株譜
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マネックスグループ 8698

利益は米国の売買とコインチェックの取引に左右され、稼ぐ力は資本コストを少し超える程度。10 年の本質価値は今の時価総額を約 2 割下回る

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)569 円1,431 億円10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)648 円1,629 億円差 −12.1%
10 年後から見ると やや割高 価値 569 円1,431 億円 · 差 −12.1% · 期待の年率 +5.6%
期待の年率リターン(10 年)+5.6%資本コスト比 −2.9 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3%・10 年国債 3%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

マネックスグループは、4 つのエンジンで動く証券・暗号資産の会社だ。米国の TradeStation、国内のマネックス証券、暗号資産のコインチェック、運用会社である。エンジンが多いのは強みだが、どれも市況に弱く、利益が安定しない。

2026 年 3 月期の純利益は 109 億円。ただし運用会社の成功報酬や評価益が乗っており、そのまま続く水準ではない。過去 10 年の ROE の中央値は 6% 台で、資本コストを下回る年の方が多い。

筆者は、10 年先の中立を純利益 160 億円台と置く。米国の売買件数とコインチェックの取引が伸び、赤字すれすれだった暗号資産の事業が黒字に定着する姿だ。それでも ROE は 10% 弱で、資本コストを少し超えるにとどまる。

会社は ROE15% を掲げるが、その道筋はまだ数字に出ていない。資本は薄く、配当は利益の 7 割ほどを払うので、自己資本は積み上がりにくい。稼ぎの質に比べて、今の値段は先走っている。

10 年の本質価値は、今の時価総額を約 2 割下回る。判定は「やや割高」だ。上振れの筋書きは確かにある。コインチェックの取引が 3 倍に伸び、運用会社の成功報酬が続く場合だ。ただ、そこに高い確率は置けない。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、見るべきは利益の水準でなく、その利益を何年続けて取れるかだ。マネックスの利益は、売買の回数と相場の高さに連動する。山の年の数字を長く続くものと見ると、価値を過大に見積もる。

オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、ならすと小さい。2026 年 3 月期の純利益 109 億円から、運用会社の評価益などの一過性を除くと、実力は 90 億円前後と筆者は見る。しかも顧客の資産を預かる業態で、自己資本を厚く保たなければならない。利益を全部配当に回せる会社ではない。

資本の使い方は、柱を増やす方向だ。コインチェックの上場と Westfield への出資がその例になる。方向は理解できるが、買った事業の稼ぎが資本コストを上回る確証は、まだない。

安全域の点では、今の値段は 10 年先の中立を割り引いた価値より高い。ROE が資本コストを少し超えるだけの会社に、自己資本の 1.4 倍を払うことになる。この値段に安全域は見いだせない。ただし、暗号資産と運用で大きく上振れる芽はある。楽観の確率を薄く置いたのは、その芽が育つかを今は見極められないためだ。

何で稼ぐ会社か

事業は 4 つに分かれる。2026 年 3 月期から報告セグメントを刷新し、証券・クリプトアセット・資産運用(AM・WM)・投資の 4 つにした。

最大は証券事業だ。中身は米国の TradeStation と、持分法で取り込む国内のマネックス証券である。TradeStation は活発に売買する個人投資家(アクティブトレーダー)向けの米国証券で、営業収益は約 545 億円。株式や先物オプションの手数料に加え、顧客預り金の運用と貸株の収益で稼ぐ。国内のマネックス証券は口座数が約 300 万。2024 年に NTT ドコモが中間持株会社の約 49% を持ち、ドコモの連結子会社になった。マネックスの持分は約 51% で、利益は持分法で入る。

暗号資産はコインチェックが担う。2024 年 12 月に米国ナスダックへ上場したコインチェック・グループの株を、約 83% 持つ。国内の取引所と販売所を運営し、売買代金は年 4 兆円台。売買益に加え、ステーキングの収益が新しく立ち上がった。暗号資産 ETF を運用する 3iQ もこの傘下だ。

資産運用は、投信や私募ファンドを運用するマネックス・アセットマネジメント、2025 年 4 月に 20% を取得した米国の運用会社 Westfield、富裕層向けのマネックス PB からなる。運用成績に応じた成功報酬が、利益を大きく動かす。

