結論
コムキャストは、米国最大級のケーブル・ブロードバンド(約 2,850 万件)と無線(約 1,020 万回線)、法人通信を持つ接続事業に、NBCユニバーサル(放送・映画・ピーコック・テーマパーク)と欧州の有料放送スカイを抱えた複合企業である。2026 年 6 月 29 日に、NBCユニバーサルとスカイを非課税のスピンオフで切り離す計画を発表した(約 1 年後)。自社株買いはこの作業のために 6 月末に一時停止している。
2025 年の純利益 200 億ドルは、Hulu 持ち分の売却益(約 94 億ドル)を含み、事業の実力ではない。ベルサント分離とドイツ・スカイ売却後のならした営業利益は約 195 億ドル、純利益は約 125 億ドルと置く(2026 年 4〜6 月の年率換算も約 140 億ドルで近い)。今の時価総額 780 億ドルは、ならした利益の約 6 倍で、純負債(約 830 億ドル)を足した企業価値は EBITDA の 4〜5 倍にあたる。安さの理由は、ブロードバンドが固定無線と光ファイバーに契約を奪われ続けること(2026 年 4〜6 月も 16.7 万件の純減)と、借金の重さと、複合体の複雑さである。
中立の筋書きは、10 年後(2035 年)の純利益約 154 億ドル・PER 約 11 倍(資本コストは基本 8.0% に借金と縮む事業の分 1.0% を足した 9.0%。利益ベースの正当化 PER は、のれん込みの帳簿の ROE 13% が光と固定無線との競争で先で k へ大きく薄れ(moat=weak)、g 2.5% で式 11.7 倍、その 75% が 1÷k の床 11.1 倍を下回るので床に置いた)。縮むケーブルと伸びるパーク・ピーコックを合算し、配当と自社株買いで 10 年に約 1,075 億ドルを返す。資本コスト 9% で割り引いても、確率を加重した価値は今の時価総額の 1.6 倍前後に出る。ただし悲観(構造的に負ける筋書き)を 1.5 割と厚く置いており、安全域は借金の重さに削られる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。ケーブル網は、家庭の接続の一角として 10 年後も残る。ただし堀は広がらず、光ファイバー・固定無線・衛星が独占を崩しているので、狭まる側にある。無線の MVNO は網を借りる立場で、堀と呼べるものではない。パークと映画は、替えのきかない知的財産で、堀は残るが、メディアは線形の縮小とスポーツ権の高騰で弱る。
オーナー利益は、ならした純利益約 125 億ドルに対し、FCF が年 190〜220 億ドルと大きいが、設備投資(約 125 億ドル)はケーブルの網の維持と光ファイバー化に使われ、成長のための再投資ではない。株主のものになる利益は、FCF から維持の設備投資の増加分を引いた 130〜160 億ドル(時価総額の約 17〜20%)が現実的。この利回りは、借金の重さと縮小の織り込みである。
資本配分は、2018 年のスカイ買収で価値を壊した疑いが残る一方、2025〜2026 年は売却・分離で姿をすっきりさせ、自社株買いを安い値段で積んできた。安全域は、値段の低さにある。ただし借金が時価総額の約 106% あり、ブロードバンドの縮小が加速すると利益が削られるため、安全域の厚さは見かけの PER ほどではない。事業が複数に分かれ、予測しにくい部分(メディア・スカイ)を含むので、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
売上の約 7 割は接続・プラットフォームで、米国のケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像)と法人(コムキャスト・ビジネス)、欧州のスカイの契約収入からなる。2026 年 4〜6 月の住宅は売上 171 億ドル(前年比 -4.0%、EBITDA 率 37.7%)、法人は売上 27 億ドル(+3.7%、EBITDA 率 56.7%)。ブロードバンド顧客は 2,849 万件(16.7 万件の純減)、無線は 1,019 万回線(44.8 万回線の純増で過去最高)、映像は 1,067 万件(28 万件の純減)。無線は自社のケーブル回線に他社網(ベライゾンの網)を借りる MVNO で、設備投資が軽く、ブロードバンドとセットで解約を抑える役目を持つ。
残りがコンテンツ・体験(NBCユニバーサル)で、メディア(NBC・テレムンド・ピーコック)、スタジオ(ユニバーサル映画・テレビ制作)、テーマパーク(ユニバーサル・オーランド、ハリウッド、日本、北京)。2026 年 4〜6 月は売上 107 億ドル(ワールドカップ放映を含み +22.9%)。ピーコックは有料会員 4,800 万人で、初めて四半期の黒字(EBITDA 1.9 億ドル)になった。テーマパークは 2025 年 5 月に開いたエピック・ユニバースが入場者を押し上げたが、4〜6 月は EBITDA が 6.1 億ドルと前年を 5% 割った。
儲けの源泉は、ケーブル網という固定資産の上に薄く契約を積むことと、パーク・映画の知的財産。ケーブルの利益は固定費が重く、契約数と値上げの通りやすさで大きく振れる。ケーブル以外の事業は、広告と放映権(NBA などの高騰するスポーツ権)に左右される。
優良さと弱いところ
優良さの核は、ケーブルの地域独占が築いた網と顧客基盤、そしてユニバーサルのパーク・映画という替えのきかない知的財産にある。ケーブル住宅の EBITDA 率は約 38%、法人は 57% と高く、FCF は年約 190〜220 億ドルと、時価総額に比べて厚い。無線の MVNO は、顧客 1 件あたりの設備投資を抑えながら、セット契約で解約を減らす強みを持つ。
