株譜
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フォックス・コーポレーション FOXA

ニュースとスポーツで稼ぐ線形テレビの高収益会社。縮みを織り込むと、本質価値は今の値段を 1 割ほど下回る(やや割高)

やや割高
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)54.79 ドル230 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)68.3 ドル286 億ドル差 −19.7%
10 年後から見ると やや割高 価値 54.79 ドル230 億ドル · 差 −19.7% · 期待の年率 +4.3%
期待の年率リターン(10 年)+4.3%資本コスト比 −4.5 pt
推定の資本コスト8.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

フォックス・コーポレーションは、FOX ニュースなどのケーブル網、FOX 放送網とテレビ局(NFL・大学フットボール・MLB・W 杯の放送)、無料配信の Tubi を持つ総合メディアである。2026 年 6 月期は売上 171 億ドル、調整後 EBITDA 39 億ドル、GAAP 純利益 17 億ドル(調整後の純利益は約 24 億ドル)。売上の約 47% が再送信料などの配信収入、43% が広告で、ケーブル網は営業利益の大半を稼ぐ。今の時価総額は両クラスの株を合わせて約 269 億ドルで、ならした純利益に対する PER は約 11 倍、GAAP では 16 倍弱。

ただし、収益源の線形テレビは契約世帯が年 5% 前後減り、スポーツ権料は上がり続ける。一方で FOX ニュースは視聴者が競合の倍以上、Tubi は月間 1.1 億人・売上が年 25% 超の伸びで、縮みを埋めつつある。2026 年 6 月にロク(Roku)を約 220 億ドルで買う契約を結んだが、まだ成立していないので、筋書きは今の会社だけで置いた(成立した時の得失は文章と確率で触れる)。

数量と価格から 3 部門を積み上げると、中立の筋書きで 2029 年 6 月期の純利益は約 26 億ドル、2036 年 6 月期は約 23 億ドルで、実質では縮むが名目では横ばいを保つ。資本コスト 8.75%、g 2%、帳簿の ROE 15% が先で k へ半分薄れる利益ベースの正当化 PER は 12.5 倍で、利益の半分が縮む線形テレビにあることから上限の 92% とし、1÷k の下限 11.4 倍と重なる約 11.5 倍に置いた。確率を加重した本質価値は今の時価総額より約 15% 低く、「やや割高」と出た。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、まず「10 年後もあるか」を問う。FOX ニュースとライブ・スポーツの視聴は 10 年後も残る可能性が高いが、有料放送の契約世帯は縮み続け、実質では事業は 3 割ほど縮むと見る。それでも名目の利益は Tubi が埋め、横ばいを保つというのが中立である。

オーナー利益は、ならした純利益約 25 億ドルに償却を戻して、設備投資(年約 2〜3 億ドル)を引いた 25 億ドル強が目安である。事業は設備が軽く、利益の大半が株主に回る。配当と自社株買いで年 23 億ドルを返し、FCF の範囲におおむね収まる。

資本配分は、これまで自社株買いを割安な局面で増やし(株数は 2019 年から約 1 割減)、買収には慎重だった。だからこそ、約 220 億ドルのロク買収は、これまでの性格と異なる大きな賭けである。成立すれば、借金で買う価格が高く(24 倍)、資本配分への評価は下がる。ただし未成立のため、今の会社の価値を測る。安全域は、中立の年率が資本コストの 8.75% に届かず、悲観は今の時価総額の約 25% まで落ちる点で、厚くない。確信度は中程度で、線形の縮み方と Tubi の伸びは読み切れない。

何で稼ぐ会社か

【ニュース・ケーブル網】売上 73.5 億ドル(全体の 43%)、調整後 EBITDA 31.0 億ドルで利益の大半を稼ぐ。FOX ニュース(ケーブルニュースの首位。2026 年 1〜3 月の夜の視聴者は約 259 万人で、MS NOW の約 111 万人・CNN の約 80 万人の倍以上)、FOX ビジネス、FS1(スポーツ)、ビッグ・テン・ネットワーク、FOX ネーション(直販)、FOX ウェザー。収入は有料放送会社からの再送信料(世帯あたりの料金 × 契約世帯)と広告。契約世帯は年 5% 前後減るが、1 世帯あたりの料金が上がり、売上は 2026 年 6 月期に +6% 伸びた。

