結論
プレミアグループは、中古車を買う人へのローンと、買ったあとの故障保証を、全国の販売店に届けて稼ぐ独立系の金融会社だ。筆者の結論は、成長の力に対して今の値段は低いが、土台は見た目ほど厚くない、というものだ。
稼ぎの入口は中古車の販売店である。店が客にローンと保証を勧め、同社が与信と保証を引き受ける。ここ数年は、販売店向けの会員制サービスが第三の柱に育った。9 期連続の増収増益で、営業利益は 84 億円まで来た。
強みは、銀行の子会社ではない身軽さにある。大手の信販は銀行法の縛りで保証や会員サービスまで広げにくい。同社は一つの販売店に三つの商品を持ち込める。ここは簡単にまねされない。
弱みは二つある。一つは借金だ。自己資本比率は 13% で、純有利子負債は自己資本の 2 倍を超える。もう一つは、中古車という一つの市場に利益のほぼ全部を預けていることだ。台数は伸びない。
それでも、シェアの拡大と保証・会費の積み上げで、10 年後の利益は今の 2 倍を超えると筆者は見る。確率で重みをつけた本質価値は、今の時価総額を上回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を持ち続けたいかと問われれば、答えは条件付きだ。
事業の本質は、販売店という「売り場」を押さえたうえで、金利と保証料と会費という三つの料金を取る形にある。とくに会費と保証は、設備が軽く、お金を先に受け取れる。ここが同社を一般の信販から分ける。
ただし、株主に残る利益、つまり事業を続けるのに必要な投資を引いたあとの利益は、見かけより小さい。債権が増えるたびに、自前の資金と借金が要るからだ。成長するほど資金が出ていく。
堀は、販売店の取り込みにある。これが広がるなら、10 年後は今より強い。一方、金利の上昇を客に転嫁できるかは、販売店との力関係次第だ。ここは確信が持てない。
安全域を考えるなら、見るべきは悲観の筋書きだ。自己資本比率が 13% の会社で、ローンの貸倒れを保険が埋める仕組みに頼っている。保険が使えなくなったとき、あるいは大口の販売店が潰れたとき、傷は一気に深くなる。その確率を軽く見ない。
総じて、事業の質は悪くないが、安心して長く寝かせられる会社ではない。値段が事業の力より十分に低ければ持つ価値がある、というのが筆者の立場だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つある。いずれも相手は中古車の販売店と、その客だ。
一つ目はファイナンスだ。客が中古車をローンで買うとき、販売店を通じて同社の商品を申し込む。債権の大半は提携する銀行が貸し、同社は保証と事務を担う。全ての債権に保険をかけ、貸倒れの穴を埋める仕組みだ。債権の残高は 8,000 億円を超え、この分野では国内で 3 番手とされる。
二つ目は故障保証だ。買った車が壊れたとき、修理代を負担する。最長 10 年で、客が代金を先に払うため、同社の手元に資金が入る。2019 年に同業のEGS保証Rを買って、第三者保証のなかでは約 7 割の取扱いを握る。直近の取扱高は 17% 増えた。
三つ目がオートモビリティサービスだ。整備工場や販売店を「カープレミアクラブ」という会員組織にまとめ、会費と部品・サービスの収入を得る。加盟は約 6,000 社で、会費収益 50 億円が次の目標だ。
成長の速さは、会員事業がいちばん大きい。2025 年に起きた基幹システムの障害は、与信情報の登録の遅れや誤請求を招いた。税引前利益への影響は 11 億円ほどで、取扱高は第 4 四半期に前年並みへ戻った。
2025 年には伊藤忠商事が約 2% を出資し、タイのオートローン会社を共同で買った。国内で築いた型を海外へ持ち出す初手だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、あるが深くはない。筆者がいちばん評価するのは、一つの販売店に三つの商品を売れる点だ。
大手の信販は、銀行の子会社であることが多い。故障保証や会員組織まで手を広げにくく、中古車に絞った営業もしない。同社は独立専業の身軽さで、販売店を足しげく回る。ローンの契約が保証や会員サービスの入口になり、販売店は乗り換えるたびに手間が増える。この囲い込みが、手数料の競争から同社を少し遠ざけている。
故障保証は、数少ない本物の強みだ。同業を買収して市場の過半を握り、取扱いの数が原価の低さにつながる。ただ、第三者保証は中古車購入者の 1 割ほどしか使わない。市場そのものが小さい。
弱いところも多い。ローンの金利は客に決められ、競合の銀行系は資金を安く調達できる。保険が貸倒れを埋めるが、その保険は更新のたびに料率が上がりうる。販売店の経営が荒れれば、取引先ごと痛む。2023 年の大手中古車販売店の不正は、この業界の脆さを見せた。
