結論
JIAは、航空機・船舶・コンテナを使う「日本型オペレーティング・リース」を、中堅企業の経営者に売る会社だ。商品を仕立て、出資を募り、手数料と売買益を取る。売上の約9割がここから出る。
稼ぎの質は高い。売上総利益率は8割を超え、営業利益率は5割近い。ただし、この利益は法人税の支払いを後ろへずらす「税の仕組み」の上に乗っている。筆者がいちばん気にしているのはそこだ。需要が続くかどうかは、会社の努力より税制と景気で決まる。
追い風は強い。2026年5月に商社の双日が約2割を出資し、航空機の仕入れと販売の幅が広がる。上期の出資金販売額は過去最高だった。一方で、2022年の営業利益は十数億円にすぎず、利益は年ごとに大きく振れる。
10年先の中立は、販売額が実質で6割ほど増え、手数料率はじわりと下がる姿だ。純利益は今の1.7倍になる。それでも利益の質が荒く、倍率は高く置けない。
結論は「ほぼ適正」。本質価値は今の時価総額を1割弱下回るだけで、割安とも割高とも言い切れない。強気の筋書きは大きく上振れるが、税制が変わった時の傷は深い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきは「株主が自由に使える利益」と「10年後も同じ稼ぎが続くか」の二点だ。
この会社の利益は現金に近い。手数料と売買益が中心で、設備投資はほとんど要らない。ただし商品を組むたびに、在庫として機体や船を借入で抱える。事業が伸びるほど借入も増える。筆者は、見かけの利益のうち、成長のために在庫へ回る分を差し引いて読む。
堀は狭い。顧客基盤と組成の腕は本物だが、商品は税制という外部の約束に依存する。10年先まで同じ条件が続くと言い切れない。ここが「わかりやすい事業」とは言えない点だ。
経営は、配当を5割に引き上げ、資本を株主に返す姿勢を示した。評価できる。ただ、中計の目標を大きく外す見通しで、計画の置き方には甘さがある。
安全域は薄い。中立でも今の値段とほぼ釣り合うだけで、悲観が起きた時に守ってくれるものが少ない。売りたくないほどの会社とは言えず、値段が十分に下がった時に初めて魅力が出る、というのが筆者の見立てだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は「商品の組み立て」と「出資の販売」だ。航空会社や海運会社に貸す機体・船・コンテナを、JIAが商品に仕立てる。それを匿名組合という形で小口に分け、中堅企業に出資してもらう。出資した企業は、リース前半の減価償却で出る損失を本業の利益と相殺し、税金の支払いを後ろへずらせる。後半に利益が出て、最後に機体を売って精算する。
JIAの収入は三つある。組成と販売の手数料、機体の売買益、自分で持つ間のリース収入だ。2026年上期の組成額は約2,340億円で、うち航空機が約1,730億円。販売額は約1,060億円だった。組成が販売を上回る分は、JIAが帳簿で一時的に持つ。この在庫は借入で賄っており、自己資本比率が25%にとどまる理由でもある。
顧客基盤が土台になる。紹介元の提携先は800社を超え、継続して買う顧客の比率は87%に上る。新規を探すより、一度買った会社に毎年売る商売だ。
残りの1割強は、不動産の小口化商品、木質バイオマスなどの発電、信託、M&A助言、未公開株投資だ。不動産小口化は2024年から売上が立ち、伸びは速いがまだ小さい。中計は航空機以外の比率を3割に上げる狙いで、2026年上期の販売では約34%まで来た。商品組成の実務は、子会社のJPリースプロダクツ&サービシイズが担う。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、商品を組む力と顧客基盤にある。航空機の仕入れ、航空会社との契約、投資家への販売、リース期間中の管理まで、一気通貫でこなせる会社は多くない。継続顧客が9割近いのも、売ったあとの面倒見が評価されている証拠だ。
ただし堀は広くない。商品の根っこは税の仕組みで、仕組み自体は誰でも知っている。同業にはFPGがあり、SBIグループのSBIリーシングサービスは後発ながら5年ほどで組成約4,200億円、顧客約1,700社まで来た。金融系の大手リースも同じ土俵にいる。手数料率が下がる力は常に働く。
稼ぐ力は高いが、むらがある。営業利益率は2018年に59%、2022年に7%と振れ、ROEも過去10年の中央値は12%台だ。2024年の利益には、円安による為替差益が約41億円乗っていた。
経営は攻めの姿勢だ。中計は2026年の純利益250億円を掲げたが、会社予想は130億円で、目標には届かない。目標が大きいだけで稼ぐ力が弱いわけではないが、数字を割り引いて読む必要はある。配当を利益の5割まで引き上げたのは、株主を向いた変化として評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この市場は、法人税の仕組みと景気で動く。中堅企業は、利益が出た年に税負担を軽くしたい。オペレーティング・リースへの出資は、その有力な手段だ。2005年度の税制改正で、匿名組合の損失を損金にできる額は出資額までに限られ、行き過ぎた節税は封じられた。いま残るのは、実物の機体や船を持つ「まっとうな」仕組みだ。
