結論
FPGは、中小企業の節税の需要を金融商品に変える会社だ。航空機や船舶を買って運航会社に貸し、その出資を法人に売る。この日本型オペレーティング・リースで、累計4.3兆円超を組成してきた。国内の最大手である。
筆者の結論は「ほぼ適正。ただし中身は割り引いて見るべきだ」である。稼ぐ力は本物だが、利益の土台が税制の上に二つ乗っている。一つは法人向けのリース。もう一つは相続税対策に使われる不動産の小口化商品だ。後者は2027年1月から評価が見直され、今期は販売が止まった。
売上の約7割は不動産だが、利益の主役はリースだ。不動産は仕入れて売る商いで、粗利が薄く、在庫も抱える。リースは組成すれば手数料が入り、売上のほとんどが粗利になる。この差を見ないと、会社の姿を読み違える。
10年で見ると、リースは緩やかに伸び、不動産は縮む。筆者はそう見ている。税制がまた動けば、会社の価値は大きく振れる。その怖さは、悲観の筋書きにはっきり織り込んだ。
還元は厚い。配当性向は5割が目安だ。自己資本利益率は30%前後と高いが、借入と在庫を回した結果でもある。創業者の持ち株は厚く、決断は速い。ただし速さは、間違えた時に傷が深くなるということでもある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を「よく稼ぐが、確かさに欠ける事業」と見る。
まず、10年後も存在するかを問う。リースの仕組みは40年近い歴史があり、需要は根強い。ただ、需要の根が税制なので、規制一つで商品が痩せる恐れがある。船舶で一度、それが起きた。
次に、オーナー利益を問う。FPGの利益は、組成した年に立ち、設備投資はほとんど要らない。この点は優れている。ただし、在庫を持つ不動産では、利益が借入と在庫の裏に隠れる。見かけの利益と、手元に残るお金は一致しない。
堀の幅は、販売網と実績だ。これは認める。一方で、手数料を決めるのは物件の供給元と出資者であり、価格を決める力は強くない。
経営は、創業者が速く決める。還元にも前向きだ。しかし、一人の判断に重みが偏る構造は、値段に織り込むべき不確かさである。
最後に安全域だ。税制が変われば価値が大きく動く事業に、高い倍率は払えない。値段が、10年後の中立的な姿をおおむね反映している今、安全域は厚くない。「よい会社だが、買い急ぐ値段ではない」というのが、筆者の見立てだ。
何で稼ぐ会社か
FPGの事業は三本柱だ。いちばん大きな利益を生むのは、リースファンドである。
リースファンドは、航空機・船舶・コンテナを買い、世界の航空会社や海運会社に貸す。その物件への出資を匿名組合の形で、全国の中小企業に売る。出資者は、リース期間の前半に減価償却費が先に立つ分、税金の支払いを後ろへ送れる。FPGには、組成と販売の手数料、それに管理の報酬が入る。直近は海運の案件が中心だ。
国内不動産ファンドは、都心の物件を仕入れ、小口に分けて売る。主な買い手は、相続税の対策を考える個人だ。売上は大きいが、粗利は売上の1割ほどで薄い。売れ残れば在庫になる。2025年12月末の在庫は606億円に膨らんだ。
海外不動産ファンドは、米国の物件が中心だ。規模は小さい。個人向けの航空機小口化商品「F.bit」も、2号の販売を準備している。
売る力の源は、全国に張った網だ。提携する会計事務所は8,500を超え、金融機関は180を超える。顧客の節税を考える税理士が、案件を持ち込む。営業拠点は18に増えた。
収益の形に注意したい。リースも不動産も、組成した時点で利益が立つ。毎年積み上がる残高の収益ではなく、売った年の利益だ。だから、年ごとのぶれが大きい。
優良さと弱いところ
強みは三つある。長い実績、全国の販売網、そして仕組みを組み上げる腕だ。
日本型オペレーティング・リースは、物件の選定、運航会社との契約、出資者への説明まで、一式の経験がいる。累計4.3兆円超の組成は、その証拠だ。会計事務所8,500超の網は、新参が一朝一夕で張れるものではない。筆者はここを、この会社の堀、つまり他社がまねしにくい強みと見る。
資本効率も高い。自己資本利益率は過去10年の中央値で30%を超えた。出資者のお金で物件を買う仕組みなので、自社の資本は少なくて済む。
弱みも三つある。
第一に、需要の根が税制にある。船舶は、匿名組合で運用する場合の特別償却の対象から、2023年度の改正で外れた。相続税対策の小口化商品も、2027年1月から評価の見直しが入る。商品の魅力を決めるのが、会社ではなく税務当局だ。
第二に、利益が組成した年に立つ。景気や税制の風向きで、翌年の利益が大きく変わる。
第三に、経営の決断が創業者に集まる。速さは強みだが、歯止めは効きにくい。
借入は、事業の仕入れでもある。在庫を抱えた時に膨らむ。2024年9月期の純負債は1,336億円で、2025年9月期には397億円まで減った。この振れ幅が、事業の性格をよく表している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この業界の需要は、法人の「利益の平準化」と、個人の「相続の備え」の二つで決まる。景気より、税制の影響が大きい。
日本型オペレーティング・リース(JOL)の競合は、SBIリーシングサービスなど、数えるほどだ。金融機関系のリース会社も、参入の機会をうかがう。物件の確保と販売網が揃わないと、案件を安定して出せない。FPGは累計の実績で先頭に立つが、後発が手数料を下げて取りに来る余地は残る。
