結論
MFSは、住宅ローンを比較・紹介する「モゲチェック」と、投資用不動産の買取再販・融資仲介を手掛ける「INVASE」を持つ会社である。長く持つ株主の立場からの結論は「やや割高」だ。10年先の確率加重価値を現在に割り戻すと、既存株主の取り分は約25億円となり、現在の時価総額約32億円を約2割下回る。事業の成長余地は認めるが、現時点では予測の難しさに見合う安全域が足りない。
2026年6月期の売上高は約83億円へ急増した。しかし、営業利益は約2.2億円にとどまった。最大の理由は、INVASEが仲介から不動産の買取再販へ移り、物件の販売価格を売上高に総額計上するようになったことである。住宅ローン紹介事業の売上はむしろ36.8%減少し、かつての成長をそのまま延ばせる状態ではない。表面上の増収率より、銀行から受け取る手数料、物件の売買差益、在庫を回すための資本を見なければならない。
期待の中心は、独自の融資審査データと物件評価技術を使い、住宅ローンと不動産取引の両方を効率化する構想にある。ただし、AIエージェントがローン比較や申込手続きを直接担うようになれば、利用者がモゲチェックの画面を訪れる必要性は薄れる。INVASEにもデータ活用の余地はあるが、買取再販は仕入れ資金と値下がりリスクを伴い、ソフトウェアのように追加取引の利益がほぼそのまま残る事業ではない。
中立の10年後には、物件の年間販売規模が現在より拡大し、営業利益が約6.6億円になると考える。それでも2030年に向けた会社の高い目標をそのまま採用してはいない。純現金、販売用不動産の換金可能額、役員向け無担保貸付、株式の希薄化まで考えると、会社が掲げる成長の大きさと、今の株主が確実に受け取れる価値とは分けて評価すべきである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきなのは、住宅ローンの比較画面を10年後も今と同じ方法で使うか、ではない。銀行と利用者の間で必要になる情報の整理や審査の支援を、誰が最も低い費用で提供するかである。MFSの審査データは資産になり得るが、銀行自身がAIによる相談と申込を提供し、利用者側のエージェントが複数行の条件を集める世界では、比較サイトを経由する必然性は弱まる。
さらに大切なのは、他社が容易にまねできない強みが利益率に表れているかどうかだ。モゲチェックは顧客の役に立っていても、銀行の広告予算と手数料に収益を左右される。INVASEは物件の査定技術や顧客の信用情報を持つが、販売用不動産を自己資金や借入金で保有する以上、価格下落と売却遅延の損失を避けられない。技術力があることだけを理由に、高い継続成長率を払うべき企業ではない。
オーナー利益という観点では、2026年の純利益約3億円をそのまま株主が使える利益とは考えない。税効果による利益押し上げを除き、在庫の取得に必要な資金、将来の金利負担、追加の開発費を差し引く必要がある。物件を仕入れて売るたびに利益が積み上がるだけでなく、投じた運転資本に対する利回りが資本コストを超えることを繰り返し確認したい。
株主が評価できるのは、赤字続きだったINVASEが黒字化し、実際の物件取引を増やしたことだ。一方、過去の成長率は比較サービスから不動産売買への転換という構造変化を含んでおり、同じ率を将来へ延ばせない。2030年目標が大きくても、少数株主にとって価値があるのは希薄化後に残る一株当たりの稼ぐ力である。現在の時価総額は企業の存続を危ぶむほど高くないが、将来の不確実性を十分に埋め合わせる価格でもない。
何で稼ぐ会社か
モゲチェックは、住宅ローンを探す利用者に金融機関の金利や審査の見込みを示し、銀行などに申込者を紹介する。利用者側は基本的に無料で、金融機関または提携する広告会社から送客・融資実行に応じた手数料を受け取る仕組みである。2026年6月期の売上は約12.5億円、営業利益は約1.6億円だった。銀行の広告予算や報酬条件に左右され、実際に送客課金から融資実行課金へ移ったことで、売上の計上時期も後ろにずれた。
INVASEは、投資用不動産の購入、売却、融資、借り換え、管理をつなぐ事業である。連結売上約70.7億円のうち、約65.5億円を不動産販売が占める。残りはローン紹介約2.4億円、仲介手数料約1.1億円、送客手数料、賃貸収入などである。会社が開示する年間678件は、不動産売買、仲介、ローン紹介などを含む契約件数であり、会社自身が取得して転売した物件の戸数ではない。この違いは、数量を予測するときに極めて重要になる。
売上構成から見ると、MFSはすでに純粋な住宅ローン比較サイトではない。物件を在庫として保有し、仕入れ値と販売価格の差から利益を得る不動産流通会社の性格が強まっている。2026年6月期には販売用不動産が約13.3億円となり、短期・長期の借入金も約9.1億円に増えた。物件の販売が遅れれば、帳簿上の売上と利益が伸びていても、資金繰りは先に苦しくなる。
経済的な実態を捉えるため、以下の数量モデルではINVASEを物件販売と手数料・付帯サービスに分ける。これは会社の法定報告セグメントを増やしたものではなく、同じINVASEの中で異なる資本負担とAI代替リスクを区別するための分析上の分割である。利益の配分は推計であり、会社が個別に開示した営業利益ではない。
優良さと弱いところ