稼ぎ方は 3 種類に整理できる。売買の回数、預かっている資産、運用の成績である。どれも相場が荒れると増え、静かだと減る。

優良さと弱いところ

最大の強みは、1 つの市況に賭けていないことだ。米国の個人売買、国内の資産形成、暗号資産、運用の 4 つは、好不調の時期がずれる。2026 年 3 月期も、暗号資産が低調な間に、運用会社の成功報酬と米国証券が利益を支えた。

堀、つまり他社がまねしにくい強みは、どれも薄い。TradeStation は活発な売買層に強いが、手数料の無料化で値段では勝てない。コインチェックは名の知れたブランドだが、口座の乗り換えは簡単だ。国内の証券はドコモという大きな入口を得たものの、口座数は SBI や楽天に大差をつけられている。

弱点は数字にも出ている。過去 10 年のうち 5 年は純利益が 50 億円に届かず、1 年は赤字だった。自己資本比率は約 17% と薄い。2010 年にも株数が増える希薄化があった。

資本の使い方は、評価できる点と首をかしげる点が混じる。コインチェックの上場と Westfield への出資は、利益の柱を増やす手として筋が通る。一方、国内証券では不正アクセスの補償費用を負担し、米国株のシステム刷新にも費用がかさんだ。ROE15% の目標に対し、実績は 9% 弱にとどまる。

筆者は、安定した堀より、複数の柱で利益を均す力に価値があると見る。ただ、その柱がどれも薄利で、資本を厚く積める水準にはまだ届いていない。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

国内のネット証券は、新 NISA を追い風にした拡大期にある。NISA 口座は 2026 年 6 月末で約 2,227 万口座に達した。2026 年 1〜7 月の増加数は、2025 年の通年を上回るペースだ。ただ、恩恵は規模のある会社に偏る。SBI 証券は約 1,638 万、楽天証券は約 1,440 万口座。マネックス証券の約 300 万は、それに遠く及ばない。

手数料は構造的に下がる。国内株の売買手数料は、主要各社が無料にした。収益は信用取引の金利、投信の信託報酬の配分、外国株、クレジットカード積立へ移っている。マネックス証券は米国株とドコモ経由の若年層で差をつけにいく。協業の 3 年間で新規口座は約 48 万。ただ、掲げた 500 万口座の目標には届いていない。

米国は個人投資家が活発に売買する市場だ。強い競合が並び、TradeStation はアクティブトレーダーという狭い層で戦う。顧客預り金の金利収益は、米国の金利が下がると減る。

暗号資産の国内市場は、稼働口座が約 892 万、預かり資産が約 5 兆円の規模だ。ただ、売買代金は価格の動きで大きく振れる。コインチェックの 2026 年 3 月期の取引所売買代金は、前期より 21% 減った。規制の整備やステーブルコインの広がりで市場が育てば伸びしろはある。しかし、国内の取引所どうしは手数料と銘柄数で競い、利ざやは細りやすい。

循環で見ると、個人の投資参加はまだ途中段階にある。一方、売買の勢いは相場の山で膨らみ、谷で痩せる。10 年を通せば、山も谷も来ると考えるのが自然だ。

資本政策と M&A

還元の方針は、配当に下限を置き、1 株利益の 5 割がその下限を超えればその 5 割を払う形だ。2026 年 3 月期の配当は、利益の 7 割ほどにあたる。自社株買いは機動的に行うとしているが、直近 2 期の株主資本総還元率は 18% にとどまる。

ROE の目標は 15%(2024 年 10 月の資本政策)。実績の 9% 弱との差を、成長投資で埋める考えだ。

M&A は、柱を増やす方向に動いている。2024 年にドコモが国内証券の中間持株会社の株を約 466 億円で取得し、約 20 億円を増資で出資した。この取引で国内証券は持分法の会社になった。コインチェックは同じ 2024 年にナスダックへ上場し、マネックスは約 83% を持ち続けている。2025 年 4 月には、米国の運用会社 Westfield の 20% を約 1 億ドルで取得した。

今後の論点は 3 つある。ドコモが国内証券の残りの持分をどうするか。コインチェック株をどう扱うか。運用会社へ追加で出資するか。どれも利益の柱の形を変えうる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

コインチェックは今が谷だ。2026 年 3 月期の売買代金は 4 兆円台と前期より減ったが、国内の暗号資産の裾野は、まだ広がる途中にある。規制が整い、ステーブルコインや ETF が一般の人の入口になれば、売買代金は 3 倍に伸びる。固定費が大きい事業なので、売上が増えれば利益はそれ以上に増える。赤字すれすれだった事業が、大きな黒字に変わりうる。

