結論
ニッポンインシュアは、賃貸住宅の入居者の連帯保証人の代わりを引き受ける、福岡発の家賃保証会社だ。筆者の結論は「ほぼ適正」で、利益の質は高いが、伸びの源と現金の使い道に不安が残る。
強みは回収の腕だ。立て替えた家賃の回収率は 99% 前後で、貸倒をほとんど出さない。不動産管理会社から生まれた会社で、管理会社との結びつきが新しい取引を呼ぶ。2026 年 9 月期の営業利益率は 24% 前後と高い。
ただ、初回の保証契約の件数はここ 3 年ほぼ横ばいだ。利益の伸びは、更新料と月額の保証料が積み上がる効果による。この効果は、解約と釣り合う所でいずれ止まる。
もう一つは現金だ。配当性向は 1 割で、自社株買いもない。稼いだ現金は 10 年で 50 億円以上積み上がるが、創業に関わった不動産会社と経営陣が過半を持ち、株主に戻る道筋は見えない。
筆者は、10 年後の営業利益を 13 億円台とみる。今の 1.3 倍で、悪くない伸びだが、今の値段はそれをおおむね織り込んでいる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ニッポンインシュアは「良い商売だが、資本の使い方が見えない会社」だ。
商売の良さは本物だ。保証は設備がほとんど要らず、回収の腕があれば高い利益率が続く。稼いだ利益は、ほぼそのままオーナーの利益になる。10 年後も、賃貸の契約に保証会社が要る仕組みは変わらない。
不安は二つある。一つは伸びの源だ。初回の件数は横ばいで、更新料の積み上がりはいずれ止まる。もう一つは現金だ。配当性向 1 割のままでは、稼いだ現金が少数株主に戻らない。眠る現金は ROE を下げ、株主の価値を目減りさせる。
筆者は、事業の価値には今の値段で見合うと見るが、安全域は薄い。還元の方針が変われば、評価は一段上がる。オーナーとして持つなら、まず配当性向と自社株買いの動きを見たい。それが、経営が株主の資本をどう扱うかを最もよく表すからだ。
何で稼ぐ会社か
家賃保証の仕組みは単純だ。入居者が家賃を払えない時、保証会社が家主に立て替えて払い、あとで入居者から回収する。保証会社は、その引き受けの対価として保証料を受け取る。
保証料は 3 種類ある。契約の時に払う初回の保証料(家賃の 5 割前後が多い)、1 年ごとの更新料、毎月の保証料だ。2025 年 9 月期の着金では、初回が約 20 億円、更新が約 10 億円、月額が約 4 億円だった。初回の件数は年 3.4 万件前後で、単価は家賃の水準で決まる。
取引の窓口は不動産管理会社だ。管理会社が入居者に保証の利用を求め、提携する保証会社を案内する。ニッポンインシュアは、福岡、神奈川、東京、新潟、大阪、仙台、名古屋の 7 拠点で管理会社と取引する。
介護費と入院費の保証、ランドリーとフィットネスのフランチャイズも営むが、売上の 9 割以上は家賃保証だ。2026 年 9 月期は、売上 42 億円、営業利益 10 億円を見込む。
会計の上では、初回の保証料は保証の期間に分けて売上になる。だから着金が横ばいでも、過去の契約の分が売上を押し上げる。この時間差が、今の売上の伸びの一部を説明する。
優良さと弱いところ
優良さの核は、審査と回収の腕にある。立て替えた家賃の発生率は 6% 前後、回収率は 99% 前後で、この水準を何年も保っている。保証は貸倒が利益を食う商売なので、回収の腕はそのまま利益率になる。
管理会社との結びつきも強い。会社は不動産管理会社から生まれ、大株主にも管理会社が並ぶ。管理会社の悩みに合わせて商品を作り、紹介で取引を広げてきた。管理会社が保証会社を変えるのは手間がかかる。
弱いのは、値決めの力だ。家賃保証の会社は数多く、料率で争う。初回の単価は 3Q で前年比 2% 下がった。全国のシェアは約 1.5% と小さく、規模の利もない。
資本効率は今は高い。ROE は 20% を超える。ただし、配当性向が 1 割で現金がたまり続けるため、このまま行けば ROE は年を追って下がっていく。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家賃保証の市場は約 2,500 億円とされる。賃貸住宅の契約で保証会社の利用を必須とする管理会社は 9 割を超え、連帯保証人に代わる仕組みとして定着した。2020 年の民法改正で個人の連帯保証人に上限額の定めが要るようになり、流れは決定的になった。
需要は、賃貸の契約の数で決まる。単身の世帯、高齢者、外国人の入居は増えるが、人口は減る。利用の割合はすでに 9 割を超え、市場全体の件数は大きくは伸びない。伸びるのは、家賃の上昇に比例する保証料の単価だ。
競争は激しい。信販系の大手、独立系の全保連や日本セーフティー、上場するジェイリースなどが、管理会社の取引を取り合う。料率は下がりやすく、伸びる会社は他社からシェアを奪う会社に限られる。
