結論
三ッ星は、工場や建設現場で使う柔らかい電線、キャプタイヤケーブルを作る大阪の会社だ。売上は117億円、純利益は2億円台である。
筆者の結論は割高だ。本業の電線は銅の値段を転嫁して稼ぐ堅実な商売だが、利益は売上の数%しか残らない。そのうえ2026年1月に、米国の投資会社へ新株と新株予約権を割り当てた。行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。
増資で集めたお金は、系統用蓄電池という新しい事業と買収に回る。銅のスクラップを扱う天進商事も株式交付で子会社にする。どれも本業とのつながりが薄く、成果はまだ数字に出ていない。
樹脂の押出製品は赤字が続き、電熱線もほぼ利益が無い。代表取締役は2026年に2度入れ替わった。10年後の中立の時価総額は会社全体で40億円台とみるが、薄まった後の今の株主の取り分では、今の値段に届かない。
筆者が見ているのは、新株予約権の行使が止まるかどうかと、新しい事業が利益を数字で示すかどうかの2点だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、株主の取り分を守る経営かどうかが一番の問題になる会社だ。
キャプタイヤケーブルは地味だが、10年後も工場と建設現場で要る。トップクラスの地位は簡単には崩れない。事業そのものは残る。
しかし今の株価を下回る値段で新株予約権を出し、株数を7割近く増やす資本政策は、今の株主から価値を移す。集めたお金は、本業とつながりの薄い蓄電池とスクラップに向かう。資本コストに届かない会社が、さらに見えない事業に資本を投じる形だ。
オーナー利益、つまり設備の維持に要る投資を引いた自由な現金は、年に数億円しかない。それに対して、増資の20億円は大きすぎる。
筆者は、この会社を持ち続けたいとは思わない。安全域は、事業の地味な強さではなく、経営が株主の取り分をどう扱うかで測るべきで、今の経営はそこに不安を残す。
何で稼ぐ会社か
三ッ星は1919年の創業で、電線を本業とし、樹脂の押出製品と電熱線へ広げてきた。事業は3つに分かれる。
電線は売上の7割だ。主力はキャプタイヤケーブル、つまりゴムやビニールで厚く覆った曲げに強い電線で、工場の機械、建設現場、クレーンなどで使う。この分野では国内のトップクラスにある。フィリピンの子会社でも作る。2026年3月期は銅の値上がりを価格に乗せ、売上83億円、セグメント利益4.8億円だった。売れた銅の量はゴム電線が横ばい、ビニール電線は減った。
ポリマテックは売上の2割で、住宅建材向けの樹脂の押出製品、高機能チューブ、道路照明のLEDを手がける。住宅の着工が62年ぶりの低さに落ち、1.3億円の赤字だった。
電熱線は売上の1割弱で、射出成型機のヒーターや冷蔵庫、抵抗器に使う線を作る。海外の受注が減り、利益はほぼゼロだ。
2026年からは系統用蓄電池の事業に乗り出し、蓄電所の設備を取得した。10月には銅スクラップの回収と輸出入を営む天進商事の株を51%持ち、資源の再利用の事業部も新設する。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、キャプタイヤケーブルの品ぞろえと、100年続く電線の顧客との取引だ。
キャプタイヤケーブルは機械ごとに太さや被覆が違い、多品種を少しずつ作る力が要る。大手の電線会社は大口の電力ケーブルや通信に力を入れ、この細かい分野に深入りしない。その隙間で三ッ星はトップクラスの地位を保ってきた。
ただ値決めの力は限られる。値段の大半は銅の相場で決まり、加工の取り分は数%しかない。競合には住電HSTケーブルや中堅の電線会社がいて、販売代理店が仕入れ先を比べる。過去12年の営業利益率の山は5.8%で、赤字の年も2度ある。
資本効率は低い。ROE、つまり自己資本に対する純利益の割合は過去10年の中央値で3%強だ。資本コストの8.5%に遠い。そこへ今の株価を下回る値段での新株予約権の発行が重なった。資本の使い方には疑問が残る。経営陣の入れ替わりも続き、方針が定まっていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
キャプタイヤケーブルの需要は、工場の設備投資と建設の量で決まる。
建設と電材の販売は、首都圏の再開発や半導体工場の建設で大型案件が続いている。業界団体も電線の需要は増えると見込む。ただ建設のコスト高と人手不足で工期が延び、中小の工事は先送りされる。筆者は、電線の数量は10年でわずかに減るとみる。人口が減り、国内の工場も増えないからだ。
値段は銅の相場で動く。2025年9月のインドネシアの鉱山事故の後、国内の銅の建値は2026年1月に1トン219万円と過去最高をつけた。銅が上がれば売上は膨らむが、転嫁が遅れれば利益は削られる。筆者は、加工の取り分は物価並みに上がるが、それ以上は難しいとみる。
電線の大手はAIデータセンター向けの光ファイバーや電力ケーブルで大きく稼ぐが、三ッ星の主戦場はそこではない。
樹脂の押出製品は住宅の着工に縛られる。着工は年74万戸と細り続け、住宅以外の顧客を開くしか道は無い。
系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの出力の波をならす設備で、国の支援で参入が相次ぐ。早く始めれば有利だが、競争も激しく、電線会社の強みが生きるかは分からない。
資本政策と M&A
