株譜
AI 銘柄分析 · 非鉄金属 · 試作

三ッ星 5820

キャプタイヤケーブルの老舗が、大きな希薄化を伴う増資で蓄電池とスクラップに手を広げる。既存株主の取り分が4割薄まり割高

割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)449 円19 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)852 円35 億円差 −47.3%
10 年後から見ると 割高 価値 449 円19 億円 · 差 −47.3% · 期待の年率 +0.6%
期待の年率リターン(10 年)+0.6%資本コスト比 −7.4 pt
推定の資本コスト8.0%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.0% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

三ッ星は、工場や建設現場で使う柔らかい電線、キャプタイヤケーブルを作る大阪の会社だ。売上は117億円、純利益は2億円台である。

筆者の結論は割高だ。本業の電線は銅の値段を転嫁して稼ぐ堅実な商売だが、利益は売上の数%しか残らない。そのうえ2026年1月に、米国の投資会社へ新株と新株予約権を割り当てた。行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。

増資で集めたお金は、系統用蓄電池という新しい事業と買収に回る。銅のスクラップを扱う天進商事も株式交付で子会社にする。どれも本業とのつながりが薄く、成果はまだ数字に出ていない。

樹脂の押出製品は赤字が続き、電熱線もほぼ利益が無い。代表取締役は2026年に2度入れ替わった。10年後の中立の時価総額は会社全体で40億円台とみるが、薄まった後の今の株主の取り分では、今の値段に届かない。

筆者が見ているのは、新株予約権の行使が止まるかどうかと、新しい事業が利益を数字で示すかどうかの2点だ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、株主の取り分を守る経営かどうかが一番の問題になる会社だ。

キャプタイヤケーブルは地味だが、10年後も工場と建設現場で要る。トップクラスの地位は簡単には崩れない。事業そのものは残る。

しかし今の株価を下回る値段で新株予約権を出し、株数を7割近く増やす資本政策は、今の株主から価値を移す。集めたお金は、本業とつながりの薄い蓄電池とスクラップに向かう。資本コストに届かない会社が、さらに見えない事業に資本を投じる形だ。

オーナー利益、つまり設備の維持に要る投資を引いた自由な現金は、年に数億円しかない。それに対して、増資の20億円は大きすぎる。

筆者は、この会社を持ち続けたいとは思わない。安全域は、事業の地味な強さではなく、経営が株主の取り分をどう扱うかで測るべきで、今の経営はそこに不安を残す。

何で稼ぐ会社か

三ッ星は1919年の創業で、電線を本業とし、樹脂の押出製品と電熱線へ広げてきた。事業は3つに分かれる。

電線は売上の7割だ。主力はキャプタイヤケーブル、つまりゴムやビニールで厚く覆った曲げに強い電線で、工場の機械、建設現場、クレーンなどで使う。この分野では国内のトップクラスにある。フィリピンの子会社でも作る。2026年3月期は銅の値上がりを価格に乗せ、売上83億円、セグメント利益4.8億円だった。売れた銅の量はゴム電線が横ばい、ビニール電線は減った。

ポリマテックは売上の2割で、住宅建材向けの樹脂の押出製品、高機能チューブ、道路照明のLEDを手がける。住宅の着工が62年ぶりの低さに落ち、1.3億円の赤字だった。

電熱線は売上の1割弱で、射出成型機のヒーターや冷蔵庫、抵抗器に使う線を作る。海外の受注が減り、利益はほぼゼロだ。

2026年からは系統用蓄電池の事業に乗り出し、蓄電所の設備を取得した。10月には銅スクラップの回収と輸出入を営む天進商事の株を51%持ち、資源の再利用の事業部も新設する。

優良さと弱いところ

堀、つまり他社がまねできない強みは、キャプタイヤケーブルの品ぞろえと、100年続く電線の顧客との取引だ。

キャプタイヤケーブルは機械ごとに太さや被覆が違い、多品種を少しずつ作る力が要る。大手の電線会社は大口の電力ケーブルや通信に力を入れ、この細かい分野に深入りしない。その隙間で三ッ星はトップクラスの地位を保ってきた。