米国では、TradeStation がマネックス証券の顧客も取り込む形で、米国株サービスを全面的に作り替えている。国内の若い顧客は、ドコモ経由で 3 年に約 48 万口座増えた。この口座が、資産形成の長い期間をかけて育つ。

運用会社は、アクティビスト・ファンドの成績が好調で、運用残高が前期比 7 割増えた。Westfield は運用残高が約 250 億ドルあり、持分 20% の利益が毎年入る。資産を預かるだけで報酬が入る事業が増えるほど、利益は相場に左右されにくくなる。

会社は ROE15% を掲げる。国内証券は少ない資本で利益が入る持分法なので、利益が伸びれば ROE は上がる。4 つの柱の山が重なれば、今の時価総額は 10 年で大きく超えられる。

慎重な見方

純利益 109 億円は、運用会社の成功報酬と Westfield の評価益に支えられた数字だ。それを除けば、利益はもっと小さい。過去 10 年を見ても、純利益が 50 億円に届かない年が 5 回ある。この会社の利益を、山の年の数字で語ってはいけない。

コインチェックは、売買代金が減ると利益が消える。2026 年 3 月期は取引所の売買代金が 4 兆円台あっても赤字だった。国内の暗号資産市場は、取引所どうしが手数料と銘柄数で競い、利ざやは薄くなる。ステーキングという新しい収益も、まだ小さい。

TradeStation は、米国で強い競合と戦う。手数料は無料が当たり前になり、利益は顧客預り金の金利に頼る部分が大きい。米国の金利が下がれば、その分が減る。

国内のマネックス証券は、ドコモという入口を得ても、口座数が目標の 500 万に届かない。不正アクセスの補償費用も出た。しかもドコモが約 49% を持つため、マネックスが取れる利益は持分の約 51% だけだ。

自己資本比率は約 17% と薄い。利益の 7 割を配当で払うので、自己資本は積み上がらない。ROE15% の目標は、10 年たっても届かない公算が大きい。

どちらに重みを置いたか

どちらの言い分にも根拠はあるが、数字の厚みは慎重な見方にある。強気の見方は、コインチェックの上振れと運用会社の成功報酬に頼る。どちらも相場次第で、続く保証がない。慎重な見方は、過去 10 年の利益の薄さと、国内証券の持分が約 51% にとどまる構造という、すでに数字に出た事実に立つ。

確率は、中立に 32% を置き、慎重側の合計を 40% とした。楽観は 8% に薄くした。悲観は 16% と、同じ領域の SBI や松井証券よりやや厚い。理由は、利益の薄い年が 10 年に 5 回あることと、資本が薄いことだ。結論は 10 年で約 2 割の割高になる。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)

確率で加重した株価時価総額 784 円1,970 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 335 円842 億円)。 今の値に割り戻すと 569 円1,431 億円、今との差 −12.1%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 8.5%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 2,025 円5,091 億円 597 円1,500 億円 +304.6% +15.0% 210 円527 億円
やや楽観 20% 1,321 円3,322 億円 458 円1,150 億円 +174.5% +10.6% 356 円894 億円
中立 32% 804 円2,020 億円 358 円900 億円 +79.3% +6.0% 372 円934 億円
やや悲観 24% 291 円732 億円 259 円650 億円 −15.2% −1.6% 132 円332 億円
悲観 16% 191 円480 億円 119 円300 億円 −52.1% −7.1% 50 円125 億円
加重平均100% 784 円1,970 億円335 円842 億円 +72.7% +5.6% 1,119 円2,812 億円

今の株価時価総額 648 円1,629 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 8% コインチェックと運用が大きく伸び、4 つの柱がそろう 10 年 利益 354 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 2,025 円5,091 億円

米国の個人売買は活発なまま続き、TradeStation は刷新した米国株サービスを国内の顧客にも広げる。日本ではドコモ経由の口座が積み上がり、マネックス証券の口座は 480 万まで伸びる。

暗号資産は、規制の整備とステーブルコイン・ETF の広がりで一般の人の入口になる。コインチェックの売買代金は 14 兆円規模になる。固定費が大きい事業なので、増えた売上の 4 分の 1 が利益に残る。運用会社は成績が続き、Westfield の持分利益も伸びる。

