結論
あかつき本社は、中古マンションを買って直して売る事業と、独立系アドバイザー(IFA)向けの証券事業を営む持株会社である。社名や業種から証券会社と思われがちだが、売上の 8 割近くは不動産が占める。
筆者の結論は、10 年の価値は今の時価総額を上回り、割安というものだ。2026 年 3 月期の純利益は 40 億円で、時価総額 174 億円の 4 分の 1 近くを 1 年で稼いだ。この利益が山にあることを差し引いても、値段は低い。
不動産の販売単価の上昇と、証券の預り資産の増加が、利益を押し上げた。会社の予想は純利益 33 億円と、反動を見込んでいる。
弱みは、借入が 294 億円と自己資本の 1.4 倍あること、利益が不動産市況と株式相場の両方に左右されることだ。
株主への還元は、純資産配当率 4% を下限に、ROE が 4% を超えた分を追加で返す方針である。
筆者がいちばん気にしているのは、利益の質である。不動産の粗利率が平常に戻っても、今の値段が守られるかを見ている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「利益の山にある、割安な二本立ての会社」である。
純利益 40 億円に対して時価総額は 174 億円。山の利益を 3 割割り引いても、利益の 6 倍ほどで買える。それでも筆者は慎重に見る。不動産と証券の両方が、市況に大きく左右されるからだ。
堀は弱い。だが、仕入れの目利き、改装までの一貫体制、IFA の囲い込みには、積み上げた実績がある。経営は、1 株あたりの自己資本を年 13% で伸ばしてきた。資本の使い方は誠実で、配当の方針も明確である。
安全域は、値段の低さに由来する。利益が半分になっても、今の値段は割高にはならない。
筆者は、10 年かけた価値は今の値段を上回ると見る。ただし、借入の重さがあり、確信度は高くない。
経営の資本の使い方にも注目している。社債の発行と償還を繰り返し、借入を回しているが、資金繰りは堅実に管理されている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は二つある。一つは、中古マンションを仕入れてリノベーションし、再び売る買取再販である。もう一つは、IFA を通じて投資信託や株式を売る証券事業である。
不動産関連は、子会社のマイプレイスとバウテックグループが担う。首都圏と近畿圏で、空室の物件と賃借人付きの物件の両方を扱う。2026 年 3 月期は 847 戸を仕入れ、880 戸を売り、期末の在庫は 723 戸だった。リノベーションは自社でも行い、外部の事業者向けにも請け負う。売上は 523 億円、営業利益は 47 億円である。
証券関連は、あかつき証券とジャパンウェルスアドバイザーズが担う。対面のリテール営業に加え、独立系のアドバイザーに口座と商品を提供する IFA ビジネスが伸びている。預り資産は 8,038 億円で、うち IFA が 5,224 億円。売上は 167 億円、営業利益は 24 億円である。
2026 年 3 月期の連結売上は 687 億円、営業利益は 63 億円だった。
不動産の収益は、仕入れ値と販売値の差から生まれる。仕入れは、空室の物件と賃借人付きの物件の二つに分かれ、賃借人付きは安く買える代わりに、賃借人が出て行くまで売りにくい。自社でリノベーションを行うことで、仕上がりの品質と工期を管理する。
優良さと弱いところ
堀は弱い。中古マンションの買取再販は参入しやすく、仕入れの競争が激しい。強みは、仕入れから改装、販売までを自社で行う一貫体制と、近畿を含む広い仕入れ網にある。
証券は、IFA という独立系アドバイザーの受け皿として、預り資産を伸ばしている。担当者の独立を支える仕組みは、大手証券にはまねしにくい。ただ、手数料は競争で下がりやすい。
ROE は 2026 年 3 月期に 21% と高く、過去 10 年の中央値は 10.5% である。山の年の利益を、そのまま続くとは見ていない。
財務は弱めだ。自己資本比率は 20% で、借入は 294 億円。社債には純資産の維持を求める特約が付く。
経営は、1 株あたりの自己資本の成長を重視し、2012 年 3 月期から年 13% で伸ばしてきたと説明する。資本の使い方は、実績として評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古マンションの市場は、新築の価格高騰を背景に需要が強い。首都圏の都心物件は、価格が上がり続けている。建築費が上がって新築が減るため、中古の価値は守られやすい。
一方で、金利の上昇は買い手の資金調達コストを押し上げ、価格の上昇を抑える。投資家向けは、銀行の融資姿勢で売れ行きが変わる。
証券は、新 NISA で個人の投資が広がり、預り資産が増えている。手数料の自由化とネット証券の台頭で、対面の手数料は下がる。IFA は、その流れのなかで担当者に独立の道を開く形で伸びている。
