結論
日本モーゲージサービスは、全国の中小の工務店や住宅会社を相手に、住宅ローンと住宅の保険・検査をまとめて売る会社だ。筆者の結論は「おおむね適正」である。新しい家の着工は10年で細るが、工務店の経営を丸ごと支える形で顧客をつかみ、稼ぐ力は保てると見る。
稼ぎの柱は2本ある。1本目は、住宅金融支援機構と組んだ固定金利の住宅ローン「フラット35」だ。家を建てる人にローンを出し、その債権を機構に売って手数料を得る。2本目は、国が指定した保険法人として売る「新築住宅かし保険」と、地盤の保証、住宅の性能の評価だ。
2026年3月期は営業利益16億円で、利益率は2割に戻った。変動金利が上がり、固定金利のフラット35が見直されたからだ。一方で、手数料の値下げの競争と、ローンを機構に売るまでの借入の金利の上昇が利益を削る。会社は次の期の減益を見込む。
工務店はローンも保険も検査も1社で済ませたい。そこに入り込んだ強みは本物だが、着工の減少と手数料の競争に勝ち続けるのは楽ではない。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額とほぼ同じだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の良さは顧客との関係にある。中小の工務店にとって、ローン、保険、検査、業務のソフトを1社で済ませられる価値は大きい。一度入り込めば、家を建てるたびに声がかかる。国の指定が要る保険の仕事も、新しい会社が入りにくい。
一方で、市場は縮む。新築の数は減り、工務店の数も減る。フラット35の手数料の競争は厳しく、値段を自分で決める力は無い。借入でローンを立て替える形は、金利が上がるたびに利益を削る。
経営は堅実だ。赤字の年が無く、配当は利益の4割から5割を戻す。買収も本業に近い。ただ、10年で利益が大きく伸びる絵は描きにくい。
筆者は、この会社を「縮む市場で顧客を深く押さえる堅い商売」と見る。今の値段は、その堅さにおおむね見合っており、大きな安全域も、大きな割高さも無い。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。いちばん大きいのは住宅金融だ。家を建てる人や中古の家を買う人に、フラット35を中心とする住宅ローンを出す。貸したローンはすぐに住宅金融支援機構に売り、会社は融資の手数料と、その後の回収の事務の報酬を得る。2026年3月期の売上は39億円、営業利益は11億円だった。中古の家を買い取って直して売る会社向けのローンも伸ばしている。
ローンを機構に売るまでの間は、会社が銀行から借りて立て替える。期末の貸付金は97億円、短期の借入は90億円あり、この借入の金利が上がると利益が削られる。
2つ目は住宅かし保険などだ。子会社は国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人で、新築の家の欠陥に備える保険を売る。新築の家には法律でこの保険か供託が要る。地盤の保証、住宅の性能の評価、フラット35の適合の証明も手がける。売上は34億円、営業利益は4億円だ。
3つ目は住宅アカデメイアで、工務店向けの業務のクラウド「助っ人クラウド」と、家を引き渡した後の設備の保証を売る。売上は7億円と小さい。
顧客はどれも全国の中小の工務店だ。ローン、保険、検査、業務のソフトを1社でまとめて提供し、工務店の経営を支える。
優良さと弱いところ
優良さで見ると、この会社は「顧客への入り込みは深いが、価格の主導権は持たない」部類に入る。
強みは工務店との結び付きだ。中小の工務店は人手が少なく、家を建てるたびにローンの手続き、保険の申し込み、検査の手配が要る。それを1社でまとめて引き受け、業務のソフトまで入れてもらえば、工務店は他社に替えにくい。住宅かし保険は国の指定が要り、保険法人は全国に5つしかない。新しい会社が入りにくい市場だ。
弱さは値段だ。フラット35の金利と商品は機構が決め、各社が違いを出せるのは手数料と対応の速さくらいだ。SBIアルヒなどの大手との手数料の値下げの競争は激しく、会社自身もそれを認める。保険の料金も、指定の5社が横並びで競う。
資本効率はまずまずだ。ROEは過去10年の中央値で16%あったが、自己資本が厚くなり直近は11%だ。利益の振れは、住宅ローンの会社としては小さい。赤字の年は上場以来無い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の市場は、数量が細る。新設住宅の着工は年80万戸を割り、持家の注文住宅は減り続けている。人口と世帯の数が減り、建築費が上がって家を建てる人が減った。筆者は、新築の数量は10年で1〜2割減ると見る。
その中で、中古の家の売買と、買い取って直して売る再販は伸びる。国も中古住宅の流通と省エネの基準の適合を後押ししている。2025年からは新築のすべてに省エネ基準の適合が義務になり、性能の評価や適合の証明の仕事が増えた。
住宅ローンでは、金利の動きが追い風に変わりつつある。長く続いた低金利の間は、変動金利のローンが銀行の安さで圧倒した。変動金利が上がり、固定との差が縮むと、固定金利のフラット35が見直される。2026年3月期は、フラット35の市場が回復に向かった。
競争は激しい。フラット35の取り扱いは、SBIアルヒのような専門の会社と銀行がしのぎを削り、手数料の値下げが続く。住宅かし保険では、指定の5法人が工務店を取り合う。工務店の数そのものも、後継ぎの不足と着工の減少で減っていく。
地盤の保証や性能の評価は、工務店から見れば保険とまとめて頼みたい仕事だ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2026年3月期の配当は総額4.4億円で、配当性向は40%だった。次の期も同じ額を配る予定で、利益が減るぶん性向は48%に上がる。自社株買いはしていない。