ただ値決めの力は限られる。値段の大半は銅の相場で決まり、加工の取り分は数%しかない。競合には住電HSTケーブルや中堅の電線会社がいて、販売代理店が仕入れ先を比べる。過去12年の営業利益率の山は5.8%で、赤字の年も2度ある。

資本効率は低い。ROE、つまり自己資本に対する純利益の割合は過去10年の中央値で3%強だ。資本コストの8.5%に遠い。そこへ今の株価を下回る値段での新株予約権の発行が重なった。資本の使い方には疑問が残る。経営陣の入れ替わりも続き、方針が定まっていない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

キャプタイヤケーブルの需要は、工場の設備投資と建設の量で決まる。

建設と電材の販売は、首都圏の再開発や半導体工場の建設で大型案件が続いている。業界団体も電線の需要は増えると見込む。ただ建設のコスト高と人手不足で工期が延び、中小の工事は先送りされる。筆者は、電線の数量は10年でわずかに減るとみる。人口が減り、国内の工場も増えないからだ。

値段は銅の相場で動く。2025年9月のインドネシアの鉱山事故の後、国内の銅の建値は2026年1月に1トン219万円と過去最高をつけた。銅が上がれば売上は膨らむが、転嫁が遅れれば利益は削られる。筆者は、加工の取り分は物価並みに上がるが、それ以上は難しいとみる。

電線の大手はAIデータセンター向けの光ファイバーや電力ケーブルで大きく稼ぐが、三ッ星の主戦場はそこではない。

樹脂の押出製品は住宅の着工に縛られる。着工は年74万戸と細り続け、住宅以外の顧客を開くしか道は無い。

系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの出力の波をならす設備で、国の支援で参入が相次ぐ。早く始めれば有利だが、競争も激しく、電線会社の強みが生きるかは分からない。

資本政策と M&A

還元は配当だけだ。配当性向は2割台で、自社株買いはしていない。2026年2月にQUOカードの株主優待を始めたが、額は年1億円に満たない。

資本の使い方で最も大きいのは、2026年1月の第三者割当だ。米国の投資会社に新株16万株と、334万株分の新株予約権を割り当てた。行使の値段は発行を決めた時の株価の9割で、今の株価を3割下回る。全部が行使されれば約20億円が入る。割当先は株を長く持つ意思は無く、市場で少しずつ売るとしている。

集めたお金は系統用蓄電池と買収に使う。2026年10月には株式交付で天進商事を子会社にし、さらに約4%の株が増える。代表取締役は2026年に2度入れ替わった。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

本業は底を打った。2026年3月期は営業利益が前期の2.5倍になり、会社の予想も上回った。銅の値上がりを転嫁し、基準の値段そのものを改めた。値上げを通せる力があることを示した。

電線の需要も戻る。業界団体は受注の増加を見込み、首都圏の再開発と半導体工場の建設が続く。キャプタイヤケーブルの国内のトップクラスは揺るがない。

増資は攻めの一手だ。系統用蓄電池は再生可能エネルギーの拡大で需要が伸び、早く参入した会社が有利になる。電線と蓄電所は相性が良く、本業の知見も生きる。天進商事の銅スクラップは、電線の材料の調達を安定させる。

財務も強くなる。新株予約権が行使されれば20億円近い現金が入り、借入はほぼ消える。土地と有価証券もあり、自己資本は時価総額の2倍を超える。新しい事業が軌道に乗れば、株数が増えても利益はそれ以上に伸びる。

株主優待も始め、個人の株主を増やす姿勢も見える。株を広く持ってもらえば、流動性が上がり、株価の評価も変わりうる。

慎重な見方

今の株主にとって、増資の条件は悪い。行使の値段は今の株価を3割下回る。全部が行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。割当先は米国の個人が全額出資する投資会社で、株を長く持たずに市場で売ると明言している。

お金の使い道も心配だ。系統用蓄電池は国の支援で参入が殺到し、電線会社に特別な強みは無い。銅スクラップの売買は利ざやの薄い商売だ。本業と縁の薄い事業に、資本コストに届かない会社がお金を投じる。