競争は、不動産がスター・マイカやムゲンエステートなどの買取再販会社、証券が大手とネット証券である。景気の位置は、不動産も相場も好調な局面にある。
中古マンションの流通は、新築の供給が減るなかで拡大が続く。首都圏では、2020 年代に中古の成約価格が長く上昇した。一方で、投資用の需要は金利と融資の姿勢に左右され、国内外の資金の動きで急に変わる。
証券の側では、IFA(独立系金融アドバイザー)が、大手証券の営業員の独立先として広がっている。手数料の分配を柔軟にできるため、担当者の囲い込みで預り資産が増える。ただ、同業の参入も増え、条件の競争になりやすい。
金利の上昇は、不動産の借入には逆風だが、証券の金融収益には追い風になる面もある。
資本政策と M&A
還元の方針は明確である。連結の純資産配当率(DOE)4% の水準を維持し、単年度の ROE が 4% を超えたとき、その超過分の一部または全部を追加の配当か自社株買いに回す。
2026 年 3 月期は、配当性向 22% と低かった。追加の還元は、まだ全額には回っていない。ROE が 20% あった年の超過分を考えれば、今後に増配や自社株買いの余地がある。
資金は、短期の借入 217 億円、長期の借入 77 億円、社債 70 億円で調達する。不動産の取得にはノンリコースローンも使う。
2025 年 4 月に、しん証券さかもとへ出資し、持分法の適用会社にした。IFA の拡大と地域金融機関との提携は、買収に頼らない成長の柱である。TOB で買われる側になる可能性は、時価総額が小さく、無視できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の利益は、仕入れから販売までの一貫体制と、IFA の囲い込みという 2 つの強みが形になったものだ。2026 年 3 月期の純利益は 54% 増の 40 億円で、営業利益は 50% 増えた。
首都圏の中古マンションは、新築の価格高騰と建築費の上昇で需要が強く、販売単価が上がっている。リノベーションを自社で行うため、粗利が厚い。仕入れの強化と人員の増強で、年 880 戸の販売はさらに伸ばせる。
証券は、預り資産が 1,777 億円増え、IFA 部門だけで 1,221 億円増えた。地域金融機関との提携も始まった。
株主への還元は、DOE 4% を下限に、ROE が 4% を超える分を追加で返す。ROE は 20% あり、追加の還元の余地が大きい。値段は純利益の 4 倍台で、割安だ。
借入は不動産の在庫に紐づき、売れれば返せる構造だ。ノンリコースローンは、物件が担保で、会社全体の信用を傷つけにくい。
慎重な見方
2026 年 3 月期の利益は、販売単価の上昇と高齢者施設の売却という、一度きりの要因が重なった山だ。会社自身も、2027 年 3 月期は営業利益が 11% 減ると見ている。
借入は 294 億円で、自己資本の 1.4 倍。金利が上がれば、利払いが増え続ける。不動産の在庫は、市況が崩れれば評価損になる。リーマン後の同業は、赤字に沈んだ。社債には、純資産を前年の 5 割以上に保つ特約が付く。
証券も、相場が崩れれば預り資産と手数料が一気に減る。手数料は下がり続けており、IFA の拡大が収益に結びつくかは、これから試される。
業績の半分以上が市況で決まる会社に、高い倍率はつけられない。安いのは、危ないからである。
中古マンションは、価格が上がりすぎれば買い手が離れる。都心の相場は、すでに高い水準にある。売却益に頼る事業は、どこかで頭打ちになる。
持株会社として、子会社の自己資本規制比率に縛られ、配当の余力が制限される点も見逃せない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方が、わずかに強い。値段が利益に比べて低く、山の利益を割り引いても、10 年の価値は今の値段を上回る。ただし借入が重く、利益が市況に左右されるため、慎重な見方も無視できない。
確率は中立を中心に置き、やや悲観を 22%、悲観を 12% とした。悲観の価値は、不動産の在庫の評価損と資本の毀損を織り込んで、今の自己資本の 3 分の 1 まで下げた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,258 円381 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 442 円134 億円)。 今の値に割り戻すと 835 円253 億円、今との差 +48.3%、 期待の年率 +11.7%(資本コスト 8.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,691 円814 億円 | 661 円200 億円 | +495.3% | +19.5% | 335 円101 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,937 円586 億円 | 578 円175 億円 | +346.8% | +16.1% | 553 円168 億円 |
