株譜
AI 銘柄分析 · 証券、商品先物取引業 · 試作

今村証券 7175

金沢の地場証券。相場の追い風と投信の積み上げで最高益だが、顧客は高齢で、10年の稼ぎは相場頼み。値段はおおむね妥当

やや割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)1,870 円96 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)1,684 円86 億円差 +11.0%
10 年後から見ると やや割安 価値 1,870 円96 億円 · 差 +11.0% · 期待の年率 +8.6%
期待の年率リターン(10 年)+8.6%資本コスト比 −0.1 pt
推定の資本コスト8.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

今村証券は、金沢に本店を置く北陸の地場の証券会社だ。筆者の結論は「おおむね適正」である。投資信託の残高を積み上げて収入を安定させる努力は本物だが、利益の大半はなお株の売買の手数料で、相場の波に乗っている。

2026年3月期は、株高で売買が膨らみ、純利益は11億円に達した。次の期も第1四半期の利益が前の年の4倍近い。ただ、こうした年は過去にもあり、相場が冷えると利益は2億〜3億円まで落ちた。10年の値打ちは、良い年でなく、山と谷を均した稼ぎで測るべきだ。

財務は厚い。顧客の預かり金とは別に、自社の現金が89億円あり、借金は信用取引の融資の分だけだ。事業に要らない現金は50億円を超えると見る。ただ、還元は配当性向35%ほどで、自社株買いは無い。

顧客の多くは北陸の高齢の資産家だ。相続のたびに資産が都会の子へ、ネット証券へ流れる。投信の残高の伸びがそれを上回れるかが、10年の分かれ目になる。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額とほぼ同じだ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、地場の証券会社は難しい投資先だ。稼ぎは相場に左右され、10年後の利益を言い当てることはできない。

今村証券の良い点は、正直な経営と厚い財務だ。借金に頼らず、自社の現金を89億円持つ。投信の残高を積み、相場に左右されにくい稼ぎを育てようとしている。地元の顧客との長い付き合いは、ネット証券にはまねしにくい。

気になる点は2つある。1つは顧客の高齢化だ。相続のたびに資産が離れ、新しい顧客の獲得はそれに追いつくのがやっとだ。もう1つは資本の使い方で、現金をため込み、還元は配当性向35%にとどまる。株主にとって、眠る現金の値打ちは帳簿ほどではない。

今は株高で利益が膨らんでいる。良い年の利益に高い値を付けるのは危うい。筆者は、均した稼ぎと厚い現金を合わせれば、今の値段はおおむね妥当で、大きな安全域は無いと見る。

何で稼ぐ会社か

稼ぎの4分の3は、株の売買の手数料だ。北陸3県を中心に支店を構え、外務員が顧客に銘柄を提案し、電話や店頭で注文を受ける。対面の手数料はネット証券よりずっと高く、2026年3月期の委託手数料は37億円だった。株高の年には売買が増え、手数料が一気に膨らむ。

2本目の柱は投資信託だ。募集の手数料と、残高に応じて毎年入る信託報酬の配分で稼ぐ。2026年3月期末の株式投信の残高は1,066億円と、1年で4割近く増えた。会社は、投信からの収入で販管費の何割を賄えるかを「経費カバー率」として追い、今は32%だ。2029年3月期に36%超、長い目で50%超を目指す。

残りは、債券の販売、引受、信用取引の金利などだ。預かり資産は全体で4,329億円ある。2032年3月期までに4,752億円にする目標を掲げ、新しい口座を毎年3,000ほど開く。

顧客の現金は信託で分けて管理され、会社の財産ではない。会社自身の現金は89億円で、ほかに地元の企業などの株を28億円持つ。設備はほとんど要らず、利益はそのまま現金として残る。

優良さと弱いところ

優良さで見ると、今村証券は「堅実だが、堀は狭い」。

強みは地元での信頼だ。北陸で長く営み、顧客の家族ぐるみの付き合いがある。地元の会社の情報を自前のレポートで届け、ネット証券にはできない相談に乗る。高齢の顧客には、家族が代わりに取引できる口座も用意した。こうした手間は、ネットの安い手数料では埋めにくい。