還元は配当だけだ。配当性向は2割台で、自社株買いはしていない。2026年2月にQUOカードの株主優待を始めたが、額は年1億円に満たない。
資本の使い方で最も大きいのは、2026年1月の第三者割当だ。米国の投資会社に新株16万株と、334万株分の新株予約権を割り当てた。行使の値段は発行を決めた時の株価の9割で、今の株価を3割下回る。全部が行使されれば約20億円が入る。割当先は株を長く持つ意思は無く、市場で少しずつ売るとしている。
集めたお金は系統用蓄電池と買収に使う。2026年10月には株式交付で天進商事を子会社にし、さらに約4%の株が増える。代表取締役は2026年に2度入れ替わった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
本業は底を打った。2026年3月期は営業利益が前期の2.5倍になり、会社の予想も上回った。銅の値上がりを転嫁し、基準の値段そのものを改めた。値上げを通せる力があることを示した。
電線の需要も戻る。業界団体は受注の増加を見込み、首都圏の再開発と半導体工場の建設が続く。キャプタイヤケーブルの国内のトップクラスは揺るがない。
増資は攻めの一手だ。系統用蓄電池は再生可能エネルギーの拡大で需要が伸び、早く参入した会社が有利になる。電線と蓄電所は相性が良く、本業の知見も生きる。天進商事の銅スクラップは、電線の材料の調達を安定させる。
財務も強くなる。新株予約権が行使されれば20億円近い現金が入り、借入はほぼ消える。土地と有価証券もあり、自己資本は時価総額の2倍を超える。新しい事業が軌道に乗れば、株数が増えても利益はそれ以上に伸びる。
株主優待も始め、個人の株主を増やす姿勢も見える。株を広く持ってもらえば、流動性が上がり、株価の評価も変わりうる。
慎重な見方
今の株主にとって、増資の条件は悪い。行使の値段は今の株価を3割下回る。全部が行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。割当先は米国の個人が全額出資する投資会社で、株を長く持たずに市場で売ると明言している。
お金の使い道も心配だ。系統用蓄電池は国の支援で参入が殺到し、電線会社に特別な強みは無い。銅スクラップの売買は利ざやの薄い商売だ。本業と縁の薄い事業に、資本コストに届かない会社がお金を投じる。
本業も強くない。営業利益率の山は6%弱で、樹脂の押出製品は赤字が続く。電熱線もほぼ利益が無い。2026年4月には子会社の評価損とのれんの一時償却を出した。
経営は落ち着かない。代表取締役は2026年に2度入れ替わり、新しい中期経営計画も方向が定まらない。過去10年のROEの中央値は3%強で、株主の資本を増やせていない。
資本コストに届かない会社が株を大きく増やせば、1株あたりの価値は下がる。増資で現金が入っても、それを稼ぐ力に変えられなければ、今の株主は損をするだけだ。
どちらに重みを置いたか
強いのは慎重な見方だ。電線の本業は残るが、今の株価を下回る値段での大きな希薄化と、本業と縁の薄い新事業への投資が、今の株主の取り分を削る。経営陣の入れ替わりも続く。
確率は中立を厚くし、悲観側を楽観側より厚く置いた。蓄電池やスクラップの事業が利益を数字で示すか、新株予約権の残りが消却されれば、見方を改める。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 776 円32 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 131 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 449 円19 億円、今との差 −47.3%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,978 円82 億円 | 253 円10 億円 | +161.8% | +10.1% | 112 円5 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,365 円56 億円 | 197 円8 億円 | +83.3% | +6.2% | 234 円10 億円 |
| 中立 | 42% | 928 円38 億円 | 141 円6 億円 | +25.4% | +2.3% | 449 円19 億円 |
| やや悲観 | 25% | 268 円11 億円 | 98 円4 億円 | −56.9% | −8.1% | 92 円4 億円 |
| 悲観 | 13% | 119 円5 億円 | 42 円2 億円 | −81.1% | −15.3% | 21 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 776 円32 億円 | 131 円5 億円 | +6.5% | +0.6% | 907 円37 億円 |
今の株価時価総額 852 円35 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 蓄電池と買収が実り、電線も値上げが定着する 利益 11 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,978 円82 億円