本業も強くない。営業利益率の山は6%弱で、樹脂の押出製品は赤字が続く。電熱線もほぼ利益が無い。2026年4月には子会社の評価損とのれんの一時償却を出した。

経営は落ち着かない。代表取締役は2026年に2度入れ替わり、新しい中期経営計画も方向が定まらない。過去10年のROEの中央値は3%強で、株主の資本を増やせていない。

資本コストに届かない会社が株を大きく増やせば、1株あたりの価値は下がる。増資で現金が入っても、それを稼ぐ力に変えられなければ、今の株主は損をするだけだ。

どちらに重みを置いたか

強いのは慎重な見方だ。電線の本業は残るが、今の株価を下回る値段での大きな希薄化と、本業と縁の薄い新事業への投資が、今の株主の取り分を削る。経営陣の入れ替わりも続く。

確率は中立を厚くし、悲観側を楽観側より厚く置いた。蓄電池やスクラップの事業が利益を数字で示すか、新株予約権の残りが消却されれば、見方を改める。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 776 円32 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 131 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 449 円19 億円、今との差 −47.3%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 5% 1,978 円82 億円 253 円10 億円 +161.8% +10.1% 112 円5 億円
やや楽観 15% 1,365 円56 億円 197 円8 億円 +83.3% +6.2% 234 円10 億円
中立 42% 928 円38 億円 141 円6 億円 +25.4% +2.3% 449 円19 億円
やや悲観 25% 268 円11 億円 98 円4 億円 −56.9% −8.1% 92 円4 億円
悲観 13% 119 円5 億円 42 円2 億円 −81.1% −15.3% 21 円1 億円
加重平均100% 776 円32 億円131 円5 億円 +6.5% +0.6% 907 円37 億円

今の株価時価総額 852 円35 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。

楽観 5% 蓄電池と買収が実り、電線も値上げが定着する 利益 11 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,978 円82 億円

系統用蓄電所が再生可能エネルギーの調整の需要をとらえ、年3億円の営業利益を生む。天進商事の銅スクラップは電線の材料の調達にも生き、買収でさらに事業が広がる。

電線は基準の値段の改定が定着し、数量は1.08倍、利益率は7%に上がる。樹脂は住宅以外の顧客を開き、利益率5%で黒字になる。電熱線も自動車とロボット向けで持ち直す。

営業利益は14.6億円、純利益は11億円近くになる。新株予約権は全部行使され、株数は今の1.7倍だ。会社全体の自己資本は146億円に増えるが、ROEは7%台で資本コストに届かない。今の株主の取り分は6割弱にとどまる。

  • 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 2,254(販売銅量(トン))× 価格 560(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 126 億円・営業利益 9 億円。営業利益率 7.0%
  • ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,988(出荷重量(トン))× 価格 138(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。営業利益率 5.0%
  • 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 326(出荷重量(トン))× 価格 410(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 5.0%

倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:新しい事業の成功、本業の利益率の上昇、樹脂の黒字化が揃う必要がある。過去12年の利益率の山を超える筋書きで、経営の入れ替わりも続くので5%とした。

やや楽観 15% 電線が持ち直し、蓄電池が少し稼ぐ 利益 8 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,365 円56 億円

電線は再開発と半導体工場の需要で数量を保ち、値上げも通る。利益率は6%に上がる。樹脂は住宅以外の受注が増え、利益率3%で黒字に転じる。電熱線は自動車向けの回復で4%を稼ぐ。

蓄電所と天進商事は合わせて年1.5億円の営業利益を生む。営業利益は10億円、純利益は7.5億円になる。

新株予約権は行使され、払い込まれた16億円は蓄電所と買収に回る。配当性向は2割台のままで、10年の還元は14億円。会社全体の自己資本は130億円になり、ROEは6%弱だ。今の株主の取り分は6割弱に薄まる。新しい事業が稼ぎ始めても、株数の増え方がそれを打ち消す。