弱さもはっきりしている。手数料の大半は株の売買から来るので、相場が冷えれば利益は一気に細る。過去12年の営業利益率は12%から39%まで振れた。顧客は高齢化し、相続のたびに資産が都会やネット証券へ流れる。若い顧客はスマホで手数料ゼロの証券会社を選ぶ。

資本効率は低い。ROEは過去10年の中央値で7%で、資本コストを下回る。自社の現金を厚く抱え、還元は配当性向35%ほどにとどまるからだ。事業そのものの稼ぐ力は、帳簿のROEより高い。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

対面の証券会社は、追い風と逆風を同時に受けている。

追い風は「預金から投資へ」だ。個人の金融資産は2,500兆円を超え、新しいNISAの口座は2,200万を超えた。株高で売買も膨らみ、2026年3月期は多くの対面証券が増益になった。物価が上がる時代には、預金のままでは目減りするという意識も強まっている。

逆風はネットの安さと顧客の高齢化だ。大手のネット証券は国内株の手数料を条件次第でゼロにした。若い世代はスマホで投資を始め、対面の店には来ない。対面の顧客は高齢で、相続のたびに資産は子の住む都会やネット証券へ移る。地方ほど人口は早く減る。

業界の答えは、売買の手数料から、残高に応じた収入への組み替えだ。投信やラップ運用の残高を積み、相場に左右されにくい稼ぎを厚くする。岡三証券や東海東京も同じ道を歩む。ただ、信託報酬の率も低いコストの投信に押されて下がっている。

地方の証券会社は小さく、システムや人材の費用を賄う規模の壁がある。再編の話は絶えず、地銀系の証券会社も競争相手だ。北陸では、地銀の系列の証券会社も店を構え、同じ資産家を取り合う。

資本政策と M&A

還元は配当だけだ。配当性向はおよそ35%で、2026年3月期は年3.7億円を配った。次の期の配当は決めていない。自社株買いはしていない。

そのため、自社の現金は積み上がってきた。10年前に36億円ほどだった純現金は、89億円に増えた。顧客の預かり金とは別の、会社自身のお金だ。自己資本規制比率は675%で、規制の下限を大きく上回る。事業に要らない現金は50億円を超えると見る。

地元の企業などの株も28億円持ち、毎年少しずつ売っている。買収の歴史は乏しい。地方の証券会社は再編の対象になりやすく、厚い現金は買う側から見て魅力がある。そうした発表は無い。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

「預金から投資へ」は一時の流行ではない。物価が年3%上がる時代に、預金のままでは資産が目減りする。北陸の資産家も、その意識を強めている。今村証券は地元で長く信頼され、相談に乗れる外務員を抱える。ネット証券は安いが、相続や事業の承継、資産の組み替えの相談には乗れない。

投信の残高は1年で4割近く増え、過去最高の1,066億円になった。残高が増えるほど、毎年入る信託報酬が積み上がる。経費カバー率が50%に近づけば、相場が冷えても赤字にはならない会社になる。

財務も厚い。自社の現金は89億円あり、事業に要らない分だけでも50億円を超える。地方の証券会社の再編が進めば、今村証券は買う側にも、高く評価される買われる側にもなれる。株高が続けば、利益は今の水準を保ち、現金はさらに積み上がる。

家族サポート口座のように、高齢の顧客とその家族を一緒に支える仕組みは、相続の後も資産を残してもらう布石になる。スマホのアプリも始め、若い家族との接点を作ろうとしている。地元で何代も続く付き合いは、ネットの安さでは崩しにくい。

慎重な見方

今の利益は相場のおかげだ。日経平均が最高値を更新した年に売買が膨らみ、委託手数料が3割以上増えた。相場が冷えれば、利益は2億〜3億円まで落ちる。過去12年で何度もそうなった。良い年の利益を10年続くと考えるのは誤りだ。

顧客の高齢化は止まらない。北陸の人口は全国より早く減り、相続のたびに資産は都会の子へ、ネット証券へ流れる。新しい口座は年3,000ほどで、離れていく資産を埋めるのがやっとだ。若い世代はスマホで手数料ゼロの証券会社を選び、対面の店には来ない。

投信も安泰ではない。低いコストの投信が広がり、信託報酬の率は下がり続ける。外務員の人件費は物価とともに上がり、システムの費用も重い。現金は厚いが、配当性向35%で、自社株買いは無い。株主にとって、眠る現金は帳簿ほどの値打ちが無い。

