結論
ネットイースは、中国の長寿命オンラインゲームを中核に、海外向けの新作と音楽・教育サービスを育てる会社である。10年後の稼ぐ力と株主に戻る現金を見積もると、2026年10月23日基準の値段はほぼ適正であり、優良な事業の割には買値の安全域が薄い。
強みは、発売から20年以上経つ「夢幻西遊」でも課金が続く運営力にある。人気作品を毎年作り直すのではなく、利用者の友人関係や蓄積したゲーム内資産を守りながら長く収益化できる。2025年には自社開発ゲームが伸び、2026年4〜6月もゲーム関連売上が前年同期比9.7%増えた。「燕雲十六声」や「マーベル・ライバルズ」の海外展開が成功すれば、中国の人口と規制に偏る弱点が和らぐ。
それでも、課金額の値上げだけで10年間成長できるとは考えない。中国のゲーム人口はほぼ横ばいで、テンセントとミホヨが利用時間を争う。生成AIは開発費を下げる一方、競争相手にも制作力を与える。有道の学習・広告サービスはAIエージェント代替の影響を直接受けるため、ゲームと同じ成長率にはしない。
2025年末の純現金は約229億ドルと大きい。しかし連結売上の85.2%を中国のVIEという契約支配会社が生み、創業者は約45.5%の議決権に影響力を持つ。帳簿の現金がそのまま米国上場株主の自由な現金になるわけではない。中立では2035年の純利益が約74億ドルとなるが、海外作品の定着と資金還元が弱ければその価値は大きく下がる。期待値は現時点で約749億ドルと、台帳の時価総額約763億ドルに近い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「売上が伸びるか」より「10年後も余分な資本を使わず利益が残るか」を問いたい。20年以上同じ世界で遊ばれる「夢幻西遊」は、優れた事業の証拠である。いったん利用者が集まり、友人関係と装備が蓄積されれば、運営の追加費用より課金の増分が大きくなる。長く遊ぶ人の満足度を守る限り、利益を再投資して資本コストを超える利回りを生む余地がある。
ただし、ゲームには新作の不確実性がある。10年の間に複数の世界的ヒットを生む力を認めても、それを毎年の当然の収入として数えない。テンセントとミホヨは資金も技術も強く、AIは作品供給を増やす。「人気があるから将来も高い単価が通る」という期待だけでは安全域を作れない。
現金は大きな魅力だが、その全額を事業価値と重ねて数えることもしない。営業に要る運転資金と中国本土に残る資金を分け、残りのうち株主が受け取れる部分を見る。創業者支配とVIEは、倒産の危険というより取り分の危険だ。配当の継続は評価するが、利益を長年留保するだけなら株主の利益率は下がる。
中立では自社開発作品が世界へ広がり、既存作品の利益が新作の空振りを吸収する。だが、いまの株価なら強い事業を買う余地はあっても、不測の規制と競争に対する十分な割引はない。会社が悪いのではなく、長期保有の安心感に対して払う値段を慎重にしたい。
何で稼ぐ会社か
利益の中心は、長く遊び続けてもらうオンラインゲームである。2025年の売上156.7億ドルのうち、自社開発ゲームを主とする部分が約110億ドル、外部作品のライセンスと関連サービスが約18億ドルを占める。会社は「ゲームと関連付加価値サービス」を一括開示するため、この二つの金額は20-Fに載る人民元の構成比を、添付のドル建て全社売上に掛け直した推計である。
自社作品では「夢幻西遊」シリーズ、「第五人格」、「エギーパーティー」、「逆水寒」、「燕雲十六声」が柱になった。PCとモバイルをまたいで利用者を集め、衣装や装備などへの課金を受ける。買い切り型と違い、利用者が残る限り更新コンテンツから収入が続く。「マーベル・ライバルズ」も世界市場に進出するが、マーベルの許諾を使う作品は契約条件が収益を左右する。
ライセンス側にはブリザードの中国向け運営がある。提携が途切れた2023年を経て、2024年に作品が復帰した。2025年の外部ライセンスゲームの売上は人民元ベースで約38%伸びたが、版元との収益分配があるため、自社IPほど利益を残せない。契約が更新されないと売上を丸ごと失う危険もある。
残りは有道の学習サービス、広告運用、辞書ペンなどの端末、網易雲音楽、厳選の電子商取引などである。音楽は月額会員から継続収入を得るが、楽曲使用料を払う必要がある。有道の学習と広告は成果や受講者を売る事業であり、AIが代行する仕事が増えるほど従来型の人手と画面操作に対する料金は下がりやすい。これらは売上全体では小さいものの、将来の利益を過大に見ないため個別に扱う。
優良さと弱いところ
最大の堀、つまり競合が簡単に奪えない強みは、ゲームを長く運営する力である。「夢幻西遊」は2003年から続き、遊び仲間や蓄積した装備が乗り換えを難しくする。「第五人格」などにも継続更新の実績がある。これは一時的な流行より強い。ただし作品別の解約率や値上げ後の課金維持率は開示されず、値決め力を数字で証明できる範囲には限界がある。
自社で開発エンジンや世界観を持ち、発売後の運営まで一貫して行うことも有利だ。ライセンス作品とは異なり、ヒットした自社IPには長期間の追加利益が残る。2025年の営業利益率31.8%と、過去10年のROE中央値21.1%は資本効率の強さを示す。2020年から2025年までの純利益増分を自己資本増分で割ると約28%となり、資本コスト7.5%を超える。ただしこれは現金蓄積や株式買い戻しを含む粗い増分利回りで、純粋な新規開発投資の回収率ではない。借金より現金がはるかに多く、開発が不発でも次作を作る余力がある。
一方、その堀を会社全体に均等に広げてはいけない。ブリザード作品の利用権は版元の意思で消えうる。音楽はテンセント・ミュージックとの競争と楽曲権利料に挟まれ、有道の教育・広告にはAIエージェント代替が迫る。中国のゲーム審査も競争優位の根拠ではなく、全社に共通する参入条件である。
資本配分の評価は半分にとどまる。大規模買収で純負債を抱えることなく開発を続け、現金を増やした点はよい。しかし巨額の現金を積み上げる間、自社株買いは2025年に鈍化した。創業者の影響力とVIEの契約支配により、米国の少数株主が現金を自由に動かせるわけではない。事業の堀は強いが、株主の取り分には別の割引が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場は伸びるが、遊ぶ人数の急増を期待する段階ではない。業界資料によれば世界のゲーム消費は2025年に約2,016億ドル、中国の国内市場は約3,508億元である。中国の利用者は約6.83億人で前年比の増加は1%台にとどまる。したがって10年先の売上を決めるのは人口より、競争に勝って利用時間を確保することと、遊ぶ人が払う金額である。