物件の側では、海運と航空機の市況が効く。航空機は新造機の納入が遅れ、機体の貸し手に有利な状況が続く。ただ、これは10年続く保証がない。海運は船価と傭船料の波が大きい。リースの条件は、その波に引きずられる。
税制は、すでに一度動いた。2023年度の改正で、匿名組合による船舶貸渡業の船舶が、特別償却の対象から外れた。次の規制が航空機や他の物件に及ぶ可能性は、消えていない。
不動産の小口化商品には、さらに大きな変化がある。令和8年度税制改正大綱で、2027年1月以降に相続や贈与で取得する分は、実際の取引価格を基にした評価になる方向だ。これまで「市場価格より低い評価」が節税の源だった。その差が縮めば、商品の魅力は薄れる。
業界全体の規模を示す公的な統計は見つからない。求人情報には、JOLの市場を年1兆円規模とする記載があるが、出典は弱い。ここでは、会社自身の出資金販売額を数量の基準に置く。
資本政策と M&A
還元は厚い。配当性向5割を目安とし、2025年9月期は実績で約6割だった。自社株買いも組み合わせている。
ただし今期は配当を減らした。税制の見直しで不動産の販売が止まり、利益の予想が下がったためだ。年間の配当は、当初の計画から3割ほど引き下げた。配当性向を目安にする以上、利益が減れば還元も減る。この仕組みは割り切りがよい。
資金の使い道は、物件の組成と在庫が中心だ。不動産の仕入れには借入を使い、売れ残れば負担が重くなる。大型のM&A(企業の買収)は、確認できた範囲では見当たらない。
株主の構成にも特徴がある。創業者で社長の谷村尚永氏の資産管理会社が、約3割を持つとされる。経営の安定には役立つが、少数株主の発言力は小さい。TOB(株式公開買付)の可能性を、kabufuのモデルは10年以内に約2割と見積もる。ただ、筆者はこれを価値の計算に入れていない。
資本配分の評価は「還元は上手、投資は様子見」だ。不動産の在庫を積み上げた時期の判断には、慎重さが足りなかったと筆者は見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リースの需要は、制度が定着した今も強い。国内の黒字法人は多く、利益を平準化したい中小企業は途切れない。提携する会計事務所は8,500を超え、この網を後発が追いつくには年月がかかる。
船舶の特別償却から外れた後も、FPGは海運案件を組成し続け、リースの組成額は2026年9月期の第1四半期に過去最高を記録した。税制が動いても、商品を組み替えて売る力があることの証拠だ。
不動産の小口化商品は、相続の節税だけで売れているのではない。都心の一等地を小口で持てる点や、物価上昇への備えという価値は残る。評価の見直しで一時的に落ち込んでも、運用の商品として再び売れ始める。個人向けの航空機小口化商品など、新しい柱も育ち始めた。
財務は軽い。出資者のお金で物件を買う仕組みなので、自社の資本は少なくて済み、自己資本利益率は30%前後に達する。配当性向は5割が目安で、還元に積極的だ。創業者の持ち株が厚く、判断は速い。市場が荒れても、機動的に動ける。
慎重な見方
利益の土台が税制にある。船舶はすでに特別償却の対象から外れた。航空機やコンテナに、同じ規制が広がらない保証はない。規制が一度入れば、商品は急に魅力を失う。
不動産の小口化商品も、2027年1月から評価が見直される。売上の7割を占める事業が、需要の根を断たれる。今期の予想はすでに3割下がり、配当も減った。これは序章にすぎないかもしれない。
利益は、組成した年に立つだけで、毎年の残高の収益ではない。販売が止まれば、翌年の利益が一気に消える。在庫を抱える不動産では、売れ残りが借入の負担に変わる。自己資本利益率30%という数字は、在庫と借入で回した結果であって、安定した実力ではない。
競合も増える。SBIリーシングサービスなどが、手数料を下げて案件を取りに来る。組成の腕で勝っても、価格で削られれば、利益は減る。
経営は、創業者に重みが偏る。判断が速いのは利点だが、誤った時の歯止めは弱い。値段が適正に近くても、安全域は厚くない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が、やや強い。強気の見方は、販売網と実績という事実に立つ。だが、利益の土台が税制にあるという慎重な見方の指摘は、すでに二度、現実になっている。
確率は、悲観寄りに置いた。税制がさらに動く可能性を、悲観に15%としてはっきり織り込んだ。中立は35%に抑え、やや悲観を25%とした。楽観側は合わせて25%だ。リースの需要は強く、中立でも成長は続くと見る。ただ、不動産が縮むことは、中立の前提に入れた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 2,396 円2,006 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,102 円923 億円)。 今の値に割り戻すと 1,728 円1,447 億円、今との差 +4.8%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,430 円4,547 億円 | 1,791 円1,500 億円 | +337.9% | +15.9% | 578 円484 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,853 円3,227 億円 | 1,493 円1,250 億円 | +224.2% | +12.5% | 909 円761 億円 |