地銀の系列の証券会社も同じ顧客を狙う。小さな会社ほど、システムやセキュリティの費用の重さが効く。株高の年の利益を基準に会社を見れば、値打ちを大きく見誤る。過去の谷の年の利益こそ、この会社の実力に近い。

どちらに重みを置いたか

慎重な見方がやや強い。投信の残高の伸びは本物だが、今の利益の大半は株高による売買の手数料で、10年続くとは言えない。中立は預かり資産が名目でゆるやかに増え、手数料率は下がるとし、販管費は物価で上がるとした。やや悲観と悲観に3割強の重みを置いた。投信の残高が相場の上げ以上に増え続け、経費カバー率が4割を超えれば、強気の見方に寄せる余地がある。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 2,929 円150 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 919 円47 億円)。 今の値に割り戻すと 1,870 円96 億円、今との差 +11.0%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 8.8%)→ やや割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 5,058 円259 億円 1,233 円63 億円 +273.6% +14.1% 629 円32 億円
やや楽観 22% 3,981 円204 億円 1,091 円56 億円 +201.2% +11.7% 1,116 円57 億円
中立 36% 3,262 円167 億円 977 円50 億円 +151.7% +9.7% 1,526 円78 億円
やや悲観 21% 1,366 円70 億円 754 円39 億円 +25.9% +2.3% 445 円23 億円
悲観 11% 782 円40 億円 410 円21 億円 −29.2% −3.4% 131 円7 億円
加重平均100% 2,929 円150 億円919 円47 億円 +128.5% +8.6% 3,847 円197 億円

今の株価時価総額 1,684 円86 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。

楽観 10% 投信の残高が倍を超え、相場も続く 利益 19 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 5,058 円259 億円

物価と賃金が上がる時代に、北陸の資産家も預金から投資へ動く。今村証券は相続の相談や家族の口座で、子の世代も顧客につなぎ止める。株式投信の残高は10年で2倍を超え、経費カバー率は50%に近づく。

株高は続き、売買の手数料も高い水準を保つ。手数料率はゆるやかに下がるが、預かり資産が名目で5割増えて補う。販管費は物価で上がるが、投信の収入でほぼ賄える。

純利益は今の2倍近くになる。配当は増え、現金はさらに積み上がる。地方の証券会社の再編で、今村証券が近隣の会社を引き受ける場面もありうる。

地元の企業の事業承継の相談も増え、法人の仕事が新しい柱に育つ。

  • 株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支):数量 4,800(投信を除く預かり資産(億円・名目))× 価格 105.0%(預かり資産に対する年間の収入の率(%))→ 売上 50 億円・営業利益 13 億円。預かり資産 1.47 倍(名目)・率 1.05%・利益率 25%
  • 投資信託(募集手数料・信託報酬):数量 2,400(株式投信の預かり残高(億円・名目))× 価格 100.0%(残高に対する年間の収入の率(%))→ 売上 24 億円・営業利益 12 億円。残高 2.25 倍(名目)・率 1.0%・利益率 50%

倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 11.91 倍、時価総額 259 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:株高が続き、投信の残高が10年で倍を超える筋書き。相場と顧客の世代交代の両方がうまく運ぶ必要がある。

やや楽観 22% 投信が育ち、相場は普通 利益 15 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 3,981 円204 億円

相場は山と谷を繰り返すが、均せば名目でゆるやかに上がる。今村証券は投信の提案を続け、株式投信の残高は10年で2倍になる。経費カバー率は会社の目標の36%を超え、40%台に乗る。

株の売買の手数料は、相場の普通の年の水準に戻る。手数料率は下がるが、預かり資産が名目で3割増えて補う。外務員の賃金は物価とともに上がる。

純利益は今よりやや多い水準を保つ。配当性向は35%ほどのままで、現金は積み上がる。顧客の世代交代は道半ばだが、家族の口座の仕組みで流出の一部を防ぐ。

スマホのアプリで家族とつながり、相続の後も資産の一部が残る。

  • 株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支):数量 4,400(投信を除く預かり資産(億円・名目))× 価格 102.0%(預かり資産に対する年間の収入の率(%))→ 売上 45 億円・営業利益 9 億円。預かり資産 1.35 倍(名目)・率 1.02%・利益率 20%
  • 投資信託(募集手数料・信託報酬):数量 2,150(株式投信の預かり残高(億円・名目))× 価格 97.0%(残高に対する年間の収入の率(%))→ 売上 21 億円・営業利益 10 億円。残高 2.0 倍(名目)・率 0.97%・利益率 48%

倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:投信の残高が会社の目標を上回って育ち、相場は均せば普通の筋書き。直近の流れの延長に近い。

中立 36% 残高は増えるが、率と費用に削られる 利益 12 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 3,262 円167 億円

相場は均せば名目で上がるが、高齢の顧客の相続で資産が流れ、預かり資産の伸びは物価に届かない。投信を除く預かり資産は10年で2割強、株式投信の残高は8割増える。会社の2032年の目標に近い水準だ。

手数料率は下がる。対面の売買の手数料は、株高の今の年より低い普通の年の水準に戻り、信託報酬の率も低いコストの投信に押される。一方で、外務員の賃金とシステムの費用は物価とともに上がる。

営業利益は今とほぼ同じ名目の額にとどまり、物価を除けば縮む。配当性向35%で配り、現金はなお積み上がる。北陸の堅実な地場証券であり続けるが、伸びは小さい。

  • 株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支):数量 4,000(投信を除く預かり資産(億円・名目))× 価格 100.0%(預かり資産に対する年間の収入の率(%))→ 売上 40 億円・営業利益 6 億円。預かり資産 1.23 倍(名目)・率 1.0%・利益率 16%
  • 投資信託(募集手数料・信託報酬):数量 1,900(株式投信の預かり残高(億円・名目))× 価格 95.0%(残高に対する年間の収入の率(%))→ 売上 18 億円・営業利益 8 億円。残高 1.78 倍(名目)・率 0.95%・利益率 45%

倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 167 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:預かり資産は名目でゆるやかに増えるが、手数料率は下がり、販管費は物価で上がる筋書き。会社の目標と業界の流れにいちばん合う。

やや悲観 21% 相続で資産が流れ、売買も細る 利益 5 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,366 円70 億円

北陸の人口減と顧客の高齢化が進み、相続のたびに資産が都会の子へ、ネット証券へ流れる。新しい口座の獲得は流出に追いつかず、投信を除く預かり資産は名目でもほぼ増えない。投信の残高も伸びが鈍る。

相場は長い調整に入り、売買の手数料は細る。手数料率も、対面の顧客が安いネット証券と比べるようになり下がる。外務員の賃金とシステムの費用は物価で上がり、営業利益は今の半分以下になる。

配当は守るが、厚い現金は眠ったままだ。地方の証券会社の再編の中で、自力で伸びる道は狭くなる。ROEは資本コストを大きく下回る。

地銀の系列の証券会社との競争も激しくなる。

  • 株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支):数量 3,300(投信を除く預かり資産(億円・名目))× 価格 90.0%(預かり資産に対する年間の収入の率(%))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。預かり資産 1.01 倍(名目)・率 0.9%・利益率 5%
  • 投資信託(募集手数料・信託報酬):数量 1,400(株式投信の預かり残高(億円・名目))× 価格 90.0%(残高に対する年間の収入の率(%))→ 売上 13 億円・営業利益 4 億円。残高 1.31 倍(名目)・率 0.9%・利益率 35%

倍率:事業の ROE は 3% 台で k を大きく下回る。価値はこの筋書きの稼ぐ力(純利益 5.5 億÷k≒61 億)まで。上限 1÷k の 7 割強の 8.0 倍に置き、余った現金は谷で食う分を見て 0.75 倍。

確率:顧客の相続とネットへの流出が進み、相場も冷える筋書き。地方の対面証券に共通の逆風で、2割強とした。

悲観 11% 顧客が去り、対面の店が赤字に 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 782 円40 億円

