結論
ジャックスは、自動車ローンや分割払い、カード、銀行ローンの保証を手がける信販会社だ。三菱UFJ銀行が約 4 割を持つ。筆者の結論は、事業は続くが、資金の調達費が上がる世界では稼ぐ力が細り、今の値段はやや高い、というものだ。
稼ぎの源は、借りたお金を貸す利ざやと、保証料や手数料にある。この形は金利が上がると弱い。純有利子負債は約 2.7 兆円ある。自己資本は 3,000 億円足らずで、自己資本比率は 8% を切る。借入の金利が 1% 台から 3% 台へ切り替わると、貸出の金利を上げるだけでは追いつかない年が続く。会社自身が、2027 年 3 月期の営業利益を前の期の半分の 110 億円と見込み、中期計画の最終年度の数字を取り下げた。
支えもある。三菱UFJ銀行は 2025 年に約 390 億円を出し、自己資本を厚くした。銀行ローンの保証は同行向けが伸びている。貸出の期間が短いので、10 年あれば金利の上昇分は貸出の金利にかなり移せる。
それでも、移し切れるとは限らない。自動車ローンは利上げの影響でシェアを落とした。海外はインドネシアの赤字が重い。中立の筋書きで ROE(自己資本に対する利益の割合)は 6% 台にとどまり、資本コストに届かない。
確率で重みをつけた本質価値は、今の時価総額を1割ほど下回る。割安と呼ぶ根拠は弱い。安全域が厚いのは、買収や再編の可能性がある点だけだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を持ち続けたいかと問われれば、答えは否に近い。理由は、事業の本質にある。
ジャックスは、借りたお金を貸して稼ぐ。稼ぎのうち、借入の金利に消える割合が大きい。金利が上がれば、利益は貸出の金利を上げられる範囲でしか守れない。持ち主に残る利益は、金利と競争の都合で決まる。
次に、資本の使い方を見る。この事業は貸出が増えるほど借入と自己資本が要る。利益の多くは、貸出の拡大を支える自己資本へ回る。配当は安定しているが、稼ぐ力が細れば出せる額も減る。
安全域は、薄い。自己資本比率は 8% を切る。貸倒関連費用が 1 割増えるだけで、営業利益の 15% が消える。三菱UFJ銀行の増資で当面の不安は消えたが、それは持ち主の価値を厚くしたわけではなく、薄まった株を増やしただけだ。
それでも、価値がゼロに近いわけではない。銀行保証は強い事業で、三菱UFJ銀行との関係が深まる限り安定して稼ぐ。事業は 10 年後も存在する。今の値段は、その価値をおおよそ反映している。大きな割安を期待する理由は見当たらない。買うなら、金利の転嫁が進んで利益の底が見えてからでよい。
何で稼ぐ会社か
ジャックスは、モノやサービスの代金を分割で払う仕組みを支える信販会社だ。稼ぎ方は 4 つに分かれる。
1 つ目はクレジットだ。自動車ローンと、住宅リフォームなどの分割払いが入る。取扱高は年 1.4 兆円で、営業収益はいちばん大きい。販売店を通じて客を集め、ローンの利息と手数料を受け取る。
2 つ目はペイメントだ。カードのショッピングとキャッシング、家賃の保証、集金の代行が入る。取扱高は 3 兆円を超えるが、利益率は低い。家賃保証と集金代行は伸び、カードは減っている。
3 つ目はファイナンスだ。銀行の個人ローンを保証する事業である。借り手が返せなくなれば、ジャックスが銀行に代わって払う。その見返りに保証料を受け取る。三菱UFJ銀行と地方銀行の取扱いが増え、投資用マンションの住宅ローン保証も伸びている。
4 つ目は海外だ。ベトナムとカンボジアは黒字で、インドネシアは大きな赤字になっている。インドネシアは取扱いを止めて立て直し、フィリピンは審査を厳しくして取扱高が減った。
事業の形は貸金業に近い。借入で資金を集めて貸し、利ざやと手数料で稼ぐ。純有利子負債は約 2.7 兆円、自己資本比率は 8% 未満だ。2025 年には三菱UFJ銀行が約 390 億円を出資し、発行済みの株は 3 割近く増えた。営業収益は 13 期連続で増えたが、営業利益は 2 期続けて減った。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、厚くない。ジャックスの強みは、全国の販売店と銀行を結ぶ網にある。自動車ディーラーや住宅設備の販売店は、長い取引の中で、審査と立替払いをジャックスに任せている。この網は簡単には置き換わらない。ただ、その網の上で売る商品は、ローンという代わりのきく品だ。
値段を決める力は弱い。自動車ローンは、銀行の自動車ローンやオリコ、セディナなどの競合と、金利で比べられる。会社は、利上げの影響でシェアが下がったと説明している。強みの網があっても、客は金利の安い方へ動く。保証料も、銀行との交渉で決まる面が大きい。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 6.9%だ。低金利で調達費が安かった 2022 年から 2024 年の 3 年だけ、10% 前後に乗った。この水準は、いまの金利では再現しにくい。
借金の重さも気になる。自己資本比率は 8% を切る。貸倒が増える年や調達の金利が上がる年に、利益がすぐに薄くなる。2008 年 3 月期には赤字を出した。
経営は、三菱UFJ銀行という後ろ盾が付いたことで、資金繰りの不安は小さくなった。一方で、中期計画の数字を取り下げた点と、インドネシアの失敗は、読みの甘さを示している。筆者は、この会社を強い事業とは見ない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