筆者は、この 10 年を 4 つのエンジンが同時に回る、ごく良い場合と位置づける。純利益は 350 億円を超え、配当に加えて自社株買いも厚くできる。それでも、堀が薄い事業の集まりであることは変わらない。倍率は資本コストをやや超える水準にとどまる。

  • 米国証券(TradeStation):数量 8,400(年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日))× 価格 1,150(1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む))→ 売上 966 億円・営業利益 203 億円。米国の個人売買が伸び、新サービスで取り込む
  • 日本証券(マネックス証券・持分法):数量 480(口座数(万口座))× 価格 1,100(1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分))→ 売上 53 億円・営業利益 53 億円。ドコモ経由の口座が積み上がる
  • 暗号資産(コインチェック):数量 14.0(暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所))× 価格 0.00(売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数)→ 売上 616 億円・営業利益 160 億円。取引と運用の裾野が広がる
  • 資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク):数量 4.4(運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分))× 価格 0.01(運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数)→ 売上 282 億円・営業利益 124 億円。運用残高と成功報酬が伸びる

倍率:事業の純利益 354 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.38 倍、時価総額 5,090 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:コインチェックの売買が 3 倍強に伸び、運用の成功報酬も続く必要がある。重なる確率は低く、過去の利益の振れも大きいので、8% に薄く置く。

やや楽観 20% 柱が増え、赤字だった暗号資産が黒字に定着する 10 年 利益 249 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,321 円3,322 億円

TradeStation の売買件数は 3 割増え、新サービスで国内の顧客も取り込む。国内のマネックス証券は、ドコモ経由の口座の伸びが続き、420 万口座になる。

コインチェックは、売買代金が今の 2 倍半に戻り、規模の経済が働いて黒字が定着する。ステーキングなど売買に頼らない収益も、全体の底を支える。運用会社は残高が 8 割増え、Westfield の持分利益も毎年入る。

筆者は、これを会社の描く成長にほぼ沿った場合と見る。それでも、ROE は 13% 前後で、会社の目標の 15% には届かない。4 つの柱がそろって育っても、資本を厚く積み上げる速さは限られる。

  • 米国証券(TradeStation):数量 7,800(年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日))× 価格 1,070(1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む))→ 売上 835 億円・営業利益 163 億円。件数がじわじわ増える
  • 日本証券(マネックス証券・持分法):数量 420(口座数(万口座))× 価格 1,000(1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分))→ 売上 42 億円・営業利益 42 億円。口座の伸びが続く
  • 暗号資産(コインチェック):数量 10.7(暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所))× 価格 0.00(売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数)→ 売上 449 億円・営業利益 90 億円。取引が戻り規模が出る
  • 資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク):数量 3.6(運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分))× 価格 0.01(運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数)→ 売上 209 億円・営業利益 86 億円。残高が増える

倍率:事業の純利益 249 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 3,322 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:米国の売買とコインチェックがそれぞれ中立を上回り、運用も好調を保つ筋書き。2026 年 3 月期に運用の成功報酬が出た実績はあるが、続くとは限らないので 20% とした。

中立 32% 柱は育つが、利益率と資本の薄さが残る 10 年 利益 166 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 804 円2,020 億円

米国の売買件数は 2 割増える。1 件あたりの収益は、手数料の競争と預り金の金利の低下で、物価に届かない。国内のマネックス証券は口座が 370 万まで増えるが、1 口座あたりの利益は物価並みにとどまる。

コインチェックは、売買代金が今の倍近くになる。ただ、取引所どうしの競争で利ざやが薄くなり、売上は倍に届かない。固定費の重さが軽くなる分、営業利益は 40 億円ほどの黒字になる。運用会社は、成功報酬をならすと残高の伸びと同じ速さでしか増えない。

筆者は、この中立を悪くない会社だが際立って優れてもいない姿と見る。純利益は 160 億円台になり、今のならした利益の 7 割増しだ。ただ、配当に利益の 5〜7 割を払うので、自己資本は 1,700 億円台にとどまる。ROE は 9% 台後半。資本コストをわずかに超える程度だ。

