結論
エスクリプトエナジーは、ニッケル地金の販売と不動産の売買を細々と営み、2026年にビットコインの保有を柱に据えた小さな会社だ。筆者の結論は割高である。価値のほとんどは約300枚のビットコインで決まり、本業はそれを食う側にいる。
本業は20年のうち15年が赤字だった。本社の費用が売上に対して重く、ビットコインの値上がりを毎年削っていく。2026年3月期の最終赤字25億円の大半は、ビットコインの評価損だった。
筆者がいちばん気にしているのは希薄化だ。10月に発行した新株予約権が全部使われると、株数は今の1.45倍になる。集めたお金でビットコインを買い足しても、既存の株主の取り分は3割薄まる。
ビットコインが10年で5倍を超える筋書きでは、今の値段を上回る。だがそれ以外の道では届かない。確率で均すと、本質価値は今の時価総額を大きく下回る。
楽観の道でさえ、今の株主が得るのは保有資産の7割だ。払う値段の安全域は無い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社はオーナーとして持ちたい事業ではない。本業は長く赤字で、強みも無い。価値はほぼビットコインの価格で決まる。
ビットコインそのものに賭けたいなら、会社を通す理由は薄い。会社を通すと、本社の費用が毎年かかる。新株予約権で株が増える分も、株主の負担になる。資産の値上がりがこの2つを上回らないと、株主には何も残らない。
安全域、つまり払う値段と本質価値の差もマイナスだ。今の時価総額は、保有するビットコインと現金の合計を上回る。希薄化を引けば差はさらに広がる。ビットコインが大きく上がる道だけが、この値段を正当化する。
経営の資本の配り方も評価できない。本業を立て直す前に、株を出して値の振れる資産を買った。オーナーなら、まず赤字の本社費を削るよう求めるはずだ。筆者は、事業の価値ではなく相場に乗った株だと見る。
何で稼ぐ会社か
事業は4つに分かれる。金属不動産、ビットコインを持つトレジャリー、企業の支援を請け負うアドバイザリー、蓄電池で電力を売り買いするグリッドだ。売上が立っているのは、いまのところ金属不動産だけである。
金属不動産は、ニッケル地金の販売と中古不動産の売買だ。ニッケルは年に二百数十トンを扱い、利幅はわずかしか乗らない。不動産は年に数件の物件を仕入れて売る。2026年3月期は不動産が4億円強の利益を出したが、件数が少なく年ごとの振れが大きい。
トレジャリーは約296枚のビットコインを持つ。取得の原価は約50億円で、今の時価はそれを下回る。売上は生まず、値上がりか値下がりが営業外の損益に出る。
グリッドは山口県と鹿児島県に小さな蓄電所を2つ建てている。どちらも2メガワット・8メガワット時で、2026年11月と2027年2月に引き渡される。電力の安い時に貯めて高い時に売る仕組みだ。年に数千万円の売上が見込める大きさにとどまる。
資金は株と新株予約権で集めてきた。2026年3月期に46億円を集め、その多くをビットコインに充てた。
優良さと弱いところ
優良さの面では、強みと呼べるものが見当たらない。ニッケルの販売は商社の仕事で、値段は相場が決める。不動産の売買も小さく、仕入れの目利きで稼ぐ種類の仕事だ。他社がまねできない強み、つまり堀は無い。
資本の使い方にも疑問が残る。本業が赤字のまま、株を大量に出してビットコインを買った。ビットコインは利息も配当も生まない。会社が持っても、株主が自分で買っても同じ資産である。それなのに会社が持つと、本社の費用と希薄化の分だけ株主の取り分が減る。
財務は今のところ堅い。借入は小さく、自己資本比率は8割を超える。ただしそれは株を出して集めたお金の結果で、稼いで積んだものではない。2025年11月には東証から公表措置を受けた。統治の面でも安心はできない。
経営が力を入れる蓄電所も、規模で大手に勝てる形ではない。優良さが10年で育つ道筋は、筆者には見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社の価値を決めるのは業界ではなく、ビットコインの価格だ。2025年から上場会社がビットコインを持つ動きが世界で広がり、日本ではメタプラネットが先頭を走った。だが2025年秋から、株価が保有分の価値を下回る会社が増えた。そうなると株を出して買い増すほど、既存の株主は損をする。
ビットコインの値段は過去に何度も7〜8割下がった。10年後の値段を当てる力は筆者に無い。そこで今の8万ドル前後から、10年後に2.2万ドルから45万ドルまで、5つの道に広く分けて考える。同じビットコインを持つメタプラネットと同じ物差しにそろえた。
本業の市場は成熟している。ニッケルは電池向けの期待が一巡し、インドネシアの増産で値段は低い。国内の中古不動産は金利の上昇で売買の利幅が細る。蓄電池の電力取引は伸びる分野だが、大手の電力会社や商社が大きな設備で入ってくる。この会社の数メガワットでは、規模で勝てない。
同じ形の会社は世界に100社を超え、多くが株と社債でビットコインを買い増した。保有の価値を上回る株価がつく局面は短く、その局面で株を出せた会社だけが既存の株主を助けた。この会社が株を出しているのは、株価が保有分を下回る局面だ。
