結論
フィンテック グローバルは、後継者のいない中小企業を、地域の金融機関と組んで買い、育てて売る会社だ。筆者の結論は、今の値段は事業の価値をやや上回る、というものだ。
稼ぐ力は確かに伸びた。2025年9月期の営業利益は34億円で、3年前の13億円の2.6倍だ。ただ、2026年9月期の純利益予想46億円は、ムーミン事業の連結除外の益と低い税金を含む。繰り返せる実力は、営業利益で37億円、純利益で24億円ほどだ。
強みは、事業承継という尽きにくい需要と、軽い資産だ。後継者不在率は50.1%で、7年続けて下がってもなお半数が決まっていない。ファンドを組み、手数料と売却益を得る形は、大きな資本を要しない。一方、利益は案件の売却時期で大きく振れる。2016年から2020年は5年続けて赤字だった。
10年後の中立は、売上が約210億円、営業利益が約68億円、ROEは13.5%。強気の筋書きは事業承継の組成額が1.7倍に伸びる姿、弱気は税制と売却市場の変化で組成が細る姿だ。確率を重ねた価値は、今の時価総額を1割半ほど下回る。
バリュー投資の観点から
事業の質と、資本の使い方を分けて見る。
事業の質は、軽い資産で稼ぐ点がよい。人は220名ほどで、営業利益率が20%を超える。事業承継という需要は、10年後も尽きにくい。
弱点は、利益の読みにくさだ。売上は案件の完了時期で決まり、四半期ごとに大きく動く。過去10年のROEの中央値がマイナスなのは、事業が一度壊れた証拠である。直近3年の好調を、そのまま続くとは置けない。2026年9月期の純利益46億円は一過性を含み、繰り返せる実力は24億円ほどだ。
資本の使い方は、改善している。赤字のムーミン事業を外し、自社株買いも始めた。一方で、航空機や販売用不動産を自己資金で持つ事業は、資本を食う。
安全域は、あまり大きくない。自己資本は約148億円で、時価総額の半分弱にあたる。ただ、中身は現金と、売りにくい不動産、航空機、貸付けだ。弱気の筋書きでは、売れる資産の価値は約47億円と見る。筆者が見たいのは、利益が税制と市場の変化に耐える姿が、数字に出ることだ。
何で稼ぐ会社か
フィンテック グローバルは持株会社で、稼ぎの中心は投資銀行事業だ。2025年9月期の売上144億円のうち、投資銀行が116億円、公共コンサルが5億円、ムーミン事業を含むエンタメが29億円だった。ムーミン事業は2026年3月に連結から外れ、今は投資銀行と公共コンサルの二本立てになった。
投資銀行の柱は四つある。一つ目は事業承継PE。後継者のいない会社を、地域金融機関と組んだファンドで買い、経営を支え、数年後に売る。2020年からの累計の組成額は1,300億円で、2025年9月期は521億円だった。二つ目は業務受託で、ファンドや案件の運営と助言を請け負い、安定した手数料になる。三つ目は資産の仲介と運用だ。トラックを使うオペレーティングリースの出資金や、不動産の小口化商品を売り、預り資産は1,754億円に達した。四つ目が航空で、航空機を買って貸す、または貸付け付きで売る。
稼ぎ方は、手数料と売却益だ。ファンドを組めば組成の手数料が入り、会社を売れば成功報酬と投資の売却益が入る。利益は案件がいつ終わるかで大きく動く。2025年9月期の売上総利益では、PE投資が35億円、業務受託が32億円、航空が15億円だった。
費用の中心は人件費だ。連結の従業員は約220名と少ない。売上総利益の4分の3が、事業承継PEと業務受託から出る形である。
優良さと弱いところ
堀は、地域金融機関との関係と、案件を見つける網にある。ただ、広くはない。
事業承継の買い手は多く、独立系のファンドも仲介大手も案件を探す。この会社の差は、地域の金融機関と組んだファンドで、案件を地元から継続して受ける点だ。会社は「地域プロジェクトファンド」の形で広げたいとしている。ただ、この関係は契約より人の信頼に頼る部分が大きい。
もう一つの強みは、軽い資産で手数料と成功報酬を取れる点だ。2025年9月期のROEは19.5%、営業利益率は24%に達した。人は220名ほどで足りる。
弱点は三つある。第一に、利益の振れだ。過去10年のROEの中央値はマイナス4.6%で、2016年から2020年は5年続けて赤字だった。第二に、税の仕組みに乗った商品が、制度の変更で止まる。令和8年度の税制改正大綱を受け、会社は不動産小口化商品の新規組成を見合わせた。第三に、経営者への依存だ。社長の玉井氏は、共同保有者を含めて10%ほどを持つ。
経営は攻めの姿勢が強い。2025年9月期には、新規の事業に絡む貸付けで、4.9億円の貸倒損失を出した。一方で、赤字だったムーミン事業を2026年3月に外した。資本を食う事業を切る判断は、数字に出ている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要は、後継者難が決める。帝国データバンクの2025年調査で、後継者不在率は50.1%だった。7年続けて下がったが、半数はまだ決まっていない。中小企業は51.2%、小規模企業は57.3%に達する。経営者の高齢化が進むので、売り手になる会社は10年後も尽きにくい。
買い手は多い。上場のM&A仲介、独立系のファンド、事業会社、地域の金融機関が競う。仲介は成約の手数料で稼ぎ、ファンドは買って育てて売る。この会社は、地域金融機関と組んで案件を受ける形で、競争の外側から入る。
成長は二つに左右される。一つは売却の市場だ。景気が悪いと買い手の資金が細り、売れる時期がずれる。もう一つは税と制度だ。事業承継の税制には特例があり、不動産小口化とオペレーティングリースの商品は、課税の扱いが変わると売れ行きが止まる。