  • 米国証券(TradeStation):数量 7,200(年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日))× 価格 1,000(1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む))→ 売上 720 億円・営業利益 126 億円。件数は小幅増、1件あたりは物価に届かない
  • 日本証券(マネックス証券・持分法):数量 370(口座数(万口座))× 価格 880(1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分))→ 売上 33 億円・営業利益 33 億円。口座は緩やかに増える
  • 暗号資産(コインチェック):数量 8.4(暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所))× 価格 0.00(売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数)→ 売上 336 億円・営業利益 40 億円。売買は倍近く、利ざやは薄くなる
  • 資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク):数量 3.0(運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分))× 価格 0.01(運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数)→ 売上 159 億円・営業利益 56 億円。残高は 5 割増、成功報酬は平準化

倍率:事業の純利益 166 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.17 倍、時価総額 2,020 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。

確率:米国の売買が緩やかに増え、コインチェックは相場の山と谷をならして黒字を保ち、運用は成功報酬が平準化する筋書き。4 つの柱の議論の落としどころなので、最も重い 32% とした。

やや悲観 24% 売買が伸びず、固定費と資本の薄さが重くのしかかる 10 年 利益 77 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 291 円732 億円

TradeStation は、売買件数が今と変わらないまま、1 件あたりの収益が競争と金利の低下で下がる。固定費は物価で膨らむので、利益率は 12% まで落ちる。

国内のマネックス証券は、口座数が 330 万に増えるものの、手数料の競争で 1 口座あたりの利益は細る。ドコモの入口を得ても、SBI や楽天との差は縮まらない。

コインチェックは、売買代金が今を 2 割ほど上回るだけで、売買の利ざやも薄くなる。営業利益はようやく黒字に届く水準だ。運用会社は、成功報酬が出ない年が続き、残高の伸びも鈍る。

筆者は、これを過去 10 年の利益の薄い年が長く続いた姿と見る。純利益は 80 億円に届かず、ROE は 5% 程度。資本コストを下回るので、ためた利益は帳簿の額より低く評価される。倍率は 1÷k の約 8 割までしか置けない。

  • 米国証券(TradeStation):数量 6,300(年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日))× 価格 900(1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む))→ 売上 567 億円・営業利益 68 億円。件数が減り固定費が重い
  • 日本証券(マネックス証券・持分法):数量 330(口座数(万口座))× 価格 700(1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分))→ 売上 23 億円・営業利益 23 億円。口座は伸びず利益率も低い
  • 暗号資産(コインチェック):数量 5.4(暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所))× 価格 0.00(売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数)→ 売上 184 億円・営業利益 6 億円。売買が伸びず赤字すれすれ
  • 資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク):数量 2.3(運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分))× 価格 0.00(運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数)→ 売上 106 億円・営業利益 26 億円。成功報酬が細る

倍率:10 年後の純利益 77 億円は、自己資本に対して ROE 5.0% と k 8.5% を下回る。PER の上限は 1÷k = 11.4 倍で、稼ぐ力 77 ÷ k = 約 880 億円。売買の利益が細り固定費が重い筋書きなので、上限の約 8 割、9.5 倍に置いた。

確率:暗号資産の売買が伸びない、米国で顧客を失う、国内証券の利益が細る、のどれかが起きる筋書き。過去 10 年に利益が薄い年が 5 回あった実績を踏まえ、24% と厚く置いた。

悲観 16% 構造的に負け、暗号資産と米国の売買が赤字になる 10 年 利益 −28 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 191 円480 億円

暗号資産の長い低迷と規制の重さで、コインチェックの売買代金は今の 3 分の 2 に縮む。取引所どうしの値引きも続き、固定費を賄えず赤字になる。

米国では、強い競合に顧客を奪われ、TradeStation の売買件数が 2 割減る。預り金の金利収益も下がり、固定費の重さで赤字に転じる。国内のマネックス証券は、口座数が伸びず、1 口座あたりの利益も大きく削られる。運用会社は、成績が悪く解約が続き、成功報酬が消える。

筆者は、この 10 年を柱がどれも育たず、固定費だけが残る場合と見る。純利益は赤字になり、顧客資産を預かる証券子会社は規制資本で動かせない。値打ちは、売れる持分の価値まで下がる。配当は下限を割り込み、不足分は持分の売却でまかなう。自己資本も減損で細る。