系統用蓄電所が再生可能エネルギーの調整の需要をとらえ、年3億円の営業利益を生む。天進商事の銅スクラップは電線の材料の調達にも生き、買収でさらに事業が広がる。
電線は基準の値段の改定が定着し、数量は1.08倍、利益率は7%に上がる。樹脂は住宅以外の顧客を開き、利益率5%で黒字になる。電熱線も自動車とロボット向けで持ち直す。
営業利益は14.6億円、純利益は11億円近くになる。新株予約権は全部行使され、株数は今の1.7倍だ。会社全体の自己資本は146億円に増えるが、ROEは7%台で資本コストに届かない。今の株主の取り分は6割弱にとどまる。
- 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 2,254(販売銅量(トン))× 価格 560(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 126 億円・営業利益 9 億円。営業利益率 7.0%
- ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,988(出荷重量(トン))× 価格 138(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。営業利益率 5.0%
- 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 326(出荷重量(トン))× 価格 410(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しい事業の成功、本業の利益率の上昇、樹脂の黒字化が揃う必要がある。過去12年の利益率の山を超える筋書きで、経営の入れ替わりも続くので5%とした。
やや楽観 15% 電線が持ち直し、蓄電池が少し稼ぐ 利益 8 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,365 円56 億円
電線は再開発と半導体工場の需要で数量を保ち、値上げも通る。利益率は6%に上がる。樹脂は住宅以外の受注が増え、利益率3%で黒字に転じる。電熱線は自動車向けの回復で4%を稼ぐ。
蓄電所と天進商事は合わせて年1.5億円の営業利益を生む。営業利益は10億円、純利益は7.5億円になる。
新株予約権は行使され、払い込まれた16億円は蓄電所と買収に回る。配当性向は2割台のままで、10年の還元は14億円。会社全体の自己資本は130億円になり、ROEは6%弱だ。今の株主の取り分は6割弱に薄まる。新しい事業が稼ぎ始めても、株数の増え方がそれを打ち消す。
- 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 2,087(販売銅量(トン))× 価格 550(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 115 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 6.0%
- ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,739(出荷重量(トン))× 価格 136(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 3.0%
- 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 296(出荷重量(トン))× 価格 405(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 94 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期の値上げの実績と会社の増益予想があり、蓄電所の設備も既に取得した。ただ新事業の採算は未知数で、1割台半ばにとどめた。
中立 42% 電線は物価並み、新事業は小さく、株は薄まる 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 928 円38 億円
電線の数量は人口と工場の減少で0.95倍になる。加工の取り分は物価並みに上がり、単価は1.34倍だ。利益率は5%と、過去の山の手前にとどまる。
樹脂は赤字を抜けるが、利益率は1%しかない。電熱線は数量が1割減り、利益は小さい。既存の工場の償却は取得時の値段のまま増えず、更新の分だけ新しい値段の償却が足される。
蓄電所と天進商事は年0.8億円ほどの営業利益にとどまる。営業利益は6.7億円、純利益は5億円になる。天進商事の49%は少数株主の取り分だ。
新株予約権は行使され、株数は1.7倍になる。10年の還元は10億円。会社全体の自己資本は120億円、ROEは4%強だ。
- 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,983(販売銅量(トン))× 価格 536(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 106 億円・営業利益 5 億円。営業利益率 5.0%
- ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,490(出荷重量(トン))× 価格 134(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 1.0%