借入は、ローンを機構に売るまでの立て替えのためのもので、貸付金の裏に付いている。手元の現金は51億円あるが、保険の前受金や預り金の見合いがあり、余った現金とは言いにくい。
買収は、住宅かし保険の会社や業務のソフトの会社を加えて事業を広げてきた。工務店に売る商品を増やす方向の買収で、本業に近い。創業者が率いる会社で、親会社はいない。住宅金融の再編や、大手の住宅ローンの会社からの提携の申し出はありうるが、そうした発表は無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
金利の流れが、この会社に味方し始めた。長く続いた低金利の間、住宅ローンは銀行の変動金利が圧倒した。変動金利が上がり、固定との差が縮めば、35年の金利を今決められるフラット35が選ばれる。2026年3月期は、その流れで融資の件数が増え、住宅金融の利益は過去最高になった。
顧客への入り込みも深い。中小の工務店は人手が少なく、ローン、保険、検査、業務のソフトを1社で済ませたい。助っ人クラウドを入れた工務店は、保険もローンもこの会社に任せやすい。住宅かし保険は国の指定が要り、保険法人は全国に5つしかない。
中古の家の市場も伸びる。買い取って直して売る会社向けのローンや、性能の評価の仕事は、新築が減っても増える。省エネの基準の義務化で、評価と証明の需要は10年続く。
利益は景気の谷でも赤字になったことが無い。工務店の数が減っても、残る工務店のシェアを取れば件数は保てる。
回収の事務の報酬は、貸したローンの残高に応じて毎年入り、積み上がるほど利益が安定する。
慎重な見方
市場は確実に縮む。持家の着工は減り続け、工務店の数も後継ぎの不足で減る。新築の家にしか付かない住宅かし保険や地盤の保証は、数量が10年で2割近く減りうる。会社自身も、持家の着工の減少が一部の商品に効いていると認めている。
フラット35は値段の競争だ。金利と商品は機構が決め、各社が違いを出せるのは手数料だけだ。SBIアルヒなどの大手は規模で手数料を下げてくる。会社自身が「価格競争が激化」と書いている。
金利の上昇は追い風だけではない。ローンを機構に売るまで、会社は90億円の短期の借入で立て替える。その金利が上がれば、利益は削られる。2026年3月期も、調達の金利の上昇で原価が増えた。次の期は減益の予想だ。
制度にも左右される。フラット35は国の機構の商品で、その条件や役割が変われば、事業の前提が崩れる。
工務店向けの業務のソフトも、AIが書類を作る時代には値打ちが下がる。顧客の工務店が減れば、まとめて売る強みも小さくなる。
どちらに重みを置いたか
両方の言い分は互角に近い。金利の流れと顧客への入り込みは確かな強みだが、新築の数量が細ることと、手数料の競争は避けられない。中立は融資の件数をほぼ横ばい、保険の件数を1割減とし、手数料の単価は住宅の値上がりで物価に近く上がるとした。確率は中立を中心に、上と下をほぼ同じ厚さで置いた。立て替えの借入の金利の上昇をどこまで手数料に転嫁できるかを、次の2〜3年で見極める。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 982 円144 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 338 円50 億円)。 今の値に割り戻すと 659 円97 億円、今との差 +1.6%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,797 円264 億円 | 450 円66 億円 | +246.3% | +13.2% | 225 円33 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,386 円204 億円 | 395 円58 億円 | +174.4% | +10.6% | 392 円58 億円 |
| 中立 | 36% | 1,088 円160 億円 | 353 円52 億円 | +122.0% | +8.3% | 519 円76 億円 |
| やや悲観 | 22% | 419 円62 億円 | 299 円44 億円 | +10.7% | +1.0% | 158 円23 億円 |
| 悲観 | 10% | 136 円20 億円 | 136 円20 億円 | −58.1% | −8.3% | 27 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 982 円144 億円 | 338 円50 億円 | +103.4% | +7.4% | 1,320 円194 億円 |
今の株価時価総額 649 円95 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 固定金利の復権と中古の住宅で伸びる 利益 20 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,797 円264 億円
変動金利が上がり続け、固定金利のフラット35が住宅ローンの主役の1つに戻る。日本モーゲージサービスは工務店と買取再販の会社への入り込みを生かし、融資の件数は10年で2割半増える。住宅の値上がりで融資額も増え、1件の手数料は物価を上回る。
新築の着工は減るが、省エネ基準の評価と中古の住宅の検査が伸び、保険と検査の件数はほぼ保たれる。助っ人クラウドを使う工務店が増え、設備の保証の件数も5割増える。
営業利益は今の2倍近くになる。調達の金利の上昇は手数料の上乗せで吸収する。配当は利益の4割台を保ち、厚みを増す。
