結論
光世証券は、大阪の北浜に本店を構える独立系の小さな証券会社だ。社員は 37 人で、対面の委託売買と自社の資金での売買を営む。筆者の結論は割高である。持っている現金と株は厚いが、本業はほぼ稼がず、その資産が少数株主に戻る道も細いからだ。
自己資本は約 163 億円で、時価総額の 2.7 倍ある。そのうち現金が約 40 億円、日本取引所グループの株が約 30 億円を占める。数字だけ見れば、とても安い。
しかし過去 12 年の営業利益を平均すると、小さな赤字になる。黒字の年は相場の追い風が吹いた年で、2026/03 期もトレーディングの益が前期の 3.5 倍に膨らんだ山の年だ。経常の黒字は、持ち株の配当と利息がかろうじて支えている。
10 年先を考えると、対面の顧客は年を重ね、相続のたびに資産はネット証券へ移る。大株主の会社が議決権の 4 割を持ち、資産を株主に戻す方針も見えない。安く見える資産も、手元に届かなければ値打ちは小さい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、光世証券は典型的な「安く見えるが、持ち主の値打ちが育たない」会社だ。時価総額は自己資本の 4 割に満たず、現金と持ち株だけで時価総額を上回る。資産で見れば、明らかに安い。
しかし株主が受け取れるのは、毎年の配当と、いつか資産が戻る見込みだけだ。本業は 10 年以上ほとんど稼いでおらず、資本の半分近くは現金と持ち株として寝ている。その資本は年 2% 前後しか稼がず、資本コストを毎年下回る。時間が経つほど、持ち主の値打ちは目減りする。
大株主が 4 割を持つ限り、資産を戻す決断は少数株主には動かせない。筆者は、資産の厚さを安全域と呼ぶには、それが株主に渡る道筋が要ると考える。この会社にはまだその道筋が無い。払う値段は、戻ってくると見込める分だけで測るべきだ。筆者はその道筋が見えるまで待つ。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく 2 つある。1 つは委託売買で、大阪と東京の店で、昔からの個人と法人の顧客の株の売買を取り次ぐ。投資信託の販売や、引受け・売出しも手がける。2026/03 期の受入手数料は 2.7 億円だった。
もう 1 つは自己売買だ。自社の資金で株式や債券、先物やオプションを売買し、その値動きで稼ぐ。2026/03 期のトレーディングの益は 5.9 億円で、前期の 3.5 倍に膨らんだ。信用取引などの金融収益も 1 億円ある。この部門は相場の良し悪しで大きく振れる。
営業収益は 11 億円、販管費は 10 億円で、本業の利益はほとんど残らない。経常利益が 2.5 億円に膨らんだのは、日本取引所グループなど持ち株の配当と、手元の現金の利息のおかげだ。
会社の資産は厚い。上場株を 33 銘柄、34 億円持ち、そのうち 30 億円が日本取引所グループの株だ。土地も 28 億円ほど持つ。自己資本規制比率は 875% と、規制の水準を大きく上回る。言い換えれば、本業の大きさに比べて資本がはるかに多い会社である。
優良さと弱いところ
堀と呼べる強みは見当たらない。委託売買の手数料は、ネット証券が売買の手数料をゼロに近づけた今、対面の顧客の長い付き合いだけで保たれている。新しい顧客を呼び込む力は弱く、顧客は年とともに減っていく。
自己売買には、少人数の目利きが効く年もある。ただ相場の向きしだいで、過去 12 年のうち 7 期は本業が赤字だった。腕の良い担い手に頼る事業は、人が替われば稼ぎも変わる。
資本の効率はきわめて低い。自己資本 163 億円に対して、純利益は年 2 億円前後の黒字と赤字を行き来し、ROE の中央値はマイナスだ。資本の半分近くを現金と持ち株で寝かせており、その稼ぎは配当と利息だけである。
経営の資本の使い方にも変化は乏しい。持ち株は全銘柄の保有を続けると決め、自社株買いの規模も小さい。財務の安全は十分だが、それが株主の値打ちに変わっていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
証券の業界は、ネットと対面に大きく分かれた。ネット証券は株の売買の手数料をゼロに近づけ、新 NISA で若い世代の口座を一気に集めた。対面の証券会社は、手数料の高さを相談の値打ちで支えるしかない。
対面の顧客の中心は高齢の資産家だ。相続のたびに資産は子の世代に渡り、その多くはネット証券や銀行へ移っていく。大手や中堅の対面証券は、資産の管理や事業の承継の相談に軸足を移して生き残りを図っている。光世証券のような社員 40 人足らずの会社には、その転換を進める人手も資金の余裕も乏しい。
自己売買の環境は相場しだいだ。2024 年以降の株高と売買の活況は追い風だったが、相場は山と谷を繰り返す。リーマン級の急落では、売買代金も持ち株の値打ちも同時に落ちる。
業界の再編は進んでいる。地方の小さな証券会社は、大手の傘下に入るか、事業を譲って畳む例が増えた。光世証券も大株主の判断しだいで、そうした道を選ぶ可能性はある。ただその条件は外からは見えない。
