結論
日本アジア投資は、1981 年に生まれた独立系のベンチャーキャピタルだ。いまは未上場株への投資に加え、太陽光や物流施設などの案件に投資し、ファンドの運用で報酬を得る。筆者の結論は割高である。値段は帳簿の半分ほどだが、資本の稼ぎは資本コストの 5 分の 1 に届かない。
稼ぎは年ごとに大きく振れる。案件や投資先を売れた年は黒字、売れない年は赤字になる。過去 10 年の純利益をならすと年 1 億円強にすぎない。
もう一つの弱点は、株主に戻る道だ。2009 年の大赤字のあと、銀行の借入は今も毎年返済の条件を変えるリスケが続く。会社は、借り換えが済むまで配当は出せないと明言している。帳簿の価値は、そのまま株主の手に届くわけではない。
2025 年には経営者ファンドが株主に入り、ファンドの数も増えた。変化の芽はあるが、筆者はそれを値段に乗せるには早いと見る。
値段の目安として、10 年後の会社の値段を 5 つの筋書きで置き、確率で重みをつけた。中立でも純利益は年 1.6 億円ほどにとどまり、帳簿の価値は株主に戻りにくい。悲観側の床は、借入を返した後に残る資産の半分ほどとした。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く見えるが、稼がない帳簿」だ。値段は帳簿の半分だが、帳簿の多くは未上場株と、借入の担保に入った案件である。過去 10 年の稼ぎは帳簿の 2% ほどで、資本コストの 5 分の 1 に届かない。
オーナーとして持ち続けたいかと問えば、答えは「いいえ」だ。投資の会社に払う値段は、その会社が帳簿をどれだけ高い稼ぎに変えられるかで決まる。この会社は 15 年以上、その力を示せていない。しかも借入のリスケが続く限り、稼いだお金は銀行への返済が先で、株主には回らない。
安全域は帳簿の割引に見えるが、それは見かけだ。売れない資産の割引は、割安の理由にならない。変化の芽は経営者ファンドの参加だが、それが資本の使い方を変えるかは、まだ見えない。
筆者が見るのは、借り換えと配当の再開という一点だ。そこが動くまでは、値段の安さに飛びつかない。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つに分かれる。1 つ目は自己勘定の投資だ。国内とアジアの未上場の会社に出資し、上場や売却で利益を得る。いまの残高は引当を引いて 37 億円ほどで、この 1 年は上場した投資先が無く、上場株の売却で利益を出した。
2 つ目は案件への投資だ。メガソーラーなどの太陽光、植物工場の野菜、障がい者のグループホーム、物流施設に投資し、売電や賃料の収入を得て、育てた後に売る。2025 年度には物流施設を持つファンドを子会社にし、資産と借入が大きく増えた。案件の借入の多くは、その案件の収入で返す形のものだ。
3 つ目はファンドの運用だ。13 本、総額 176 億円のファンドを運び、管理報酬と成功報酬を得る。報酬は年 2 億円ほどで、毎年の土台になる部分だ。
費用の面では、人件費を中心とした本社の費用が年 11 億円ある。売却が出ない年は、この費用を賄えず赤字になる。グループの借入は 100 億円を超えるが、会社そのものの借入は 26 億円で、ここが毎年のリスケの対象だ。
3 つの事業はつながっている。自己勘定で育てた案件をファンドに移し、他人のお金で持ち続けながら報酬を得る形が、会社の目指す姿だ。
優良さと弱いところ
優良さは低いとみる。堀、つまり他社がまねできない強みは見当たらない。ベンチャー投資の目利きは人に宿り、競合の VC は国内外に数多い。ジャフコのような大手に比べ、ファンドの規模は 10 分の 1 にも届かない。
稼ぎの形も弱い。売却益は上場の市場と金利しだいで、自分では決められない。2009/03 期には 349 億円の赤字を出し、その後も赤字の期が 9 回ある。資本の稼ぎが資本コストを上回った年は、10 年で数えるほどだ。
財務は改善したが、まだ道半ばだ。会社そのものの借入は毎年のリスケが続き、配当を出せない。2025 年には繰越損失を消したが、利益と資金の両方がそろわないと還元に進めない。
明るい点もある。経営者ファンドが株主に入り、資本の使い方を問う目が加わった。費用の削減も進めてきた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ベンチャー投資の市場は、上場の市場と金利で決まる。業種ノートでは、日本の VC 投資は年 235 億ドル規模で、スタートアップの資金集めはほぼ横ばい、上位の会社に集中するとみる。上場の数が多い年は売却益が膨らみ、冷えた年は売れない。
金利の上昇は逆風だ。太陽光や物流施設のような案件は、借入で買う相手が多く、金利が上がると買い手の出せる値段が下がる。会社は 2026/03 期に案件を 1 件も売れなかった。インフレで建設費も上がり、新しい案件の利回りは下がる。
太陽光には固定価格の買い取りの期限という課題もある。期限が切れた発電所は、市場の値段で電気を売るしかなく、収入が落ちる。
競争は激しい。国内の独立系 VC、大手金融の系列の運用会社、海外の PE が同じ案件を追う。規模の小さい運用会社は、集めるお金も、目利きの人材も、大手に取られやすい。他人のお金を運ぶ報酬は安定するが、そのためには運用の成績を示し続ける必要がある。
上場の市場の面では、東証のグロース市場の見直しで、小さな会社の上場は以前より難しくなった。売り先を上場に頼るほど、出口は細くなる。M&A での売却が増えているのは、その裏返しでもある。
資本政策と M&A
無配が続いている。会社は、銀行の借入のリスケを終えて借り換えるまで配当は出せないと明言している。自社株買いもしていない。株主優待も無い。