信販の需要は、まだ広がっている。日本のカードのショッピング取扱高は、2025 年に 134.6 兆円と、4 年で 1.66 倍になった。現金からの置き換えが続くので、今後も年 5〜8% の伸びが見込まれる。ただ、この伸びを取っているのは、経済圏を持つ大手のカードだ。ジャックスの本業は分割払いと銀行保証で、カードの伸びの恩恵は小さい。
自動車ローンは、競争が厳しい。人口が減り、新車の販売台数は横ばいから緩やかな減少が続く。販売店の分割払いは、銀行の自動車ローンへ流れやすい。金利が上がる局面では、銀行系が資金の調達で有利になる。ジャックスは、取扱高を追う方針から、利益を重んじる「量から質」へ切り替えた。
銀行ローンの保証は、追い風が続く。銀行は個人ローンを増やしたいが、審査と回収の負担を保証会社に預けたい。MUFG と地方銀行の取扱いが増えているのは、この流れだ。保証は貸倒の責任を負うので、景気の悪い年には損失が出る。ただ、利ざやで稼ぐ事業と違い、調達金利の上昇を直接は受けない。
金利の変化は、業界全体を揺らす。信販会社は、短期の借入で長めの貸出をする。調達費が先に上がり、貸出金利への転嫁は後から追いつく。ジャックスは分割払いとリボ払いの手数料を引き上げる策を出したが、競合が同じ動きをするとは限らない。
海外は、東南アジアの二輪・四輪の割賦が中心だ。ベトナムの四輪の電気自動車の需要が伸び、カンボジアは営業エリアを広げて黒字になった。インドネシアは、貸倒の悪化で取扱いを止めた。成長はあるが、現地の景気と通貨に左右される。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、三菱UFJ銀行との関係だ。同行は 2007 年から株主で、2025 年に約 390 億円の第三者割当を引き受けた。出資比率は約 2 割から約 4 割に上がり、ジャックスは同行の持分法適用会社のままだ。調達資金は成長のための M&A にも使う方針とされる。
還元の方針は「DOE 3.0% または配当性向 40% の高い方」で、安定配当を重んじる。2027 年 3 月期は利益が半分になる計画なのに配当を保つため、配当性向は約 9 割に上がる。増資で株が増えたので、1 株あたりの利益は薄まっている。
M&A は、これから使う場面だ。三菱UFJ銀行の信用を背に、国内の信販や保証、海外の割賦会社を買う余地がある。ただ、インドネシアの失敗が示すように、買った事業を立て直せるかが問われる。
再編の面では、三菱UFJ銀行が持分を増やして完全子会社にする道がある。kabufu の推定では、10 年以内の TOB・買収の確率は約 2 割だ。TOB が起きれば株主には追い風だが、筆者はその可能性を値打ちに織り込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
金利の逆風は、会社が自分で数字に織り込み済みで、あとは回復の局面に入る。強気の見方はこうだ。
第 1 に、後ろ盾が付いた。三菱UFJ銀行は約 390 億円を出し、出資比率を約 4 割へ上げた。自己資本が厚くなり、資金繰りの不安は小さい。調達の条件も、銀行の信用が支える。
第 2 に、銀行ローンの保証が伸びている。三菱UFJ銀行と地方銀行の取扱いが増え、投資用マンションの保証も増えた。この事業は利益率が高く、調達金利の上昇を直接は受けない。
第 3 に、貸出は短い。自動車ローンも分割払いも、数年で入れ替わる。調達費が上がっても、新しい貸出の金利を引き上げれば、10 年で転嫁はほぼ終わる。会社は分割とリボの手数料の引き上げを始めた。
第 4 に、海外の赤字は縮む。インドネシアは取扱いを止め、黒字化を 2028 年 3 月期に見込む。ベトナムとカンボジアはすでに黒字だ。
最後に、過去の実績がある。低金利の 3 年間は、ROE が 10% 前後に上がった。転嫁が済めば、経常利益 300 億円へ戻るという会社の目標は、無理な数字ではない。
慎重な見方
慎重な見方はこうだ。利ざやが細る構造は、手数料の引き上げでは覆せない。
第 1 に、調達費の上がり方が重い。金融費用は前の期に 26% 増え、今期は 25% の増加を見込む。それでも調達の金利は、まだ全部は切り替わっていない。残りが切り替われば、さらに利益が削られる。
第 2 に、貸出金利を上げれば客が逃げる。自動車ローンは、利上げの影響でシェアが下がったと会社自身が説明している。銀行の自動車ローンやオリコ、セディナも同じ調達環境に立つ。上げた分だけ客を失う。
第 3 に、計画が崩れた。中期計画の最終年度の数字を取り下げた会社は、先の見通しに自信がないということだ。インドネシアの赤字は 33 億円を超え、拡大した。
第 4 に、貸倒だ。貸倒関連費用は営業利益より大きい。景気が悪くなれば、自己資本比率 8% を切る会社の利益は一気に消える。2008 年 3 月期には赤字を出した。
最後に、増資が示すこともある。約 390 億円の増資で株が 3 割近く増えた。業績を支える手当てが要ったと読める。1 株あたりの利益は薄まり、これからも薄まる恐れがある。
どちらに重みを置いたか
強い方は、慎重な見方だと判断した。後ろ盾と銀行保証の伸びは本物だが、調達費の上昇という構造の問題を打ち消すほどではない。会社自身が計画を取り下げたことも重い。
