結論
中外鉱業は、使い終わった電子部品や宝飾品から金やプラチナを取り出し、地金にして売る会社だ。売上の99%が貴金属事業で、中古工作機械の売買とアニメグッズの販売が脇を固める。
筆者の結論は、10年の価値は今の時価総額を3割ほど下回る、である。2026年3月期は金価格の急騰で売上が2,800億円、営業利益が24億円と過去最高になった。ただ、これは金が運んだ利益で、そのまま10年続くとは置けない。
2026年4〜6月期は早くも営業赤字に転じ、自己資本比率は53%から44%へ下がった。売上の9割近くが、三菱商事RtMジャパンとアサヒプリテックの2社に向かう点も重い。
売上が大きくても、利益率は1%前後と薄い。筆者は金価格が落ち着いた世界で、加工と売買の利ざやだけが残ると見る。純現金が時価総額の3割近くあるのが救いだが、金の仕入れを支える運転資金でもある。
小さな会社だが、取引の回転は大きい。1営業日に10億円以上が動くため、わずかな利ざやの変化が利益を大きく動かす。筆者が気にするのは、金価格より買い手の力だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の利益は金の相場に乗ったものだ。金は他人が払える値段で決まる資産で、加工して売る会社は値段を決められない。
筆者が見るのは、金が落ち着いた年にいくら残るかだ。それは売上の0.5%前後、営業利益で10億円台前半だと見る。
安全域は純現金にあるが、運転資金としての性格が強く、全部を株主のものとは数えない。売上の9割近くが2社に偏る構造も、持ち続ける理由としては弱い。
払える値段は、金が落ち着いた時の利益に控えめな倍率をかけたものになる。今の時価総額は、金の山の利益の一部まで織り込んでいると見る。
経営は堅実で、大きな賭けはない。それでも事業が薄利で、値段を決める力がない点は変わらない。
10年持つ価値があるのは、現金を生む力が残る会社だ。この会社は、現金が積み上がっても運転資金に消えやすい。株主に戻る額は、利益の3割台の配当が基本になる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、金を中心とする貴金属の回収と売買だ。電子部品メーカーや歯科、質屋、宝飾店などから金・銀・プラチナ・パラジウムを含む原料を集め、東京工場で溶かして精製し、地金として売る。金の精製能力は月産800キログラムで、全国9か所に営業拠点を持つ。
売上は2026年3月期に2,817億円で、うち貴金属が2,782億円を占める。販売先は三菱商事RtMジャパンが47%、アサヒプリテックが41%と、大手の同業2社に集中する。
機械事業は、子会社のインテックスが中古の工作機械や板金機械を仕入れて売る。売上は7億円と小さい。コンテンツ事業は、アニメやゲームのキャラクターグッズを企画して売る。売上は28億円で、2025年3月期の39億円からは減った。
貴金属は仕入れた値段と売る値段の差が利益になる。値段が動くたびに在庫や先渡しの評価が動き、利益は金価格の方向にも揺れる。従業員は連結で163人と少なく、人が稼ぐというより、取引の回転で稼ぐ会社だ。
原料は全国の営業拠点で集める。金の値段が高いほど、市中から宝飾品や不用品が出てくるため、集荷量は価格に連動して増えやすい。自社でオークションを開き、販路を広げる動きもある。
優良さと弱いところ
堀は薄い。原料を集める営業網と精製の免許はあるが、同じことは住友金属鉱山、DOWA、田中貴金属などの大手もできる。値段は国際相場で決まり、利ざやも買い手が握る。
営業利益率は2026年3月期でも0.9%で、2024年3月期は0.3%だった。金が急騰した2年間だけが例外で、それ以前は営業赤字の年も多い。
財務は堅い。現金は63億円で借入は37億円、純現金は26億円ある。ただ借入には純資産を一定以上に保つ条件が付き、2026年4〜6月期の赤字で自己資本比率は44%まで下がった。
経営は本業重視をうたうが、飛び地の事業が多い。グッズは当たり外れが大きく、2026年3月期は減収減益だった。
大株主は有限会社マイネンの6%などで、支配する親会社はない。少数株主の取り分は経営の判断に直接左右される。
同業の大手と比べると、規模でも資金力でも劣る。値段を決める側ではなく、受け入れる側にいる点が、筆者の評価を縛る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
貴金属リサイクルは、廃棄される電子機器と金属価格の二つで動く。金は中央銀行の購入などで2025年から2026年に急騰し、国内では1グラム2万3千円台を付けた。年初の高値は2万6千円台、7月には2万円まで下がっており、値動きは荒い。
価格が高いと、市中から出てくる宝飾品や不用品が増え、集荷量が伸びる。2026年3月期の売上が7割伸びたのは、価格と量の両方が効いたためだ。
構造的には、資源を循環させる流れが追い風になる。燃料電池や水素向けの白金族の需要も見込まれる。
ただ、国内には大手同業が並び、集荷の競争は厳しい。買い手は精錬大手に限られ、取引条件は買い手が握る。金の相場は2013年の急落のように、数年続けて下がる局面もある。