【放送網・テレビ局】売上 96.7 億ドル(Tubi 含む)、調整後 EBITDA 14.4 億ドル(前年 9.5 億ドル)。FOX 放送網と傘下のテレビ局で、NFL(日曜午後の主力)、大学フットボール、MLB、NASCAR、2026 年の W 杯の放送権を持つ。収入は広告と再送信料(地上波局が有料放送会社から受ける料金)で、選挙の年は政治広告が加わる。

【Tubi】広告つきの無料配信(AVOD)。月間利用者 1.1 億人、2026 年 6 月期の視聴時間は 132 億時間(前年比 +20%)で、米国のテレビ視聴の 2.3%(2026 年 4 月・ニールセン)。2025 年に黒字化し、売上は年 25% 超の伸び(年商は 10 億ドル超という報道)。ほかに、2025 年 8 月に始めた有料の直販サービス フォックス・ワンと、本社機能が「本社・その他」にあり、ここがマイナスの EBITDA(−6.3 億ドル)を持つ。

優良さと弱いところ

堀は 3 つに分かれる。第 1 は FOX ニュースの視聴者の厚みで、保守層という明確な顧客を持ち、有料放送会社が契約から外しにくい番組として毎年の値上げが通る。競合の MS NOW・CNN はこの視聴の半分以下にとどまる。第 2 はライブ・スポーツ(NFL・大学フットボール)で、配信に取られにくい視聴を持ち、広告主にとって届く先が確かなこと。2026 年 8 月の決算では、早期の NFL 契約の更新に動かない方針が示され、近い将来の大きな不確実さは和らいだ。第 3 は資本効率の高さで、事業は設備が軽く、帳簿の自己資本 ROE(ならした純利益 ÷ 自己資本)で約 21%、過去ののれんを除けば 3 割前後ある。

弱点は、第 1 に収入の 7 割以上が線形テレビ(有料放送の契約世帯の減少に連動)であること。第 2 に NFL・MLB などの権料が上がり続け、放送網の利益率を押し下げること。第 3 に Tubi が YouTube・ロクのチャンネル・ペラ(Pluto)など無料の広告つき配信と競い、広告単価が物価に追いつかない恐れがあること。第 4 に経営の支配で、マードック家の持株会社が B 株の約 36% を持ち、ラクラン・マードックが 2050 年まで議決権を握る体制は、少数株主の発言力が小さい点で慎重に見る。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

米国のテレビ視聴は、配信が 2026 年 5 月に 48.6% と過去最高、放送 19.2%、ケーブル 20.4%(ニールセン)。線形(放送とケーブル)は全体として縮む。ただし縮み方は一様でなく、ニュースとライブ・スポーツは残りやすく、エンタメ系のチャンネルは最も速く縮む。FOX は前者に偏っているため、業界ノートの線形の縮み(収入 年 −3〜−4%)よりも浅い縮みを置いた(ニュースとスポーツは年 −1%)。

領域内の位置づけは、純粋な配信のネットフリックス(Netflix)と、線形中心のパラマウント・スカイダンス・ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの間にあり、ディズニーのようなパーク事業の分厚い収益源を持たない代わりに、利益率の高いニュースを持つ。業界ノートは FOXA の ROE を 15〜20% と置き、倍率は PER 6〜10 倍としたが、今回は式(k 8.75%・g 2%・ROE 15%)で出した結果、より高い。

循環で見ると、広告は景気に弱いが、FOX の広告は選挙の年とスポーツで下支えされる。2026 年 6 月期は W 杯(Q4 の広告 +78%)で押し上げられた一過性があり、FY27 はその反動と中間選挙の政治広告が重なる。技術では、AI が映像制作費を下げる一方、ショート動画と YouTube が視聴時間を取る。規制では、放送局の所有規制(FCC)の緩和が同業の再編(ネクスター(Nexstar)など)を後押しする。