確率は、悲観側に寄せた。やや悲観を 27%、悲観を 17% と厚く置き、強気の 2 つの筋書きは合計 20% にとどめた。中立は、転嫁がおおむね進んで利益が 300 億円前後に戻る線だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,635 円2,076 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,071 円928 億円)。 今の値に割り戻すと 3,365 円1,507 億円、今との差 −1.6%、 期待の年率 +7.0%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 12,113 円5,425 億円 | 3,349 円1,500 億円 | +352.1% | +16.3% | 928 円416 億円 |
| やや楽観 | 14% | 8,294 円3,715 億円 | 2,791 円1,250 億円 | +224.1% | +12.5% | 1,552 円695 億円 |
| 中立 | 36% | 5,614 円2,515 億円 | 2,233 円1,000 億円 | +129.4% | +8.7% | 2,825 円1,265 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,854 円830 億円 | 2,009 円900 億円 | +13.0% | +1.2% | 1,043 円467 億円 |
| 悲観 | 17% | 1,324 円593 億円 | 781 円350 億円 | −38.4% | −4.7% | 358 円160 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,635 円2,076 億円 | 2,071 円928 億円 | +96.1% | +7.0% | 6,706 円3,003 億円 |
今の株価時価総額 3,420 円1,532 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:転嫁が完了し、銀行保証と海外が伸びて ROE が 10% を超える 利益 440 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 12,113 円5,425 億円
貸出金利の引き上げが定着し、調達費の上昇をほぼ全部、転嫁する。自動車ローンはシェアを戻し、取扱高は 1 割強増える。銀行ローンの保証は、三菱UFJ銀行と地方銀行の取扱いが広がり、1.6 倍になる。利益率は 2 割を超える。
海外はインドネシアが黒字に戻り、ベトナムとカンボジアが柱になる。海外の取扱高は 2.6 倍、営業利益は 100 億円を超える。M&A も成功し、国内の信販や保証の取扱いを積み増す。
営業利益は 600 億円台、ROE は 10% 台になる。低金利の時期の最高益を上回る水準だ。配当と自社株買いも厚くなり、還元は 10 年で 1,500 億円に達する。資本コストを超える稼ぎが続き、銀行系の優良な信販会社として評価される。
- クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット):数量 16,129(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 0.07(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの)→ 売上 1,171 億円・営業利益 220 億円。クレジット:数量 1.15 倍・価格 1.47 倍・利益率 18.8%
- ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか):数量 45,150(取扱高(億円・実質))× 価格 0.02(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの)→ 売上 1,042 億円・営業利益 130 億円。ペイメント:数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・利益率 12.5%
- ファイナンス(銀行ローンの保証):数量 14,272(保証対象の取扱高(億円・実質))× 価格 0.07(取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本)→ 売上 930 億円・営業利益 210 億円。ファイナンス:数量 1.60 倍・価格 1.40 倍・利益率 22.6%
- 海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか):数量 1,583(取扱高(億円・実質))× 価格 0.46(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い)→ 売上 729 億円・営業利益 110 億円。海外:数量 2.60 倍・価格 1.28 倍・利益率 15.1%