- 住宅金融(フラット35ほか):数量 5,600(融資の実行件数(件・年、推定))× 価格 118(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 20 億円。件数 1.24 倍・単価 1.36 倍・利益率 30%
- 住宅かし保険・地盤保証・性能評価:数量 63,000(保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定))× 価格 7.90(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 50 億円・営業利益 7 億円。件数 1.05 倍・単価 1.41 倍・利益率 14%
- 住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証):数量 45,000(住宅保証サービスの件数(件・年、推定))× 価格 2.90(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。件数 1.5 倍・単価 1.28 倍・利益率 16%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.25 倍、時価総額 264 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金利の上昇でフラット35が大きく見直され、中古の住宅の市場も伸びる筋書き。新築の減少をすべて補う必要があり、確度は低い。
やや楽観 22% 件数を保ち、検査と保証で上乗せ 利益 16 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,386 円204 億円
金利の上昇でフラット35は見直され、買取再販向けのローンも伸びる。融資の件数は10年で1割ほど増え、手数料の単価は住宅の値上がりで物価並みに上がる。手数料の競争は続くが、工務店への提案力で利益率は大きくは落ちない。
住宅かし保険は新築の減少で件数が少し減るが、性能の評価と適合の証明が補う。助っ人クラウドと設備の保証は、使う工務店が増えて件数が3割増える。
営業利益は今の1.5倍ほどになる。調達の金利の上昇は手数料と回収の報酬の積み上がりで吸収する。配当性向は4割台を保ち、自己資本はゆるやかに厚くなる。
- 住宅金融(フラット35ほか):数量 5,100(融資の実行件数(件・年、推定))× 価格 115(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 59 億円・営業利益 16 億円。件数 1.13 倍・単価 1.32 倍・利益率 28%
- 住宅かし保険・地盤保証・性能評価:数量 57,000(保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定))× 価格 7.70(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 44 億円・営業利益 5 億円。件数 0.95 倍・単価 1.37 倍・利益率 12.5%
- 住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証):数量 40,000(住宅保証サービスの件数(件・年、推定))× 価格 2.80(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。件数 1.33 倍・単価 1.24 倍・利益率 15%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.51 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:フラット35の見直しで融資の件数が1割ほど増え、検査と保証が伸びる筋書き。直近の流れの延長に近い。
中立 36% 新築は細るが、入り込みで件数を保つ 利益 14 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,088 円160 億円
新築の着工は10年で1割強減るが、中古の住宅と買取再販のローンが補い、融資の件数はほぼ横ばいを保つ。住宅の値上がりで融資額は増え、手数料の単価は物価をやや下回って上がる。大手との手数料の競争と、立て替えの借入の金利の上昇で、利益率は今より少し下がる。
住宅かし保険と地盤の保証は、新築の減少で件数が1割減る。性能の評価と適合の証明はその一部を補う。助っ人クラウドと設備の保証は、工務店への深い入り込みで件数を増やす。
営業利益は今より2割ほど増え、物価を除けば少し縮む。配当は利益の4割台で続く。縮む市場で顧客を深く押さえる、堅い会社であり続ける。
- 住宅金融(フラット35ほか):数量 4,700(融資の実行件数(件・年、推定))× 価格 113(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 14 億円。件数 1.04 倍・単価 1.30 倍・利益率 26%
- 住宅かし保険・地盤保証・性能評価:数量 54,000(保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定))× 価格 7.53(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。件数 0.9 倍・単価 1.34 倍・利益率 11%
