結論
キヤノンは、複合機とプリンターで世界首位級の会社だ。いま利益を支えているのは、カメラ、監視用のネットワークカメラ、半導体の露光装置である。2025年12月期の売上は4.6兆円、営業利益は4,554億円、営業利益率は9.8%だった。
筆者の結論は、今の時価総額は本質価値より1割強安い、というものだ。決め手は、稼ぎの主役の入れ替わりにある。稼ぎ頭のプリンティングは、紙の需要が細るので数量は減り続ける。ただ、消耗品と保守が残るため、売上の落ち込みは緩やかだ。一方、イメージングの営業利益率は16%を超え、ネットワークカメラは2026年の見通しで前年比17%伸びる。
会社は2030年に営業利益率15%を掲げる。しかし前の5か年計画の12%は届かなかった。筆者はこの目標をそのままは信じない。10年後の中立は、営業利益率10.7%、純利益4,670億円と見る。それでも今の利益の4割増しだ。
弱点は二つある。メディカルは苦戦が続き、2024年に約1,650億円の減損を出した。もう一つは、2026年にメモリー価格と中東情勢が合わせて約1,200億円の減益要因になっていることだ。
株数は、2026年9月に終えた自社株買いを引くと約8億3,300万株で、時価総額は約4.0兆円になる。ROEは9%台で、10年後は10%台に上がる。資本コスト7.75%を余裕で超える会社ではない。それでも、値段は本質価値を下回ると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、キヤノンは「守りは固いが、増やし方が見えにくい会社」だ。
まず事業の本質を見る。プリンティングは、本体を売り、消耗品と保守で稼ぐ型で、客が一度つながると離れにくい。ただ、紙の需要は構造的に細る。この事業は、成長させる対象ではなく、利益を取り出して他の事業へ回す資産だと筆者は考える。
次に資本の使い方だ。純有利子負債は小さく、営業キャッシュフローは年に5,000億円前後ある。それを配当と自社株買いに回す姿勢は、オーナーの立場から好ましい。一方で、メディカルで約1,650億円の減損を出した経験があり、最大2兆円の戦略投資枠が次の失敗にならないか、まだ読み切れない。
払う値段の安全域も見る。中立の10年後は、利益が5割増える程度で、特別な成長は置かない。それでも今の時価総額を1割強上回る。悲観でも、ネットワークカメラと露光装置の黒字が稼ぐ力の床になる。
わからない部分は、メディカルの再建とナノインプリントの実用化だ。どちらも結果は確率で見るしかなく、確信度は高くない。
何で稼ぐ会社か
キヤノンの事業は4つの区分に分かれる。売上の大きい順に見ていく。
プリンティングは売上の半分強を占める。オフィス複合機、レーザープリンター、インクジェット、商業・産業向けの印刷機を作り、トナーやインクの消耗品と保守で稼ぎ続ける。本体を売り、そのあとの消耗品と保守で長く稼ぐ。この型が、数量が減っても利益が崩れにくい理由だ。
イメージングは売上の2割強で、カメラとネットワークカメラに分かれる。ネットワークカメラの中核は、2015年に買収したスウェーデンのアクシスだ。2025年にイメージングの売上は1兆円を超え、営業利益率は16%台と、プリンティングの10%台前半を大きく上回った。
メディカルは売上の1割強で、CTやMRIなどの画像診断装置を作る。2016年に東芝のメディカル事業を買収して生まれた。2026年4月に、子会社だったキヤノンメディカルシステムズを本体へ統合した。
インダストリアルは売上の1割弱だが、営業利益率は17%と高い。半導体とFPDの露光装置、有機ELの製造装置、成膜装置、ダイボンダーなどを扱う。センサーやパワー半導体向けのi線露光装置では、世界シェア8割とされる(自社調べ)。AI向けのメモリー増産と、半導体の後工程が追い風だ。
残りは本社費用と宇宙事業など。キヤノン電子は完全子会社になり、宇宙事業は2030年に売上200億円以上が目標だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、事業ごとに濃さが違う。
一番濃いのはカメラだ。ミラーレスと一眼の世界で、キヤノンはソニー・ニコンと並ぶ上位に居続けている。レンズとマウントを一度買った客は、ボディーを買い替えても同じ会社を選びやすい。次に濃いのがi線の露光装置だ。センサーやパワー半導体の工場では、装置の入れ替えが少なく、キヤノンはこの市場で突出している。
複合機は、広い販売網と保守の人手が堀になる。ただ、技術の差はもう小さい。リコー、コニカミノルタ、京セラ、富士フイルムと台数を奪い合い、紙の需要が細る市場で勝ち残るための堀であって、成長の堀ではない。
弱いのはメディカルだ。統合が進まず、営業利益率は5%台にとどまる。2024年には約1,650億円の減損を出した。
資本効率は、会社自身も課題と認める。ROEは9%台で、資本コストをわずかに上回る程度だ。フェーズVIIはROE15%を掲げるが、前の計画の営業利益率12%は未達だった。筆者は、この会社を「守りの堀は厚いが、攻めの稼ぎはまだ証明されていない」と見る。
