結論
チャーターは、米国最大のケーブル会社である。ブロードバンド約 2,940 万件と無線約 1,250 万回線を持ち、2026 年 8 月にコックスを取り込んで顧客は 3,700 万を超えた。筆者の結論は、値段は極端に安いが、安全域は見かけほど厚くない、というものだ。理由は借金である。
稼ぐ力は落ちている。2026 年 4〜6 月のブロードバンドは前年より多い 17.2 万件の純減で、会社は年間の EBITDA 見通しを下げた。光ファイバーと固定無線が、ケーブルの地域独占をはっきり削っている。純負債は EBITDA の約 4 倍あり、株主の取り分は借金の上に乗る薄い皮にすぎない。EBITDA が 1 割ずれれば、株主の取り分は 3 割動く。
それでも、中立の筋書き(顧客は年 2% 強で減り、料金は物価に届かない)で、10 年後の純利益は約 69 億ドルが残る。今の時価総額は、この利益の 2 倍台だ。悲観側の確率を厚く置いても、確率で加重した価値は今の値段の数倍に出る。借金の重さは資本コストの借金の項(+1.0%)と縮む市場の寿命の項(+1.0%)を合わせた k 9.75%と悲観側の厚い確率で表したが、なお甘く出ている可能性は残る。その分を割り引いて読んでほしい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず、10 年後もこの事業が存在し、今より強いかを問う。固定の網は 10 年後も残る。だが堀は広がらず、光ファイバーと固定無線に独占を崩されて、狭まる側にある。無線は他社の網を借りる立場で、堀とは呼べない。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、設備投資が網の維持と高速化に消えるため、FCF(営業の現金から設備投資を引いたもの)とほぼ同じだ。コックス込みで年 60 億ドル前後と置く。今の時価総額に対して 3 割台の利回りで、市場は極端な縮小を織り込んでいる。
資本配分は最大の疑問だ。高い株価で自社株買いを積み、借金を 1,000 億ドル超まで増やした。今は返済を優先するというが、実行力が問われる。
安全域は値段の低さにある。ただし EBITDA が 1 割違うと株主の取り分は 3 割動くので、見かけの PER ほど厚くない。事業は契約料で読みやすいが、競争の行方が読みにくく、確信度は中程度だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、家庭と会社に引いた回線の月額料金である。売上の約 8 割が住宅向けで、ブロードバンド(スペクトラム・インターネット)、映像、音声、無線が並ぶ。2026 年 4〜6 月の住宅売上は 103.5 億ドルで、前年より 3.5% 減った。内訳は、ブロードバンドが 3.2% 減、映像が 9.7% 減、無線サービスが 18.9% 増だ。法人は 18.65 億ドル(1.5% 増)、広告は政治広告で 12.3% 増の 4.16 億ドルだった。
設備は自前の同軸と光の混合網で、売上の約 2 割を設備投資に使う。EBITDA 率は約 40%。固定費が重いので、契約数と料金のわずかな差が利益を大きく動かす。無線は、ベライゾンの網を借りる MVNO(自前の基地局を持たず他社網を借りる方式)と WiFi の組み合わせだ。回線 1 本あたりの設備投資が軽く、ブロードバンドとのセット割引で解約を抑える役目を持つ。
コックスは 2024 年に売上 131 億ドル・EBITDA 54 億ドルのケーブル会社で、アトランタ、サンディエゴ、ラスベガスなどを持つ。統合後は約 7,000 万の世帯・事業所に網が届き、1 年以内に社名がコックス・コミュニケーションズに変わる。この分析は統合後の会社全体で書き、2025 年の合算を売上約 676 億ドル、営業利益約 161 億ドルと置いた。
優良さと弱いところ
優良さの核は規模である。2016 年のタイム・ワーナー・ケーブルなどの買収で規模を手に入れ、営業利益率を 11.9% から 24.4%(2025 年)まで上げた。コックスの合流で、購買力と網の密度がさらに増す。
だが堀、つまり他社がまねできない強みは狭まっている。ブロードバンドの独占は、光ファイバーと固定無線(家庭向けの約 14%、1,700 万契約超)に崩された。住宅の 1 顧客あたり月収入は前年より 1.8% 低い。値上げで利益を守る時代は終わった、というのが筆者の見方だ。
借金も重い。純負債は約 1,091 億ドルで、EBITDA の約 4 倍ある。会社は 3 年で 3.5 倍に下げると決め、7〜9 月は自社株買いを止めた。
資本配分の評価は厳しくなる。2017〜2022 年に年 44〜154 億ドルを自社株買いに使ったが、買い戻した株の値段は今の何倍も高く、借金だけが残った。帳簿の ROE 31% は、この買い戻しで自己資本が縮んだ見かけの数字で、事業の稼ぐ力を表さない。ROIC は約 9% で、借入金利(税引き後で約 4%)を上回るが、余裕は大きくない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の固定ブロードバンドは、ケーブルの独占から、ケーブル・光ファイバー・固定無線の三つ巴に変わった。2026 年 4〜6 月、固定無線は業界で約 93 万契約を純増した(ティーモバイル約 51 万、AT&T 約 27 万)。AT&T は光でも 28.8 万件を増やした。一方、チャーターは 17.2 万件、コムキャストは 16.7 万件を失った。会社の説明では、原因は解約の増加ではなく新規獲得の弱さだ。
業界ノートの中立の置き方は、10 年でブロードバンド契約が年 1.5% 減り、料金は年 2.5% 増えて、売上は年 1% 弱の増加、というものだ。筆者は、チャーターの競争環境がそれより厳しいと見て、顧客を年 1〜2% 減、料金を年 2% 前後の増とした。