中国ではテンセントが最大の相手だ。2025年の国内ゲーム収入は約1,642億元と公表しており、ネットイースの自社開発ゲームの全世界売上約789億元を大きく上回る。ただし地域と会計の区分が違うため、この二つをそのまま国内シェアと呼ぶことはできない。若年層にはミホヨの「原神」「崩壊:スターレイル」、テンセントの「王者栄耀」「和平精英」、海外ではロブロックスやフォートナイトが立ちはだかる。音楽ではテンセント・ミュージックの会員規模が大きい。
世界のゲーム市場は名目の値上げと新興国の実質需要で成長する。しかし中国市場は政府の版号審査、未成年の利用時間制限、課金ルールの変更で供給が振れる。2025年の年次報告書にはオンライン出版事業の許可更新が手続き中と記され、許可の継続を当然とはできない。中国本土の資金移動にも制約がある。
生成AIは二つの方向に働く。制作と翻訳を安くし、世界向けの作品を作りやすくする半面、小さな競争相手にも同じ道具を渡す。ゲームを遊ぶ体験そのものはAIエージェントの業務代替には当たらないが、従来の教育講座、広告制作・運用は代替対象になる。中立ではゲーム本体の実質需要とシェアが緩やかに増え、有道の受講量と広告運用の量は減ると見る。
資本政策と M&A
資本政策には配当の習慣がある。添付の財務では2025年に約19.4億ドルを配当し、自社株買いは約0.9億ドルだった。一方、株式報酬は約5.2億ドルの費用であり、買い戻し額をそのまま純還元とみなせない。2022年11月に承認された最大50億ドルの買い戻し枠は、2025年11月に期限が2029年1月まで延びた。新しい50億ドルの追加枠が成立したわけではない。
経営は大規模な借入買収より、自社IPと海外スタジオの開発投資を優先してきた。ブリザードとの再提携は、費用負担の比較的小さな売上回復の例である。逆に世界進出のために増やしたスタジオがヒットを出せなければ、研究開発費の回収は難しい。今後の買収が未成立なら、利益や現金を先取りして評価しない。
会社は世界展開と長寿命作品を掲げるが、2035年までの売上や利益率について数値の約束はない。配当水準と自社株買いの規模も10年間の保証ではない。現金をいつ、どれほど中国外の株主に戻すかが価値を左右する。創業者は株式の約45.5%に影響力を持ち、VIEから資金を出すには税務・契約上の手間もかかる。会社定義の純現金は2026年6月末に約247億ドルで、流動性に不足はない。買収や非公開化の合意、上場廃止予定、継続企業の前提を疑わせる開示は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ネットイースは一時のヒットを売る会社から、ゲーム世界を長く育てる会社へ変わっている。「夢幻西遊」が20年以上続いている事実は、寿命の短いモバイルゲームだけの会社にはない強みだ。利用者が時間をかけて作った関係とゲーム内資産は簡単には引っ越せない。新しい作品に失敗しても、既存作が開発費を賄う土台になる。2025年に自社開発作品が伸び、2026年上期もゲームの売上と利益が増えたことは、その土台がまだ衰えていない証拠である。
しかも海外での挑戦がようやく売上につながり始めた。「マーベル・ライバルズ」と「燕雲十六声」は、国内向けの大型RPGだけに頼らない道を示す。自社開発作品はライセンス料を支払う外部作品より増分利益率が高い。制作工程にAIを使えば翻訳や素材制作を効率化できるが、利用者同士が集まる世界観は簡単にはコピーできない。既存IPを維持しながら海外作品を増やせれば、ゲーム市場全体より速い成長も十分ありうる。
現金はさらに大きな武器だ。2025年末に約229億ドルの純現金を持ち、借金に頼らず次の作品へ投資できる。過度な買収を避け、配当と買い戻しで資本を返す余地もある。中国の規制は厳しいが、大規模な運営体制と審査への対応経験は小規模企業より有利に働く。ブリザードとの提携が続けば外部作品も収益を支えられる。自社開発ゲームの世界シェアが広がり、課金単価も物価とともに上がる展開では、2035年の純利益は100億ドルを超えうる。
慎重な見方
20年続く一作品があるからといって、次の20年も同じ経済性が続くとは限らない。中国のゲーム利用者はすでに6億人を超えており、新規客が急増する余地は小さい。テンセントは国内外で強い配信網と資金力を持ち、ミホヨは若い利用者の時間を奪っている。若者が無料の対戦や短い動画に移れば、古いRPGの熱心な課金者が年を重ねるにつれ、数量は想像以上に落ちる。海外作品のヒットも継続作品への定着とは別物である。
AIは開発費だけでなく参入費用も下げる。大量のゲームが生まれれば、作品を見つけてもらう宣伝費が増え、実質の課金単価は下がる。有道の学習講座や広告制作はもっと直接的に代替される。AIエージェントが勉強を支援し広告を出稿すれば、人の講師や運用担当に払っていた料金の一部が消える。音楽の有料会員は増えても、テンセント・ミュージックとの版権争いは利益率を抑える。
さらに危険なのは、利益を稼ぐ場所と株主の権利の場所が違うことだ。連結収入の85.2%を中国のVIEが生み、創業者は45.5%の影響力を持つ。現金を米国の株主が使えるとは限らず、規制の変更で契約の効力が争われることもある。2025年の配当は厚かったが、自社株買いは少なく、株式報酬による希薄化費用が続いた。ブリザードとの契約がまた途切れ、海外の開発投資も外れ、国内審査が厳しくなれば、現在の高い営業利益率は維持できない。悲観では売上が大きく縮み、稼ぐ力より残った換金可能資産が価値の中心になる。
どちらに重みを置いたか
事業の持続力は肯定するが、株主の取り分には慎重な側を重くしたい。長寿命の自社IPと潤沢な現金があるため、ゲーム会社の中でも倒産の危険は低い。一方、中国の規制とVIE、海外新作の当たり外れ、有道のAIエージェント代替は10年後まで読みにくい。上振れ28%、中立34%、下振れ38%としたのは、AIの影響を受ける事業をゲームの堀と混同しないためである。期待価値は約749億ドルで現時点の時価総額約763億ドルと近く、結論は適正だが安全域は薄い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 176.36 ドル1,135 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 44.11 ドル284 億ドル)。 今の値に割り戻すと 116.29 ドル749 億ドル、今との差 +2.3%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 367.66 ドル2,366 億ドル | 68.36 ドル440 億ドル | +283.7% | +16.3% | 34.88 ドル225 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 271.99 ドル1,751 億ドル | 62.15 ドル400 億ドル | +194.0% | +13.0% | 66.83 ドル430 億ドル |