10年後の金は、物価の伸びには届かず実質では目減りすると筆者は見る。名目では今の水準から横ばいか小幅に下がる置き方が自然だ。
白金や銀も同じ構図で動く。白金は水素社会向けの触媒需要が見込まれる一方、自動車の電動化で排ガス触媒向けの需要は減る。回収する原料の中身が、10年で入れ替わる可能性がある。
資本政策と M&A
還元は安定配当が基本で、配当性向は3割台を保つ。2026年3月期の配当は性向32%で、総額は5億円ほどだ。数字の目標は示していない。自社株買いはなく、自己株式は12万株台で動かない。
純現金は26億円で時価総額の27%に当たる。ただ、金の仕入れは現金払いが中心で、売上2,800億円なら1営業日に10億円以上が動く。この現金は運転資金であり、余った現金とは見ない。借入にも純資産の維持条件がある。
投資は貴金属事業の設備の改修が中心で、建設中の資産が17億円に増えた。賃貸用の不動産も持つ。M&Aは目立たない。TOBや買収の兆しは開示にない。
2025年10月に20株を1株にする株式併合を行い、単位を整えた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
金は2025年から2026年に急騰し、国内で1グラム2万3千円を超えた。価格が高いほど市中から宝飾品や不用品が出てきて、集荷量が増える。2026年3月期の売上は2,800億円と7割伸び、営業利益も24億円と過去最高だった。精製は月産800キログラムの設備を持ち、全国9拠点の営業網もある。純現金は26億円で、財務は堅い。配当性向は3割台で、株主への還元も続く。
中央銀行の金購入は構造的で、安全資産としての需要は残る。白金も水素向けで伸びる。資源循環の流れは強まり、処理量は10年で増える。金価格が落ち着いても、取引の量が伸びれば、利ざやの総額は保たれる。
会社は2027年3月期の通期予想を営業利益17.7億円と置き、金が下がる局面でも黒字を見込む。コンテンツ事業も海外のグッズ需要で伸びる余地がある。
自己資本比率が44%に下がっても、純現金があり、借入の返済に困る水準ではない。会社が金の価格変動をどう管理しているかは、決算ごとの利益の振れで確かめられる。
慎重な見方
利益は金の急騰が押し上げたもので、金が落ち着けば元に戻る。営業利益率は0.9%と薄く、2024年3月期は0.3%だった。2026年4〜6月期は営業赤字で、自己資本比率は53%から44%へ下がった。売上の9割近くが三菱商事RtMジャパンとアサヒプリテックの2社で、取引条件を握るのは買い手だ。純現金26億円は、売上2,800億円の運転資金に使われ、自由に配れる金ではない。借入には純資産の維持条件も付く。
同業には住友金属鉱山、DOWA、田中貴金属などの大手がいる。集荷の競争が激しくなれば、買取条件を譲るしかない。
金が2013年のように数年続けて下がれば、在庫評価の追い風が消え、赤字の年が増える。コンテンツ事業はヒット作頼みで、2026年3月期は減収減益だった。飛び地の事業も多く、資本の使い方に一貫性がない。
10年先まで見れば、金が落ち着いた世界での利益が基準になる。そこでは売上が半分になっても固定費は残り、利益は薄いままだ。
どちらに重みを置いたか
勝つのは慎重な見方だ。金の山の利益を10年先に延ばせず、薄利と販売先の偏りが重い。ただ、純現金と集荷網があり、楽観の筋書きも消せない。確率は中立を最も厚くし、やや悲観と悲観で3割強とした。金が1グラム2万円台を保ち、集荷量が伸びれば見方は変わる。確率は、慎重な見方の根拠である薄利と2社集中が、10年で変わらないという前提に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 945 円136 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 189 円27 億円)。 今の値に割り戻すと 522 円75 億円、今との差 −14.0%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,410 円346 億円 | 404 円58 億円 | +363.6% | +16.6% | 197 円28 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,525 円219 億円 | 292 円42 億円 | +199.3% | +11.6% | 363 円52 億円 |
| 中立 | 40% | 948 円136 億円 | 209 円30 億円 | +90.5% | +6.7% | 463 円66 億円 |
| やや悲観 | 23% | 318 円46 億円 | 63 円9 億円 | −37.2% | −4.5% | 88 円13 億円 |
| 悲観 | 10% | 196 円28 億円 | 42 円6 億円 | −60.9% | −9.0% | 24 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 945 円136 億円 | 189 円27 億円 | +86.9% | +6.5% | 1,134 円163 億円 |