競合と並べると位置がはっきりする。コムキャストは住宅の EBITDA 率が約 38% で同じ事業にいるが、チャーターは無線の伸びが速く、コックスで規模も上回った。ベライゾンはフロンティアの買収で光を増やし、AT&T は光 1,280 万件超、ティーモバイルは固定無線を広げている。
映像は縮むが、チャーターの純減は 4〜6 月に 2.1 万件まで縮み(前年は 8 万件)、番組費の重荷は軽くなる局面にある。規制では、補助金(BEAD)が衛星と光ファイバーに流れる。技術では、DOCSIS 4.0(ケーブルの速度を光に近づける規格)への投資で設備投資が重い。
資本政策と M&A
還元は配当なしで、自社株買いが中心だ。2017〜2022 年は年 44〜154 億ドル、2025 年は 51 億ドルだった。2026 年 1〜6 月に 18 億ドル(828 万株、10-Q)を実行し(今の株数に反映済みなので、起点の自己資本と 10 年の還元の合計から外した)、7〜9 月は借金返済を優先して止め、10〜12 月に再開する見込みである。会社は 3 年以内に純負債を EBITDA の 3.5 倍へ下げる目標で、それまで買い戻しは絞られる。
コックス買収(企業価値 345 億ドル)の対価は、現金 40 億ドル、転換優先持ち分 60 億ドル、普通持ち分約 3,360 万口だ。優先持ち分は配当 6.875% で、転換価格は今の値段よりはるかに高い。筆者はこれを株ではなく、株主より先に払う借金として扱い、年 4.1 億ドルの配当を純利益から引いた。コックス側は完全希薄化で約 26% を持つ。リバティ・ブロードバンドの吸収も同時に終わった。
バリュー投資の目では、4 倍の借金の上に大型買収を重ねた点が重い。相乗効果(3 年で約 5 億ドル、会社は約 10 億ドルに迫ると説明)が、EBITDA の減りを打ち消せるかが見所だ。ほかのケーブル会社との再編の話は出ているが、確認できるものはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブロードバンドの純減は、解約が増えたのではなく、新規獲得が弱いことが原因だ。会社は料金と販売の組み立てを変えている。無線は 4〜6 月に 40.6 万回線を純増し、1,254 万回線(前年比 15.5% 増)に達した。無線とのセットは解約を下げる。映像の純減も 2.1 万件に縮み、番組費の重荷が軽くなっている。
コックスの統合で購買力が上がり、相乗効果は 3 年で 5 億ドル、会社の説明では約 10 億ドルに迫る。設備投資は、地方の網の拡張が終わる 2027 年以降に下がる余地がある。そうなれば FCF が増え、借金は 3 年で EBITDA の 3.5 倍まで下がり、自社株買いも年 60 億ドル超で再開できる。
EV(時価総額に純負債を足したもの)が EBITDA の 5 倍に届かない値段は、ケーブルが年 3% 以上縮んでも釣り合う。借金は長期の固定債が多く、短期金利の変動にも強い。
競合との比較でも悪くない。コムキャストも同じ純減に苦しんでおり、チャーターだけが負けているわけではない。無線の伸びではむしろ先を行く。業界の序列が変わらないなら、規模で勝つチャーターに有利だ。
慎重な見方
光ファイバーと固定無線は、ケーブルの価格決定力を恒久的に削る。住宅の 1 顧客あたり月収入は前年比 1.8% 減で、契約数の減りと値下げが同時に進んでいる。4〜6 月の純減 17.2 万件は前年の 11.6 万件より悪く、EBITDA は 4.3% 減り、会社は年間見通しを下げた。改善ではなく悪化だ。固定費が重く、売上が 1% 減ると利益は 2% 以上減る。
コックスの統合も、縮む市場の中でケーブルどうしを足しただけだ。純負債は EBITDA の 4 倍で、借り換えが 5.75% になれば利払いが増える。転換優先持ち分の 60 億ドルは、株主より先に年約 4.1 億ドルの配当を受け取る。設備投資は光への対抗で減らず、FCF は思ったほど増えない。
過去の自社株買いは高値で積んで株主価値を壊した。再開しても当てにならない。今の PER が低いのは安いからではなく、縮む事業と借金に見合った値段だからだ。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分のほうが、数字の裏付けでは少し強い。FCF が時価総額の 3 割台あり、設備投資が減る余地もあるので、中立の筋書き(顧客が年 2% 強で減り、料金は物価を下回る)でも価値は大きく出る。ただし慎重な見方が突く純減の悪化(2025 年 4〜6 月の 11.6 万件から 2026 年 4〜6 月の 17.2 万件へ)と見通しの下方修正は事実で、借金の重さが株主の取り分を薄くしている。確率は悲観側に厚く置き、10 年は楽観 3%・やや楽観 9%・中立 33%・やや悲観 30%・悲観 25% とした。 点検(2026-10-19、長く持つ株主の目):純減の実績に合わせて中立の減りを年 1.6% から 2.1% に、k を 9.0% から 9.75% に直し、悲観の取り分はほぼゼロに近づけた。コックス買収の持ち分(普通持ち分 3,360 万口)は shares_override の 1.62 億株に入っており、筋書きの事業もコックスを含む全体で、範囲は揃っている。借り換えの金利は平均 6.7% で、利払い約 71 億ドルを純利益に入れてある。設備投資は減価償却並みで引いた。還元の合計(中立 約 631 億ドル)が今の時価総額を大きく超えるのは、純負債が EBITDA の 3.5 倍と借金が重く、株主の取り分が小さな残りに当たるため(毎年の買い戻しが全株主に比例して行われる前提で、会社全体の時価総額に足す形は他社と同じ)。