モゲチェックの強みは、銀行ごとの融資条件や審査ロジックを比較する仕組みと、その利用を通じて集めた顧客情報にある。金利が上がり、銀行による条件の違いが広がれば、比較すること自体の価値は増す。しかし、銀行が支払う紹介料をMFSが自由に決められるわけではない。2026年6月期にはモゲチェックの売上が減り、営業利益も前期の約4.7億円から約1.6億円へ縮小した。利用者に役立つサービスであることと、株主に価格決定力があることは別である。
INVASEには、物件価格の推定と顧客の借入能力の分析を組み合わせられる強みがある。買取再販への転換後、年間契約件数は前期343件から678件へ増加し、事業は営業黒字に転じた。ただし、競合のランドネットは2026年7月期に買取販売・買取リフォーム販売を6,052件手掛けており、物件仕入れや販売網の規模では大きな差がある。MFSが今後も良い条件で物件を確保できるかは、まだ実績を積んで確かめる段階だ。
財務は一見すると強い。2026年6月末の自己資本は約28.3億円で、現金預金約19.1億円から有利子負債約9.1億円を引いても約10億円の純現金がある。しかし、同年度の営業キャッシュフローは約10.2億円のマイナスだった。不動産在庫の増加が主因であり、利益が直ちに株主の自由な現金になるわけではない。さらに役員らへの無担保貸付残高が約1.1億円あり、少数株主は資本の使い道を慎重に点検する必要がある。
2026年6月期の純利益約3.1億円には、繰延税金資産の計上に伴う税負担の軽減が含まれる。これを毎年の稼ぐ力とみなしてはいけない。借入金の金利上昇、在庫回転の悪化、株式報酬による希薄化を踏まえると、現時点で強い経済的な堀が完成したとは判断できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅ローン市場そのものは大きい。国土交通省による2024年度の民間住宅ローン新規貸出額は約22.2兆円で、変動金利型の割合は83.5%だった。金利が上がる局面では借り換えや商品比較への関心が高まりやすい一方、住宅購入者の返済負担が増え、新規融資の数量には逆風となる。国内人口が減る10年間に、住宅ローン実行件数そのものが大きく増え続けるという前提は置きにくい。
競合は、価格.comなどの比較サービス、SBIアルヒなどの住宅ローン専門会社、ネット銀行や大手銀行が提供する直接申込経路である。MFSは2024年の資料で、仮定した住宅ローン申込市場に対する自社シェアを約0.64%と試算していた。2026年6月期の年間申込件数を同じ古い母数と機械的に比べれば約0.8%となるが、これは最新の実測シェアではない。会社が目指す融資実行ベースの10%とも分母が違うため、混同すべきではない。
投資用不動産では、ランドネット、GA technologiesのRENOSY、オープンハウスグループなどが、物件仕入れ、顧客獲得、ローン手配のそれぞれで競争相手になる。東日本レインズによる2025年の首都圏中古マンション成約件数は49,114件、平均成約価格は約5,200万円だった。ただし、この市場は自己居住用を含み、INVASEの投資用物件に限った数字ではない。さらに集計方法の変更があるため、前年比の大幅増加をそのまま実需の成長と解釈しない。
物件販売売上約65.5億円を、首都圏中古マンションの平均価格で割ると、年間約126戸に相当する規模となる。これは分析用の換算戸数であり、実際の販売戸数の開示ではない。仮に全件が同じ市場に属すれば数量シェアは約0.26%に相当するが、投資用不動産に限定した実測シェアではない。中立では市場全体の取引量はおおむね横ばいとし、MFSが小さな初期シェアから取扱数量を増やす余地だけを認める。
長期の最大の変化はAIエージェント代替である。ローン商品の比較、必要書類の確認、審査条件の照合、物件情報の提示は、利用者が専門サイトの画面を操作せずに進められるようになる可能性が高い。独自データを持つ企業にも機会はあるが、画面への訪問や送客件数を収益源とする企業には手数料低下の圧力がかかる。物件の所有権移転や仕入れ資金の負担はAIだけでは消えないため、INVASEの買取再販と情報・仲介部分は分けて考える。
資本政策と M&A
経営陣は成長を優先している。2024年の上場後も、住宅ローンの審査・申込機能の開発、不動産の仕入れ、物件評価技術、金融機関との提携に資金を使ってきた。2025年から2026年にかけては、INVASEの買取再販への転換によって利益を改善させた反面、在庫と借入金が増えた。2026年の営業キャッシュフローが大幅なマイナスになったことは、資本配分を評価するうえで見逃せない。
2026年9月30日公表の事業計画では、2030年6月期にモゲチェックの売上高200億円、INVASEの売上高50億円を粗利ベースで目指す長期構想が示されている。2026年実績からの伸びは大きく、筆者はこれを経営の意欲を示す数字と受け取り、確実な利益予想とは区別する。2027年6月期については連結売上約102.4億円、営業利益約3.7億円の会社予想がある。一方、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束なしである。
2026年10月23日には譲渡制限付株式報酬として119,600株の発行が完了した。2026年6月末の株数を基準にすれば約1.17%の希薄化に相当する。全国保証との資本業務提携も販売経路の拡大につながり得るが、提携による増益が株式発行の負担を上回るかを見なければならない。大型買収による急拡大は基本の筋書きに含めず、既存事業の収益性と資金効率で価値を判断する。