今の株価時価総額 607 円87 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 金が高値を保ち、集荷量も伸びる10年 利益 26 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,410 円346 億円
金は中央銀行の購入と安全資産の需要で、10年後に1グラム3万円ほどの高値圏を保つ。高値のおかげで宝飾品や不用品が市中から出続け、集荷量は今の1.45倍になる。
東京工場の精製能力を増やし、販売先も2社から広がる。値決めでも、集荷の競争が弱まって買取条件に余裕が出て、利ざやは売上の0.8%まで厚くなる。
コンテンツ事業は海外でグッズが伸び、売上は倍近くになる。本社の費用は物価で増え、年9億円になる。
配当は性向3割台を保ち、純現金は積み上がる。ただ、これは金と集荷の両方がうまくいく筋書きで、確率は低い。
- 貴金属事業:数量 19,210(金換算の取扱量(キログラム、推定))× 価格 3,000(金1キログラムあたりの価格(万円))→ 売上 5,763 億円・営業利益 46 億円。集荷量1.45倍・金価格は1グラム3万円
- 機械事業:数量 85.0(年間の販売台数(台、推定))× 価格 0.13(1台あたりの売上(億円、推定))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。台数が増え価格は物価並み
- コンテンツ事業:数量 429(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 0.11(1万点あたりの売上(億円、推定))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。海外のグッズが伸びる
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.86 倍、時価総額 336 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金は2025年から2026年に急騰し、2026年は年初の2万6千円台から2万円まで振れた。高値圏が10年続き、集荷も伸びる筋はありうるが、1割を超える確率は置けない。
やや楽観 20% 金は高値圏を保ち、集荷量が3割増える10年 利益 17 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 1,525 円219 億円
金は10年後も1グラム2.7万円ほどで、中央銀行の購入が下支えする。集荷量は電子機器の廃棄と宝飾品の売却で3割増える。
利ざやは売上の0.7%と、2025年3月期の0.66%並みを保つ。2025年3月期から2026年3月期にかけての大きな利益は、この筋書きでは半分ほどが残る。
コンテンツ事業は当たり外れを均して、売上は4割増にとどまる。機械事業は横ばいに物価が乗る。
営業利益は28億円で、過去の山と同じ水準になる。配当は性向3割台で、純現金も積み上がる。
新リース会計の導入で数字の形は変わるが、10年後の利益は今と同じ形で置く。
- 貴金属事業:数量 17,222(金換算の取扱量(キログラム、推定))× 価格 2,700(金1キログラムあたりの価格(万円))→ 売上 4,650 億円・営業利益 33 億円。集荷量1.3倍・金価格は1グラム2.7万円
- 機械事業:数量 78.0(年間の販売台数(台、推定))× 価格 0.13(1台あたりの売上(億円、推定))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。台数が微増
- コンテンツ事業:数量 380(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 0.11(1万点あたりの売上(億円、推定))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。ヒット作を均して1.15倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 11.96 倍、時価総額 206 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期の売上は価格と量の両方で7割伸びた。金が2万5千円前後を保ち、集荷が伸び続ける筋は軽くない。
中立 40% 金は落ち着き、薄い利ざやだけが残る10年 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 948 円136 億円
金は今の1グラム2.1万円から2.2万円に動くだけで、物価の伸びには届かず、実質では目減りする。集荷量は電子機器の廃棄と資源循環の流れで、15%増える。
利ざやは売上の0.6%に落ち着く。2026年3月期の1.0%は金の急騰が運んだ分を含み、2025年3月期の0.66%よりやや低く置いた。販売先は引き続き2社が中心で、条件は買い手が握る。
コンテンツ事業は売上が物価で増えるだけで、利益は2億円台にとどまる。本社の費用は物価で年8億円に増える。
営業利益は15億円で、純利益はその6割だ。配当は性向3割台を守り、利益の残りが純現金に積み上がる。