| 中立 | 34% | 1,310 円397 億円 | 496 円150 億円 | +220.8% | +12.4% | 614 円186 億円 |
| やや悲観 | 22% | 409 円124 億円 | 330 円100 億円 | +31.3% | +2.8% | 163 円49 億円 |
| 悲観 | 12% | 229 円69 億円 | 66 円20 億円 | −47.6% | −6.3% | 35 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,258 円381 億円 | 442 円134 億円 | +202.1% | +11.7% | 1,701 円515 億円 |
今の株価時価総額 563 円170 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 中古マンションが伸び、IFA の預り資産も倍増する 利益 62 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 2,691 円814 億円
首都圏と近畿の中古マンションの価格が物価以上に上がり、仕入れを強化した会社は年 1,000 戸を売る。リノベーションを自社で担うため、粗利が厚く残る。証券は、IFA 部門を中心に預り資産が年 8% で伸び、1 兆 7 千億円に達する。地域金融機関との提携が広がり、手数料の安定した収入が増える。純利益は 60 億円を超え、ROE は 13% に乗る。会社の方針どおり、追加の配当と自社株買いが続き、1 株あたりの自己資本は着実に増える。会社は 1 株あたりの自己資本を年 13% で伸ばしてきた実績を、さらに延ばす。ROE が高いまま、追加の自社株買いも続く。
- 不動産関連事業:数量 1,000(販売戸数(戸))× 価格 83.2%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 832 億円・営業利益 62 億円。仕入れ強化と価格上昇
- 証券関連事業:数量 17,350(預り資産残高(億円・名目))× 価格 0.02(預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない))→ 売上 347 億円・営業利益 52 億円。IFA の預り資産が年 8% 増
倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.22 倍、時価総額 814 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:不動産の買取再販と IFA の拡大が、ともに順調に進む必要がある。相場の追い風と金利上昇が逆風になるため、1 割にとどめる。
やや楽観 22% 買取再販は堅調で、預り資産が緩やかに増える 利益 47 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,937 円586 億円
中古マンションの販売は年 950 戸ほどで、単価は物価並みに上がる。粗利率は今の高い水準からやや下がる。証券は預り資産が年 6% で増え、IFA と地域金融機関の提携が収益を支える。営業利益は 80 億円ほどで、純利益は 47 億円前後になる。配当は純資産配当率 4% の水準に追加の還元が乗り、ROE は 11% ほどで資本コストを上回る。仕入れの強化と IFA の拡大が着実に進み、会社の予想を越える水準が続く。借入は増えるが、自己資本比率は 20% 台を保つ。地域金融機関との提携は、預り資産の増加に結びつく。物価並みの賃上げは、会社が吸収できる範囲にとどまる。
- 不動産関連事業:数量 950(販売戸数(戸))× 価格 79.6%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 756 億円・営業利益 53 億円。価格は物価並み、粗利はやや低下
- 証券関連事業:数量 15,000(預り資産残高(億円・名目))× 価格 0.02(預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない))→ 売上 293 億円・営業利益 38 億円。預り資産が年 6% 増
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.45 倍、時価総額 586 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の足元の予想に近い水準を、物価並みに伸ばし続ける道。2 割強を置く。
中立 34% 買取再販の利益率は平常に戻り、証券は着実に伸びる 利益 35 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,310 円397 億円