  • 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 2,087(販売銅量(トン))× 価格 550(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 115 億円・営業利益 7 億円。営業利益率 6.0%
  • ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,739(出荷重量(トン))× 価格 136(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 3.0%
  • 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 296(出荷重量(トン))× 価格 405(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 4.0%

倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 94 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:2026年3月期の値上げの実績と会社の増益予想があり、蓄電所の設備も既に取得した。ただ新事業の採算は未知数で、1割台半ばにとどめた。

中立 42% 電線は物価並み、新事業は小さく、株は薄まる 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 928 円38 億円

電線の数量は人口と工場の減少で0.95倍になる。加工の取り分は物価並みに上がり、単価は1.34倍だ。利益率は5%と、過去の山の手前にとどまる。

樹脂は赤字を抜けるが、利益率は1%しかない。電熱線は数量が1割減り、利益は小さい。既存の工場の償却は取得時の値段のまま増えず、更新の分だけ新しい値段の償却が足される。

蓄電所と天進商事は年0.8億円ほどの営業利益にとどまる。営業利益は6.7億円、純利益は5億円になる。天進商事の49%は少数株主の取り分だ。

新株予約権は行使され、株数は1.7倍になる。10年の還元は10億円。会社全体の自己資本は120億円、ROEは4%強だ。

  • 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,983(販売銅量(トン))× 価格 536(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 106 億円・営業利益 5 億円。営業利益率 5.0%
  • ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,490(出荷重量(トン))× 価格 134(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 1.0%
  • 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 266(出荷重量(トン))× 価格 402(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 2.0%

倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 62 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:電線の数量はわずかに減り、値上げで名目の売上は伸びる。新事業は小さな利益にとどまる。過去の稼ぎの水準に近い、もっとも自然な姿。

やや悲観 25% 新事業が足を引っ張り、本業も細る 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 268 円11 億円

電線は工期の遅れと工場の減少で数量が0.85倍に落ちる。銅の転嫁が遅れ、利益率は3%だ。樹脂と電熱線は赤字が続く。

蓄電所は競争で採算が合わず、年0.5億円の赤字になる。営業利益は1億円に届かず、純利益は受取配当に支えられて1億円ほどだ。

新株予約権は行使され、払い込まれたお金は新事業に消えていく。配当は維持するが、10年の還元は7億円。稼ぐ力で測る価値は12億円ほどで、土地と有価証券の床の方が少し高い。会社全体の自己資本は100億円あっても、そこから生まれる利益は1億円しかない。増資の判断が、そのまま株主の損になる筋書きだ。

  • 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,774(販売銅量(トン))× 価格 500(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 89 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 3.0%
  • ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 2,117(出荷重量(トン))× 価格 125(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率 -4.0%
  • 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 222(出荷重量(トン))× 価格 380(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 -3.0%

倍率:稼ぐ力(純利益1億円÷k)は約11.8億円。純現金・有価証券・土地の税後に戻り方0.5を掛けた床(約15.5億円)の方が大きく、その額を今の自己資本72億円の約0.21倍で置いた。EVで見ると営業利益の30倍を超えるが、営業利益が1億円未満の谷の年で、床は資産から置いた。

確率:樹脂と電熱線は既に赤字か利益ゼロで、2026年4月には子会社の評価損も出した。経営陣の入れ替わりが続き、新事業の失敗の確率は低くない。

悲観 13% 新事業の損失と本業の縮小で、赤字が続く 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 119 円5 億円

蓄電所は採算が合わず減損し、銅スクラップは相場の急落で損を出す。電線は数量が0.7倍に縮み、利益は出ない。樹脂と電熱線も赤字が続く。

営業損失は年3億円、純損失も3億円を超える。配当はやがて止まり、10年の還元は3億円にとどまる。

増資で入った現金は新事業の穴埋めに消え、借入が再び増える。残るのは工場の土地と有価証券だが、売るかどうかは経営が決める。今の株主は、薄まった取り分のまま価値の目減りを受ける。