利益が減る筋書きでは還元も減らしてあり(やや悲観 285 億ドル、悲観 0)、減益で払えない分は置いていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 281.86 ドル457 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 250.78 ドル406 億ドル)。 今の値に割り戻すと 268.66 ドル435 億ドル、今との差 +140.4%、 期待の年率 +16.9%(資本コスト 9.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 3% | 911.36 ドル1,476 億ドル | 667.28 ドル1,081 億ドル | +1,312.4% | +30.3% | 47.36 ドル77 億ドル |
| やや楽観 | 9% | 662.10 ドル1,073 億ドル | 549.38 ドル890 億ドル | +983.9% | +26.9% | 109.03 ドル177 億ドル |
| 中立 | 33% | 413.58 ドル670 億ドル | 389.51 ドル631 億ドル | +618.5% | +21.8% | 265.02 ドル429 億ドル |
| やや悲観 | 30% | 187.41 ドル304 億ドル | 175.93 ドル285 億ドル | +225.1% | +12.5% | 109.00 ドル177 億ドル |
| 悲観 | 25% | 8.89 ドル14 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −92.0% | −22.4% | 2.22 ドル4 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 281.86 ドル457 億ドル | 250.78 ドル406 億ドル | +376.5% | +16.9% | 532.63 ドル863 億ドル |
今の株価時価総額 111.77 ドル181 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 3% ケーブルが光・固定無線と共存し、無線の利益も育つ 利益 131 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 911.36 ドル1,476 億ドル
2035 年にかけて、ケーブルは光ファイバー・固定無線と共存し、純減は年 1% を切るまで縮む(顧客 3,200 万件、市場 1.465 億世帯 × シェア 21.8%)。1 顧客あたり収入は 1.38 倍と物価並みに戻り、住宅の営業利益率は 25.5%。無線は 3,000 万回線で利益率 22%、法人は営業利益率 37%。設備投資は売上の 14〜15% まで下がる。
営業利益は 251 億ドル、純利益は約 131 億ドル(利払い約 74 億ドル、税 24%、転換優先の配当 4.1 億ドル)。純負債は 1,100 億ドルに据え置いて EBITDA の約 2.6 倍まで軽くなる。10 年の還元は約 1,081 億ドル(純利益の累計に、減価償却が設備投資を上回る分を足し、2026〜27 年の設備投資の山を引いた額)。株価が転換価格を超える筋書きなので、転換優先の請求が膨らむ分は、倍率を低めに置いて織り込んだ。競合にシェアを 3 ポイント取られずに済めば営業利益は約 25 億ドル多い。10 年の純利益の累計は約 1,022 億ドル(2025 年の 77 億ドルから 2035 年の水準へ直線で動かした累計の 96%。減損・赤字の年は置かない)。
- 住宅(ブロードバンド・映像・音声):数量 32.0(住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア)× 価格 1,881(1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く))→ 売上 602 億ドル・営業利益 154 億ドル。住宅顧客数(市場世帯 × シェア)と 1 顧客あたり年間収入
- 無線(スペクトラム・モバイル):数量 30.0(無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア)× 価格 422(1 回線あたり年間収入(ドル))→ 売上 127 億ドル・営業利益 28 億ドル。無線回線数(市場回線 × シェア)と 1 回線あたり年間収入
- 法人(小企業・中堅・大企業):数量 2.9(法人顧客(百万件、推定))× 価格 5,027(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 146 億ドル・営業利益 54 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり年間収入
- 広告・その他(機器・広告・政治広告ほか):数量 36.5(顧客関係(百万件))× 価格 192(1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 15 億ドル。顧客関係あたりの広告・その他収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.75%(基本 8.0%+quality +1.75%)、g 3.3%(世帯 +0.5%・シェア −0.2%・価格 +3.0%(物価を 0.5 ポイント下回る))。帳簿の ROE は買い戻しで自己資本が薄い数字なので ROIC 経由に直した:ROIC=税引き後営業利益 191÷(自己資本 84+純負債 1100)=16.1%、ROE=ROIC+(ROIC−借入金利の税引き後 4.4%)×(純負債÷自己資本、1 倍まで)=27.8%。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=15.8%、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を含めた上限は 12.67 倍。 置いたのは 11.27 倍(上限の 89%)。EV÷営業利益は 10.5 倍・EV÷EBITDA は 6.3 倍。転換優先 60 億ドルは借金扱いで、配当 4.1 億ドルは純利益から引いてある。株価が転換価格を超える筋書きでは優先の請求が膨らむため、式の値より低めに置いた。純利益は GAAP。