景気の谷では、滞納が増え、立て替えた家賃の回収が難しくなる。物価高で家計が苦しい今も、発生率がじわりと上がる危うさがある。2025 年の住宅セーフティネット法の改正は、高齢者などの入居を支える保証の役割を広げ、追い風になる。オンラインの入居の申し込みとつながる仕組みも、管理会社の手間を減らす武器になる。
資本政策と M&A
配当は年 1 回で、配当性向 10% 以上を下限の目安とする。2026 年 9 月期は増配の予定だが、性向は 1 割にとどまる。会社は成長への投資を優先すると説明するが、保証の事業は設備をほとんど使わず、稼いだ現金はたまる一方だ。
大株主は、豊島不動産、M サポート、サンコー管理の 3 社で約 3 割を持ち、創業家と経営陣を合わせると過半に近い。TOB で買われる筋書きは、大株主が同意しない限り考えにくい。新株予約権が少しあり、行使されれば株主の取り分は約 2% 薄まる。
買収の実績はなく、今後も拠点を増やす形で伸ばす方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
回収率 99% は、この業界でも際立つ数字だ。貸倒をほとんど出さないので、保証料の多くが利益として残る。2026 年 9 月期の 3Q の営業利益は前年比 5 割増で、通期の予想も上方修正した。
利益の伸びは一時のものではない。更新料と月額の保証料は、契約が続く限り毎年入ってくる。3Q の月額の保証料は前年比 37% 増だった。ストックの収入が積み上がるほど、利益は安定する。
市場にも追い風がある。家賃は物価とともに上がり、保証料も比例して上がる。住宅セーフティネット法の改正で、高齢者や単身者の入居の保証が広がる。東京、大阪、名古屋の拠点は、まだ育ち始めたばかりだ。
ROE は 20% を超え、借金もない。全国のシェアは 1.5% にすぎず、伸びしろは大きい。
業界は小さな会社が多く、いずれ再編が進む。回収の腕を持つ会社は、買う側にも買われる側にもなれる。どちらに転んでも、株主には悪くない。
慎重な見方
初回の保証契約の件数は、2023 年 9 月期の 3.2 万件から 2025 年 9 月期の 3.4 万件へ、ほぼ横ばいだ。2026 年 9 月期の 3Q も前年比で 1% 減った。新しい客が増えないのに、伸びが続くはずがない。
更新料の積み上がりは、解約と釣り合う所で止まる。今の高い伸びは、上場前後の契約が更新の時期を迎えた一度きりの効果に近い。初回の単価も前年比 2% 下がった。料率の競争は始まっている。
現金の使い道も問題だ。配当性向 1 割で、自社株買いもない。大株主の不動産会社と経営陣が過半を持ち、少数株主の声は届きにくい。
保証は景気の谷で牙をむく。物価高で家計は苦しく、滞納が増えれば回収率 99% は保てない。上場して 3 年、本当の不況をまだ経験していない。
高い利益率は、同業から見れば値下げの余地でもある。大手が本気で料率を下げれば、管理会社は簡単に乗り換える。大株主の管理会社の取引が、利益のどれだけを支えているかも開示されていない。
どちらに重みを置いたか
どちらにも理がある。回収の腕は確かだが、初回の件数が横ばいという事実は重い。伸びの多くはストックの積み上がりで、いずれ鈍る。
確率は中立を 4 割弱とし、楽観側と悲観側をそれぞれ 3 割前後と釣り合わせた。現金が戻るかどうかは筋書きでなく戻り方の係数で見た。回収率の実績は楽観の根拠になるが、不況を経験していない点で割り引いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 5,406 円155 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 283 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 2,579 円74 億円、今との差 +16.2%、 期待の年率 +9.9%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 9,627 円276 億円 | 410 円12 億円 | +352.3% | +16.3% | 803 円23 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,769 円223 億円 | 341 円10 億円 | +265.5% | +13.8% | 1,784 円51 億円 |
| 中立 | 38% | 6,137 円176 億円 | 307 円9 億円 | +190.4% | +11.3% | 2,449 円70 億円 |
| やや悲観 | 22% | 2,438 円70 億円 | 205 円6 億円 | +19.1% | +1.8% | 582 円17 億円 |
| 悲観 | 10% | 581 円17 億円 | 137 円4 億円 | −67.7% | −10.7% | 72 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,406 円155 億円 | 283 円8 億円 | +156.4% | +9.9% | 5,689 円163 億円 |