相続とネットへの流出で、顧客の資産は10年で2割減る。若い世代はほとんど口座を開かず、外務員の数も減る。相場の長い低迷が重なり、株の売買の手数料は大きく細る。

投信の残高も、低いコストの投信に乗り換えられて伸びない。売買の部門は赤字になり、投信の収入で辛うじて全社の損益がゼロ近くに保たれる。

経営は支店を減らし、人を絞る。厚い現金は残るが、少数株主はそれを自分に戻すよう求められない。価値は、割り引いた現金と持ち合いの株の売却の値打ちにとどまる。地方の証券会社の再編で、安い値段で他社に引き取られる道もある。

  • 株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支):数量 2,600(投信を除く預かり資産(億円・名目))× 価格 80.0%(預かり資産に対する年間の収入の率(%))→ 売上 21 億円・営業利益 −2 億円。預かり資産 0.8 倍(名目)・率 0.8%・赤字
  • 投資信託(募集手数料・信託報酬):数量 1,000(株式投信の預かり残高(億円・名目))× 価格 85.0%(残高に対する年間の収入の率(%))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。残高 0.94 倍(名目)・率 0.85%・利益率 25%

倍率:稼ぐ力はほぼゼロなので、今の自己資本 131.8 億に掛ける PBR で置いた。床は売れる資産の約 42 億(floor_assets)。時価総額 40 億で PBR 0.30 倍。

確率:世代交代で顧客が去り、相場も長く冷える構造的な負け。財務が厚く、過去に赤字の年が無いので1割強とした。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

株・債券の売買ほか(委託・引受・債券・金融収支)

日本株・外国株の委託手数料が中心。債券の販売、引受、信用取引の金利などを含む。相場で大きく振れる。

数量投信を除く預かり資産(億円・名目)価格預かり資産に対する年間の収入の率(%)売上営業利益
今 2026/03 3,263 116.8% 38 9
10 年後 中立 4,000 100.0% 40 6

取り方:業界ノートの決めどおり、数量は預かり資産(お金の量なので名目)、価格は率(物価では上がらない)。預かり資産 4,329 億から株式投信 1,066 億を引いた 3,263 億。収入は営業収益 49.1 億から投信の収入(経費カバー率 31.7%×販管費 34.7 億≒11.0 億)を引いた 38.1 億で、率は 1.17%。株高で売買が膨らんだ年の率で、10 年は均して下げる。営業利益は按分の推定。

投資信託(募集手数料・信託報酬)

株式投信の募集手数料と、残高に応じて毎年入る信託報酬の配分。

数量株式投信の預かり残高(億円・名目)価格残高に対する年間の収入の率(%)売上営業利益
今 2026/03 1,066 103.0% 11 5
10 年後 中立 1,900 95.0% 18 8

取り方:残高は短信の期末 1,066 億(名目)。収入は会社の「受益証券による経費カバー率」31.7% に販管費 34.7 億を掛けた約 11.0 億で、率は 1.03%。率は物価で上がらず、低コストの投信に押されて下がる。営業利益は売上の 45% と推定。

リスクと懸念

相場への依存

収入の4分の3は株の売買の手数料で、相場が冷えれば一気に細る。過去12年の営業利益率は12%から39%まで振れた。2026年3月期の最高益は、日経平均が最高値を付けた年の数字だ。

顧客の高齢化と相続による流出

顧客は北陸の高齢の資産家が中心だ。相続のたびに資産は都会の子へ、ネット証券へ流れる。北陸の人口は全国より早く減り、新しい口座の獲得は流出を埋めるのがやっとだ。

手数料と信託報酬の率の低下

ネット証券は国内株の手数料をゼロにし、低いコストの投信も広がった。対面の高い手数料と、投信の信託報酬の率は、10年で下がる圧力を受ける。

費用の上昇

外務員の賃金とシステム・セキュリティの費用は物価とともに上がる。収入が名目で伸び悩めば、利益率は下がる。小さな会社ほど、システムの費用の重さが効く。

現金が眠る

自社の現金89億円と地元企業などの株28億円を抱え、還元は配当性向35%ほどだ。自社株買いは無い。資本が眠るほどROEは下がり、株主の価値にならない。

今後の分かれ目

経費カバー率が40%を超える
相場に左右されにくい稼ぎが育ったと見て、中立の利益率を上げ、やや楽観の確率を上げる。
預かり資産が相場の上げ以上に増え、2032年の目標を早く超える
顧客の流出を獲得が上回っていると見て、中立の預かり資産を上げる。
自社株買いや配当性向の引き上げで、総還元性向を5割以上にする
眠っていた現金が株主に戻ると見て、戻り方を 1.0 に上げる。
相場が長く冷え、委託手数料が2期続けて3割以上減る
慎重な筋書きに近づいたと見て、やや悲観の確率を上げる。
地方の証券会社の再編で、買収や統合の発表が出る
厚い現金に値段が付く。本質価値とは別の上振れとして扱う。