資本政策と M&A
配当は出していない。株主への還元の実績も無い。お金の流れは逆向きで、株主から集めてビットコインに換えてきた。
2026年10月には、海外のファンド3社に新株予約権を8,000万株分割り当てた。行使の値段は株価に合わせて下がり、下限は発行時の株価の9割ほどだ。今の株価に近い所で次々と株に換わる仕組みである。全部使われると約30億円が入るが、既存の株主の取り分は約7割に下がる。ほかにも2,400万株分の古い予約権が残る。
2026年には他社の新株予約権を引き受ける投資も始めた。資本を外へ出す先が、本業よりも投資に向いている。筆者はこれを、株主の資本を事業でなく相場に賭ける使い方と見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ビットコインは世界で準備資産の座を固めつつある。米国では現物のETFが定着し、年金や企業の保有も広がった。供給は4年ごとに半分になり、増え方は決まっている。10年で今の3倍から5倍になる道は、過去の上昇の速さから見て十分ありうる。
この会社は約300枚を持ち、10月の新株予約権で30億円前後を集める。それでビットコインを200枚ほど買い足せば、保有は500枚に近づく。値段が5倍になれば、保有の価値は300億円を超える。今の時価総額の4倍以上だ。
本業も変わりつつある。蓄電所の2つが動き出せば、電力の売買で安定した収入が入る。再生可能エネルギーが増えるほど、昼と夜の電力の値段の差は広がる。蓄電池はその差で稼ぐ事業で、数を増やせば赤字の本社費を賄える。
株価が保有分の価値を上回る局面が来れば、株を出すほど1株あたりのビットコインは増える。メタプラネットが2025年に見せた形だ。資金を集める仕組みさえ回れば、本業の小ささは問題にならない。
慎重な見方
本業は20年のうち15年が赤字だった。売上14億円に対し、本社の費用は5億円を超える。ビットコインが年に6%値上がりしても、その半分以上を本社費が食う。値上がりしなければ、現金は毎年減っていく。
希薄化はさらに重い。行使の値段が株価に合わせて下がる新株予約権は、引き受けたファンドが株に換えてすぐ売る仕組みになりやすい。売りが株価を押し下げ、下がった値段でまた株が出る。既存の株主の取り分は、ビットコインの値段とは関係なく削られていく。
ビットコインには過去に7〜8割の下落が何度もあった。会社が持つ量は小さく、下がった時に支える本業の稼ぎも無い。東証の公表措置も受けており、統治の不安が残る。今の値段は、保有するビットコインと現金の合計を上回っている。
値段が下がる局面では、本業の赤字を埋めるためにビットコインを売ることになる。安い所で売れば、戻りの恩恵も受けられない。同じ形の会社が世界で増え、保有分より安い株価が当たり前になった。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。ビットコインの値上がりという強気の論拠は、この会社でなくても得られる。会社を通すと、本社費と希薄化の分だけ確実に損をする。確率はビットコインの価格の道に沿って置き、本業の赤字と希薄化は各筋書きの数字で引いた。今の値段を上回るのは、値段が5倍を超える楽観だけだ。中立でも純資産の3割弱の値しか付かないのは、値上がりが本社費と資本コストに届かないためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 20 円35 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 8 円14 億円、今との差 −78.7%、 期待の年率 −5.8%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 105 円186 億円 | 0 円0 億円 | +191.2% | +11.3% | 8 円15 億円 |
| やや楽観 | 15% | 41 円73 億円 | 0 円0 億円 | +14.8% | +1.4% | 6 円11 億円 |
| 中立 | 34% | 10 円19 億円 | 0 円0 億円 | −70.9% | −11.6% | 4 円6 億円 |
| やや悲観 | 23% | 5 円9 億円 | 0 円0 億円 | −86.5% | −18.2% | 1 円2 億円 |
| 悲観 | 20% | 3 円6 億円 | 0 円0 億円 | −91.1% | −21.5% | 1 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 20 円35 億円 | 0 円0 億円 | −44.7% | −5.8% | 20 円35 億円 |
今の株価時価総額 36 円64 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:ビットコインが45万ドルへ 利益 37 億円 · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 105 円186 億円