経営は、ここ数年は着実に実績を積んだ。ROE は 24% で、過去 10 年の中央値は 26% だ。ただ、これは自己資本が薄い会社の数字で、借金が増えれば同じ利益でも危うさが増す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の中古車の販売台数は、登録車と軽をあわせて年に 600 万台前後で、人口とともに横ばいから微減に向かう。台数だけでは成長は見込めない。
では、なぜ同社は伸びているのか。理由は三つある。一つは、中古車の値段が上がり、ローンで買う人が増えたこと。二つは、銀行系の信販が中古車に力を入れず、独立系が取りこぼしを拾えたこと。三つは、保証と会員という周辺の商品が、ローンの入口に乗って売れたことだ。
競合は、ジャックス、オリエントコーポレーション、アプラス、セディナといった銀行系の信販が中心だ。いずれも新車ローンを含めて大きな資金力を持つ。中古車市場全体のローン取扱いは年に数兆円あり、同社のシェアは 1 割前後とみられる。10 年で 15% に届けば、台数が減っても数量は 6 割増える。
金利の上昇は、この業界の最大の変数だ。同社は銀行借入が主だが、借り入れの金利は市場の長期金利に連動する。短期金利が 2% へ上がる世界では、客に課す金利の引き上げが追いつくまで、利ざやが薄くなる。ローンは 5 年超と長く、すでに貸した分の金利は変えられない。
もう一つの変化は、販売店の側にある。大手の中古車販売店が 2023 年に不正で揺れてから、販売店の信用や整備の質が問われるようになった。この流れは、保証や会員サービスが売れる追い風になる。ただし、整備や部品の供給網は規模の勝負で、同社はまだ小さい。
資本政策と M&A
還元は着実に強まっている。2027 年 3 月期の配当は性向 35% を見込み、前期から増える。自社株買いは大きくない。伊藤忠商事への第三者割当で 17 億円を調達しており、増資を嫌わない会社でもある。
資金の使い方は成長が先だ。自己資本が薄く、債権の拡大に自前の資金が要るため、配当を出したうえで残る利益はほぼ全部、事業に回る。
M&A は同社の成長の道具だった。2019 年の故障保証の同業買収は成功し、リサイクルパーツの会社の取り込みも会員事業を支えた。今後は、伊藤忠と組んだタイのオートローン会社がその第 2 弾にあたる。海外で独り立ちできるかは未知数で、筆者は悲観の筋書きで買収の失敗をひとつの要因に置いている。
支配株主はいない。筆頭の伊藤忠も約 2% で、社長の持ち株もほぼ同じだ。この分散した株主構成は、敵対的な買収を招きうる反面、親会社の都合で利益を吸い上げられる心配も小さい。時価総額が 850 億円ほどで、大手の信販や商社が買収を考えうる大きさだが、現時点で動きはない。
(点検済み:債権残高の伸び1.6倍は過去10年の売上の伸び(5倍超)より控えめで、利益率も今期並み。借金が自己資本の2倍超なので、やや悲観・悲観に3割を割いた。伊藤忠への第三者割当は実行済みで株数に入っている。)
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方の核心は、成長の質にある。2026 年 3 月期まで 9 期連続で増収増益を続け、営業収益は 10 年で 8 倍になった。偶然では続かない。販売店に三つの商品を持ち込む型が、量と値段の両方で効いている。
ファイナンスは、シェア 1 割から 15% 以上へ伸びる余地がある。大手の銀行系信販が中古車に積極的でないため、取りこぼしが同社に回る。販売店に近い営業を続ける限り、台数が減っても同社の取扱いは増える。
故障保証は、中古車購入者の 1 割しか使っていない。欧米のように 2〜3 割へ上がれば、取扱いは倍以上になる。同社は第三者保証の 7 割を握っており、その果実を最初に取る。
会員事業はさらに大きい。加盟を 6,000 社から 12,000 社へ倍にする計画で、会費だけで 50 億円を見込む。会費は解約率 1% 以下で、積み上がる収入だ。
会社の中期計画は、4 年で営業収益 840 億円、当期利益 140 億円だ。ここまで届けば、10 年はその先の複利になる。伊藤忠との提携でタイへ出る道もある。国内の型が海外でも通じれば、10 年後の利益は今の 3 倍を超える。
慎重な見方
慎重な見方の核心は、成長の土台の薄さにある。自己資本比率は 13%、純有利子負債は自己資本の 2 倍超だ。成長は借金と銀行の資金に乗っており、資金のコストが変われば利益が崩れる。
金利が 2% へ上がる世界では、調達費が先に上がり、客への転嫁は遅れる。ローンは 5 年超で、すでに貸した分の金利は変えられない。利ざやの圧縮は数年続く。
中古車市場は伸びない。台数は横ばいから微減だ。伸びの源は、シェア、ローン利用の拡大、保証や会費への展開に限られる。どれも販売店の理解に左右される。販売店の業界は、2023 年の大手の不正で信用を落とした。同社の取引先が揺れれば、保険を含む仕組みごと揺れる。