資本政策と M&A

還元は配当(年 2 回、増配を承認。配当だけで時価総額の約 1%)と自社株買い。2026 年 6 月期の自社株買いは 20 億ドルと前年の 2 倍で、配当と合わせて約 23 億ドルを返した。累計は A 株 67 億ドル・B 株 19 億ドルで、残りの枠は 34 億ドル。純負債は約 24〜34 億ドル(時価総額の 9〜13%)、借入 66 億ドル・現金 42 億ドルで、財務は軽い。

最大の論点は、2026 年 6 月 15 日に発表したロク買収である。対価は現金 6 割・フォックス A 株 4 割(ロク 1 株につき A 株 0.9693 株と現金)、企業価値で約 220 億ドル。つなぎ融資 120 億ドル。成立後、旧フォックス株主が 73%・ロク株主が 27% の持ち分で、完了は 2027 年前半、費用削減は年 4 億ドルの見込み。ロクは売上が前年比 +22%(2026 年 1〜3 月で 12.5 億ドル)、無借金だが、買収の EBITDA 倍率は 24 倍で高い。成立すれば借金が大きく増え、事業が一変する。未成立なので筋書きには入れず、確率と文章で触れる。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

フォックスは、縮む線形テレビの中で最も強い部分だけを持っている。FOX ニュースはケーブルニュースの視聴者の過半を持ち、有料放送会社は外せないので、契約世帯が減っても 1 世帯あたりの料金を毎年上げられる。2026 年 6 月期のケーブル網の売上は +6%、EBITDA は +2% と、縮む市場の中で伸びた。NFL・大学フットボールは配信に取られにくいライブで、広告主が最も払う視聴である。

そこに Tubi がある。月間 1.1 億人、視聴時間 +20%、売上 +25% 超で、2025 年に黒字になった。米国のテレビ視聴の 2.3% で、無料の広告つき配信の中では首位級。ロクと組めば(成立すれば)広告の売り手として最大になり、年 4 億ドルの費用削減も乗る。自社株買いを毎年 20 億ドル行って株数は 10 年で 1 割以上減り、PER は今 11 倍と、バリュー投資で見て安い。選挙の年には政治広告で上振れ、W 杯のような一過性のライブも取れる。

慎重な見方

フォックスの利益の大半は、年 5% 減り続ける有料放送の契約世帯に連動している。1 世帯あたり料金を上げ続けるのは、いずれ限界が来る。ケーブルから抜ける世帯が増えれば、FOX ニュースを外す会社が出て、料金の交渉力が崩れる。スポーツ権料は上がる一方で、放送網の営業利益率は 15% 前後しかなく、NFL の次の契約で利益が飛ぶ。2026 年 6 月期の利益の伸びには W 杯の一過性が含まれ、2027 年はその反動がある。

Tubi は YouTube と、ロクのチャンネル・ペラ・サムスンなどの無料の広告つき配信に挟まれ、視聴時間が増えても広告単価が物価に届かない。年商 13 億ドルは全体の 8% にすぎず、線形の縮みを埋めるには小さい。さらに、約 220 億ドルのロク買収は、24 倍という高い値段で、借金(つなぎ融資 120 億ドル)を増やして買う。これまで慎重だった資本配分の性格が変わり、ロクのハードウェア事業(売上の 1 割弱)の利益率が低い問題もある。ガバナンスも、マードック家が B 株の 36% を持ち 2050 年まで議決権を握る体制で、少数株主の声が届かない。

どちらに重みを置いたか

ニュースとスポーツの強さと軽い財務は強気の見方が強く、確率を楽観とやや楽観に 10 年で 28% 寄せた。一方、線形の縮みの加速、権料の上昇、Tubi の競争は慎重な見方が強く、10 年はやや悲観と悲観を合わせて 36% と厚く置いた。ロク買収の成否は、未成立のため数字に入れず、悲観の厚さで間接的に反映した。中立(36%)の年率は資本コストの 8.75% を下回るため、確率を加重した本質価値は今の時価総額を 1 割強下回り、結論はやや割高。

10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)

確率で加重した株価時価総額 59.13 ドル248 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 44.46 ドル187 億ドル)。 今の値に割り戻すと 54.79 ドル230 億ドル、今との差 −19.7%、 期待の年率 +4.3%(資本コスト 8.8%)→ やや割高