市場の大きさは公的な統計が乏しい。2016年に矢野経済研究所が予測した航空機向けの出資金販売額は約2,850億円(船舶・コンテナ込みで約3,650億円)。JIA一社で今は年1,000億円を超えるので、市場は当時から大きく育ったはずだ。筆者は年間数千億〜1兆円規模と推定する。JIAのシェアは1割台になる。
競争は、中堅企業向けの専業と金融系に分かれる。専業はFPG、SBIリーシングサービス、JIAの三つどもえだ。三菱HCキャピタルやSMFLなどの金融系は、金融機関や大口の投資家を相手にする色合いが強い。この数年は、専業の新規参入が相次いだ。出資を募る力が競争の中心になる。
数量は、法人の利益水準と、この商品を知る税理士・金融機関の裾野で決まる。人口には直接結びつかないが、中堅企業の数は増えない。実質の伸びは年数%が上限と見る。
価格にあたる手数料率は、競争で下がりやすい。一方で、航空機の取引益や船・コンテナへの広がりが、率の低下を一部埋める。為替は、機体がドル建てのため利益に響く。このノートは150円で固定して置いた。
資本政策と M&A
配当は利益の5割を目安にする。2025年1月に、従来の2割以上から5割以上へ引き上げた。2024年から2026年予想までに、1株配当は4倍近くになった。自社株買いは見当たらない。
大きな動きが、2026年5月の双日との資本・業務提携だ。JIAは双日に約156万株を新たに割り当てて約34億円を集め、報道では創業者で代表の白岩直人氏の保有株も双日に渡った。双日の議決権は約2割になり、JIAは持分法の対象になる。双日は取締役を推薦できる。航空機のリース、不動産・環境エネルギー・インフラで協働を検討する。
集めた資金は、子会社が匿名組合の持分を取る原資になる。つまり、自分の帳簿で案件を持つ力が増す。
筆者は、この提携を二面で見る。商社の仕入れ網と信用力は、航空機の取り込みで効く。一方で、双日の持ち分がさらに増えれば、買収や再編の可能性も出る。筆頭株主のこうどうホールディングスと双日の関係が、今後の資本政策の鍵になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社はまだ伸びの途中にある。出資金販売額は2024年に1,131億円と過去最高を付け、2026年上期も前年同期比で4割近く増えて、上期として過去最高になった。継続顧客は9割近く、紹介元の提携先も800社を超える。売った先に毎年売れる、積み上がる商売だ。
双日の出資で、弱かった「仕入れ」が強くなる。商社の航空機の目利きと取引網が使え、機体の取得、リース先の確保、売却のすべてで選択肢が増える。船舶・コンテナ、不動産小口化、再エネへの広がりも、航空機一本足の弱みを薄める。航空機以外は上期の販売で3割を超えた。
利益率は高く、固定費が軽い。売上総利益率は8割を超え、営業利益率は5割近い。販売額が増えても、人手と設備はそれほど増えない。規模が増えるほど利益率が上がる。
税制も、すぐに変わる気配はない。この仕組みは20年近く、2005年の改正を経てなお続いてきた。中堅企業の数と利益が増える限り、需要は続く。配当を利益の5割に置く方針で、利益が伸びれば還元もそのまま増える。10年で販売額が実質で2倍以上になれば、純利益は3倍近い水準が視野に入る。
慎重な見方
この利益は、税の仕組みという借り物の上にある。ルールが少し動けば、需要は一夜で縮みうる。2005年の改正は実際に市場を縮めた。会社自身の利益も、2022年の営業利益は十数億円、2023年は50億円台と、安定とは程遠い。
競争は激しくなる一方だ。SBIリーシングサービスは5年ほどで組成約4,200億円に到達した。FPGも同じ顧客を狙う。出資を集める力が競争の中心になり、手数料率は下がる。航空機に偏った売上は、機体の価格や航空業界の景気に左右される。
財務は見かけほど強くない。組成した機体や船を借入で持つため、自己資本比率は25%だ。金利が上がれば在庫を持つコストが増え、在庫の機体の価値が下がれば損失が出る。為替も効く。2024年の利益には約41億円の為替差益が乗っていた。
中計は純利益250億円を掲げたが、2026年の会社予想は130億円だ。大きな目標を掲げて外す癖があるなら、今の予想も割り引く必要がある。双日との提携は、いまの高い利益が続く保証にはならない。今は営業利益率が5割という、過去に例の少ない高さにいる。そこが平常に戻るだけで、利益は大きく減る。
どちらに重みを置いたか
会社の実力と成長では強気の見方が勝つ。足元の勢いは本物で、双日の出資も追い風だ。だが、利益の土台が税制という外部の約束で、利益率が過去に例の少ない高さにあるという慎重な見方の指摘も的を射ている。
確率は中立に35%を置き、強気側(楽観・やや楽観)に35%、慎重側(やや悲観・悲観)に30%を配った。利益のむらが大きい点と、悲観の傷が深い点を重く見て、慎重側を厚めに置いた。結果は、強気の筋書きの大きな上振れと、悲観の深い傷が打ち消し合い、本質価値が今の時価総額とほぼ釣り合った。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 3,398 円2,110 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,128 円700 億円)。 今の値に割り戻すと 2,168 円1,346 億円、今との差 +1.8%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 6,280 円3,900 億円 | 1,620 円1,006 億円 | +271.1% | +14.0% | 948 円589 億円 |
