株譜
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マーキュリアホールディングス 7347

出口の時期で利益が大きく振れる小さな運用会社。管理報酬は安定するが、10 年の本質価値は今の時価総額を下回る

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)629 円125 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)796 円158 億円差 −21.0%
10 年後から見ると やや割高 価値 629 円125 億円 · 差 −21.0% · 期待の年率 +4.8%
期待の年率リターン(10 年)+4.8%資本コスト比 −3.4 pt
推定の資本コスト8.3%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.3% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

マーキュリアホールディングスは、バイアウト(企業買収)ファンドや上場 REIT、航空機ファンドを運用する独立系の資産運用会社である。運用資産は約 3,500 億円。自己資金もファンドに出し、その運用益も稼ぐ。

筆者の結論は、10 年の本質価値は今の時価総額 158 億円を下回る、というものだ。2025 年 12 月期は営業総利益 67 億円と最高だったが、これはバイアウト 1 号の成功報酬 19 億円という「出口の稼ぎ」に支えられた年である。会社自身が 2026 年 12 月期は営業総利益 49 億円と減る見通しを示している。

安定して稼ぐのは管理報酬で、年 30 億円ほどである。ただ人件費などの費用を考えると、管理報酬だけでは利益はわずかしか残らない。利益の大半は、成功報酬と自己投資の運用益という、年ごとに大きく振れる部分から出る。

財務は堅い。自己資本比率は 77% で、現預金は 52 億円ある。ただその現金の多くは、次のファンドへの出資に回す約束の分で、株主に余る金ではない。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、この会社は「利益の質が日によって違う」事業である。管理報酬は、毎年入る安定した稼ぎだが、それだけでは費用を賄い切れない。利益の大半は、投資先を売る年にだけ大きく出る成功報酬と運用益だ。

株主に残る利益の見方も要る。2025 年 12 月期の純利益 17 億円は、1 号の成功報酬 19 億円を含む最高の年の数字だ。直近 5 期の中央値は 13 億円で、5 億円の年もあった。長く持つなら、17 億円でなく 13 億円前後が目安になる。

評価できる点は、財務の堅さと、1 号の実績である。借金に頼らず、配当を平らにする方針も、株主への配慮として妥当だ。

安全域は薄い。今の時価総額は、直近 5 期の純利益の中央値の約 12 倍で、自己資本の 0.9 倍だ。だが、次の大型の出口は 2027 年度以降の見込みで、それまで利益は低い。持ち続けたい会社かと問われれば、出口の実績を確かめてからと答える。

何で稼ぐ会社か

稼ぎは 3 本ある。1 つ目はファンドの管理報酬で、預かった運用資産に率を掛けて毎年入る。2 つ目は成功報酬で、ファンドが投資先を高く売ったとき、利益の一部(バイアウト 1 号では 2 割)を受け取る。3 つ目は、会社自身がファンドに出したお金の運用益である。

運用資産は約 3,500 億円。内訳は、バイアウト 1・2 号が合計 650 億円ほど、香港上場の Spring REIT が約 2,200 億円、残りが航空機などのファンドだ。REIT は規模が大きい分、率が低く、管理報酬への寄与は小さい。

バイアウト 1 号は 2016 年に 213 億円で組成され、6 件の出口を終えて、投資額の 1.66 倍を投資家に返した。残りは 3 件である。2 号は 2025 年 10 月に投資先を 1 社売った。次の 3 号は、2026 年後半の組成を目指し、総額 500 億円を想定している。

人員は少数精鋭で、費用の大半は人件費だ。会社は運用資産を 5,000 億円に増やす目標を掲げる。株主には、政府系の銀行、総合商社、信託銀行といった戦略株主の名前がある。

優良さと弱いところ

強みは、バイアウト 1 号で実績を出したことだ。投資家への返還が投資額の 1.66 倍に届き、年 8% の最低ラインを超えて成功報酬の段階に入った。この実績が、3 号の資金集めの最大の材料になる。財務も堅く、実質の借金はほぼない。

弱みは 3 つある。1 つ目は、利益の振れが大きいことだ。営業利益は 2021 年から 25 年にかけて 18 億円、21 億円、13 億円、10 億円、25 億円と動いた。2 つ目は、大きな出口が少数の投資先に依存することだ。投資先の 1 社が破綻したように、すべてが成功するわけではない。3 つ目は、規模の小ささである。上場の維持基準の流通株式時価総額にも、2025 年末はわずかに届かなかった。