貸倒れは保険に頼っている。保険会社が料率を上げるか、引き受けを絞れば、費用が一気に増える。2025 年のシステム障害でも、保険の対象外となった債権に約 10 億円を追加で積んだ。
会社の目標は営業収益 840 億円だが、4 年で 2 倍近い伸びは過去の実績の延長にすぎない。10 年先まで続く保証はない。タイの買収も、国内のようにはいかない恐れがある。筆者は、中立より悲観の確率を厚めに置いた。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、実績と販売店という入口の強さで説得力がある。ただ、慎重な見方が指摘する借金と、一つの業界への依存は、数字では消えない。
中立の利益は、会社の計画より低く置いた。計画は、4 年で営業収益を 2 倍にするほど速い。10 年では台数の減少と金利の逆風が効くとみた。
確率は、中立を中心に、悲観側へ少し寄せた。悲観の確率を 12%、やや悲観を 18% と、自己資本の薄さにふさわしい厚みにした。楽観側には 10% と 22% を置き、実績に見合う重みを残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,940 円1,911 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 981 円380 億円)。 今の値に割り戻すと 2,896 円1,121 億円、今との差 +31.7%、 期待の年率 +10.4%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,675 円3,357 億円 | 1,277 円494 億円 | +352.6% | +16.3% | 995 円385 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,091 円2,744 億円 | 1,194 円462 億円 | +276.8% | +14.2% | 1,823 円705 億円 |
| 中立 | 38% | 5,609 円2,171 億円 | 1,057 円409 億円 | +203.1% | +11.7% | 2,533 円980 億円 |
| やや悲観 | 18% | 1,862 円721 億円 | 780 円302 億円 | +20.2% | +1.9% | 476 円184 億円 |
| 悲観 | 12% | 377 円146 億円 | 408 円158 億円 | −64.3% | −9.8% | 94 円36 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,940 円1,911 億円 | 981 円380 億円 | +169.3% | +10.4% | 5,921 円2,291 億円 |
今の株価時価総額 2,199 円851 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:計画を達成し、会員と保証が成長を引っ張る 利益 199 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 8,675 円3,357 億円
強気の筋書きだ。会社の中期計画をほぼ達成し、そのあとも伸びが続く。ファイナンスはシェアが 15% を超え、保証は利用率が 2 割へ近づく。会員は 12,000 社に倍増して、会費は積み上がる収入になる。
金利の逆風は、新しい契約の金利を引き上げることで吸収できる。大口の販売店の破綻はなく、貸倒れは保険の範囲に収まる。タイの提携も軌道に乗る。
営業利益は 280 億円ほどまで増え、ROE は 20% 前後を保つ。配当は収益とともに増え、自社株買いも折にふれて行う。堀は広がり、会員と保証がローンの入口を守る。ただし、中古車の台数は減り、成長は取りこぼしを拾うことで得ている。市場は、この会社を成長する金融会社として評価する。
- ファイナンス(中古車ローン):数量 17,000(ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.04(債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの)→ 売上 665 億円・営業利益 106 億円。債権残高2.00 倍・営業利益率 16%
- 故障保証:数量 55.0(保証の販売件数(万件・推定))× 価格 4.55(1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの)→ 売上 250 億円・営業利益 88 億円。件数2.29 倍・営業利益率 35%
