結論
SBIホールディングスは、口座数で国内首位のネット証券を軸に、銀行、暗号資産、投資までを抱える金融グループだ。筆者の結論は、今の値段はやや割安。10年後の価値は、今の時価総額の1.2倍弱と見る。
稼ぎの源は4つある。SBI証券、2025年末に再上場した新生銀行(SBIの議決権は71%)、暗号資産、そして資産運用とPE投資だ。事業ごとに、預かり資産や取扱高などの金額と、そこから取れる収益の率で積み上げた。金額は名目で、物価の分は金額の側に入れた。率には物価を掛けない。
2026年3月期の純利益4,276億円は、そのまま続くとは見ない。住信SBIネット銀行の株を売った益が1,416億円入っている。PE投資と暗号資産の評価益も、年によって大きく振れる。筆者はどちらも均して見積もった。
中立の10年後は、預かり資産が名目で125兆円、年6%台の増加だ。ただ手数料ゼロ化で、預かり資産に対する収益の率は0.44%から0.40%へ下がる。還元は会社の方針どおり金融サービス事業の税引前利益の3割とし、残りはためる。自己資本が積み上がる分、ROE(自己資本利益率)は9%台に落ち着く。倍率は利益の約12倍だ。
2031年満期の転換社債1,000億円は、転換価額が今の株価を下回る。転換されるとみて、株数の約7%の増加を既存株主の取り分から引いた。
資本コストは8.25%。相場で利益が振れることと、手数料の値下げ競争を、基本の7.5%に1%足して表した。
バリュー投資の観点から
オーナー利益の面では、SBI証券の預かり資産(約66兆円)と口座数(約1,638万)が、ストック的な収益基盤を築いている。一方で、利益の一部はPE投資の評価益や暗号資産の値動きのように、再現しにくい。バリュー投資の観点では、この部分に高い倍率を掛けない。評価益は山と谷の平均で見積もり、中立の資産運用・PE投資・次世代事業の利益は、2026年3月期の1,126億円と同じ水準の1,270億円にとどめた。
資本の使い方では、総還元額を税引前利益の約3割とする方針が明確だ。2021年の新生銀行のTOBと再上場を実行し切った実績も評価できる。ただ、3割の還元だと残りの7割は社内にたまる。ためたお金が資本コストを超えて働くとは限らない。中立のROEは9%台にとどまる。ためた分は銀行の総資産を広げる土台として働くが、ためた分がそのまま帳簿の額以上の価値になるとは数えなかった。
安全域の面では、2026年3月期の純利益に、株式の売却益と評価益が重なっている。これらを除いた稼ぐ力で測ると、今の値段の安さは見かけほど大きくない。さらに転換社債による約7%の株数増も、既存株主の取り分から引いた。創業経営者への権限集中と後継体制の不透明さは、確率の側で受けた。
何で稼ぐ会社か
事業は5つの報告セグメントに分かれる。金融サービス事業は売上の82%・利益の76%を占める中核で、口座数約1,638万・預かり資産約66兆円のSBI証券を中心とするネット証券業務と、2021年にTOBで子会社化し、2025年12月に再上場したSBI新生銀行(議決権の71%を保有、総資産約24.7兆円)の銀行業務。再上場で外部株主が入り、銀行の利益の約3割は少数株主のものになるからなる。SBI証券は株式売買手数料がゼロ化する中、投信信託報酬配分・信用取引金利・外国株取引・クレカ積立によるポイント還元などで収益源を多様化し、SBI新生銀行との口座連携による金利優遇で証券・銀行の顧客基盤を一体で囲い込む。SBI新生銀行はさらに「第4のメガバンク構想」の核として、島根銀行・福島銀行・東北銀行など9〜10の地方銀行と資本業務提携を結び、基幹システムの共同利用・有価証券運用・協調融資などを提供する広域地域プラットフォーマー化を進めている。暗号資産事業はSBI VCトレードが中核で、35種類の暗号資産の現物・レバレッジ取引、貸暗号資産、積立サービスを提供し、SBI新生銀行の預金顧客への暗号資産付与やVisaと連携した暗号資産獲得型クレジットカードなど、グループ内での相互送客を進めている。資産運用事業はSBI岡三アセットマネジメント等が投資信託・年金の運用を担い、PE投資事業はフィンテック・AI関連ベンチャーへの投資、次世代事業はバイオ・ヘルスケア・Web3・再生可能エネルギー・人材関連の育成期事業を担う。この5つの事業は性質も規模も異なり、証券・銀行という安定稼働基盤の上に、暗号資産・PE投資・次世代事業という高成長・高リスクの事業を重ねる構造になっている。
優良さと弱いところ
最大の堀は、口座数・預かり資産でネット証券最大手となったSBI証券の規模の優位と、証券・銀行・暗号資産を一体で提供できる複合金融グループという独自の立ち位置である。SBI証券とSBI新生銀行の口座連携による金利優遇、投信・IPO取扱の充実、クレカ積立の高いポイント還元率は、楽天証券との競争における差別化要因になっている。SBI新生銀行を核とする「第4のメガバンク構想」は、地銀が単独でのシステム投資・運用力に限界を抱える中、SBIの規模とノウハウを提供する形で地銀連合を拡大しており、まだ発展途上だが潜在的な堀になり得る。弱点は、5つの事業の性質がまるで異なり、証券の市況感応度、銀行の与信・金利リスク、暗号資産の価格急変動リスクを同時に抱える複合体であるため、単純なネット証券会社より経営の見通しにくさが高い点である。