結論
エヌアイシ・オートテックは、工場の装置の骨組みや安全柵に使うアルミのフレームを、富山で作って売る会社だ。筆者の結論は「割高」で、今の株価を支えている高い配当が、利益で賄えていない。
前期の純利益は 0.2 億円しかなかったのに、配当は 2.2 億円払った。配当性向はおよそ 9 倍だ。受注は 2 割以上減り、受注残も半分になった。会社は今期の回復を計画するが、配当の予想は出していない。
事業には追い風もある。人手不足で工場を自動にする投資は続き、フレームはそのたびに要る。だが売上の 4 分の 1 をキヤノン 1 社に頼り、半導体や電池の投資の波で利益が大きく振れる。過去 12 年の営業利益率の真ん中は 3% 台だ。借入も 12 億円ある。
10 年の中立では、利益は回復するが、配当は今の水準から減らざるをえない。高い利回りに惹かれて買うと、配当の減額と株価の下げが同時に来るおそれがあると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、高い配当利回りは安全域ではない。配当は利益から払われて初めて株主のものになる。利益を超えて払えば、自己資本を切り崩して株主に返しているだけだ。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、純利益から工場の更新を引いた分だ。償却は年 2 億円強で、谷の年はそれだけで利益が消える。更新は物価の上昇で高くつく。
事業は 10 年後も残るだろう。工場の自動化は続き、フレームはその定番だからだ。だが、値段を自分で決められず、大口の顧客の投資に揺れる事業に、安定した高い値は付けにくい。今の値段は配当の利回りに支えられており、その配当が減れば支えも消える。
筆者が持ち続けたいと思うのは、配当を利益の範囲に戻し、受注の谷でも黒字を守れると示した時だ。それまでは、利回りの高さを安全域とは見なさない。
何で稼ぐ会社か
売上 63 億円の 8 割が FA 部門、2 割が商事部門だ。FA 部門の柱は「アルファフレーム」で、アルミを押し出して作った角材を、ボルトと継ぎ手で自由に組み上げる部材である。工場の装置の骨組み、作業台、安全柵、クリーンブースなどに使う。溶接せずに組めるので、設計の変更や移設がしやすい。
会社はフレームを売るだけでなく、設計を手伝う「カクチャ」というサービスや、部材に番号を刻んで組立を楽にする仕組みを付けている。洗浄や検査、搬送の装置そのもの、大きなアルミの構造物も作る。顧客は電子部品、半導体、液晶、自動車、医薬・食品の工場で、最大の顧客のキヤノンが売上の 25% を占める。
商事部門は、工業用の砥石や工具、機械設備を仕入れて売る。利益は小さいが、決まった顧客からの繰り返しの注文が多く、FA 部門の谷を少し支える。工場は富山県の立山町に集まり、従業員は 189 人だ。原料のアルミの一部はタイから調達する。
大型の構造物や装置は案件ごとに金額が大きく、売上の計上の時期で期ごとの業績が揺れる。逆に、規格品のフレームは小口の注文が積み重なる商売で、在庫と配送の仕組みが勝負を分ける。
優良さと弱いところ
優良さは低めと筆者は見る。フレームを組む部材そのものは、ミスミをはじめ多くの会社が売っており、規格もほぼ共通だ。値段と納期の勝負になりやすく、会社自身もリスクに国内の廉価販売と海外品を挙げる。
設計の手伝いや刻印の仕組みは、顧客の手間を減らして選ばれる理由になる。この点は小さな堀、つまり他社がまねしにくい強みだ。ただ、それで値段を大きく上げられるほどの力は見えない。
利益は大口の顧客の投資に揺れる。2018 年 3 月期に 11% あった営業利益率は、2024 年 3 月期に −10% まで落ちた。財務も強くない。借入は 12 億円あり、自己資本は配当の払いすぎで年々細っている。会社は将来 ROE 15% を掲げるが、足元は 1% に届かない。
経営は株主への配当を重んじてきたが、利益の裏付けを欠いたまま続けている点は、資本の配分の規律として評価しにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
工場を自動にする投資は、10 年の長い目で見て伸びると筆者は見る。働く人が減り、組立や検査、搬送を機械に任せる流れは止まらない。装置を作るたびに骨組みと安全柵が要り、アルミのフレームはその定番の部材だ。数量は実質で年 2% ほど伸びてよい。
ただし、投資は景気と業種の波に強く揺れる。半導体、液晶、電池の工場の投資は数年ごとに山と谷を作り、前期はそろって減速した。今期は先端の半導体向けが続く一方、汎用品は在庫の調整と投資の先送りが目立つ。中東の混乱による原料高と円安も、費用を押し上げている。