- オートモビリティサービス:数量 12,000(カープレミアクラブの加盟店・拠点(社))× 価格 357(1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計)→ 売上 429 億円・営業利益 116 億円。加盟2.03 倍・営業利益率 27%
倍率:事業の純利益 199 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.0% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.87 倍、時価総額 3,357 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画の達成とその先の伸びが続く筋書き。実績はあるが、金利と借金の重さを考え 1 割にとどめた。
やや楽観 22% やや楽観:計画の途中まで届き、安定して伸びる 利益 166 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 7,091 円2,744 億円
やや強気の筋書きだ。計画の途中までは届くが、そのあとの伸びは鈍る。ファイナンスのシェアは 13〜14% まで上がり、故障保証の利用率は 1.5 倍に近づく。会員は 11,000 社まで伸びる。
金利の上昇は、新しいローンの金利の引き上げで大部分を吸収する。ただ、転嫁が遅れた数年の間、利ざやは一度薄くなる。システム障害のような事故は再発せず、貸倒れも保険の範囲で収まる。
営業利益は 230 億円ほどになる。ROE は 18% 台で、資本コストを大きく上回る。中古車の台数は減るが、保証と会員が一つの販売店あたりの収入を押し上げる。市場は、この会社を安定して伸びる会社として扱う。
- ファイナンス(中古車ローン):数量 15,300(ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.04(債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの)→ 売上 581 億円・営業利益 87 億円。債権残高1.80 倍・営業利益率 15%
- 故障保証:数量 50.0(保証の販売件数(万件・推定))× 価格 4.49(1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの)→ 売上 224 億円・営業利益 76 億円。件数2.08 倍・営業利益率 34%
- オートモビリティサービス:数量 11,000(カープレミアクラブの加盟店・拠点(社))× 価格 338(1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計)→ 売上 372 億円・営業利益 97 億円。加盟1.86 倍・営業利益率 26%
倍率:事業の純利益 166 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.53 倍、時価総額 2,744 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画の途中までは達成する線。9 期連続の増収増益の実績を踏まえ、2 割強とした。
中立 38% 中立:シェアと会員が積み上がり、着実に伸びる 利益 136 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 5,609 円2,171 億円
中立の筋書きだ。シェアはゆっくり上がり、保証と会員が積み上がるが、会社の計画ほど速くは伸びない。ファイナンスの債権は 1.6 倍、故障保証の件数は 2 倍近く、会員は 1 万社に届く。
金利の上昇で、利ざやは数年薄くなる。客への転嫁が進むと戻るが、ローンが長いため、元通りにはならない。ファイナンスの利益率は 14% 前後で落ち着く。中古車の台数は横ばいから微減で、成長は取りこぼしとシェアが担う。
営業利益は 190 億円ほどで、ROE は 17% 前後。資本コストを大きく超える水準だが、堀は広がりも崩れもしない。配当は利益の 4 割ほどで、自己資本は積み上がる。市場は、実績のある中堅の金融会社として素直に評価する。
- ファイナンス(中古車ローン):数量 13,600(ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.04(債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの)→ 売上 496 億円・営業利益 69 億円。債権残高1.60 倍・営業利益率 14%