| やや楽観 | 23% | 4,794 円2,977 億円 | 1,382 円858 億円 | +190.1% | +11.2% | 1,420 円882 億円 |
| 中立 | 35% | 3,658 円2,272 億円 | 1,193 円741 億円 | +127.9% | +8.6% | 1,698 円1,054 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,069 円664 億円 | 757 円470 億円 | −14.2% | −1.5% | 365 円227 億円 |
| 悲観 | 10% | 473 円294 億円 | 467 円290 億円 | −55.8% | −7.8% | 94 円58 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,398 円2,110 億円 | 1,128 円700 億円 | +112.6% | +7.8% | 4,526 円2,810 億円 |
今の株価時価総額 2,129 円1,322 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 12% 双日の力も借りて販売額が倍増し、高い利益率を保つ 利益 282 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 6,280 円3,900 億円
2026年の勢いが10年続く筋書きだ。双日の仕入れ網と信用力で航空機の取得が安定し、船舶・コンテナ・不動産小口化・再エネへの広がりも進む。商品出資金の販売額は実質で今の2倍超になり、SBIリーシングサービスやFPGとの競争でもシェアを保つ。手数料率は少し下がるが、機体の売買益と保有中のリース収入が補う。
固定費が軽いので、販売額が増えても営業利益率は5割台を保つ。取引法人は3,000社に広がり、信託や不動産の継続収益も厚くなる。配当は利益の5割で、10年の還元の合計は1,000億円を超える。
税制は変わらず、中堅企業の利益も堅調。為替は150円で動かない。会社にとって最も良い10年になる。
- オペレーティング・リース(商品の組成・販売):数量 3,300(商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.30(販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率)→ 売上 976 億円・営業利益 507 億円。販売額 3,300 億円(実質)、売上÷販売額は今の 0.97 倍×物価、営業利益率 52%
- 不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか:数量 3,000(取引のある法人顧客の数(社・推定))× 価格 0.04(1 社あたりの付随売上(億円・名目))→ 売上 121 億円・営業利益 30 億円。取引法人 3,000 社、1 社あたり付随売上は今の 1.40 倍
倍率:事業の純利益 282 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.9% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.83 倍、時価総額 3,900 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:双日の出資、航空機以外への広がり、継続顧客の厚みが同時にうまくいく必要があり、税制が10年変わらないことも前提になる。起きれば大きいが、全部がそろう確度は高くない。
やや楽観 23% 航空機以外にも広がり、堅調に伸びる 利益 225 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 4,794 円2,977 億円
販売額は実質で今の2倍弱まで伸びる。双日との提携で航空機の取得が増え、船舶・コンテナの比率も上がる。競争は続き、手数料率は今の水準から5%ほど下がるが、数量の伸びがそれを上回る。営業利益率は5割弱を保つ。
不動産小口化と信託などの継続収益が積み上がり、取引法人は2,600社ほどになる。一方、利益の大きな年と小さな年が交互に来る性質は残り、好調が毎年続くわけではない。配当は利益の5割を守り、10年で850億円ほどを株主に返す。
税制は今のまま続き、会社は高い利益率を持つ優良企業として評価される。航空機への偏りは薄まるが、なお売上の大半は航空機と船のリースだ。双日の存在が仕入れの安定に効き、競合のSBIリーシングサービスやFPGにも対抗できる。