数量の物差しは、事業承継PEの組成額とした。2025年9月期は521億円だったが、2026年9月期は9か月で259億円と半分に落ちた。10年後の中立は年560億円で、直近3年の平均像450億円より24%多い。強気は780億円、慎重は430億円、弱気は300億円だ。単位あたりの収益率は、物価で10年に1.34倍が中立の基準だが、競争が強まると上がらない。
資本政策と M&A
還元は、配当と自社株買いの組み合わせだ。2025年9月期は配当総額5.7億円、自社株買い5.3億円で、総還元性向は52%だった。2026年9月期の配当性向は35.5%の予想で、2026年8月には10億円・上限910万株(発行済み株式の4.7%)の自社株買いを始めた。期間は2027年4月末までだ。ROE20%超を安定して保つことを目標に掲げる。
財務は、足元で大きく改善した。ムーミン事業の連結除外で、有利子負債は2025年9月末の約117億円から、2026年3月末には約94億円に減った。2026年6月末の自己資本比率は53.5%、現金は2026年3月末で85億円。純有利子負債は10億円以下に近い。
注意点は、事業の中の貸借だ。連結の借入には、販売用不動産や航空機の賃貸資産を持つための資金が含まれる。営業キャッシュフローは、賃貸資産の取得で2025年9月期にマイナス6.6億円だった。利益が現金で残るとは限らない。
過去20年に、株式の希薄化は3回あった(2006年、2014年、2018年)。直近は自社株買いで株数を減らす方向だ。新株予約権は約1億円ある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、需要の厚みと、軽い資産の強さに頼る。
後継者不在率は50.1%で、半数の会社に次の経営者が決まっていない。7年続けて下がっても、まだ半数ある。売り手は10年後も尽きにくい。地域金融機関と組んだファンドは、案件を受ける入り口を持つ。
実績は積み上がった。組成額の累計は1,300億円に達し、2025年9月期の営業利益は34億円と、3年前の2.6倍だ。ファンドが育てた会社を売る時期が来れば、成功報酬と売却益が増える。
資本の面も追い風だ。ムーミン事業を外して、自己資本比率は53.5%に上がった。ROEは20%近くを保つので、自社株買いで株数を減らせる。経営も、ROE20%超を安定して保つ目標を掲げる。短期の落ち込みは、案件の売却がずれただけと見る。組成した会社が育てば、次の年の売却益で取り戻せる。
10年後、組成額が年780億円まで伸び、事業承継PEの営業利益率が7割に乗れば、全社の営業利益は100億円を超える。この筋書きの確率は6%とした。
慎重な見方
慎重な見方は、足元の利益が一過性を含む点を指摘する。
2026年9月期の純利益46億円は、ムーミン事業の連結除外の益と、低い税金で膨らんだ。繰り返せる実力は、営業利益で37億円前後にとどまる。事業承継PEの組成額は、9か月で259億円と前年の半分に落ちた。会社も事業承継の売上の通期見込みを、63億円から61億円に下げた。
利益の質にも不安が残る。過去10年のROEの中央値はマイナス4.6%で、2016年から2020年は5年続けて赤字だった。好調はまだ3年しかない。
制度への依存もある。不動産の小口化商品は、令和8年度の税制改正大綱を受けて、新規の組成を見合わせた。オペレーティングリースも同じく税の仕組みの上にある。制度が変われば、預り資産1,754億円の積み上げが止まる。
最後に、人と案件の集中だ。社長の判断に頼る面が大きく、少数の大型案件が利益を左右する。これらが重なれば、営業利益は今の水準を割り込む。
どちらに重みを置いたか
結論は、今の値段はやや高い、というものだ。事業の質は悪くなく、需要も確かだ。ただ、確率を重ねた価値は約266億円で、時価総額312億円を1割半下回る。
分かれ目は、足元の利益をどこまで繰り返せるかだ。会社の予想(純利益46億円)をそのまま置けば、割安に見える。しかし、そこには一度きりの益が入る。繰り返せる利益は24億円ほどで、10年後の中立でも46億円にとどまる。ROEが13.5%と高いまま、倍率は11倍弱に置いた。
安全域は薄い。資産の裏づけは、弱気の筋書きで約47億円と、時価総額の6分の1に満たない。逆に、組成額が1.7倍に伸びれば、価値は500億円を超える。幅の大きい会社だ。
見るべき点は三つ。事業承継PEの組成額の回復、税制変更後の商品の売れ行き、利益の現金化(営業キャッシュフロー)だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 261 円497 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 75 円143 億円)。 今の値に割り戻すと 162 円309 億円、今との差 +3.3%、 期待の年率 +7.9%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 547 円1,041 億円 | 121 円230 億円 | +325.4% | +15.6% | 40 円76 億円 |
| やや楽観 | 17% | 425 円808 億円 | 102 円195 億円 | +235.9% | +12.9% | 90 円171 億円 |
| 中立 | 37% | 329 円626 億円 | 84 円160 億円 | +163.0% | +10.2% | 153 円291 億円 |