倍率:事業の純利益 440 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.6% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.33 倍、時価総額 5,425 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:転嫁が完全に進み、銀行保証が大きく伸び、海外も黒字の柱になる組み合わせは重なりにくい。6% とした。
やや楽観 14% やや楽観:転嫁が進み、利益が 300 億円台へ戻る 利益 325 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 8,294 円3,715 億円
貸出金利の引き上げが進み、調達費の上昇の大半を転嫁する。自動車ローンは取扱高が 1 割弱増え、リフォームの分割払いも伸びる。銀行ローンの保証は 1.45 倍に増え、ファイナンスが利益の柱になる。
海外はインドネシアの赤字が止まり、ベトナムとカンボジアで利益が出る。海外の営業利益は 60 億円ほどだ。システムの内製化で、間接費の伸びは物価より低く収まる。
営業利益は 460 億円台、ROE は 8% 台になる。資本コストと同じ水準で、成熟した信販会社として安定して評価される。配当は DOE 3% を超え、還元は 10 年で 1,250 億円になる。
- クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット):数量 15,147(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 0.07(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの)→ 売上 1,070 億円・営業利益 170 億円。クレジット:数量 1.08 倍・価格 1.43 倍・利益率 15.9%
- ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか):数量 42,372(取扱高(億円・実質))× 価格 0.02(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの)→ 売上 963 億円・営業利益 100 億円。ペイメント:数量 1.22 倍・価格 1.32 倍・利益率 10.4%
- ファイナンス(銀行ローンの保証):数量 12,934(保証対象の取扱高(億円・実質))× 価格 0.06(取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本)→ 売上 824 億円・営業利益 165 億円。ファイナンス:数量 1.45 倍・価格 1.37 倍・利益率 20.0%
- 海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか):数量 1,279(取扱高(億円・実質))× 価格 0.45(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い)→ 売上 575 億円・営業利益 60 億円。海外:数量 2.10 倍・価格 1.25 倍・利益率 10.4%
倍率:事業の純利益 325 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 3,715 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の回復策がおおむね効く線。2 割弱だが、慎重な見方が強いので 14% とした。
中立 36% 中立:転嫁が 9 割進み、利益は 300 億円ほどで落ち着く 利益 220 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 5,614 円2,515 億円
貸出金利の引き上げで、調達費の上昇の 9 割を転嫁する。残る 1 割と、販売店や銀行との競争が、利ざやを細らせたままにする。
自動車ローンの取扱高は横ばい。人口が減る中で、リフォームなどの分割払いが補う。ペイメントは家賃保証と集金代行が伸び、カードは細る。銀行ローンの保証は 3 割増え、利益の柱の 1 つになる。海外はインドネシアが収支均衡に近づき、ベトナムとカンボジアの利益で支える。
営業利益は 300 億円台、ROE は 6% 台。資本コストに届かないが、事業は安定して続く。配当は DOE 3% を保ち、還元は 10 年で 1,000 億円。三菱UFJ銀行の持分は変わらない。
- クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット):数量 14,025(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 0.07(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの)→ 売上 961 億円・営業利益 125 億円。クレジット:数量 1.00 倍・価格 1.39 倍・利益率 13.0%
- ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか):数量 39,941(取扱高(億円・実質))× 価格 0.02(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの)→ 売上 894 億円・営業利益 75 億円。ペイメント:数量 1.15 倍・価格 1.30 倍・利益率 8.4%
- ファイナンス(銀行ローンの保証):数量 11,596(保証対象の取扱高(億円・実質))× 価格 0.06(取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本)→ 売上 723 億円・営業利益 120 億円。ファイナンス:数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・利益率 16.6%
- 海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか):数量 974(取扱高(億円・実質))× 価格 0.44(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い)→ 売上 424 億円・営業利益 20 億円。海外:数量 1.60 倍・価格 1.21 倍・利益率 4.7%
倍率:事業の純利益 220 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 2,515 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の回復策が部分的に効き、利ざやの圧縮が 1 割残る線。強気と慎重の議論の中間で、4 割弱とした。
やや悲観 27% やや悲観:転嫁が 7 割にとどまり、貸倒が増える 利益 95 億円 · PER 8.7 倍 · 株価時価総額 1,854 円830 億円
貸出金利の引き上げは、7 割しか転嫁できない。自動車ローンは銀行系にシェアを奪われ、取扱高は 1 割減る。ショッピングクレジットも横ばいにとどまる。
景気の後退が 1 度来て、貸倒関連費用が 3 割増える年が出る。カードは QR 決済と後払いに押され、取扱高は伸びない。銀行ローンの保証は 1 割増にとどまる。海外はインドネシアの赤字が残る。
営業利益は 130 億円ほど、ROE は 3% 台。資本コストを大きく下回る。配当は DOE 3% を割り、今の配当額を保つのがやっとになる。還元は 10 年で 900 億円。事業は続くが、優良な会社とは言えなくなる。
- クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット):数量 12,623(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 0.07(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの)→ 売上 825 億円・営業利益 50 億円。クレジット:数量 0.90 倍・価格 1.33 倍・利益率 6.1%
- ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか):数量 36,468(取扱高(億円・実質))× 価格 0.02(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの)→ 売上 791 億円・営業利益 35 億円。ペイメント:数量 1.05 倍・価格 1.26 倍・利益率 4.4%
- ファイナンス(銀行ローンの保証):数量 9,812(保証対象の取扱高(億円・実質))× 価格 0.06(取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本)→ 売上 593 億円・営業利益 85 億円。ファイナンス:数量 1.10 倍・価格 1.30 倍・利益率 14.3%
- 海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか):数量 609(取扱高(億円・実質))× 価格 0.41(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い)→ 売上 252 億円・営業利益 −10 億円。海外:数量 1.00 倍・価格 1.15 倍・利益率 -4.0%
倍率:事業の ROE 3.2% が k 8.75% 以下なので PER の上限は 1÷k の 11.4 倍。稼ぎが細い年に低い倍率が続く。上限の約 76% の 8.7 倍に置く。
確率:転嫁が競争で進まず、景気の波が 1 度来る線。中立より高く、3 割弱とした。
悲観 17% 悲観:構造的に負け、貸出を絞って縮む 利益 7 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 1,324 円593 億円
調達の金利が高止まりし、貸出金利の引き上げは 6 割しか転嫁できない。自動車ローンは銀行系に奪われ、取扱高は 4 分の 1 減る。カードの会員も減る。
景気の後退と貸倒の急増が重なる。貸倒関連費用が 5 割増える年が続き、利益は消える。銀行ローンの保証も、取扱いの増加を貸倒が打ち消す。海外はインドネシアの赤字が長引き、取扱高は 4 割減る。