| 中立 | 34% | 203.75 ドル1,311 億ドル | 49.72 ドル320 億ドル | +123.0% | +9.5% | 86.18 ドル555 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 75.15 ドル484 億ドル | 31.07 ドル200 億ドル | −6.5% | −0.8% | 25.49 ドル164 億ドル |
| 悲観 | 14% | 37.42 ドル241 億ドル | 13.21 ドル85 億ドル | −55.4% | −8.7% | 7.09 ドル46 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 176.36 ドル1,135 億ドル | 44.11 ドル284 億ドル | +94.0% | +7.8% | 220.47 ドル1,419 億ドル |
今の株価時価総額 113.64 ドル731 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 海外ゲームが定着し、自社IPの課金が世界へ広がる 利益 115 億ドル · PER 20.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 367.66 ドル2,366 億ドル
長寿命ゲームの利用者が減らず、「燕雲十六声」と「マーベル・ライバルズ」から海外向けの継続課金作品が次々に育つ。世界のゲーム市場は実質で今より約34%大きくなり、自社開発作品の売上換算シェアも約5.5%から6.6%へ広がる。自社開発ゲームの売上は約258億ドルとなる。単価は10年で1.45倍となるが、その上昇は熱心な利用者の維持と海外の収益化で支えられる。
ライセンス作品はブリザードとの契約を保ち、付随サービスを含め約34億ドルに増える。網易雲音楽は会員数と単価の改善で約21億ドルへ伸びる。有道の教育と広告はAIエージェントが一部を置き換えるため、強気でも実質の受講量と運用量は増やさない。宣伝費の増加を吸収して全社営業利益は約121億ドル、純利益は約115億ドルに達する。
10年の累計純利益は約800億ドルとなり、配当と自社株買いから株式報酬の希薄化を引いた正味還元440億ドルが進む。海外の配信体制と新作に資本を回しても、帳簿自己資本は約589億ドル、事業に要らない現金は約270億ドル残る。創業者支配は続くが、積極的な還元で少数株主の取り分が改善する。
- 自社開発オンラインゲーム:数量 178(世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル))× 価格 1.45(課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1))→ 売上 258 億ドル・営業利益 113 億ドル。世界市場実質拡大1.34倍、自社IP売上換算シェア約6.6%へ
- 外部IPゲームとゲーム関連サービス:数量 24.3(世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル))× 価格 1.40(受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1))→ 売上 34 億ドル・営業利益 9 億ドル。ブリザード再提携継続、海外作品も運営する
- 有道の学習・AI学習サービス:数量 1.4(年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定))× 価格 304(一契約当たり年間純収入(米ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。学習講座0.85倍と物価未満の価格、AI代替の上限を守る
- 有道のネット広告制作・運用:数量 3.2(中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル))× 価格 1.15(一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。広告の運用量0.90倍、AI代替の下で単価だけ微増
- 有道の辞書ペンなどスマート端末:数量 0.4(年間端末販売台数(百万台・推定))× 価格 360(端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。教材・端末の新型で台数1.1倍
- 網易雲音楽:数量 61.6(年間有料会員相当数(百万人・推定))× 価格 34(会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。音楽会員相当数1.4倍、版権交渉改善
- 厳選EC・メール・その他:数量 11.8(中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル))× 価格 1.42(商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 2 億ドル。厳選ブランドのカテゴリ拡大、実質数量1.25倍
倍率:k7.5%、長期g3.5%(世界ゲーム利用時間の実質伸び約1%、自社シェア増加、価格年2.5〜3%に教育・広告の縮みを加重)。現金利息を除く事業純利益110.96億ドル、事業に必要な自己資本319.4億ドル、事業ROE34.7%。強い堀の残存率2/3からRONIC25.7%、正当化PER(翌年利益基準)約21.55倍、10年目利益基準上限22.3倍。海外ヒットの持続性に不確実性があるため90%の20.11倍。GAAP純利益は株式報酬控除後、純現金270億ドルの1.4%相当を利息として分離し現金返還率50%を適用する。
確率:中国の国内市場が成熟しても、自社開発IPの世界シェアが約5.45%から6.6%程度へ上がる可能性を残す。ただし海外の複数作品の成功、課金単価の定着、配当と買い戻しの改善が同時に必要なので8%とした。
