結論
ウォルト・ディズニーは、体験(テーマパーク・クルーズ・消費者向け商品)、娯楽(配信のディズニープラス・フールー、ABC などの放送、映画スタジオ)、スポーツ(ESPN)の 3 部門を持つ総合メディア会社である。2025 年 9 月期は売上 944 億ドル、事業別営業利益 176 億ドル、GAAP 純利益 124 億ドルだが、純利益にはフールーの税務上の分類変更による一過性の税の戻り(約 33 億ドル)などが入っており、それを除いた「ならした」純利益は 85 億ドル前後(今の時価総額 1,922 億ドルに対し PER 22 倍強)と見るのが実態に近い。体験が事業別営業利益の 57%(100 億ドル)を占め、2026 年 4〜6 月も体験は +20%、配信の営業利益率は初めて 2 桁(12.9%)に乗った。
一方、線形テレビ(ABC・ケーブル・ESPN の放送)は契約世帯が毎年 6% 前後減り、スポーツは放映権料の増加で利益が下がった(2026 年 4〜6 月 −17%)。2026 年 3 月に、パーク部門出身のジョシュ・ダマロがイガーの後を継いで最高経営責任者になり、パークとクルーズへの 10 年 600 億ドルの投資を続けながら、配信の利益率を上げ、ESPN を直販へ移す方針である。
数量と価格から 5 部門を積み上げると、中立の筋書きで 2028 年 9 月期の純利益は約 128 億ドル、2035 年 9 月期は約 199 億ドル。資本コスト 8.5%、g 4%、のれん込みの帳簿の ROE 16% が先で k へ 3 分の 1 薄れる(強い堀)利益ベースの正当化 PER は 15.6 倍で、線形テレビ・スポーツ権料・パークの景気連動から上限の 85%、10 年後の倍率は約 13.8 倍、時価総額は 10 年で約 2,750 億ドル(今の約 1.4 倍)。配当と自社株買いの正味 1,300 億ドルを足した年率は 7〜8% で、資本コストの 8.5% を下回る。確率を加重した本質価値は今の時価総額より約 5% 低く、総合は「適正」である。パークの伸びの強さを、線形テレビの縮小・ユーチューブとの競争・スポーツ権料が打ち消す、というのが結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もあるか」を問う。ミッキーとピクサー・マーベルの知的財産は 10 年後も存在し、パークは大規模な用地を持つ会社が限られるため、体験は今より強い可能性が高い。一方、線形テレビ(収入の約 3 割)は 10 年で 3〜4 割縮み、堀は狭まる。ユーチューブとの競争で、配信は上位に残るが、ネットフリックスのような 30% の利益率には届きにくい。
オーナー利益は、2025 年 9 月期の純利益 124 億ドルから一過性の税の戻りを除いた約 85 億ドルに、償却(非現金・約 16 億ドル)を戻した 100 億ドル強が目安である。FCF は 2025 年に 101 億ドルで、配当(18 億ドル)と自社株買い(35 億ドル)を賄った。ただし設備投資は 90 億ドル、内容投資は 240 億ドルと大きく、パークの新しい投資が 10 年かけて利益になる点は事業の質を示す一方、短期の FCF を押し下げる。
資本配分は、2019 年のフォックス買収で価値を大きく損ね(のれんの大半が今も自己資本に残り ROE 8% 前後)、近年は自社株買いを増やしている。今の PER 22 倍(ならし後)で買い戻すのは安全域がない。安全域は、悲観(10 年で 335 億ドルと今の 17%)が過去の下げ(−50%)より深く、中立でも資本コストを少し下回る年率にとどまる点から見て、薄い。確信度は中程度で、予測しやすい体験と、予測しにくい線形・スポーツ権料が混在する。
何で稼ぐ会社か
【体験】売上の 38%(362 億ドル)、事業別営業利益の 57%(100 億ドル、営業利益率 27.6%)。米国(フロリダ・カリフォルニア)・パリ・香港・上海のパーク、東京(運営会社オリエンタルランドへのライセンスで収入は小さい)、ディズニー・クルーズ・ライン、リゾート、消費者向け商品・ライセンスからなる。入場・乗船は 1 年あたり約 1.5 億人回と推定し、1 人回あたりの売上(パーク内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む)は約 230 ドル。値上げ・有料の優先入場券・宿泊の単価上昇で 1 人あたり支出が毎年 4% 前後伸びる構造が、利益の源泉である。10 年 600 億ドルの投資で、クルーズ船を増やし、パークはアブダビの新設を含めて拡張する。
【娯楽】売上 425 億ドル、営業利益 47 億ドル。ディズニープラスとフールーの月額料金・広告(配信、約 1.95 億契約、売上約 197 億ドル、営業利益率は 2026 年 9 月期に 10% 超を計画)、ABC とケーブルチャンネルの再送信料・広告(線形)、フールー・ライブ TV(フーボとの統合で拡大)、映画・テレビの販売(ピクサー・マーベル・ルーカスフィルム・20 世紀の作品の興行・配信販売・ライセンス)で稼ぐ。
【スポーツ】売上 177 億ドル、営業利益 29 億ドル。ESPN の放送(契約世帯 約 7,250 万、ピークの 1 億世帯から 3 割減)と、2025 年 8 月に始めた直販サービス(月 29.99 ドル)、権利(NFL・NBA・大学フットボール・MLB など)。NFL とは、NFL ネットワークなどを譲り受ける代わりに ESPN の 10% を渡す取引を結んだ。放映権料の増加が営業利益を押し下げ、2026 年 9 月期の営業利益は 1 桁半ばの増益見通しにとどまる。
優良さと弱いところ