- 貴金属事業:数量 15,235(金換算の取扱量(キログラム、推定))× 価格 2,200(金1キログラムあたりの価格(万円))→ 売上 3,352 億円・営業利益 20 億円。集荷量1.15倍。金価格は物価の1.34倍に届かず今の1.05倍(急騰後で実質は目減り)
- 機械事業:数量 74.0(年間の販売台数(台、推定))× 価格 0.13(1台あたりの売上(億円、推定))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。台数は横ばい、価格は物価並み
- コンテンツ事業:数量 330(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 0.11(1万点あたりの売上(億円、推定))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。点数は横ばい、価格は物価並み
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期の利益は金の急騰で膨らんでおり、そのまま続けては置けない。金が今の水準から落ち着き、集荷が緩やかに増えるのが最も起こりやすい。
やや悲観 23% 金が下がり、集荷も細る10年 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 318 円46 億円
金は1グラム1.7万円まで下がる。今の水準の2割安だ。高値で出てきた宝飾品の売却は一巡し、集荷量は今の9割にとどまる。
利ざやは売上の0.35%まで薄くなり、貴金属の利益は7億円ほどだ。在庫評価の追い風は消え、赤字の年が混じる。
本社の費用は削るが、年7億円は残る。コンテンツは1割減る。営業利益はほぼゼロに近い。
借入には純資産の維持条件があるが、純現金があるため守れる。配当は性向を保てず、減らす。
稼ぐ力は小さいが、純現金と不動産が株主の取り分を支える。
中古工作機械の売買は小さく、全体の流れは変えない。金が上向けば戻れるが、10年のうちには戻らない筋書きだ。
- 貴金属事業:数量 11,923(金換算の取扱量(キログラム、推定))× 価格 1,700(金1キログラムあたりの価格(万円))→ 売上 2,027 億円・営業利益 7 億円。集荷量0.9倍・金価格は1グラム1.7万円
- 機械事業:数量 66.0(年間の販売台数(台、推定))× 価格 0.13(1台あたりの売上(億円、推定))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。台数が減る
- コンテンツ事業:数量 264(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 0.11(1万点あたりの売上(億円、推定))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。点数が2割減
倍率:稼ぐ力はk9%を大きく下回り、床は純現金と不動産の側で見る。今の自己資本94億円の約0.4倍とした。
確率:金は2012年から2015年にかけて長く下がった実例がある。今の高値は急騰の結果で、3割安に戻る筋は軽くない。
悲観 10% 金が暴落し、販売先に叩かれる構造的な負け 利益 −6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 196 円28 億円
金は2013年のように急落し、10年後は1グラム1.1万円に下がる。集荷量は4割減り、貴金属の売上は900億円を割る。
販売先の2社が買取の条件を引き下げ、利ざやは0.1%まで落ちる。同業の大手が集荷でも攻勢をかけ、東京工場の稼働率は低くなる。
コンテンツ事業は人気作が続かず、赤字になる。本社費用を削っても、全体の営業損益は赤字だ。
借入の純資産維持条件に触れる前に、不動産を売って返済する。配当は最低限に落ち、自己資本は80億円を割る。
事業は続くが、価値は純現金と不動産が中心になる。
株主の取り分は薄い。それでも会社が即座に清算されるわけではなく、現金の使い方は少数株主に決められない。床は純現金の半分ほどと見る。
- 貴金属事業:数量 7,949(金換算の取扱量(キログラム、推定))× 価格 1,100(金1キログラムあたりの価格(万円))→ 売上 874 億円・営業利益 1 億円。集荷量0.6倍・金価格は1グラム1.1万円
- 機械事業:数量 52.0(年間の販売台数(台、推定))× 価格 0.11(1台あたりの売上(億円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。台数が3割減
- コンテンツ事業:数量 165(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 0.10(1万点あたりの売上(億円、推定))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。点数が半減
倍率:稼ぐ力に値が付かず、床は純現金と不動産の側。今の自己資本94億円の約0.3倍とした。