- 住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証):数量 39,000(住宅保証サービスの件数(件・年、推定))× 価格 2.72(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。件数 1.3 倍・単価 1.2 倍(業務ソフトは AI 代替で物価を下回る)・利益率 13%
倍率:ROE 8.6% が k 8.5% をわずかに上回るので、決まりにより PER は 1÷k=11.8 倍を下回らせない。残る割合 1/2 で RONIC≒8.55%、正当化 PER も約 11.8 倍で、その値に置いた。純利益÷営業利益は過去の中央値 0.69 のまま。立て替えの借入の利払いは営業原価に入っている。償却は年 1 億円ほどで小さく分けない。
確率:融資の件数はほぼ横ばい、保険は1割減、手数料の単価は物価に近く上がる筋書き。会社の見通しと市場の流れにいちばん合う。
やや悲観 22% 手数料の競争と着工減で利益が細る 利益 6 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 419 円62 億円
銀行が固定金利のローンにも力を入れ、SBIアルヒなどの大手は規模で手数料を下げる。日本モーゲージサービスの融資の件数は10年で2割減り、手数料の単価も物価に届かない。立て替えの借入の金利は上がり、住宅金融の利益率は2割を割る。
新築の着工は2割減り、住宅かし保険と地盤の保証の件数も減る。指定の保険法人どうしの値下げの競争で、利益率は半分になる。工務店の数も減り、業務のクラウドの件数も伸び悩む。
営業利益は今の6割ほどに細る。配当の額は守るが、性向は7割近くまで上がる。ROEは資本コストを下回り、ためた利益は帳簿ほどの値打ちを持たない。
- 住宅金融(フラット35ほか):数量 3,800(融資の実行件数(件・年、推定))× 価格 100(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 7 億円。件数 0.84 倍・単価 1.15 倍・利益率 18%
- 住宅かし保険・地盤保証・性能評価:数量 45,000(保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定))× 価格 7.00(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。件数 0.75 倍・単価 1.25 倍・利益率 6%
- 住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証):数量 33,000(住宅保証サービスの件数(件・年、推定))× 価格 2.50(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。件数 1.1 倍・単価 1.11 倍・利益率 8%
倍率:ROE 5% は k を下回るので PER の上限は 1÷k=11.8 倍。価値はこの筋書きの稼ぐ力(純利益 6.5 億÷k≒76 億)まで。8 割の 9.5 倍に置いた。
確率:手数料の値下げと新築の減少が重なり、利益率が下がる筋書き。会社自身が競争の激化を認めており、2割強とした。
悲観 10% 制度が変わり、ローンの柱が崩れる 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 136 円20 億円
国の住宅政策が変わり、フラット35の条件が厳しくなる。銀行が固定金利のローンでも安さで圧倒し、日本モーゲージサービスの融資の件数は10年で半分近くに減る。立て替えの借入の金利の上昇もあり、住宅金融は赤字になる。
新築の着工は大きく減り、住宅かし保険の件数も4割近く減る。保険法人どうしの値下げで、利益はほぼ消える。業務のクラウドは工務店の減少と、AIが書類の作成を肩代わりする流れで伸びない。
会社は営業の拠点を減らし、配当を絞って生き残る。現金は保険の前受金と預り金の見合いが多く、株主に残る値打ちは、貸付金を機構に売り切った後の正味の資産の一部にとどまる。
- 住宅金融(フラット35ほか):数量 2,500(融資の実行件数(件・年、推定))× 価格 90(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 −1 億円。件数 0.56 倍・単価 1.04 倍・赤字
- 住宅かし保険・地盤保証・性能評価:数量 38,000(保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定))× 価格 6.50(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。件数 0.63 倍・単価 1.16 倍・損益ゼロ
- 住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証):数量 28,000(住宅保証サービスの件数(件・年、推定))× 価格 2.30(1 件あたりの営業収益(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。件数 0.93 倍・単価 1.02 倍・損益ゼロ
倍率:赤字の筋書きなので PBR で置き、今の自己資本 95.4 億に掛けた。稼ぐ力の床は無く、床は売れる資産の約 20 億。時価総額 20 億で PBR 0.21 倍。
確率:フラット35の条件や機構の役割が変わり、銀行に押されてローンの柱が崩れる構造的な負け。赤字の年が無く、保険の柱もあるので1割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅金融(フラット35ほか)