現金のうち事業運営に不要と考える額は約4億円に限定し、株主価値への反映率は75%とする。配当・自社株買いの継続実績が乏しく、かといって余剰資金を半分しか回収できないほどの集中支配を確認できないためである。10年間の還元は、好調な筋書きでも利益の一部にとどまると考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
MFSの事業は、まだ市場のごく小さな部分しか取れていない。住宅ローン市場は年間20兆円を超える規模を持ち、銀行ごとの金利、審査基準、団体信用生命保険の条件は複雑だ。金利が動く世界では、比較・審査・借り換えの支援は今まで以上に必要となる。金融機関とつながるデータ基盤を整え、不動産仲介会社の営業担当者にも利用を広げれば、消費者が直接画面を操作しなくても収益を得る経路ができる。
INVASEは、単なる情報サイトから実物不動産の取引事業へ変わった。物件契約件数の急増と営業黒字化は、顧客獲得だけでなく、仕入れと販売を完結する力が育っている証拠である。物件査定にAIを使い、顧客の借入可能額と購入条件を同時に分析できれば、売れ残りを減らしながら回転率を高められる。元の取扱規模が小さいため、既存の大手企業からわずかなシェアを奪うだけでも売買件数には大きな伸びが期待できる。
資本面でも、約10億円の純現金があるため、短期の資金不足が直ちに致命傷になるとは限らない。全国保証との関係強化や住宅ローンの実行課金への移行がうまく進めば、銀行との接点が広がり、顧客紹介の質も上がる。2030年の野心的な目標に近づく道は簡単ではないが、小さな企業が金融と不動産の接続部分を押さえれば、今より高い利益率と資本効率を得る可能性はある。
慎重な見方
モゲチェックの利用者数や過去の広告投資を、そのまま長期の競争優位とは見なせない。2026年6月期には住宅ローン比較事業の売上が36.8%減少した。送客報酬の計上方法を変えた影響はあるが、金融機関の広告予算が縮み、利用者を獲得しても利益につながるとは限らないことが明確になった。銀行が自社のAI相談窓口を強化し、利用者のAIエージェントが条件比較から申込まで処理すれば、中間の比較サイトを経由する意味はさらに薄れる。
INVASEの成長も、売上高の大きさだけでは評価できない。不動産販売を総額で計上したため連結売上は跳ね上がったが、実際に残る営業利益は小さい。販売用不動産の残高は約13億円となり、借入金も約9億円ある。金利上昇で買い手の利回り要求が高まれば、物件価格を下げても売れない局面が生じる。価格評価モデルの精度が高くても、不動産相場全体が下がる損失は消せない。
競合の規模も無視できない。ランドネットの買取販売件数は年間6,000件を超えており、MFSの物件販売規模の推定値とは大きな隔たりがある。仕入れ資金、業者との関係、販売経路の厚さが競争力を左右する市場で、データ技術だけで大手に勝つと決めつけるのは危険だ。役員向け無担保貸付や株式報酬による希薄化も、少数株主が資本配分を無条件に信頼できない理由になる。
2026年の純利益は税効果で押し上げられ、営業キャッシュフローは大きくマイナスだった。純現金は確かにあるが、仕入れを止めずに事業を伸ばすには、その現金も必要である。強い堀が確立していない企業に対し、長期目標の達成を前提として価値を払うべきではない。
どちらに重みを置いたか
事業を生き残らせる力については、強い見方にも根拠がある。ローン審査の知見と実物不動産の取引を組み合わせられる企業は限られ、INVASEの黒字化は評価すべき変化だ。ただし、モゲチェックの直近の縮小、在庫取得による資金負担、AIエージェント代替の可能性を考えると、現在の実績から2030年目標への距離はまだ大きい。
確率は上側26%、中立32%、下側42%とした。下に寄せる理由は、ローン紹介の減収がすでに起きていることと、不動産取引の利益が在庫回転に左右されることである。AIによる縮小は中立の数量にも反映しており、同じ危険を資本コストや確率で何重にも差し引いてはいない。10年先に取引件数が増える中立の筋書きでも、現在価値には十分な安全域が残らない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 525 円54 億円(+ 還元の換算額還元の合計 9 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 244 円25 億円、今との差 −17.7%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,444 円147 億円 | 39 円4 億円 | +400.8% | +17.9% | 133 円14 億円 |
| やや楽観 | 17% | 873 円89 億円 | 19 円2 億円 | +201.4% | +11.8% | 152 円15 億円 |
| 中立 | 32% | 533 円54 億円 | 7 円1 億円 | +82.5% | +6.2% | 173 円18 億円 |
| やや悲観 | 28% | 184 円19 億円 | 0 円0 億円 | −37.8% | −4.6% | 52 円5 億円 |
| 悲観 | 14% | 174 円18 億円 | 0 円0 億円 | −41.1% | −5.2% | 24 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 525 円54 億円 | 9 円1 億円 | +80.4% | +6.1% | 534 円54 億円 |