| やや悲観 | 28% | 112 円213 億円 | 58 円110 億円 | +8.1% | +0.8% | 48 円90 億円 |
| 悲観 | 12% | 25 円47 億円 | 26 円50 億円 | −67.5% | −10.6% | 6 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 261 円497 億円 | 75 円143 億円 | +114.1% | +7.9% | 336 円640 億円 |
今の株価時価総額 157 円299 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 組成額が1.7倍に伸び、取扱額も3,000億円に迫る 利益 71 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 547 円1,041 億円
事業承継の組成額が年780億円に伸び、育てた会社の売却益も積み上がる。地域金融機関との提携が全国に広がり、案件の入り口が増える。事業承継PEの営業利益率は70%に乗る。
預り資産に当たる取扱額は3,000億円に達し、手数料が安定して厚くなる。税制の見直しがあっても、商品を切り替えて売り続ける。航空は年16件に増え、公共コンサルも黒字になる。
全社の営業利益は約102億円、営業利益率は36%。純利益は約71億円で、ROEは17.9%。ただ、案件の振れは残り、ここまで伸ばすには、売却の市場が10年にわたり開いている必要がある。
- 事業承継PE・業務受託:数量 780(事業承継PEの組成・受託額(億円/年))× 価格 17(収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 131 億円・営業利益 92 億円。組成780億円、収益率+34%、利益率70%
- 資産の仲介・運用・不動産・その他:数量 3,000(預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円))× 価格 1.88(収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 56 億円・営業利益 26 億円。取扱額3,000億円、利益率46%
- 航空:数量 16.0(航空機の取引件数(件/年。推定))× 価格 5.40(1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 86 億円・営業利益 10 億円。年16件、利益率12%
- 公共コンサル・再エネ:数量 55.0(担当人員(人。推定))× 価格 1,916(1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。55人、利益率5%
倍率:事業の純利益 71 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.9% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.72 倍、時価総額 1,041 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:組成額が倍近くに伸びるには、売却の市場が10年開き続け、税制の影響も受けない必要がある。過去に5年続けて赤字だった会社で、この条件はそろいにくい。6%に置いた。
やや楽観 17% 提携が広がり、ROEは16%近くまで上がる 利益 57 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 425 円808 億円
事業承継の組成額は年650億円に伸び、地域金融機関との提携も広がる。売却益は積み上がるが、年ごとの振れは残る。
取扱額は2,700億円に増える。税制の変更で一部の商品は止まるが、リースなどの商品が穴を埋める。事業承継PEでは、育てた会社の売却が計画どおり進み、成功報酬が年ごとに積み上がる。航空は年14件、公共コンサルはほぼ収支が合う。
全社の営業利益は約83億円、純利益は約57億円。ROEは15.7%。会社が掲げるROE20%には届かないが、資本コストを大きく上回る。自社株買いと配当で、利益のおよそ4割を株主に返しながら、自己資本も積み上がる。
- 事業承継PE・業務受託:数量 650(事業承継PEの組成・受託額(億円/年))× 価格 17(収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 109 億円・営業利益 75 億円。組成650億円、収益率+34%、利益率68.5%
- 資産の仲介・運用・不動産・その他:数量 2,700(預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円))× 価格 1.88(収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 51 億円・営業利益 23 億円。取扱額2,700億円、利益率45%
- 航空:数量 14.0(航空機の取引件数(件/年。推定))× 価格 5.40(1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 76 億円・営業利益 8 億円。年14件、利益率11%