経営体制は、2026年3月に小川一登氏が社長COOに就いた。会長CEOの御手洗冨士夫氏は、報道では90歳(2026年1月時点)で、引き続き舵を握る。世代交代がどこまで進むかは、資本の使い方を左右する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
キヤノンの4つの事業は、それぞれ別の業界に属し、景気の位置もばらばらだ。
プリンティングは、紙の需要が構造的に縮む成熟市場だ。国内の複合機の出荷は、ピークの65万台超から45万台程度まで減った。世界でも、台数は年に数%ずつ細る。それでも、消耗品と保守の収益があり、市場の金額の縮み方は台数より緩やかだ。競合はリコー、コニカミノルタ、京セラ、富士フイルム、ブラザー、エプソンで、インクジェットはHPも強い。いまは中東情勢とメモリー価格の高騰で、オフィスの買い替えが先送りされている。
イメージングは、スマートフォンに押された縮小が止まり、動画やSNS向けの新しい客が増えている。ネットワークカメラは、公共や企業の安全投資で伸び、中国のハイクビジョンやダーファと競う。地政学の緊張は、非中国勢のアクシスに追い風になる。
メディカルは、高齢化で需要が伸びる市場だ。ただ、シーメンスヘルシニアーズ、GEヘルスケア、フィリップスの3社が強く、キヤノンの存在感は小さい。
インダストリアルは、AIで需要が急増した半導体の中でも、メモリーと後工程が好調だ。最先端のEUV露光装置はASMLが独占する。キヤノンは、i線・KrFといった成熟した工程と、ナノインプリントという別の方式で勝負する。ナノインプリントは2023年に発売され、2027年の量産を視野に入れると報じられている。EUVを置き換えるのではなく、一部の工程を担う立場だ。
循環の位置は、山にも谷にも遠い。2026年は、関税の還付と円安が利益を押し上げ、メモリー高騰と中東が押し下げる。
資本政策と M&A
資本政策は、配当を土台に、自社株買いを機動的に足す形だ。
配当は累進配当(減らさず、増やすことを基本)で、配当性向は40%が目安になる。以前の50%から下がった。自社株買いは2025年に3,000億円、2026年に2,000億円を実施した。2026年分は9月に終わり、約4,530万株を買った。フェーズVIIの5年間で、株主還元は合計1兆円以上を見込む。
M&Aの枠は大きい。5年の営業キャッシュフロー約5.4兆円のうち、最大2兆円を戦略投資の枠とし、M&A・追加の成長投資・追加の還元に充てる。メディカルの周辺(体外診断・治療・ヘルスケアIT)、半導体の後工程、産業印刷、3Dや映像のDXが対象だ。大型案件は借入も使う。筆者がいちばん注意するのは、ここだ。メディカルでは2024年に約1,650億円の減損を出した経験がある。
キヤノン電子は完全子会社になった。上場子会社のキヤノンマーケティングジャパンは別に残る。
2026 年の自社株買い 2,000 億円は 9 月までに実行済みで、株数と自己資本の起点に反映したため、10 年の還元からは除いた。(点検済み:実行済み自社株買いの二重数え・株数・転換社債は問題なし。中立の営業利益率だけ、過去10年の最高を超える11%強から10.7%に下げた。)
点検済み:中立の営業利益率10.7%は過去の山(9.85%、今と同じ)を0.8ポイント超えるが、事業別の利益率は今の水準かそれ以下(プリンティング10%、カメラ16%、ネットワークカメラ17%、インダストリアル17%)で、上積みはメディカルの構造改革(5.6%→7%)と、低採算のプリンティングが縮み高採算のイメージングが増える構成の変化による。会社の2030年目標15%は採っておらず、すでに11%強から10.7%に下げて置いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ネットワークカメラは、2026年の見通しで前年比17%増と、プリンティングの縮小を埋める勢いだ。しかも各国で中国製を避ける調達が広がり、非中国勢のアクシスは追い風を受ける。イメージング全体の営業利益率は16%台で、すでにキヤノンの稼ぎ頭になった。
半導体の露光装置は、AI向けのメモリー増産が続く。i線では世界シェア8割を持ち、KrFも伸びている。2023年に売り出したナノインプリントは、2026年6月にも顧客へ追加出荷した。量産の評価が進めば、先端メモリーの一部工程を担う道が開ける。実現すれば、インダストリアルの売上は10年で2倍を超える。
構造改革の効果も見えてきた。2026年は効果が326億円、費用が362億円で、効果が費用を上回る段階は目前だ。メディカルは本体への統合で赤字事業を整理し、光子計数CTで米国の客を取り込む。
加えて、自社株買いと累進配当で、利益が増えるたびに株主へ戻る。5年で1兆円以上の還元は、時価総額の4分の1にあたる。営業利益率が15%に届かなくても、13%台なら利益は今の倍近くになる。