堀は 3 つに分かれる。第 1 は知的財産(ミッキー・ピクサー・マーベル・スター・ウォーズ)で、パーク・商品・配信・映画のすべてに同じ作品を繰り返し使えるため、1 作品あたりの稼ぎ方で他社(コムキャスト/ユニバーサル、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、パラマウント)にない広さがある。第 2 はパークの希少性で、大規模な用地と許認可を持つ会社が少なく、新しい投資の場所を確保できる。ユニバーサルが 2025 年 5 月にオーランドで開いたエピック・ユニバースの影響を受けながら、体験は 2026 年 4〜6 月も +20% と伸び、価格を決める力はなお強い。第 3 は規模で、スポーツの放映権を ESPN で束ねられる。
弱点は、第 1 に利益の 4 割が線形テレビ・放映権料・配信の競争に左右され、ここは堀が狭まっていること。第 2 に配信の利益率がまだ 12.9% で、ネットフリックスの 30% 前後(2025 年の営業利益率 29.6%)とは大きな差があること。第 3 に資本効率で、自己資本の大半が 2019 年のフォックス買収で積んだのれん・無形資産のため、ROE は 11%(一過性を除くと 8% 前後)と低いこと。経営は、後継の選定に時間がかかり、ダマロ体制は 2026 年 3 月に始まったばかりで、資本配分の実績はこれから確かめる段階である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国のテレビ視聴で配信は 2026 年 5 月に 48.6% と過去最高、放送は 19.2%、ケーブルは 20.4%。配信の中ではユーチューブが 13.8% で首位、ネットフリックスが約 8%、ディズニーが 4.7%。ディズニーの課題は、配信で上位に残りながら広告つきの無料動画に視聴時間を奪われることと、線形テレビの収入が毎年 3% 前後縮むことである。
領域内の位置づけは、純粋な配信のネットフリックスと線形中心のパラマウント・WBD・フォックスの間にある。業界ノートの中立の見通しでは、動画配信の売上は 10 年で年 +7%、線形の料金収入は年 −3%、広告は年 −3〜−4%、テーマパークは入場者 +1.5%・1 人あたり支出 +4%(売上 +5〜6%)。ディズニーの 5 部門はこの見通しを土台にし、配信の契約は +3%(10 年)、線形の契約世帯は −6%、パークは入場者 +1.5%・単価 +4% とした。ネットフリックスの配信が 10 年で年 +7% の見通しなのに対し、ディズニーの配信は契約が少なく単価も低いので、利益率は中立で 22% までしか上がらないと置いた。
循環でいえば、広告とパークの入場者は景気に弱く、リーマン級の不況で広告が 10〜15%、パークの入場者が 10% 前後落ちる(2009 年の営業利益は約 2 割減・推定)。2026 年はアジア(上海・香港)の消費の弱さ、国内の配信広告の軟調、映画(モアナの興行が期待を下回る)が逆風で、体験の米国と配信の契約・料金が追い風である。技術では、AI が映像の制作費を下げる一方、ユーチューブなど無数の制作者が参入する。スポーツでは、NFL が 2029 年以降の契約の見直しを求めており、放映権料の上昇はディズニーの利益率を圧迫し続ける。
資本政策と M&A
還元は配当(年間の合計約 26 億ドル。年 2 回払い)と自社株買い。2026 年 9 月期の買い戻しは 90 億ドル以上と、前年の 35 億ドルの 2.5 倍に引き上げた(2026 年 6 月末までに 72 億ドル)。投資は設備投資が年約 90 億ドルで、体験が 8 割を占める。内容投資(番組・スポーツ権)は年約 240 億ドル。純負債は 397 億ドルで時価総額の 21%、借入 460 億ドル・現金 52 億ドル(2026 年 6 月末)。
M&A は、2019 年のフォックス買収(710 億ドル規模)で積んだのれん・無形資産の償却と減損が今も重い。2026 年は A+E ネットワークの持ち分 50% を約 12 億ドルで売却(A+E の投資に 8 億ドルの減損を計上済み)、フーボとフールー・ライブ TV の統合(2025 年 10 月・ディズニーが 7 割を持つ)、NFL との ESPN 持ち分交換を進めた。大型の新規買収は考えにくく、小さな補強と自社株買いが中心である。買われる側になる可能性は時価総額 1,900 億ドル超で現実的でない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ディズニーは、パークの価格を決める力と、世界で最も広い知的財産の組み合わせで、他社が真似できない 1 作品を何度も稼がせる。体験は 2025 年 9 月期の 100 億ドルから 2026 年に 110 億ドル近くへ伸び、2026 年 4〜6 月だけで +20%。クルーズ船を増やし、アブダビのパークも加わるため、体験の営業利益は 10 年で 2 倍になりうる。2025 年 8 月に ESPN の直販を始め、ディズニープラス・フールー・ESPN を 1 つのアプリに束ねれば、配信は 2026 年 4〜6 月の営業利益率 12.9% から 25% 超へ上がり、解約も減っている(契約は 2026 年 4〜6 月に +9%)。
さらに、娯楽は 2026 年 4〜6 月に営業利益 +64%、ピクサー・マーベルの新作と配信の黒字化が重なる。スポーツも ESPN の直販が軌道に乗り、NFL との持ち分交換でライブの権利を確保した。自社株買いは 2026 年に 90 億ドルへ倍増し、配当も増える。ダマロは体験を知る経営者で、パークの投資の収益を最も的確に見ており、資本配分が改善する。
慎重な見方
中立の筋書きは、体験が 10 年にわたり年 5% 台後半で伸びる前提で甘い。入場者は国内で頭打ち(フロリダはユニバーサルのエピック・ユニバースに分け取られ)、アジアは消費が弱く、価格を上げるほど入場者が減る反応が出始める。そのうえ新しい船・パークは先に費用がかかり、10 年 600 億ドルの投資の収益はまだ確かめられていない。