弱い所は 3 つある。1 つ目はブロードバンドの価格決定力で、AT&T・ベライゾンの光ファイバー、固定無線、チャーターとの値下げ競争で、2026 年 1〜3 月は ARPU が 3.1% 下がった(値上げ無し・無料の無線回線の希薄化)。ケーブルが独占でなくなった事業は、堀が狭まる側にある。2 つ目はメディアで、線形テレビの縮小とスポーツ権の高騰が利益を削り、ピーコックの黒字化も始まったばかり。3 つ目は借金で、総有利子負債約 904 億ドル、純負債約 827 億ドル(時価総額の約 106%)。
経営は、2026 年にベルサントを分離し、ドイツ・スカイを売り、NBCユニバーサルとスカイも切り離すと決め、複合体を解きほぐす方向に動いている。資本配分の評価は、2018 年のスカイ買収(約 400 億ドル)が欧州の有料放送の縮小で見合ったか、という過去が重い。ROE(20%)は借金と自己資本の小ささで高く見える面がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の固定ブロードバンドは、ケーブルの独占から、ケーブル・光ファイバー・固定無線の 3 つ巴に変わった。AT&T は 2026 年 1〜3 月に光ファイバーで 27.3 万件を純増、ベライゾンとティーモバイルは固定無線で顧客を取る。ケーブル 2 社は純減が続き、コムキャストは 2026 年 4〜6 月に 16.7 万件、チャーターは約 11.7 万件を失った(2026 年 1〜3 月はそれぞれ 6.5 万・12 万)。コムキャストの純減は前年より小さくなった(2020 年以降で初めての改善)が、無料の無線回線で顧客をつなぎ止めた分、ARPU が下がっている。
業界の中立の置き方は、10 年でブロードバンド契約 年 -1.5%・ARPU 年 +2.5% で収入 年 +1%。無線は MVNO の回線が年 +8〜12% で伸びるが、収入への寄与は小さい。映像は契約が年 -6〜-9% で縮む。競合のチャーターは、コックス買収で規模を広げ、無線の回線も増やしている。
メディア・パーク側は、米国のテレビ視聴の約半分が配信になり(ニールセン、2026 年 5 月で 48.6%)、放送・ケーブルは縮む。パークはディズニーが体験事業で 2026 年 4〜6 月に営業利益 30 億ドルと強く、ユニバーサルはエピック・ユニバースで追う。技術では、AI が映像制作費を下げる一方、YouTube・ネットフリックスが視聴時間を奪う。規制は FCC の補助金(BEAD)が衛星や光ファイバーに流れること。
資本政策と M&A
還元は配当(年約 49 億ドル)と自社株買い(過去 5 年は年 72〜133 億ドル)が柱だったが、2026 年 6 月 29 日に分離の作業のため自社株買いを一時停止した。4〜6 月は配当 12 億・自社株買い 9 億ドル。分離が終われば、再開が見込まれる(時期は未定)。
分離は、NBCユニバーサルとスカイを非課税のスピンオフで切り出し、コムキャスト本体は Xfinity・無線・法人を持つ形になる(約 1 年後。最大 19.9% を最長 1 年保有)。報じられた人事は、共同 CEO のキャバナーが NBCユニバーサル、元 CFO のアンジェラキスが本体の CEO(二次情報)。借金の割り振りは未開示で、両社の財務の強さがここで決まる。
M&A の歴史は、2011 年の NBC ユニバーサル取得、2018 年のスカイ買収、2025 年の Hulu 持ち分売却(約 94 億ドルの益)、2026 年のベルサント分離とドイツ・スカイ売却。バリュー投資の目では、買って積み上げた時期の価値が、分離でどれだけ顕在化するかが見所。ケーブル本体は、チャーター(コックス買収後)との統合の噂もありうるが、確認できる話はない。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 25.1 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(943.9 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブロードバンドの純減は、2025 年から縮小に転じている(2026 年 4〜6 月は 16.7 万件、前年は 20.1 万件)。無線が過去最高の 44.8 万回線を純増し、無料回線が有料に変わっていけば、ブロードバンドとのセット契約で解約が止まり、ARPU も戻る。無線の浸透率はまだ対象回線の約 7%で、伸びしろが大きく、MVNO の限界費用が小さいので利益に直結する。ピーコックは 4,800 万会員で黒字になり、スポーツ(NBA・ワールドカップ)で会員が増えれば、メディアの利益は赤字から大きな黒字に変わる。ユニバーサルはエピック・ユニバースの入場者が積み上がり、2027 年以降も新しいパークが続く。
スピンオフは価値の顕在化の機会で、ケーブル本体は純粋な接続企業として、NBCユニバーサルとスカイはメディアの主役として、それぞれ割安から評価される。ならした利益の約 6 倍、FCF 利回り 2 割台という値段は、縮小を過大に織り込んでいる。借金は 3 年で FCF の 1 年分ほど返せる。分離後に自社株買いが再開すれば、1 株の利益が増え、時価総額のうち 3 割が 3 年で株主に戻る。
慎重な見方