資本はむしろ増やしてきた。2025 年 11 月に経営者ファンドなどへ新しい株を割り当て、同時に行使価額が動く新株予約権を EVO FUND に出した。2026 年 4 月には大きな行使があり、株の数は 1 年で 2 割強増えた。会社は 7 月に残りの新株予約権を買い取って消したので、これ以上の希薄化は無い。
M&A では、物流施設を持つファンドを子会社にした。資産と借入を同時に抱え込む形で、案件の売却で回収できるかが問われる。
大株主に経営者ファンドが入ったことで、資本の使い方の見直しや再編の道も考えられる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
値段は帳簿の半分にすぎない。自己資本は 80 億円あり、会社の価値は帳簿の半分以下で売られている。2025/03 期には案件の売却で純利益 4 億円を出し、稼げる時は稼げることを示した。
変化の芽も多い。2025 年に経営者ファンドが株主に入り、資本の使い方を問う目が加わった。ファンドの数は 1 年で 10 本から 13 本に増え、管理報酬は 5 割近く伸びた。成功報酬も出始めている。物流施設の子会社化で、毎年の賃料も入るようになった。
金利が落ち着けば、太陽光と物流施設の案件は再び売れる。上場の市場が戻れば、未上場株の売却益も出る。借り換えが済めば配当を再開できる。帳簿の半値という値段は、こうした上振れをまるで見ていない。
悲観側は帳簿の傷ばかり見るが、繰越損失はすでに消えた。単体の借入 26 億円は現金 41 億円で返せない額ではなく、借り換えは時間の問題だ。ファンドの数が増えれば、管理報酬だけで本社の費用の半分を賄える日も遠くない。
慎重な見方
帳簿の半値には理由がある。帳簿の多くは未上場株と、借入の担保に入った案件で、すぐには売れない。過去 10 年の純利益をならすと年 1 億円強で、帳簿の 2% にも満たない。2009 年の大赤字から 15 年以上たっても、借入のリスケは終わっていない。
株主に戻る道も閉じている。会社は借り換えまで配当を出せないと言い、自社株買いもない。逆に株を 2 割強増やし、行使価額が下がっていく新株予約権まで出した。
事業の環境も厳しい。金利の上昇で案件は売れにくくなり、2026/03 期は 1 件も売れずに赤字に戻った。物流施設の子会社化で借入はさらに膨らんだ。規模の小さい VC が大手と人材とお金を奪い合う構図は変わらない。
経営者ファンドの参加も、少数の株主の得になるとは限らない。新しい株を安く割り当てたのは、むしろ既存の株主の取り分を薄めた。帳簿の半値は、この会社の歴史から見て妥当な割引だ。ファンドの報酬は伸びても年 2 億円台で、本社の費用 11 億円には遠い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。帳簿の割引は本物だが、それを株主が受け取る道が借入のリスケで閉じており、稼ぐ力も弱い。中立に 3 割半、悲観側に 4 割、楽観側に 2 割強を置いた。借り換えが済んで配当が再開するか、ファンドの総額が 300 億円を超えれば、楽観側に寄せる。
今の値段は中立の筋書きより高く、悲観側の床にも距離がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 88 円24 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 5 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 41 円11 億円、今との差 −71.2%、 期待の年率 −4.1%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 359 円100 億円 | 36 円10 億円 | +179.8% | +10.8% | 24 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 171 円48 億円 | 11 円3 億円 | +29.2% | +2.6% | 33 円9 億円 |
| 中立 | 36% | 64 円18 億円 | 4 円1 億円 | −52.2% | −7.1% | 24 円7 億円 |
| やや悲観 | 25% | 34 円10 億円 | 0 円0 億円 | −75.6% | −13.1% | 9 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 26 円7 億円 | 0 円0 億円 | −81.7% | −15.6% | 4 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 88 円24 億円 | 5 円2 億円 | −33.9% | −4.1% | 93 円26 億円 |
今の株価時価総額 141 円39 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% ファンドが育ち、借入を借り換えて配当を再開する 利益 9 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 359 円100 億円
新しい株主の後押しで、会社は他人のお金を預かって運用する形へ軸足を移す。ファンドの総額は今の 4 倍に膨らみ、管理報酬と成功報酬が毎年の土台になる。自己勘定の投資先からは上場が続き、太陽光や物流施設の案件も高い値で売れる。利益が 3 年続いたところで、銀行と借入の借り換えがまとまり、配当を再開する。純利益は 9 億円ほどになる。それでも資本の稼ぎは資本コストに少し届かない。投資の会社は、帳簿の価値を高い稼ぎに変え続けるのが難しい。上振れの残りは、経営者ファンドが求める資本の使い方の見直しだ。成功報酬も年に数億円入る。