経営は、配当を 5 年平均の純利益の 3 割とし、利益の波を平らにしている。堅実な方針だが、成長の資金は新ファンドへの出資に回り、現金は積み上がりにくい。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内の独立系運用会社は、年金や金融機関、事業会社から資金を預かり、バイアウトや不動産、航空機などのファンドを組む。市場の伸びは、国内の投資家が「預金から投資へ」動くペースと、日本の企業が事業の売却や承継のためにファンドを使うペースで決まる。日本では後継者難と事業の切り出しが続き、バイアウトの案件自体は増える流れにある。

競争相手は、海外の大手ファンド、国内の大手金融系の運用会社、独立系の同業である。大手は資金調達力と知名度が高く、大型案件ではまず勝てない。独立系は、中堅企業の案件や得意分野で個別に勝負する。分かれ目は、過去の成績と、出口を出せる力である。

費用の面では、人件費が最大だ。優秀な運用担当者の報酬は上がり続ける。管理報酬の率は、大型ファンドほど低く、投資家が値下げを求める力も強い。

構造の変化は 2 つある。1 つは、上場 REIT のように規模は大きいが率の低い運用が増えること。もう 1 つは、バイアウトの出口が、上場より事業会社への売却に偏ることだ。景気が悪化すると出口が止まり、成功報酬も自己投資の運用益も同時に消える。

資本政策と M&A

会社は、配当を 5 年平均の純利益の 3 割程度にする方針を掲げる。2025 年 12 月期の配当総額は 4 億円台で、純利益の約 3 割にあたる。自社株買いの大きな実績はない。

現預金は 52 億円、自己資本は 180 億円で、その大半は自己投資の 158 億円に姿を変えている。ファンドに出すお金は、運用が終わるまで戻らない。現預金は、3 号ファンドへの出資に充てる予定と説明されている。

注意したいのは、自己投資の中に香港上場の REIT の持分がある点だ。REIT は時価評価で動き、2025 年は評価損が出た。REIT の純資産に対する市場価格が低いままだと、会社が帳簿に載せる価値と、実際に売れる価値の差が開く。

株主は、政府系の銀行、総合商社、信託銀行が名を連ねる。流通株式が少ないため、上場の維持基準の達成に向けた対応が続いている。買収の歴史は目立たない。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

運用資産は上場時の 1,000 億円から 3,500 億円まで伸びた。目標の 5,000 億円に届けば、管理報酬は安定して増える。バイアウト 1 号は、投資額の 1.66 倍を返して成功報酬の段階に入り、実績がはっきりした。3 号を 500 億円で組成できれば、管理報酬の土台が大きくなる。

日本の企業は、事業の切り出しと後継者問題を抱え、バイアウトの案件は増える流れにある。航空機ファンドのように、新しい分野でも運用を広げている。

財務の面でも、自己資本比率は 77% と高く、実質の借金はほぼない。ファンドへの出資を自己資金で賄えるので、資金調達の余裕がある。

さらに、香港上場の REIT は、運用する不動産の鑑定評価が約 2,500 億円に対し、市場の価格は帳簿の 4 割ほどにとどまる。この差が縮めば、自己投資の評価が上がる余地がある。

配当も、純利益の 3 割という方針で、成功報酬の年は増配が期待できる。

慎重な見方

利益の大半は成功報酬と自己投資の運用益で、投資先を売る時期に決まる。2026 年 12 月期の会社予想は営業総利益 49 億円と、前年の約 7 割に減る。次の大型の出口は 2027 年度以降で、それまで谷が続く。

管理報酬だけでは費用を賄えない。年 30 億円ほどの管理報酬に対し、人件費を中心とした費用は 40 億円前後ある。出口が止まると、すぐ赤字に近づく。

大型ファンドの管理報酬の率は低く、REIT のように規模が大きいほど率が下がる。運用資産が 5,000 億円に届いても、管理報酬の増え方は穏やかだ。

バイアウトは、投資先 1 社の失敗で成績が大きく傷む。1 号でも 1 社は破綻した。3 号の募集は、成績が出ていない新しい運用会社に、投資家が資金を出し渋る時期と重なるおそれがある。