- 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 266(出荷重量(トン))× 価格 402(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 2.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 62 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電線の数量はわずかに減り、値上げで名目の売上は伸びる。新事業は小さな利益にとどまる。過去の稼ぎの水準に近い、もっとも自然な姿。
やや悲観 25% 新事業が足を引っ張り、本業も細る 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 268 円11 億円
電線は工期の遅れと工場の減少で数量が0.85倍に落ちる。銅の転嫁が遅れ、利益率は3%だ。樹脂と電熱線は赤字が続く。
蓄電所は競争で採算が合わず、年0.5億円の赤字になる。営業利益は1億円に届かず、純利益は受取配当に支えられて1億円ほどだ。
新株予約権は行使され、払い込まれたお金は新事業に消えていく。配当は維持するが、10年の還元は7億円。稼ぐ力で測る価値は12億円ほどで、土地と有価証券の床の方が少し高い。会社全体の自己資本は100億円あっても、そこから生まれる利益は1億円しかない。増資の判断が、そのまま株主の損になる筋書きだ。
- 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,774(販売銅量(トン))× 価格 500(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 89 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 3.0%
- ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,117(出荷重量(トン))× 価格 125(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率 -4.0%
- 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 222(出荷重量(トン))× 価格 380(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 -3.0%
倍率:稼ぐ力(純利益1億円÷k)は約11.8億円。純現金・有価証券・土地の税後に戻り方0.5を掛けた床(約15.5億円)の方が大きく、その額を今の自己資本72億円の約0.21倍で置いた。EVで見ると営業利益の30倍を超えるが、営業利益が1億円未満の谷の年で、床は資産から置いた。
確率:樹脂と電熱線は既に赤字か利益ゼロで、2026年4月には子会社の評価損も出した。経営陣の入れ替わりが続き、新事業の失敗の確率は低くない。
悲観 13% 新事業の損失と本業の縮小で、赤字が続く 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 119 円5 億円
蓄電所は採算が合わず減損し、銅スクラップは相場の急落で損を出す。電線は数量が0.7倍に縮み、利益は出ない。樹脂と電熱線も赤字が続く。
営業損失は年3億円、純損失も3億円を超える。配当はやがて止まり、10年の還元は3億円にとどまる。
増資で入った現金は新事業の穴埋めに消え、借入が再び増える。残るのは工場の土地と有価証券だが、売るかどうかは経営が決める。今の株主は、薄まった取り分のまま価値の目減りを受ける。
キャプタイヤケーブルの細い需要だけが残り、会社は小さく続く。経営陣の入れ替わりがさらに続き、方針も定まらない。
- 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,461(販売銅量(トン))× 価格 470(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
- ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 1,743(出荷重量(トン))× 価格 115(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率 -6.0%
- 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 178(出荷重量(トン))× 価格 350(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 -5.0%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。土地と有価証券の税後から純負債を引き、戻り方0.5を掛けた床(約8.5億円)で、今の自己資本の約0.12倍に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.117 倍・時価総額 8 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:蓄電所の減損、スクラップの損失、電線の数量の縮小が重なる構造的な負け。過去にも赤字の期があり、経営の不安定さも考えて1割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線)