| 中立 | 35% | 2,876 円2,408 億円 | 1,254 円1,050 億円 | +150.5% | +9.6% | 1,445 円1,210 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,120 円938 億円 | 955 円800 億円 | +25.8% | +2.3% | 519 円434 億円 |
| 悲観 | 15% | 134 円112 億円 | 179 円150 億円 | −81.0% | −15.3% | 47 円39 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,396 円2,006 億円 | 1,102 円923 億円 | +112.1% | +7.8% | 3,498 円2,929 億円 |
今の株価時価総額 1,649 円1,381 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% リースが伸び、不動産も新しい商品で立て直す 利益 314 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 5,430 円4,547 億円
リースの販売額は実質で4割以上伸びる。国内の黒字法人の裾野に加え、金融機関180超の網が伸び、海運と航空機の案件を安定して出し続ける。FPGは物件の確保で後発を引き離し、手数料も物価並みに上げる。不動産の小口化は、相続の節税だけでなく、都心の資産を持つ運用の商品として売り直し、販売額は今の9割まで戻る。個人向けの航空機小口化商品も柱の一つに育つ。海外不動産は米国の案件が積み上がる。税制は大きく動かない。還元は厚く続き、自己資本利益率は2割前後に保たれる。この筋書きでは、会社の強みが10年かけて複利で効く。販売網の厚みが、新しい商品の立ち上げを速くする。
- リースファンド:数量 3,380(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.16(販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 554 億円・営業利益 333 億円。販売額は実質1.45倍、手数料は物価並みの1.40倍、営業利益率60%
- 国内不動産ファンド:数量 855(不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.35(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 1,158 億円・営業利益 93 億円。販売額は実質0.9倍、価格は物価並みの1.34倍、営業利益率8%
- 海外不動産ファンド:数量 250(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.29(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 73 億円・営業利益 33 億円。販売額は実質1.5倍、営業利益率45%
倍率:事業の純利益 314 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.48 倍、時価総額 4,547 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:法人需要の拡大、競合に勝つ手数料の維持、不動産の小口化の立て直しが10年続く連続成功が条件で、実現すれば強いが確度は高くない。
やや楽観 17% リースが着実に伸び、不動産は縮んで落ち着く 利益 235 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 3,853 円3,227 億円
リースの販売額は実質で2割台半ば伸びる。海運の案件が柱になり、新リース案件の確保も順調だ。手数料率は物価並みに上がる。不動産の小口化は、評価の見直しで需要が縮み、販売額は今の4分の3まで落ちて落ち着く。粗利の薄い事業なので、利益への傷は限られる。海外不動産は小さいまま伸びる。還元は厚く続き、配当性向は5割台を保つ。利益は今より3割ほど増える。この筋書きで効くのは、リースの手数料の安定だ。景気が崩れなければ、法人の需要は細らない。不動産の縮小は、リースの伸びがほぼ埋める。会社全体の姿は、今と大きく変わらない。
- リースファンド:数量 2,915(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.16(販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 458 億円・営業利益 261 億円。販売額は実質1.25倍、手数料は1.34倍、営業利益率57%
- 国内不動産ファンド:数量 712(不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.35(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 964 億円・営業利益 67 億円。販売額は実質0.75倍、営業利益率7%