競争の形は、大手の通販型と中小の専業が並ぶ構図だ。ミスミは品ぞろえと翌日の配送で圧倒し、価格の基準を作っている。中小の専業は、設計の手伝いや大型の構造物で差をつける。海外の安いフレームも入ってきており、汎用品の値段は上げにくい。業界の再編はまだ進んでおらず、小さな会社が多い。
10 年の中立では、フレームの数量は 2 割強伸び、値段は物価並みに上がると筆者は置く。伸びの多くは大手が取り、中小は得意の分野で生き残る姿だ。
資本政策と M&A
配当は 1 株あたりの額を据え置く方針で、2 期続けて利益を大きく超えて払った。前期は利益の 9 倍だ。借入を 6 億円返しつつ配当も払ったため、手元の現金は 3 億円まで減った。今期の配当の予想は「未定」としている。
筆者は、この配当は長く続かないと見る。利益が計画どおり戻っても、今の配当を賄うのがやっとだ。谷が来れば、減配か借入の積み増しのどちらかを迫られる。大きな買収の歴史はなく、資本を無駄にする心配は小さいが、成長への投資の余力も乏しい。自社株買いもしていない。
配当を利益の範囲に戻す決断が、資本政策の最初の一歩になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
工場の自動化は 10 年の大きな流れだ。人手不足は深まる一方で、組立や検査を機械に任せる投資は景気が悪くても止まらない。装置を作るたびに骨組みと安全柵が要り、アルミのフレームは欠かせない部材だ。会社は設計の手伝いや刻印の仕組みで、単なる部材売りから抜け出しつつある。
足元の谷は一時のものだ。半導体、液晶、電池の投資がそろって減速したのは珍しい重なりで、先端の半導体向けはすでに続いている。会社は今期の売上 19% 増、営業黒字への回復を計画し、将来の ROE 15% も掲げる。2018 年 3 月期には営業利益率 11% を出しており、稼ぐ力は証明済みだ。
配当を 2 期続けて守ったことは、株主を重んじる姿勢の表れでもある。利益が戻れば、今の配当は十分に賄える。PBR は 1 倍を少し上回る程度で、回復の局面ではむしろ安い。
富山の工場は設備を増やす余地があり、受注が戻れば稼働の上昇がそのまま利益を押し上げる。
慎重な見方
配当は利益で賄えていない。前期は利益の 9 倍を払い、借入を返す中で現金は 3 億円まで減った。今期の配当の予想は出しておらず、減配の可能性は高い。高い利回りに惹かれた株主は、減配と株価の下げを同時に受けることになる。
事業の弱さも明らかだ。FA 部門の受注は 24% 減り、受注残は半分になった。売上の 4 分の 1 をキヤノンに頼り、その投資の波に業績が揺れる。過去 12 年の営業利益率の真ん中は 3% 台で、2024 年 3 月期は −10% だった。11% の年は例外だ。
値段の競争も厳しい。ミスミは品ぞろえと配送で圧倒し、海外の安いフレームも入ってくる。中小の専業が値段を上げる余地は小さい。借入は 12 億円あり、金利が上がれば利払いも重くなる。
大型の案件に頼れば受注の山谷はさらに大きくなり、配当を守るために借入を増やす悪い循環に陥りかねない。将来の ROE 15% という目標も、足元の 1% からはあまりに遠い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が筆者には説得力がある。工場の自動化という追い風は本物だが、それを取る力は大手の方が強く、この会社の利益率は長く 3% 台にとどまってきた。何より、今の配当は利益の裏付けを欠いている。確率は中立を中心に置き、両側を同じ重さで振り分けたが、中立そのものを過去 12 年の真ん中に近い利益率で置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 628 円34 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 228 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 413 円23 億円、今との差 −42.2%、 期待の年率 +1.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,575 円86 億円 | 440 円24 億円 | +181.8% | +10.9% | 202 円11 億円 |
| やや楽観 | 20% | 962 円52 億円 | 330 円18 億円 | +80.7% | +6.1% | 258 円14 億円 |
| 中立 | 40% | 571 円31 億円 | 220 円12 億円 | +10.6% | +1.0% | 316 円17 億円 |
| やや悲観 | 20% | 176 円10 億円 | 128 円7 億円 | −57.4% | −8.2% | 61 円3 億円 |