- オペレーティング・リース(商品の組成・販売):数量 2,800(商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.29(販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率)→ 売上 811 億円・営業利益 401 億円。販売額 2,800 億円(実質)、手数料率は今の 0.95 倍×物価、営業利益率 49.5%
- 不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか:数量 2,600(取引のある法人顧客の数(社・推定))× 価格 0.04(1 社あたりの付随売上(億円・名目))→ 売上 103 億円・営業利益 23 億円。取引法人 2,600 社、1 社あたり付随売上は今の 1.37 倍
倍率:事業の純利益 224 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.26 倍、時価総額 2,977 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の勢いと提携の効果を踏まえた、実現しやすい上振れ。会社予想の2026年・2027年の増益が途切れず、その後も市場の伸びに沿って成長する筋書き。
中立 35% 市場とともに伸び、手数料率はじわり低下 利益 180 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 3,658 円2,272 億円
販売額は10年で実質1.7倍弱になる。年にして5%ほどで、足元の高い伸びからは一段落ちる。中堅企業の利益が名目で伸びることが需要を支え、双日との提携で航空機の取得が安定する。船舶・コンテナ、不動産小口化も広がる。
競争は止まらない。SBIリーシングサービスやFPGとの出資募集の競争で、手数料率は今から7%ほど下がる。営業利益率は5割から47%へ、すこし落ちる。人件費は物価並みに上がるが、売上も名目で伸びるので、利益率の悪化は限られる。
純利益は今の1.7倍、約180億円。配当は利益の5割を守り、10年で740億円ほどになる。会社は今より大きいが、利益のむらも手数料の競争も変わらない、普通に強い優良会社として評価される10年になる。
- オペレーティング・リース(商品の組成・販売):数量 2,400(商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.28(販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率)→ 売上 680 億円・営業利益 320 億円。販売額 2,400 億円(実質、今の 1.66 倍)、手数料率は今の 0.93 倍×物価、営業利益率 47%
- 不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか:数量 2,300(取引のある法人顧客の数(社・推定))× 価格 0.04(1 社あたりの付随売上(億円・名目))→ 売上 89 億円・営業利益 18 億円。取引法人 2,300 社、1 社あたり付随売上は物価並み(1.34 倍)
倍率:事業の純利益 180 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.62 倍、時価総額 2,272 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想の増益と、利益が年ごとに振れる性質、手数料率の低下圧力を折り合わせた中心の筋書き。税制は変わらない前提で、強気と慎重の言い分の落としどころに置いた。
やや悲観 20% 競争と為替で利益率が削られ、足踏み 利益 83 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,069 円664 億円
税制は残るが、専業の参入が続き、手数料率は今から15%ほど下がる。出資を集める競争が激しくなり、販売額は実質で今の1.1倍にとどまる。航空機の取得も、機体の価格の上昇で割高になり、利幅が薄くなる。
営業利益率は4割を切る。人員と拠点を持つ固定費は残るので、売上の減りが利益の減りを増幅する。在庫の機体を借入で持つコストも、金利上昇で重くなる。純利益は今を下回る約80億円。
配当は利益の6割近くまで引き上げるが、利益が減るので10年で470億円ほどにとどまる。会社は黒字と配当を保つが、かつての高い利益率はもう見られない。
- オペレーティング・リース(商品の組成・販売):数量 1,600(商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.26(販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率)→ 売上 414 億円・営業利益 158 億円。販売額 1,600 億円(実質、今の 1.10 倍)、手数料率は今の 0.85 倍×物価、営業利益率 38%