ケーブルは、光ファイバー(AT&T・ベライゾン・フロンティアのベライゾン傘下)と固定無線に毎年数パーセントの契約を奪われ、2026 年 4〜6 月の純減 16.7 万件は前年より小さいとはいえ、2 年続けて 15 万件を超える。しかも純減の改善は、無料の無線回線をばらまいて顧客をつなぎ止めた結果で、ARPU が 3% 下がった。無料回線が有料に変わる保証はなく、ブロードバンド売上は 4〜6 月に 5.5% 縮んだ。住宅の EBITDA は 8% 減り、固定費が重いので、収入が 5% 減ると利益は 10% 以上減る。
メディアは、線形テレビの縮小とスポーツ権(NBA など)の高騰で利益が出にくく、ピーコックの黒字は 1 四半期の話にとどまり、ワールドカップの一過性もある。パークは、エピック・ユニバースの効果が剥がれると、4〜6 月のように EBITDA が前年割れになる。借金は純負債が約 830 億ドル(時価総額の約 106%)で、借り換えが 5.75% になれば利払いが増える。スピンオフで借金の割り振りを誤ると、どちらかが弱い会社になる。今の PER が低いのは、安いのではなく、縮む事業と借金に見合った値段である。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分のほうが少し強い。ならした利益の約 6 倍、FCF 利回り 2 割台という値段は、ケーブルの縮小が年 2〜3% で続く程度なら十分に織り込んでいる。ただし弱気が突く 2 点(無料の無線回線で純減を抑えている実態、借金の重さ)は構造的で、解消しない。そこで 10 年の確率は、楽観 7%・やや楽観 18%・中立 35%・やや悲観 25%・悲観 15% と、悲観側を 4 割に厚くした。結論は、成長を当てにせず、縮むケーブルで稼ぐ現金と、パーク・ピーコックの成長を、低い値段で買う話として、割安の側。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 41.37 ドル1,474 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 27.19 ドル969 億ドル)。 今の値に割り戻すと 35.15 ドル1,253 億ドル、今との差 +53.9%、 期待の年率 +11.6%(資本コスト 9.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 83.01 ドル2,959 億ドル | 44.19 ドル1,575 億ドル | +456.9% | +18.7% | 8.90 ドル317 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 67.26 ドル2,397 億ドル | 39.98 ドル1,425 億ドル | +369.5% | +16.7% | 19.30 ドル688 億ドル |
| 中立 | 35% | 47.96 ドル1,709 億ドル | 30.16 ドル1,075 億ドル | +242.0% | +13.1% | 27.34 ドル975 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 24.14 ドル860 億ドル | 20.34 ドル725 億ドル | +94.7% | +6.9% | 11.12 ドル396 億ドル |
| 悲観 | 15% | 4.21 ドル150 億ドル | 8.42 ドル300 億ドル | −44.7% | −5.8% | 1.89 ドル68 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 41.37 ドル1,474 億ドル | 27.19 ドル969 億ドル | +200.2% | +11.6% | 68.56 ドル2,444 億ドル |
今の株価時価総額 22.84 ドル814 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% ケーブルが下げ止まり、パークとピーコックが育って複合体が再評価される 利益 252 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 83.01 ドル2,959 億ドル
10 年間、ブロードバンドの顧客は年 0.7% 減にとどまり、無線のセットで ARPU は年 +3.3%(10 年 1.38 倍)。法人は年 +5%。ケーブルの営業利益率は 27%。ピーコックは世界で伸び、メディアの市場シェアは 9.5%、利益率 12%。パークはエピック・ユニバースに続く新パークで入場者が 9,000 万人、単価は物価の 1.5 倍近く。スカイも利益を出す。借金は 10 年で大きく減り、自社株買いは年 100 億ドル超。純利益は約 252 億ドル。ケーブルが独占を失っても、固定無線・光ファイバーと並んで価格を保てる事業に落ち着き、パークと映画が堀として残る。分離した後の 2 社は、それぞれ単独で資本市場から評価される。
- 米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像):数量 26.5(国内ブロードバンド顧客(百万件))× 価格 2,519(顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計))→ 売上 668 億ドル・営業利益 180 億ドル。米国ケーブル住宅の顧客数と 1 件あたり収入
- コムキャスト・ビジネス(法人通信):数量 3.1(法人顧客(百万社・拠点、推定))× 価格 6,283(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 195 億ドル・営業利益 74 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり収入
- メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル):数量 5,076(米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア)× 価格 9.5%(シェア(市場に占める売上の割合))→ 売上 482 億ドル・営業利益 58 億ドル。メディアの市場 × シェア
- テーマパーク(ユニバーサル):数量 90.0(入場者数(百万人))× 価格 238(1 人あたり支出(ドル))→ 売上 214 億ドル・営業利益 60 億ドル。パークの入場者と 1 人あたり支出
- スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド):数量 17.0(契約者数(百万件、推定))× 価格 1,294(1 契約あたり年間収入(ドル))→ 売上 220 億ドル・営業利益 29 億ドル。スカイの契約数と 1 契約あたり収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.0%(基本 8.0%+quality +1.0%)、g 3.5%(契約の減りが止まり料金は物価並み)。事業の ROE 21.5%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=13.2%、式の PER=13.3 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 13.8 倍。 置いたのは 11.74 倍(上限の 85%)。ケーブルの地域独占が光ファイバーと固定無線に崩され、価格を決める力が落ちている(moat=weak)ことと借金の重さから、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年かけてブロードバンドが固定無線と光ファイバーに共存し、無線のセット契約が堀になる筋書き。ケーブルが独占でなくなった以上、成功の確率は 1 割未満。
やや楽観 18% ケーブルは緩やかな縮小で、パークと配信の成長が補う 利益 211 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 67.26 ドル2,397 億ドル
ケーブルの顧客は 2,500 万件、1 件あたり収入は 1.40 倍。住宅の営業利益率は 26%。法人は年 +4%。メディアはシェア 8.8%・利益率 9%、パークは入場者 8,400 万人。スカイは緩やかに縮み、利益率 12%。借金は返済が進み、配当は年 5% で増える。純利益は約 211 億ドル。スカイは緩やかな縮小で、メディアも線形の縮小をピーコックの成長で補う。ケーブル本体と NBCユニバーサルの両方で、競合(ベライゾン・チャーター・ディズニー)に並ぶ地位を保つ。ケーブルは無線の浸透率が 2 割近くまで上がってセット契約が解約を抑え、ブロードバンドの値下げ圧力は残るが、固定無線とは棲み分ける。パークは新パークの投資が回収に入り、利益率が上がる。
- 米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像):数量 25.0(国内ブロードバンド顧客(百万件))× 価格 2,555(顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計))→ 売上 639 億ドル・営業利益 166 億ドル。米国ケーブル住宅の顧客数と 1 件あたり収入
- コムキャスト・ビジネス(法人通信):数量 2.9(法人顧客(百万社・拠点、推定))× 価格 6,240(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 181 億ドル・営業利益 67 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり収入
- メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル):数量 5,076(米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア)× 価格 8.8%(シェア(市場に占める売上の割合))→ 売上 447 億ドル・営業利益 40 億ドル。メディアの市場 × シェア
- テーマパーク(ユニバーサル):数量 84.0(入場者数(百万人))× 価格 223(1 人あたり支出(ドル))→ 売上 187 億ドル・営業利益 50 億ドル。パークの入場者と 1 人あたり支出
- スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド):数量 16.5(契約者数(百万件、推定))× 価格 1,266(1 契約あたり年間収入(ドル))→ 売上 209 億ドル・営業利益 25 億ドル。スカイの契約数と 1 契約あたり収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.0%(基本 8.0%+quality +1.0%)、g 3.0%(契約微減・料金は物価並み)。事業の ROE 18.3%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=12.1%、式の PER=12.5 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.9 倍。 置いたのは 11.36 倍(上限の 88%)。moat=weak と借金の重さから、式の値より低めに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP。