- 海外不動産ファンド:数量 150(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.28(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 42 億円・営業利益 17 億円。販売額は実質0.9倍、営業利益率40%
倍率:事業の純利益 235 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.5% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.73 倍、時価総額 3,227 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:リースの需要の強さと販売網の厚さは事実で、不動産が縮んでもリースの伸びが穴を埋める筋書きは現実的。ただし税制の追い風が弱まる前提を残した。
中立 35% リースは緩やかに伸び、不動産は縮む 利益 183 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 2,876 円2,408 億円
リースは、法人の需要が成熟したまま緩やかに伸びる。販売額は実質で7%ほど増え、手数料率は物価より少し低い伸びにとどまる。SBIリーシングサービスなどとの競争で、手数料の上げ幅が抑えられるからだ。不動産の小口化は、評価の見直しで相続の節税の魅力が薄れ、販売額は今の6割に縮む。粗利の薄い事業の縮小なので、利益への傷は小さい。海外不動産は小さいまま横ばいが続く。全体の利益は、今より1割ほど増えるにとどまる。税制はこれ以上は動かない。還元は性向で6割ほど続く。中立の肝は、不動産の縮小をリースの伸びが吸収できるかにある。会社の予想を超える伸びは置かず、危うさも置かない。
- リースファンド:数量 2,500(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.15(販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 380 億円・営業利益 209 億円。販売額は実質1.07倍、手数料は1.30倍、営業利益率55%
- 国内不動産ファンド:数量 600(不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.35(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 812 億円・営業利益 49 億円。販売額は実質0.63倍、営業利益率6%
- 海外不動産ファンド:数量 120(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.27(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 33 億円・営業利益 13 億円。販売額は実質0.7倍、営業利益率40%
倍率:事業の純利益 183 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.4% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.16 倍、時価総額 2,408 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:リースの強さと税制依存の脆さの落としどころ。慎重な見方がやや強いので、中立は4割に届かせず35%に抑えた。
やや悲観 25% 競争で手数料が削られ、不動産がほぼ消える 利益 92 億円 · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 1,120 円938 億円
リースの競争が激しくなる。SBIリーシングサービスや金融機関系のリース会社が、手数料を下げて案件を取りに来る。FPGは販売額を維持するが、手数料率の上げ幅は物価を下回り、営業利益率も落ちる。不動産の小口化は、評価の見直しで相続の節税の需要がほぼ消え、販売額は今の3分の1に縮む。在庫の処分で粗利も削られる。海外不動産は規模が縮む。利益は今より4割近く減るが、リースの核は残るので赤字にはならない。配当も性向を保ちつつ減る。この筋書きは、会社が壊れる話ではない。稼ぎ方が地味になり、評価も普通の金融会社に近づく。
- リースファンド:数量 1,982(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.14(販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 278 億円・営業利益 125 億円。販売額は実質0.85倍、手数料は1.20倍、営業利益率45%
- 国内不動産ファンド:数量 332(不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.35(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 450 億円・営業利益 13 億円。販売額は実質0.35倍、営業利益率3%