確率:光・固定無線との共存が実現し純減が止まりに近づく筋書き。直近の純減は 2025 年 4〜6 月の 11.6 万件から 2026 年 4〜6 月の 17.2 万件へ悪化しており、独占が崩れる流れの逆向きなので 3% に絞った。
やや楽観 9% 縮小が年 1% に収まり、物価に近い値上げが通る 利益 101 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 662.10 ドル1,073 億ドル
光ファイバーと固定無線の拡大が一巡し、顧客は年 1.5% の減りで 3,000 万件(シェア 20.5%)になる。1 顧客あたり収入は 1.32 倍、住宅の営業利益率は 23.5%。無線は 2,750 万回線で利益率 20%、法人の営業利益率は 36%。コックス統合の効果が出て、設備投資は売上の 16〜16.5% まで下がる。
営業利益は 212 億ドル、純利益は約 101 億ドル。純負債は 1,100 億ドルのまま EBITDA の約 3.1 倍に下がる。10 年の還元は約 890 億ドル。競合のコムキャストと同じ速さの縮小で、シェアの低下は光と固定無線が取る分の 5 ポイントに収まる。10 年の純利益の累計は約 866 億ドル(直線の道筋の累計の 96%。減損・赤字の年は置かない)。
- 住宅(ブロードバンド・映像・音声):数量 30.0(住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア)× 価格 1,799(1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く))→ 売上 540 億ドル・営業利益 127 億ドル。住宅顧客数(市場世帯 × シェア)と 1 顧客あたり年間収入
- 無線(スペクトラム・モバイル):数量 27.5(無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア)× 価格 401(1 回線あたり年間収入(ドル))→ 売上 110 億ドル・営業利益 22 億ドル。無線回線数(市場回線 × シェア)と 1 回線あたり年間収入
- 法人(小企業・中堅・大企業):数量 2.8(法人顧客(百万件、推定))× 価格 4,809(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 136 億ドル・営業利益 49 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり年間収入
- 広告・その他(機器・広告・政治広告ほか):数量 35.0(顧客関係(百万件))× 価格 185(1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 14 億ドル。顧客関係あたりの広告・その他収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.75%(基本 8.0%+quality +1.75%)、g 2.8%(世帯 +0.5%・シェア −0.7%・価格 +3.0%)。帳簿の ROE は買い戻しで自己資本が薄い数字なので ROIC 経由に直した:ROIC=税引き後営業利益 161÷(自己資本 118+純負債 1100)=13.2%、ROE=ROIC+(ROIC−借入金利の税引き後 4.4%)×(純負債÷自己資本、1 倍まで)=22.1%。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=13.9%、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を含めた上限は 11.80 倍。 置いたのは 10.62 倍(上限の 90%)。EV÷営業利益は 10.5 倍・EV÷EBITDA は 6.2 倍。転換優先 60 億ドルは借金扱いで、配当 4.1 億ドルは純利益から引いてある。株価が転換価格を超える筋書きでは優先の請求が膨らむため、式の値より低めに置いた。
確率:縮小が緩やかで、物価に近い値上げが通る筋書き。無線の伸びと設備投資の減少が効くが、純減が悪化している今は 9% に絞った。
中立 33% 顧客は年 2% 強で減り、値上げは物価を下回るが、無線と法人で支える 利益 69 億ドル · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 413.58 ドル670 億ドル
2035 年の顧客は 2,820 万件(市場 1.465 億世帯 × シェア 19.2%)。直近の純減が年 2% 台に速まっているため、10 年を通して年 2.1% 減(従来は年 1.6%)とした。1 顧客あたり収入は 1.23 倍で、物価の 1.41 倍に届かない。光と固定無線との競争が続き、無料回線が収入を薄めるためだ。ACP(低所得向けの補助)の終了は 2024 年中ごろで、直近の ARPU −1.8% に既に入っている。住宅の営業利益率は固定費の重さから 20.5% に下がる。