- 故障保証:数量 45.6(保証の販売件数(万件・推定))× 価格 4.42(1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの)→ 売上 202 億円・営業利益 67 億円。件数1.90 倍・営業利益率 33%
- オートモビリティサービス:数量 10,000(カープレミアクラブの加盟店・拠点(社))× 価格 320(1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計)→ 売上 320 億円・営業利益 80 億円。加盟1.69 倍・営業利益率 25%
倍率:事業の純利益 136 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 15.96 倍、時価総額 2,171 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最も起こりやすい線。シェアと保証・会員の積み上がりで着実に伸びるが、計画ほどは伸びない。4 割弱。
やや悲観 18% やや悲観:利ざやが戻らず、競争が激しい普通の信販に 利益 73 億円 · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 1,862 円721 億円
やや弱気の筋書きだ。金利の上昇と競争で、ファイナンスの利ざやが戻らない。債権の伸びは 2 割にとどまり、利益率は 11% まで下がる。
故障保証は伸びるが、保険の料率の上昇で原価が増え、利益率は 30% に下がる。会員は 8,000 社で足踏みし、部品の収入は薄い。基幹システムの障害のような事故が一度起き、取扱いが鈍る年もある。
営業利益は 100 億円ほどで、今の水準を少し上回る程度だ。ROE は 12% と資本コストに近づく。堀は薄れ、成長の面白みは失われる。市場は、競争の激しい普通の信販会社として値付けする。
- ファイナンス(中古車ローン):数量 10,200(ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.03(債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの)→ 売上 343 億円・営業利益 38 億円。債権残高1.20 倍・営業利益率 11%
- 故障保証:数量 33.0(保証の販売件数(万件・推定))× 価格 4.13(1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの)→ 売上 136 億円・営業利益 41 億円。件数1.38 倍・営業利益率 30%
- オートモビリティサービス:数量 8,000(カープレミアクラブの加盟店・拠点(社))× 価格 273(1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計)→ 売上 218 億円・営業利益 44 億円。加盟1.36 倍・営業利益率 20%
倍率:事業の ROE 11.7%、k 8.25%、残る割合 1/2 から RONIC 10.0%。正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)、g 4.0% で上限 14.1 倍。金利の逆風と業界への集中で利益の質は中程度。上限の約 70% の 9.9 倍に置く。
確率:金利の逆風が長引く、保険の料率が上がる、競争で利益率が戻らない筋書き。自己資本の薄さを考え、2 割近く置いた。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、債務の重い小さな金融会社になる 利益 16 億円 · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 377 円146 億円
悲観の筋書きだ。構造的に負け、普通の金融会社に戻る。銀行系の信販が中古車に本腰を入れ、金利で競り負ける。ファイナンスの債権は 1 割強減り、利益はほぼ消える。
保険会社が料率を上げ、引き受けを絞る。貸倒れの一部を自社で抱え、大口の販売店の破綻も重なる。タイの買収も失敗して損失になる。故障保証は件数が減り、会員事業は解約が増える。
営業利益は 20 億円ほどまで落ち、ROE は 4% 前後になる。配当は大きく減る。もう優良な会社ではなく、事業を続ける力そのものが問われる。成長の物語は消え、市場は債務の重い小さな金融会社として扱う。
- ファイナンス(中古車ローン):数量 7,500(ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.03(債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの)→ 売上 208 億円・営業利益 10 億円。債権残高0.88 倍・営業利益率 5%