慎重な見方
プリンティングは売上の半分強を占め、しかも縮む市場だ。2026年は複合機の台数が4%減、インクジェットは7%減を見込む。本体が売れなければ、あとの消耗品と保守も細る。安い互換トナーと中国の複合機メーカーが、価格を下から押し下げる。
成長の柱とされる新製品は、まだ数字になっていない。ナノインプリントは2023年に発売して3年たつが、顧客は公表されておらず、量産への採用は確定していない。EUVの代わりにはならず、担えるのは一部の工程だけだ。メディカルは2026年も営業利益率4%の見通しで、新製品の光子計数CTが立て直しの決め手になるかは未知数だ。
前の5か年計画の営業利益率12%は届かなかった。今回の15%も、人件費と部材の値上がり、関税、メモリー価格に阻まれる。実際、2026年はメモリー高騰だけで694億円の減益要因が出た。
経営の質も気になる。会長CEOは報道では90歳で、社長交代後も会長CEOとして舵を握る。最大2兆円の戦略投資枠は、過去に大きな減損を出した会社が、再び大型買収に動く含みを持つ。
ネットワークカメラの高い伸びも、中国勢との価格競争と各国の規制で、いつまでも続くとは限らない。
どちらに重みを置いたか
成長の柱が実在する点は、強気の見方が正しい。ネットワークカメラと露光装置は、数字がすでに伸びている。ただ、慎重な見方が突く点も重い。プリンティングは売上の半分強を占め、縮む市場で戦う。目標の未達の実績、メモリー高騰、メディカルの低収益は、すぐには消えない。筆者は目標の営業利益率15%を採らず、中立を10.7%に置いた(今の9.8%は過去10年で最も高く、構造改革の効きを一部だけ織り込んだ)。確率も、中立より悲観側に少し寄せた。それでも10年後の価値は、今の時価総額を上回る。純有利子負債が小さく還元が厚いこと、資本コストを超える稼ぎが10年は残ることが理由だ。ただし倍率の前提には敏感で、長期の成長率が1ポイント下がれば倍率は2割ほど動く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 8,709 円6.83 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,998 円2.35 兆円)。 今の値に割り戻すと 6,193 円4.86 兆円、今との差 +26.4%、 期待の年率 +9.1%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 16,134 円12.66 兆円 | 4,282 円3.36 兆円 | +316.8% | +15.3% | 2,042 円1.60 兆円 |
| やや楽観 | 22% | 12,650 円9.93 兆円 | 3,823 円3.00 兆円 | +236.3% | +12.9% | 3,624 円2.84 兆円 |
| 中立 | 33% | 8,712 円6.84 兆円 | 3,153 円2.47 兆円 | +142.2% | +9.3% | 3,915 円3.07 兆円 |
| やや悲観 | 25% | 5,146 円4.04 兆円 | 2,166 円1.70 兆円 | +49.3% | +4.1% | 1,828 円1.43 兆円 |
| 悲観 | 10% | 1,513 円1.19 兆円 | 1,466 円1.15 兆円 | −39.2% | −4.9% | 298 円2,338 億円 |
| 加重平均 | 100% | 8,709 円6.83 兆円 | 2,998 円2.35 兆円 | +139.0% | +9.1% | 11,707 円9.19 兆円 |
今の株価時価総額 4,898 円3.84 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 計画がほぼ実現:ネットワークカメラ・露光装置・メディカルが揃って伸びる 利益 7,500 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 16,134 円12.66 兆円
フェーズVIIの目標に近い形で進む。販売と生産の構造改革は2028年までに終わり、プリンティングは本体工場の集約とノンハードの厚みで利益率が13%台に上がる。ネットワークカメラは非中国の調達需要を取り込み、イメージング全体で伸びが続く。光子計数CTと新設計の機器で、メディカルは利益率10%を超える。インダストリアルではナノインプリントが先端メモリーの一部工程に採用され、i線とKrFは後工程の需要でシェアを上げる。ただし全社の営業利益率は14%弱で、会社が掲げる15%には届かない。買収は小粒にとどまり、株主還元は計画の上限近くまで積み上がる。
- プリンティング:数量 874(世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 38(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 33,387 億円・営業利益 4,507 億円。紙の縮小は緩やか、産業印刷が穴を埋める