確率:ケーブルの縮小が年 1.3% にとどまり、パーク・ピーコックが伸びる筋書き。実績の方向(純減の縮小・ピーコックの黒字)に沿う。
中立 35% ケーブルは年 2% で縮み、利益率が下がるが、パーク・ピーコックで持ちこたえる 利益 154 億ドル · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 47.96 ドル1,709 億ドル
2035 年の売上は約 1,505 億ドル。ケーブルのブロードバンド顧客は 2,330 万件(年 -2%)、1 件あたり収入は 1.30 倍(物価 1.41 倍を実質で下回る)。固定費が物価で上がるので住宅の営業利益率は 22% に下がる。法人は年 +3.4%。メディアは市場に対しシェアが 8.2% で利益率 7%。パークは入場者 7,800 万人・単価は物価並み。借金は返済と借り換えで、利払いは約 47 億ドル。純利益は約 154 億ドル。配当は緩やかに増え、自社株買いは年 50〜60 億ドルで、10 年の還元は約 1,075 億ドル。
- 米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像):数量 23.3(国内ブロードバンド顧客(百万件))× 価格 2,372(顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計))→ 売上 553 億ドル・営業利益 122 億ドル。米国ケーブル住宅の顧客数と 1 件あたり収入(値上げとプランの高級化が光・固定無線との競争の割引で相殺され、1 件あたり収入は年 1.5〜2.5% と物価を下回る)
- コムキャスト・ビジネス(法人通信):数量 2.8(法人顧客(百万社・拠点、推定))× 価格 5,979(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 167 億ドル・営業利益 60 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり収入
- メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル):数量 5,076(米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア)× 価格 8.2%(シェア(市場に占める売上の割合))→ 売上 416 億ドル・営業利益 29 億ドル。メディアの市場 × シェア
- テーマパーク(ユニバーサル):数量 78.0(入場者数(百万人))× 価格 223(1 人あたり支出(ドル))→ 売上 174 億ドル・営業利益 45 億ドル。パークの入場者と 1 人あたり支出
- スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド):数量 16.0(契約者数(百万件、推定))× 価格 1,219(1 契約あたり年間収入(ドル))→ 売上 195 億ドル・営業利益 20 億ドル。スカイの契約数と 1 契約あたり収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.0%(基本 8.0%+quality +1.0%)、g 2.5%(ブロードバンドの契約が光・FWA に奪われ、料金は物価を下回る)。事業の ROE 13.4%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 moat=weak(残る割合 0.33)で RONIC=10.5%、式の PER=11.7 倍、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) で 12.0 倍。 置いたのは 11.10 倍(上限の 92%)。式の値の 92% は、ROE が k を超える会社の PER の下限 1÷k(11.1 倍)と重なる。moat=weak と借金の重さがあるのでこれ以上は上げない。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。純利益は GAAP。
確率:業界ノートの中立(契約 年 -1.5%・ARPU 年 +2.5%)より、ケーブルの縮小を厚めに(年 -2%)、ARPU を弱めに(年 +2.6%:10 年 1.30 倍)置いた。
やや悲観 25% 光ファイバー・固定無線に取られ、ケーブルは縮む事業になる 利益 79 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 24.14 ドル860 億ドル
ケーブルのブロードバンド顧客は 2,040 万件に減り、1 件あたり収入は 1.15 倍しか上がらない。住宅の営業利益率は 19%。メディアは線形の縮小でシェア 7.2%・利益率 3%、パークは入場者 7,000 万人で利益率 23%、スカイは縮小。借金は減らず、利払いは 50 億ドル。純利益は約 79 億ドル。ケーブルは地域ごとに光ファイバーに奪われ、無線の MVNO も利益の柱にはならない。配当は守るが増配は止まり、自社株買いは年 20〜30 億ドルにとどまる。バリュー投資の目では「よく稼ぐが縮む」会社になる。 10 年の純利益の累計は約 891 億ドル(2025 年の純利益 200 億ドルには Hulu の持ち分の売却益 94 億ドルが入っているので、道筋の起点はこれを除いた 2026 年の約 100 億ドルに置き、2035 年の 79 億ドルへ下がる。赤字の年・減損は置かない)。