今の株価時価総額 296 円30 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 金融と不動産の接続基盤へ成長 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,444 円147 億円
住宅ローンの比較画面を直接操作する利用者は減るが、MFSの審査・融資情報が不動産会社や金融機関の取引経路に組み込まれる。銀行との提携が深まり、実行課金の条件も安定する。モゲチェックは現在に近い申込数量を維持しつつ、広告宣伝費を抑えた経営ができるようになる。
INVASEでは、査定技術と融資情報の組み合わせが物件仕入れの精度を高める。所有物件の年間販売規模は推定320戸まで広がり、人気エリアへの集中と在庫回転の改善によって、値下げ損失を抑えながら利益率を高める。物件価格は物価上昇に加え、販売する物件の質の改善でも上がる。
ランドネットやRENOSYとの競争は続くものの、MFSは金融情報を活用できる顧客層で独自の販路を確立する。大型買収に頼らず利益を再投資し、利益の一部は株主に還元する。AIエージェント向けの収益化を前提にした数量増は織り込まず、主な上振れは実物不動産の販売数量と利益率から生まれる。
- モゲチェック事業:数量 58,000(年間住宅ローン審査申込件数(件))× 価格 2.45(申込1件当たりの売上換算額(万円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。申込数量は現在の99%にとどまるが、融資実行課金の定着と販管費効率化で利益率22%に改善。
- INVASE事業・不動産買取再販:数量 320(自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定))× 価格 0.78(1戸当たり不動産販売額(億円、名目))→ 売上 250 億円・営業利益 14 億円。推定販売戸数320戸、物件構成の改善と高回転を伴い営業利益率5.5%。大手水準を上回る継続的な実行が必要。
- INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス:数量 630(INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件))× 価格 0.01(換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。情報・人手依存の換算件数は現在以下。業務効率化による採算改善を認める。
倍率:資本コストk8.25%、2036年時点のROE約14.8%、弱い堀による超過収益の残存割合3分の1を使用する。ただし、最上位のg_longはAIエージェント代替と国内不動産市場の成熟を反映して名目0%であり、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.0825−0)=12.12倍となる。余剰現金4億円の税後利息相当0.056億円を純利益から控除し、株主価値への反映率75%の3億円を別に足す。市場の過去PERを根拠にしていない。
確率:物件仕入れ、販売、融資手配の効率化が連続して成功し、売買戸数が現在の推定規模から大きく増える場合である。2030年目標に近づく機会はあるが、モゲチェックの足元の減収と大手不動産会社の競争力を考え、確率は限定する。AIの売上寄与が金額で確認できていないため、情報サービスの数量自体は現在を超えない。
やや楽観 17% 買取再販が第二の利益の柱として定着 利益 7 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 873 円89 億円
モゲチェックは住宅ローンの比較サービスとして一定の存在感を維持する。銀行の紹介条件は厳しくなるが、広告費を抑え、実行につながりやすい利用者を中心に取り込むことで、売上減少を限定する。金融機関への情報連携が進み、サービスの一部が利用者の画面操作を必要としない形へ変わっていく。
INVASEの買取再販は年間の換算販売戸数が245戸まで増える。会社が得意とする投資用物件に集中し、売却期間を短く保ちながら仕入れ条件を改善する。物件価格の名目上昇も売上を押し上げるが、増えた売上のすべてが利益になるわけではない。融資や物件管理に伴う付帯サービスは、AIによる事務効率化を背景に利益率を高める。
全国保証との提携や物件評価技術は取引の助けになるものの、競合を排除するほどの堀にはならない。会社は大きな買収をせず、資本を在庫の仕入れとシステム開発へ振り向ける。株主還元は限定的だが、自己資本を積み上げながら黒字を安定させる10年間となる。
- モゲチェック事業:数量 52,000(年間住宅ローン審査申込件数(件))× 価格 2.40(申込1件当たりの売上換算額(万円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。現在の約89%の数量と約12%高い換算単価。利益率20%は費用構造の改善が前提。