- イメージング(カメラ):数量 297(カメラ販売台数(万台))× 価格 31(1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む))→ 売上 9,154 億円・営業利益 1,648 億円。高価格帯の動画機が牽引
- イメージング(ネットワークカメラ他):数量 425(世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 24(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 10,075 億円・営業利益 1,864 億円。非中国勢の需要を取り込み高成長
- メディカル:数量 600(世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 18(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 11,087 億円・営業利益 1,220 億円。光子計数CTで米国・新興国が伸び利益率10%超
- インダストリアル:数量 510(世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 20(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 10,244 億円・営業利益 2,049 億円。ナノインプリントと後工程向けが量産に乗る
倍率:事業の純利益 7,500 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.88 倍、時価総額 126,600 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:フェーズVIIの主要目標にほぼ近づく筋書き。ネットワークカメラとナノインプリントという勝ち筋は実在するが、前の5か年計画の利益率12%が未達に終わった実績があり、1割にとどめた。
やや楽観 22% 改革は終わるが新製品は小さく育つ 利益 6,200 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 12,650 円9.93 兆円
構造改革は計画どおりに終わるが、新製品の立ち上がりは計画より遅い。プリンティングの数量は縮むものの、欧州の直販見直しと新興国の開拓で、利益率は12%台に乗る。イメージングは、カメラが横ばい、ネットワークカメラは高い伸びを保つ。メディカルは赤字事業の整理が済み、利益率は1桁後半へ戻る。ナノインプリントは小さな量産にとどまり、インダストリアルは露光装置のシェア上昇が中心になる。営業利益率は13%近くまで上がるが、15%の目標には遠い。自社株買いは毎年続き、ROEは12%台に乗る。買収は小さな案件が数件あるだけで、資本の使い方に大きな傷は出ない。
- プリンティング:数量 836(世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 37(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 31,263 億円・営業利益 3,908 億円。構造改革が効き利益率が上向く
- イメージング(カメラ):数量 289(カメラ販売台数(万台))× 価格 30(1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む))→ 売上 8,635 億円・営業利益 1,425 億円。台数は横ばい、単価は上がる
- イメージング(ネットワークカメラ他):数量 400(世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 23(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 9,114 億円・営業利益 1,595 億円。高成長が続く
- メディカル:数量 586(世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 17(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 10,115 億円・営業利益 961 億円。利益率が1桁後半へ回復
- インダストリアル:数量 465(世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 19(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 8,967 億円・営業利益 1,704 億円。i線・KrFのシェアが上がりナノインプリントは小さく立ち上がる