営業利益はほぼゼロ、ROE は 0% 台。配当は 2 年保ったあと大きく減らし、還元は 10 年で 350 億円にとどまり、その原資は利益でなく、貸出の回収で浮いた資金と資産の売却だ。自己資本は貸倒と減損で 2,400 億円ほどへ細り、貸出の絞り込みで資産を回収しながら生き延びる。もう優良な会社ではなく、資産の価値で測られる。
- クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット):数量 10,519(取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 0.06(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの)→ 売上 660 億円・営業利益 −10 億円。クレジット:数量 0.75 倍・価格 1.27 倍・利益率 -1.5%
- ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか):数量 31,258(取扱高(億円・実質))× 価格 0.02(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの)→ 売上 646 億円・営業利益 5 億円。ペイメント:数量 0.90 倍・価格 1.20 倍・利益率 0.8%
- ファイナンス(銀行ローンの保証):数量 8,028(保証対象の取扱高(億円・実質))× 価格 0.06(取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本)→ 売上 467 億円・営業利益 50 億円。ファイナンス:数量 0.90 倍・価格 1.25 倍・利益率 10.7%
- 海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか):数量 365(取扱高(億円・実質))× 価格 0.40(取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い)→ 売上 145 億円・営業利益 −20 億円。海外:数量 0.60 倍・価格 1.10 倍・利益率 -13.8%
倍率:事業の ROE が 0% 台で k 8.5% を大きく下回り、稼ぐ力(純利益÷k)は数十億円にすぎない。借金が仕入れの事業なので、床は貸出を回収して借入を返したあとに株主へ残る分で置く。今の自己資本の 2 割(PBR 0.20 倍)を上限にした。
確率:調達の金利が下がらず、転嫁が 6 割で止まり、自動車ローンを銀行に奪われ、貸倒が大きく増える筋書き。自己資本比率が 8% を切る分、悲観を厚めに 17% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
クレジット(自動車ローン・ショッピングクレジット)
自動車ローンと住宅リフォームなどの分割払いを、販売店を通じて貸す。利息と手数料が収益。
| 数量取扱高(億円・今の値段の実質) | 価格取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率(10 年 1.34 倍)に、貸出金利の引き上げと競争を重ねたもの | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 14,025 | 0.05 | 691 | 95 |
| 10 年後 中立 | 14,025 | 0.07 | 961 | 125 |
取り方:取扱高は国内クレジットの 1 兆 4,025 億円、営業収益 691 億円を取扱高で割った 4.9%。利益は国内セグメント利益 229 億円を 3 つに配分した推定(クレジット 95 億円)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
ペイメント(カード・家賃保証・集金代行ほか)
カードのショッピング・キャッシング、家賃の保証、集金の代行、その他の取扱い。
| 数量取扱高(億円・実質) | 価格取扱高あたりの営業収益の名目の指数。物価の倍率に、加盟店手数料の低下を重ねたもの | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 34,731 | 0.02 | 598 | 55 |
| 10 年後 中立 | 39,941 | 0.02 | 894 | 75 |
取り方:取扱高はペイメント 3 兆 623 億円とその他 4,108 億円の合計。営業収益はペイメント 440 億円とその他の残り約 158 億円の合計。利益は推定 55 億円。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
ファイナンス(銀行ローンの保証)
三菱UFJ銀行や地方銀行の個人ローン、投資用マンションローンを保証し、保証料を得る。
| 数量保証対象の取扱高(億円・実質) | 価格取扱高あたりの保証料収入の名目の指数。物価の倍率が基本 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,920 | 0.05 | 415 | 79 |
| 10 年後 中立 | 11,596 | 0.06 | 723 | 120 |