やや楽観 20% 主力作品を維持し、海外の複数作品で堅実に拡大 利益 92 億ドル · PER 18.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 271.99 ドル1,751 億ドル
「夢幻西遊」と「第五人格」が引き続き利用者を保ち、海外向けの新作も数本が運営型収入に育つ。世界ゲーム市場の実質需要が約29%伸びる中、自社開発作品の売上換算シェアは約5.9%へ上がる。課金単価は物価とほぼ同じ1.41倍になり、自社IPの売上は約217億ドルへ伸びる。テンセントとミホヨへのシェア流出が限定的で、既存作品の売上が新作の開発費を支える。
ブリザード作品は安定し、外部IPと付随サービスは約29億ドルとなる。網易雲音楽は会員数の拡大で約18億ドルを稼ぐが、テンセント・ミュージックに対抗する版権費が残る。有道の学習契約量は25%、広告運用量は22%減る。AIエージェント代替を価格改定だけで穴埋めせず、全社営業利益は約96億ドル、純利益は約92億ドルとなる。
10年間の純利益は累計約690億ドルで、配当と買い戻しから株式報酬を引いた正味還元は400億ドルに達する。新作の支出を続けても自己資本は約519億ドルに積み上がる。営業に不要な現金255億ドルには中国の契約支配による回収の不確実性が残り、全額を株主のものとは見ない。
- 自社開発オンラインゲーム:数量 154(世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル))× 価格 1.41(課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1))→ 売上 217 億ドル・営業利益 92 億ドル。自社IPの売上換算シェア約5.9%へ上昇
- 外部IPゲームとゲーム関連サービス:数量 21.6(世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル))× 価格 1.34(受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1))→ 売上 29 億ドル・営業利益 7 億ドル。許諾作品が安定、価格は物価に近い
- 有道の学習・AI学習サービス:数量 1.2(年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定))× 価格 288(一契約当たり年間純収入(米ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で学習契約量25%減
- 有道のネット広告制作・運用:数量 2.8(中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル))× 価格 1.10(一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。広告運用量22%減、広告単価は10%増に抑制
- 有道の辞書ペンなどスマート端末:数量 0.4(年間端末販売台数(百万台・推定))× 価格 345(端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。スマート端末は販売台数横ばい
- 網易雲音楽:数量 54.1(年間有料会員相当数(百万人・推定))× 価格 33(会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け))→ 売上 18 億ドル・営業利益 3 億ドル。会員相当数23%増
- 厳選EC・メール・その他:数量 10.4(中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル))× 価格 1.36(商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。ネット通販・その他は市場並み未満
倍率:k7.5%、長期g3.2%(ゲーム市場実質年1%弱と単価年3%程度から競合のシェア争いを差し引き、有道の低成長を加重)。現金利息控除後の事業純利益88.26億ドル、事業自己資本264.4億ドルでROE33.4%。強い堀の残存率2/3でRONIC24.8%。10年目利益基準の正当化PER上限20.9倍に対し、海外新作が毎回当たる保証がないため88%の18.39倍。GAAP純利益で株式報酬を控除し、現金255億ドルの税後利息1.4%を除いて事業価値を算定する。
確率:自社開発作品の海外収入が定着し、世界ゲーム市場の実質成長を少し上回る筋書き。すでに複数の海外作品が存在する点を評価するが、競争と版号審査により確実性は高くないため20%とする。
中立 34% 既存IPが緩やかに伸び、有道の縮みをゲームが吸収 利益 74 億ドル · PER 16.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 203.75 ドル1,311 億ドル
既存の長寿命作品が利益を支え、海外向けの新作は何本か当たるが、競争相手も同じ速度で強くなる。世界のゲーム市場は実質で約22%拡大し、自社開発作品の売上換算シェアは約5.5%でほぼ横ばいとなる。自社ゲームの数量は1.23倍、課金単価は1.36倍となり、売上は約184億ドルになる。物価3.5%に対して単価の上昇が少し遅いのは、無料で遊べる作品との競争が残るためだ。
許諾ゲームはブリザードの提携を維持して約27億ドル、網易雲音楽は約16億ドルに育つ。有道の学習契約はAIエージェント代替で30%減り、広告運用量は35%減る。機器は販売数量が減り、動画・教育・広告を合わせても全社売上に占める比率は縮む。自社開発ゲームの営業利益率を41%とすると、全社営業利益は約78億ドル、GAAP純利益は約74億ドルとなる。
10年で稼ぐ純利益は累計約600億ドルとし、配当と買い戻しから株式報酬を引いた正味還元は320億ドルとなる。残った利益と新作への投資によって、自己資本は約509億ドルへ増える。事業に必要な現金を分けた余剰現金240億ドルは帳簿に残るが、VIEや創業者支配があるため株主へ戻る部分を慎重に見る。
- 自社開発オンラインゲーム:数量 135(世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル))× 価格 1.36(課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1))→ 売上 184 億ドル・営業利益 75 億ドル。世界ゲーム市場実質1.22倍、自社シェアほぼ横ばい5.5%