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 107.72 ドル452 億ドル 63.63 ドル267 億ドル +151.0% +9.6% 13.71 ドル58 億ドル
やや楽観 20% 80.70 ドル339 億ドル 56.01 ドル235 億ドル +100.2% +7.2% 27.34 ドル115 億ドル
中立 36% 63.21 ドル265 億ドル 47.19 ドル198 億ドル +61.7% +4.9% 39.74 ドル167 億ドル
やや悲観 24% 40.25 ドル169 億ドル 35.99 ドル151 億ドル +11.7% +1.1% 18.30 ドル77 億ドル
悲観 12% 16.30 ドル68 億ドル 21.21 ドル89 億ドル −45.1% −5.8% 4.50 ドル19 億ドル
加重平均100% 59.13 ドル248 億ドル44.46 ドル187 億ドル +51.7% +4.3% 103.59 ドル435 億ドル

今の株価時価総額 68.27 ドル286 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:Tubi が無料配信の大手になり、ニュース網の堀も保たれる 利益 37 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 107.72 ドル452 億ドル

Tubi の視聴時間が年 11% 増え(今の 132 億時間が 10 年後に約 370 億時間)、1 時間あたり広告収入も物価並みに伸びて売上 52 億ドル、利益率 26% で営業利益 13.5 億ドルになる。ニュース網は契約世帯の減りが年 3.5% にとどまり、FOX ニュースの視聴者の厚みで再送信料の引き上げが続き、営業利益 34 億ドル。放送網は NFL・大学フットボール・選挙の広告で売上 91 億ドル、営業利益率 17%。純利益は約 37 億ドル(今から年 +4%)。堀は広がり、線形の縮みを配信(Tubi・フォックス・ワン)の伸びが上回る。コムキャスト(Comcast)やディズニーが線形の縮みで利益を落とす中、ニュースとライブ・スポーツの 2 本柱を持つフォックスの利益が相対的に増す姿である。

  • ニュース・ケーブル網:数量 0.5(有料放送の契約世帯(億世帯))× 価格 173(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告))→ 売上 80 億ドル・営業利益 34 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
  • 放送網・テレビ局:数量 0.5(再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯))× 価格 195(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ))→ 売上 91 億ドル・営業利益 15 億ドル。再送信の対象世帯と 1 世帯あたり売上
  • Tubi(無料の広告つき配信):数量 375(年間視聴時間(億時間))× 価格 0.14(1 時間あたり広告収入(ドル))→ 売上 52 億ドル・営業利益 14 億ドル。視聴時間と 1 時間あたり広告収入

倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.8%(基本 8.0%+quality +0.8%)、g 3.0%(ニュースとスポーツが線形の縮みを補う)。事業の ROE 23.0%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=normal(残る割合 0.50)で RONIC=15.9%、式の PER=14.1 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 14.5 倍。 置いたのは 12.35 倍(上限の 85%)。FOX ニュースとスポーツの視聴は強いが、利益の半分前後が縮む線形テレビにあるので、式の値より低めに置いた。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。

確率:Tubi が無料配信の首位級に育ち、ニュースの堀が広がる、が 10 年続く必要があり 8%。

やや楽観 20% やや楽観:ニュースとスポーツの価格力が続き、Tubi も育つ 利益 30 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 80.70 ドル339 億ドル

ケーブル網は契約世帯が年 4.25% 減り、1 世帯あたり売上が年 4.5% 増で売上がほぼ横ばい(74 億ドル)、営業利益率 40.5%。放送網は売上 84 億ドル、営業利益率 16%。Tubi は視聴時間が年 9.5% 増、売上 43 億ドル、利益率 23%。本社・その他 −11.2 億ドル。純利益は約 30 億ドル(今から年 +1.7%)。ライブのスポーツ・ニュースを求める視聴者は引き続き多く、実質ではやや縮むが名目の利益は守る、という中立の少し上の落としどころ。ロクの買収は未成立なので入れない。