ビットコインが各国の準備資産として定着し、10年後に45万ドルへ上がる。会社は10月の新株予約権を全部株に換え、集めた30億円前後で200枚ほどを買い足す。保有は500枚になり、その価値は330億円を超える。
本業も持ち直す。蓄電所は数を増やして60メガワット時に届き、電力の値差で毎年1億円強を稼ぐ。不動産の売買も年に8件ほどに戻り、本社の費用をほぼ賄えるようになる。
ただし既存の株主の取り分は、新株予約権の分だけ7割に薄まっている。ビットコインの含み益には、売る時に税がかかる。それでも純資産は今の5倍を超え、今の時価総額を大きく上回る。
- ニッケル販売:数量 300(販売量(トン・年、推定))× 価格 0.03(1トンあたりの売値(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。300トン×1トン312万円(物価並み)
- 不動産売買:数量 8.0(売却件数(件・年、推定))× 価格 1.84(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。年8件、利益率15%
- 蓄電所(グリッド):数量 60.0(蓄電池の容量(メガワット時))× 価格 0.07(1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。60メガワット時、利益率30%
倍率:純資産はビットコイン500枚×45万ドル×150円=337億円から含み益の税約77億円を引き、ほかの純資産5億円を足した約270億円。純利益はその年の値上がり(税後)37億円で、ROE13.7%は k10%をわずかに超える。値上がりの速さは10年より先に続かないので、純資産と同じ1.0倍に置いた(正当化PERの上限333億円の内側)。
確率:10年で5倍を超えるには、各国の政府や年金が持つほどの普及が要る。メタプラネットと同じ1割弱に置いた。
やや楽観 15% やや楽観:ビットコインが26万ドルへ 利益 14 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 41 円73 億円
ビットコインは機関投資家の資産として定着し、10年後に26万ドルへ上がる。会社は新株予約権で集めたお金で買い足し、保有は480枚になる。価値は190億円に近づく。
本業は少し良くなる。蓄電所は40メガワット時まで増え、不動産は年に7件ほど売れる。それでも本社の費用は賄い切れず、営業損益は小さな赤字のままだ。
ビットコインの値上がりは年に1割強で、資本コストの11%を少し下回る。値上がりの分だけでは、株主が求める利回りに届かない。純資産は今の3倍を超えるが、株主の取り分は新株予約権で7割に薄まる。
- ニッケル販売:数量 270(販売量(トン・年、推定))× 価格 0.03(1トンあたりの売値(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。270トン
- 不動産売買:数量 7.0(売却件数(件・年、推定))× 価格 1.84(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。年7件、利益率15%
- 蓄電所(グリッド):数量 40.0(蓄電池の容量(メガワット時))× 価格 0.07(1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。40メガワット時
倍率:純資産はビットコイン480枚×26万ドル×150円=187億円から含み益の税約32億円を引き、ほかの純資産5億円を足した約160億円。純利益はその年の値上がり(税後)から本業の赤字を引いた14億円で、ROE8.8%は k10%に届かない。PERは1÷k=9.1倍まで(上限128億円)なので、その内側の純資産の0.65倍に置いた。
確率:ETFと企業の保有が広がり、10年で3倍強になる道。過去の上昇の速さから見て十分ありうる。メタプラネットと同じ15%。
中立 34% 中立:ビットコインは14万ドル、本社費が値上がりを削る 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 10 円19 億円
ビットコインは10年で14万ドルへ、年6%弱のペースで上がる。会社は新株予約権を全部株に換え、保有は460枚になる。価値は100億円弱だ。
本業は赤字を縮めるが、黒字にはならない。蓄電所は3か所目まで増え、不動産は年に6件ほど売れる。それでも本社の費用が重く、営業損益は年1億円の赤字が残る。
ビットコインの値上がりから本業の赤字を引くと、株主の取り分の伸びは年に3%に届かない。資本コストの11%を大きく下回る。純資産は今の2倍になるが、ほとんどは株主から集めたお金と値上がりの分だ。稼ぐ力の弱い資産の束として、純資産をかなり下回る値段にとどまる。
- ニッケル販売:数量 250(販売量(トン・年、推定))× 価格 0.03(1トンあたりの売値(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。250トン