- INVASE事業・不動産買取再販:数量 245(自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定))× 価格 0.72(1戸当たり不動産販売額(億円、名目))→ 売上 176 億円・営業利益 7 億円。販売数量が約1.94倍。物件単価は約1.39倍となり、販売粗利と回転率の改善で営業利益率4.2%。
- INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス:数量 560(INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件))× 価格 0.01(換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。換算数量は約83%に減るが、単価の改善と営業事務の省力化で採算が上がる。
倍率:ROEは約10.5%、資本コストは8.25%である。弱い堀に基づくRONICは約9.0%だが、事業全体の長期名目成長率g_longを0%としているため、正当化PERは1÷0.0825=12.12倍となる。利益の質による手動の追加割引は行わず、余剰現金利息の控除と4億円の75%を加算する。
確率:INVASEの黒字化と契約件数増加の実績を評価する一方、大手に対する仕入れ競争力と安定した物件粗利率には未検証の部分が多い。販売戸数の拡大が進み、利益率も改善する場合に重みを置くが、極端なシェア拡大は想定しない。
中立 32% ローン紹介は縮むが、買取再販が着実に成長 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 533 円54 億円
国内の住宅ローン新規取引は人口減少と金利上昇の影響を受け、比較サイトを経由する申込は緩やかに減る。モゲチェックは信用情報の分析や銀行との連携を保つものの、AIエージェントが利用者の代わりに商品を比較するようになり、画面の訪問数から大きな超過利益を得る仕組みは弱まる。申込数量は現在の約8割となり、手数料の単価も物価上昇ほどには上げられない。
INVASEは買取再販を続け、年間の換算販売戸数が195戸に増える。投資用中古マンションの取引市場が大幅に広がるのではなく、小規模な事業者であるMFSが販路を増やし、わずかにシェアを高める。物件の販売単価は名目物価上昇におおむね沿い、営業利益率は仕入れ、査定、販売管理の効率化によって3%程度まで改善する。
付帯サービスでは人手による相談・事務の代替が進み、換算数量は現在の約7割に減る。新しい高成長事業が加わることは前提にせず、既存の二事業が連携して利益を上げる。調達金利は上昇し、利益には通常の法人税負担がかかる。黒字の定着は評価できるが、会社の2030年目標には届かない堅実な成長の筋書きである。
- モゲチェック事業:数量 48,000(年間住宅ローン審査申込件数(件))× 価格 2.34(申込1件当たりの売上換算額(万円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。数量は現在の0.82倍、価格は1.09倍。画面型情報サービスのAI代替レンジ内であり、営業利益率16%。
- INVASE事業・不動産買取再販:数量 195(自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定))× 価格 0.70(1戸当たり不動産販売額(億円、名目))→ 売上 136 億円・営業利益 4 億円。換算販売戸数は約1.55倍、単価は物価3%の10年累積とほぼ同じ1.34倍。利益率3%は仕入れと販管費の改善を条件とする。
- INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス:数量 475(INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件))× 価格 0.01(換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替により換算数量は0.70倍、価格は1.28倍。事務費用削減で利益率15%。
倍率:10年後のROEは4.35億円÷57億円で約7.6%となり、資本コスト8.25%を下回る。新規再投資の超過収益を見込めないため、正当化PERの上限は1÷k=12.12倍とする。g_longも0%なので成長プレミアムは加えない。事業利益から余剰現金4億円の税後利息相当0.056億円を控除し、余剰現金の回収可能価値3億円を加える。
確率:住宅ローン情報サービスの数量が約2割減る一方、実物不動産の販売数量が約5割増える筋書きである。2026年のINVASE黒字化と競争規模の小ささを両方考慮する。下に寄せる理由は、モゲチェックの減収、AIによる中間サービスの代替、販売用不動産を持つことによる資金負担がすでに確認されているためである。
やや悲観 28% 売買は続くが、在庫負担が利益を吸収 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 184 円19 億円
住宅ローンの申込支援は銀行の直接サービスとAIエージェントに利用者を奪われ、モゲチェックの申込件数は現在の約7割に減る。手数料は大きく値上げできず、比較サービスの広告宣伝費やシステム維持費が営業利益を圧迫する。銀行の融資審査が厳しくなれば、集客しても融資実行に結びつかない利用者が増える。