規模の小ささも弱みだ。流通株式の時価総額が上場維持の基準に届かず、株主構成を含めて経営の自由度が狭い。

現金も、実際は次のファンドへの出資に回る分で、株主へ返す余力は小さい。

どちらに重みを置いたか

強気の主張は、1 号の実績と運用資産の拡大に根拠がある。ただ 10 年の価値は、成功報酬と運用益が年平均でどれだけ残るかで決まる。管理報酬だけでは費用を賄えず、出口の波が利益を左右する構造は変わらないと見て、慎重な主張の方が重いと判断した。

確率は中立に 35%、やや悲観を 25%、悲観を 12% と、悲観側を少し厚くした。楽観は 8% にとどめた。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 1,049 円208 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 229 円45 億円)。 今の値に割り戻すと 629 円125 億円、今との差 −21.0%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 2,448 円486 億円 454 円90 億円 +264.5% +13.8% 232 円46 億円
やや楽観 20% 1,621 円322 億円 328 円65 億円 +144.8% +9.4% 390 円77 億円
中立 35% 1,112 円221 億円 242 円48 億円 +70.1% +5.5% 474 円94 億円
やや悲観 25% 386 円77 億円 141 円28 億円 −33.8% −4.0% 132 円26 億円
悲観 12% 363 円72 億円 60 円12 億円 −46.8% −6.1% 51 円10 億円
加重平均100% 1,049 円208 億円229 円45 億円 +60.6% +4.8% 1,278 円254 億円

今の株価時価総額 796 円158 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:3 号以降が大きく育ち、運用資産が 7,000 億円に届く 利益 37 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 2,448 円486 億円

バイアウト 3 号が 500 億円で組成され、その後の 4 号以降も大型化する。航空機やインフラなど新しい分野のファンドも育ち、運用資産は 7,000 億円ほどになる。管理報酬の率は大型化で少し下がるが、規模で補う。出口も順調に続き、バイアウトの成功報酬が数年おきに大きく入る。自己投資の残高は 320 億円ほどに増え、運用益も積み上がる。費用は人件費を中心に物価で上がるが、規模の増加が吸収する。純利益は 37 億円ほどになる。配当は純利益の 3 割から 4 割へ上げ、株主にも返る。それでも運用会社の利益は市況に左右され、投資先 1 社の失敗で成績が傷む構造は変わらない。

  • ファンド運用(管理報酬):数量 7,000(運用資産(AUM、億円・名目の残高))× 価格 0.01(運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 60 億円・営業利益 11 億円。運用資産 7,000 億円。率 0.0085。利益率 18%
  • 成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ):数量 320(自己投資の残高(億円・名目))× 価格 0.21(残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 67 億円・営業利益 39 億円。自己投資 320 億円。率 0.21。利益率 58%

倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.2 倍、時価総額 486 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:バイアウトの新ファンドが次々に大型で組成され、出口も順調に続く必要がある。1 号の実績は強いが、10 年続けて重なる確率は低い。

やや楽観 20% やや楽観:運用資産が 6,000 億円に増え、出口も平均して入る 利益 26 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 1,621 円322 億円

バイアウト 3 号が組成され、運用資産は 6,000 億円ほどに増える。管理報酬は安定して伸びる。出口は平均して数年に 1 件のペースで入り、成功報酬が利益を支える。自己投資の残高は 270 億円ほどに増える。費用は人件費の上昇で膨らむが、運用資産の増加で吸収する。純利益は 26 億円ほどで、2025 年の山を物価の分だけ上回る。配当は純利益の 3 割から 3.5 割で、現金は新ファンドへの出資に回る。出口の波は残り、年ごとの利益は 10 億円台から 40 億円台まで振れる。航空機などの新しい分野のファンドも少しずつ増え、REIT 一本に頼る形は薄まる。投資先 1 社の失敗はときどき起きるが、成功報酬の積み上げで打ち消せる。

  • ファンド運用(管理報酬):数量 6,000(運用資産(AUM、億円・名目の残高))× 価格 0.01(運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 51 億円・営業利益 8 億円。運用資産 6,000 億円。率 0.0085。利益率 15%
  • 成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ):数量 270(自己投資の残高(億円・名目))× 価格 0.19(残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 51 億円・営業利益 28 億円。自己投資 270 億円。率 0.19。利益率 54%

倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.28 倍、時価総額 322 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:運用資産の 5,000 億円の目標を超え、1 号に続く出口も続く姿は十分にありうる。会社の予想の 2027 年の利益 25 億円に近い水準が、物価の分も乗って続く形。

中立 35% 中立:運用資産は 5,000 億円に届き、利益は物価の分だけ伸びる 利益 18 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,112 円221 億円

バイアウト 3 号が組成され、運用資産は 5,000 億円に届く。管理報酬は 42 億円ほどに増えるが、人件費の上昇で利益は小さいままだ。出口は数年に 1 件のペースで入り、成功報酬と運用益は年平均で 39 億円ほどになる。自己投資の残高は 230 億円ほどで、配当を払った残りを新ファンドへの出資に回す。営業利益は 24〜25 億円で、過去 5 期の中央値を物価の分だけ伸ばした水準にとどまる。純利益は 18 億円ほどである。年ごとには、10 億円を割る年も 30 億円を超える年もある。大きな成長も大きな失敗もない 10 年になる。配当は純利益の 3 割で、自己資本は 280 億円ほどに厚くなる。

  • ファンド運用(管理報酬):数量 5,000(運用資産(AUM、億円・名目の残高))× 価格 0.01(運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円。運用資産 5,000 億円。率 0.0085。利益率 12%
  • 成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ):数量 230(自己投資の残高(億円・名目))× 価格 0.17(残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 39 億円・営業利益 20 億円。自己投資 230 億円。率 0.17。利益率 50%

倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 221 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:運用資産は会社の目標の 5,000 億円に届き、成功報酬と運用益は過去 5 期の平均を物価の分だけ伸ばした水準。営業利益 24〜25 億円は 2025 年の山を超えない。最も重く置いた。

やや悲観 25% やや悲観:出口が遅れて資金も集まらず、利益が低い年が続く 利益 9 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 386 円77 億円

バイアウト 3 号の組成が遅れ、金額も小さくなる。運用資産は 3,900 億円ほどで足踏みし、REIT の規模は大きいが率は低いままだ。投資先の売却が遅れ、成功報酬が入る年は少ない。自己投資の残高は 170 億円ほどにとどまり、REIT の評価損も重なる。人件費の上昇は止まらず、管理報酬の利益は小さくなる。営業利益は 12 億円ほどに低迷し、純利益は 9 億円ほどになる。配当は 5 年平均の純利益の 3 割を守るので小さく、自己資本はあまり厚くならない。流通株式が少ないままで、上場維持の対応が続き、経営の自由度も狭まる。

  • ファンド運用(管理報酬):数量 3,900(運用資産(AUM、億円・名目の残高))× 価格 0.01(運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。運用資産 3,900 億円。率 0.0080。利益率 4%
  • 成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ):数量 170(自己投資の残高(億円・名目))× 価格 0.14(残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 24 億円・営業利益 11 億円。自己投資 170 億円。率 0.14。利益率 46%

倍率:事業の ROE 約 4% は k 8.25% 以下なので、正当化 PER の上限は 1÷k = 11.4 倍。稼ぐ力が落ち、利益の質も低い。8.5 倍に置いた。

確率:2023〜24 年のように、営業利益が 10 億円台に低迷する年が続く姿は十分にありうる。3 号の組成の遅れと、出口の延期が重なる形。悲観側を少し厚くした。

悲観 12% 悲観:出口の市場が閉じ、資金が集まらず、投資の価値が傷む 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 363 円72 億円

景気の悪化が長引き、国内の買収と上場の市場がほとんど止まる。投資先の評価額は下がり、バイアウト 2 号と 3 号は成功報酬の段階に届かない。自己投資の残高は評価損で 110 億円ほどまで細り、REIT の持分も傷む。新しいファンドの募集は止まり、運用資産は 2,000 億円ほどに縮む。管理報酬は 15 億円ほどに減り、人件費を賄えない。営業損益は赤字になり、人員を減らす局面も出る。配当は最初の数年だけ払い、あとは大きく削る。会社は、現金と売れる投資を持った小さな運用会社になる。存続は揺らがないが、もう成長する会社ではなくなる。

  • ファンド運用(管理報酬):数量 2,000(運用資産(AUM、億円・名目の残高))× 価格 0.01(運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 15 億円・営業利益 −2 億円。運用資産 2,000 億円。率 0.0075。利益率 -10%
  • 成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ):数量 110(自己投資の残高(億円・名目))× 価格 0.02(残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自己投資 110 億円。率 0.02。利益率 0%