- 公共コンサル・再エネ:数量 40.0(担当人員(人。推定))× 価格 1,916(1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。40人、利益率2%
倍率:事業の純利益 57 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.7% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.18 倍、時価総額 808 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:事業承継の需要は確かで、地域金融機関との提携が広がれば、組成額は着実に増える。直近3年の好調がその証拠だ。ただ、案件の振れを考えて17%とした。
中立 37% 組成額は560億円に戻り、ROEは13.5% 利益 46 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 329 円626 億円
事業承継の需要は確かで、組成額は年560億円まで戻る。2026年は9か月で259億円と半減したが、10年の平均では直近3年の水準より24%多い。収益率は物価に合わせて1.34倍になる。
取扱額は2,400億円に増える。不動産小口化は制度の影響で伸びが鈍いが、リースと資産運用が補う。航空は年12件。公共コンサルは人員が30人に減り、収支はゼロに近づく。生成AIの影響で人月型の売上が細るためだ。
全社の営業利益は約68億円、営業利益率は32%。純利益は約46億円で、ROEは13.5%。資本コストを上回るが、利益の振れは大きいままだ。
- 事業承継PE・業務受託:数量 560(事業承継PEの組成・受託額(億円/年))× 価格 17(収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 94 億円・営業利益 63 億円。組成560億円、収益率+34%、利益率67%
- 資産の仲介・運用・不動産・その他:数量 2,400(預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円))× 価格 1.88(収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 45 億円・営業利益 20 億円。取扱額2,400億円、利益率44%
- 航空:数量 12.0(航空機の取引件数(件/年。推定))× 価格 5.40(1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。年12件、利益率10%
- 公共コンサル・再エネ:数量 30.0(担当人員(人。推定))× 価格 1,916(1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。30人、収支ゼロ
倍率:事業の純利益 46 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.48 倍、時価総額 626 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:需要は確かだが、組成額は案件の入り口と売却の市場で振れ、2026年は9か月で半減した。商品の一部は税制で止まる。中立に最も近い姿として37%に置いた。
やや悲観 28% 組成額は伸びず、名目の営業利益は10年横ばい 利益 24 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 112 円213 億円
組成額は年430億円にとどまる。足元の落ち込みが続き、競争で収益率は物価に追いつかない。小口化商品は税制で止まり、預り資産の積み上がりが鈍る。
取扱額は1,900億円。航空は年9件、公共コンサルは人員が24人に減り、わずかな赤字が続く。全社費用は削るが、売上の減少には追いつかない。人員を抱えたまま売上が伸びず、販管費の負担が重く残る。名目の利益が増えない中で、資本は少しずつ積み上がるだけだ。
全社の営業利益は約37億円で、今の実力とほぼ同じ。名目では10年間ほぼ横ばいだ。純利益は約24億円、ROEは8.6%で資本コストの手前にとどまる。
- 事業承継PE・業務受託:数量 430(事業承継PEの組成・受託額(億円/年))× 価格 16(収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 67 億円・営業利益 42 億円。組成430億円、収益率+25%、利益率62%
- 資産の仲介・運用・不動産・その他:数量 1,900(預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円))× 価格 1.68(収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 32 億円・営業利益 12 億円。取扱額1,900億円、収益率+20%、利益率36%
- 航空:数量 9.0(航空機の取引件数(件/年。推定))× 価格 4.80(1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。年9件、利益率8%
- 公共コンサル・再エネ:数量 24.0(担当人員(人。推定))× 価格 1,716(1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。24人、赤字5%