INVASEは不動産販売を維持するが、物件価格が高くなるほど投資家の利回り要求も厳しくなる。販売の遅れによって保有期間が延び、追加の利払いと管理費が発生する。換算販売戸数は現在と大きく変わらず、物件単価も物価上昇ほどには伸びない。利益率はほぼ損益分岐点にとどまる。
ローン紹介や仲介事務の付帯収入は縮小し、赤字になる。大型の買収や増資による成長はなく、株主還元を停止して現金の流出を抑える。会社は存続するものの、将来の成長より既存資産を処分した場合の回収額が価値の中心になる。
- モゲチェック事業:数量 40,000(年間住宅ローン審査申込件数(件))× 価格 2.17(申込1件当たりの売上換算額(万円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。数量約0.69倍、単価ほぼ横ばい。銀行手数料の圧力で営業利益率4%。
- INVASE事業・不動産買取再販:数量 135(自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定))× 価格 0.64(1戸当たり不動産販売額(億円、名目))→ 売上 86 億円・営業利益 1 億円。物件販売は続くが、値引き、在庫保有費、販売費用に利益を吸収される。
- INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス:数量 410(INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件))× 価格 0.01(換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。換算数量は約0.60倍。AIによる中間業務の代替が進み、付帯サービスは営業赤字。
倍率:事業の稼ぐ力は純利益0.25億円÷k8.25%で約3億円にすぎず、余剰現金の一部を加えても約19億円の資産回収額に届かない。2026年6月期の純現金と販売用不動産の換金可能額から税・清算費用等を差し引いた床は約18億円であり、やや悲観では若干の継続価値を認めて19億円とする。PBR0.671倍は現在の自己資本28.3億円に掛けるもので、2036年の累積自己資本36億円に床の倍率を掛けない。
確率:住宅ローン紹介の縮小と物件の仕入れ競争が同時に進む場合である。銀行報酬の条件変更と金利上昇による販売の遅れは現在の事業構造に直接関係する。倒産までは想定せず、販売用不動産の換金価値が残る筋書きとする。
悲観 14% AIによる中間業務の代替と不動産市況悪化 利益 −3 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 174 円18 億円
銀行が住宅ローンの相談、金利比較、事前審査を自社のAIサービスで完結させ、利用者のAIエージェントも複数の金融機関と直接接続する。モゲチェックを経由する申込件数はほぼ半減し、銀行の紹介料も低下する。独自の審査データは残るが、利用者の入口を失い、情報を収益へ変える力が大きく落ちる。
INVASEでは、金利上昇と投資家の利回り要求の上昇が重なり、中古投資用不動産の価格が下がる。人気エリアに仕入れを集中しても、購入時より高く売れる保証はない。売却までの期間が延び、販売用不動産の評価損と借入金の利払いが重なる。換算販売戸数は現在の6割程度へ減り、買取再販自体が営業赤字になる。
仲介やローン紹介も同時に縮み、人員とシステムを小さくしても固定費を吸収できない。経営は事業の縮小と資産売却を進め、株主還元は行われない。過去の赤字期の状態に一部戻るが、即時の法的倒産は想定しない。価値は将来利益ではなく、残る現金と不動産を保守的に換金した額を中心に測る。
- モゲチェック事業:数量 31,000(年間住宅ローン審査申込件数(件))× 価格 1.75(申込1件当たりの売上換算額(万円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。申込件数は現在の約0.53倍。銀行手数料の低下と最低限の固定費で営業赤字。
- INVASE事業・不動産買取再販:数量 75.0(自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定))× 価格 0.52(1戸当たり不動産販売額(億円、名目))→ 売上 39 億円・営業利益 −1 億円。取扱数量は現在の推定値の約0.60倍。売却価格は名目でも横ばいで、在庫損失を被る。
- INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス:数量 300(INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件))× 価格 0.01(換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。換算数量は現在の0.44倍、価格も下がり、紹介・仲介収入が固定費を賄えない。
倍率:営業赤字が定着し、将来利益から正の価値を算出できないため、2026年6月期の現金と売却可能資産から出した保守的な床約18億円を使う。PBR0.636倍は現在の自己資本28.3億円に対する床の換算倍率であり、過去の市場PBRの底値ではない。2036年の自己資本20億円に倍率を掛けたり、赤字事業に通常のPERを掛けたりしない。資産価値には既に現金を含め、余剰現金を追加計上しない。