キャプタイヤケーブルの細い需要だけが残り、会社は小さく続く。経営陣の入れ替わりがさらに続き、方針も定まらない。

  • 電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線):数量 1,461(販売銅量(トン))× 価格 470(銅1トンあたりの電線の売上(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
  • ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED):数量 1,743(出荷重量(トン))× 価格 115(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率 -6.0%
  • 電熱線(電熱線・抵抗線):数量 178(出荷重量(トン))× 価格 350(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 -5.0%

倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。土地と有価証券の税後から純負債を引き、戻り方0.5を掛けた床(約8.5億円)で、今の自己資本の約0.12倍に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.117 倍・時価総額 8 億円。上の倍率は置き直す前の値)

確率:蓄電所の減損、スクラップの損失、電線の数量の縮小が重なる構造的な負け。過去にも赤字の期があり、経営の不安定さも考えて1割強とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

電線(キャプタイヤケーブル・ビニール電線)

ゴムやビニールで被覆した曲げに強い電線。工場の機械・建設現場・クレーン向けに電材の販売店を通じて売る。フィリピン子会社でも生産。

数量販売銅量(トン)価格銅1トンあたりの電線の売上(万円)売上営業利益
今 2026/03 2,087 400 83 5
10 年後 中立 1,983 536 106 5

取り方:2026年3月期の電線の売上83.49億円・セグメント利益4.76億円(短信)。販売銅量の開示は無く、銅の期平均の建値169.5万円/トンに被覆と加工の分を乗せて銅1トンあたり400万円と置き、約2,090トンと推定。

ポリマテック(樹脂の押出製品・高機能チューブ・LED)

住宅建材向けの合成樹脂の押出製品、機器向けの高機能チューブ、道路照明などのLED商品。

数量出荷重量(トン)価格1トンあたりの単価(万円)売上営業利益
今 2026/03 2,490 100 25 −1
10 年後 中立 2,490 134 33 0

取り方:2026年3月期のポリマテックの売上24.90億円・セグメント損失1.29億円(短信)。重量の開示は無く、押出製品とLEDを1トン100万円に均して約2,490トンと推定。

電熱線(電熱線・抵抗線)

ニッケルクロムなどの電熱線と抵抗線。射出成型機のヒーター、冷蔵庫、自動車のヒーター、抵抗器に使う。

数量出荷重量(トン)価格1トンあたりの単価(万円)売上営業利益
今 2026/03 296 300 9 0
10 年後 中立 266 402 11 0

取り方:2026年3月期の電熱線の売上8.88億円・セグメント利益0.08億円(短信)。重量の開示は無く、ニッケル合金の細線として1トン300万円と置いて約296トンと推定。

リスクと懸念

新株予約権による希薄化

今の株価を3割下回る値段で行使できる新株予約権が、約280万株分残る。全部が行使されれば株数は7割近く増え、今の株主の取り分は6割弱に薄まる。割当先は市場で売る方針で、株価の重しにもなる。

本業と縁の薄い新事業

系統用蓄電池と銅スクラップの売買に増資のお金を投じる。どちらも競争が激しく、電線会社に特別な強みは無い。失敗すれば減損が出る。

銅の相場と転嫁

電線の値段の大半は銅で決まる。銅の急な値上がりや値下がりに転嫁が追いつかないと、薄い加工の取り分が消える。

樹脂と電熱線の赤字

ポリマテックは住宅の着工の縮小で赤字が続き、電熱線もほぼ利益が無い。2026年4月には子会社の評価損とのれんの一時償却を出した。

経営の不安定さ

代表取締役は2026年に2度入れ替わり、取締役の担当の変更も相次ぐ。新しい中期経営計画の方向が定まらないまま、大きな資本の決断が続いている。

今後の分かれ目

新株予約権の行使が止まり、残りが消却されたら
今の株主の取り分を上げ、価値を見直す。
系統用蓄電所が年1億円を超える営業利益を2期続けて出したら
やや楽観の確率を厚くする。
ポリマテックが黒字に転じたら
中立の利益率を上げる。
新事業で減損を出したら
やや悲観・悲観の確率を厚くする。
配当性向を上げるか自社株買いを始めたら
余った現金の戻り方を上げる。