  • ニュース・ケーブル網:数量 0.4(有料放送の契約世帯(億世帯))× 価格 173(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告))→ 売上 74 億ドル・営業利益 30 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
  • 放送網・テレビ局:数量 0.4(再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯))× 価格 190(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ))→ 売上 84 億ドル・営業利益 13 億ドル。再送信の対象世帯と 1 世帯あたり売上
  • Tubi(無料の広告つき配信):数量 327(年間視聴時間(億時間))× 価格 0.13(1 時間あたり広告収入(ドル))→ 売上 43 億ドル・営業利益 10 億ドル。視聴時間と 1 時間あたり広告収入

倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.8%(基本 8.0%+quality +0.8%)、g 2.5%(線形の縮みを Tubi が一部補う)。事業の ROE 19.1%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=normal(残る割合 0.50)で RONIC=13.9%、式の PER=13.1 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.5 倍。 置いたのは 11.44 倍(上限の 85%)。FOX ニュースとスポーツの視聴は強いが、利益の半分前後が縮む線形テレビにあるので、式の値より低めに置いた。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。

確率:ライブ・ニュース・スポーツは線形でも最後まで残る視聴なので、守りの筋書きは重く、20%。

中立 36% 中立:実質では縮むが、名目の利益は横ばいを保つ 利益 23 億ドル · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 63.21 ドル265 億ドル

ケーブル網は契約世帯が年 5% 減り、1 世帯あたり売上が年 4.5%(物価 3.5% + 再送信料・広告の上積み 1%)増えて売上 68 億ドル(今から −7%)、営業利益率は番組費の上昇で 38% へ下がり営業利益 26 億ドル。放送網は売上 78 億ドル、営業利益率 15%、営業利益 12 億ドル。Tubi は視聴時間が年 8% 増(約 285 億時間)、広告単価が年 2.5% 増(ユーチューブとロクのチャンネルとの競争で物価に届かない)で売上 36 億ドル、利益率 20%、営業利益 7 億ドル。本社・その他 −11.5 億ドル。営業利益は約 33 億ドル、純利益は約 23 億ドル(今のならした約 25 億ドルから年 −0.8%)。10 年で正味約 198 億ドルを還元する。実質では 3 割縮むが、Tubi が線形の縮みを埋め、名目の利益は守られる。ロクの買収は未成立なので入れない。

  • ニュース・ケーブル網:数量 0.4(有料放送の契約世帯(億世帯))× 価格 173(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告))→ 売上 68 億ドル・営業利益 26 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
  • 放送網・テレビ局:数量 0.4(再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯))× 価格 186(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ))→ 売上 78 億ドル・営業利益 12 億ドル。再送信の対象世帯と 1 世帯あたり売上
  • Tubi(無料の広告つき配信):数量 285(年間視聴時間(億時間))× 価格 0.13(1 時間あたり広告収入(ドル))→ 売上 36 億ドル・営業利益 7 億ドル。視聴時間と 1 時間あたり広告収入

倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.8%(基本 8.0%+quality +0.8%)、g 2.0%(線形テレビの縮みが利益の半分前後を占め、物価を下回る)。事業の ROE 14.6%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=normal(残る割合 0.50)で RONIC=11.7%、式の PER=12.3 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.5 倍。 置いたのは 11.53 倍(上限の 92%)。式の値の 92% は、ROE が k を超える会社の PER の下限 1÷k と重なる。FOX ニュースとスポーツの視聴は強いが、利益の半分前後が縮む線形テレビにあるので、式の値より低めに置いた。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。

確率:線形の縮みと Tubi・ニュースの伸びが打ち消し合う落としどころ。36%。

やや悲観 24% やや悲観:線形の縮みが速く、Tubi の単価が競争で伸びない 利益 15 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 40.25 ドル169 億ドル

ケーブル網は契約世帯が年 6% 減り、1 世帯あたり売上の伸びは年 4.25% 止まりで売上 60 億ドル、営業利益率 36% で 22 億ドル。放送網は売上 70 億ドル、NFL 権料の上昇で営業利益率 13%、営業利益 9 億ドル。Tubi は視聴時間が年 6% 増にとどまり、売上 28 億ドル、利益率 15%。本社・その他 −11.8 億ドル、借り換えで利払いも増える。純利益は約 15 億ドル(今から年 −4.6%)。FOX ニュースはなお首位でも、ケーブルから抜ける世帯が増え、視聴者の高齢化が進む形である。ニューズ・コーポレーションや地上波局の同業が線形の縮みで利益を落としてきた道筋に近い。