確率:銀行と利用者のAIエージェントが直接つながり、モゲチェックの送客価値が低下することに加え、不動産価格の下落と融資審査の厳格化が重なる複合的な悪化を想定した。情報サービスの代替だけでなく、保有不動産の損失が生じるため、頻度は高くないが無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
モゲチェック事業
個人向け住宅ローンの比較、審査見込みの提示、申込支援、金融機関への紹介を行う。融資実行や審査申込に連動する銀行側の手数料が主な収益である。
| 数量年間住宅ローン審査申込件数(件) | 価格申込1件当たりの売上換算額(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 58,397 | 2.14 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 48,000 | 2.34 | 11 | 2 |
取り方:2026年9月30日の事業計画に掲載された2026年6月期の四半期申込件数13,356件、14,763件、16,999件、13,279件を合計して58,397件とした。年間売上12.51858億円を申込件数で割り、1件約2.14万円と換算した。実際の報酬は銀行の融資実行・審査申込の条件で異なり、この単価は契約上の固定手数料ではない。前期の申込件数は約70,290件で、数量は約17%減少している。AIエージェント代替の型は、情報・比較サービスと操作画面を中心とする業務支援に相当する。中立の10年後申込数量は約0.82倍、換算単価は約1.09倍とし、席・画面型の数量0.70〜0.90倍、価格1.00〜1.15倍の範囲で扱う。
INVASE事業・不動産買取再販
子会社が投資用不動産を仕入れて保有し、顧客へ再販売する。売買差益を得るが、物件の在庫、借入金、売却価格の変動を自ら負担する。
| 数量自社取得物件の年間再販売戸数に相当する換算件数(戸、推定) | 価格1戸当たり不動産販売額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 126 | 0.52 | 65 | 0 |
| 10 年後 中立 | 195 | 0.70 | 136 | 4 |
取り方:2026年6月期有価証券報告書の顧客との契約から生じる収益の内訳から、不動産販売6,548,285千円を採用した。実際の自社買取再販戸数は未開示であるため、東日本レインズの2025年首都圏中古マンション平均成約価格5,200万円を参考価格とし、売上65.48285億円÷約0.52億円から126戸相当と推定した。これは実測販売戸数でもINVASE全体の678契約でもない。売上原価相当約60.225億円を差し引いた物件粗利益は約5.26億円。INVASE全体の営業利益0.5834億円を物件販売と付帯サービスの粗利益構成で推定配分し、この部分の営業利益を約0.355億円とした。AIは査定・営業事務を効率化しても物件の所有権移転を代替しないため、現物売買の数量には人月型の一律縮小を適用しない。
INVASE事業・仲介、投資ローン、付帯サービス
投資用ローンの紹介、不動産仲介、利用者の送客、賃貸関連収入などを得る。物件売買と関係するが、顧客への情報提供や人による取引支援の比重が高い。
| 数量INVASEの契約総数を用いた手数料収益の換算件数(件) | 価格換算1件当たり付帯サービス売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 678 | 0.01 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 475 | 0.01 | 5 | 1 |
取り方:INVASE全体の売上70.66137億円から不動産販売65.48285億円を控除した5.17852億円を使用した。内訳は投資ローン紹介2.36678億円、仲介手数料1.06312億円、送客手数料0.53881億円、その他0.88486億円、賃貸等の収益約0.32493億円である。会社の2026年6月期契約総数678件を便宜的な換算母数とし、平均売上を約76.4万円とした。678件には物件販売契約も含まれ、手数料取引のみの実測件数ではない。営業利益約0.2284億円はINVASEの営業利益を粗利益構成で配分した推計値である。AIエージェント代替の型は、ローン紹介、調査、顧客支援、仲介事務の人月・工数型に近い。中立の換算数量475件は現在の約0.70倍、価格0.0098億円は約1.28倍であり、数量0.55〜0.75倍と価格1.34倍以下の範囲に収めた。現物不動産の販売戸数とは独立して予測する。
リスクと懸念
AIエージェント代替
住宅ローンの比較、銀行ごとの審査条件の整理、必要書類の確認、ローン紹介、物件調査はAIエージェントで代替されやすい。利用者がモゲチェックやINVASEの操作画面を経由しなくなれば、顧客の獲得経路と送客手数料に圧力がかかる。MFSはAIを自社サービスに組み込んでいるが、AIエージェント自体による独立した収益額は確認できないため、成長の確約とは扱わない。
不動産在庫と営業キャッシュフロー
買取再販への転換に伴い、2026年6月末の販売用不動産は約13.3億円に達した。同年度の営業キャッシュフローは約10.2億円のマイナスで、借入金も増えた。住宅価格や投資家の需要が弱まり売却期間が延びれば、会計上の黒字を維持していても仕入れ資金が回収できなくなる。粗利率だけでなく、在庫回転日数と資金調達条件を追う必要がある。