自己資本比率は単純指標で4.7%と、証券・銀行双方の取引資産・貸出資産の大きさを反映して低く出る。経営の資本配分については、総還元額を金融サービス事業の税引前利益(特殊要因除く)の約30%程度とする明確な方針を掲げ、2026年3月期は前期比増配・自社株買い500億円を実施し、総還元額は約1,117億円に達した。一方で、創業経営者である北尾吉孝会長兼社長の経営スタイルは、フジ・メディア・ホールディングス株の取得を巡る提案など交渉相手に強い姿勢を取ることがあり、市場や相手企業からの評価は分かれる。高齢の経営者が引き続き経営の中心にあり、後継体制の明確化は長期の経営の継続性という点で課題として残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の証券業は2024年の新NISA制度開始を契機に、個人金融資産の「預金から投資へ」のシフトが歴史的な規模で進む拡大期にある。個人金融資産は2026年6月末に2,519兆円に達し、株式は前年比47.0%増の486兆円、投資信託は36.8%増の193兆円まで拡大した。NISA口座数は全証券会社合計で約2,227万口座(2026年6月末)、2026年1〜7月の増加数204万口座は2025年年間の増加数199万口座を既に上回るペースにある。この流れの中でSBI証券は口座数約1,638万・預かり資産約66兆円で業界首位を保ち、2位の楽天証券(約1,400万口座)との寡占構造が強まっている。国内株式売買手数料のゼロ化が常態化する中、収益源は信用取引金利・投信信託報酬配分・外国株取引・クレカ積立へ構造的に移行しており、SBI証券はこの非手数料収益の多様化で先行する。SBI新生銀行を核とする「第4のメガバンク構想」は、地銀が単独で抱えるシステム投資・人材不足という構造課題に対し、SBIの規模とノウハウを提供する形で進んでおり、地銀再編の受け皿としての役割も期待されている。暗号資産市場は国内の稼働口座数が約892万、預かり資産が約5兆円規模まで拡大しており、規制の明確化やステーブルコインの普及が進めば、証券・FXに次ぐ収益源として本格的に育つ可能性がある。循環のどこにいるかという点では、個人の投資参加拡大は2024年以降まだ途中段階でこの追い風が当面続くと見るが、暗号資産市場は相場の急変動に収益が直結しやすく、SBI新生銀行の銀行業務も世界的な金利環境の変化と与信コストの影響を受ける。競争の形は、SBI証券・楽天証券の上位2社による寡占化が進む一方、松井証券・マネックスグループ・GMOフィナンシャルホールディングスはそれぞれデイトレ・暗号資産・FXのニッチで差別化を迫られている。
資本政策と M&A
株主還元は、金融サービス事業の税引前利益(子会社株式売却益等の特殊要因を除く)の約30%を総還元額の目安とする方針だ。2026年3月期は配当の増額と500億円の自社株買いで、総還元額は約1,117億円。特殊要因を除く税引前利益に対しては約4割で、方針より厚かった。今後10年は方針どおりの3割で置く。2024年7月に発行した2031年満期の転換社債(残高1,000億円)は、株式分割と配当による調整で転換価額が今の株価を下回る。転換されれば新株は約4,380万株、今の株数の約7%にのぼる。借金は減るが、既存株主の取り分は薄まる。そこで株価が転換価額を上回る筋書きでは、薄まりを織り込んだ。役員・従業員向けのストックオプションは、行使が確実とは言えないので入れていない。
M&Aでは2021年のSBI新生銀行へのTOBが最大の実例で、議決権ベース47.8%の株式を取得して連結子会社化し、2023年9月に完全子会社化・非上場化した。公的資金の完済後、2025年12月に東証プライムへ再上場させ、SBIの議決権は71%になった。銀行の利益の約3割が少数株主に流れる代わりに、上場による資金と知名度を得た形だ。2025年10月には、NTTドコモによる住信SBIネット銀行の完全子会社化に伴う自己株式取得に応じて保有株を売り、関連会社株式売却益1,416億円を計上した(持分法の利益は、この先の純利益から外れる)。「第4のメガバンク構想」では島根銀行・福島銀行・東北銀行など9〜10の地方銀行への出資・業務提携を積み重ねており、今後も地銀の再編・資本増強の受け皿として追加出資を行う可能性が高い。国内証券業界で最大規模にあるため、自らが買収対象になる可能性は実質的にない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