中古マンションの販売は年 880 戸で今と同じ。単価は物価より遅れて上がり、粗利率は今の高い水準から平常に戻る。証券は預り資産が年 5% で増え、IFA が伸びる一方、手数料率はゆっくり下がる。営業利益は 60 億円ほどで、金利の上昇で借入の利払いが 6 億円ほど増え、純利益は 35 億円前後になる。ROE は 9% 弱に落ち着く。会社の予想する今期の水準が、10 年かけて保たれる道である。還元は、DOE 4% に追加が加わる形で純利益の 4 割強になる。不動産と証券の二本立てで、利益は 10 年を通じて今の予想水準を保つ。会社は借入を使いながら在庫を増やし、物価並みに規模を拡大する。追加の還元は、ROE の超過分の一部にとどまる。
- 不動産関連事業:数量 880(販売戸数(戸))× 価格 77.2%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 679 億円・営業利益 41 億円。粗利率が平常に戻る
- 証券関連事業:数量 13,090(預り資産残高(億円・名目))× 価格 0.02(預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない))→ 売上 249 億円・営業利益 30 億円。預り資産が年 5% 増、手数料率は低下
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 397 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の利益は不動産の高い粗利と相場の追い風が重なった山である。平常に戻る道を、最も起こりやすい道として 34% 置く。
やや悲観 22% 不動産の市況と相場が冷え、利益が半分になる 利益 17 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 409 円124 億円
金利の上昇で中古マンションの買い手が減り、価格は物価に追いつかない。会社は在庫の回転が遅れ、値引き販売が増える。年の販売は 780 戸に減り、粗利率も下がる。証券は相場の低迷で預り資産が伸びず、手数料の収入が細る。営業利益は 33 億円、純利益は 17 億円ほどで、ROE は 5% に落ちる。配当は DOE の目安を守るが、追加の還元は止まる。在庫の回転が遅れ、会社は仕入れを絞って借入を返す。IFA の拡大は続くが、相場が弱く収益に結びつきにくい。利益が細っても、DOE 4% の配当方針は維持される。ただし、追加の還元は止まり、株価は低迷が続く。
- 不動産関連事業:数量 780(販売戸数(戸))× 価格 68.3%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 533 億円・営業利益 27 億円。価格が頭打ち、在庫が滞る
- 証券関連事業:数量 10,500(預り資産残高(億円・名目))× 価格 0.02(預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない))→ 売上 184 億円・営業利益 17 億円。相場の低迷で手数料が細る
倍率:事業の純利益 約 17 億円・事業 ROE 約 5.0% は k 8.75% 以下なので、上限は 1÷k=11.1 倍。利益が小さく振れやすいため、上限の約 6.8 割の 7.5 倍に置いた。
確率:金利上昇で中古マンションの価格が頭打ちになり、相場も冷える。慎重な見方がやや強いとして 22% を置く。
悲観 12% 不動産と相場が同時に崩れ、借入が重くのしかかる 利益 −17 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 229 円69 億円
金融機関が不動産向けの融資を絞り、中古マンションの買い手が消える。在庫は売れ残って評価損が出る。株式相場も急落し、証券の預り資産と手数料が減る。営業利益は赤字になり、金利の上昇で純損失は 17 億円ほどになる。社債の財務上の特約に近づき、会社は在庫の売却と資産圧縮を迫られる。配当は止まり、自己資本は大きく削られる。証券の自己勘定の損失も重なり、自己資本比率は 10% 台に下がる。社債の特約に近づき、資産の売却や増資を迫られる。株価は大きく下がり、会社は増資を検討する局面になる。回復には数年かかる。
- 不動産関連事業:数量 500(販売戸数(戸))× 価格 59.4%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 297 億円・営業利益 −6 億円。融資が止まり、在庫を安値で処分
- 証券関連事業:数量 7,000(預り資産残高(億円・名目))× 価格 0.02(預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない))→ 売上 105 億円・営業利益 3 億円。預り資産の急減