倍率:事業の純利益 6,200 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 16.01 倍、時価総額 99,262 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:構造改革が計画どおり終わり、新製品が小さく育つ筋書き。リコー・セイコーエプソンなど同領域の会社より、成長の柱(カメラ・ネットワークカメラ・露光装置)が厚いので、2割強に置いた。
中立 33% 紙の縮小を成長事業が埋め切れない 利益 4,673 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 8,712 円6.84 兆円
緩やかな改善が続く、最も起こりやすい姿だ。プリンティングの数量は紙の需要とともに年2%ほど縮む。それでも消耗品と保守が残り、競合の撤退でシェアは少し上がる。カメラは台数が微減で、単価は物価並みに上がる。ネットワークカメラは市場の伸びに沿って育つが、中国勢の価格攻勢でシェアは小さく下がる。メディカルは構造改革でようやく利益率7%になり、10%には届かない。インダストリアルは露光装置の循環を挟みつつ伸びる。営業利益率は10.7%まで上がり(今は9.8%)、売上は物価の分だけ伸びる。大型の買収はなく、還元は配当性向40%に自社株買いを足した水準を保つ。
- プリンティング:数量 808(世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 37(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 29,548 億円・営業利益 2,955 億円。台数は年2%ほど縮み、消耗品と保守が下支え、利益率は今の10.3%から10.0%へ
- イメージング(カメラ):数量 274(カメラ販売台数(万台))× 価格 29(1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む))→ 売上 7,965 億円・営業利益 1,274 億円。台数は微減、単価は物価並み
- イメージング(ネットワークカメラ他):数量 370(世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 23(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 8,346 億円・営業利益 1,419 億円。市場の伸びに沿って成長、シェアは微減
- メディカル:数量 574(世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 16(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 9,340 億円・営業利益 654 億円。構造改革でようやく利益率7%
- インダストリアル:数量 405(世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 18(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 7,240 億円・営業利益 1,231 億円。露光装置は循環しながら緩やかに伸びる、利益率は17%(今は17.3%)
倍率:事業の純利益 4,672 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.63 倍、時価総額 68,359 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:プリンティングの縮小を、イメージングと露光装置の伸びが埋め切れない、最も蓋然性の高い姿。
やや悲観 25% 改善が止まり、ずるずる後退する 利益 3,400 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 5,146 円4.04 兆円
改善が止まり、ずるずると後退する筋書きだ。ペーパーレスが想定より速く、プリンティングの数量は年2%台で縮む。値上げは通りにくく、構造改革の効果は人件費と部材高に消える。カメラはスマートフォンに押されて、台数が1割超減る。ネットワークカメラは中国勢との競争で単価が下がり、成長は鈍る。メディカルは赤字事業の整理が長引き、利益率は5%台のままだ。インダストリアルはAI投資の一巡で受注が鈍り、ナノインプリントも採用は限られる。営業利益率は8%台に下がり、会社が掲げる改善の目標は大きく外れる。ROEは7%を割り、資本コストを下回る。それでも配当は維持され、自社株買いだけが細る。