倍率:事業の純利益は24億円、ROEは8.6%で資本コスト8.75%に届かない。ためた利益は額面ほどの価値がなく、倍率は資本コストの逆数の約10.8倍が上限。利益の振れを割り引き、8.8倍に置いた。
確率:足元の組成額の落ち込みが続き、税制の変更で商品の一部が止まる姿は十分ありうる。振れの大きい事業なので、28%とした。
悲観 12% 税制と売却市場が止まり、利益が崩れる 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 25 円47 億円
構造的に負ける。税制の変更で小口化とリースが止まり、売却の市場も細る。事業承継PEの組成額は年300億円に下がり、育てた会社を売れずに投資が積み上がる。
取扱額は1,000億円まで減り、営業利益率は2割に落ちる。航空は年6件、公共コンサルは人員15人でも赤字が続く。投資の評価損と貸倒で、自己資本は約40億円削られる。
全社の営業利益は約6億円、純利益は約2億円。過去に5年続けて赤字だったように、事業が止まると損益は一気に崩れる。残る価値は、現金と売れる資産が借入を上回る分だ。ここでの配当は小さく、自己資本の積み上げもほとんど進まない。
- 事業承継PE・業務受託:数量 300(事業承継PEの組成・受託額(億円/年))× 価格 14(収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 41 億円・営業利益 19 億円。組成300億円、収益率+10%、利益率45%
- 資産の仲介・運用・不動産・その他:数量 1,000(預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円))× 価格 140.0%(収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。取扱額1,000億円、収益率据え置き、利益率20%
- 航空:数量 6.0(航空機の取引件数(件/年。推定))× 価格 4.00(1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。年6件、利益率5%
- 公共コンサル・再エネ:数量 15.0(担当人員(人。推定))× 価格 1,430(1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。15人、赤字20%
倍率:稼ぐ力は、純利益2億円を資本コストで割って約18億円。一方、売れる資産の税後の価値は約47億円で、こちらが大きい。後者に置いた。今の自己資本に対しては0.43倍にあたる。
確率:過去に5年続けて赤字になった実績があり、売却の市場が止まれば再び崩れうる。事業の構造が壊れる確率は小さくないので、12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
事業承継PE・業務受託
後継者のいない中小企業を、地域金融機関と組んだファンドで買い、育てて売る。組成の手数料、運営の受託料、売却時の成功報酬と投資益を含む。
| 数量事業承継PEの組成・受託額(億円/年) | 価格収益率(%。売上÷組成・受託額。物価で10年に1.34倍が中立の基準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 450 | 13 | 56 | 39 |
| 10 年後 中立 | 560 | 17 | 94 | 63 |
取り方:2026年9月期の12か月換算。組成額は2025年9月期の521億円、2026年9月期の9か月259億円の年換算、2024年9月期の396億円を見て、3年の平均像450億円とした。売上は、事業承継案件の会社見込み61億円と、PEの売却益の振れを均した56億円。営業利益は売上の69%の38.8億円。
資産の仲介・運用・不動産・その他
不動産小口化、オペレーティングリース出資金、アセット運用、メッツァビレッジなど、個人や法人から預かる資産を軸にした事業。
| 数量預り資産と年間のリース出資金販売額の合計(億円) | 価格収益率(%。売上÷取扱額。物価で10年に1.34倍が中立の基準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 1,860 | 140.0% | 26 | 12 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 1.88 | 45 | 20 |
取り方:2026年9月期の12か月換算。預り資産1,754億円に、トラックを使うオペレーティングリース出資金の年間販売額110億円(9か月82.8億円からの年換算)を足して約1,860億円。売上は26.0億円、営業利益は45%の11.7億円。メッツァビレッジの赤字を含む。
航空
航空機のセール&リースバック、リース付き売却、賃貸資産の運用。2026年7月に航空事業部が新設された。
| 数量航空機の取引件数(件/年。推定) | 価格1件あたり売上(億円。物価で10年に1.34倍が中立の基準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 11.0 | 4.00 | 44 | 4 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 5.40 | 65 | 7 |