SBI証券は口座数約1,638万・預かり資産約66兆円でネット証券首位の規模を持ち、楽天証券との事実上の2社寡占構造が強まるほど、規模の経済とデータの蓄積がSBIに有利に働く。株式売買手数料のゼロ化が進む中でも、投信信託報酬配分・信用取引金利・クレカ積立によるポイント還元といった非手数料収益の多様化で先行しており、NISA口座の増加ペースが2025年の年間増加数を既に上回る中、預かり資産は今後も拡大が続く。SBI新生銀行は2025年末の再上場で資本の調達手段を広げ、「第4のメガバンク構想」で島根銀行・福島銀行・東北銀行など9〜10の地方銀行と資本業務提携を結び、地銀が単独で抱えるシステム投資・人材不足という構造課題を取り込む形で地銀連合を拡大している。この構想が進めば、SBI新生銀行を核とする広域地域プラットフォーマーとして総資産規模をさらに拡大できる。暗号資産事業のSBI VCトレードは35種類の暗号資産を取り扱い、SBI新生銀行の預金顧客への暗号資産付与やVisaと連携した暗号資産獲得型クレジットカードなど、グループ内の相互送客を強化しており、国内の暗号資産稼働口座数約892万・預かり資産約5兆円という成長市場をSBIが牽引する立場にある。証券・銀行・暗号資産・資産運用・PE投資という5つの事業を一体で保有することで、1つの事業が市況の谷にある時でも別の事業が補う分散効果が働き、金融コングロマリットとしての総合力がネット証券単体の競合より強い成長力を持つ。
慎重な見方
SBIホールディングスの2026年3月期の純利益4,276億円・ROE23.8%という過去最高益には、住信SBIネット銀行株式の譲渡益1,416億円という一時要因が含まれており、これを除けば実質的な収益力はそれほど高くない。証券・銀行・暗号資産・資産運用・PE投資という5つの性質の異なる事業を一体で保有する複合体は、分散効果より経営の複雑さと見通しにくさの方が勝る構造であり、北尾吉孝会長兼社長への権限集中と、フジ・メディア・ホールディングス株の取得への言及やNTTとの資本業務提携など交渉相手に強い姿勢を取る経営スタイルは、市場からの評価が割れる要因であり、高齢の経営者が引き続き中心にある中で後継体制も明確になっていない。SBI新生銀行は2021年のTOBで子会社化した後も、総資産24.7兆円の銀行業務特有の金利リスク・与信コストを抱え、世界的な金利環境の変化や景気後退時には貸倒コストの急増というリスクを新たに取り込んだ。「第4のメガバンク構想」も、地銀への出資がそのまま収益化につながるとは限らず、地銀経営の弱さを吸収するコストがSBI側にのしかかる可能性がある。暗号資産事業は国内稼働口座数約892万・預かり資産約5兆円とまだ規模が小さく、過去の暗号資産価格急落時や海外取引所破綻時のような相場の急変動が起きれば、取引高・預かり資産の両方が急減し、収益への影響は証券本体より振れが大きい。国内のネット証券競争では、楽天証券との2社寡占が強まる一方、投信信託報酬配分・金融収益といった非手数料収益の単価も長期的には低コスト化圧力に晒され続ける。今の株価(PER4.3倍・PBR1.03倍)は一時要因を含む過去最高益を基準にすれば割安に見えるが、一時要因を除いた持続的な収益力で測れば、むしろ相応かやや割高である可能性がある。
どちらに重みを置いたか
ネット証券首位の規模と地銀連合の種は強い。だが2026年3月期の最高益には、株式の売却益とPE投資・暗号資産の評価益が重なっている。証券・銀行・暗号資産の三つの市況感応度を一体で抱える複合体であることと、創業経営者への権限集中は、慎重な見方にも重みがある。確率は中立に最も重みを置き、一時益と評価益を均した水準に引き戻した。複合体のリスクはquality +1.0%(資本コスト8.25%)と確率で受けた。還元を方針の3割にとどめると自己資本がたまり、中立のROEは9%台、倍率は1÷kに近い11.8倍になる。転換社債の転換による約7%の株数増も既存株主の取り分から引いた。それでも10年の価値は今の時価総額の1.2倍弱で、割安は「やや」にとどまる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 6,419 円4.15 兆円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,414 円9,140 億円)。 今の値に割り戻すと 3,857 円2.49 兆円、今との差 +30.1%、 期待の年率 +10.2%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 12,639 円8.17 兆円 | 1,961 円1.27 兆円 | +392.6% | +17.3% | 1,752 円1.13 兆円 |
| やや楽観 | 22% | 9,457 円6.11 兆円 | 1,747 円1.13 兆円 | +278.0% | +14.2% | 2,465 円1.59 兆円 |
| 中立 | 30% | 6,922 円4.47 兆円 | 1,553 円1.00 兆円 | +185.9% | +11.1% | 2,543 円1.64 兆円 |
| やや悲観 | 22% | 2,896 円1.87 兆円 | 1,186 円7,669 億円 | +37.7% | +3.3% | 898 円5,806 億円 |
| 悲観 | 14% | 774 円5,000 億円 | 482 円3,113 億円 | −57.7% | −8.2% | 176 円1,136 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,419 円4.15 兆円 | 1,414 円9,140 億円 | +164.3% | +10.2% | 7,833 円5.06 兆円 |