確率:金の暴落が数年続き、買い手2社が条件を引き下げる筋は、薄利の会社には致命傷になりうる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
貴金属事業
電子部品屑・宝飾品などから金・白金などを回収・精製し、地金として売る。
| 数量金換算の取扱量(キログラム、推定) | 価格金1キログラムあたりの価格(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 13,248 | 2,100 | 2,782 | 28 |
| 10 年後 中立 | 15,235 | 2,200 | 3,352 | 20 |
取り方:貴金属事業の売上2,781.5億円を、2026年3月期の金の平均価格1グラム約2.1万円で割り、金換算の取扱量を推定した(銀・白金なども金換算で、量は開示なし)。セグメント利益は28.1億円。償却は取得時の値段のまま。
機械事業
子会社インテックスが中古の工作機械・板金機械を仕入れて売る。
| 数量年間の販売台数(台、推定) | 価格1台あたりの売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 74.0 | 0.10 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 74.0 | 0.13 | 10 | 0 |
取り方:機械事業の売上7.4億円・セグメント利益0.21億円。台数は1台約1千万円と置いた推定(開示なし)。
コンテンツ事業
アニメ・ゲームのキャラクターグッズを企画し、自社EC・委託販売で売る。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1万点あたりの売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 330 | 0.08 | 28 | 2 |
| 10 年後 中立 | 330 | 0.11 | 37 | 3 |
取り方:コンテンツ事業の売上27.8億円・セグメント利益2.2億円。点数は1万点あたり約0.08億円と置いた推定(開示なし)。全社費用は約6億円で、各事業の利益の合計から連結の営業利益24.5億円を引いて出した。
リスクと懸念
金価格の下落
2026年3月期の利益は金の急騰が押し上げた。2026年4〜6月期は早くも営業赤字で、2013年のように数年続けて下がれば、赤字の年が増える。
販売先2社への集中
売上の47%が三菱商事RtMジャパン、41%がアサヒプリテックに向かう。条件を握るのは買い手で、片方が取引を絞れば利益は大きく動く。
薄い利益率
営業利益率は0.9%で、2024年3月期は0.3%だった。売上が大きいため、利ざやが0.1ポイント動くだけで利益が3割動く。
財務制限条項
借入には純資産を一定以上に保つ条件が付く。2026年4〜6月期の赤字と配当で自己資本比率は44%まで下がり、赤字が続けば余裕は薄くなる。
コンテンツ事業の当たり外れ
グッズはヒット作頼みで、2026年3月期は売上が28%減った。飛び地の事業が資本を食う恐れもある。
大手同業との集荷競争
住友金属鉱山、DOWA、田中貴金属などの大手は集荷でも競う。買取条件を譲れば利ざやが痩せる。
今後の分かれ目
- 金価格が1グラム2万円を割り、1万円台前半まで下がる
- 在庫評価の追い風が消え、貴金属の利ざやは薄くなる。やや悲観から悲観の筋書きに寄る。
- 2026年10〜12月期にも営業赤字が続く
- 通期予想の17.7億円が崩れ、財務制限条項の余裕が焦点になる。悲観側の確率を上げる。
- 販売先が2社から広がり、上位2社の比率が7割を切る
- 買い手に条件を握られる度合いが下がり、利ざやが安定する。確率は楽観側に動く。
- 集荷量が前年を上回り続ける
- 価格に頼らない成長の裏づけになり、中立の数量を上げる材料になる。
- 他社が出資や公開買付けを仕掛ける
- 少数株主にとって別の価値が出うるが、開示に兆しはなく、確率は低い。
見ておくもの
- 金価格と貴金属事業のセグメント利益率
- 上位2社への売上の比率
- 自己資本比率と財務制限条項の余裕
- 集荷量(金換算の取扱量)の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化PERの式とROEがk以下なら1÷kが上限という決まりから置き、今の株価や同業の倍率は使っていない。金価格は10年の中立で1グラム2.2万円に平準化し、足元の急騰を利益に掛けていない。純現金は運転資金とみて余った現金に分けていない。リースは家賃を営業費用に入れた今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.86 倍・やや楽観 PER 9.5→11.96 倍・中立 PER 9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+2.0%を足して9.5%。純現金で事業は傾いておらず、上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。