今の株価時価総額 2,219 円64 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 大都市でシェアを取り、介護・入院の保証も育つ 利益 15 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 9,627 円276 億円
東京・大阪・名古屋の拠点が不動産管理会社の取引を広げ、初回の保証契約は年 4 万件台に乗る。保証中の契約は 10 年で 1.6 倍になり、全国のシェアは 2% を超える。
家賃は物価並みに上がり、保証料も家賃に比例して増える。介護費と入院費の保証も小さな柱に育つ。審査と回収の質は保たれ、立て替えた家賃の回収率は 99% 前後を続ける。
営業利益率は 28% まで上がり、営業利益は 20 億円を超える。配当性向は低いままで、現金は事業に要る額を大きく超えて積み上がる。その一部は自社株買いに回り、株主にも少しずつ戻り始める。
- 家賃債務保証:数量 208,000(保証中の契約(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目))→ 売上 73 億円・営業利益 21 億円。数量 208000.0 × 価格 0.0004、営業利益率 28.0%
- フランチャイズ(ランドリー・フィットネス):数量 130(店の数に換算(指数、今 100))× 価格 0.03(1 単位あたりの売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量 130.0 × 価格 0.0295、営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 30.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)34 億円。全体の PER 17.65 倍、時価総額 282 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:初回の保証契約の件数はここ 3 年ほぼ横ばいで、件数が大きく伸びる証拠はまだ無い。大都市の拠点が実を結ぶ筋書きとして 8% にとどめた。
やや楽観 22% 更新と月額の保証料が積み上がる 利益 12 億円 · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 7,769 円223 億円
初回の保証契約は年 3 万件台後半へ少しずつ増え、更新料と月額の保証料を払う契約が積み上がる。保証中の契約は 10 年で 1.45 倍になる。
保証料は家賃に比例するので、家賃の上昇とともに単価も上がる。ただし同業との競争で料率は少しずつ下がり、単価は 1.25 倍にとどまる。
営業利益率は 26% を保ち、営業利益は 17 億円近くになる。現金は配当より速く積み上がり、自己資本は 4 倍になるが、その多くは使われずに眠る。ROE は利益の伸びほどには上がらず、年を追って下がっていく。介護費と入院費の保証は、まだ小さな試みのままだ。
- 家賃債務保証:数量 188,500(保証中の契約(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目))→ 売上 64 億円・営業利益 17 億円。数量 188500.0 × 価格 0.0003、営業利益率 26.0%
- フランチャイズ(ランドリー・フィットネス):数量 115(店の数に換算(指数、今 100))× 価格 0.03(1 単位あたりの売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 115.0 × 価格 0.0295、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 28.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)31 億円。全体の PER 17.35 倍、時価総額 228 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:更新料と月額の保証料のストックは 3Q で前年比 1 割超から 4 割近く伸びている。初回の件数が横ばいでも、ストックの積み上がりで伸びる筋書きは無理がないので 2 割強を置いた。
中立 38% 件数は緩やかに増え、利益率は今を保つ 利益 10 億円 · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 6,137 円176 億円
10 年後のニッポンインシュアは、福岡発の中堅の家賃保証会社として、全国の大都市に根を張っている。保証中の契約は 1.3 倍に増えるが、伸びは年を追って鈍る。初回の件数が横ばいなら、ストックは解約と釣り合う所で止まるからだ。