- 自己勘定の投資(未上場株・上場株):数量 70.0(自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質))× 価格 0.33(残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 9 億円。自己勘定の投資 70 億(実質)× 残高 1 億あたりの売却 0.33 億(物価 1.34 倍)、売却益の率 38%
- 案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉):数量 140(案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質))× 価格 0.11(資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 7 億円。案件の資産 140 億(実質)× 1 億あたりの収入 0.111 億、売却益を含む利益率 45%
- ファンドの運用:数量 700(運用するファンドの総額(億円・今の値段))× 価格 0.02(総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 12 億円。ファンド総額 700 億(今の値段)× 報酬率 1.85%(物価 1.34 倍)、利益率 92%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 100 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しいファンドの集めが続き、投資先の上場と案件の売却が重なる筋書き。2025 年に経営者ファンドが資本に入り、ファンドは 1 年で 10 本から 13 本に増えた。ただ IPO はこの 1 年ゼロで、利益が続いた期も少ないので 6% に止めた。
やや楽観 18% 運用の報酬が育ち、利益が毎年出るようになる 利益 4 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 171 円48 億円
会社は自分のお金で投資するより、他人のお金を預かる仕事を増やす。ファンドの総額は 500 億円に育ち、管理報酬が人件費の多くを賄うようになる。自己勘定の投資先からは数年おきに上場が出て、太陽光と物流施設の案件も入れ替えながら売る。純利益は年 4 億円台になり、赤字の年が減る。借入の返済も進み、配当を少しだけ出せるようになる。ただ資本の稼ぎは資本コストの半分ほどにとどまる。帳簿の価値の多くは、すぐには売れない案件と未上場株だからだ。上場の市場が開いている年は、売却益が本社の費用を上回る。ファンドの成績が次のファンドを呼ぶ流れができる。
- 自己勘定の投資(未上場株・上場株):数量 60.0(自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質))× 価格 0.33(残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 7 億円。自己勘定の投資 60 億 × 0.33 億、売却益の率 33%
- 案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉):数量 130(案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質))× 価格 0.11(資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。案件の資産 130 億 × 0.111 億、利益率 42%
- ファンドの運用:数量 500(運用するファンドの総額(億円・今の値段))× 価格 0.02(総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 9 億円。ファンド総額 500 億 × 報酬率 1.85%、利益率 92%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ファンドの総額が今の 3 倍に育ち、案件の売却が数年おきに出る筋書き。2025/03 期は案件の売却で純利益 4 億円を出した実績があるので 2 割弱。
中立 36% 利益は出たり出なかったりで、帳簿はゆっくり増える 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 64 円18 億円
会社の稼ぎは、投資先と案件を売れるかどうかで年ごとに大きく振れる。上場の市場が良い年は売却益が出て、悪い年は赤字になる。ファンドの総額は今の 2 倍強に育ち、管理報酬は少しずつ増える。太陽光と物流施設の案件は毎年の収入を生むが、借入の利払いでその多くが消える。本社の費用は物価で増え、削れる所はもう削った。ならした純利益は年 1.6 億円ほどで、10 年の平均と変わらない。借入の返済が優先され、配当は 10 年の終わりに少し出るだけだ。帳簿の価値はゆっくり増えるが、それを株主に戻す道は細い。株の数は増えないが、帳簿の伸びは物価に負ける。
- 自己勘定の投資(未上場株・上場株):数量 55.0(自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質))× 価格 0.33(残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。自己勘定の投資 55 億(実質)× 0.33 億(物価 1.34 倍)、売却益の率 30%