フラット35を中心とする住宅ローンを出し、住宅金融支援機構に売って融資の手数料と回収の報酬を得る。買取再販向けのローンも含む。
| 数量融資の実行件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの営業収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,500 | 87 | 39 | 11 |
| 10 年後 中立 | 4,700 | 113 | 53 | 14 |
取り方:件数の実数は開示が無いので推定(前期比 +5.6% の開示のみ)。売上 39.1 億を、1 件あたり 86.9 万円(融資額 3,500 万円前後に対する手数料と、回収の報酬・その他のローンの収益を含む)で割り、年 4,500 件とした。物価 3% と住宅の値上がりによる融資額の増加は単価に入れた。
住宅かし保険・地盤保証・性能評価
国の指定の保険法人として売る新築住宅かし保険、地盤の保証、住宅の性能の評価、フラット35の適合の証明など。
| 数量保険証券・保証書・評価書などの発行件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの営業収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60,000 | 5.62 | 34 | 4 |
| 10 年後 中立 | 54,000 | 7.53 | 41 | 4 |
取り方:発行件数の実数は開示が無いので推定(前期比 +2.5% の開示のみ)。売上 33.7 億を 1 件あたり 5.62 万円で割り、年 6 万件とした。数量は新築の着工に連動し、省エネ基準の評価の増加が一部を補う。物価 3% は単価に入れた。
住宅アカデメイア(業務クラウド・設備の保証)
工務店向けの業務のクラウド「助っ人クラウド」と、引き渡し後の住宅の設備の保証。
| 数量住宅保証サービスの件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの営業収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30,000 | 2.26 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 39,000 | 2.72 | 11 | 1 |
取り方:件数の実数は開示が無いので推定(前期比 +4.4% の開示のみ)。売上 6.8 億を 1 件あたり 2.26 万円で割り、年 3 万件とした。クラウドの利用料も件数に比例するとみた。工務店の業務のソフトは AI エージェント代替の影響を受けるので、単価は物価を下回る。
リスクと懸念
手数料の値下げの競争
フラット35の金利と商品は機構が決め、各社の違いは手数料と対応の速さだけだ。SBIアルヒなどの大手は規模で手数料を下げる。会社自身も価格競争の激化を認めており、単価が物価に届かなければ利益率は下がる。
新築の着工の減少
持家の着工は減り続け、工務店の数も後継ぎの不足で減る。新築にしか付かない住宅かし保険と地盤の保証は、件数が10年で2割近く減りうる。中古の住宅の伸びがどこまで補えるかが分かれ目だ。
立て替えの借入の金利
ローンを機構に売るまで、会社は短期の借入で立て替える。期末の借入は90億円で、金利が1%上がれば年1億円近い費用になる。2026年3月期も、調達の金利の上昇で原価が増えた。
フラット35の制度への依存
主力のローンは国の機構の商品だ。条件の見直しや機構の役割の変更があれば、事業の前提が変わる。単一の制度に頼る分、他の住宅ローンの会社より身動きが取りにくい。
AIエージェント代替(業務ソフト)
工務店向けの業務のクラウドは小さいが、AIが書類の作成や手続きを肩代わりするようになれば、画面で操作するソフトの値打ちは下がる。売上の1割未満なので、全体への影響は限られる。
今後の分かれ目
- フラット35の市場の件数が2年続けて1割以上増える
- 固定金利の見直しが本物と見て、やや楽観の確率を上げる。
- 住宅金融の営業利益率が2期続けて2割を割る
- 手数料の競争と調達の金利に負けていると見て、やや悲観の確率を上げる。
- 住宅金融支援機構がフラット35の条件や役割を大きく変える
- 制度の前提が変わったと見て、悲観の確率を上げる。
- 持家の着工が年20万戸を割る
- 保険と検査の数量の見通しを下げる。
- 大手の住宅ローンの会社や住宅会社から提携や買収の申し出が出る
- 工務店の網に値段が付く。本質価値とは別の上振れとして扱う。
見ておくもの
- 融資の実行件数と融資額(前期比)
- 住宅金融の営業利益率
- 住宅かし保険などの発行件数
- 持家の新設住宅着工戸数
- 短期の借入の金利と残高
倍率と資本コストの決め方
住宅金融は融資の件数(推定)× 1 件の収益、保険は発行件数(推定)× 1 件の収益、業務ソフトは保証の件数(推定)× 1 件の収益で積み、物価 3% は単価に入れた。k は 7.5% に quality +1.0% で 8.5%(SBIアルヒより 0.25% 低い理由は quality_why)。中立は ROE が k をわずかに上回るので PER は 1÷k。借入はローンの立て替えで、現金は前受金と預り金の見合いがあるので余った現金は立てない。今の PER・PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.2→13.25 倍・やや楽観 PER 12→12.51 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質の調整+1.0%を足した。