- 海外不動産ファンド:数量 60.0(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.25(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。販売額は実質0.36倍、営業利益率20%
倍率:自己資本利益率9.5%、k 9%でほぼ並ぶ。RONIC=k+残る割合1/2×(ROE−k)=9.4%、g 4%から正当化PER=10.9倍。やや悲観は堀が削られ伸びも弱いので、上限の9割にとどめた10.19倍に置いた。
確率:競合の増加による手数料の下落と、不動産の小口化の需要の落ち込みが同時に来る筋書き。税制の見直しがすでに現実になっていることを踏まえ、やや重く置いた。
悲観 15% 税制の規制がリースにも及ぶ 利益 14 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 134 円112 億円
税制の規制がリースの核にも及ぶ。匿名組合による航空機やコンテナのリースも、特別償却や損益通算の対象から外れ、法人にとっての節税の魅力がなくなる。販売額は今の半分以下に落ち、手数料率も上がらない。不動産の小口化は市場から消え、在庫の整理で赤字が出る。海外不動産は撤退に近い規模になる。創業者の資産管理会社が経営を握るため、事業転換の判断は遅れる。利益はほぼ消え、配当も大きく減る。優良な組成会社から、普通の小さな金融会社に変わる10年になる。この筋書きは、事業の前提そのものが崩れる話だ。出資者の税務の利益が消えれば、商品を売る理由がなくなる。
- リースファンド:数量 1,050(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.12(販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 123 億円・営業利益 31 億円。販売額は実質0.45倍、手数料率は据え置き(物価の分も取れない)、営業利益率25%
- 国内不動産ファンド:数量 95.0(不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.01(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 96 億円・営業利益 −5 億円。販売額は実質0.1倍、価格は据え置き、赤字
- 海外不動産ファンド:数量 20.0(出資金販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.21(販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む)→ 売上 4 億円・営業利益 −3 億円。撤退に近い規模、撤退費用で赤字
倍率:自己資本利益率2.5%がk 9%を下回るので、伸びても価値は増えず、上限は1÷k=10.8倍。構造的に負けた筋書きで利益の質も落ちるとみて、やや悲観(9.8倍)より低い、上限の約7.4割の8.0倍に置く。
確率:船舶の特別償却から外れた前例があり、航空機やコンテナ、さらに不動産の小口化にも規制が及ぶ可能性は、10年のうちに現実の脅威として残る。税制による価値の毀損は一度起きると戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リースファンド
航空機・船舶・コンテナを対象に、日本型オペレーティング・リースを組成し、法人へ出資を販売する。手数料と管理報酬が収益。
| 数量出資金販売額(億円・今の値段で測った実質) | 価格販売額あたりの売上(売上÷販売額)の指数。名目で、物価の分を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 2,332 | 0.12 | 273 | 162 |
| 10 年後 中立 | 2,500 | 0.15 | 380 | 209 |
取り方:2025年9月期の出資金販売額は2,332億円(2026年9月期の予想2,000億円が前期比-14.2%であることから逆算して一致)。売上は予想280億円が前期比+2.6%から273億円と推定。営業利益は開示のセグメント利益でなく、全社の営業利益254億円を粗利の比で按分した推定(リース約162億円)。市場全体の組成額は開示がなく、求人情報の1兆円規模(出典は弱い)を参考に、会社の販売額を数量とした。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
国内不動産ファンド
都心の不動産を仕入れて小口化し、主に個人へ販売する。売上は大きいが粗利は薄く、在庫を持つ。
| 数量不動産商品の販売額(億円・今の値段で測った実質) | 価格販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 950 | 1.01 | 960 | 71 |
| 10 年後 中立 | 600 | 1.35 | 812 | 49 |