  • 米国証券(TradeStation):数量 4,800(年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日))× 価格 760(1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む))→ 売上 365 億円・営業利益 −11 億円。顧客を失い赤字に
  • 日本証券(マネックス証券・持分法):数量 280(口座数(万口座))× 価格 450(1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分))→ 売上 13 億円・営業利益 13 億円。口座の伸びが止まり利益が細る
  • 暗号資産(コインチェック):数量 3.0(暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所))× 価格 0.00(売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数)→ 売上 84 億円・営業利益 −15 億円。取引が縮み赤字
  • 資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク):数量 1.6(運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分))× 価格 0.00(運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数)→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。運用成績が悪く解約が続く

倍率:純利益が赤字で稼ぐ力は 0。床は売れる資産の税引き後で、持分法投資の約 7 割 480 億円とみた。今の自己資本 1,264 億円の約 0.38 倍にあたる。市場の倍率からは置いていない。

確率:暗号資産の長い低迷と規制の重さ、米国での顧客流出、国内証券の利益の細りが重なる筋書き。資本が薄く、過去にも赤字の年があるので 16% と、同じ領域の SBI や松井証券よりやや厚い。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。

米国証券(TradeStation)

米国のアクティブトレーダー向けにオンライン証券を営む。売買手数料と、顧客預り金の運用や貸株の収益で稼ぐ。

数量年間の収益を伴う約定件数(万件。1 営業日の件数 × 約 250 日)価格1 件あたりの収益(円。預り金の金利収益を含む)売上営業利益
今 2026/03 6,000 908 545 97
10 年後 中立 7,200 1,000 720 126

取り方:2026/03 期の 1 日あたり約定件数 23.8 万(決算短信)に約 250 日を掛けて年 6,000 万件とおいた。営業収益 544.6 億円を件数で割ると 1 件あたり約 9 百円。収益には顧客預り金の金利収益と貸株の収益が入るので、件数に比例しない部分がある。営業利益は証券事業の税引前利益 117.2 億円からマネックス証券の持分法利益 19.8 億円を除いた 97.4 億円。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

日本証券(マネックス証券・持分法)

国内のネット証券。2024 年にドコモが中間持株会社の約 49% を持ち、マネックスの持分は約 51%で持分法の利益として入る。

数量口座数(万口座)価格1 口座あたりの持分法利益(円。マネックスの持分 51% 分)売上営業利益
今 2026/03 300 660 20 20
10 年後 中立 370 880 33 33

取り方:口座数は 2026/10 の報道で約 300 万。持分法による投資利益 19.8 億円(不正アクセスの補償費用と米国株システム刷新の移行費用を含む、決算短信)を口座数で割ると 1 口座あたり約 6.6 百円。持分法利益はすでに税引後なので売上と利益を同じ額で置く。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

暗号資産(コインチェック)

暗号資産の販売所と取引所、ステーキング、暗号資産 ETF の運用(3iQ)。米国ナスダックに上場するコインチェック・グループの株を約 83% 持つ。

数量暗号資産の売買代金(兆円・年間。取引所+販売所)価格売買代金に対する収益率(販売所の売買益・ステーキング等を売買代金で割った率)× 物価の指数売上営業利益
今 2026/03 4.4 0.00 176 −5
10 年後 中立 8.4 0.00 336 40

取り方:2026/03 期の売買代金は取引所 4 兆 1,294 億円と販売所 3,126 億円の計約 4.44 兆円(決算短信)。営業収益 175.9 億円(売買益・ステーキング等を純額で表示)を割ると収益率は約 0.40%。販売所は売買益が厚く、取引所は薄いので、混ぜた率になる。営業利益はセグメントの税引前損失 5.4 億円。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

資産運用(運用会社・Westfield・プライベートバンク)

マネックス・アセットマネジメントの投信・私募ファンド運用、米国の運用会社 Westfield(持分 20%・持分法)、富裕層向けのマネックス PB。

数量運用残高(兆円。Westfield はマネックスの持分 20% 分)価格運用残高に対する収益率(運用報酬・成功報酬・持分法利益)× 物価の指数売上営業利益
今 2026/03 1.9 0.00 86 61
10 年後 中立 3.0 0.01 159 56

取り方:運用会社の残高 1.19 兆円に、Westfield の運用残高 3.73 兆円のうちマネックスの持分 20% 分の 0.75 兆円を足して約 1.94 兆円。収益は運用会社の営業収益 77.4 億円と Westfield の持分法利益 8.6 億円の計約 86 億円。税引前利益 61.4 億円には Westfield の条件付対価の評価益 21.4 億円という一過性が入っている。 【数量・率の点検 2026-10-19】数量は実質・率は物価込み(B)。名目の伸びに物価を重ねていない(二重がけなし)。