銀行の紹介料と融資実行条件
モゲチェックの顧客は無料で利用でき、直接の支払者は主として金融機関などである。銀行の広告予算削減、成果報酬の変更、融資実行までの期間の長期化は、そのまま売上と運転資金に影響する。2026年6月期に事業売上が約37%減少したことは、金融機関からの報酬条件をMFSが自由に決められない現実を示している。
金利上昇と物件価格の下落
前提とする10年国債金利3%の世界では、借入金の借り換え利率はおおむね3.5%以上になる。買い手も高い投資利回りを求めるため、仕入れ時点の価格で販売できるとは限らない。物件の価格を下げれば売買差益が減り、売却を先延ばしにすれば利息と管理費が増える。販売件数の増加だけでこの影響を打ち消せると考えるのは危険である。
資本配分、役員貸付と株式希薄化
2026年6月末には役員らへの無担保貸付残高が約1.1億円あり、少数株主は貸付条件と回収の透明性を注視すべきである。加えて、2026年10月23日に譲渡制限付株式報酬による新株式119,600株の発行が完了した。事業利益が伸びても新株発行が続けば、既存株主一人当たりの取り分は薄くなる。将来の増資や買収も同じ視点で判断する。
税効果による利益のかさ上げ
2026年6月期の純利益は約3.1億円だが、繰延税金資産の計上に伴う税負担の軽減を含んでいる。営業利益約2.2億円より純利益が大きい状態は、通常の法人税負担が長期的に続く事業の実力を示していない。将来の利益を評価する際には、一時的な税効果を繰り返し計上せず、金利負担と正常な税率を反映させる必要がある。
今後の分かれ目
- モゲチェックの年間審査申込件数と融資実行課金売上がともに2期連続で増加したら
- 単なる売上計上時期のずれではなく、銀行からの報酬獲得力が回復しているか確認する。契約条件の改善を伴えば中立の数量・価格を引き上げ、やや楽観側の確率を増やす。
- INVASEの自社買取再販戸数、物件粗利率、在庫回転日数が別々に開示され、改善が続いたら
- 推定126戸という数量モデルを実測値に置き換える。物件粗利が資本コストを超える水準で継続するなら、買取再販の利益率と中立価値を引き上げる。
- 販売用不動産が増え続けるのに営業キャッシュフローが2期連続で大幅なマイナスになったら
- 在庫取得が利益を現金に変えられていないと判断する。追加借入や増資の必要性を調べ、やや悲観・悲観の確率を増やす。
- AIエージェントが銀行への申込を直接完結させ、紹介料の単価が下落したら
- モゲチェックとINVASEの付帯サービスの数量・価格をともに下方修正する。反対に、MFS自身のAI連携サービスに金額を伴う売上実績が出れば、その部分だけ新しい収益源として加える。
- 物件再販の営業利益率が3%を超え、在庫回転を悪化させずに定着したら
- 中立で想定する事業効率が実証されたと判断できる。粗利の質と必要運転資本を改めて測り、増分投資の利回りが資本コストを上回るか検証する。
- 役員向け貸付の回収、自社株買い、継続的な増配が実施されたら
- 資本配分の改善として評価する。余剰現金の株主への戻り方を75%から100%へ見直す根拠になり得るが、不動産在庫を維持するための資金まで配当可能とみなさない。
見ておくもの
- モゲチェックの年間審査申込件数、融資実行件数、銀行紹介料売上、1件当たり換算単価
- INVASEの物件契約件数の内訳、とくに自社買取再販戸数と仲介・ローン紹介件数
- INVASEの調整後売上高、売上総利益、物件粗利率、セグメント営業利益率
- 販売用不動産残高、営業キャッシュフロー、短長借入金、平均資金調達金利
- 2027年6月期の会社予想営業利益約3.7億円の達成状況と2030年計画の更新
- AIを利用した新しい販売経路の金額を伴う売上実績、銀行とのAPI連携の進展
- 役員向け無担保貸付の回収状況、追加の新株式発行、配当・自社株買い方針
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場PERから10年後の利益を逆算していない。モゲチェックは実際の審査申込件数と1件当たり換算売上から、INVASEの物件販売は有価証券報告書の不動産販売売上と市場の物件平均価格から換算数量を求めた。INVASEの仲介・ローン紹介は売上を別建てにし、総額計上された不動産販売を高収益の情報サービスと取り違えないようにした。AI代替の縮小率は、情報・人手サービスの数量と長期成長率だけに反映し、資本コストの寿命項目で重ねていない。
楽観から中立までのPERは資本コスト8.25%と名目長期成長率0%から得られる正当化上限12.12倍を使用し、現在の市場評価には合わせていない。悲観側は赤字事業にPERを掛けず、純現金と売却可能資産から税・費用を控除した床を使った。現在の余剰現金4億円を利益価値と別に扱い、悲観の資産価値には二重計上していない。株式報酬による2026年10月23日の既存株主の希薄化も、最終的な取り分に反映した。新リース会計基準の適用後も、10年後の営業利益は現行の家賃費用を含む形で比較する。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を出発点とし、事業の循環性、値決め力、純現金による調整の合計0.75%を加えた。βや企業規模の上乗せは使わず、個別の事業失敗は数量・利益率・確率で表現する。