見ておくもの

  • 新株予約権の行使の状況
  • 電線のセグメント利益と銅の建値
  • 系統用蓄電所と天進商事の損益
  • ポリマテックの損益
  • 経営陣の異動

倍率と資本コストの決め方

今の株価は見ずに、3つの事業の数量と単価、新事業の調整から10年後の利益を会社全体で積んだ。どの筋書きでもROEは資本コスト8%を下回るため、PERは1÷k(約11.8倍)を上限に利益の質で8〜9割に置いた。悲観側は稼ぐ力と、現金・有価証券・土地に戻り方0.5を掛けた床で置いた。新株予約権の残りと株式交付の分は係数0.58で今の株主の取り分に直し、倍率には掛けていない。今のPBRには寄せていない。リースは小さく、新リース会計基準の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→12.5 倍・やや楽観 PER 10→12.5 倍・中立 PER 9.4→12.5 倍)。

資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。

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割安 カナレ電気5819 放送向けケーブルの堅実な会社。時価総額を上回る金融資産を抱え、本業がほぼ無料で付いてくる 本質価値との差 +88.2% · 10 年 割安(年 +13.1%) 割安 DOWAホールディングス5714 環境・リサイクルと製錬を束ねる堅い会社。株価は金属高と一時益を織り込み、10年で見ると、やや割安の水準にある 本質価値との差 +42.6% · 10 年 割安(年 +9.9%) やや割安 アーレスティ5852 自動車向けアルミ鋳造の専業。稼ぐ力は薄く米国の再建しだいで振れ幅が大きいが、価値は今の値段とほぼ釣り合う 本質価値との差 +27.3% · 10 年 やや割安(年 +10.4%) やや割安 三菱マテリアル5711 利益は山の上にあるが、純資産の割には株価が低い。重い借金と製錬の構造不況を見込んで資本コストを10%に上げると、やや割高 本質価値との差 +20.7% · 10 年 やや割安(年 +9.9%) やや割安 CKサンエツ5757 国内首位の黄銅棒メーカーだが、市場は細り利益は相場で揺れる。10 年の本質価値は今の時価総額をやや下回る 本質価値との差 +19.5% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) やや割安 オーナンバ5816 家電・産業機器向けワイヤーハーネスの専業。現金は厚いが値決めが弱く、10年で利益は伸びても資本コストに届かず、今の値段はほぼ妥当 本質価値との差 +18.5% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) やや割安 リョービ5851 自動車向けアルミ鋳造の大手。軽量化の追い風はあるが稼ぎは薄く、10年先の価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 +13.8% · 10 年 やや割安(年 +8.3%) やや割安 AREホールディングス5857 金価格の急騰で稼ぎは倍になったが、その利益が10年続くとは見ない。値段は本質価値のほぼ近辺にある 本質価値との差 +11.9% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) やや割安 日本伸銅5753 CKサンエツ傘下の黄銅棒メーカー。資産は厚いが稼ぎは資本コストに届かず、利益もほぼ配らない。やや割高と見る 本質価値との差 +11.6% · 10 年 やや割安(年 +10.0%) 適正 住友電気工業5802 ワイヤーハーネス世界首位は本物だが、一時的な特別利益とAI特需で高まったROEを今の株価はかなり先まで織り込んでいる 本質価値との差 +8.3% · 10 年 適正(年 +7.0%) 適正 SWCC5805 電力網の更新に支えられた堅い電線会社。ただし利益は特需の山にあり、10 年先の値打ちは今の値段に届かない 本質価値との差 +6.2% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 三井金属5706 AIサーバー向け極薄銅箔MicroThinで世界シェア9割超、株価は強気の成長持続をすでに織り込む 本質価値との差 +6.1% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 古河機械金属5715 稼ぐ力は鉱山機械と金属の二本足、だが収益は普通で、買い手が払う値段に安全域は薄い 本質価値との差 +2.5% · 10 年 適正(年 +7.0%) 適正 日本精鉱5729 アンチモンの国内首位。