リスクと懸念

暗号資産の相場と規制

コインチェックの売買代金は価格の動きで大きく振れ、2026 年 3 月期は前期より取引所で 21% 減った。固定費が大きく、売買が細ると赤字に戻る。規制や税制の方向が変われば、売買の入口そのものが変わる。

米国の金利低下

TradeStation の利益には、顧客預り金の運用の収益が大きく含まれる。米国の金利が下がると、この収益が減る。会社は預り金の一部を固定金利で運用して備えているが、長い低金利には耐えにくい。

国内証券の持分とドコモ

国内のマネックス証券は、ドコモが約 49% を持つ連結子会社だ。マネックスが取れるのは持分約 51% の利益だけで、経営の舵取りも自由ではない。口座数は 500 万の目標に届いていない。

一過性の利益を含む決算

2026 年 3 月期の税引前利益には、Westfield の条件付対価の評価益 21 億円が入っている。運用会社の成功報酬も、アクティビスト・ファンドの成績に左右される。ならした利益は、報じられた数字より小さい。

薄い資本と情報の安全

自己資本比率は約 17% と薄く、顧客資産を預かる業態として規制資本の制約も受ける。国内証券では不正アクセスの補償費用が出た。一度でも大きな事故があれば、費用と信用の両方が傷む。

運用会社の成功報酬と Westfield への依存

運用会社の利益は、特定のファンドの成績に左右される。Westfield は持分 20% の持分法で、経営への関与は限られる。運用成績が落ちれば、解約と成功報酬の消失が重なる。

利益の大半を配当に回す資本政策

配当は利益の 7 割ほどにあたり、自己資本は積み上がりにくい。ROE15% の目標に届くには、利益を倍近くに伸ばす必要がある。成長への投資と還元の両立は、利益が伸びなければ難しい。

今後の分かれ目

コインチェックの売買代金が、現在の 2 倍を超えて定着したら
赤字の事業が大きな黒字に変わったとみて、楽観・やや楽観の確率を上げる。
米国の金利が大きく下がり、TradeStation の金利収益が細ったら
米国証券の利益率が想定を下回るとみて、やや悲観・悲観の確率を上げる。
マネックス証券の口座数が、ドコモ経由で 400 万に近づいたら
国内証券の持分利益が伸びる道筋が見えたとみて、やや楽観の確率を上げる。
運用会社の成功報酬が 2 年続けて消えたら
2026 年 3 月期の利益が一過性だったと確かめられたとして、中立の利益を下げる。
ドコモが国内証券の持分に関して追加の動きを見せたら
持分法の利益の取り分や経営の自由度が変わるとして、国内証券の筋書きを組み直す。
ROE が 2 期続けて 12% を超えたら
会社の ROE15% の目標へ現実味が出たとみて、倍率の上限と確率を見直す。

見ておくもの

  • コインチェックの売買代金(取引所・販売所)とセグメント利益
  • TradeStation の約定件数・顧客預り金・米国の金利
  • マネックス証券の口座数とドコモ経由の新規口座
  • 運用会社の運用残高・成功報酬・Westfield の持分法利益
  • ROE と、配当・自社株買いを合わせた還元

倍率と資本コストの決め方

数量は実質、価格は物価 3% 込みの名目で置き、米国の 1 件あたり収益と暗号資産の利ざやは競争と金利の低下で物価に届かないとした。借金は事業の仕入れ(証券・取引所)なので、利払いの式は当てはめていない。倍率は今の株価を見ず、各時点の ROE と k・g から正当化 PER を出し、弱い堀で RONIC は k を超える分の 3 分の 1 とした。悲観は売れる持分法投資の税引き後を床にし、今の自己資本に対する比で書いた。過去の PBR は使っていない。今の PBR との比較は最後に行った。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.6→14.38 倍・やや楽観 PER 12→13.34 倍・中立 PER 11.5→12.17 倍)。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足した 8.75%。個別の不安(暗号資産の規制・ドコモとの関係・米国の金利)は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。

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読んだ資料

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  2. マネックス証券、ドコモ協業3年で新規48万口座を開拓(ケータイ Watch)
  3. ドコモ、マネックス証券を連結子会社化(Impress Watch)

分析日 2026-10-16