無線は 2,500 万回線で営業利益 16 億ドル、法人は営業利益率 34%。営業利益は 167 億ドル(今の 161 億ドルとほぼ同じ名目で、物価で見れば 3 割減)、純利益は約 69 億ドル、EBITDA は約 299 億ドル。純負債は 1,060 億ドルに下げ(EBITDA の 3.5 倍の目標)、利払いは借り換えで約 71 億ドル(平均 6.7%)になる。設備投資は光への対抗で減価償却並みにとどまると置いた(2026〜27 年は山で、合計 34 億ドル超過)。10 年の還元は約 631 億ドルで、FCF の累計 662 億ドルから純負債の返済 31 億ドルを引いた額だ。
営業利益が 1 割(17 億ドル)ずれれば純利益は約 13 億ドル、2 割近く動く。AT&T の光とティーモバイルの固定無線に毎年取られる姿で、シェアがあと 3 ポイント低ければ営業利益は約 25 億ドル減る。10 年の純利益の累計は約 696 億ドル(直線の道筋の累計の 96%。減損・赤字の年は置かない)。
- 住宅(ブロードバンド・映像・音声):数量 28.2(住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア)× 価格 1,677(1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く))→ 売上 473 億ドル・営業利益 97 億ドル。住宅顧客数(市場世帯 × シェア)と 1 顧客あたり年間収入。価格は物価(10 年 1.41 倍)を下回る 1.23 倍:光・固定無線との競争が続き、ARPU 年 +2.1%(実質 -1.4%)
- 無線(スペクトラム・モバイル):数量 25.0(無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア)× 価格 387(1 回線あたり年間収入(ドル))→ 売上 97 億ドル・営業利益 16 億ドル。無線回線数(市場回線 × シェア)と 1 回線あたり年間収入。価格は 1.10 倍:無線の価格競争(ベライゾン・ティーモバイル・AT&T)で 1 回線あたり収入が物価を大きく下回る
- 法人(小企業・中堅・大企業):数量 2.7(法人顧客(百万件、推定))× 価格 4,590(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 124 億ドル・営業利益 42 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり年間収入
- 広告・その他(機器・広告・政治広告ほか):数量 33.5(顧客関係(百万件))× 価格 182(1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 12 億ドル。顧客関係あたりの広告・その他収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.75%(基本 8.0%+quality +1.75%)、g 2.0%(世帯 +0.5%・シェア −1.5%・価格 +3.0%。直近の純減が年 2% 台に速まったので、10 年目以降のシェアの減りも従来の −1.0% から −1.5% に深めた)。帳簿の ROE は買い戻しで自己資本が薄い数字なので ROIC 経由に直した:ROIC=税引き後営業利益 127÷(自己資本 208+純負債 1060)=10.0%、ROE=ROIC+(ROIC−借入金利の税引き後 4.4%)×(純負債÷自己資本、1 倍まで)=15.6%。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=11.7%、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を含めた上限は 10.91 倍。 置いたのは 9.71 倍(上限の 89%)。EV÷営業利益は 10.7 倍・EV÷EBITDA は 6.0 倍。転換優先 60 億ドルは借金扱いで、配当 4.1 億ドルは純利益から引いてある。
確率:直近の純減は、2025 年 4〜6 月 11.6 万件、2026 年 1〜3 月 12.0 万件、4〜6 月 17.2 万件と悪化している(間の 2 四半期は未確認)。年換算で 2.0〜2.3% の減りなので、従来の年 1.6% は軽すぎた。減りを年 2.1%、料金を年 2.1% に置き、中立の確率は 33% のまま。
やや悲観 30% 光・固定無線にシェアを奪われ続け、利益が 5 割以上減る 利益 34 億ドル · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 187.41 ドル304 億ドル
ブロードバンドは年 3.1% 前後で減り、2035 年の顧客は 2,550 万件(シェア 17.4%)。1 顧客あたり収入は 1.13 倍にとどまる。住宅の営業利益率は 17% に下がり、営業利益は 118 億ドルまで縮む。無線は 2,150 万回線に伸びるが、1 回線あたり収入が 1.02 倍にとどまり、利益率は 12%。
純負債は EBITDA の 3.9 倍(900 億ドル)で、自社株買いは絞られる。借り換えの金利が弱い会社並みの 7.6% になり利払いが約 68 億ドル、純利益は約 34 億ドルと、合算の今(約 77 億ドル)の 4 割台まで減る。固定費と借金の両方が重いので、営業利益が 27% 減ると純利益は 5 割以上減る。10 年の還元は約 285 億ドル(FCF の累計 476 億ドルから純負債の返済 191 億ドルを引く)で、利益が減るので還元も減る。10 年の純利益の累計は約 510 億ドル(直線の道筋の累計の 96%)。競合に毎年 1 ポイントずつ顧客を取られ、コックス統合の相乗効果は値下げに吸われる。