人手の面でも、対面の営業は先細りだ。外務員の担い手は年を重ね、若い人は集まりにくい。
資本政策と M&A
配当は安定を念頭に置きつつ内部の蓄えにも配慮する方針で、2026/03 期は総額 9 千万円余りを払った。純利益の半分弱にあたる。自己株の取得はごく小さい。
持ち株は日本取引所グループを中心に 34 億円あり、取締役会は全銘柄の保有を続けると確かめた。配当は利益に入っているので、ここで別に足すことはしない。売る方針が出れば、その分は株主の値打ちとして数え直す。
大株主は巽也蔵・巽事務所・哲学の道文庫の 3 社で議決権の約 4 割を持つ。経営の方針はこの 3 社しだいで、資産の還元や再編の話は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産の厚さは圧倒的だ。自己資本は時価総額の 2.7 倍あり、現金と日本取引所グループの株だけで時価総額を上回る。借金は無く、自己資本規制比率は 875% と、潰れる心配はまず無い。
本業も底を打っている。2026/03 期は相場の追い風でトレーディングの益が 3.5 倍になり、経常利益は 2.5 億円に戻った。会社は来期も黒字を見込む。金利が 2% に上がれば、手元の現金の利息だけで年 7 千万円近くが利益に足される。日本取引所グループの株は、日本の株の売買が増えるほど配当を増やす。
大株主の会社が 4 割を持つ形も、裏を返せば再編の時に話がまとまりやすい。小さな証券会社の統合は進んでおり、資産に目を付けた買い手が現れれば、値打ちは一気に表に出る。
借金を抱えず現金を厚く持つ会社は、相場が崩れた時にこそ動ける。安値で資産を買い増す、あるいは同業を引き受ける余力がある。少人数の会社なので、固定費も大手よりずっと軽い。
慎重な見方
資産がいくら厚くても、株主に渡らなければ意味が無い。大株主の会社が 4 割を持ち、持ち株は全銘柄の保有を続けると決めている。自社株買いもごく小さい。資産を戻す気配はどこにも無い。
本業は稼げない。過去 12 年で営業利益が赤字だった年は 7 期あり、平均すると小さな赤字だ。2026/03 期の黒字は相場の山に乗っただけで、繰り返す保証は無い。社員 37 人の会社では、腕の良い担い手が抜ければ自己売買の稼ぎも消える。
対面の顧客は年を重ね、相続のたびに資産はネット証券へ移る。新しい顧客を呼ぶ力は無い。資本の半分近くを年 2% 前後で寝かせる会社は、資本コストを毎年下回り、時間とともに持ち主の値打ちを削る。
日本取引所グループの株 1 銘柄に資産の多くを頼る点も危うい。その株価が崩れれば、自己資本も床も同時に削られる。少人数の会社では、事務やシステムの事故 1 つが 1 年の利益を吹き飛ばす。対面の証券会社の多くも同じ道をたどっている。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。資産の厚さは事実だが、それを株主に渡す仕組みが無く、本業は資本を稼ぎで支えられない。確率は中立に厚く置き、悲観側を合わせて 32% とした。強気の見方の言う再編は、条件が見えるまで値打ちに入れない。資産の還元や持ち株の売却の方針が出れば、楽観側に寄せ直す。金利の上昇で利息が増える点は、中立とやや楽観に入れた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 390 円37 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 79 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 216 円20 億円、今との差 −63.1%、 期待の年率 −2.2%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 704 円66 億円 | 129 円12 億円 | +42.2% | +3.6% | 83 円8 億円 |
| やや楽観 | 22% | 573 円54 億円 | 100 円9 億円 | +14.8% | +1.4% | 148 円14 億円 |
| 中立 | 36% | 318 円30 億円 | 85 円8 億円 | −31.2% | −3.7% | 145 円14 億円 |
| やや悲観 | 21% | 265 円25 億円 | 53 円5 億円 | −45.7% | −5.9% | 67 円6 億円 |
| 悲観 | 11% | 212 円20 億円 | 21 円2 億円 | −60.2% | −8.8% | 26 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 390 円37 億円 | 79 円7 億円 | −20.0% | −2.2% | 469 円44 億円 |