今の株価時価総額 2,964 円1.92 兆円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 12% ネット証券・地銀連合・暗号資産がすべて結実する10年 利益 6,346 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 12,639 円8.17 兆円
10年間でNISA制度が完全に定着し、SBI証券は口座数・預かり資産でネット証券最大手の地位をさらに固める。SBI新生銀行を核とする「第4のメガバンク構想」は地銀連合が完成し、広域地域プラットフォーマーとして総資産を大きく拡大する。暗号資産市場は規制の明確化とステーブルコインの普及でメインストリーム化し、SBI VCトレードが成長を主導する。資産運用・PE投資事業もAUM拡大とPE投資の出口機会増加で大きく伸びる。北尾体制後も含めた経営の規律が保たれ、複合体としての分散効果が成長力に転じる理想的な10年になる。
- 証券(SBI証券中心):数量 155(預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目))× 価格 0.4%(預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 6,820 億円・営業利益 3,274 億円。預かり資産が名目で年8.9%増、率は横ばい
- 銀行(SBI新生銀行中心):数量 42.0(総資産(兆円。名目))× 価格 1.1%(総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 4,704 億円・営業利益 2,822 億円。地銀連合で総資産拡大・利鞘改善
- 暗号資産(SBI VCトレード中心):数量 28.0(暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目))× 価格 1.2%(取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない))→ 売上 3,360 億円・営業利益 1,277 億円。規制明確化で取扱高急拡大
- 資産運用・PE投資・次世代事業:数量 11.0(運用・投資資産残高(兆円。名目))× 価格 5.0%(残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない))→ 売上 5,500 億円・営業利益 2,310 億円。PE投資の出口増で評価益も上振れ
倍率:事業の純利益 6,346 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.74 倍、時価総額 87,194 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NISA定着後も個人の資産シフトが続き、地銀連合の完成と暗号資産の本格的な普及が10年間噛み合う前提で、確度は高くない。
やや楽観 22% 証券・銀行・暗号資産の多角化がかみ合う10年 利益 4,950 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 9,457 円6.11 兆円
NISA定着後も個人の資産シフトは緩やかに続き、SBI証券の預かり資産は安定的に拡大する。SBI新生銀行は地銀連合の提携行数が段階的に増え、システム共同利用・協調融資の収益化が進み、安定した利鞘で収益を積み上げる。暗号資産事業は国内市場の着実な拡大を取り込みながら成長し、SBI証券・SBI新生銀行との相互送客も定着する。資産運用・PE投資・次世代事業もNISA定着後の資産形成の広がりとPE投資の出口機会を取り込みながら拡大する。証券・銀行・暗号資産という多角化が国内市場の成熟を補い、北尾体制後の経営も円滑に引き継がれる、安定成長の10年になる。
- 証券(SBI証券中心):数量 140(預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目))× 価格 0.4%(預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 5,880 億円・営業利益 2,705 億円。預かり資産が名目で年7.8%増、率は小幅低下
- 銀行(SBI新生銀行中心):数量 39.0(総資産(兆円。名目))× 価格 1.1%(総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 4,134 億円・営業利益 2,398 億円。地銀連合の段階的拡大
- 暗号資産(SBI VCトレード中心):数量 21.0(暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目))× 価格 1.2%(取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない))→ 売上 2,415 億円・営業利益 821 億円。稼働口座増で取扱高拡大
- 資産運用・PE投資・次世代事業:数量 9.5(運用・投資資産残高(兆円。名目))× 価格 4.7%(残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない))→ 売上 4,465 億円・営業利益 1,741 億円。資産形成の広がりを取り込む