- 住宅(ブロードバンド・映像・音声):数量 25.5(住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア)× 価格 1,540(1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く))→ 売上 393 億ドル・営業利益 67 億ドル。住宅顧客数(市場世帯 × シェア)と 1 顧客あたり年間収入
- 無線(スペクトラム・モバイル):数量 21.5(無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア)× 価格 359(1 回線あたり年間収入(ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 9 億ドル。無線回線数(市場回線 × シェア)と 1 回線あたり年間収入
- 法人(小企業・中堅・大企業):数量 2.6(法人顧客(百万件、推定))× 価格 4,299(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 110 億ドル・営業利益 34 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり年間収入
- 広告・その他(機器・広告・政治広告ほか):数量 30.5(顧客関係(百万件))× 価格 168(1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル))→ 売上 51 億ドル・営業利益 8 億ドル。顧客関係あたりの広告・その他収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.75%(基本 8.0%+quality +1.75%)、g 0.5%(世帯 +0.5%・シェア −2.5%・価格 +2.5%)。帳簿の ROE は買い戻しで自己資本が薄い数字なので ROIC 経由に直した:ROIC=税引き後営業利益 90÷(自己資本 368+純負債 900)=7.1%、ROE=ROIC+(ROIC−借入金利の税引き後 4.4%)×(純負債÷自己資本、1 倍まで)=9.7%。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=9.7%、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) を含めた上限は 10.26 倍。 置いたのは 8.93 倍(上限の 87%)。ROE が k 以下なので上限は 1÷k。縮む事業なので低めに置いた。EV÷営業利益は 10.7 倍・EV÷EBITDA は 5.5 倍。転換優先 60 億ドルは借金扱いで、配当 4.1 億ドルは純利益から引いてある。
確率:光・固定無線のシェア拡大が止まらず、価格競争が続く筋書き。純減が悪化傾向にあり、借金が EBITDA の約 4 倍で少しの減益が株主の取り分を大きく削るので、中立とほぼ同じ厚さの 30% とした。
悲観 25% 構造的に負け、利益がほぼ消え、のれんの減損が出る 利益 −3 億ドル · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 8.89 ドル14 億ドル
構造的に負ける筋書き。光ファイバーと固定無線にシェアを奪われ、2035 年の顧客は 2,050 万件(シェア 14.0%)。1 顧客あたり収入は 1.04 倍(値下げ競争)で、住宅の営業利益率は 12.5% まで下がる。営業利益は 66 億ドル(今の 161 億ドルの 4 割)、EBITDA は約 148 億ドル。設備投資は減価償却並みで下がらない。
利払いが約 65 億ドルあり、純利益はほぼゼロ(約 −3 億ドル)になる。自社株買いは止まり、FCF は借金の返済に回って、純負債は約 867 億ドル(EBITDA の 5.8 倍)。のれんと免許の減損が約 100 億ドル出る。10 年の純利益の累計は現金ベースで約 256 億ドル、減損を引いて約 156 億ドル。株主の取り分は、借金と転換優先の後ろに残るごくわずかな部分で、企業価値が借金と優先をほぼ賄うだけなので、ゼロに近い(有限責任の分の約 14 億ドル)と置いた。
- 住宅(ブロードバンド・映像・音声):数量 20.5(住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア)× 価格 1,418(1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く))→ 売上 291 億ドル・営業利益 36 億ドル。住宅顧客数(市場世帯 × シェア)と 1 顧客あたり年間収入
- 無線(スペクトラム・モバイル):数量 17.0(無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア)× 価格 324(1 回線あたり年間収入(ドル))→ 売上 55 億ドル・営業利益 3 億ドル。無線回線数(市場回線 × シェア)と 1 回線あたり年間収入
- 法人(小企業・中堅・大企業):数量 2.3(法人顧客(百万件、推定))× 価格 3,825(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 86 億ドル・営業利益 22 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり年間収入