- 故障保証:数量 20.0(保証の販売件数(万件・推定))× 価格 3.30(1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの)→ 売上 66 億円・営業利益 12 億円。件数0.83 倍・営業利益率 18%
- オートモビリティサービス:数量 6,000(カープレミアクラブの加盟店・拠点(社))× 価格 207(1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計)→ 売上 124 億円・営業利益 12 億円。加盟1.02 倍・営業利益率 10%
倍率:事業の ROE 3.9% が k 8.25% 以下なので PER の上限は 1÷k の 12.1 倍。構造的に負けた筋書きで、借金が仕入れの事業なので売れる資産の床は数えず、稼ぐ力(純利益 16 億円)を上限に置く。上限の約 75% の 9.1 倍に置く。
確率:構造的な負け:銀行系の本格参入、保険の引き受け縮小、大口販売店の破綻、タイの失敗など。自己資本比率 13% の金融会社で、損失が一気に出うるため、1 割強と厚めに置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ファイナンス(中古車ローン)
中古車販売店を通じたオートローンの保証・与信と、その事務。債権の大半は提携銀行が貸し、全債権に保険をかける。
| 数量ローンの保証債権残高(億円・今の値段で測った実質・推定) | 価格債権残高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、調達費の上昇による利ざやの圧縮を重ねたもの | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,500 | 0.03 | 248 | 38 |
| 10 年後 中立 | 13,600 | 0.04 | 496 | 69 |
取り方:債権残高は日経の報道(8,000 億円超)をもとに 8,500 億円と推定した。営業収益は決算説明資料の要約から約 248 億円で、残高に対して 2.9%。セグメント別の営業利益は開示が分かれているため、税引前利益の伸びと営業収益から 38 億円と推定した(システム障害の費用を除いた形に近い)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
故障保証
中古車購入者向けの故障保証(プロパー保証・OEM)。代金を先に受け取り、修理が出たら負担する。
| 数量保証の販売件数(万件・推定) | 価格1 件あたりの保証料(万円)の名目の指数。物価の倍率に、保証期間の長期化を重ねたもの | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 24.0 | 3.30 | 79 | 28 |
| 10 年後 中立 | 45.6 | 4.42 | 202 | 67 |
取り方:営業収益は決算説明資料の要約から約 80 億円。1 件あたりの保証料は 2019 年の約 2.7 万円に物価と保証期間の長期化を乗せて 3.3 万円と置き、件数 24 万件は逆算した推定。営業利益 28 億円は営業収益の約 35% で、取扱高 17% 増の勢いと整合するよう置いた推定。 先の件数は実物(保証の契約件数)で、名目の市場の伸びではない。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
オートモビリティサービス
カープレミアクラブの会費、整備工場・販売店向けの部品やサービス。
| 数量カープレミアクラブの加盟店・拠点(社) | 価格1 社あたりの年間収入(万円)の名目の指数。会費・部品・サービスの合計 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,900 | 188 | 111 | 30 |
| 10 年後 中立 | 10,000 | 320 | 320 | 80 |
取り方:加盟は決算説明会の「6,000 社弱」から 5,900 社。営業収益 111 億円を割って 1 社あたり約 188 万円。税引前利益は前期比 92% 増と伸びが大きく、営業利益は営業収益の約 27% として 30 億円と推定した。部品販売を含むため利益率は会費だけの事業より低い。 先の加盟社数は実物。1 社あたりの収益が物価(1.34 倍)を超えて伸びる(中立 1.7 倍)のは、会費だけでなく保証・部品販売など取り扱うサービスの積み上げで 1 社あたりの収益が増える前提による(指揮の判断に挙げる)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