相場の急騰で利益は膨らんだが、足元はすでに急落し、元の水準へ戻る道が見える 本質価値との差 +1.2% · 10 年 適正(年 +7.1%) やや割高 日本軽金属ホールディングス5703 アルミを核にした総合素材。放熱・電池・半導体向けは育つが、薄い利益と借金で、今の値段は妥当圏に見える 本質価値との差 −10.2% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 中外鉱業1491 金の取引で稼ぐ貴金属リサイクル。利益は金価格と販売先2社に左右され、10年の価値は今の時価総額を下回る 本質価値との差 −14.0% · 10 年 やや割高(年 +6.5%) やや割高 JMC5704 3DプリンタとCTで高い利ざやを稼ぐが、本業の鋳造で大きくつまずいた。立て直しの途中で、今の値段はやや高い 本質価値との差 −15.2% · 10 年 やや割高(年 +6.3%) 割高 JX金属5016 半導体材料の堀は本物だが、利益の半分近くは銅価格頼み。自社株買いで財務も重くなり、10年の価値は今の時価総額を大きく下回る 本質価値との差 −32.5% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 大阪チタニウムテクノロジーズ5726 航空機向けの先行増産は強みだが、利益の伸びに対して資本と借入の負担が重く、今の値段は計画の達成を織り込みすぎている 本質価値との差 −32.5% · 10 年 割高(年 +3.5%) 割高 平河ヒューテック5821 太陽光向けケーブルの山で利益は倍増したが、山は続かない。10 年で測ると今の値段は先取りが大きい 本質価値との差 −32.7% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 UACJ5741 アルミ圧延の国内最大手。北米の缶材は強いが、薄い利益と重い借金で、今の値段は割高に見える 本質価値との差 −34.6% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 東邦亜鉛5707 事業再生でファンド支援下に入った非鉄製錬の会社。希薄化と債務が重く、今の値段は10年の価値を大きく上回る 本質価値との差 −39.8% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 大紀アルミニウム工業所5702 国内最大手の再生アルミ合金メーカー。今期の利益は相場高の山で、薄い値ざやと重い運転資金から見て割高 本質価値との差 −40.4% · 10 年 割高(年 +2.0%) 割高 住友金属鉱山5713 資源(金・銅鉱山権益)が利益の過半を支えるが、その価値は山の金額ではなく平準化した値段で測るべきだ 本質価値との差 −40.6% · 10 年 割高(年 +0.7%) 割高 エヌアイシ・オートテック5742 工場の骨組みを作るアルミフレームの会社。高い配当は利益で賄えておらず、価値は今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −42.2% · 10 年 割高(年 +1.8%) 割高 JMACS5817 半導体と工場の更新で稼ぎは跳ねたが、長く低い利益率が地の力。山の利益を地の力と見るには早い 本質価値との差 −45.4% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 アサカ理研5724 金の急騰で利益が膨らんだ貴金属リサイクル。巨額の電池再生投資が重く、10年の価値は今の時価総額を大きく下回る 本質価値との差 −57.2% · 10 年 割高(年 −0.8%) 割高 フジクラ5803 データセンター向け光配線は本物の追い風だが、株価はブームが長く続く前提を既に織り込みすぎている 本質価値との差 −59.3% · 10 年 割高(年 −1.6%) 割高 古河電気工業5801 AIデータセンター向け光部品で3位の実力はあるが、今のPER32.8倍は会社自身の2030年度目標達成をほぼ織り込んでいる 本質価値との差 −62.2% · 10 年 割高(年 −2.1%) 割高 エスクリプトエナジー5721 価値の中心は約300枚のビットコイン。本業の赤字と大きな希薄化を引くと、今の値段は高すぎる 本質価値との差 −78.7% · 10 年 割高(年 −5.8%)

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読んだ資料

  1. 三ッ星 2026年3月期 決算短信(JPX)
  2. 三ッ星 第三者割当の有価証券届出書(EDINET)
  3. 三ッ星 天進商事の子会社化の訂正(TDnet)

分析日 2026-10-20