倍率:この筋書きの稼ぐ力は赤字で、価値は現金と売れる資産で決まる。今の自己資本 180 億円の 0.40 倍に置いた。清算されない限り、現金の使い方は少数の株主には決められず、ファンドへの出資の約束も重なるので、売れる資産の合計(floor_assets_why)より低くした。PBR は中立の水準を大きく下回る。

確率:景気の悪化で買収と上場の市場が閉じ、ファンドの募集も止まる筋書き。2008 年前後にも、国内の運用会社が出口を失って利益を急減させた前例がある。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

ファンド運用(管理報酬)

バイアウト・REIT・航空機などのファンドから、運用資産に応じた管理報酬を毎年受け取る。

数量運用資産(AUM、億円・名目の残高)価格運用資産 1 億円あたりの管理報酬(億円・率)。残高が名目なので物価を重ねない売上営業利益
今 2025/12 3,450 0.01 30 3
10 年後 中立 5,000 0.01 43 5

取り方:管理報酬は 2023 年度以降 30 億円規模(決算説明)。運用資産は約 3,449 億円。率は 30÷3,450 で 0.0087。費用は全社で約 42 億円(営業総利益 67.4 億円 − 営業利益 25 億円)とみて、運用の人件費として約 27 億円をこちらに配分し、セグメント利益を約 3 億円と推定した。区分の開示はなく推定。

成功報酬と自己投資(出口の稼ぎ)

ファンドが投資先を売ったときの成功報酬と、会社がファンドに出した自己資金の運用益(配当・売却益)を得る。

数量自己投資の残高(億円・名目)価格残高 1 億円あたりの年間の稼ぎ(億円・率)=成功報酬と運用益の合計の利回り。残高が名目なので物価を重ねない売上営業利益
今 2025/12 158 0.24 37 22
10 年後 中立 230 0.17 39 20

取り方:2025 年 12 月期の成功報酬 19.2 億円(バイアウト 1 号)と自己投資利益約 17.5 億円(1 号 10・2 号 4・Spring REIT の配当 6.5 から評価損 3 を引いた分)に、その他を足して約 37.4 億円。自己投資の残高は 158 億円。成功報酬はファンドの利益から出るため、自己投資の残高を代理の数量とした推定。直近の山の年で、平準化すると率はもっと低い。費用の配分は約 15 億円とみて、セグメント利益は約 22 億円と置いた。

リスクと懸念

出口の時期への依存

利益の大半は成功報酬と自己投資の運用益で、投資先の売却時期に決まる。2026 年 12 月期の会社予想は営業総利益 49 億円と前年より減り、次の大型の出口は 2027 年度以降の見込み。

投資先の失敗

バイアウト 1 号でも 1 社が破綻し、回収を見込めない。投資先 1 社の失敗がファンド全体の成績と成功報酬を傷つける。3 号の資金集めにも響く。

管理報酬では費用を賄えない

管理報酬は年 30 億円ほどで、人件費中心の費用は 40 億円前後。出口が止まれば、すぐ利益が消え、赤字に近づく。

REIT の持分と評価損

自己投資の中に香港上場 Spring REIT の持分がある。市場価格が低いままだと評価損が出やすく、2025 年も約 3 億円の評価損を計上した。

3 号ファンドの組成の遅れ

3 号は 2026 年後半に 500 億円の組成を目指す。資金集めが遅れると、管理報酬の増加が先送りになり、自己投資の資金需要だけが先に出る。

上場維持基準と株主構成

流通株式時価総額は 2025 年末で 99.4 億円と基準の 100 億円に届かなかった。株主の売却や、基準対応の動きが、株価に影響する。

今後の分かれ目

バイアウト 3 号が 500 億円規模で組成され、管理報酬が上乗せされる
運用資産が 4,000 億円台に乗り、管理報酬が安定して増える。やや楽観に近づく。
バイアウト 1 号の次の大型の出口が 2027 年度に実現し、成功報酬が入る
利益が 2025 年の水準に戻る。中立の前提の確認になる。
出口がさらに遅れ、2027 年度も成功報酬が入らない
利益の低い年が続き、やや悲観に近づく。自己投資の評価損も出やすい。
Spring REIT の市場価格が鑑定評価に近づく
自己投資の評価が上がり、利益と自己資本が増える。ただ事業の稼ぐ力は変わらない。
国内の IPO 市場や企業買収の市場が急に冷える
出口が止まり、成功報酬と運用益が同時に消える。悲観に近づく。
戦略株主が持株を売る、または TOB が出る
買い付けに上乗せが付く可能性があるが、本質価値は動かない。