- 外部IPゲームとゲーム関連サービス:数量 20.1(世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル))× 価格 1.32(受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1))→ 売上 27 億ドル・営業利益 5 億ドル。ブリザード契約継続、シェアやや低下
- 有道の学習・AI学習サービス:数量 1.1(年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定))× 価格 275(一契約当たり年間純収入(米ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替で学習契約量0.70倍・価格1.20倍
- 有道のネット広告制作・運用:数量 2.3(中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル))× 価格 1.05(一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。広告運用量0.65倍・価格1.05倍、AIエージェント代替
- 有道の辞書ペンなどスマート端末:数量 0.3(年間端末販売台数(百万台・推定))× 価格 322(端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。端末販売数量0.86倍、価格上昇は物価未満
- 網易雲音楽:数量 49.3(年間有料会員相当数(百万人・推定))× 価格 32(会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け))→ 売上 16 億ドル・営業利益 2 億ドル。会員相当数1.12倍、楽曲権利料圧迫
- 厳選EC・メール・その他:数量 9.0(中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル))× 価格 1.30(商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。厳選ECその他の実質数量0.95倍、値上げも物価未満
倍率:k7.5%、長期g3.0%(世界市場の実質需要年約0.5〜1%、ネットイースのシェアほぼ横ばい、課金単価年約3%に有道の長期0%成長を加重)。余剰現金の税後利息3.36億ドルを除いた事業純利益71.13億ドルと事業自己資本269.4億ドルでROE26.4%。強い堀により超過ROEの2/3が残るRONIC20.1%。式の翌年利益基準約18.9倍、10年目利益基準上限約19.5倍の86%に当たるPER16.75倍。外部許諾と海外新作が不確実なため上限を割り引く。GAAP利益で株式報酬を控除済み、期末余剰現金240億ドルは50%だけ別途加算する。
確率:20年以上続く自社IPと2026年上期の増収があるため、ゲーム市場並みの成長を中立の中心に据える。一方、海外新作の毎年の成功は見込まず、国内の利用者飽和と有道のAI代替を反映して34%とする。
やや悲観 24% 中国のシェアを失い、海外新作の採算が伸びない 利益 38 億ドル · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 75.15 ドル484 億ドル
国内の長寿命作品はなお稼ぐものの、新規参加者が減り、課金額の大きな利用者がテンセントとミホヨの作品へ移る。世界ゲーム市場自体は伸びるが、自社開発ゲームの売上換算シェアは約4.4%まで下がる。自社ゲームの数量は0.95倍となり、単価上昇も1.24倍にとどまる。海外作品は発売時に話題となっても継続課金へ移らず、宣伝費が高止まりする。
ブリザードとの契約は続くが収益分配が厳しく、外部ゲームは約18億ドルにとどまる。有道の学習契約量は38%、広告運用量は45%減る。AIエージェント代替で単価にも競争が生じ、学習の営業採算はほぼゼロ、端末は赤字になる。網易雲音楽もテンセント・ミュージックとの権利料競争で伸び悩む。全社の営業利益は約39億ドルへ下がり、純利益は約38億ドルに縮む。
10年の累計純利益は約415億ドルで、早い時期の主力IP収益が後半の鈍化を埋める。正味の配当・買い戻し200億ドルを払って自己資本は約444億ドルになる。期末の余剰現金は175億ドル残るが、新作の空振りと中国の資金移動制約が重なり、帳簿上の現金をすべて価値とは見ない。
- 自社開発オンラインゲーム:数量 104(世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル))× 価格 1.24(課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1))→ 売上 129 億ドル・営業利益 40 億ドル。自社IP世界売上換算シェア約4.4%へ低下
- 外部IPゲームとゲーム関連サービス:数量 15.7(世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル))× 価格 1.18(受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1))→ 売上 18 億ドル・営業利益 3 億ドル。許諾作品はシェア低下・利幅圧迫
- 有道の学習・AI学習サービス:数量 1.0(年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定))× 価格 256(一契約当たり年間純収入(米ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で講座量0.62倍、価格1.12倍
- 有道のネット広告制作・運用:数量 1.9(中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル))× 価格 1.00(一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で運用量0.55倍、広告単価横ばい
- 有道の辞書ペンなどスマート端末:数量 0.3(年間端末販売台数(百万台・推定))× 価格 283(端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。端末販売数量0.75倍、赤字へ
- 網易雲音楽:数量 42.2(年間有料会員相当数(百万人・推定))× 価格 29(会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。会員換算数の伸び停滞、楽曲コスト負担