今の株価時価総額 586 円55 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 相場の追い風が続き、自己売買が稼ぐ 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 704 円66 億円
株式市場の活況が長く続き、自己売買は今年並みの稼ぎを毎年上げる。少人数の目利きが効く相場で、資本 60 億円ほどから年 7 億円近い収益を生む。
委託の手数料も、昔からの顧客の売買が保たれ、値上げも少し通る。人の数を絞ったまま、委託の部門はようやく収支がとんとんになる。
日本取引所グループの株の配当と、手元の現金の利息も利益を支える。それでも純利益は 3 億円に届かず、ROE は 2% 前後にとどまる。資本の厚さに対して稼ぎが細いという姿は、最もよい筋書きでも変わらない。配当は利益の半分ほどを払う。
- 委託・引受(ブローカレッジ):数量 443(顧客の委託売買代金(億円・推定))× 価格 1.2%(売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。売買代金 1.0 倍 × 手数料率 1.25 倍、収支とんとん
- 自己売買(ディーリング):数量 60.0(自己売買に使う資本(億円・推定))× 価格 0.12(資本 1 億円あたりの年間収益(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。自己売買の資本 60 億円 × 利回りは今年並み、利益率 50%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 66 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/03 期のトレーディング益は前期の 3.5 倍で、過去 12 年でも山の水準だ。これが 10 年続く筋書きは起こりにくく、10% とした。
やや楽観 22% 相場は平年並み、配当と利息で黒字を保つ 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 573 円54 億円
相場は山と谷を繰り返し、自己売買は今年の 85% ほどを平均で稼ぐ。委託の手数料は顧客の高齢化で少しずつ細るが、ネットに移らない長年の顧客が残る。
本業は赤字と黒字を行き来し、平均すると小さな赤字だ。その穴を、日本取引所グループの株の配当と手元の現金の利息が埋める。金利が 2% に上がれば、現金の利息だけで年 7 千万円近くになる。
純利益は年 1〜2 億円で、配当は利益の半分ほど。自己資本は少しずつ積み上がるが、稼ぎは資本に見合わない。
持ち株の配当は日本の株の売買の活況とともに増え、黒字を下支えする。
- 委託・引受(ブローカレッジ):数量 408(顧客の委託売買代金(億円・推定))× 価格 1.1%(売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。0.92 倍 × 1.18 倍、−8%
- 自己売買(ディーリング):数量 60.0(自己売買に使う資本(億円・推定))× 価格 0.10(資本 1 億円あたりの年間収益(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。利回りは今年の 85%、45%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 0.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.11 倍、時価総額 54 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:自己売買が今年の 85% を稼ぎ、配当と利息で黒字を保つ筋書き。過去 12 年で黒字だった年が半分ほどある実績から 22% とした。
中立 36% 本業はとんとん以下、資産が会社を支える 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 318 円30 億円
10 年たっても会社の形は変わらない。委託の顧客は年を重ね、相続のたびに資産がネット証券へ移っていく。委託の部門は人件費を賄えず、赤字が少しずつ広がる。
自己売買は相場の山と谷をならすと、今年の 7 割ほどを稼ぐ。本社の費用を引くと、本業の営業利益は年 2 億円近い赤字になる。
日本取引所グループの株の配当と手元の現金の利息が、その赤字をかろうじて埋める。純利益はゼロに近く、配当も細く続くだけだ。会社の値打ちは、稼ぐ力ではなく、持っている現金と株の値打ちで決まる。ただ大株主が 4 割を持つ会社で、その資産が少数株主に戻る道は細い。