- 不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか:数量 1,900(取引のある法人顧客の数(社・推定))× 価格 0.04(1 社あたりの付随売上(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 9 億円。取引法人 1,900 社、1 社あたり付随売上は今の 1.30 倍
倍率:ROE 6.9%で k 9.00%以下。ためた利益は額面未満の価値なので、倍率は稼ぎで測る。RONIC=9%+1/2×(6.9%−9%)=8.0%、g 4%から正当化 PER=9.9倍が上限。競争で稼ぐ力が削られた筋書きなので、上限より低い8.0倍に置いた。
確率:2022年・2023年のように利益が薄い年が続く事態。SBIリーシングサービスなど専業の増加と航空機市況の悪化が重なる、実際に起こりうる筋書きとして厚めに置いた。
悲観 10% 税制の変更で商品の旨みが消える 利益 8 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 473 円294 億円
損失の損金算入や、繰り延べ効果を狙った出資に対する規制が強まる。オペレーティング・リースの需要は構造的に縮み、販売額は実質で今の3分の1まで落ちる。同業は手数料率を下げて残った顧客を奪い合い、率は今から25%ほど下がる。
営業利益率は1割台に落ちる。航空機や船の在庫は、商品化の見込みが立たず、帳簿より安く売るしかない。借入を返すために在庫を処分し、損失が自己資本の積み増し分を食う。
不動産小口化、再エネ、信託、助言は残るが、商品の穴を埋めるには小さい。純利益は10億円に満たず、配当も縮む。10年の還元の大半は、利益がまだ高い最初の数年に払われる分だ。会社は存続するが、もう優良な成長企業ではない。 配当や自社株買いは、利益ではなく手元の現金と保有資産の売却で払うことになり、期間の還元は純利益の合計を超える。
- オペレーティング・リース(商品の組成・販売):数量 500(商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.23(販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率)→ 売上 114 億円・営業利益 17 億円。販売額 500 億円(実質、今の 3 分の 1)、手数料率は今の 0.75 倍×物価、営業利益率 15%
- 不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか:数量 1,500(取引のある法人顧客の数(社・推定))× 価格 0.04(1 社あたりの付随売上(億円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。取引法人 1,500 社、1 社あたり付随売上は今の 1.25 倍
倍率:この筋書きの稼ぐ力は純利益8億円÷k 9%=約90億円と小さく、価値は売れる資産の税後で決まる。今の自己資本735億円に 0.40倍を掛けて294億円に置いた(積み増した利益は在庫の損失で消えるとみて、自己資本は今の額のまま)。PBR は中立の1.42倍を下回り、床の内訳は floor_assets_why に書いた。
確率:税制の変更は一度起きれば元に戻らず、事業の形が変わる。過去に2005年の改正という前例がある。他事業への広がりが追いつかないまま利益が崩れる、深い傷の筋書きとして10%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
オペレーティング・リース(商品の組成・販売)
航空機・船舶・コンテナを使うリース商品を仕立て、匿名組合の出資として法人に売る。手数料・機体の売買益・保有中のリース収入が収益。
| 数量商品出資金の販売額(億円・今の値段で測った実質) | 価格販売額 1 億円あたりの売上(億円・名目)=手数料率や売買益の取り分 × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,450 | 0.23 | 330 | 181 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 0.28 | 680 | 320 |
取り方:2025年の商品出資金販売額は目標が1,500億円で実績額は未確認のため、2024年実績1,131億円の約3割増にあたる1,450億円と推定した。2025年12月期のオペレーティング・リース売上329.7億円(決算)をこれで割り、販売額1億円あたり売上を0.2274とした。販売額は実質(今の値段)、物価の分は価格に入れる。セグメント利益は非開示のため、全社の営業利益188.8億円から、リース事業の営業利益率を55%、その他を約20%、本社費を−4億円と置いて合わせた推定。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
不動産小口化・再エネ・信託・助言ほか
不動産の小口化商品、木質バイオマスなどの発電、信託、M&A 助言、未公開株投資。法人顧客に付随して売る。