| 悲観 | 10% | 150 円8 億円 | 37 円2 億円 | −73.8% | −12.5% | 19 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 628 円34 億円 | 228 円12 億円 | +19.7% | +1.8% | 856 円47 億円 |
今の株価時価総額 715 円39 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 省人化の波で 2018 年の山を超える 利益 6 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,575 円86 億円
人手不足が深まり、工場の組立や検査を自動にする投資が国内で太く続く。アルミフレームで装置の骨組みや安全柵を組む需要は、そのたびに生まれる。半導体と電子部品の工場の増設も重なり、フレームの数量は 10 年で 5 割増える。
設計を手伝う独自のサービスと、組立を楽にする刻印の仕組みが顧客を囲い込み、値上げも物価以上に通る。利益率は 2018 年の山に近い 9% に戻り、会社の掲げる ROE 15% にも届く。高い配当を続けても自己資本は保たれ、借入も返し終える。キヤノン頼みの売上も、顧客の裾野が広がって薄まる。
- FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース):数量 3,750(アルミフレームの出荷量(トン・推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む))→ 売上 101 億円・営業利益 9 億円。3750 トン × 1 トン 2.70 百万円、営業利益率 9.0%
- 商事部門:数量 850(取引の顧客数(社・推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。850 社 × 1 社 2.18 百万円、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.3% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.41 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人手不足の省人化と半導体の投資が同時に強く出る重なりが要る。山の利益率を 10 年保つ確度は高くないので 1 割。
やや楽観 20% 受注が戻り計画に近づく 利益 4 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 962 円52 億円
半導体と電子部品の投資が戻り、FA 部門の受注は 2 年ほどで前の水準に回復する。省人化の投資は景気に左右されにくく、フレームの数量は 10 年で 3〜4 割増える。値上げはアルミ地金の上昇を転嫁する程度で、物価並みにとどまる。
利益率は 6% 台と、過去 12 年の真ん中より上に戻る。配当は今の水準を守り、利益で賄えるようになる。ROE は資本コストを上回るが、高い配当で自己資本が膨らまないことの裏返しでもある。キヤノンの比率は 2 割台のまま残り、その投資の波に業績が揺れる体質は変わらない。
- FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース):数量 3,400(アルミフレームの出荷量(トン・推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む))→ 売上 90 億円・営業利益 6 億円。3400 トン × 1 トン 2.66 百万円、営業利益率 6.5%
- 商事部門:数量 820(取引の顧客数(社・推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。820 社 × 1 社 2.17 百万円、営業利益率 4.8%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.19 倍、時価総額 52 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注の谷は過去にも 2〜3 年で戻っており、会社の計画に近い回復には一定の重みがある。
中立 40% 循環を繰り返し、配当は細る 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 571 円31 億円