- 米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像):数量 20.4(国内ブロードバンド顧客(百万件))× 価格 2,099(顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計))→ 売上 428 億ドル・営業利益 81 億ドル。米国ケーブル住宅の顧客数と 1 件あたり収入
- コムキャスト・ビジネス(法人通信):数量 2.6(法人顧客(百万社・拠点、推定))× 価格 5,546(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 144 億ドル・営業利益 45 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり収入
- メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル):数量 5,076(米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア)× 価格 7.2%(シェア(市場に占める売上の割合))→ 売上 365 億ドル・営業利益 11 億ドル。メディアの市場 × シェア
- テーマパーク(ユニバーサル):数量 70.0(入場者数(百万人))× 価格 215(1 人あたり支出(ドル))→ 売上 150 億ドル・営業利益 34 億ドル。パークの入場者と 1 人あたり支出
- スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド):数量 14.5(契約者数(百万件、推定))× 価格 1,125(1 契約あたり年間収入(ドル))→ 売上 163 億ドル・営業利益 11 億ドル。スカイの契約数と 1 契約あたり収入
倍率:利益ベースの正当化 PER。k 9.0%(基本 8.0%+quality +1.0%)、g 2.0%(契約減と値下げ競争)。事業の ROE 7.8%(その時点の純利益 ÷ 帳簿の自己資本。のれん込み)。 事業の ROE 7.8% が k 以下なので PER の上限は 1÷k=11.1 倍。 置いたのは 10.89 倍(上限の 98%)。ROE が k に届かず、伸びても価値は増えないので、上限 1÷k のほぼそのままに置いた。借金は純利益の利払いと k で数え、純負債を別に引かない。
確率:固定無線・光ファイバー・衛星が広がり、ケーブルの収入が年 3.3% 減る筋書き。実際にありうる姿で 4 分の 1。
悲観 15% ケーブルが構造的に崩れ、優良な企業ではなくなる 利益 4 億ドル · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 4.21 ドル150 億ドル
ブロードバンドの顧客は 1,700 万件まで減り(年 -4.9%)、1 件あたり収入は 1.02 倍。ケーブルの営業利益率は 12%。メディアは線形テレビの縮小とスポーツ権で赤字(市場シェア 6.2%)。パークは景気と競争で入場者 6,200 万人、利益率 18%。スカイは減損。営業利益は 60 億ドルで、利払い 55 億ドルをほぼ賄うだけになり、配当を減らして自社株買いは止まる。のれんの減損で自己資本が減る。もう優良とは言えないが、ケーブル網・パーク・映画の資産は残る。配当は半分に減らしても、10 年の還元は約 300 億ドルで純利益の合計を上回るが、その差は純利益より大きい FCF(減価償却の分)と資産の売却で払う。 10 年の純利益の累計は約 323 億ドル(2025 年の純利益 200 億ドルには Hulu の持ち分の売却益 94 億ドルが入っているので、道筋の起点はこれを除いた 2026 年の約 100 億ドルに置き、2035 年の 4 億ドルまで下がる)に、のれんの減損 約 56 億ドルを引いて約 267 億ドル。
- 米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像):数量 17.0(国内ブロードバンド顧客(百万件))× 価格 1,862(顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計))→ 売上 317 億ドル・営業利益 38 億ドル。米国ケーブル住宅の顧客数と 1 件あたり収入
- コムキャスト・ビジネス(法人通信):数量 2.3(法人顧客(百万社・拠点、推定))× 価格 4,983(1 顧客あたり年間収入(ドル))→ 売上 115 億ドル・営業利益 28 億ドル。法人の顧客数と 1 顧客あたり収入
- メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル):数量 4,700(米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア)× 価格 6.2%(シェア(市場に占める売上の割合))→ 売上 291 億ドル・営業利益 −6 億ドル。メディアの市場 × シェア
- テーマパーク(ユニバーサル):数量 62.0(入場者数(百万人))× 価格 190(1 人あたり支出(ドル))→ 売上 118 億ドル・営業利益 21 億ドル。パークの入場者と 1 人あたり支出
- スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド):数量 12.5(契約者数(百万件、推定))× 価格 984(1 契約あたり年間収入(ドル))→ 売上 123 億ドル・営業利益 4 億ドル。スカイの契約数と 1 契約あたり収入
倍率:利益がほぼ消える(純利益 4 億ドル)ので PER は使えず、稼ぐ力(4÷k)は約 50 億ドルにすぎない。悲観側の価値は、売れる資産の税後から借金を払った残り(floor_assets_oku 150 億ドル)で測り、今の自己資本 969 億ドルの約 0.15 倍に当たる。のれんの減損と、ケーブルの縮小・メディアの赤字で、株主の取り分は借金に先に食われる。EV で見ると、純有利子負債 約 950 億ドルを足した企業価値は営業利益の約 23 倍で、借金が株主の取り分をほとんど食う姿である。
確率:ブロードバンドの 4 割が失われ、メディアも赤字になる構造的な負け筋。借金を抱えたまま利益が縮むので、10 年の悲観は 15% と厚く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国ケーブル住宅(ブロードバンド・無線・映像)
Xfinity のブロードバンド・無線(MVNO)・映像の契約収入。
| 数量国内ブロードバンド顧客(百万件) | 価格顧客 1 件あたり年間収入(ドル。ブロードバンド・無線・映像・その他の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 28.5 | 1,825 | 520 | 135 |
| 10 年後 中立 | 23.3 | 2,372 | 553 | 122 |
取り方:売上は 2026 年 4〜6 月の住宅売上 171 億ドルの年換算から、スカイの接続収入(推定 約 140 億ドル)と部門間消去を引いた約 520 億ドル(推定)。顧客数は国内ブロードバンド 2,849 万件。営業利益は EBITDA 率 約 38% から減価償却(約 120 億ドル分)を引いた約 135 億ドル(推定)。
コムキャスト・ビジネス(法人通信)
中小企業・大企業・卸向けのインターネット・無線・ネットワーク。
| 数量法人顧客(百万社・拠点、推定) | 価格1 顧客あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.4 | 4,333 | 104 | 38 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 5,979 | 167 | 60 |
取り方:2026 年 4〜6 月の売上 26.7 億ドル(+3.7%)の年換算で約 104 億ドル。顧客数は開示がなく約 240 万(推定)と置いた。EBITDA 率 56.7% から減価償却を引き営業利益 約 38 億ドル(推定)。
メディア・スタジオ・ピーコック(NBCユニバーサル)
NBC・テレムンド・ピーコックの広告・配信・放送再送信料と、ユニバーサルの映画・テレビ制作・ライセンス。
| 数量米国のテレビ・映像関連の市場規模(億ドル)× 自社シェア | 価格シェア(市場に占める売上の割合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,600 | 8.1% | 290 | 5 |
| 10 年後 中立 | 5,076 | 8.2% | 416 | 29 |
取り方:市場は、米国のテレビ広告・有料契約料・配信・映画興行・ライセンスの合計を約 3,600 億ドル(推定)と置き、売上 約 290 億ドル(2026 年 4〜6 月のメディア 57 億・スタジオ 30 億から、ワールドカップの一過性・部門間消去を除いて年換算した推定)を割ってシェア 8.06% とした。営業利益は、ピーコックの損失とスポーツ権費用でほぼ収支均衡(約 5 億ドル・推定)。
テーマパーク(ユニバーサル)
オーランド(エピック・ユニバース含む)・ハリウッド・日本・北京の入場料・飲食・物販。
| 数量入場者数(百万人) | 価格1 人あたり支出(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 158 | 95 | 22 |
| 10 年後 中立 | 78.0 | 223 | 174 | 45 |
取り方:売上は 2026 年 4〜6 月の 24.1 億ドルの年換算から季節性を直して約 95 億ドル(推定)。入場者は 4 パーク合計で約 6,000 万人(推定)。EBITDA は約 36 億ドル、減価償却を引いた営業利益は約 22 億ドル(推定)。
スカイ(欧州の有料放送・ブロードバンド)
英国・イタリアの有料放送・配信・ブロードバンド・無線。ドイツは 2026 年 5 月に売却済み。
| 数量契約者数(百万件、推定) | 価格1 契約あたり年間収入(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 16.0 | 938 | 150 | 15 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 1,219 | 195 | 20 |
取り方:ドイツ売却後のスカイの売上は約 150 億ドル(推定)。契約者数は英国・イタリアの合計で約 1,600 万(推定)。営業利益は約 15 億ドル(推定)。為替は動かさない。
リスクと懸念
ブロードバンドの純減が止まらず、無料回線のつけが回る