線形テレビは契約世帯が毎年 6% 減り、ESPN は放映権料の増加で利益が下がり続ける(2026 年 4〜6 月 −17%)。NFL は 2029 年以降の契約の見直しを求め、その値上げは避けられない。配信は 2026 年も国内の広告単価が弱く、ユーチューブとネットフリックスの間に挟まれる。映画は当たり外れが大きく、2026 年はモアナの興行が期待を下回った。
財務では、純負債が 397 億ドルで、自社株買いを 90 億ドル、設備投資を 90 億ドルと増やして FCF を超える還元を続けている。借り換えで金利は 5.75% へ上がる。2019 年のフォックス買収ののれん(自己資本の大半)は、線形が縮むほど減損のリスクが高まり、A+E の減損 8 億ドルはその先触れである。今の PER は ならし後で 22 倍と、成長の鈍さに比べて高い。
どちらに重みを置いたか
体験と配信の利益率の改善は強気の見方が強く、確率は楽観とやや楽観を 10 年で 27% に寄せた。一方、線形テレビの縮小とスポーツ権料の上昇、ユーチューブとの視聴時間の競争は慎重な見方が強く、10 年はやや悲観と悲観を合わせて 37% と厚く置いた。中立の筋書き(確率は 36%)の年率は 7〜8% で資本コスト 8.5% を下回るため、確率を加重した本質価値は今の値段の約 5% 下となり、総合は「適正」。悲観は 12%(線形・スポーツの崩れと減損)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 135.51 ドル2,355 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 67.47 ドル1,173 億ドル)。 今の値に割り戻すと 104.80 ドル1,821 億ドル、今との差 −6.3%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 258.57 ドル4,494 億ドル | 95.74 ドル1,664 億ドル | +216.8% | +12.2% | 24.80 ドル431 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 203.15 ドル3,531 億ドル | 84.52 ドル1,469 億ドル | +157.2% | +9.9% | 57.53 ドル1,000 億ドル |
| 中立 | 36% | 158.35 ドル2,752 億ドル | 74.80 ドル1,300 億ドル | +108.5% | +7.6% | 83.94 ドル1,459 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 69.86 ドル1,214 億ドル | 52.19 ドル907 億ドル | +9.1% | +0.9% | 30.51 ドル530 億ドル |
| 悲観 | 12% | 19.25 ドル335 億ドル | 32.39 ドル563 億ドル | −53.8% | −7.4% | 6.20 ドル108 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 135.51 ドル2,355 億ドル | 67.47 ドル1,173 億ドル | +81.5% | +6.1% | 202.98 ドル3,528 億ドル |
今の株価時価総額 111.83 ドル1,944 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:配信が 28% の利益率に乗り、体験が 2 倍の利益に 利益 292 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 258.57 ドル4,494 億ドル
体験は入場・乗船が年 +2.6%(クルーズ船・アブダビ・新エリア)、1 人回あたり売上が年 +4.5% で売上 727 億ドル、利益率 33% で営業利益 240 億ドルと 2025 年の 2.4 倍。配信は契約が年 +4.5% で約 3 億件、単価は物価並みで売上 444 億ドル、利益率 28% で営業利益 124 億ドル。ESPN の直販が線形の減りを埋め、スポーツの営業利益は 49 億ドル。線形は年 −4.5% の縮みにとどまる。事業別営業利益は約 453 億ドル、純利益は約 292 億ドル。堀は広がり、優良さが保たれる。
- 配信(ディズニープラス・フールー):数量 3.0(年間平均の有料契約(億件))× 価格 147(1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み))→ 売上 444 億ドル・営業利益 124 億ドル。契約と 1 件あたり年間売上
- 線形ネットワーク・ライブ TV:数量 0.5(契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当))× 価格 269(1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信))→ 売上 127 億ドル・営業利益 23 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
- 映画・コンテンツ販売:数量 28.0(年間の主要な公開・配信の作品数(本))× 価格 5.03(1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む))→ 売上 141 億ドル・営業利益 17 億ドル。作品数と 1 本あたり売上
- スポーツ(ESPN):数量 0.8(ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当))× 価格 378(1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販))→ 売上 287 億ドル・営業利益 49 億ドル。視聴世帯・契約と 1 世帯あたり売上