- 厳選EC・メール・その他:数量 7.6(中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル))× 価格 1.16(商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。ECなど実質数量0.8倍
倍率:k7.5%、長期g1.5%(世界ゲーム実質需要が伸びても国内シェア低下と実質課金単価の下落が継続し、有道の長期0%を加重)。余剰現金の税後利息2.45億ドルを除いた事業純利益35.53億ドル、事業自己資本269.4億ドルでROE13.2%。強い堀の一部が残るとしてRONIC11.3%、10年目利益基準の正当化PER上限14.7倍。低成長と収益集中のため76%のPER11.15倍とし、中立より明確に低くする。期末余剰現金175億ドルには戻り方50%を適用する。
確率:中国国内の利用者成長が鈍く、テンセントとミホヨの競争が続く。海外ゲームの宣伝費と有道のAI代替が利益を圧迫する現実的な下振れとして24%を割り当てる。
悲観 14% 規制と競争でゲームの堀が崩れ、資産回収が価値の中心になる 利益 7 億ドル · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 37.42 ドル241 億ドル
「夢幻西遊」の課金者が高齢化し、テンセントやミホヨに若い利用者を奪われる。AIで作られる無料ゲームが増え、海外作品も長期の課金基盤を築けない。世界のゲーム市場は実質でなお約12%伸びるが、自社開発ゲームの売上換算シェアは約2.8%まで落ち、数量は現在の0.58倍になる。単価も10年で1.06倍にとどまり、自社ゲームの売上は約67億ドルに縮む。
ブリザード作品の運営契約が失われ、外部IPと付随サービスは約11億ドルとなる。有道の学習・広告はAIエージェント代替で事業が縮小し、営業赤字になる。音楽も版権費の高止まりで利益が薄い。事業全体の売上は約98億ドル、営業利益は約7億ドルに落ち、以前の高い資本効率を失う。
10年の累計利益は、前半に稼ぐ約265億ドルから新作・海外スタジオの資産減損約80億ドルを差し引いて約185億ドルとする。早期の配当と限定的な買い戻しで正味85億ドルを還元し、自己資本は約329億ドルになる。稼ぐ力を元に高い倍率を掛けず、残る純現金と売却できる音楽・事業資産から税と拘束分を控除した床で評価する。
- 自社開発オンラインゲーム:数量 63.7(世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル))× 価格 1.06(課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1))→ 売上 67 億ドル・営業利益 12 億ドル。世界ゲーム市場は成長するが自社IP売上換算シェア約2.8%へ低下
- 外部IPゲームとゲーム関連サービス:数量 10.1(世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル))× 価格 1.04(受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。主要許諾作品の契約失効、数量0.55倍
- 有道の学習・AI学習サービス:数量 0.9(年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定))× 価格 229(一契約当たり年間純収入(米ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で学習契約量0.55倍、単価上がらず赤字
- 有道のネット広告制作・運用:数量 1.7(中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル))× 価格 0.90(一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替で広告運用量0.48倍、単価0.9倍
- 有道の辞書ペンなどスマート端末:数量 0.2(年間端末販売台数(百万台・推定))× 価格 257(端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。端末数量0.60倍で赤字
- 網易雲音楽:数量 34.3(年間有料会員相当数(百万人・推定))× 価格 26(会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。会員の純増が弱く権利料で低採算
- 厳選EC・メール・その他:数量 6.2(中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル))× 価格 1.05(商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。ECなど数量0.65倍、営業利益ゼロ
倍率:構造的に競争力を失いGAAP純利益が約6.66億ドルに縮むため、事業PERで高い継続価値を評価しない。正当化PERの上限ではなく純現金と換金可能資産の税後価値を床にするPBR。2025年末の自己資本229.4億ドルを分母としPBR1.05倍で時価総額240.87億ドルとする。2035年の自己資本329.4億ドルには新作失敗後の回収困難な投資価値も含むため分母にしない。10年の悲観床235億ドルを上回る。余剰現金はPBRの資産評価に含めており別に上乗せしない。
確率:中国の主要IPの課金離れ、海外新作の連敗、ブリザード契約の喪失、規制の厳格化とAIによる有道の縮みが重なる構造的敗北。倒産は想定しないが、優良企業としての値付けを失うため14%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
自社開発オンラインゲーム
夢幻西遊、第五人格、燕雲十六声などの自社作品のPC・モバイル課金と海外展開。
| 数量世界ゲーム市場×自社開発作品の売上換算シェア(2025年単価で評価した億ドル) | 価格課金・購入一件当たり名目単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 110 | 1.00 | 110 | 46 |
| 10 年後 中立 | 135 | 1.36 | 184 | 75 |