光ファイバー・固定無線に契約を奪われ、2026 年 4〜6 月も 16.7 万件の純減。無料の無線回線で顧客をつなぎ止めた分 ARPU が 3% 下がっており、有料に変わらなければ住宅の利益が 8%(4〜6 月)のペースで減り続ける。固定費が重く、収入 5% 減で利益 10% 超減。
借金の重さと金利
純負債は約 830 億ドル(時価総額の約 106%)。借り換えは 5.75% 前後で、3 年で約 10 億ドル、10 年で約 17 億ドル利払いが増える(推定)。スピンオフで借金の割り振りが偏ると、一方が弱い会社になり、格付けや還元が崩れる。
スピンオフの実行と、分離後のそれぞれの値付け
約 1 年の作業で、税の意見・規制・資金調達の条件が付く。分離費用、共通費の重複、19.9% の保有分の売り出しで株の需給が重くなる。ケーブル本体は純粋な縮小事業と見られ、倍率が低いまま残る可能性がある。
メディアの線形テレビの縮小とスポーツ権の高騰
放送・ケーブルネットワークの契約と広告が年 3〜9% 縮む。NBA などの放映権料が上がり、ピーコックの黒字(4〜6 月 EBITDA 1.9 億ドル)はワールドカップ頼みの面がある。メディアの利益が赤字に戻ると全社の利益が数十億ドル削られる。
パークの伸びの鈍化と景気
エピック・ユニバースの入場者効果は 2026 年に一巡し、4〜6 月のパーク EBITDA は前年比 5% 減。景気後退では入場者が 1〜2 割減り、固定費の重さで利益率が急に落ちる。新パーク(フリスコ・英国)の投資の回収も遅れうる。
スカイの欧州有料放送の縮小
ドイツ・スカイは 2026 年 5 月に売却済み。残る英国・イタリアも、配信(ネットフリックス・ディズニー)と回線の事業者に視聴を奪われる。2018 年の買収額に見合う価値が出ていない疑いが残り、減損のリスクがある。
固定無線・衛星・補助金など、競争環境と規制
AT&T・ベライゾン・ティーモバイルの固定無線と光ファイバーの拡大、スターリンクの衛星、BEAD 補助金の配分が、ケーブルの価格決定力を狭める。FCC の規制変更や、チャーター・コックスの規模拡大も圧力になる。
今後の分かれ目
- ブロードバンドの純減が四半期 10 万件を下回り、ARPU が前年比プラスに戻る
- やや楽観・楽観の確率を数ポイント上げる。無料の無線回線が有料に変わってきた証拠なので、10 年の顧客数の減りを年 2% から 1.3% 程度に置き直してよい。
- ブロードバンドの純減が四半期 20 万件を超え、ARPU の下落が続く
- やや悲観・悲観の確率を上げ、10 年のケーブルの収入を年 -2% 台に下げる。住宅の利益率の置き方(22%)も下げる。
- スピンオフで借金の割り振りが NBCユニバーサル側に偏る、またはケーブル本体の純負債が EBITDA の 3 倍を超える
- 本体の配当と自社株買いの余力が縮み、倍率が下がる。やや悲観の確率を上げる。
- 分離後に自社株買いが再開され、年 80 億ドル以上のペースになる
- 10 年の還元の置き方(約 1,075 億ドル)を上げてよい。1 株あたりの価値の増え方も速くなる。
- ピーコックが通年で黒字を保ち、メディアの EBITDA が黒字に定着する
- メディアの利益率(中立 7%)を上げてよい。NBCユニバーサル側の倍率も 10 倍台に置き直せる。
- パークの EBITDA が前年割れの四半期が続く、または景気後退で入場者が減る
- パークの利益率(26%)と入場者の伸びを下げ、やや悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 国内ブロードバンドの純増減(四半期)と ARPU
- 無線の回線数・純増と、無料回線の有料への転換率
- 住宅・法人の EBITDA 率(住宅 37.7%・法人 56.7%)
- 純負債と EBITDA の比(スピンオフ後の両社それぞれ)
- ピーコックの有料会員数(4,800 万人)と黒字の持続
- テーマパークの EBITDA と入場者
- 分離の時期・借金の割り振り・自社株買いの再開
倍率と資本コストの決め方
今の PER(報告ベース 3.9 倍・ならした利益で約 6 倍)や株価を見る前に、5 つのセグメントごとに数量 × 価格で 2035 年の売上と営業利益を積み上げ、利払い(借り換えで増える分)と税を引いて純利益を出した。倍率は利益ベースの正当化 PER(k 9.0%=基本 8.0%+quality +1.0%)、のれん込みの帳簿の ROE(13〜22%)、moat=weak(ケーブルの地域独占が光と固定無線に崩され、高い ROE は先で 3 分の 2 が消える)、g 2〜3.5% で置き、上限の 85〜93% とした。中立は 1÷k の下限 11.1 倍と重なる。やや悲観は ROE が k に届かず上限の 1÷k のほぼそのまま。悲観は利益ではなく、売れる資産の税後から借金を払った残り(150 億ドル)で測った。悲観側が 4 割を占めるように確率を厚くし、割安に寄せすぎないようにした。それでも割安に出たのは、FCF が時価総額の 2 割を超える現実を数えた結果である。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k は基本 8.0% + quality +1.0% = 9.0%。景気に左右される広告・パークと安定した接続が混ざるので循環は普通、借金は EBITDA の 2.7 倍ほどで借り換えの金利が利益を削る分を debt に、ブロードバンドの縮小と線形テレビの縮みを life に入れた。ブロードバンドの縮小・分離の実行は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。事業の存続は危なくないので上乗せは 0。