- プリンティング:数量 741(世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 35(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 26,220 億円・営業利益 2,491 億円。ペーパーレスが加速し値上げも通りにくい
- イメージング(カメラ):数量 254(カメラ販売台数(万台))× 価格 28(1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む))→ 売上 7,231 億円・営業利益 1,012 億円。スマートフォンに押され台数が1割超減る
- イメージング(ネットワークカメラ他):数量 313(世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 21(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 6,689 億円・営業利益 1,003 億円。中国勢との競争で価格が下がる
- メディカル:数量 528(世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 15(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 8,060 億円・営業利益 443 億円。赤字事業の整理が長引き利益率は5%台
- インダストリアル:数量 360(世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 16(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 5,785 億円・営業利益 868 億円。AI投資の一巡で受注が鈍る
倍率:ROE 6.9% は k 7.75% を下回る。ためた利益は額面未満の価値なので PER は 1÷k=12.5 倍が上限で、利益が伸びない成熟事業として 10.5 倍(上限の 84%)。自己資本の厚さは根拠にしない。
確率:紙の縮小の加速と、メモリー高騰・関税・中東の費用増が続き、改善が止まる筋書き。目標の達成実績が弱く、メディカルの再建も遅れてきたので、4分の1に置いた。
悲観 10% 構造的に負ける:紙の崩れ・互換品・スマートフォン 利益 1,250 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,513 円1.19 兆円
構造的に負ける筋書きだ。紙の需要が崩れ、安価な互換トナーと中国の複合機メーカーがオフィス市場に入り込む。キヤノンは本体の値下げと消耗品の流出の両方に押され、プリンティングの利益率は6%まで下がる。カメラはスマートフォンの画質向上で台数が3割減る。ネットワークカメラも各国の調達の分断がかえって価格競争を招き、シェアと価格を失う。メディカルは利益をほぼ出せず、追加の減損が出る。ナノインプリントは実用化せず、露光装置は更新需要を失う。それでもネットワークカメラと露光装置の一部は黒字を保ち、稼ぐ力が株価の床になる。配当は減らさざるを得ない。
- プリンティング:数量 589(世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 33(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 19,539 億円・営業利益 1,172 億円。紙の需要の崩れと互換消耗品で本体も消耗品も落ちる
- イメージング(カメラ):数量 202(カメラ販売台数(万台))× 価格 28(1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む))→ 売上 5,575 億円・営業利益 502 億円。台数が3割減る
- イメージング(ネットワークカメラ他):数量 250(世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 18(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 4,603 億円・営業利益 460 億円。競争激化でシェアと価格を失う
- メディカル:数量 480(世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 13(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 6,266 億円・営業利益 63 億円。ほぼ利益を出せず減損が続く
- インダストリアル:数量 285(世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定))× 価格 14(市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率)→ 売上 4,007 億円・営業利益 441 億円。ナノインプリントが実用化せず装置の更新も遠のく