見ておくもの

  • 預かり資産と株式投信の残高
  • 受益証券による経費カバー率
  • 委託手数料と相場の売買代金
  • 新しい口座の数
  • 配当性向と自社株買いの有無

倍率と資本コストの決め方

業界ノートの決めどおり、数量は預かり資産(名目)、価格は収入の率(物価では上がらない)で積んだ。2026/03 期は株高で売買が膨らんだ年なので、10 年は率を均して下げ、販管費は物価で上げた。k は 7.5% に quality +1.5% で 9.0%(同じ領域の多くの会社と同じ)。中立は事業の ROE が k を下回るので PER の上限 1÷k の 9 割。余った現金は自社の現金 89 億のうち 55 億だけで、顧客の預かり金は数えない。持ち合いの株は配当を利益に残すので足さない。今の PER・PBR は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.91 倍・やや楽観 PER 10.3→11.43 倍・中立 PER 10→11.43 倍)。

資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質の調整+1.5%を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。

同じ業種(証券、商品先物取引業)の AI 分析

割安 HSホールディングス8699 稼ぎの大半はモンゴルの一行から来る。法律で持分を3割手放す期限が迫り、その現金の行き先が値打ちを決める 本質価値との差 +143.2% · 10 年 割安(年 +18.1%) 割安 トレイダーズホールディングス株式会社8704 個人向け FX の中堅で、変動の大きい相場と口座増が追い風。ただし値下げ競争と事故の怖さがあり、10 年で測っても余白は荒い 本質価値との差 +72.8% · 10 年 割安(年 +13.5%) 割安 あかつき本社8737 中古マンションの買取再販と IFA 証券の二本立て。利益は山にあるが、今の値段は利益の 5 倍弱と低く、10 年の価値は割安とみる 本質価値との差 +48.3% · 10 年 割安(年 +11.7%) 割安 豊トラスティ証券8747 金を軸にした商品先物の老舗。前期の利益は山で、均すと今の値段はほぼ妥当。下値は現金が支える 本質価値との差 +45.0% · 10 年 割安(年 +11.1%) 割安 野村ホールディングス8604 NISAで預かり資産が名目で伸びる。手数料率を物価並みとみてなお、10年後の価値は今の値段を上回るが、割安幅は小さく適正。海外ホールセールの市況依存は残る 本質価値との差 +40.5% · 10 年 割安(年 +10.5%) 割安 SBIホールディングス8473 預かり資産は伸びるが、手数料ゼロ化で率は下がり、PE投資の評価益は均して見る。還元は方針の3割で自己資本がたまり、ROEは9%台に落ち着く。今の値段はやや割安 本質価値との差 +30.1% · 10 年 割安(年 +10.2%) やや割安 株式会社大和証券グループ本社8601 資産管理型への転換でストック収益が育つが、手数料率は物価並みとみると、10年後の価値は今の値段とほぼ釣り合う。あおぞら銀行出資とホールセールの振れが残る 本質価値との差 +26.6% · 10 年 やや割安(年 +9.3%) やや割安 スパークス・グループ株式会社8739 運用残高から手数料を取る高採算の資産運用会社。成長は本物だが市況と創業者に乗っており、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +22.3% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) 適正 FPG7148 リースの稼ぐ力は本物だが、利益の土台が税制に二つ乗る。値段はおおむね妥当で、中身は割り引いて見たい 本質価値との差 +4.8% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー7172 税の繰り延べ商品で稼ぐ高採算の会社。利益は厚いが税制と為替に乗っており、今の値段はほぼ適正 本質価値との差 +1.8% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 ジャフコ グループ株式会社8595 国内最古参の独立系ベンチャー投資会社。財務は堅いが稼ぎは資本コスト並みで、値段はほぼ適正かやや割高 本質価値との差 −3.9% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 GMOフィナンシャルホールディングス7177 FXとCFDの稼ぐ力は本物だが、堀は浅く利益は相場頼み。