- 不動産売買:数量 6.0(売却件数(件・年、推定))× 価格 1.84(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。年6件、利益率15%
- 蓄電所(グリッド):数量 24.0(蓄電池の容量(メガワット時))× 価格 0.07(1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。24メガワット時(3か所)
倍率:純資産はビットコイン460枚×14万ドル×150円=96.6億円から含み益の税約6.5億円を引き、ほかの純資産5億円を足した約95億円。純利益はその年の値上がり(税後)3.7億円から本業の赤字1億円を引いた2.7億円で、ROE2.8%は k10%を大きく下回る。PERは1÷k=9.1倍が上限で、稼ぐ力2.7億円÷k=24.5億円、純資産の0.284倍に置いた。
確率:ビットコインは10年で1.75倍、年6%弱の上昇を中心に置いた。メタプラネットと同じ34%。本業の赤字が続く前提はこの会社の20年の実績による。
やや悲観 23% やや悲観:値段は横ばい、現金が細る 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 5 円9 億円
ビットコインは10年後も7.5万ドルと、今とほぼ同じ値段にとどまる。株価が下限の行使の値段近くに張り付き、新株予約権は半分ほどしか使われない。保有は380枚で、価値は43億円ほどだ。
本業の赤字は年2億円ほど続く。蓄電所は2か所のままで、不動産の売買も細る。集めたお金の一部は本社の費用に消え、ビットコインの買い足しも鈍る。
ビットコインは何も生まないので、値段が動かなければ株主の取り分は本社費の分だけ毎年減る。会社が清算するわけではなく、現金と資産の使い道は少数の株主には決められない。値段は持っている資産を大きく下回る。
- ニッケル販売:数量 220(販売量(トン・年、推定))× 価格 0.03(1トンあたりの売値(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。220トン
- 不動産売買:数量 4.0(売却件数(件・年、推定))× 価格 1.84(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。年4件、利益率8%
- 蓄電所(グリッド):数量 16.0(蓄電池の容量(メガワット時))× 価格 0.06(1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。16メガワット時(2か所のまま)
倍率:純資産はビットコイン380枚×7.5万ドル×150円=42.8億円とほかの純資産5億円の約48億円。稼ぐ力は赤字で、価値は持っている資産に戻り方を掛けた所まで。本社費が毎年食い、少数の株主は清算を決められないので、純資産の0.22倍に置いた。
確率:10年で値段がほぼ動かない道は、2018〜2020年の長い停滞から見て起こる。メタプラネットと同じ23%。
悲観 20% 悲観:ビットコインが2.2万ドルへ崩れる 利益 −4 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 3 円6 億円
ビットコインが10年後に2.2万ドルへ、今の4分の1近くまで崩れる。株価は下限の行使の値段を割り、新株予約権はほとんど使われない。会社は赤字を埋めるためにビットコインを少しずつ売り、保有は280枚に減る。価値は9億円ほどしか残らない。
本業も細る。不動産の売買は年2件に減り、ニッケルの販売も縮む。蓄電所の2か所だけが小さな収入を生む。現金は本社の費用で毎年減り、残るのは数億円だ。
会社は存続するが、株主の資本は大きく削られる。新たな資金集めにはさらに安い値段での株の発行が要り、残った資産も株主の手には戻りにくい。
- ニッケル販売:数量 150(販売量(トン・年、推定))× 価格 0.03(1トンあたりの売値(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。150トン、相場の低迷
- 不動産売買:数量 2.0(売却件数(件・年、推定))× 価格 1.60(1件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。年2件、利益なし
- 蓄電所(グリッド):数量 16.0(蓄電池の容量(メガワット時))× 価格 0.05(1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。16メガワット時
倍率:純資産はビットコイン280枚×2.2万ドル×150円=9.2億円と現金など3億円の約12億円。稼ぐ力は赤字なので、売れる資産に戻り方0.5を掛けた6億円、純資産の0.5倍に置いた。
確率:ビットコインは過去に7〜8割の下落を何度も経験した。規制の強化や技術の変化で前提が崩れる道もある。メタプラネットと同じ2割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ニッケル販売