- 委託・引受(ブローカレッジ):数量 377(顧客の委託売買代金(億円・推定))× 価格 1.0%(売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 −1 億円。顧客の高齢化で 0.85 倍 × 1.10 倍、−20%
- 自己売買(ディーリング):数量 60.0(自己売買に使う資本(億円・推定))× 価格 0.08(資本 1 億円あたりの年間収益(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。利回りは今年の 70%(山の年をならす)、35%
倍率:事業の純利益は現金と株の稼ぎを除くと赤字で、PER では値が付かない。余った資産 60 億円にオーナー支配の戻り方 0.5 を掛けた 30 億円を値打ちとし、その時点の自己資本 167.5 億円に対して PBR 0.18 倍とした。本業の資本には値を付けていない。
確率:過去 12 年の営業利益の平均は小さな赤字で、配当と利息がそれを埋めてきた。その形が続く筋書きを中立とし、36% を置いた。
やや悲観 21% 顧客が去り、赤字が資産を削る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 265 円25 億円
長年の顧客の多くが相続の時期を迎え、預かった資産は子の世代のネット証券へ移る。委託の手数料は 3 割減り、人件費を大きく下回る。
自己売買も相場の追い風を欠き、今年の半分しか稼げない。配当と利息を足しても毎年 1 億円余りの赤字が続き、手元の現金を少しずつ食う。
配当は細り、10 年で 5 億円ほどしか戻らない。会社の値打ちは、目減りした現金と株の半分ほどになる。
日本取引所グループの株は手放さず、配当だけが細く入り続ける。大株主は事業の譲渡にも清算にも動かず、資産は会社の中に眠ったまま目減りしていく。
- 委託・引受(ブローカレッジ):数量 310(顧客の委託売買代金(億円・推定))× 価格 0.9%(売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 −1 億円。0.70 倍 × 1.00 倍、−40%
- 自己売買(ディーリング):数量 54.0(自己売買に使う資本(億円・推定))× 価格 0.06(資本 1 億円あたりの年間収益(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。資本 0.9 倍 × 今年の半分、10%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。赤字で目減りした余った資産に戻り方 0.5 を掛けた床(25 億円)に合わせ、今の自己資本 163 億円に PBR 0.15 倍を掛けた。
確率:委託の顧客が細り、自己売買も振るわず、毎年の赤字が手元の現金を削る筋書き。過去 12 年で赤字が 7 期あった実績から 21% とした。
悲観 11% 相場の急落と顧客の流出が重なる 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 212 円20 億円
相場が大きく崩れ、自己売買は損を出す。日本取引所グループの株も値を下げ、売買の細りで配当も減る。
委託の顧客はさらに減り、手数料は今の半分を割る。本業の赤字は年 5 億円近くに広がり、配当と利息では埋まらない。
人を減らしても、本社と店の固定費は残る。配当はほぼ止まり、自己資本は持ち株の値下がりと赤字で 15 億円ほど削られる。残った現金と株の値打ちも、大株主が持つ会社では少数株主の手に届きにくい。
事業を譲る相手を探しても、顧客が細った小さな証券会社に高い値は付かない。会社は細りながらも残り続ける。
- 委託・引受(ブローカレッジ):数量 222(顧客の委託売買代金(億円・推定))× 価格 0.9%(売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む))→ 売上 2 億円・営業利益 −2 億円。0.50 倍 × 0.90 倍、−80%
- 自己売買(ディーリング):数量 48.0(自己売買に使う資本(億円・推定))× 価格 0.03(資本 1 億円あたりの年間収益(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 −1 億円。資本 0.8 倍 × 今年の 3 割、−40%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。値下がりした持ち株と減った現金に戻り方 0.5 を掛けた床(20 億円)に合わせ、今の自己資本 163 億円に PBR 0.12 倍を掛けた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.123 倍・時価総額 20 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:リーマン級の相場の急落で自己売買が損を出し、持ち株も値を下げ、委託の顧客も去る筋書き。2003 年の大きな赤字の実例があり 11% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