リスクと懸念
調達コストの上昇が利ざやを削る
債権の大半は銀行が貸し、借入金利は市場の長期金利に連動する。短期金利が 2% へ上がると、調達費が先に増える。客への金利の転嫁は新しい契約からで、すでに貸した 5 年超の分は動かせない。利ざやの圧縮が 2〜3 年続けば、ファイナンスの利益が伸びない。
貸倒れを埋める保険に頼っている
全ての債権に保険をかけ、貸倒れの穴を埋める仕組みだ。保険会社が料率を上げるか引き受けを絞ると、費用が一気に増える。2025 年には保険の対象外となった債権に約 10 億円を追加で積んだ。保険の更新条件が悪化すれば、利益率が下がる。
中古車という一つの市場への集中
利益のほぼ全部が、中古車の販売店と購入者から生まれる。台数は横ばいから微減で、新車の値上がりや、車を持たない暮らしの広がりが逆風になる。電動車の保証コストが読みにくい点も、故障保証の原価に響く。
販売店の信用と不祥事
取引先の販売店が揺れると、同社の債権や保証の質も揺れる。2023 年には大手の中古車販売店で不正が発覚し、業界全体の信用が落ちた。大口の販売店が倒産すれば、立替金や会費の回収に穴があく。
基幹システムの障害と再発
2024 年 11 月の基幹システムの更改で、与信情報の登録が遅れ、誤請求が出た。影響は 2 期で約 24 億円に上る。ベンダーへの損害賠償請求は続くが、回収できる保証はない。同じ事故は、信用と取扱高に再び傷をつける。
海外の事業が国内の型で通じるか
タイのオートローン会社への出資は、伊藤忠との共同だ。国内の販売店網と保証の組み合わせが、海外でも再現できる保証はない。貸倒れや規制が国内と異なるため、買収の失敗は悲観の筋書きの一つだ。
自己資本が薄い
自己資本比率は 13% で、債権が増えるほど借金も増える。景気が悪化して貸倒れが増えると、少しの損失で財務の余裕が削られる。成長をとるか安全をとるかの二者択一を、経営が迫られる局面がある。
今後の分かれ目
- 短期金利が 2% に上がっても、新しいローンの金利の引き上げで利ざやが保たれた
- 利益が中立から上振れる。やや楽観以上の確率を上げてよい。借金の重さが弱みから普通の水準へ変わる。
- 保険会社が料率を大きく引き上げた、または引き受けを絞った
- 貸倒れの費用が直接利益に響く。やや悲観・悲観の確率を上げる。自社で貸倒れを持つ割合が増えれば、自己資本の厚さが問われる。
- 故障保証の利用率が、中古車購入者の 1 割から 2 割へ上がった
- 保証の取扱いが倍近くになる。高い利益率の事業が増え、楽観の筋書きに近づく。
- カープレミアクラブの加盟が 12,000 社に届き、解約率が 1% 以下を保った
- 会費が積み上がる収入になり、景気の波が小さくなる。倍率を上げる根拠が増える。
- 取引先の大口販売店が破綻した、または業界の不祥事が再び出た
- 立替金と会費の回収に穴があき、取扱高も落ちる。悲観の筋書きに近づく。
- タイの提携が軌道に乗り、国内の型が海外で通じた
- 海外が第 2 の成長源になる。楽観の筋書きに近づく。失敗すれば、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- クレジットと故障保証の取扱高の伸び率と、中古車販売台数との差(シェアの動き)
- ローンの金利と調達コストの差(利ざやの推移)と、保険料率の更新
- カープレミアクラブの加盟数・会費収益・解約率
- 貸倒関連費用と、保険の対象外となる債権の動き
- タイの提携先の損益と、国内以外への広がり
- システム障害の損害賠償の行方と、再発の有無
倍率と資本コストの決め方
今の株価と PER は見ず、まずセグメントの数量と価格、利益率を積み、そのあとで事業の ROE と k 8.25%(基本 7.5% に quality +0.75%)から正当化 PER の上限を出して、その 8 割を中立に置いた。ROE が 17% と高いので PER は同じ領域の信販より高いが、これは自己資本が薄い分の見かけの高さで、利益の質は割り引いた。借金は仕入れの事業なので、金利の影響は各セグメントの利ざやの圧縮として入れ、純利益には別に足していない。会社は IFRS で、リース(IFRS 16)はすでに貸借対照表にあり、新リース会計基準で数字の形は変わらない。純現金ではなく余った現金は立てない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.21→16.87 倍・やや楽観 PER 14.08→16.53 倍・中立 PER 12.77→15.96 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。