取り方:NetEaseの2025年20-Fで自社開発オンラインゲームは約789億元、会社全体は1126.26億元。添付factsの全社売上156.7億ドルへ構成比を掛け109.78億ドルとした。ニューズーの世界市場2025年2016億ドルを使うと、地域差・純額総額差を含む売上換算シェアは5.45%(国内シェアではない)。数量109.78は2016×0.0545の実質市場×シェアであり、価格1は2025年単価の指数。営業利益46.2億ドルは自社開発の粗利、開発・宣伝費を踏まえた推定。2026年上期は夢幻西遊・燕雲十六声などで増収。
外部IPゲームとゲーム関連サービス
ブリザードの中国向け作品、他の許諾IP、ゲームに関連する一部付帯サービス。
| 数量世界ゲーム市場×許諾作品・関連サービスの売上換算シェア(2025年価格の億ドル) | 価格受託運営・ゲーム課金の名目収入単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18.4 | 1.00 | 18 | 4 |
| 10 年後 中立 | 20.1 | 1.32 | 27 | 5 |
取り方:20-Fの2025年外部ゲーム売上約108億元に、ゲーム関連売上の残余約24.5億元を足し、全社売上の約11.8%としてfactsの156.7億ドルを配分した推計。世界ゲーム市場2016億ドルに対する売上換算シェアは0.91%。許諾ゲームだけの数量・平均課金額は非開示のため、実質の市場×シェアを数量、単価指数を価格とする。ブリザード中国再開で2025年ライセンス売上は約37.8%増加したが、利益4.3億ドルは版元への支払いを控除した推定。
有道の学習・AI学習サービス
語学、学習アプリ、資格、講座およびAIを使う教材への支払い。
| 数量年間有料学習契約の換算件数(百万人・推定) | 価格一契約当たり年間純収入(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.6 | 229 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 275 | 3 | 0 |
取り方:有道の2025年20-Fの学習サービス売上26.31億元をNetEase連結20-Fの構成に当て、factsの全社ドル売上に調整して3.66億ドルと推定。年間有料契約数は非開示で、辞書アプリ月間利用者約3910万人と教材・講座の比率を参考に年160万契約相当と仮定した。3.66億ドル÷160万件で年約229ドルの収入、物理的人数ではなく講座換算。営業利益0.14億ドルは共通経費配賦前の推定。AIエージェント代替の『人月・教育』型で中立数量0.70倍、価格1.20倍、長期gは0%。
有道のネット広告制作・運用
オンライン広告の運用、販売促進と集客支援の手数料。
| 数量中国の広告関連市場×有道の受注額換算シェア(2025年単価、億ドル) | 価格一案件当たり手数料・成果報酬の単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.5 | 1.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.3 | 1.05 | 2 | 0 |
取り方:有道2025年20-Fのオンラインマーケティング売上25.39億元を連結factsに合わせ3.53億ドルと推計。中国広告市場2025年約1.36兆元という公表総額からの収入比率は0.2%弱。ただし市場の総額と有道の純額認識には差があり、純粋なシェアではなく売上換算シェアである。数量3.53億ドルを基準に個々の顧客案件・運用量の増減を測る。AIエージェント代替の『広告制作・運用』型で中立数量0.65倍、単価1.05倍、長期g0%。
有道の辞書ペンなどスマート端末
辞書ペン、学習向け端末などの機器販売。
| 数量年間端末販売台数(百万台・推定) | 価格端末一台当たりの売上計上単価(米ドル・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.4 | 257 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 322 | 1 | 0 |
取り方:有道の2025年20-Fのスマート端末売上約7.40億元を連結factsに合わせ1.03億ドルと推計。販売台数は非開示なので、学習端末の価格帯を参考に年40万台と仮定し、残余から平均売上計上単価約257ドルを逆算した。実際の製品構成に大きな不確実性があるため、この数と単価はともに推定。機器は物価ほどの値上げが困難で中立10年価格1.25倍。
網易雲音楽
音楽サブスクリプション、広告、音楽関連のライブ・付加サービス。
| 数量年間有料会員相当数(百万人・推定) | 価格会員一人当たり年間総収入(米ドル、非会員広告等を割り付け) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 44.0 | 25 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 49.3 | 32 | 16 | 2 |
取り方:NetEase20-Fで2025年網易雲音楽売上約77.59億元をfactsに合わせ10.80億ドルと推計。同社の有料音楽会費売上約50.53億元と年平均会費月9.5元程度の仮定から有料会員約4400万人相当を逆算(会社の開示会員数ではない)。その44百万人に広告・他サービスを割り付けた年24.54ドルが価格。競合テンセント・ミュージックは2025年末の有料会員約1.25億人、音楽会費売上約176.6億元と規模で勝る。営業利益2.26億ドルは同社の営業損益に近い参考値であり、連結費用の差を調整。
厳選EC・メール・その他
厳選ブランドの商品販売、電子メール、インターネット付帯サービス。
| 数量中国EC市場×自社売上換算シェア(2025年単価の億ドル) | 価格商品単価と付随サービスの収益単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9.5 | 1.00 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 9.0 | 1.30 | 12 | 1 |
取り方:20-Fの革新事業その他売上68.09億元をfactsの全社売上に割り当て9.47億ドル。中国の2025年オンライン小売規模は約15.97兆元、ドル換算で2兆ドル台であるため、同社売上との単純比は0.05%未満。商品販売の総額と純額、メールや他事業が混在するので本来のEC市場シェアではない。2025年の実質売上換算数量9.47億ドルと価格指数1に正規化し、EC市場の伸びより緩やかな数量を想定。営業利益1.1億ドルは推計。全7区分の営業利益推計合計54.16億ドルから本社共通費・連結調整4.26億ドルを引くとfactsの2025年営業利益49.9億ドルになる。