  • ニュース・ケーブル網:数量 0.4(有料放送の契約世帯(億世帯))× 価格 169(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告))→ 売上 60 億ドル・営業利益 22 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
  • 放送網・テレビ局:数量 0.4(再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯))× 価格 177(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ))→ 売上 70 億ドル・営業利益 9 億ドル。再送信の対象世帯と 1 世帯あたり売上
  • Tubi(無料の広告つき配信):数量 236(年間視聴時間(億時間))× 価格 0.12(1 時間あたり広告収入(ドル))→ 売上 28 億ドル・営業利益 4 億ドル。視聴時間と 1 時間あたり広告収入

倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.8%(基本 8.0%+quality +0.8%)、g 1.0%(線形の縮みが速い)。事業の ROE 9.7%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=normal(残る割合 0.50)で RONIC=9.2%、式の PER=11.5 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 11.6 倍。 置いたのは 11.04 倍(上限の 95%)。FOX ニュースとスポーツの視聴は強いが、利益の半分前後が縮む線形テレビにあるので、式の値より低めに置いた。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。

確率:線形の縮みは過去の下げ(2022 年の −30%)でも見えており、確率はやや高い 24%。

悲観 12% 悲観:FOX ニュースの求心力が落ち、NFL 権料と競争で放送網も傷む 利益 6 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 16.30 ドル68 億ドル

創業者の世代交代を経て FOX ニュースの視聴者が減り、ケーブルの契約世帯が年 8% 減って(10 年で 5 割弱)、ケーブル網の売上は 45 億ドル、営業利益 15 億ドルまで落ちる。放送網は NFL の権料が固定のため営業利益率が 10% に下がり、利益 6 億ドル。Tubi はユーチューブとロクのチャンネルに視聴時間を取られ(年 3% 増)、利益率 10%。純利益は約 6 億ドル。のれん(約 36 億ドル)の大きな減損が自己資本を縮める。線形テレビ中心の会社に起きた、規模の縮みと固定費の重さが同時に来る姿で、パラマウント・スカイダンスやワーナー・ブラザース・ディスカバリーの苦境が前例である。

  • ニュース・ケーブル網:数量 0.3(有料放送の契約世帯(億世帯))× 価格 157(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告))→ 売上 45 億ドル・営業利益 15 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
  • 放送網・テレビ局:数量 0.3(再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯))× 価格 169(1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ))→ 売上 57 億ドル・営業利益 6 億ドル。再送信の対象世帯と 1 世帯あたり売上
  • Tubi(無料の広告つき配信):数量 177(年間視聴時間(億時間))× 価格 0.11(1 時間あたり広告収入(ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 2 億ドル。視聴時間と 1 時間あたり広告収入

倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.8%(基本 8.0%+quality +0.8%)、g 0.0%(利益が縮み伸びない)。事業の ROE 5.4%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 事業の ROE 5%(帳簿の自己資本 ROE から過去ののれん約 36 億ドルを除いた値)が k 以下で伸びないので、PER は 1÷k=11.4 倍まで。 置いたのは 10.86 倍(上限の 95%)。その筋書きの稼ぐ力(純利益 ÷ k)から置いた。

確率:FOX ニュースの求心力低下と権料の重さ、Tubi の競争負けが重なる構造的な負けで、12%(WBD・パラマウントの例)。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

ニュース・ケーブル網

FOX ニュース・FOX ビジネス・FS1・ビッグ・テン・ネットワーク・FOX ネーション・FOX ウェザー。有料放送の再送信料と広告で稼ぐ。

数量有料放送の契約世帯(億世帯)価格1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告)売上営業利益
今 2026/12 0.7 111 74 30
10 年後 中立 0.4 173 68 26

取り方:2026 年 6 月期の売上 73.5 億ドルを、FOX ニュース等が届く有料放送の世帯(約 0.66 億=6,600 万世帯・推定)で割り、1 世帯あたり年 111 ドルと置いた。調整後 EBITDA 31.0 億ドル(利益率 42%)から償却を引いた営業利益を 30.3 億ドルと推定。契約世帯は年 5% 前後で減り、1 世帯あたりは再送信料の引き上げと FOX ニュースの広告で年 4〜5% 伸びる。