見ておくもの

  • バイアウト 3 号の組成の進み方と金額
  • 1 号・2 号の次の出口と成功報酬の額
  • 管理報酬の年額(30 億円規模を保てるか)
  • 自己投資の残高と評価損益
  • 上場維持基準への対応と株主構成

倍率と資本コストの決め方

運用資産(名目の残高)と管理報酬の率、自己投資の残高と稼ぎの率で 10 年の利益を積んだ。残高は名目で置いたので、率に物価は重ねていない。費用のうち人件費は物価で 1.34 倍に増やした。中立の営業利益は 24〜25 億円で、過去 5 期の中央値 18 億円を物価で伸ばした水準に近く、2025 年の山の 25 億円を超えない。資本コストは基本 7.5% に quality +1.25% を足した 8.75%。10 年中立の ROE は 7% 前後で k を下回るため、PER の上限は 1÷k とし、その下に置いた。今の PER・PBR は使っていない。自己投資 158 億円の稼ぎは inv の利益に入れたので、余り資産に二重には足していない。現預金は 3 号ファンドへの出資に充てる分で、分けていない。AI による代替は、人月や席で稼ぐ事業ではないので見ていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→13.2 倍・やや楽観 PER 9.5→12.28 倍・中立 PER 8.8→12.12 倍)。

資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足した 8.75%。上場維持基準や株主構成の事情は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。