保証料は家賃に比例し、10 年で 1.2 倍になる。家賃は物価並みに上がるが、同業との競争で料率は下がる。立て替えた家賃の発生率は 6% 前後、回収率は 99% 前後を保つ。
営業利益率は 24% と今の水準を保ち、営業利益は 13 億円台になる。配当性向は 1 割強で、現金は事業に要る額を超えて 50 億円以上積み上がる。
- 家賃債務保証:数量 169,000(保証中の契約(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目))→ 売上 55 億円・営業利益 13 億円。数量 169000.0 × 価格 0.0003、営業利益率 24.0%
- フランチャイズ(ランドリー・フィットネス):数量 100(店の数に換算(指数、今 100))× 価格 0.03(1 単位あたりの売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 100.0 × 価格 0.0295、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 17.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)28 億円。全体の PER 17.01 倍、時価総額 180 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:初回の件数は横ばいで、ストックの保証料が伸びて全体を押し上げる今の形が、伸びを落としながら続く筋書き。会社の 2026 年 9 月期の修正予想(営業利益 10.25 億円)の延長上にある。
やや悲観 22% 競争で料率が下がり、利益率が半減 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,438 円70 億円
同業との競争で初回の保証料率が下がり、単価は物価に届かず 1.1 倍にとどまる。保証中の契約は 1.1 倍にしか増えない。大都市の拠点の費用が先に重くなる。
物価高で家賃を払えない入居者が増え、立て替えの発生率は 8% 台に上がる。回収率も落ち、貸倒の費用がかさむ。営業利益率は 15% に下がり、営業利益は今より 2 割少ない。
会社は残り、配当も細く続くが、伸びる会社という見方は消える。現金は積み上がるが、株主に戻る道筋は見えない。大都市の拠点の一部は閉じ、福岡を中心とした地方の会社に戻っていく。
- 家賃債務保証:数量 143,000(保証中の契約(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 6 億円。数量 143000.0 × 価格 0.0003、営業利益率 15.0%
- フランチャイズ(ランドリー・フィットネス):数量 90.0(店の数に換算(指数、今 100))× 価格 0.03(1 単位あたりの売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 90.0 × 価格 0.0295、営業利益率 3.0%
倍率:事業の ROE 15% 台は k 8.5% を上回るが、縮む利益なので PER は 1÷k の 11.8 倍とし、上には置かない。積み上がった現金は戻り方 0.5 で足した。
確率:家賃保証は参入が多く、大手の信販系や独立系が料率で争う。初回の単価は 3Q で前年比 2% 下がった。値下げ競争が続く形は十分ありうるので 2 割強を置いた。
悲観 10% 不況で貸倒が跳ね、料率の競争に負ける 利益 1 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 581 円17 億円
大きな不況で失業が増え、家賃の滞納が急増する。立て替えた家賃の回収率は 9 割を割り、貸倒の費用が保証料の稼ぎを食う。同時に、大手の信販系が料率を下げて管理会社を取りに来る。
保証中の契約は 15% 減り、単価も上がらない。営業利益は 1 億円を割り込む。規制が強まり、取り立ての費用も増える。
会社は清算されないので、株主の手元に残るのは、積み上がった現金の一部だけだ。創業に関わった不動産会社と経営陣が過半を持ち、現金が株主に戻る保証は無い。会社は守りに入り、新しい拠点も閉じていく。保証の会社としての信用も傷み、管理会社の取引はさらに細る。
- 家賃債務保証:数量 110,500(保証中の契約(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。数量 110500.0 × 価格 0.0003、営業利益率 3.0%