- 体験(パーク・クルーズ・商品):数量 2.0(年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む))× 価格 363(1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む))→ 売上 727 億ドル・営業利益 240 億ドル。入場・乗船と 1 人回あたり売上
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)、g 4.0%(パーク・配信が物価+1%(長期の g は上限の 4%))。事業の ROE 23.5%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=strong(残る割合 0.67)で RONIC=18.5%、式の PER=17.4 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 18.1 倍。 置いたのは 15.39 倍(上限の 85%)。知的財産とパークの堀は強いが、線形テレビの縮み・スポーツ権料・パークの景気連動があるので、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:配信の 28% への上昇、体験の 2 倍の利益、スポーツの直販移行の成功が 10 年続けて当たる必要があり、線形の縮小も続くため、確率は 7%。
やや楽観 20% やや楽観:パークの強さが続き、配信が 25% の利益率に 利益 241 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 203.15 ドル3,531 億ドル
体験は入場・乗船が年 +2.1%、1 人回あたり売上が年 +4.2% で営業利益 212 億ドル(利益率 31.5%)。配信は契約年 +3.8%・単価年 +3.5% で利益率 25%、営業利益 101 億ドル(ネットフリックスの約 7 割)。スポーツは世帯の減りが年 −1%、営業利益 41 億ドル。映画は年 27 本で営業利益 14 億ドル。線形は年 −5.3% で縮む。事業別営業利益は約 386 億ドル、純利益は約 241 億ドル。体験の資本効率は保たれ、堀は今のまま維持される。買収は大型を避け、自社株買いは FCF に近い額で続く。
- 配信(ディズニープラス・フールー):数量 2.8(年間平均の有料契約(億件))× 価格 142(1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み))→ 売上 403 億ドル・営業利益 101 億ドル。契約と 1 件あたり年間売上
- 線形ネットワーク・ライブ TV:数量 0.4(契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当))× 価格 261(1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信))→ 売上 114 億ドル・営業利益 19 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
- 映画・コンテンツ販売:数量 27.0(年間の主要な公開・配信の作品数(本))× 価格 4.84(1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む))→ 売上 131 億ドル・営業利益 14 億ドル。作品数と 1 本あたり売上
- スポーツ(ESPN):数量 0.7(ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当))× 価格 363(1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販))→ 売上 263 億ドル・営業利益 41 億ドル。視聴世帯・契約と 1 世帯あたり売上
- 体験(パーク・クルーズ・商品):数量 1.9(年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む))× 価格 352(1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む))→ 売上 672 億ドル・営業利益 212 億ドル。入場・乗船と 1 人回あたり売上
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)、g 4.0%(パーク・配信が物価を少し上回る、上限の 4%)。事業の ROE 19.4%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=strong(残る割合 0.67)で RONIC=15.7%、式の PER=16.6 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 17.2 倍。 置いたのは 14.65 倍(上限の 85%)。知的財産とパークの堀は強いが、線形テレビの縮み・スポーツ権料・パークの景気連動があるので、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:体験の価格と船・アブダビの増設が実績どおりに働き、配信がネットフリックスの 7 割程度の利益率に届けば成立する。
中立 36% 中立:体験が伸びて線形の縮小を埋める 利益 199 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 158.35 ドル2,752 億ドル