放送網・テレビ局

FOX 放送網・FOX テレビ局・NFL・MLB・NASCAR・大学フットボール・FOX エンタテインメント。放送網の広告と再送信料、スポーツ権。Tubi は含めない。

数量再送信料の対象となる有料放送の世帯(億世帯)価格1 世帯あたり年間売上(ドル。再送信料・広告・コンテンツ)売上営業利益
今 2026/12 0.7 120 84 12
10 年後 中立 0.4 186 78 12

取り方:テレビ部門の売上 96.7 億ドルから Tubi の推定 13 億ドルを引いた 83.7 億ドルを、再送信料の対象世帯(約 0.70 億・推定)で割って 1 世帯あたり 119.5 ドルと置いた。2026 年 6 月期の売上には W 杯の放送(約 8 億ドル・推定)が入る。テレビ部門の調整後 EBITDA は 14.4 億ドル(前年 9.5 億ドル)。Tubi を除く営業利益を 12.0 億ドルと推定。

Tubi(無料の広告つき配信)

広告つきの無料動画(AVOD)。視聴時間 × 1 時間あたり広告収入。

数量年間視聴時間(億時間)価格1 時間あたり広告収入(ドル)売上営業利益
今 2026/12 132 0.10 13 1
10 年後 中立 285 0.13 36 7

取り方:Tubi の年間視聴時間は約 132 億時間(2026 年 6 月期・開示)、売上は開示がなく、Q4 売上 +35%・年 +25% 超・年商が 10 億ドルを超えたという報道から約 13 億ドルと推定(確かめられない推定)。1 時間あたり広告収入は 0.0985 ドル。EBITDA は黒字、営業利益は約 0.5 億ドルと推定。

リスクと懸念

有料放送の契約世帯の減少

契約世帯が年 5% 前後減り、収入の 7 割以上がこれに連動する。1 世帯あたり料金の引き上げで補えているが、ケーブルから抜ける世帯が年 7〜8% に加速すると、売上が縮む。10 年で世帯数は約 4 割減る(年 5% の場合)。

スポーツ放映権料の上昇

NFL・MLB・大学フットボールなどの権料は上がり続け、放送網の営業利益率(約 15%)を押し下げる。NFL との契約は固定で、広告の景気が悪い年は利益が出にくい。2026 年 8 月、フォックスは早期の更新を求めない方針とされ、近い将来の不確実さは和らいだ。

ロク買収の実行リスク

約 220 億ドルを現金 6 割・株 4 割で払い、つなぎ融資 120 億ドルが付く。EBITDA の 24 倍と高く、成立後は借金が大きく増え、旧フォックス株主の持ち分は 73% に薄まる。ロクのハードウェア事業は利益率が低く、広告の効果が想定を下回れば、減損も起こりうる。

Tubi の競争

YouTube(米国のテレビ視聴の約 14%)、ロクのチャンネル、ペラ、サムスンなどと、無料の広告つき視聴時間を奪い合う。視聴時間が増えても、供給が増えて 1 時間あたり広告収入が物価に届かない恐れがある。年商 13 億ドル(推定)は全体の 8% で、まだ小さい。

FOX ニュースの求心力と世代交代

FOX ニュースの視聴者は高齢に偏り、2026 年 7〜9 月の夜の視聴者は約 206 万人と、1〜3 月の約 259 万人から下がった(季節要因)。ルパート・マードックの退任後、ラクランが 2050 年まで議決権を握るが、番組の方向性を変える動きがあれば視聴が離れる。

広告の景気連動

広告は収入の約 43%。リーマン級の不況では広告が 10〜15% 落ち、放送網の営業利益は大きく減る。2026 年 6 月期の Q4 は W 杯で広告が +78% と伸びたが、これは一過性で、2027 年 6 月期の比較に響く。

ガバナンス

マードック家の持株会社が B 株の約 36% を持ち、ラクラン・マードックが 2050 年まで議決権を握る。2025 年 9 月に家族の信託の争いは決着したが、少数株主が経営に口を出す余地は小さく、ロク買収のような大きな判断にも歯止めが効きにくい。