倍率:事業の純利益 4,950 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.18 倍、時価総額 65,241 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ネット証券の規模優位の持続と地銀連合の段階的な拡大、暗号資産事業の着実な成長が10年間おおむね維持される、sectors ノートの上位レンジに近い想定。
中立 30% 中立:規模の優位は保つが成長は標準並みに落ち着く10年 利益 3,811 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 6,922 円4.47 兆円
10年の間にNISA制度の効果は一巡し、SBI証券の預かり資産は名目で年6〜7%、株価の上昇と純流入を合わせた標準的なペースに落ち着く。国内株の手数料ゼロ化で、預かり資産に対する収益の率は少しずつ下がる。SBI新生銀行は地銀連合の提携が一定の規模で定着するが、全ての提携地銀の業績改善には至らず濃淡が残る。暗号資産事業は国内市場の標準的な成長軌道に乗り、証券・銀行ほどの規模にはならないが収益の一角を占める。資産運用は預かり資産の伸びに沿って育つ。PE投資の評価益は山と谷を繰り返すので、均した利益で積む。ネット証券との国内競争・銀行の与信コストは一定水準で続くが、規模の優位と多角化で資本コストを上回る水準は維持される、特別な上振れも下振れもない10年になる。
- 証券(SBI証券中心):数量 125(預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目))× 価格 0.4%(預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 5,000 億円・営業利益 2,250 億円。預かり資産は名目で年6.6%増、率は手数料ゼロ化で0.40%へ低下
- 銀行(SBI新生銀行中心):数量 36.0(総資産(兆円。名目))× 価格 1.0%(総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 3,600 億円・営業利益 2,016 億円。総資産は名目で年3.8%増、利鞘は小幅に改善
- 暗号資産(SBI VCトレード中心):数量 15.0(暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目))× 価格 1.1%(取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない))→ 売上 1,650 億円・営業利益 495 億円。取扱高は名目で年9.6%増、率は競争で低下
- 資産運用・PE投資・次世代事業:数量 8.0(運用・投資資産残高(兆円。名目))× 価格 4.4%(残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない))→ 売上 3,520 億円・営業利益 1,267 億円。評価益を均した率で積む(PEの山谷を除く)
倍率:事業の純利益 3,811 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.53 倍、時価総額 47,752 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NISA制度の効果が一巡した後も標準的なペースで資産形成が続き、地銀連合・暗号資産事業も標準的な成長にとどまる、最も重みを置く中心シナリオ。
やや悲観 22% 手数料ゼロ化の深化と銀行与信コストで利益率が削られる10年 利益 2,220 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 2,896 円1.87 兆円
NISA制度の効果は一巡するが、ネット証券間の低コスト化圧力が一段と強まり、SBI証券の非手数料収益の単価も下がり続ける。SBI新生銀行は景気の弱さが断続的に続き、与信コストの増加が利鞘を圧迫する。暗号資産事業も規制の重さと相場の弱さで取扱高の伸びが鈍り、海外の格安取引所との競合も強まる。資産運用は伸びが鈍り、PE投資の評価益は細る。「第4のメガバンク構想」の地銀連合も計画より遅れ、提携地銀の中には離脱するところも出て、規模の優位だけでは複合体のコストの重さを十分に補えない10年になる。転換社債は転換されるが、利益が細るため既存株主の取り分は薄まり、還元も方針どおり利益の3割にとどまる。
- 証券(SBI証券中心):数量 105(預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目))× 価格 0.4%(預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 3,780 億円・営業利益 1,436 億円。低コスト化で率が低下、預かり資産の伸びも鈍る