- 広告・その他(機器・広告・政治広告ほか):数量 26.0(顧客関係(百万件))× 価格 149(1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル))→ 売上 39 億ドル・営業利益 5 億ドル。顧客関係あたりの広告・その他収入
倍率:利益がほぼ消えるので PER は使えない。自己資本は 起点 142.5 億ドル + 純利益の累計 156(減損 100 を引いた後)− 還元 0 = 約 298 億ドル。株主の取り分は、その筋書きの稼ぐ力ではなく、事業の企業価値から借金を引いた残りで測る。営業利益 66 億ドルに減価償却を足した EBITDA は約 148 億ドル。ケーブルの取引の水準(コックスは約 6.4 倍)で評価しても企業価値は約 950 億ドルで、純負債 867 億ドルと転換優先 60 億ドルを払うと残りはほぼゼロ。有限責任なので負にはならないが、残るのは息をつなぐ程度の持ち分価値(約 14 億ドル)だけと置いた。床の PBR 0.09 は台帳の今の自己資本 160 億ドルに掛けた値。流れで積んだ自己資本は減損後も大きいが、借金の請求が先に立つので床にならない。
確率:光・固定無線がシェアを奪い、設備投資が下がらず、もう優良ではなくなっている筋書き。純減の悪化と見通しの引き下げが続き、借金が EBITDA の 4 倍超の会社なので、従来の 22% から 25% に厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
住宅(ブロードバンド・映像・音声)
ブロードバンド・映像・音声の契約収入(コックス含む。無線は別)。
| 数量住宅顧客数(百万件)= 米国の固定ブロードバンド世帯 × シェア | 価格1 顧客あたり年間収入(ドル。無線を除く) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 35.0 | 1,363 | 477 | 110 |
| 10 年後 中立 | 28.2 | 1,677 | 473 | 97 |
取り方:チャーター単体の住宅顧客約 2,940 万にコックス約 600 万を足した約 3,500 万件(推定)。市場は米国の固定ブロードバンド世帯約 1.38 億(年 +0.6%)、シェアは約 25.4%。収入はチャーターの住宅(2026 年 4〜6 月 103.5 億ドルの年換算から無線サービスを除いた約 379 億ドル)にコックスの住宅約 98 億ドル(推定)を足した約 477 億ドル。営業利益はコックスを含む全社の営業利益 161 億ドル(チャーター 133+コックス 28・推定)の配分で、住宅 110 億ドル(率 23.1%)。
無線(スペクトラム・モバイル)
MVNO(ベライゾンの網)と WiFi による無線サービス。
| 数量無線回線数(百万)= 米国の携帯回線 × シェア | 価格1 回線あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.2 | 352 | 43 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 387 | 97 | 16 |
取り方:2025 年末の無線回線はチャーター約 1,170 万にコックス約 50 万(推定)で 1,220 万。米国の携帯回線約 4.3 億の約 2.8%。2026 年 4〜6 月の無線サービス収入 10.95 億ドル(+18.9%)から、1 回線あたり年約 352 ドル。営業利益は端末と MVNO 費用の後でほぼ収支均衡の約 3 億ドル(推定)。
法人(小企業・中堅・大企業)
小企業・中堅・大企業向けのインターネット・音声・ネットワーク。
| 数量法人顧客(百万件、推定) | 価格1 顧客あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.8 | 3,643 | 102 | 36 |
| 10 年後 中立 | 2.7 | 4,590 | 124 | 42 |
取り方:2026 年 4〜6 月の法人売上 18.65 億ドル(+1.5%)の年換算約 75 億ドルにコックスの法人約 27 億ドル(推定)を足して約 102 億ドル。顧客数は小企業約 210 万+コックス約 70 万=約 280 万(推定)。営業利益は EBITDA 率約 55% から減価償却を引いた率 35%、約 36 億ドル(推定)。
広告・その他(機器・広告・政治広告ほか)
ローカル広告・機器・その他の収入(政治広告の年の変動を含む)。
| 数量顧客関係(百万件) | 価格1 顧客関係あたり年間のその他収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 38.0 | 142 | 54 | 12 |
| 10 年後 中立 | 33.5 | 182 | 61 | 12 |
取り方:チャーター約 3,150 万+コックス約 650 万の顧客関係約 3,800 万に対し、広告(約 16 億ドル)・その他(約 35 億ドル)・コックス分(約 3 億ドル)の合計約 54 億ドル(推定)。営業利益率 22%、約 12 億ドル(推定)。
リスクと懸念
ブロードバンドの純減が加速し、価格を下げて守るしかなくなる
2026 年 4〜6 月は 17.2 万件の純減で前年(11.6 万件)より悪い。光ファイバーと固定無線に新規を奪われ、ARPU も前年比 -1.8%。固定費が重く、売上 1% 減で利益が 2% 以上減る。顧客数が年 3% で減ると、10 年で EBITDA が半分近くに縮む。
借金の重さと金利