省人化の投資は続くが、半導体・液晶・電池の工場の投資は数年ごとに山と谷を繰り返す。フレームの数量は 10 年で 25% 増え、値段はアルミ地金と人件費の上昇を追って物価並みに上がる。ミスミなど大手のフレームとの値段の競争は残る。
利益率は 4% 台半ばで、過去 12 年の真ん中を少し上回る程度だ。今の配当は利益を大きく超えており、そのままでは続かない。会社は配当を利益の 8 割ほどまで減らし、利益の回復を待つ。ROE は 7〜8% と過去の真ん中を上回るが、資本コストには届かない。償却は取得した時の値段のままで年 2 億円強、工場の更新は物価の上昇で高くつく。
- FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース):数量 3,125(アルミフレームの出荷量(トン・推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む))→ 売上 82 億円・営業利益 4 億円。3125 トン × 1 トン 2.61 百万円、営業利益率 4.5%
- 商事部門:数量 800(取引の顧客数(社・推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。800 社 × 1 社 2.16 百万円、営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 31 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の利益率の真ん中に省人化の追い風を少し足した中心の筋書き。受注の山谷は今後も続く。
やや悲観 20% 大口の投資が細る 利益 1 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 176 円10 億円
キヤノンなど大口の顧客の設備投資が細り、半導体と電池の工場の投資も先送りされる。フレームの数量は 10 年でほぼ横ばいにとどまり、海外の安いフレームや国内の廉価販売に押されて値上げも遅れる。
利益率は 2% 台に沈み、ROE は 4% 台と資本コストの半分に届かない。配当は大きく減り、借入の返済が先に立つ。富山の工場は稼働が低く、人と設備の固定費が重くのしかかる。省人化の需要は残るが、それを取るのは品ぞろえと物流の厚い大手になる。借入の返済が先に立ち、新しい設計の仕組みや工場への投資も細る。採用も難しくなり、富山の現場の人手が先に細っていく。
- FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース):数量 2,700(アルミフレームの出荷量(トン・推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む))→ 売上 69 億円・営業利益 2 億円。2700 トン × 1 トン 2.55 百万円、営業利益率 2.5%
- 商事部門:数量 760(取引の顧客数(社・推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。760 社 × 1 社 2.12 百万円、営業利益率 4.0%
倍率:事業の ROE 4.6% は k を大きく下回り、PER の上限は 1÷k の 10.5 倍。稼ぐ力が弱いので上限の 7 割の 7.4 倍。
確率:最大の顧客が売上の 4 分の 1 を占め、FA の受注はすでに前期比 24% 減った。大口の減速が長引く筋書きは十分ありうる。
悲観 10% 値段の競争に負けて赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 150 円8 億円
ミスミなどの大手と海外の安いアルミフレームが値段で攻め、汎用のフレームは利幅がほとんど無くなる。大口の顧客も調達を絞り、フレームの数量は 10 年で 1 割以上減る。FA 部門は赤字が続き、商事部門の小さな利益では埋まらない。
初めの 1 年の配当は在庫の取り崩しと遊休の資産の売却で払うが、その後はほぼ止まり、借入の返済と運転資金で手一杯になる。工場の土地と在庫は残るが、事業として買い手が付きにくい。株主に残る価値は、清算されない限り帳簿の 4 分の 1 ほどにとどまる。大手の傘下に入る話も出にくく、少数株主は細る帳簿を見守るしかない。
- FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース):数量 2,200(アルミフレームの出荷量(トン・推定))× 価格 0.03(1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む))→ 売上 55 億円・営業利益 −1 億円。2200 トン × 1 トン 2.50 百万円、営業利益率 -1.0%