- フランチャイズ(ランドリー・フィットネス):数量 80.0(店の数に換算(指数、今 100))× 価格 0.03(1 単位あたりの売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量 80.0 × 価格 0.0295、営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力では値が付かないため、積み上がる現金に戻り方 0.5 を掛けた 17 億円を床とし、今の自己資本 24.9 億円に掛けて PBR 0.68 倍とした。
確率:不況で家賃の滞納が急増し、立て替えた家賃が回収できない構造的な負け筋。回収率 99% の実績と、まだ上場から日が浅いことの両方を踏まえて 1 割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家賃債務保証
賃貸住宅・事業用・駐車場の家賃の保証。初回・更新・月額の保証料を受け取る。介護費・入院費の保証を含む。
| 数量保証中の契約(件、推定) | 価格1 件あたりの年の保証料収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 130,000 | 0.00 | 35 | 7 |
| 10 年後 中立 | 169,000 | 0.00 | 55 | 13 |
取り方:保証中の契約数は開示が無く、初回の年 3.4 万件と更新料の着金 約 10 億円(1 件あたり年 0.0001 億円前後)から 約 13 万件と推定。売上 35.2 億円(全社 37.4 億円からフランチャイズの分を引いた額)を割って 1 件あたり年 0.00027 億円。価格は家賃に比例し、競争で料率が下がるので中立 1.2 倍。
フランチャイズ(ランドリー・フィットネス)
フランチャイジーとしてのコインランドリーとフィットネスの運営。
| 数量店の数に換算(指数、今 100) | 価格1 単位あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 100 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.03 | 3 | 0 |
取り方:店の数は開示が無く、売上 約 2.2 億円を指数 100 で置いた(売上の 6% と小さく、推定)。価格は物価並み。
リスクと懸念
初回の件数の横ばい
初回の保証契約は 3 年ほぼ横ばいで、2026 年 9 月期の 3Q は前年比 1% 減った。今の伸びは更新料と月額の保証料の積み上がりによるもので、いずれ解約と釣り合って止まる。
不況での貸倒
景気の谷では滞納が増え、立て替えた家賃の回収が難しくなる。上場から 3 年で、本当の不況での回収率はまだ試されていない。
料率の競争
家賃保証の会社は多く、管理会社の取引を料率で争う。初回の単価は前年比 2% 下がった。大手の信販系が値下げで攻めれば、利益率は大きく下がる。
現金が戻らない
配当性向は 1 割で、自社株買いもない。大株主の不動産会社と経営陣が過半を持ち、10 年で積み上がる 50 億円以上の現金が少数株主に戻る保証は無い。
規制の強化
家賃保証は国土交通省の登録制度の下にある。取り立ての方法や情報の扱いの規制が強まれば、回収の費用が上がる。
今後の分かれ目
- 初回の保証契約の件数が年 1 割以上増える
- 大都市の拠点が実を結んだとみて、やや楽観に寄る。
- 配当性向を 3 割以上に上げるか、自社株買いを始める
- 現金の戻り方を 0.75 以上に見直し、評価を上げる。
- 立て替えの発生率が 8% を超える
- 貸倒の費用が増えるやや悲観の筋書きに近づく。
- 初回の単価が 2 年続けて下がる
- 料率の競争が本格化したとみて、評価を下げる。
- 同業の大手が TOB を仕掛ける
- 大株主が応じれば、現金の価値も含めた値段が付く。
見ておくもの
- 初回の保証契約の件数と単価
- 更新料・月額の保証料の伸び
- 求償債権の発生率と回収率
- 配当性向と自社株買い
- 東京・大阪・名古屋の拠点の契約数
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 8.5%(基本 7.5% + quality 1.0%)と、現金を除いた事業の ROE から正当化 PER を出し、中立はその 8 割の 13.6 倍とした。配当性向が 1 割と低く、10 年で事業に要る自己資本(売上の 6 割)を超えて積み上がる現金は、筋書きごとに額を書いて戻り方 0.5 で足した。今の PER や PBR は見ていない。今の現預金は前受けの保証料などの見合いとして分けていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15→17.65 倍・やや楽観 PER 13.9→17.35 倍・中立 PER 13.6→17.01 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.0%。同じ領域のジェイリース(+1.25%)より、回収率の高さで少し低く置いた。