ゴムやビニールで被覆した曲げに強い電線。工場の機械・建設現場・クレーン向けに電材の販売店を通じて売る。フィリピン子会社でも生産。
| 数量販売銅量(トン) | 価格銅1トンあたりの電線の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,087 | 400 | 83 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,983 | 536 | 106 | 5 |
取り方:2026年3月期の電線の売上83.49億円・セグメント利益4.76億円(短信)。販売銅量の開示は無く、銅の期平均の建値169.5万円/トンに被覆と加工の分を乗せて銅1トンあたり400万円と置き、約2,090トンと推定。
ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED)
住宅建材向けの合成樹脂の押出製品、機器向けの高機能チューブ、道路照明などのLED商品。
| 数量出荷重量(トン) | 価格1トンあたりの単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,490 | 100 | 25 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2,490 | 134 | 33 | 0 |
取り方:2026年3月期のポリマテックの売上24.90億円・セグメント損失1.29億円(短信)。重量の開示は無く、押出製品とLEDを1トン100万円に均して約2,490トンと推定。
電熱線(電熱線・抵抗線)
ニッケルクロムなどの電熱線と抵抗線。射出成型機のヒーター、冷蔵庫、自動車のヒーター、抵抗器に使う。
| 数量出荷重量(トン) | 価格1トンあたりの単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 296 | 300 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 266 | 402 | 11 | 0 |
取り方:2026年3月期の電熱線の売上8.88億円・セグメント利益0.08億円(短信)。重量の開示は無く、ニッケル合金の細線として1トン300万円と置いて約296トンと推定。
リスクと懸念
新株予約権による希薄化
今の株価を3割下回る値段で行使できる新株予約権が、約280万株分残る。全部が行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。割当先は市場で売る方針で、株価の重しにもなる。
本業と縁の薄い新事業
系統用蓄電池と銅スクラップの売買に増資のお金を投じる。どちらも競争が激しく、電線会社に特別な強みは無い。失敗すれば減損が出る。
銅の相場と転嫁
電線の値段の大半は銅で決まる。銅の急な値上がりや値下がりに転嫁が追いつかないと、薄い加工の取り分が消える。
樹脂と電熱線の赤字
ポリマテックは住宅の着工の縮小で赤字が続き、電熱線もほぼ利益が無い。2026年4月には子会社の評価損とのれんの一時償却を出した。
経営の不安定さ
代表取締役は2026年に2度入れ替わり、取締役の担当の変更も相次ぐ。新しい中期経営計画の方向が定まらないまま、大きな資本の決断が続いている。
今後の分かれ目
- 新株予約権の行使が止まり、残りが消却されたら
- 今の株主の取り分を上げ、価値を見直す。
- 系統用蓄電所が年1億円を超える営業利益を2期続けて出したら
- やや楽観の確率を厚くする。
- ポリマテックが黒字に転じたら
- 中立の利益率を上げる。
- 新事業で減損を出したら
- やや悲観・悲観の確率を厚くする。
- 配当性向を上げるか自社株買いを始めたら
- 余った現金の戻り方を上げる。
見ておくもの
- 新株予約権の行使の状況
- 電線のセグメント利益と銅の建値
- 系統用蓄電所と天進商事の損益
- ポリマテックの損益
- 経営陣の異動
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、3つの事業の数量と単価、新事業の調整から10年後の利益を会社全体で積んだ。どの筋書きでもROEは資本コスト8%を下回るため、PERは1÷k(約11.8倍)を上限に利益の質で8〜9割に置いた。悲観側は稼ぐ力と、現金・有価証券・土地に戻り方0.5を掛けた床で置いた。新株予約権の残りと株式交付の分は係数0.58で今の株主の取り分に直し、倍率には掛けていない。今のPBRには寄せていない。リースは小さく、新リース会計基準の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→12.5 倍・やや楽観 PER 10→12.5 倍・中立 PER 9.4→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。