- 銀行(SBI新生銀行中心):数量 31.0(総資産(兆円。名目))× 価格 0.9%(総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 2,728 億円・営業利益 1,309 億円。与信コスト増で利鞘圧縮
- 暗号資産(SBI VCトレード中心):数量 9.0(暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目))× 価格 1.0%(取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない))→ 売上 900 億円・営業利益 180 億円。規制強化・相場の弱さで伸び鈍化
- 資産運用・PE投資・次世代事業:数量 6.8(運用・投資資産残高(兆円。名目))× 価格 3.8%(残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない))→ 売上 2,584 億円・営業利益 724 億円。評価益が細り伸び鈍化
倍率:10 年後の純利益 2220 億円(会社全体の額。転換後の既存株主の取り分は × 0.937)で ROE 6.1% は k 8.25% を下回るので、PER の上限は 1÷k = 11.8 倍。ためた利益は帳簿の額より小さな価値しかなく、ROE÷k = 0.72 を掛けた目安は約 8.5 倍。手数料と売買の利益が細り与信費用が重なる筋書きなので、これよりやや上の 9.0 倍に置いた(稼ぐ力 ÷ k に近い額)。
確率:ネット証券の低コスト化圧力の深化と、銀行業務の与信コスト・暗号資産規制の重さが重なり、成長ペースが計画より鈍る想定。10年という期間では市況の弱い年も相応に混ざる。
悲観 14% 構造的に負け、銀行与信コストと暗号資産規制強化が資本を消耗する10年 利益 224 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 774 円5,000 億円
10年のどこかで世界的な金融危機が発生し、株式・債券市場が急落する。SBI新生銀行は景気後退の長期化で与信コストが急増し、貸出資産の質が悪化して資本を消耗する。暗号資産市場は規制強化と相場低迷が長期化し、SBI VCトレードの取扱高が低迷を続ける。ネット証券間の競争激化で国内リテールの収益性も低下が続き、創業経営者への権限集中というガバナンス面の懸念が顕在化すれば、投資家の信頼も揺らぐ。資産運用・PE投資・次世代事業も評価下落と解約で伸びを欠く。国内最大のネット証券基盤という規模の優位だけでは複合体の資本効率の低さを補えず、政策保有株式や非中核資産の売却で資本を確保しながら配当の継続を優先するが、「第4のメガバンク構想」そのものが大きく見直しを迫られる苦しい10年になる。
- 証券(SBI証券中心):数量 80.0(預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目))× 価格 0.3%(預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 2,400 億円・営業利益 360 億円。リテール収益が構造的に低迷
- 銀行(SBI新生銀行中心):数量 25.0(総資産(兆円。名目))× 価格 0.5%(総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない))→ 売上 1,375 億円・営業利益 165 億円。与信コスト急増で資産縮小
- 暗号資産(SBI VCトレード中心):数量 4.0(暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目))× 価格 0.9%(取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない))→ 売上 360 億円・営業利益 −14 億円。規制強化・相場低迷の長期化
- 資産運用・PE投資・次世代事業:数量 4.8(運用・投資資産残高(兆円。名目))× 価格 3.0%(残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない))→ 売上 1,440 億円・営業利益 58 億円。評価損・解約で伸びを欠く
倍率:純利益は 220 億円ほどで、稼ぐ力は 220 ÷ 8.5% = 約 2,600 億円にすぎない。銀行・証券の子会社株は規制資本で拘束され売れないので、PE・ファンド出資・保有株・自己保有の暗号資産を税引き後で売れる分 5,000 億円を床とし、今の自己資本 17,949 億円の約 0.28 倍の 5,000 億円に置いた。転換社債は株価が転換価額を下回るので転換されず、満期に現金で返す(銀行・証券の借金と同じ仕入れの扱い)。
確率:リーマン級の信用収縮に加え、SBI新生銀行の与信コスト急増・暗号資産規制の強化・ガバナンス懸念の顕在化など複合的な悪材料が10年のどこかで重なる想定。複合体ゆえ他のネット証券単独会社より資本を消耗しやすいため相応の確率を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
証券(SBI証券中心)
