る。
貸倒れの循環
代位弁済は景気の悪化で増える。貸倒引当金は33億円、保証履行引当金は9億円あり、回収率は安定とされるが、数字は開示が乏しい。不況で回収が遅れれば、引当が利益を食う。
賃貸住宅市場の頭打ち
会社自身が、賃貸住宅の戸数が10年ほどで頭打ちになりうると書く。新規契約の伸びは細り、更新の積み上げと新分野に頼ることになる。
親子上場と買収
親会社のプレステージ・インターナショナルが議決権の56.8%を持つ。少数株主の利益が親会社の都合と食い違うおそれがある。公開買付けになる場合、価格が事業の価値を映すとは限らない。
新分野と買収の実行
医療・介護の保証は成長中だが、売上の規模はまだ小さい。ITサービスのキャロルシステムの買収は、保証事業から離れた分野で、うまく統合できるかは見えない。風評リスクも、督促を伴う事業の常として残る。
今後の分かれ目
- 大和リビング向けの保証の売上比率が、5割を下回った
- 取引先の偏りが解けてきた合図だ。強気の確率を上げ、悲観の確率を下げる。
- 大和リビング向けの保証で、料率の引き下げか取引の縮小が発表された
- 売上の6割強に響く。悲観の確率を引き上げ、価値の前提を見直す。
- 代位弁済の増加で、貸倒引当金が売上の3割を超えた
- 回収率が下がり始めた合図だ。営業利益率の前提を下げ、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 医療・介護の保証が、売上の2割を超えた
- 第二の柱が育った証拠だ。強気の確率を上げる。
- 親会社が完全子会社化のための公開買付けを発表した
- 価格が付く可能性がある。ただし、価格が10年の稼ぐ力を映しているかを確かめる。
- 配当性向が6割を超えて続き、自社株買いも始まった
- 資本の使い方がさらに改善する合図だ。ROEが高く保たれ、中立の根拠が強まる。
見ておくもの
- 大和リビング向け保証の売上比率
- 家賃の保有契約件数と、更新保証料の伸び
- 貸倒引当金・保証履行引当金の推移と、回収率
- 医療・介護・養育費の保証の売上と契約施設数
- 地銀モデルに参加する銀行の数
- 配当性向と自社株買いの方針
倍率と資本コストの決め方
起点は2026年3月期の実績(売上123億円、営業利益27.7億円)で、時価からは出発していない。会社の2027年3月期予想(営業利益30億円)は、中期計画の最終年度なので、10年の筋書きの出発点としては参考にとどめた。
倍率は式から決めた。資本コストは8.5%(基本7.5%+quality1.0%)。中立のROEは17.5%で、堀が普通(残る割合1/2)として式の上限は約15倍。中立はその84%に置き、慎重側ほど割り引いた。他社や過去の倍率は、判断に使っていない。
家賃・医療介護・ソリューションの売上内訳と利益は、開示がなく推定である(notes/7191.md)。家賃の保有契約48.9万件は開示、1件あたりの売上は推定を件数で割った値。医療・介護の契約施設数450は、239(2025年9月期上期)と115から積んだ推定。
中立の営業利益率は21%と、過去の山28%より低い。新リース会計基準の影響は小さい(事務所の賃借のみ)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.6→16.27 倍・やや楽観 PER 14→15.94 倍・中立 PER 12.9→15.39 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality1.0%を足した。親会社との関係や取引先の偏りなど個別の事情は、k に足さず、筋書きと確率で表した。