今後の分かれ目

2027 年 6 月期にケーブル網の契約世帯の減りが年 7% を超え、1 世帯あたり料金の伸びが 3% を割ったら
ケーブル網の売上は年 −3〜−4% に落ちる。やや悲観・悲観の確率を上げ、10 年の評価はやや割高から割高側へ動く。
Tubi の年商が 2027 年 6 月期に 17 億ドルを超え、営業利益率が 10% を超えたら
Tubi の置き方(10 年の営業利益 7 億ドル)を上げ、楽観・やや楽観の確率を数ポイント上げる。
NFL の次の契約更新で権料が 3 割以上上がったら
放送網の営業利益率(15%)を 3 ポイント下げる。10 年の純利益は約 1 割減る。
ロク買収が成立し、成立後の純負債が EBITDA の 3 倍を超えたら
今の会社だけの前提を改め、ロクの利益と新株・借金を足して筋書きを作り直す。資本配分の評価は下げる。
FOX ニュースの夜の視聴者が 2 四半期続けて 200 万人を割り、競合との差が縮んだら
ケーブル網の再送信料の交渉力が下がると見て、悲観の確率を上げる。
2027 年の中間選挙で政治広告が過去最高になり、FY27 の EBITDA が 41 億ドルを超えたら
2027 年 6 月期が山と見て、10 年の置き方には影響せず、ならし利益の見方に反映する。

見ておくもの

  • ケーブル網・放送網の調整後 EBITDA と再送信料(四半期)
  • Tubi の月間利用者・視聴時間・売上(四半期)
  • FOX ニュースの夜の視聴者数(月次・ニールセン)
  • NFL・MLB・大学フットボールの権料の更新
  • ロク買収の承認・完了・資金調達(2027 年前半)
  • 自社株買いの額・純負債・格付け
  • フォックス・ワンの契約数と本社・その他の赤字幅
  • 中間選挙の政治広告の額

倍率と資本コストの決め方

今の PER(ならし後 11 倍・GAAP 16 倍)を見る前に、ケーブル網・放送網・Tubi の 3 部門を数量 × 価格で積み上げ、10 年後の営業利益と純利益(税 26%・少数持ち分控除・利払いは借り換え後)を作り、次に ROE・g・k から倍率を決めた。10 年後は利益ベースの正当化 PER(2026-10-18 の決まり):(1−g÷RONIC)÷(k−g)、RONIC = k + 1/2 ×(帳簿の ROE − k)。中立は g 2%・のれん込みの帳簿の ROE 15%・k 8.75%(基本 8.0%+quality +0.75%)で式 12.5 倍、線形テレビの縮みを抱える利益の質から上限の 92% とし、1÷k の下限 11.4 倍と重なる約 11.5 倍に置いた。線形の縮みは g にも入れた。確率はやや悲観・悲観に 36% と厚く置き、割安に寄せすぎないようにした。業界ノートの PER 6〜10 倍の目安には寄せていない。

資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k は基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。再送信料と広告で景気に左右されにくく、財務も軽いが、利益の半分前後を占める線形テレビが契約世帯の減りで縮む点を life(+0.75%)に入れた。スポーツ権料・ロク買収・ガバナンスは k に足さず、確率(やや悲観と悲観で 36%)と筋書きの利益で表した。事業の存続は危うくないので上乗せは 0。

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読んだ資料

  1. Fox 2026 年 6 月期 決算 8-K(SEC)
  2. Fox 2026 年 6 月期 Q4 決算説明会の記録(Webull)
  3. Fox の Q4 決算(Zacks)
  4. Tubi 月間利用者 1.1 億人(Advanced Television)
  5. Fox のロク買収の条件(Streaming Media Blog)
  6. Fox がロクを 220 億ドルで買収(Variety)
  7. Fox への格上げとロク・Tubi(Tradingpedia)
  8. 2026 年 1〜3 月のケーブルニュース視聴率(Adweek)
  9. 2026 年 7〜9 月のケーブルニュース視聴率(Adweek)
  10. マードック家の信託の和解(ABC7)
  11. Fox の時価総額(StockTitan)

分析日 2026-10-16