株式・投信・外国株・クレカ積立等の口座数1,638万・国内首位のネット証券。手数料ゼロ化の中で信用取引金利・投信信託報酬配分等へ収益源を多様化。
| 数量預かり資産残高(兆円。株価の上昇込みの名目) | 価格預かり資産に対する収益の率(%。物価は掛けない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 66.0 | 0.4% | 2,904 | 1,308 |
| 10 年後 中立 | 125 | 0.4% | 5,000 | 2,250 |
取り方:SBI証券を中心とする預かり資産残高を66兆円(2026年3月末、SBIネオトレード証券・FOLIO分を含む)、信用取引金利・投信信託報酬配分等を含む収益の率を0.44%とおき、兆円×%×10000で億円に換算した。残高は金額そのもので、株価の上昇と物価の分を含む名目。このため率には物価を掛けず、手数料ゼロ化の競争で横ばいから低下に置く(2026-10-19 の書き直しで、率に物価を重ねていた二重がけを外した)。
銀行(SBI新生銀行中心)
2021年にTOBで子会社化し、2025年12月に再上場したSBI新生銀行(議決権71%)の貸出・運用業務。「第4のメガバンク構想」で地銀連合も形成。純利益には少数株主の取り分を引いて入れる。
| 数量総資産(兆円。名目) | 価格総資産に対する収益の率(%。物価は掛けない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 24.7 | 1.0% | 2,347 | 1,420 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 1.0% | 3,600 | 2,016 |
取り方:SBI新生銀行の総資産24.7兆円に、純金利収入等を反映した実効利鞘0.95%を掛けて算出。2026年3月期のSBI新生銀行当期利益1,134億円(JGAAP、単体)に概ね整合する税前水準に合わせた。総資産は金額の名目で、率は比率なので物価を掛けない(2026-10-19 の書き直しで、数量を名目に、率を物価抜きに揃えた)。
暗号資産(SBI VCトレード中心)
35種類の暗号資産の現物・レバレッジ取引・貸暗号資産・積立。SBI新生銀行・SBI証券との相互送客で顧客基盤を広げる。
| 数量暗号資産売買取扱高(兆円、年間。名目) | 価格取扱高に対する収益の率(スプレッド等、%。物価は掛けない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.0 | 1.3% | 780 | 212 |
| 10 年後 中立 | 15.0 | 1.1% | 1,650 | 495 |
取り方:SBI VCトレード等グループの暗号資産関連事業の年間取扱高を6兆円、実効スプレッド等を1.3%とおいた。2026年3月期の暗号資産事業セグメント売上896億円・利益212億円に概ね合わせた。取扱高は金額の名目、率は比率で物価を掛けない(2026-10-19 の書き直しで揃えた)。
資産運用・PE投資・次世代事業
SBI岡三アセットマネジメント等の投信・年金運用、フィンテック・AI関連ベンチャーへのPE投資、バイオ・Web3・再生可能エネルギー等の次世代事業をまとめた。
| 数量運用・投資資産残高(兆円。名目) | 価格残高に対する収益の率(%。評価益込み、物価は掛けない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5.0 | 5.1% | 2,560 | 1,126 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 4.4% | 3,520 | 1,267 |
取り方:SBI岡三アセットマネジメント等の運用資産残高とPE投資・次世代事業の投資資産残高を合わせて5兆円、収益の率を5.12%とおいた。2026年3月期の資産運用86億円・PE投資820億円・次世代220億円(税引前)の合算1,126億円に合わせた現在値。ただしこの率にはPE投資の公正価値評価益(910億円)と暗号資産の評価益が含まれ、再現性が低い(PE投資の税引前利益は2023年3月期の損失から2026年3月期の820億円まで大きく振れてきた)。10年の筋書きは、評価益の山を除いて均した率で置く。
リスクと懸念
一時要因込みの過去最高益
2026年3月期の純利益4,276億円には、住信SBIネット銀行株式の譲渡益1,416億円という一時要因が含まれる。PE投資の公正価値評価益(910億円)と暗号資産の評価益も、年によって大きく振れる。これらを除いた持続的な収益力は、報じられた過去最高益よりかなり低い。一時要因を前提にした値付けは、本質価値を過大に見積もるおそれがある。
複合体ゆえの経営の複雑さとガバナンス
証券・銀行・暗号資産・資産運用・PE投資という5つの性質の異なる事業を一体で保有する構造は、経営の複雑さを増す。創業経営者である北尾吉孝会長兼社長への権限集中と、フジ・メディア・ホールディングス株取得への言及など交渉相手に強い姿勢を取る経営スタイルは市場の評価が分かれ、高齢の経営者が中心にある中で後継体制も明確になっていない。
SBI新生銀行の銀行リスク