取り方:2026年9月期の12か月換算。2025年9月期の売上38.2億円、2026年9月期の9か月35.5億円(前年比64%増)を見て、年44億円とした。件数は開示がなく、11件と推定し、1件あたり4.0億円。営業利益はセグメント利益3.2億円(9か月)を年換算し、4.4億円とした。
公共コンサル・再エネ
自治体向けの調査・コンサルと、北東北・北海道の太陽光発電の開発。人月で売る型の売上が中心。
| 数量担当人員(人。推定) | 価格1人あたり売上(万円。人月型の売上を含む。物価で10年に1.34倍が中立の基準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/09 | 40.0 | 1,430 | 6 | −4 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 1,916 | 6 | 0 |
取り方:2026年9月期の12か月換算。9か月の売上4.2億円、損失3.0億円(人員採用と太陽光の初期費用)を見て、年の売上5.7億円とした。人員は開示がなく、40人と推定した。営業利益は赤字3.5億円。太陽光の10地点8.14MWは、2026年6月末に5地点が稼働した。
リスクと懸念
事業承継の組成額が戻らない
事業承継PEの組成額は、2026年9月期の9か月で259億円と前年の半分に落ちた。案件の入り口が地域金融機関に偏り、景気や買い手の資金が細ると、組成が細る。売上の中核なので、利益への影響は最も大きい。
税制の変更で商品が止まる
不動産小口化商品は、令和8年度の税制改正大綱を受けて新規の組成を見合わせた。オペレーティングリースも、課税の扱いに依存する。預り資産1,754億円の積み上げと、手数料の安定が崩れうる。
案件の振れと売却の時期
利益は、ファンドが会社を売る時期で動く。2025年9月期のPE投資の売上総利益は、前期の2倍の35億円だった。次の年に同じ額が出る保証はない。市場が止まれば、売却がずれ、利益が減る。
経営者と人材への依存
社長が案件の入り口と判断の中心にいる。従業員は220名と少なく、投資の判断ができる人材は限られる。人が抜ければ、案件の流れが細る。採用と報酬の増加は、販管費として先に出る。
資本を食う事業と貸倒
航空機や販売用不動産は、自己資金で持つ間は資本を食う。2025年9月期には貸付けの貸倒損失4.9億円を出した。新規の貸付けや投資で、同じ損失が再び出るおそれがある。
公共コンサルと太陽光の立ち上がり
公共コンサルは人員の採用と太陽光の初期費用で、2026年9月期の9か月で3.0億円の損失だった。人月で売る型は、生成AIで置き換わる面もある。立ち上がりが遅れると、全社の利益を削る。
今後の分かれ目
- 事業承継PEの組成額が、年400億円を下回る状態が2年続いた
- 事業の中核が細っている合図だ。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 不動産小口化の新規組成が再開され、制度の影響が小さいと分かった
- 商品の売れ行きが続く根拠になる。中立の確率を上げ、預り資産の見方を戻す。
- 営業キャッシュフローが、純利益に近い額で黒字になる年が続いた
- 利益が現金で残る証拠だ。資本の使い方の心配が減り、強気の確率を上げる。
- ファンドの売却がずれ、PE投資の売上総利益が前期の半分に落ちた
- 利益の振れが表に出た合図だ。足元の営業利益を割り引き、慎重な筋書きの確率を上げる。
- 自社株買いが上限まで進み、発行済み株式数が減った
- 1株の利益に効く。ただ、純利益が伸びない限り、事業の価値は変わらない。
- 貸倒損失や投資の損失が、再び数億円規模で出た
- 資本配分の規律が崩れている合図だ。弱気の確率を上げる。
見ておくもの
- 事業承継PEの組成額と、事業承継案件による売上
- 不動産小口化とオペレーティングリースの組成・販売額と、税制の動き
- 営業キャッシュフローと、純利益との差
- PE投資と航空の売上総利益の振れ
- 自己資本比率と、有利子負債の推移
- 公共コンサルの損益と、太陽光の稼働地点数
倍率と資本コストの決め方
本稿は時価から出発していない。起点は2026年9月期の12か月換算で、営業利益は37億円、純利益は24億円とした。会社の予想(営業利益42億円、純利益46億円)は、一過性の益と大型案件を含むので採らなかった。結果は、会社予想の営業利益を1割ほど下回る。
倍率は、収益から決めた。ROEが資本コストを上回る筋書きでは、式の上限の9割前後に置き、振れの大きさを割り引いた。ROEが資本コスト以下の筋書きは、上限の8割に置いた。他社や過去の倍率は、判断に使っていない。
資本コストは8.75%とした。同じ領域のインテグラルは9.0%だが、こちらは過去に5年続けて赤字になり、規模も小さいので0.25ポイント高い。
数量は、事業承継PEの組成額と預り資産を年換算した推定だ。航空の件数と公共コンサルの人員は開示がないので推定とした。第3四半期の質疑の資料は読めなかった。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.8→14.72 倍・やや楽観 PER 11.9→14.18 倍・中立 PER 10.9→13.48 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality 1.75% を足した。税制の変更や案件の振れは、筋書きと確率に織り込んだ。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。