ニッケル地金を仕入れて販売する商社の仕事。
| 数量販売量(トン・年、推定) | 価格1トンあたりの売値(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 265 | 0.02 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 250 | 0.03 | 8 | 0 |
取り方:ニッケルの売上6.16億円(外部の集計)を、ニッケル相場1トン1.55万ドル×150円=232.5万円で割った推定。利益はほぼ出ていないとみた。
不動産売買
中古の物件を仕入れて売る。年に数件。
| 数量売却件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.0 | 1.37 | 8 | 4 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 1.84 | 11 | 2 |
取り方:不動産の売上8.24億円・利益4.28億円(外部の集計)を、6件前後の売却とみた推定。利益率5割は利幅の大きい物件が重なった年で、常態ではない。
蓄電所(グリッド)
蓄電池で電力を安く買って高く売る。2026年11月から稼働。
| 数量蓄電池の容量(メガワット時) | 価格1メガワット時あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.05 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 0.07 | 2 | 0 |
取り方:今は稼働前。2メガワット・8メガワット時の2か所(計16メガワット時)が2026年11月と2027年2月に引き渡される。1メガワット時あたり年500万円前後の売上(電力の値差と容量の収入)と推定した。
リスクと懸念
ビットコインの値下がり
価値のほとんどがビットコインの値段で決まる。過去に7〜8割の下落を何度も繰り返した。会社の保有は約300枚と小さく、下がった時に支える本業の稼ぎも無い。10年の悲観の確率を2割とした。
行使の値段が下がる新株予約権
第11回新株予約権は株価に合わせて行使の値段が下がる。ファンドが株に換えて売る動きが株価を押し下げ、さらに安い値段で株が出る。全部使われると株数は1.45倍になり、既存の株主の取り分は7割に薄まる。
本業の赤字
過去20年のうち15期が最終赤字だった。売上14億円に対し本社の費用が重く、ビットコインの値上がりを毎年削る。値段が動かなければ、現金は本社費で毎年減っていく。
統治への不安
2025年11月に東証の公表措置を受けた。社名も事業の柱も短い間に何度も変わってきた。経営の方針が相場の流行を追う形になっており、株主の資本の使い道を見通しにくい。
資本の外への流出
2026年に他社の新株予約権を引き受ける投資を始めた。太洋物産に3億円、環境フレンドリーHDにも出資した。集めた資本が本業でなく他社の株に回り、価値の見通しがさらに読みにくくなる。
今後の分かれ目
- ビットコインが15万ドルを超えて定着したら
- やや楽観・楽観の確率を上げてよい。ただし本社費と希薄化の分は差し引いて見る。
- 第11回新株予約権が下限の行使の値段近くで大量に行使されたら
- 株主の取り分が薄まる。集めたお金がビットコインに充てられたかを確かめる。
- 蓄電所が稼働し、年1億円を超える利益を出し始めたら
- 本業の赤字が縮み、中立の筋書きを上に見直す材料になる。
- ビットコインを売って本社費を賄い始めたら
- やや悲観・悲観の道に入ったと見て、確率を悲観側に寄せる。
- 新たに行使の値段が下がる新株予約権を出したら
- 希薄化がさらに進む。株主の取り分を下に見直す。
見ておくもの
- ビットコインの保有枚数と取得の原価(開示)
- 第11回新株予約権の月ごとの行使状況
- 蓄電所2か所の稼働と売上
- 本社の費用(販管費)の推移
倍率と資本コストの決め方
価値はビットコインの値段の5つの道(メタプラネットと同じ物差し)、保有枚数、本業の赤字、新株予約権の行使の度合いから出した。純資産はビットコインの時価から含み益の税を引いた経済的な値で、帳簿の流れ(今の自己資本47億円+純利益の合計)とは株の発行と評価差額の分だけ合わない。倍率は稼ぐ力÷kと、ROEがkを超えるかどうかで置き、今の株価や市場の倍率からは置いていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:中立 PBR 0.258→0.284 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%に quality +2.5%、本業の赤字が続く会社の上乗せ1%を足した11%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 11.00% → 10.50%。