2021年のTOBで子会社化し2025年に再上場したSBI新生銀行は総資産24.7兆円の銀行業務特有の金利リスク・与信コストを抱える。世界的な金利環境の変化や景気後退時には貸倒コストが急増し、証券事業にはなかった種類のリスクをグループに新たに取り込んでいる。
暗号資産の市況急変動
暗号資産事業は国内稼働口座数約892万・預かり資産約5兆円とまだ規模が小さく、相場の急変動が起きれば取扱高・預かり資産の両方が急減しやすい。証券本体より収益の振れが大きく、規制の方向性次第で事業計画が大きく変わるリスクもある。
楽天証券との寡占競争・手数料ゼロ化の深化
SBI証券は口座数約1,638万で首位だが、楽天証券(約1,400万口座)との2社寡占構造が強まるほど差別化は難しくなる。国内株式売買手数料のゼロ化は既に常態化しており、信用取引金利・投信信託報酬配分といった非手数料収益の単価も長期的な低コスト化圧力に晒され続ける。
後継者問題
創業経営者である北尾吉孝会長兼社長は高齢であり、積極的な事業展開・M&Aを主導してきた経営手腕を後継者が同等に発揮できるかは不透明である。後継体制が明確でない期間が続くほど、長期の経営の継続性に対する懸念は大きくなる。
第4のメガバンク構想の実行リスク
SBI新生銀行を核とする地銀連合は島根銀行・福島銀行・東北銀行など9〜10行まで拡大しているが、過去には筑邦銀行のように構想から離脱した地銀もある。地銀への出資がそのまま収益化につながるとは限らず、地銀経営の弱さを吸収するコストがSBI側にのしかかる可能性がある。
転換社債による株数の増加
2031年満期の転換社債(残高1,000億円)は転換価額が今の株価を下回り、転換されれば株数が約7%増える。借金は減るが、既存株主の取り分は薄まる。株価が上がるほど転換が確実になり、薄まりも確実になる。
今後の分かれ目
- 一時要因を除いた実質ROEが二桁を大きく下回る水準まで下がったら
- 2026年3月期の過去最高益が一時的な水準だったとみて悲観側の筋書きの確率を上げる。
- 第4のメガバンク構想の地銀連合がさらに拡大し、提携行の業績改善が確認できたら
- SBI新生銀行を核とする広域地域プラットフォーマー化が構造的に進んでいるとみて楽観側の筋書きの確率を上げる。
- 暗号資産の規制が明確化し、取扱高・預かり資産が持続的に拡大したら
- 暗号資産事業が第3の収益源として本格的に育っているとみて楽観側の筋書きの確率を上げる。
- 世界的な金融危機や暗号資産価格の急落が起きたら
- 証券・銀行・暗号資産が同時に沈む複合リスクが顕在化したとみて、やや悲観・悲観側の筋書きに重みを移す。
- 北尾吉孝会長兼社長の後継体制が明確に示されたら
- 長期の経営の継続性への懸念が和らぐとみて楽観側の筋書きの確率を上げる。
- SBI新生銀行の与信コストが景気後退で急増したら
- 銀行業務のリスクが顕在化したとみて悲観側の筋書きの確率を上げる。
見ておくもの
- SBI証券の口座数・預かり資産残高
- SBI新生銀行の利鞘・与信コスト・地銀連合の提携行数
- 暗号資産事業(SBI VCトレード)の取扱高・預かり資産
- PE投資事業の評価益・売却益と、分けて開示される経常的な収益
- 一時要因を除いた実質ROE・実質純利益
- 北尾吉孝会長兼社長の後継体制に関する発表
倍率と資本コストの決め方
数量は金額(名目)、率は物価を掛けずに積んだ。預かり資産は名目で年6〜7%、率は手数料ゼロ化で0.44%から0.40%へ置いた(物価の二重がけを外した)。資本コストは基本7.5%にquality +1.0%を足した8.5%。倍率は今の株価を見ずに、各時点のROEとk、g 4%から正当化PERを出した。中立はROE 9.2%でkをわずかに上回り、下限の1÷k(11.8倍)に置いた。楽観側は上限の約9.4〜9.5割。やや悲観はROE 6%台で目安の8.5倍に近い9.0倍、悲観は売れる資産5,000億円を床にした。過去のPBR・同業の倍率は使っていない。総合は10年で+17%のやや割安。新生銀行の少数株主の取り分は純利益から引き、転換社債は株価が転換価額を上回る筋書きで転換される前提で、既存株主の取り分に直した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.4→13.74 倍・やや楽観 PER 12→13.18 倍・中立 PER 11.8→12.53 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足した 8.5%。複合体の見通しにくさは k に足さず、確率と中立の利益の削り込みで表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。
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読んだ資料
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- SBIの「第4のメガバンク構想」から筑邦銀行が離脱…残った地銀9行の選択は正しいのか?(FinTech Journal)
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