取り方:取扱高は銀行ローン保証などの 8,920 億円(前期比 5.3% 増)、営業収益 415 億円。利益は推定 79 億円で、3 つの国内事業の中で利益率がいちばん高い。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
海外(ベトナム・カンボジア・インドネシアほか)
東南アジアの二輪・四輪の割賦。インドネシアは取扱いを止めて再建中。
| 数量取扱高(億円・実質) | 価格取扱高あたりの営業収益の名目の指数。現地通貨の下落と競争で、物価の倍率より低い | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 609 | 0.36 | 219 | −25 |
| 10 年後 中立 | 974 | 0.44 | 424 | 20 |
取り方:海外の取扱高 609 億円、営業収益 219 億円、セグメント損失 25 億円(開示)。取扱高が小さいのに収益が大きいのは、割賦の金利が高いため。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
リスクと懸念
調達金利の上昇に貸出金利が追いつかない
純有利子負債は約 2.7 兆円ある。調達の金利が 1% 台から 3% 台へ切り替わると、金融費用は年に数百億円増える。貸出金利への転嫁には時間がかかり、競合が値上げに追随しなければ、利ざやは戻らない。
自動車ローンのシェア低下
自動車ローンは、利上げの影響でシェアが下がったと会社が説明している。銀行系や信販系の競合と金利で比べられるため、金利を上げれば取扱高を失う。クレジットは営業収益の中でいちばん大きく、ここが崩れると全体に響く。
自己資本の薄さと貸倒の急増
自己資本比率は 8% を切る。貸倒関連費用は年 300 億円で、営業利益より大きい。景気の後退で失業が増えれば、費用が 2 割増えるだけで利益がほぼ消える。2008 年 3 月期には赤字を出した。
海外事業の赤字が続く
インドネシアは 2026 年 3 月期に約 34 億円の赤字となり、取扱いを止めて立て直している。黒字化は 2028 年 3 月期の見込みだが、遅れの前例がある。フィリピンも審査を厳しくして取扱高が減った。
計画の信頼性
中期計画の 2027 年度の数字は取り下げられた。調達金利、システム関連費用、インドネシアの遅れが理由とされる。数字の置き直しが続けば、経営の読みへの信頼が下がる。
三菱UFJ銀行への依存と少数株主の立場
銀行保証の取扱いの伸びは、三菱UFJ銀行への依存の裏返しでもある。同行が提携の条件を変えたり、保証を内製化したりすれば、ファイナンスの利益が揺らぐ。一方、同行が完全子会社にする場合、少数株主が公正な価格を得られるかは別の問題だ。
システム費用の増加
システム関連費用の増加が、今期の利益を押し下げる要因に挙げられた。内製化で費用を抑える方針だが、開発は遅れやすい。固定費が先に膨らむ年が続く恐れがある。
今後の分かれ目
- 分割・リボ手数料の引き上げが定着し、金融費用の増加を上回る増収が出たら
- 利ざやは戻り、利益は 300 億円前後へ。やや楽観の確率を上げ、倍率も ROE の上昇に応じて高く置ける。
- 自動車ローンの取扱高がシェアを戻さず、前年割れが続いたら
- クレジットの利益が細り、やや悲観に近づく。量から質への転換が、ただの縮小だったと分かる。
- 景気が悪くなり、貸倒関連費用が 3 割増えたら
- 営業利益はほぼ消え、配当を保てなくなる。悲観の筋書きに近づく。
- インドネシアが 2028 年 3 月期に黒字化し、ベトナム・カンボジアも伸びたら
- 海外が 100 億円規模の利益になり、中立より上の筋書きが現実味を持つ。
- 三菱UFJ銀行が持分を引き上げ、完全子会社化を提案したら
- 少数株主には、買い取り価格が本質価値に近づく動きになる。ただし価格は同行が決める。
- 銀行保証の取扱いが三菱UFJ銀行と地方銀行でさらに伸びたら
- 金利の影響を受けにくい利益が増え、全体の利益の質が上がる。確率を楽観側へ少し寄せる。
見ておくもの
- 金融費用と営業収益の差(利ざやの推移)と、手数料引き上げの効果
- 自動車ローンの取扱高とシェア
- 貸倒関連費用の水準と、景気の動き
- インドネシアの損益と、黒字化の時期
- 三菱UFJ銀行の出資比率と、提携の拡充・再編の動き
倍率と資本コストの決め方
今の株価と PER は見ずに、セグメントごとの数量と価格、金利の転嫁(中立は 9 割)から利益を積み、そのあとで ROE と k 8.75% から倍率の上限を出した。中立の ROE は 6% 台で k に届かないので、PER は 1÷k(約 11.4 倍)を上限に、利益の質の低さから 8 割に置いた。今の株価が倍でも半分でも、数字は動かない。純有利子負債は大きなプラスで、余った現金は立てない。金融事業の借入の利息は各セグメントの利ざやで扱い、純利益に別に足していない。店舗や事務所の賃借は小さい。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で営業利益と負債の形は変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.52→12.33 倍・やや楽観 PER 9.9→11.43 倍・中立 PER 9.13→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。