体験は入場・乗船が年 +1.7%(約 1.8 億人回)、1 人回あたり売上が年 +4%(物価 3.5% + 0.5%)で売上 634 億ドル、利益率 30%、営業利益 190 億ドル。配信は契約年 +3%(約 2.6 億件)、単価年 +3.3% で売上 366 億ドル、利益率 22%、営業利益 81 億ドル。線形は契約世帯が年 −6% で 10 年後に約 0.4 億世帯、営業利益は 16 億ドルまで縮む。スポーツは営業利益 34 億ドル(利益率 14%)。事業別営業利益は約 331 億ドル(年 +6.5%)、純利益は約 199 億ドル。10 年で正味約 1,300 億ドルを還元する。体験が線形の縮小を埋めるため、堀は全体で保たれる。
- 配信(ディズニープラス・フールー):数量 2.6(年間平均の有料契約(億件))× 価格 140(1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み))→ 売上 366 億ドル・営業利益 81 億ドル。契約と 1 件あたり年間売上
- 線形ネットワーク・ライブ TV:数量 0.4(契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当))× 価格 256(1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信))→ 売上 104 億ドル・営業利益 16 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
- 映画・コンテンツ販売:数量 25.0(年間の主要な公開・配信の作品数(本))× 価格 4.75(1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む))→ 売上 119 億ドル・営業利益 11 億ドル。作品数と 1 本あたり売上
- スポーツ(ESPN):数量 0.7(ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当))× 価格 353(1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販))→ 売上 243 億ドル・営業利益 34 億ドル。視聴世帯・契約と 1 世帯あたり売上
- 体験(パーク・クルーズ・商品):数量 1.8(年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む))× 価格 346(1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む))→ 売上 634 億ドル・営業利益 190 億ドル。入場・乗船と 1 人回あたり売上
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)、g 4.0%(パーク(入場者 +1.5%・単価は物価並み)と配信の伸びから線形の縮みを引いて物価+0.5%、上限の 4%)。事業の ROE 16.0%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=strong(残る割合 0.67)で RONIC=13.5%、式の PER=15.6 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 16.3 倍。 置いたのは 13.83 倍(上限の 85%)。知的財産とパークの堀は強いが、線形テレビの縮み・スポーツ権料・パークの景気連動があるので、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(配信の契約 +3.5%・単価 +3.5%、線形の料金収入 −3%、テーマパークの売上 +5〜6%)をそのまま置いた。
やや悲観 25% やや悲観:線形・スポーツの崩れとパークの鈍りが重なる 利益 114 億ドル · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 69.86 ドル1,214 億ドル
配信は契約年 +1.5%・単価年 +2.5%(ユーチューブとネットフリックスに挟まれて値上げが鈍る)で利益率 15%、営業利益 44 億ドル。スポーツは権料の上昇で利益率 10%、営業利益 20 億ドル。線形は契約世帯が年 −7.5% で営業利益 9 億ドルまで縮む。体験は入場・乗船年 +0.8%、単価年 +3.2% で利益率 26.5%、営業利益 142 億ドル(新しい船・パークの収益が期待を下回り、先行費用が重い)。事業別営業利益は約 221 億ドル(年 +2.3%)、純利益は約 114 億ドル。堀は狭まるが消えない。自社株買いは細り、PER は 12.8 倍。
- 配信(ディズニープラス・フールー):数量 2.3(年間平均の有料契約(億件))× 価格 129(1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み))→ 売上 293 億ドル・営業利益 44 億ドル。契約と 1 件あたり年間売上
- 線形ネットワーク・ライブ TV:数量 0.3(契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当))× 価格 244(1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信))→ 売上 84 億ドル・営業利益 9 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
- 映画・コンテンツ販売:数量 23.0(年間の主要な公開・配信の作品数(本))× 価格 4.35(1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む))→ 売上 100 億ドル・営業利益 5 億ドル。作品数と 1 本あたり売上
- スポーツ(ESPN):数量 0.6(ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当))× 価格 327(1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販))→ 売上 203 億ドル・営業利益 20 億ドル。視聴世帯・契約と 1 世帯あたり売上