- 商事部門:数量 700(取引の顧客数(社・推定))× 価格 0.02(1 社あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。700 社 × 1 社 2.10 百万円、営業利益率 3.0%
倍率:赤字なので PBR で置いた。借入が 12 億円あり、純現金の床は無い。工場の土地と在庫は残るが事業として売れにくく、今の自己資本に 0.25 倍を掛けた。
確率:2024 年 3 月期に営業利益率 −10% を出した前例がある。構造的に負ける筋書きにも 1 割を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
FA 部門(アルファフレーム・FA 装置・クリーンブース)
アルミのフレームと、それで組む装置の骨組み・安全柵・クリーンブース・洗浄検査装置を作って売る。
| 数量アルミフレームの出荷量(トン・推定) | 価格1 トンあたりの売上(億円・名目、加工と装置を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,500 | 0.02 | 50 | −1 |
| 10 年後 中立 | 3,125 | 0.03 | 82 | 4 |
取り方:数量は開示が無いので推定。部材と装置を含む FA 部門の売上 50.2 億円を、加工込みのフレーム 1 トン 200 万円ほどとみて年 2,500 トンと置いた。利益はセグメント損失 0.73 億円。
商事部門
工業用の砥石・工具・油脂・機械設備を仕入れて売る。
| 数量取引の顧客数(社・推定) | 価格1 社あたりの年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 0.02 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 800 | 0.02 | 17 | 1 |
取り方:顧客数は開示が無いので推定。商事部門の売上 12.9 億円を 1 社あたり年 160 万円ほどの取引とみて 800 社と置いた。利益はセグメント利益 0.59 億円。
リスクと懸念
配当の減額
前期は利益の 9 倍の配当を払い、今期の配当の予想は出していない。利益が戻らなければ減配は避けられず、利回りで買われてきた株価は大きく下がりうる。
大口の顧客への依存
キヤノンが売上の 25% を占める。その工場の投資の時期と規模で、売上が 1〜2 割動く。大型案件の計上の時期でも業績が大きく揺れる。
設備投資の波
半導体・液晶・電池の工場の投資は数年ごとに山と谷を作る。FA 部門の受注は前期に 24% 減り、受注残は半分になった。
値段の競争
ミスミなど大手のフレームと海外の安い品が値段の基準を作る。国内の廉価販売もあり、アルミ地金の上昇を売値に乗せきれない年がある。
借入と金利
借入は 12 億円で、純負債は EBITDA の 4 倍ほどだ。金利が上がれば利払いが増え、谷の年には返済と配当が重なる。
今後の分かれ目
- 今期の配当を大きく減らす
- 株価は利回りの支えを失って下がりやすいが、財務は守られ、10 年の中立の姿に近づく。
- FA 部門の受注が前の水準に戻る
- 利益率は 6% 台に戻り、やや楽観の筋書きに近づく。配当も利益で賄える。
- キヤノンの投資が細る
- 売上が 1〜2 割落ち、やや悲観に寄る。減配と借入の積み増しが重なる。
- 大手の FA 部材の会社が買い手になる
- 設計の手伝いと大型の構造物の腕に値が付く。ただ、公表された動きはない。
- アルミ地金と円安で原料が高止まりする
- 転嫁の遅れで数年は利益が細る。10 年の中立は変えないが、その間の配当は減る。
見ておくもの
- FA 部門の受注高と受注残
- 配当の予想と借入の残高
- キヤノン向けの売上の比率
- アルミ地金の値段と売値への転嫁
- 半導体・電池の工場の投資の計画
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k の関係だけで置いた。中立の ROE は 8% 弱で k 9% に届かないので、PER は 1÷k を上限に ROE÷k に沿って 8 割とした。今の配当の利回りや PBR、同業の値付けは見ていない。悲観は赤字なので今の自己資本に掛けた。今の株価が倍でも半分でも、価値の計算は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.46→13.41 倍・やや楽観 PER 9→12.19 倍・中立 PER 8.42→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。