倍率:純利益 1,250 億円は ROE 3% で k 7.75% を大きく下回る。稼ぐ力は 1,250÷8.0%=約 1.6 兆円で、利益が縮み続ける途中なのでその 76%(9.5 倍)。純有利子負債があり、売れる資産の上乗せは置かない。
確率:10年で構造的に負ける筋書き。複合機の縮小という業界共通の逆風を織り込んだが、同領域の会社より事業の厚みがあるため、リコー・セイコーエプソンと同じ1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プリンティング
オフィス複合機、レーザープリンター、インクジェット、商業・産業向けの印刷機と、トナー・インクなどの消耗品・保守。
| 数量世界の複合機・プリンター市場(本体+消耗品・保守を含む、今の値段で測った実質・億ドル、推定) | 価格市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 950 | 26 | 24,944 | 2,558 |
| 10 年後 中立 | 808 | 37 | 29,548 | 2,955 |
取り方:世界の複合機・プリンター市場(HP・キヤノン・リコー・エプソン・富士フイルム・コニカミノルタ・ブラザー・京セラなどの本体、消耗品、保守の合計)を約 950 億ドルと推定し、キヤノンの売上 2 兆 4,944 億円から逆算してシェア約 17.5%(台数シェア 18% 前後の推定と整合)。市場規模の開示は無く、推定。数量は実質、物価は価格の側に入れた。
イメージング(カメラ)
ミラーレス・一眼・コンパクトなどのデジタルカメラとレンズ。
| 数量カメラ販売台数(万台) | 価格1 台あたりの売上(万円、レンズ・アクセサリーを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 289 | 22 | 6,256 | 1,000 |
| 10 年後 中立 | 274 | 29 | 7,965 | 1,274 |
取り方:2025 年のカメラ売上 6,255 億円と、2026 年見通し 280 万台(前年比 −3%)から逆算した 2025 年の台数 約 288.7 万台。価格は 1 台あたりの売上。営業利益はカメラとネットワークカメラの内訳が未開示なので、イメージング計 1,729 億円を売上比で分けた推定(カメラ 1,000 億円)。
イメージング(ネットワークカメラ他)
監視・映像用ネットワークカメラ(アクシス)、映像管理ソフト、ほかの映像機器。
| 数量世界のネットワークカメラ・映像管理の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定) | 価格市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250 | 17 | 4,294 | 729 |
| 10 年後 中立 | 370 | 23 | 8,346 | 1,419 |
取り方:ネットワークカメラ他の売上 4,294 億円。対象市場を約 250 億ドルと推定し、シェア約 11.5% を逆算(中国勢を含む世界の監視カメラ市場の一部のみを対象に置いた推定で、開示は無い)。営業利益 729 億円はイメージング計の内訳が未開示のための推定。
メディカル
CT・MRI・超音波・X線などの画像診断装置と関連サービス(キヤノンメディカルシステムズ、2026 年 4 月に本体へ統合)。
| 数量世界の画像診断装置市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定) | 価格市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア × 150(円/ドル)× 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 480 | 12 | 5,806 | 328 |
| 10 年後 中立 | 574 | 16 | 9,340 | 654 |
取り方:メディカル売上 5,806 億円。世界の画像診断装置市場(シーメンスヘルシニアーズ・GE ヘルスケア・フィリップス・キヤノンなど)を約 480 億ドルと推定し、シェア約 8.1% を逆算。開示は無く推定。
インダストリアル
半導体・FPD の露光装置、有機 EL の製造装置、成膜装置、ダイボンダー、光学機器。
| 数量世界の半導体・FPD 露光装置の市場(今の値段で測った実質・億ドル、推定) | 価格市場 1 億ドルあたりのキヤノンの売上(億円)=シェア相当 × 150(円/ドル)× 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 300 | 12 | 3,611 | 625 |