- 体験(パーク・クルーズ・商品):数量 1.7(年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む))× 価格 320(1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む))→ 売上 537 億ドル・営業利益 142 億ドル。入場・乗船と 1 人回あたり売上
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)、g 3.5%(物価並み)。事業の ROE 9.1%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=strong(残る割合 0.67)で RONIC=8.9%、式の PER=12.1 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.5 倍。 置いたのは 10.65 倍(上限の 85%)。知的財産とパークの堀は強いが、線形テレビの縮み・スポーツ権料・パークの景気連動があるので、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:視聴時間の流出と放映権料の上昇は、すでに起きている流れの延長で、確率を中立に近い 25% に置いた。
悲観 12% 悲観:線形が消え、配信もパークも勝てずに普通の会社に 利益 47 億ドル · PER 7.1 倍 · 株価時価総額 19.25 ドル335 億ドル
10 年のうちに線形が崩れ(契約世帯年 −9.5%・営業利益は 4 億ドルで実質ゼロ)、配信はユーチューブとネットフリックスに負けて契約が増えず単価も物価に届かず、営業利益は 20 億ドルにとどまる。スポーツは権料の上昇で 9 億ドル、映画は 2 億ドル。体験は景気後退を挟み入場・乗船が年 −0.5%、単価年 +2.2% で営業利益は 90 億ドルと今を割る。事業別営業利益は約 124 億ドル、純利益は約 47 億ドル。フォックス買収ののれんなどを 300 億ドル減損して自己資本が縮む。もう優良とは言えず、普通のメディア会社として PER 約 10 倍で値付けされる。 10 年の純利益の累計は約 766 億ドル(2026 年の約 115 億ドルから 2035 年の 47 億ドルへ下がる)に、フォックス買収ののれんなどの減損 300 億ドルを引いて約 466 億ドル。
- 配信(ディズニープラス・フールー):数量 2.0(年間平均の有料契約(億件))× 価格 112(1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み))→ 売上 218 億ドル・営業利益 20 億ドル。契約と 1 件あたり年間売上
- 線形ネットワーク・ライブ TV:数量 0.3(契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当))× 価格 221(1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信))→ 売上 61 億ドル・営業利益 4 億ドル。契約世帯と 1 世帯あたり売上
- 映画・コンテンツ販売:数量 20.0(年間の主要な公開・配信の作品数(本))× 価格 3.76(1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む))→ 売上 75 億ドル・営業利益 2 億ドル。作品数と 1 本あたり売上
- スポーツ(ESPN):数量 0.5(ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当))× 価格 283(1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販))→ 売上 150 億ドル・営業利益 9 億ドル。視聴世帯・契約と 1 世帯あたり売上
- 体験(パーク・クルーズ・商品):数量 1.5(年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む))× 価格 290(1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む))→ 売上 428 億ドル・営業利益 90 億ドル。入場・乗船と 1 人回あたり売上
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)、g 3.0%(物価を下回る)。事業の ROE 5.0%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 事業の ROE 5% が k 以下で、伸ばしても価値が増えない(増えるほど価値が減る)領域なので、式 (1−g÷ROE)÷(k−g)=7.3 倍に ×(1+g) で 7.5 倍(上限 1÷k は 11.8 倍)。 置いたのは 7.12 倍(上限の 95%)。時価総額は自己資本 940 億ドルの約 0.35 倍にあたるが、床は PBR でなく稼ぐ力から置いた。
確率:線形の崩壊とフォックス買収ののれんの減損、配信の競争の負けが重なる構造的な負けで、確率は 12%(2022 年に株が 49% 下げた実績と、パラマウントなどの前例を参考)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
配信(ディズニープラス・フールー)
ディズニープラス・フールー・ESPN の月額料金と広告(SVOD)。