| 数量取引のある法人顧客の数(社・推定) | 価格1 社あたりの付随売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 0.03 | 58 | 11 |
| 10 年後 中立 | 2,300 | 0.04 | 89 | 18 |
取り方:2025年12月期の売上387.4億円からオペレーティング・リースを引いた57.7億円(不動産5.2・環境エネルギー12.6・信託・助言・未公開株投資ほか)を、取引のある法人約2,000社(推定。継続顧客と提携先の規模から)で割り、1社あたり約0.029億円とした。社数は実質の数量、物価の分は価格に入れる。営業利益率は約20%と推定。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。
リスクと懸念
税制の変更
この商品の需要は、利益の繰り延べという税の仕組みに乗っている。2005年度には損金にできる額が出資額までに限られた前例がある。同種の規制が強まれば、販売額は構造的に縮み、他の事業では穴を埋められない。会社も開示で、法令・税制の変更をリスクに挙げている。
利益のむらと為替
営業利益は2022年に十数億円、2023年に50億円台、2025年に約190億円と大きく振れてきた。機体はドル建てで、2024年の利益には為替差益が約41億円乗った。ドル円が10年150円で動かない前提でも、現実の年々の利益は荒い。
在庫の機体・船の価値
組成が販売を上回る分は、JIAが借入で持つ。2026年6月末の残高は約940億円で、自己資本735億円を上回る。航空業界の不況や機体の値下がり、金利上昇は、その損失と利払いに直結する。自己資本比率25%という薄さが傷を深くする。
競争と手数料率の低下
SBIリーシングサービスは後発ながら5年ほどで組成約4,200億円に達し、FPGも同じ顧客を狙う。出資を募る競争が激しくなれば、手数料率は下がる。航空機に偏った売上は、機体の仕入れ競争にも左右される。
提携先と大株主の動き
双日が約2割、こうどうホールディングスが約35%を持つ。両者の関係や持ち株の動きで、経営の方針や資本政策が変わりうる。双日が出資をさらに増やせば、買収や再編の可能性も出るが、少数株主に有利に働くとは限らない。
計画の達成度
中計は2026年の純利益250億円を掲げたが、会社予想は130億円だ。目標を大きく外す見通しで、予想を割り引いて読む必要がある。組成額と販売額の差(案件の計上時期のずれ)で、四半期の数字も振れやすい。
今後の分かれ目
- 税制改正の議論で、匿名組合の損失や繰り延べの扱いが厳しくなる方向が出る
- やや悲観・悲観の確率を引き上げる。商品の需要が構造的に縮むので、倍率も下げて見る。
- 出資金販売額が、会社の見通しを超えて数四半期続く
- やや楽観の確率を上げてよい。ただし利益率が過去に例のない高さにあるので、倍率までは上げない。
- 航空機以外の販売比率が3割を安定して超える
- 航空機一本足の弱みが薄れたとみて、中立の筋書きの質を一段上げる。
- 双日が追加で出資する、または大株主の持ち株が大きく動く
- 買収・再編の可能性を意識して見る。条件が少数株主に有利かどうかを確かめる。
- 機体・船の在庫残高が増え続け、販売が伸びない
- 在庫を借入で抱える危うさが増したとみて、やや悲観側に寄せる。
- ドル円が大きく円高に動き、為替差益が消える
- 足元の利益が割り引かれる。ただし10年の置き方は150円で固定なので、変更は短期の見方にとどめる。
見ておくもの
- 商品出資金の販売額と、航空機以外の比率(四半期ごと)
- 組成残高(在庫)の水準と、借入・利払いの推移
- 税制改正大綱の中の、匿名組合・リース関連の記述
- 双日との協働の具体策(航空機の取得、不動産・再エネ)と持ち株の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は式と事業の経済性だけで決めた。正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)に、k 9.0%(基本7.5%+循環0.5%・借金0.5%・寿命0.5%)、g 4%を入れ、中立は ROE が k を上回るので 1÷k=11.1倍の下限が効いた。今の株価やPER、過去の倍率、同業の倍率は使っていない。悲観の床は、売れる資産の税後(総資産の85%を売って負債を返した残り)と稼ぐ力で置き、過去の PBR の底は使っていない。純負債の数字は facts に無く、借入は自己資本比率25%から総資産を逆算した。リースについて:JIAは店舗を借りて営む会社ではなく、貸す側(組成者)。2028年3月期から始まる新リース会計基準で借り手の BS は変わるが、JIAの利益の形は大きく変わらない。10年後の数字は、今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.4→13.83 倍・やや楽観 PER 11.8→13.26 倍・中立 PER 11.2→12.62 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。