- 案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉):数量 120(案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質))× 価格 0.11(資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 5 億円。案件の資産 120 億(実質)× 0.111 億、売却益を含む利益率 40%
- ファンドの運用:数量 400(運用するファンドの総額(億円・今の値段))× 価格 0.02(総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 7 億円。ファンド総額 400 億(今の値段)× 報酬率 1.85%、利益率 92%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 18 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 10 年の純利益の平均は 1 億円強で、売却の年と赤字の年が交互に来た。その形が続き、ファンドの報酬が少し育つ筋書きをもっとも起こりやすいとみた。
やや悲観 25% 売却が出ず、赤字が続いて帳簿が細る 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 34 円10 億円
金利が上がり、太陽光と物流施設の案件を買う相手が減る。上場の市場も冷え、未上場株の売却は延び続ける。ファンドの集めは止まり、管理報酬は横ばいにとどまる。本社の費用は削っても物価で増え、毎年 3 億円前後の赤字が出る。評価損と引当で帳簿は 3 割減る。借入のリスケは続き、配当は出ない。値段は、帳簿のうち株主の手に戻りうる分まで下がる。案件の多くは借入の担保に入っており、売っても先に銀行へ返す。経営者ファンドも動かず、株は持ち合いのように放っておかれる。新しい株で資金を集める案も出て、株主の取り分はさらに薄まるおそれがある。
- 自己勘定の投資(未上場株・上場株):数量 40.0(自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質))× 価格 0.31(残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。自己勘定の投資 40 億 × 0.31 億(価格 1.25 倍)、売却益の率 25%
- 案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉):数量 110(案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質))× 価格 0.10(資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。案件の資産 110 億 × 0.103 億、利益率 30%
- ファンドの運用:数量 220(運用するファンドの総額(億円・今の値段))× 価格 0.02(総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 3 億円。ファンド総額 220 億 × 報酬率 1.73%、利益率 90%
倍率:赤字なので PBR で置く。稼ぐ力はゼロで、値段は床の資産(約 9.6 億、floor_assets_why)まで。今の自己資本 80 億に対し 0.12 倍。
確率:2023〜24/03 期と 2026/03 期のように、売却が出ない年は赤字になる。金利の上昇で案件が売れにくくなった今の環境が続く筋書きで 2 割半を置いた。
悲観 15% 案件の失敗が重なり、借入の返済に追われる 利益 −9 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 26 円7 億円
投資先の倒産と案件の失敗が重なる。太陽光は買い取りの値段が切れて収入が落ち、物流施設は空きが出て借入の返済が苦しくなる。評価損と減損で帳簿は 8 割減る。銀行は返済を急がせ、会社は良い案件から売って借入を返す。ファンドの運用も信用を失い、新しいお金は集まらない。値段は、借入を返した残りの、わずかな資産に近づく。2009 年の大赤字のあと、立て直しに 15 年以上かかった歴史が繰り返される。その間、株主には何も戻らない。新しい株を安く出して資金を集めれば、既存の株主の取り分はさらに細る。経営者ファンドも損切りに動く。
- 自己勘定の投資(未上場株・上場株):数量 30.0(自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質))× 価格 0.27(残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。自己勘定の投資 30 億 × 0.27 億(価格 1.10 倍)、売却益と評価損が相殺
- 案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉):数量 100(案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質))× 価格 0.09(資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。案件の資産 100 億 × 0.091 億、利益率 20%