10年で見ると今の値段には余裕がなく、やや割高とみる 本質価値との差 −9.8% · 10 年 適正(年 +6.0%) やや割高 マネックスグループ8698 利益は米国の売買とコインチェックの取引に左右され、稼ぐ力は資本コストを少し超える程度。10 年の本質価値は今の時価総額を約 2 割下回る 本質価値との差 −12.1% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 いちよし証券8624 ストック収入への転換は本物だが、今の利益は相場の追い風で膨らんでいる。10 年で見ると今の値段はやや高い 本質価値との差 −14.9% · 10 年 やや割高(年 +5.3%) やや割高 マーキュリアホールディングス7347 出口の時期で利益が大きく振れる小さな運用会社。管理報酬は安定するが、10 年の本質価値は今の時価総額を下回る 本質価値との差 −21.0% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 岡三証券グループ8609 追い風の相場で稼ぐ今の利益は平時の姿ではない。対面証券の先細りを考えると今の値段は高い 本質価値との差 −23.2% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 極東証券8706 債券の差益に頼る小さな対面証券。前期の好業績は平時の姿ではなく、今の値段は高い 本質価値との差 −24.5% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 東海東京フィナンシャル・ホールディングス8616 富裕層向けの稼ぎ方は変わりつつあるが、利益の半分は相場次第。稼ぐ力は資本コストにまだ届かず、今の値段は高い 本質価値との差 −25.2% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 岩井コスモホールディングス8707 外国株の売買で稼ぐ大阪の対面証券。今の利益は相場の追い風で、平時の力は 8 割ほどと見る 本質価値との差 −25.6% · 10 年 やや割高(年 +3.8%) やや割高 水戸証券8622 資産管理型への転換は進むが、利益は相場の山の年に膨らんでいる。10 年の均しでは価値が今の値段を大きく下回る 本質価値との差 −30.0% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 丸三証券8613 投信の残高が育ち会社は良くなったが、今の利益は相場の追い風で膨らんでいる。平時の利益で測ると今の値段は高い 本質価値との差 −32.6% · 10 年 割高(年 +3.0%) 割高 丸八証券8700 名古屋の老舗の対面証券。相場の追い風で利益は膨らんだが、ならした稼ぐ力は資本コストに遠く届かない 本質価値との差 −36.3% · 10 年 割高(年 +2.3%) 割高 日産証券グループ8705 金と商品先物に強い老舗の証券。今期の利益は金相場が生んだ山で、10年の価値は今の値段を下回る 本質価値との差 −36.5% · 10 年 割高(年 +2.1%) 割高 松井証券株式会社8628 足元の最高益は相場の山の上にある。ならした稼ぐ力と手数料ゼロ化の圧力を見ると、今の時価総額は本質価値を大きく上回る 本質価値との差 −37.4% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 東洋証券8614 預かり資産1.6兆円の対面証券。2026年3月期は相場の追い風で最高益だが、利益は市況で大きく振れ、10年の本質価値は今の値段を5割余り下回り割高 本質価値との差 −50.5% · 10 年 割高(年 −0.3%) 割高 アイザワ証券グループ8708 稼ぐ力は低いのに、配当の多さと保有株で値段が支えられている。本業の利益で測ると今の値段は高い 本質価値との差 −54.2% · 10 年 割高(年 −1.0%) 割高 光世証券8617 大阪・北浜の老舗の小さな証券会社。本業はほぼとんとんで、株と現金の資産が会社を支える 本質価値との差 −63.1% · 10 年 割高(年 −2.2%) 割高 小林洋行8742 資産は厚いが、稼ぎは本社費に消える。帳簿の 6 掛けでも、稼ぐ力から見れば割高だ 本質価値との差 −69.4% · 10 年 割高(年 −4.5%) 割高 日本アジア投資8518 独立系の老舗 VC。帳簿の半値でも、稼ぎは資本コストに遠く、株主に戻る道が細い 本質価値との差 −71.2% · 10 年 割高(年 −4.1%)

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読んだ資料

  1. 2026年3月期 決算短信(非連結)
  2. 2026年3月期 決算の要約(モネックス証券のニュース)

分析日 2026-10-20