純負債約 1,091 億ドル(コックス含む)、純負債 / EBITDA 約 4 倍。借り換えは 5.75% 前後で、3 年で約 12 億ドル、10 年で約 20 億ドル利払いが増える(推定)。EBITDA が 1 割減ると株主の取り分は 3 割動く。信用の悪化は買い戻しの停止につながる。
コックス統合の実行
約 3,700〜3,800 万の顧客の網・請求・ブランド(スペクトラム)の統合と、約 5〜10 億ドルの相乗効果の実現。統合中の解約、州の規制の条件、借金約 120 億ドルの引き継ぎ。コックス側が完全希薄化で約 26% を持つ。
転換優先持ち分と少数持ち分の請求権
コックスの転換優先持ち分 60 億ドル(6.875%)は、今の値段では転換されず、実質的に株主より先に払う請求権で、年約 4.1 億ドルの配当を吸う。ほかにアドバンス・ニューハウスの持ち分も株主の取り分を分け合う。
設備投資が減らない
網の高速化(DOCSIS 4.0)と地方の拡張、光ファイバーへの対抗で、2026 年も約 114 億ドル(コックス除く)。2027 年以降の減少が前提だが、競争の激化で減らせないと、FCF が年 60 億ドルから伸びない。
無線の利益が出ない・ベライゾンの網への依存
無線は 2026 年 4〜6 月に 40.6 万回線を純増したが、無料・割引の回線で ARPU を押し下げる面があり、費用はベライゾンの網の条件に左右される。無線の利益率が上がらないと、バンドルは解約を抑えるだけの費用になる。
資本配分への信頼
2017〜2022 年の自社株買い(年 44〜154 億ドル)は、買い戻した株価が今の値段の数倍で、借金だけが残った。株主価値の面で大きな損失を生んだ過去がある。再開しても、割高な買い戻しを繰り返せば同じ失敗になる。借金を減らすと決めた今は、返済を優先する方針の実行力が問われる。
今後の分かれ目
- ブロードバンドの純減が四半期 10 万件を下回り、ARPU が前年比プラスに戻る
- やや楽観・楽観の確率を数ポイント上げ、10 年の顧客数の減りを年 1.0% 程度、ARPU を物価の 9 割(10 年 1.3 倍)に置き直してよい。
- 純減が四半期 20 万件を超える状態が 3 四半期続き、ARPU の下落が -3% に拡大
- やや悲観・悲観の確率を上げ、10 年の顧客数の減りを年 -3% 台、住宅の営業利益率を 18% 台に下げる。
- コックスの相乗効果が 3 年で 10 億ドルに達し、設備投資が 2027 年以降 100 億ドル以下に下がる
- FCF の増加を織り込み、10 年の還元を上げ、純負債 / EBITDA 3.5 倍が早く達成できる。やや楽観の確率を上げる。
- 純負債 / EBITDA が 4.2 倍を超えて高止まりし、格付けが投資適格の下限に近づく
- 自社株買いの再開が遅れ、倍率が下がる。悲観の確率と、借金の再調達コストを上げる。
- コムキャストなど他のケーブルとの統合・再編が発表される
- 規模と購買力の効果が出る一方、ケーブルの縮小は止まらない。統合の条件(株式交換の比率・借金の割り振り)次第で、価値が大きく動く。
- 固定無線の純増が鈍化し、光ファイバーの敷設が一巡する
- 競争の圧力が和らぎ、価格決定力が戻る。10 年の ARPU 1.23 倍を 1.3 倍へ上げてよい。
見ておくもの
- ブロードバンドの純増減(四半期)と住宅 1 顧客あたりの月収入(117.52 ドル)
- 無線の回線数(1,254 万)と純増(40.6 万)、無線の収益性
- 調整後 EBITDA(4〜6 月 54.49 億ドル・率 40.3%)と通年の見通し
- 純負債 / EBITDA(4.18 倍)と 3.5 倍への進み方、格付け
- 設備投資(2026 年約 114 億ドル)と FCF(4〜6 月 9.69 億ドル)
- コックス統合の相乗効果の実現(5〜10 億ドル)
- 自社株買いの再開(10〜12 月の見込み)と買い戻しの価格
- 固定無線・光ファイバーの競合の純増(ティーモバイル・AT&T・ベライゾン)
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER を見る前に、4 つのセグメントを数量(市場 × シェア)× 価格で 10 年へ積み、利払い(借り換えで増える分)・税 24%・転換優先の配当を引いて純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER(k 9.75%=基本 8.0%+quality +1.75%、moat=weak、g は市場・シェア・価格の内訳)で、帳簿の ROE が 40% 超の筋書きは ROIC 経由に直し、上限の 87〜90% に置いた。EV÷営業利益と EV÷EBITDA でも見て、ケーブルの取引の水準(コックスは約 6.4 倍)と合う。自己資本は台帳の 160 億ドルから流し、コックスの持ち分約 50 億ドルは入れていない(ROE は高めに出る)。確率は悲観側に 5 割台を置き、10 年の悲観は借金の請求が先に立つ構造から、株主の取り分が約 14 億ドルのほぼゼロまで深くした。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k は基本 8.0% + quality +1.75% = 9.75%。定期収入は景気に強いが、純負債が EBITDA の約 4 倍で、借り換えの金利(約 5.75%)が利益を削る点と、ケーブルの独占が光ファイバー・固定無線に削られ、純減が 2025 年の年 1.5% から 2026 年 4〜6 月は年 2.3% に速まっている点を quality の debt・pricing・life で表した。競争・統合の実行・転換優先の請求は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。事業の存続は危なくないので上乗せは 0。