- ファンドの運用:数量 150(運用するファンドの総額(億円・今の値段))× 価格 0.02(総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。ファンド総額 150 億 × 報酬率 1.52%、利益率 85%
倍率:赤字なので PBR で置く。稼ぐ力はゼロで、値段は床の資産(約 7.2 億、floor_assets_why)まで。今の自己資本 80 億に対し 0.09 倍。
確率:2009/03 期に 349 億円の赤字を出し、その後 15 年以上も借入のリスケが続いた会社だ。案件の借入が重く、谷の傷が深いので 1 割半を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自己勘定の投資(未上場株・上場株)
国内とアジアの未上場の会社への出資と、その売却。
| 数量自己勘定の投資の残高(億円・引当後・実質) | 価格残高 1 億円あたりの年の売却高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 37.0 | 0.25 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 0.33 | 18 | 5 |
取り方:営業投資有価証券 45.2 億から投資損失引当金 8.2 億を引いた 37 億を残高とした。売却高 9.08 億、利益は実現益 4.35 億から評価損と引当 1.63 億を引いた 2.72 億(営業総利益の段階)。
案件への投資(太陽光・物流施設・農業・福祉)
太陽光発電・物流施設・植物工場・グループホームなどの案件の運営収入と売却。
| 数量案件の資産(億円・有形固定資産と発電の権利・実質) | 価格資産 1 億円あたりの年の収入(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 117 | 0.08 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.11 | 13 | 5 |
取り方:有形固定資産 110.6 億と発電設備開発権利金 5.9 億を案件の資産とした。収入は組合持分利益・インカムゲイン等 9.64 億、利益はそこから組合持分損失等 7.74 億を引いた 1.90 億。物流施設は期末に子会社化したので、10 年後は 1 年分の賃料が入る。
ファンドの運用
13 本・総額 176 億円のファンドの管理報酬と成功報酬、事務の受託。
| 数量運用するファンドの総額(億円・今の値段) | 価格総額 1 億円あたりの年の報酬(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 176 | 0.01 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.02 | 7 | 7 |
取り方:管理運営報酬等 1.96 億とその他の営業収益 0.48 億を、ファンドの総額 176 億で割った。費用はその他の営業原価 0.15 億だけを引き、人件費は本社の費用(調整)に入れた。
リスクと懸念
借入のリスケと還元の停止
会社そのものの借入 26 億円は毎年返済の条件を変えるリスケが続く。借り換えが済むまで配当は出せず、稼いだお金は銀行への返済が先になる。
金利の上昇と案件の売れ行き
太陽光や物流施設の案件は、借入で買う相手が多い。金利が上がると買い手の出せる値段が下がり、2026/03 期は 1 件も売れなかった。売れない年は赤字になる。
上場の市場の冷え込み
未上場株の売却益は、上場の市場が開いているかで決まる。この 1 年、投資先の上場はゼロだった。市場が冷えれば、評価損と引当が先に出る。
物流施設の子会社化の重さ
物流施設を持つファンドの子会社化で、資産と借入が大きく増えた。空きが出たり、売却の値段が下がったりすれば、借入の返済が重くのしかかる。
株の希薄化
2025 年からの新株の割り当てと新株予約権の行使で、株の数は 1 年で 2 割強増えた。資金が足りなくなれば、再び株を増やす道を選ぶおそれがある。
今後の分かれ目
- 借入の借り換えがまとまり、配当を再開したら
- 株主に戻る道が開く。戻り方と楽観側の確率を上げてよい。
- ファンドの総額が 300 億円を超えたら
- 管理報酬が本社の費用の多くを賄い、赤字の年が減る。やや楽観の筋書きに近づく。
- 物流施設や太陽光の案件を帳簿を上回る値で売ったら
- 案件の帳簿の価値が本物だと示される。中立の利益率を上げてよい。
- 再び新株や新株予約権で資金を集めたら
- 株主の取り分が薄まる。慎重な側に寄せる。
- 経営者ファンドが再編や大株主の入れ替えに動いたら
- 帳簿の価値に近い値がつく道が開く。ただ中身を見るまで確率は動かさない。
見ておくもの
- ファンドの総額と新しいファンドの立ち上げ
- 案件の売却の件数と値段
- 投資先の上場の数
- 単体の借入の残高と借り換えの交渉
- 配当の再開の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。全ての筋書きで ROE は k 9% を下回り、PER の上限は 1÷k=10.5 倍。利益の質で 8〜9 割を選んだ。今の PBR 0.5 倍は根拠にしていない。悲観側は単体の純資産から評価損と売却の割引を引き、戻り方 0.5 を掛けた床で置いた。金融の業種なので 10 年で溜まる現金の自動の足し算は無い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.11 倍・やや楽観 PER 9→11.11 倍・中立 PER 8.4→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。