| 数量年間平均の有料契約(億件) | 価格1 件あたりの年間売上(ドル。広告込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.0 | 101 | 197 | 13 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 140 | 366 | 81 |
取り方:会社は 2026 年 9 月期から契約数の開示をやめた。2025 年 9 月期の末の ディズニープラス約 1.3 億・フールー約 0.6 億(合計約 1.96 億)から年間平均を約 1.95 億件と置き、配信(SVOD)の売上約 197 億ドルで割って 1 件あたり年間 101 ドル(月約 8.4 ドル)。ネットフリックスの約 141 ドル(月 11.8 ドル)を下回り、値上げ余地がまだ大きい。2026 年 4〜6 月は契約 +9%・単価 +3%・為替 +1% で売上 +11%。営業利益は 2025 年 9 月期の配信全体(フールー・ライブ TV を含む 1,327 百万ドル)から線形側に分けたぶんを引き約 13 億ドル(約 6.7%)と推定。中立の単価は物価並み(10 年 1.41 倍)から、新興国と広告つき安価プランの割合の増加を引いた 1.38 倍。
線形ネットワーク・ライブ TV
ABC・ディズニー・チャンネル・FX・ナショジオの再送信料と広告、フールー・ライブ TV。
| 数量契約世帯(億世帯・米国の有料テレビ相当) | 価格1 世帯あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・ライブ TV 配信) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.8 | 191 | 143 | 30 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 256 | 104 | 16 |
取り方:米国の有料テレビ(ケーブル・衛星・仮想)の契約世帯は約 0.75 億(ESPN の 7,250 万世帯の水準)と置き、娯楽部門の線形 94 億ドルとフールー・ライブ TV など 49 億ドルの合計 143 億ドルで割って 1 世帯あたり年間 191 ドル。2025 年 9 月期の営業利益は 30 億ドル弱(線形 29.6 億ドル。フールー・ライブ TV はほぼ収支均衡と推定)。契約世帯は年 −6%(業界ノート)、再送信料・広告で単価 +3%、結果として売上は年 −3%。
映画・コンテンツ販売
ピクサー・マーベル・ルーカスフィルム・20 世紀の劇場・配信販売・ライセンス・商品。
| 数量年間の主要な公開・配信の作品数(本) | 価格1 本あたりの売上(億ドル。ライブラリのライセンス・家庭向けを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 25.0 | 3.40 | 85 | 4 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 4.75 | 119 | 11 |
取り方:公開・配信する主要作品を年 25 本と置き、コンテンツ販売・ライセンスなどの売上 85 億ドルを割って 1 本あたり 3.4 億ドル(ライブラリを含む)。営業利益は 2025 年 9 月期に 3.9 億ドル(4.6%)と低い。ヒットが出ると 1 本で数億ドルの利益、外すと赤字になる循環の大きい事業。中立の価格は物価並み、利益率は平年の 8%(2026 年はモアナの興行が期待を下回った)。
スポーツ(ESPN)
ESPN の放送・直販サービス・放映権。
| 数量ESPN の視聴世帯・直販契約の合計(億世帯相当) | 価格1 世帯・契約あたりの年間売上(ドル。再送信料・広告・直販) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.8 | 221 | 177 | 29 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 353 | 243 | 34 |
取り方:ESPN の線形 約 0.725 億世帯と直販・ESPN+ の契約を合わせて約 0.80 億世帯相当と置き、売上 177 億ドルで割って年間 221 ドル。営業利益 28.8 億ドル(16.3%)。線形は世帯が年 −6% 減るが、直販への移行と ABC のスポーツ番組で減りを 3% までに抑え、単価は再送信料の引き上げと直販の月 29.99 ドルで年 +5.5%(業界ノートの「線形は再送信料の引き上げ」)。放映権料の増加(NFL・NBA)で利益率は下がる。NFL と ESPN の持ち分交換(NFL が ESPN の 10%)で、NFL ネットワーク・レッドゾーンが ESPN に加わる分は、今の部門に入れず利益率の置き方で見た。
体験(パーク・クルーズ・商品)
テーマパーク・ディズニー・クルーズ・ライン・リゾート・消費者向け商品。
| 数量年間の入場・乗船(億人回、推定。商品は 1 人回あたりに含む) | 価格1 人回あたりの売上(ドル。園内消費・宿泊・クルーズ・商品を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.6 | 234 | 362 | 100 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 346 | 634 | 190 |
取り方:米国 2 か所・パリ・香港・上海のパークとクルーズの年間の入場・乗船を約 1.55 億人回と推定し(会社は入場者数を開示していない)、体験の売上 362 億ドルで割って 1 人回あたり約 234 ドル。営業利益 100 億ドル(27.6%)。2026 年 4〜6 月は売上 +10%、営業利益 +20%(関税の還付約 1 億ドルを含む)で、国内の 1 人あたり支出は +4%。入場者は国内で頭打ち、アジアが弱い一方、クルーズ船の増加で乗船が増える。中立は入場・乗船 年 +1.7%(10 年)、1 人回あたり売上 年 +4%(物価 3.5% +実質 0.5%)。