同じ業種(証券、商品先物取引業)の AI 分析

割安 HSホールディングス8699 稼ぎの大半はモンゴルの一行から来る。法律で持分を3割手放す期限が迫り、その現金の行き先が値打ちを決める 本質価値との差 +143.2% · 10 年 割安(年 +18.1%) 割安 トレイダーズホールディングス株式会社8704 個人向け FX の中堅で、変動の大きい相場と口座増が追い風。ただし値下げ競争と事故の怖さがあり、10 年で測っても余白は荒い 本質価値との差 +72.8% · 10 年 割安(年 +13.5%) 割安 あかつき本社8737 中古マンションの買取再販と IFA 証券の二本立て。利益は山にあるが、今の値段は利益の 5 倍弱と低く、10 年の価値は割安とみる 本質価値との差 +48.3% · 10 年 割安(年 +11.7%) 割安 豊トラスティ証券8747 金を軸にした商品先物の老舗。前期の利益は山で、均すと今の値段はほぼ妥当。下値は現金が支える 本質価値との差 +45.0% · 10 年 割安(年 +11.1%) 割安 野村ホールディングス8604 NISAで預かり資産が名目で伸びる。手数料率を物価並みとみてなお、10年後の価値は今の値段を上回るが、割安幅は小さく適正。海外ホールセールの市況依存は残る 本質価値との差 +40.5% · 10 年 割安(年 +10.5%) 割安 SBIホールディングス8473 預かり資産は伸びるが、手数料ゼロ化で率は下がり、PE投資の評価益は均して見る。還元は方針の3割で自己資本がたまり、ROEは9%台に落ち着く。今の値段はやや割安 本質価値との差 +30.1% · 10 年 割安(年 +10.2%) やや割安 株式会社大和証券グループ本社8601 資産管理型への転換でストック収益が育つが、手数料率は物価並みとみると、10年後の価値は今の値段とほぼ釣り合う。あおぞら銀行出資とホールセールの振れが残る 本質価値との差 +26.6% · 10 年 やや割安(年 +9.3%) やや割安 スパークス・グループ株式会社8739 運用残高から手数料を取る高採算の資産運用会社。成長は本物だが市況と創業者に乗っており、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +22.3% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) やや割安 今村証券7175 金沢の地場証券。相場の追い風と投信の積み上げで最高益だが、顧客は高齢で、10年の稼ぎは相場頼み。値段はおおむね妥当 本質価値との差 +11.0% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) 適正 FPG7148 リースの稼ぐ力は本物だが、利益の土台が税制に二つ乗る。値段はおおむね妥当で、中身は割り引いて見たい 本質価値との差 +4.8% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー7172 税の繰り延べ商品で稼ぐ高採算の会社。利益は厚いが税制と為替に乗っており、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +1.8% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 ジャフコ グループ株式会社8595 国内最古参の独立系ベンチャー投資会社。財務は堅いが稼ぎは資本コスト並みで、値段はほぼ適正かやや割高 本質価値との差 −3.9% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 GMOフィナンシャルホールディングス7177 FXとCFDの稼ぐ力は本物だが、堀は浅く利益は相場頼み。10年で見ると今の値段には余裕がなく、やや割高とみる 本質価値との差 −9.8% · 10 年 適正(年 +6.0%) やや割高 マネックスグループ8698 利益は米国の売買とコインチェックの取引に左右され、稼ぐ力は資本コストを少し超える程度。10 年の本質価値は今の時価総額を約 2 割下回る 本質価値との差 −12.1% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 いちよし証券8624 ストック収入への転換は本物だが、今の利益は相場の追い風で膨らんでいる。10 年で見ると今の値段はやや高い 本質価値との差 −14.9% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 岡三証券グループ8609 追い風の相場で稼ぐ今の利益は平時の姿ではない。対面証券の先細りを考えると今の値段は高い 本質価値との差 −23.2% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 極東証券8706 債券の差益に頼る小さな対面証券。前期の好業績は平時の姿ではなく、今の値段は高い 本質価値との差 −24.5% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 東海東京フィナンシャル・ホールディングス8616 富裕層向けの稼ぎ方は変わりつつあるが、利益の半分は相場次第。稼ぐ力は資本コストにまだ届かず、今の値段は高い 本質価値との差 −25.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 岩井コスモホールディングス8707 外国株の売買で稼ぐ大阪の対面証券。今の利益は相場の追い風で、平時の力は 8 割ほどと見る 本質価値との差 −25.6% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 水戸証券8622 資産管理型への転換は進むが、利益は相場の山の年に膨らんでいる。10 年の均しでは価値が今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −30.0% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 丸三証券8613 投信の残高が育ち会社は良くなったが、今の利益は相場の追い風で膨らんでいる。平時の利益で測ると今の値段は高い 本質価値との差 −32.6% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 丸八証券8700 名古屋の老舗の対面証券。相場の追い風で利益は膨らんだが、ならした稼ぐ力は資本コストに遠く届かない 本質価値との差 −36.3% · 10 年 割高(年 +2.3%) 割高 日産証券グループ8705 金と商品先物に強い老舗の証券。今期の利益は金相場が生んだ山で、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −36.5% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 松井証券株式会社8628 足元の最高益は相場の山の上にある。ならした稼ぐ力と手数料ゼロ化の圧力を見ると、今の時価総額は本質価値を大きく上回る 本質価値との差 −37.4% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 東洋証券8614 預かり資産1.6兆円の対面証券。2026年3月期は相場の追い風で最高益だが、利益は市況で大きく振れ、10年の本質価値は今の値段を5割余り下回り割高 本質価値との差 −50.5% · 10 年 割高(年 −0.3%) 割高 アイザワ証券グループ8708 稼ぐ力は低いのに、配当の多さと保有株で値段が支えられている。本業の利益で測ると今の値段は高い 本質価値との差 −54.2% · 10 年 割高(年 −1.0%) 割高 光世証券8617 大阪・北浜の老舗の小さな証券会社。本業はほぼとんとんで、株と現金の資産が会社を支える 本質価値との差 −63.1% · 10 年 割高(年 −2.2%) 割高 小林洋行8742 資産は厚いが、稼ぎは本社費に消える。帳簿の 6 掛けでも、稼ぐ力から見れば割高だ 本質価値との差 −69.4% · 10 年 割高(年 −4.5%) 割高 日本アジア投資8518 独立系の老舗 VC。帳簿の半値でも、稼ぎは資本コストに遠く、株主に戻る道が細い 本質価値との差 −71.2% · 10 年 割高(年 −4.1%)

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読んだ資料

  1. マーキュリアホールディングス 2025 年 12 月期 決算説明(ログミー)
  2. マーキュリアホールディングス 会社情報

分析日 2026-10-19