取り方:2025年9月期の国内不動産の販売額は約950億円(前期比+28.6%で過去最高)、売上は予想1,000億円が前期比+4.2%から約960億円と推定。粗利は約101億円(予想160億円が+58.8%から逆算)で粗利率は約1割。営業利益は全社の営業利益を粗利の比で按分した推定(約71億円)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
海外不動産ファンド
米国の不動産を中心に、出資を募るファンドを組成する。手数料収入が主。
| 数量出資金販売額(億円・今の値段で測った実質) | 価格販売額あたりの売上の指数。名目で、物価の分を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 168 | 0.21 | 35 | 21 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.27 | 33 | 13 |
取り方:2026年9月期の予想(販売額120億円が前期比-28.4%、売上20億円が-43.1%)から2025年9月期の販売額約168億円、売上約35億円と逆算。営業利益は全社の営業利益を粗利の比で按分した推定(約21億円)。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
リスクと懸念
税制が再び動く
船舶は2023年度の改正で特別償却の対象から外れた。航空機やコンテナに同じ規制が及べば、リースの需要は根本から揺らぐ。税務当局の判断で商品の魅力が決まる事業で、会社の努力では防げない。
不動産小口化の評価見直し
2027年1月以降に相続や贈与で取得する分は、実際の取引価格を基にした評価になる方向だ。売上の約7割を占める事業の需要が縮む。すでに今期は予想を3割下げ、配当も減らした。見直しの細目は政令と通達で決まるため、影響の大きさはまだ確定していない。
在庫と借入の重さ
不動産は仕入れて売る事業で、売れ残れば在庫が借入の負担に変わる。2025年12月末の在庫は606億円に膨らんだ。販売が止まった今期は、在庫の回転が遅れ、金利の上昇も重なる。純負債は年によって大きく振れる。
組成した年に立つ利益
リースも不動産も、利益は組成した時点で立つ。毎年積み上がる残高の収益ではないため、販売が止まれば翌年の利益が一気に消える。利益の予想が当たりにくく、年ごとのぶれが大きい。
競合の増加と手数料の低下
SBIリーシングサービスや金融機関系のリース会社が、手数料を下げて案件を取りに来る余地がある。組成の腕で勝っても、手数料率が下がれば利益が削られる。物件の確保でも競り合いが起きる。
創業者への集中
創業者で社長の谷村尚永氏の資産管理会社が、約3割を持つとされる。決断は速いが、誤った判断への歯止めは弱い。少数株主が発言で経営を動かす余地は小さく、事業転換が必要な局面で動きが遅れる懸念がある。
今後の分かれ目
- 2027年1月に向けた小口化商品の評価の細目が、想定より厳しく決まったら
- 不動産の販売額は中立の想定をさらに下回る。やや悲観の確率を上げ、在庫の処分損も想定に加える。
- リースの組成額が過去最高を更新し続け、手数料率も維持されたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。税制リスクがなお残るかは別に確認する。
- 航空機やコンテナのリースにも、船舶と同じ税制上の規制が及ぶと報じられたら
- 悲観の筋書きが現実に近づく。価値は大きく下がるとみて、確率を悲観側へ移す。
- SBIリーシングサービスなどの競合が、手数料を下げて案件を奪い始めたら
- リースの営業利益率の前提を下方修正する。やや悲観の確率を上げる。
- 不動産の在庫が高止まりし、純負債が再び膨らんだら
- 借入と在庫の重さが利益を食う筋書きに寄せる。やや悲観の確率を上げる。
- 個人向けの航空機小口化商品などの新しい柱が、リースや不動産の穴を埋め始めたら
- 不動産の縮小を補えるかを確かめ、やや楽観寄りに見直す。
見ておくもの
- リースファンドの出資金販売額と手数料率(四半期ごと)
- 国内不動産の販売額と在庫の残高
- 小口化商品の評価に関する政令・通達の内容
- 航空機・船舶・コンテナのリースに関する税制改正大綱の記述
- 純有利子負債と配当性向の推移
倍率と資本コストの決め方
今の株価(時価総額約1,380億円)は、先に事業のセグメントごとに販売額(実質)×売上の指数(名目)で10年後を積み上げてから、最後に比べた。倍率は、k 9%(基本7.5%+quality 1.75%)と成長率g 4%から、利益ベースの正当化PERで決め、今の倍率や過去の倍率は見ていない。中立のROEは14%台で、過去10年の中央値30.6%を大きく下回る(回復の説明は不要)。純利益÷営業利益は0.67で、過去の中央値0.69の近くに置いた。新リース会計基準(2027年4月以降開始の年度から)は主に借り手の会計の話で、ファンドを組成して売る当社は、今と同じ形(出資金販売額と手数料)でそろえて置いた。純有利子負債が時価総額の3割弱あり、金利の分は純利益から約7億円を引いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.8→14.48 倍・やや楽観 PER 11.2→13.73 倍・中立 PER 11→13.16 倍・やや悲観 PER 9.8→10.19 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。