委託・引受(ブローカレッジ)
大阪と東京の店での、個人と法人の顧客の株式の売買の取次ぎ、投資信託の販売、引受け・売出し。
| 数量顧客の委託売買代金(億円・推定) | 価格売買代金 1 億円あたりの手数料(億円。手数料率約 0.95%、その他の営業収益を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 443 | 0.9% | 4 | −1 |
| 10 年後 中立 | 377 | 1.0% | 4 | −1 |
取り方:受入手数料 2.66 億円とその他の営業収益約 1.5 億円の合計 4.19 億円を、対面の手数料率をおよそ 0.6% とみた委託売買代金約 443 億円で割った。売買代金の開示は無く推定。販管費 10.1 億円のうち約 5 億円をこの部門に配った。
自己売買(ディーリング)
自社の資金で株式・債券・デリバティブを売買して得る収益と、信用取引などの金融収益。
| 数量自己売買に使う資本(億円・推定) | 価格資本 1 億円あたりの年間収益(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 0.12 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 0.08 | 5 | 2 |
取り方:トレーディング損益 5.93 億円と金融収益 1.01 億円の合計 6.94 億円を、自己売買に使う資本を約 60 億円とみて割った。2026/03 期は前期の 3.5 倍に膨らんだ山の年なので、10 年は資本 1 億円あたりの収益を 7 割前後にならす。物価で上がる値段ではなく相場の利回りなので、中立も 1.34 倍にしない。
リスクと懸念
相場の急落
収益の 6 割は自己売買と金融収益で、相場の向きで大きく振れる。リーマン級の急落では自己売買が損を出し、日本取引所グループなど持ち株の値打ちも同時に落ちる。2003/03 期には大きな赤字を出した。
顧客の高齢化と流出
対面の顧客の中心は高齢の資産家だ。相続のたびに資産は子の世代のネット証券や銀行へ移る。新しい顧客を呼ぶ力が弱く、委託の手数料は細っていく。
担い手への依存
社員は 37 人で、自己売買の稼ぎは少数の担い手の腕に頼る。担い手が抜ければ、稼ぎの源がそのまま消える恐れがある。
資産が戻らない
大株主の会社が議決権の約 4 割を持ち、持ち株は全銘柄の保有を続ける方針だ。現金と株の厚い資産も、清算や還元がなければ少数株主の手には渡らない。
持ち株の集中
持ち株 34 億円のうち 30 億円が日本取引所グループ 1 銘柄だ。その株価が下がれば、自己資本と悲観の床の両方が目減りする。
システムと事務の事故
自己売買はシステムに強く頼る。障害や発注の誤りが起きれば、少人数の会社には損失の負担が重い。
今後の分かれ目
- 持ち株の売却や大きな自社株買いの方針が出たら
- 資産が株主に戻る道が開いたとみて、戻り方を見直し楽観側に寄せる。
- 大株主の会社が持ち株を手放す、または再編の話が出たら
- 資産の値打ちが表に出る可能性が高まる。条件が出た時点で値打ちを測り直す。
- 相場が崩れ、自己売買が 2 期続けて赤字になったら
- やや悲観の筋書きに近づいたとみる。手元の現金の減り方を見る。
- 委託の手数料が 2 億円を割り込んだら
- 顧客の流出が速まった印とみて、悲観側の確率を上げる。
- 金利が 2% に上がり、利息と配当で毎年の黒字が保たれたら
- 中立とやや楽観の間に寄せる。ただ本業の赤字が広がっていないかを合わせて見る。
見ておくもの
- 受入手数料とトレーディング損益の推移
- 日本取引所グループの株価と配当
- 手元の現金と持ち株の残高
- 自社株買い・持ち株の売却の方針
- 大株主の持ち分の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PBR から置いていない。事業の ROE が k 9% に遠く届かないので PER の上限は 1÷k の 10.5 倍。本業が赤字に近い中立から下は、現金と持ち株の税後 60 億円にオーナー支配の戻り方 0.5 を掛けた資産の値で測った。自己資本の 4 割に満たない今の値段は割安の根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.11 倍・やや楽観 PER 10→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 2.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。