リスクと懸念
中国のVIE契約と配当への制約
2025年の売上の85.2%は中国で免許を持つVIEを通じて発生した。米国ADSの所有者はこれらの事業を直接保有しておらず、契約による支配と利益移転に依存する。法律や税務の運用が変われば、連結利益があっても海外株主へ現金が届かない恐れがある。創業者の約45.5%の持ち分も少数株主の発言力を弱める。
ゲームの審査、未成年規制と許可更新
中国の版号審査は発売時期を左右し、未成年の利用時間と課金の規制は市場の上限を抑える。2025年20-Fにはオンライン出版事業の許可更新手続きが続いている旨の記載があり、当時は外部の許可事業者を使って運営を継続していた。今後の更新結果が悪化した場合、人気作品でも販売方法を変える必要が生じる。
テンセント・ミホヨとの利用時間競争
中国のゲーム人口は2025年に約6.83億人で増加率は低い。テンセントの国内ゲーム売上は約1,642億元、ミホヨにも若い熱心な利用者がいる。新作の品質が落ちれば「夢幻西遊」などの既存作品の課金が年齢とともに細る。利用者数が保たれても上位課金者が離れれば、売上より営業利益の落ち込みが大きくなる。
AIによるゲーム供給過剰
生成AIが制作、翻訳、デバッグを安くすると開発効率は良くなるが、競合も同じ技術を使う。ヒット作品の数が増えて注目を集める費用が上がれば、ゲーム一人当たりの実質課金額は下がる。単なる画面操作の代替と違い、ゲーム体験そのものは直ちに消えないが、独自IPの希少性が続くかは別に確かめる必要がある。
AIエージェント代替による有道の事業縮小
有道の学習サービスとオンライン広告運用は、人の授業、制作、運用や画面を使う作業に対価が払われる。AIエージェントがそれを代替すると、受講契約や受託作業量、単価が下がりうる。会社はAIを使う学習商品も売るが、エージェントによる従来売上の置換を補うだけの受注金額は切り分けて開示していない。中立で数量減を織り込んだ。
外部IP契約と海外作品の採算
2025年はブリザード作品の中国向け復帰がライセンス収入を押し上げた。しかし契約条件、許可、版元の意思はネットイースだけでは決められない。海外の新作も利用者を獲得してから継続課金へ移行できなければ、翻訳、宣伝、運営の費用だけが先に出る。複数タイトルが重なる時には営業利益率が急に下がる。
余剰現金の滞留と株式報酬
添付財務の2025年末純現金は約229億ドルだが、配当と買い戻しを差し引いても現金が積み上がってきた。創業者の影響力や中国からの資金移動の制約を踏まえると、全額を株主がすぐ受け取るとは見込めない。2025年には自社株買いが約0.9億ドルにとどまり、株式報酬費用約5.2億ドルを下回った。今後も同じなら実質還元は薄くなる。
今後の分かれ目
- 2026年下期以降、自社開発ゲームの増収率が連続して二桁になり、海外作品の継続課金も増える
- 2035年の自社ゲーム実質数量を中立の1.23倍から引き上げ、やや楽観の確率を増す。単発売上でなく、発売から一年後の利用率と課金額が条件となる。
- 「夢幻西遊」や「第五人格」の課金・継続率が複数年低下し、テンセント・ミホヨへの流出が確認される
- 長寿命IPの堀が弱まったと判断し、自社開発ゲームの数量と営業利益率を下げる。中立の確率をやや悲観に振り向ける。
- ブリザードとの中国向け運営契約が更新されず、主力ライセンス作品が停止する
- 外部IP部門の数量と利益を大幅に減らし、2023年に生じたような収入の空白を10年の道筋に反映する。
- 中国の版号やオンライン出版許可の更新条件が厳しくなり、発売延期や運営停止が起きる
- 自社開発と外部IPの両方について悲観側の確率を上げる。単なる時期ずれか、恒久的な売上喪失かを分けて判断する。
- 有道の学習サービス契約量がAI普及後も増え、AI学習エージェントの売上金額と解約率が別途開示される
- 実証された新規売上の分だけ教育セグメントの数量を見直す。開示がない段階ではAIで従来売上が全部回復するとは扱わない。
- 自社株買いが株式報酬を大幅に上回って複数年続き、純現金が実際に減少する
- 株主に戻る現金の評価率を0.5から引き上げ、各筋書きの正味還元を増額する。支出が高値での買い戻しではないかも確認する。
- 網易雲音楽の有料会員一人当たり収入と営業利益率が上がり、楽曲権利料率が下がる
- 音楽部門の中立営業利益率13%を上げ、権利料に利益が吸収される懸念を弱める。ただしグループの価値を決める主役は依然ゲームである。
見ておくもの
- 自社開発ゲームの売上伸び率、作品別のアクティブ利用者と課金継続率
- 「夢幻西遊」「第五人格」「燕雲十六声」「マーベル・ライバルズ」の発売後一年の動向
- 2026年第3四半期以降のゲーム売上とGAAP営業利益率
- 中国の版号発行件数、オンライン出版事業許可の更新状況
- ブリザードとの運営契約の継続と収益分配条件
- 有道の学習契約量・広告運用量・AI学習商品の明示的売上
- 株式報酬控除後の配当・買い戻しと中国からの資金還流
- VIE契約の法的扱いと創業者の保有比率
- 網易雲音楽の会員収入、楽曲使用料、営業利益率
倍率と資本コストの決め方
まず添付の2025年売上156.7億ドルと純利益47.0億ドルを出発点に、世界ゲーム市場の実質需要と売上換算シェア、各サービスの契約量、価格を別々に伸ばした。現在のPERや同業の株価倍率から2035年の倍率を逆算していない。ゲームの長寿命IPは強い堀としたが、年ごとの作品の当たり外れとVIEは確率・現金の戻り方で扱った。営業利益からGAAP純利益を測り、株式報酬を費用に含めた。2035年の純現金の利息を利益から除いて事業PERを掛け、余剰現金は還元確実性50%で別に加えた。10年累計の利益、正味の配当・買い戻し、自己資本を筋書きごとに一致させた。確率加重した現在価値は748.5億ドルで、2026年10月23日の台帳時価総額763.4億ドルとの差は約マイナス2.0%である。10月28日の外部時価総額708.2億ドルとの違いは評価日が異なるためで、結論を調整する材料にはしていない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国共通の基本8.0%に質の調整−0.5%を加え7.5%。βと現行の市場倍率は使わない。創業者支配、VIE、契約失効、新作不発はkに追加せず、下側の筋書きと現金還元率に反映する。