| 10 年後 中立 | 405 | 18 | 7,240 | 1,231 |
取り方:インダストリアル売上 3,611 億円(光学機器 2,564・産業機器 1,047)。露光装置の売上額は未開示なので、露光装置の世界市場を約 300 億ドルと置き、売上全体を市場に対するシェア相当(約 8%、露光装置以外の事業を含む換算)で表した推定。数量の動きは露光装置の市場の伸びで代表させた。
リスクと懸念
プリンティングの縮小が想定より速い
ペーパーレスで複合機の台数は年に数%ずつ細る。2026年の見通しでは、複合機が前年比4%減、インクジェットが7%減だ。本体の減少は、数年遅れて消耗品と保守の売上に響く。安い互換トナーと中国メーカーが、価格を下から押し下げる点も重い。
メモリー価格の高騰と部材高
2026年は、メモリー価格の高騰だけで営業利益が694億円押し下げられる見通しだ。カメラ、複合機、メディカル機器のどれもが半導体部品を使う。値上げで転嫁できなければ、利益率の改善が止まる。
目標の未達が繰り返される
前の5か年計画が掲げた営業利益率12%は、2025年に9.8%で終わった。今回の計画は15%を掲げ、前提にはドル円150円と、構造改革の完遂が置かれている。人件費・関税・部材高が続けば、再び届かない。
メディカルの立て直しの遅れ
メディカルは2026年の営業利益率が4%の見通しで、2024年には約1,650億円の減損を出した。2026年4月に本体へ統合し、赤字事業を整理する途中だ。再建が遅れると、減損の再発と資本の拘束が続く。
大型M&Aの失敗
戦略投資の枠は最大2兆円で、大型案件では借入も使う。メディカル、半導体の後工程、産業印刷が候補だ。高い値段で買えば、買収後の減損が繰り返されかねない。経営体制の世代交代の途上で、買収の規律が保てるかも見ておく点だ。
稼ぎの伸びがネットワークカメラと露光装置に偏る
ネットワークカメラは中国勢との競争と各国の規制に、露光装置はAI投資の循環とメモリーの設備投資に左右される。インダストリアルの産業機器は2026年に前年比13%減の見通しで、波は大きい。伸びの柱が崩れれば、補う事業が他に無い。
為替と関税への依存
2026年の営業利益は、円安で約558億円、関税の還付で約396億円押し上げられる見通しだ。どちらも続く保証は無い。10年はドル円150円で続く前提だが、現実の円高は海外売上の円換算を目減りさせ、利益を圧迫する。
今後の分かれ目
- ネットワークカメラの売上が2桁成長を保ち、イメージングの営業利益率が17%を超える
- 成長の柱が確かになり、楽観寄りの確率が上がる。
- ナノインプリントの量産採用が顧客名とともに公表される
- インダストリアルが長期の高成長に入る証拠になり、楽観の筋書きに近づく。
- 欧州の直販見直しが遅れ、構造改革の効果が計画を下回る
- プリンティングの利益率が上がらず、やや悲観の筋書きに近づく。
- メディカルが2027年に営業利益率8%へ戻らず、追加の減損が出る
- 再建の失敗が確定し、悲観側の確率が上がる。
- 戦略投資枠で数千億円超の大型買収を発表する
- のれんと借入で資本効率が下がりうる。買収額と事業の稼ぐ力の比を確かめ、価値の見立てを変える。
- 複合機の台数減が年5%を超える
- 紙の縮小が加速した証拠で、プリンティングの利益が細り、悲観寄りの確率が上がる。
見ておくもの
- プリンティングの台数(複合機・LP・インクジェット)と営業利益率
- ネットワークカメラの売上成長率とイメージングの営業利益率
- 露光装置の台数(KrF・i線)とナノインプリントの採用・出荷
- メディカルの営業利益率と本体統合後の赤字事業の整理
- 構造改革の費用と効果(販売・生産・メディカル)
- 自社株買い・配当と戦略投資(M&A)の発表
- メモリー価格・ドル円・関税の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や過去の倍率を見ず、10年後のROE・資本コスト7.75%・成長4%から正当化PERを出し、中立は上限の約9割に置いた。今の時価総額は、2026年9月の自社株買い終了を確かめて株数を7億8,468万株に直し約3.8兆円とし、価値を出したあとにだけ比べた。やや悲観・悲観はROEが資本コストを下回る前提で、ためた利益を額面未満として稼ぐ力で置いた。米国基準でリースは使用権資産がすでに貸借対照表にあり、新リース会計基準による数字の形の変化はない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.3→16.88 倍・やや楽観 PER 13.4→16.01 倍・中立 PER 12.5→14.63 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足して k 7.75%。純負債は小さく extra は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。