倍率:赤字が続く筋書きで稼ぐ力では価値が付かない。在庫の評価損と資本の毀損を引いた後に残る額を床として、今の自己資本 210 億円の 0.33 倍に置いた。
確率:リーマン後のように、不動産市況の崩れと株式相場の急落が重なる筋書き。借入が自己資本の 1.4 倍あり、構造的に脆いので 12% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産関連事業
首都圏・近畿圏の中古マンションの買取再販、リノベーション、賃貸・施設の運営。
| 数量販売戸数(戸) | 価格1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 880 | 59.4% | 523 | 47 |
| 10 年後 中立 | 880 | 77.2% | 679 | 41 |
取り方:開示。2026 年 3 月期の販売 880 戸。売上 522.6 億円を戸数で割った 1 戸あたり売上で置いた(高齢者施設の売却を含む)。
証券関連事業
あかつき証券とジャパンウェルスアドバイザーズによる、対面営業と IFA ビジネス。
| 数量預り資産残高(億円・名目) | 価格預り資産に対する営業収益の率(物価では上がらない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,038 | 0.02 | 167 | 25 |
| 10 年後 中立 | 13,090 | 0.02 | 249 | 30 |
取り方:開示。預り資産 8,038 億円(提携金融機関の管理資産を含む)。営業収益 167.0 億円を預り資産で割った率で置いた。数量は名目で、率には物価を掛けない。
リスクと懸念
不動産市況と在庫の評価損
在庫は 723 戸あり、市況が崩れれば評価損が出る。販売用不動産の残高は 2026 年 3 月期に 39.5 億円増えた。保有期間が長引くと、損失は急に膨らむ。
借入と社債の特約
借入は 294 億円、社債は 70 億円ある。社債には、純資産を前年同期末の 50% 以上に保つ財務上の特約が付き、抵触すると期限の利益を失う。
株式相場への依存
証券の収益は預り資産と売買に連動する。相場が急落すれば、受入手数料とトレーディングの収益が同時に減る。
金利の上昇
不動産の買い手の資金調達コストと、会社自身の利払いの両方に響く。短期金利 2% への上昇で、利払いは数億円増える。
手数料の低下と人材の流出
IFA の拡大は、担当者の確保に左右される。手数料率は競争で下がりやすく、預り資産が増えても収益が伸びない可能性がある。
持株会社の構造
持株会社は子会社からの配当に依存する。子会社の財務の規制(自己資本規制比率)が、配当の余力を制約する。
今後の分かれ目
- 中古マンションの販売戸数が 2 期続けて前年を下回ったら
- 市況の悪化が始まった証拠で、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 販売用不動産の評価損が出たら
- 在庫の質に疑いが出る。借金の項目と悲観の確率を見直す。
- 追加の配当や自社株買いが ROE の超過分に見合う規模で行われたら
- 方針どおりに資本が返っている証拠で、還元の積み上がりを重く見てよい。
- IFA 部門の預り資産が 1 兆円を超えたら
- 証券の収益が育つ兆候で、中立から楽観に確率を寄せる材料になる。
- TOB など非公開化の提案が出たら
- 株価が上がる可能性はある。ただ、本質価値は提示価格でなく、稼ぐ力で決める。
見ておくもの
- 中古マンションの販売戸数と在庫戸数
- IFA 部門の預り資産
- 純資産配当率と追加還元の額
- 借入残高と自己資本比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業 ROE・資本コスト 8.75%・長期の成長 4% から式で置き、ROE が k 以下の筋書きでは上限 1÷k のうち 6.8〜8.7 割に置いた。今の PER・PBR や同業の倍率には寄せていない。今の純利益が山にあることを、中立の営業利益率を過去 8 年の平均寄り(6% 台)に置いて織り込んだ。証券の数量は預り資産(名目)で置いたため、手数料率には物価を掛けていない。brief の定期預金・流動の有価証券の行は出ず、該当なし。現金同等物 138 億円は証券部門の運転資金と不動産在庫の借入に紐づくので、余った現金は分けていない。リースは小さく、新リース会計基準の後も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.6→13.22 倍・やや楽観 PER 11.2→12.45 倍・中立 PER 9.7→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。