リスクと懸念
線形テレビの縮小とスポーツ権料の上昇
契約世帯が年 6% 前後減り、ESPN の線形は 1 億世帯のピークから 7,250 万世帯へ 3 割落ちた。一方で NFL・NBA・大学フットボールの権料は上がり続け、2026 年 4〜6 月のスポーツ営業利益は −17%。NFL が 2029 年以降の契約の見直しを求めており、直販への移行が間に合わなければ、収入が減るうえ費用が増える。
パークの需要の頭打ちとアジアの弱さ
体験は利益の 57% を稼ぐため、入場者の減少や価格への反応が全体に響く。2026 年は上海と香港で消費の弱さが続き、国内もユニバーサルのエピック・ユニバースに分け取られる。リーマン級の不況でパークの入場者は 10% 前後減り、営業利益は 2 割落ちる(2009 年・推定)。
ユーチューブなど無料動画への視聴時間の流出
米国のテレビ視聴でユーチューブは 13.8%、ディズニーの配信は 4.7%。広告つきの無料動画は配信の広告単価を押し下げ、2026 年は国内の配信広告が軟調だった。ネットフリックスやアマゾンと有料契約を取り合う面もあり、配信の利益率が 20% を超える前提を崩しうる。
のれん・無形資産の減損
2019 年のフォックス買収の無形資産と償却(年約 16 億ドル)が自己資本の大半を占める。線形の縮小が進むと追加の減損が出る。2026 年 4〜6 月の A+E の減損 8.1 億ドルはその先触れで、GAAP の純利益を数十億ドル単位で押し下げうる。
経営の交代と資本配分
2026 年 3 月に最高経営責任者がイガーからダマロに交わり、体制はまだ新しい。ダマロは 8 月の D23 で株価に不満を述べたが、自社株買いを 90 億ドルへ引き上げた判断が割高でないかは問える。FCF 約 100 億ドルに対し還元は配当を含め約 116 億ドルで、純負債が増える。
映画の当たり外れと内容投資の重さ
内容投資は年 240 億ドル。2026 年 4〜6 月は娯楽の営業利益が +64% でも、モアナの興行は期待を下回り、7〜9 月は映画と国内広告の弱さを織り込んだ。大作の失敗は 1 本で数億ドルの営業利益を動かす。
今後の分かれ目
- 体験の営業利益が 2027 年 9 月期に 110 億ドルを超え、ESPN の直販が黒字化したら
- 体験と配信の置き方を上げ、10 年の楽観・やや楽観の確率を数ポイント上げる。総合の評価は「やや割安」側へ動く。
- 線形テレビの契約世帯の減少が年 8% を超え、ESPN の直販が代わりを担えなかったら
- 線形とスポーツの置き方を下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。のれんの減損も想定に入れる。
- 国内のパークの 1 人あたり支出の伸びが 2 期連続で 2% を割ったら
- パークの価格の伸び(年 4%)を 3% に下げる。10 年の体験の営業利益は約 2 割減り、中立の評価は割高側へ動く。
- 配信の営業利益率が 2027 年 9 月期に 15% を超えたら
- 配信の利益率の置き方は妥当と見て、楽観側の確率を上げてよい。ネットフリックスとの差が縮まるかを併せて見る。
- NFL・NBA の次期契約で放映権料が 3 割以上上がったら
- スポーツの利益率(中立 15.5%)を 2〜3 ポイント下げ、スポーツの営業利益を 2 割減らす。
- 自社株買いが FCF を上回る状態が続き、純負債が時価総額の 3 割に近づいたら
- 資本配分の評価を下げ、悲観の確率を上げる。借り換えの金利 5.75% が利益を食う。
見ておくもの
- 体験の営業利益と国内の 1 人あたり支出・入場者(四半期)
- 配信(SVOD)の営業利益率(2026 年 9 月期に 10% の計画、2026 年 4〜6 月は 12.9%)
- ESPN の線形の契約世帯と直販の契約数、スポーツの営業利益
- 線形ネットワークの営業利益と再送信料の更新
- 自社株買いの額・設備投資・純負債(時価総額比)
- のれん・無形資産の減損
- NFL・NBA の次期放映権の条件
- クルーズ船・アブダビ・フロリダの新規投資の開業時期
倍率と資本コストの決め方
今の PER 15.5 倍(GAAP・一過性の税の戻りを含む)やならし後の 22 倍を見る前に、配信・線形・映画・スポーツ・体験の 5 部門を数量 × 価格で積み上げ、10 年後の営業利益と純利益(税 23%・ESPN などの少数持ち分控除・利払いは借り換え後)を作り、次に倍率を決めた。倍率は利益ベースの正当化 PER(2026-10-18 の決まり):(1−g÷RONIC)÷(k−g)、RONIC = k + 2/3 ×(帳簿の ROE − k)(moat=strong:知的財産とパーク)。中立は g 4.0%・帳簿の ROE 16%(前の版の限界の ROE 14% はやめ、のれん込みの帳簿の値にした)・k 8.5%(基本 8.0%+quality +0.5%)で式 15.6 倍、×(1+g) の 85% で約 13.8 倍。業界ノートの PER 14〜18 倍の目安には寄せていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k は基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。パーク・広告の景気連動(+0.5%)と知的財産・パークの値決め力(−0.5%、強い堀なので下げはここまで)が打ち消し合い、線形テレビの縮小とスポーツ権料の重さを life(+0.5%)に入れた。純負債は時価総額の約 2 割で借金は 0。のれんの減損・配信の競争は k に足さず、確率(やや悲観と悲観で 37%)と筋書きの利益率で表した。事業の存続は危うくないので上乗せは 0。
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